中学校における授業実践事例 1 第 3 学年社会科 消費生活と経済 1 学校名 職氏名萩市立田万川中学校教諭室谷雄二 2 生徒 3 学年 15 人 3 学習指導案 (1) 題材名消費生活と経済 (2) 題材の目標経済活動の意義について消費生活を中心に理解させるとともに 価格の働きに着目させて市場経済

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(3) 指導観公民的分野は地理的分野と歴史的分野の学びの積み重ねによるところが大きい 用語や概念も高度化し 生徒の感想にも 難しい と感じるものが多くなっている そこで その難しいと感じる公民の用語などは積極的に用語集を活用し 難しい言葉に対する抵抗感を少しでも和らげるよう授業でも活用している また

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

座標軸の入ったワークシートで整理して, 次の単元 もっとすばらしい自分へ~ 自分向上プロジェクト~ につなげていく 整理 分析 協同的な学習について児童がスクラップした新聞記事の人物や, 身近な地域の人を定期的に紹介し合う場を設けることで, 自分が知らなかった様々な かがやいている人 がいることを知

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H26関ブロ美術プレ大会学習指導案(完成版)

中学校第 3 学年社会科 ( 公民的分野 ) 単元名 よりよい社会をめざして 1 本単元で人権教育を進めるにあたって 本単元は 持続可能な社会を形成するという観点から 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を設けて探究し 自分の考えをまとめさせ これらの課題を考え続けていく態度を育てる

ICTを軸にした小中連携

スライド 1

技術 家庭科学習指導案 安芸高田市立向原中学校指導者久保田美恵 1 日時平成 26 年 11 月 10 日 ( 月 ) 第 5 校時 (14:15~15:05) 2 場所 2 年教室 3 学年 学級第 2 学年男子 11 名女子 11 名計 22 名 4 題材名 食品の選択 小題材名 加工食品の選び

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使用して話し合いを行ったりするなど より具体的な内容を提示することで生徒た ちの意識を高めさせる 商品選択 の視点と 消費者の声 の視点から 私たち 消費者が基本的に持っている権利の適切な主張と責任の果たし方について理解を 深め 社会の一員として今後の自分の消費行動についても考えさせたい (4) 題

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各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

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ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

第 5 学年 社会科学習指導案 1 単元名自動車をつくる工業 2 目標 我が国の自動車工業の様子に関心を持って意欲的に調べ, 働く人々の工夫や努力によって国民生活を支える我が国の工業生産の役割や発展について考えようとしている ( 社会的事象への関心 意欲 態度 ) 我が国の自動車工業について調べた事

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第○学年 ○○科指導計画

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

基礎を育てることを主なねらいとしている 現在 地方自治体を取り巻く状況は 少子高齢化 情報化 グローバル化 経済の変動などによ り急速に変化している また 地方分権を推進する法律がつくられ 各地方自治体は 財政の健全 化や組織の改編 市町村合併等の新しい枠組みづくりに取り組んでいる さらに 子育て支

4. 題材の評価規準 題材の評価規準 については, B 日常の食事と調理の基礎 (2),(3), D 身近な消費生活 と環境 (1) の 評価規準に盛り込むべき事項 及び 評価規準の設定例 を参考に設定して いる 家庭生活への関心 意欲 態度 お弁当作りに関心をもち, おか 生活を創意工夫する能力

第 2 問問題のねらい青年期と自己の形成の課題について, アイデンティティや防衛機制に関する概念や理論等を活用して, 進路決定や日常生活の葛藤について考察する力を問うとともに, 日本及び世界の宗教や文化をとらえる上で大切な知識や考え方についての理解を問う ( 夏休みの課題として複数のテーマについて調

授業単元名 中学校 3 年公民科 : 市場経済 ( 金融 )/ 消費生活 目標 震災復興プランの策定では 政府 企業 銀行 の各立場やその役割から どのようにして震災からの復興を支援していくことができるのかを検討してきた 今回は 賢い消費者として自分自身の生活設計を検討する際の 人生全体を通したお金

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項目評価規準評価方法状況 C の生徒への対応 関心意欲態度 1 自の考えを持ち 積極的に交流 討論している 2 自らの言葉で 中学生にかりやすく紹介文を書こうとしている 交流 討論で得た仲間の意見を取り入れて 自らの考えを深めるよう促す 参考例を示したり 書き出しを例示したりして 参考にするように指

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解答類型

第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

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(Microsoft Word - 201\214\366\212J\216\366\213\3061\224N\211\271.docx)

考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

他の単元との連関 子どもが獲得する見方や考え方 教師の持つ指導ポイント 評価規準 小学 4 年生 もののあたたまり方 小学 6 年生 電気の利用 ~ エネルギーの工場と変身と銀行 ~ 中学 1 年生 光と音 ( 光のエネルギーを利用しよう ) 中学 2 年生 電流 ( 電気とそのエネルギー ) 電流

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

英語科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 指導者 : 津田優子 1. 指導日時平成 30 年 2 月 2 日 ( 金 ) 公開授業 Ⅱ(10:45~11:35) 2. 指導学級 ( 場所 ) 第 2 学年 3 組 ( 男子 20 名女子 17 名計 37 名 ) 3. 場所京都教育大学附属桃山中

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「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

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第 1 学年国語科学習指導案 日時 平成 27 年 11 月 11 日 ( 水 ) 授業 2 場所 八幡平市立西根中学校 1 年 2 組教室 学級 1 年 2 組 ( 男子 17 名女子 13 名計 30 名 ) 授業者佐々木朋子 1 単元名いにしえの心にふれる蓬莱の玉の枝 竹取物語 から 2 単元

上に食に関する指導の充実が求められている 食環境の乱れが社会的課題とっている今日 中学生が食生活の自立を目指した学習をすることは大切なことであるので 本時は 自分や家族の食生活の中で見付けた問題点の改善に自主的に取り組むことができるように 指導を進めることにした 指導に当たっては これまでの学習を踏

3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

内容 児童 経験したことや調べたことから選んで話す 内容 ( 考え ) を分かりやすく話す はっきりした発音で声の大きさを考えて話す 丁寧な言葉を使って話す 相手の顔を見ながら話す 大事なこと

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

第 2 学年 * 組保健体育科 ( 保健分野 ) 学習指導案 1 単元名生涯の各段階における健康 ( イ ) 結婚生活と健康 指導者間中大介 2 単元の目標 生涯の各段階における健康について, 課題の解決に向けての話し合いや模擬授業, ディベート形式のディスカッションなどの学習活動に意欲的に取り組む

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

国語 A では, 領域別, 観点別, 問題形式別に見て, どの区分においても全国平均を上回り, 高い正答率でした しかし, 設問別でみると全国および新潟県平均正答率を下回った設問が, 15 問中 1 問, 新潟県の平均正答率を下回った設問は,15 問中 1 問ありました 設問の概要関屋小新潟県全国

数学科学習指導案 1 次方程式 ( 中学校第 1 学年 ) 神奈川県立総合教育センター < 中学校 高等学校 > 数学 理科授業づくりガイドブック 平成 22 年 3 月 問題つくりを題材として取り上げ 身近な生活の中にある数量関係を見いだし それを基に文章題を作らせる指導によって 自ら具体的な事象

2、協同的探究学習について

3 特別支援学級における学習指導案 特別支援学級においても 学習指導案は授業の設計図としての働きに変わりはありません しかし 特別支援学級では 児童生徒の実態から指導の内容や計画を考えることに大きな意味があります 通常の学級の学習指導案では 例えば 単元について は学習指導要領に沿った指導計画に基づ

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国語科学習指導案様式(案)

「標準的な研修プログラム《

4.原稿(資料)

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北野中学校 30 周年第 1 学年共通道徳学習指導案 人はなぜ働くのか. 日 時 平成 18 年 11 月 24 日 生 徒 札幌市立北野中学校第 1 学年 指導者 教諭 筒井 久保村 石塚 川村 1. 主題名 人はなぜ働くのか 4-(5) 勤労と奉仕の精神 2. 主題設定の理由 人のためにならない

質問項目とてもそう思うまあまあそう思うあまり思わないそう思わない 欲しいもの と 必要なもの の区別ができる インターネットによる販売を利用している レシートは必ずもらって持ち帰る 家族に購入した商品について報告する (4)

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

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平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

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目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

彩の国埼玉県 埼玉県のマスコット コバトン 科学的な見方や考え方を養う理科の授業 小学校理科の観察 実験で大切なことは? 県立総合教育センターでの 学校間の接続に関する調査研究 の意識調査では 埼玉県内の児童生徒の多くは 理科が好きな理由として 観察 実験などの活動があること を一番にあげています

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(2) 授業者が学びの見通しを持つ ( 学習目標の明確化 ) 問題解決的な学習に取り組む際, どのような場面で, どのようにして, どのような力を子どもたちに付けるのか, 単元や授業における目標を明確にして学びを見通しておくことが大切です 目標が不明確であると, 作業や体験などの活動そのものに, 子

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

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し, 定期的に評価することで 自己の考え を自覚する場面を意図的に設定している 本教材の学習においては, 様々な情報の中から必要な情報を取り出し, 整理 分析し, それに基づいた自分の考えを表現する活動を通して, 自己の考えの深まりや広がり を実感させることによって, 課題改善につなげたいと考えてい

2部.indd

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20情報【授業】

主語と述語に気を付けながら場面に合ったことばを使おう 学年 小学校 2 年生 教科 ( 授業内容 ) 国語 ( 主語と述語 ) 情報提供者 品川区立台場小学校 学習活動の分類 B. 学習指導要領に例示されてはいないが 学習指導要領に示される各教科 等の内容を指導する中で実施するもの 教材タイプ ビジ

5 単元の評価規準と学習活動における具体の評価規準 単元の評価規準 学習活動における具体の評価規準 ア関心 意欲 態度イ読む能力ウ知識 理解 本文の読解を通じて 科学 について改めて問い直し 新たな視点で考えようとすることができる 学習指導要領 国語総合 3- (6)- ウ -( オ ) 1 科学

5 主体的 対話的で深い学びの視点 (1) 主体的な学びとしての視点主体的な学びとして 本単元ではプレゼンテーションを作成する段階で 聞き手の関心を最大限ひきつけることができるようなテーマの設定を生徒たち自身に行わせたい このことにより 教師から与えられたテーマではなく 自分たち自身もより興味 関心

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p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

4 単元の評価規準 社会的事象への 社会的な思考 判断 観察 資料活用の 社会的事象について 関心 意欲 態度 技能 表現 の知識 理解 報道の在り方につい表現の自由と個人報道について調べ報道の意義や働き, て関心をもち, テレビの人権尊重という 2 たことを基に, これその仕事に携わる人番組や新聞

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

28(宣)中社小中パンフ表1-small

エコポリスセンターとの打合せ内容 2007

教育調査 ( 教職員用 ) 1 教育計画の作成にあたって 教職員でよく話し合っていますか 度数 相対度数 (%) 累積度数累積相対度数 (%) はい どちらかといえばはい どちらかといえばいいえ いいえ 0

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知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

5 題材の目標 生涯発達の視点から各ライフステージの特徴 課題について理解す 青年期の自立について考え, 男女の協力などについて考え 結婚 家族 家庭の意義や機能などについて理解し, 自の問題として考え 6 題材の評価規準関心 意欲 態度 思考 判断 表現 技能 知識 理解 自自身のことや, 自らし

国語科第 1 学年熊野町立熊野中学校指導者森島登紀子 単元名 根拠を明確にして書こう 本単元で育成する資質 能力 自ら考え判断する力, 読解力 情報収集能力 1 日 時平成 29 年 11 月 16 日 5 校時 2 場 所 1 年 3 組教室 3 学年 学級第 1 学年 3 組 (27 名男子 1

いて考え, 判断し, 実践している 解している 6 食育の視点 自の食生活を見つめ直し, よりよい食習慣を形成しようと努力すること ( 心身の健康 ) 食品の品質の良否を見け, 食品に含まれる栄養素やその働きを考え, 適切な選択をすること ( 食品を選択する能力 ) 7 学習計画 時 おやつの取り方

(2) 系統観 小学校社会科 ( 第 6 学年 ) 世界の中の日本の役割について, 我が国と経済や文化などでの面でつながりが深い国の人々の様子などを調査し, 外国の人々と共に生きていくためには異なる文化や習慣を理解し合うことが大切であることを考える 中学校社会科 ( 第 1 学年地理的分野 ) 世界

たい 生徒は九州地方のイメージを漠然と 自然が多い 山がある 空気がおいしい というような自然や環境がよいことをあげていた そこで 九州地方の環境と産業の関わりや環境保全への取組 持続可能な社会を目指した活動についてなど 九州の地域的特色を捉えさせることが重要である そのために 環境保全には人々の積

○数学科 2年 連立方程式

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単元の目標 カレーライスを作ることに興味 関心をもち, 進んで活動する カレーライスの作り方を調べ, 作り方, 材料, 用具を発表することができる カレーライス作りの活動を通して, 食材を知ったり, 道具を使う仕事にふれたりして, 生活経験を豊かにする 人との関わりを通してコミュニケーション能力を身

Transcription:

中学校における授業実践事例 1 第 3 学年社会科 消費生活と経済 1 学校名 職氏名萩市立田万川中学校教諭室谷雄二 2 生徒 3 学年 15 人 3 学習指導案 (1) 題材名消費生活と経済 (2) 題材の目標経済活動の意義について消費生活を中心に理解させるとともに 価格の働きに着目させて市場経済の基本的な考え方について理解させる また 現代の生産や金融などの仕組みや働きを理解させるとともに 社会における企業の役割と責任について考えさせる (3) 題材設定の意図 1 生徒観本学級の生徒は 学年当初 社会科に対する興味 関心が高い生徒と低い生徒がほぼ半数で二極化していた そこで まず新聞記事を利用し 時事問題を取り上げ 社会に対する興味 関心を高めるように取り組んできた 時事問題を基に話し合い活動などを行うことで 社会的な事象に関する興味 関心は確実に高まってきており 積極的にニュースや新聞などを読む生徒が増えてきた この中で 本時の内容に関わりのあるエネルギー問題についてすでに取り上げてきている また 学習内容の定着についても二極化しているが 自らの考えを述べることは ほぼすべての生徒ができる 班の活動は 学校として様々な場面で取り組んできており スムーズに行うことができる 2 教材観中学校学習指導要領解説社会編では ア市場の働きと経済 において 身近な消費生活を中心に経済活動の意義を理解させるとともに 価格の働きに着目させて市場経済の基本的な考え方について理解させる としている このような観点から 今回の授業では 身近な消費生活 の題材として 電力小売全面自由化 を取り上げる 価格や安全性 供給安定性 立地 自然環境の問題などの面から よりよい商品 ( 電気 ) を選択させる活動を通して 経済分野の導入となるものである さらに 販売者と消費者の立場から考察させる活動を通して 今後の授業の内容への興味 関心を高めさせる教材として適切だと考える ただし 電力自由化自体を指導するわけではないため 現実の状況を生徒に判断しやすく単純化 ( 教材化 ) する 3 指導観本単元は 現実の経済に対する関心を高め 身近で具体的な事例を取り上げて学習を展開する また 経済的な事象をとらえる見方や考え方の基礎 経済に関する 5

課題を解決しようとする態度を養い よりよい消費者を育てていきたい そこで 既存の学習内容であるエネルギー問題を 選択の材料とする また 販売者の視点を考察させることで 企業がどのように販売戦略を立てるのか という点にも気づかせ 今後の経済学習につなげたい (4) 題材の評価規準関心 意欲 態度思考 判断 表現技能知識 理解 単元の評価規準 消費生活のシミュレーションに意欲的に取り組み 経済への関心を深めている 消費生活や流通に関する様々な事例を基に 経済活動における選択や消費者の権利と自立 流通の役割について多面的 多角的に考え その過程や結果を適切に表現している (5) 学習計画 ( 指導と評価の計画 ( 全 5 時間 )) 消費生活に関する課題や消費問題について事例や統計資料を収集 選択し読み取ると共に その解決策について自分なりの考え方をまとめている 時小題材名時数主眼 1 2 3 4 5 身近な経済活動についてシミュレーションしてみよう 1 時間 ( 本時 ) 身近な消費生活を基に 自分の日常生活と経済との関係に気づくと共に 経済活動の意義について理解している シミュレーションを通して学習への意欲を高め 経済に興味 関心を持つ 販売者の視点と消費者の視点を考えることで 経済活動における選択について考察する 私たちの消費生活 1 時間 商品の生産と消費を通して暮らしを豊かにする仕組みを理解する 将来の家計の支出を予測し検討することで収支のバランスについて考える 契約と消費生活 1 時間 消費生活が契約によって成り立っているこ とを 多面的 多角的に考察する 消費者問題の概要について理解する 消費者の権利を守るために 消費生活を支える流通 1 時間 消費者の権利とその保護の取組について理解する 消費者の権利や消費者行政の役割について理解する 1 時間 身近な商品の流通経路について理解する 流通の役割や流通の合理化の取組について生産者と消費者の立場から考察する (6) 本時案 ( 本時は全 5 時間中の 1 時間目 ) 1 目標よりよい商品を選択し 購入するという消費者の視点と いかに自社製品を販売するかという販売者の視点を通して 商品購入の判断をすることができる 2 準備ワークシート 資料 ホワイトボードセット 6

導 3 学習過程学習内容 活動 1 本時の内容を予測する 2016 4 1 小売全面自由化 教師の支援 を予測させ 本授業への関心を高め 発言しやすい雰囲気をつくる 入 10 2 これまでの電力販売と電力小売全面自由化の違いについて知る 既存の学習を振り返り 様々な販売形態の中から 発電と小売が連携した形を取り上げることを確認する 3 本時のめあてを確認する めあて よりよい商品( 電気 ) を選ぼう をワークシートに記入させる 展 4 火力 水力 原子力 再生可能エネルギーの利点と課題を確認する 既存の学習( 教科書 P183) から 利点と課題を振り返らせる 開 25 5 販売者の視点でアピールポイントを話し合う ( 班 ) 販売者の立場でアピールポイントを考えよう 自社の利点を他社の課題と比較し 強調するなど考察上のポイントを補足する 6 販売者のアピールポイントを発表する ( 班 ) 各班の考えを聞き 自分の考えを決定することを意識させる 終 末 15 7 商品 ( 電気 ) 選択をする ( 個人 ) あなたは どの販売者の電気を選びますか 8 自分の考えを発表する ( 個人 ) 自分の考えとは違う考えがあることに気付かせる 7

9 授業を振り返る ( ふりかえりシートの記入 ) 本授業の振り返りながら 電気がミックスされて届くことなどを補足する ( 資料 ) 資料 各班のアピールポイント 8

ワークシート 社会科 3 年ワークシート 3 年 1 組 ( ) 番氏名 ( ) めあて 2016 4 1 小売全面自由化 これまで (1 ) (2 ) 2016 4 1 以後 (3 ) (4 ) (5 ) (6 ) (7 )(8 ) あなたはどの販売者の商品 ( 電気 ) を選びますか 会社名 ( ) 社 あなたがよりよいと考える点は何ですか? 9

4 指導上の工夫学習過程では 個人の考察 班の考察 発表という過程を通して 他者の意見を聞き 自らの考えを深めさせたい 5 成果と課題 (1) 成果生徒は 授業を通して電力小売全面自由化の流れを理解し 経済分野への興味 関心を高めることができた 学習過程を通して自らの考えを発表し また 他の生徒の発表を聞くことで より深く考察することができた 生徒の感想 これから僕たちも大人になって こういうことを考えていかないといけないので いろんな観点から物事をみていきたい アピールポイントを考え 販売者としてアピールし合うのは なかなか面白かったです (2) 課題電気を教材として扱ったが 身近なようで 実は生徒の実生活から離れた教材であった また 電力小売全面自由化という内容を生徒に理解できるように説明することに多くの時間を必要とした そのため最終的な発表の時間を十分に確保することができなかった ただ 今後の授業への興味 関心を高めることと 将来 電気を選択し購入するための基礎的な知識や考え方を身に付けることはできたと考える 6 授業検討会での主な意見 (1) 授業実施前に学習指導案の検討を行った際の主な意見 電力供給の問題に 電力小売の全面自由化を結び付けて 家庭で電気を選ぶことがどのように地域などに影響を及ぼすのか といったことも併せて考えると消費者教育につながる 班ごとに販売者の立場でアピールする際 アピールポイントについて整理しておかないと議論がかみ合わなくなる恐れがある 価格 安全性 供給安定性 立地 環境ぐらいがよいのでは 教科書に載っているままでなく 中学生が普段使っている言葉を使用してみてはどうか 発電 を 生産 送電 を 流通 小売 を 販売 とするとイメージがわきやすい 授業の振り返りの時に生徒から 情報が大切 とか セールスマンの話を鵜呑みにしない といった感想がでるとよい (2) 授業実施後の主な意見 よりよい消費者をつくる とある これを取り上げると 家庭科と社会科との差がどのようにでるのか興味深かった 買い手に着目されたので 社会科の授業となった グループワークで価格 ( 効率 ) や環境についてしっかり深めたものが見られた 社会科では 価格とコスト どれを選ぶかという場合 価格が重要になる 社会科では 価格を媒介して消費者と生産者を考える 価格があって その次に環境などの視点で選ぶのではないか 本日の授業では電力自由化を取り上げられたが 子供の現状に合わせて商品は選 10

べばよい 電力などのサービスは買ったという意識が低くなるかもしれない 家庭科と社会科の違いを考えると 家庭科は家族を基本に考える 社会科は地域社会との関連を考えている 今回のテーマでは 電力自由化に伴い販売者側の視点に立ったのが社会科としての意義があった 家庭科では 消費者の権利と責任そして意思決定を勉強する 社会科でも 社会的なことを考えた意思決定 フェアトレードとかを考えさせることができる 7 消費者教育アドバイザーの総評 (1) 消費者教育アドバイザー ( 公財 ) 消費者教育支援センター総括主任研究員中川壮一 (2) 総評 1 生徒に身近な消費生活との関わりからのアプローチ中学校社会科の経済学習では 消費生活や消費者問題について学ぶ内容があり 学習指導要領では 身近な消費生活を中心に経済活動の意義を理解させるとともに 価格の働きに着目させて市場経済の基本的な考え方について理解させる とある 消費者としての賢い選択を考えるというよりも 消費者の 需要 と生産 販売者の 供給 を通じた市場の働きの理解や 市場の働きにゆだねることが難しい消費者問題 ( 消費者保護 ) について国や地方公共団体が果たしている役割について考えさせることとなっている 今回 消費生活に関わる題材として 電力小売全面自由化 を取り上げたことはとても挑戦的で これまで地域独占的に電力会社から供給されてきた電力を消費者が選べる時代になったという話題から 消費者教育の観点を取り入れた授業構想を考えることになった しかし 中学生も日常使用している電気ではあるが 家庭の電気代を支払ったり 契約をする主体ではないため 生徒が電力を買うという意識を持つのは難しいのではないかという問題もあった 実際 学校の周辺に太陽光パネルの設置があったり 資源回収センターの社会科見学はしているが 自由化の影響もまだ都市部や一部地域に限られ すぐに家庭や地域に影響があるという状況ではない しかし 時事問題について新聞記事を取り上げた学習を行っていたことや エネルギー問題についてすでに学習をしていたことから 消費者の選択や消費生活と関わりのある問題として取り上げられるのではないかということで モデル授業の検討を行った 2 アクティブラーニングとして 販売シミュレーションの手法を取り入れた実践授業では 電力自由化 を導入の話題として取り上げたが 自由化について教えるというわけではないため 生徒に現実の状況を考えやすくするための 単純化 ( 教材化 ) が試みられている 電気という商品を選択する消費者の視点と 電気を販売する企業 販売者の視点から考え 体験的な活動を取り入れた形で展開する実践となっている 中学生が考えやすいように 教科書や資料集の情報をもとに 価格 安全 供給安定性 立地 環境への影響といった観点から各発電方法の特徴についてまとめ 販売会社の売り ( セールスポイント ) をアピールする販売シミュレーションを取り入れているところに特徴がある 生徒は主体的に情報を読み取り さらに販売会社の立場からの発表や意見を聞いて 個人 班としてどの電力会社を選ぶかを判断し その理由についても他の発電方法と比較しながら理由を発表することができていた 消費者や販売者などの立場 役割でその行動や選択のあり方について考えることは ロールプレイング ( 役割演技 ) の手法でもある 消費者といっても経済的な利益のみで行動するとは限らないので ロールプレイングによって 消費者として重視することや 企業であ 11

れば販売戦略や利益について考えたり さらには地域住民や市民などの立場から考える際に活用できる これらの手法を授業で取り入れやすくするためには 消費者問題や経済的な課題を扱ったロールプレイング教材やシミュレーション教材の充実が必要であろう 3 家庭科との違いと今後の課題モデル授業後の検討会では 家庭科での消費者教育の実践との違い 社会科で取り組む際の特徴についての議論もあった 社会科らしいアプローチとしては 消費者の視点だけでなく 販売者 売り手にも着目したところがよい コンビニエンスストアの経営という立場から店舗の立地や販売の工夫 消費者のニーズなどを考える学習とも共通するといった意見もあった さらに 効率 と 公正 という観点から考えることも必要ではないかという意見もあった 家庭科では 家族や家庭生活の観点から商品の購入や意思決定について考える実践が行われており 持続可能な社会 や 消費者市民 という考え方も取り入れた実践も行われるようになってきている 家庭科での取組との違いも意識しながら 今回のモデル授業のように 社会科においても生徒に身近な消費生活に関わる話題 問題を取り上げた実践研究が充実していくことを期待したい 12