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Microsoft Word - 第10回消費税分科会資料税1-1(1月6日段階暫定)④

Microsoft PowerPoint  税-1(平成28年度補てん状況把握)

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Microsoft PowerPoint - ①総-1 税-1 251110課税経費率等の計算について

Microsoft PowerPoint - (参考資料1)介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について

社会保険診療報酬の所得計算の特例措置の概要 概要 医業又は歯科医業を営む個人及び医療法人が 年間の社会保険診療報酬が 5,000 万円以下であるときは 当該社会保険診療に係る実際経費にかかわらず 当該社会保険診療報酬を 4 段階の階層に区分し 各階層の金額に所定の割合を乗じた金額の合計額を社会保険診

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入院時生活療養費の見直し内容について(厚生労働省保険局保険課:H29.4.7)

要望の優先順位上位三項目 1 社会保険診療報酬及び介護保険介護報酬に係る非課税制度を見直し 医療機関や介護施設が控除対象外消費税を負担しない仕組みを構築すること 平成 26 年 4 月の消費税増税により病院の控除対象外消費税の負担が増えており ( 消費税 5% 時の推計値でも4,955 億円に達する

1. 消費税の仕組みについて 1 1. 消費税とは 消費税は 消費に広く公平に負担を求める間接税 消費税の課税対象は 国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡 貸付け及び役務の提供と外国貨物の輸入 < 導入 引上げの経緯 > 平成元年 4 月 1 日消費税導入 ( 税率 3%) 平成

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

(0830時点)PR版

平成30年度税制改正要望

3 電子情報処理組織の使用による請求又は光ディスク等を用いた請求により療養の給付費等の請求を行うこと ( 以下 レセプト電子請求 という ) が義務付けられた保険医療機関 ( 正当な理由を有する400 床未満の病院及び診療所を除く なお 400 床未満の病院にあっては 平成 27 年度末までに限る

スライド 1

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

に 正当な理由がない限り無償で交付しなければならないものであるとともに 交付が義務付けられている領収証は 指定訪問看護の費用額算定表における訪問看護基本療養費 訪問看護管理療養費 訪問看護情報提供療養費及び訪問看護ターミナルケア療養費の別に金額の内訳の分かるものとし 別紙様式 4を標準とするものであ

○○○の課題と検討

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になる これが 控除対象外消費税 です 控除 引き算できない税金のことです この仕入れに払う消費税そのものを損税といっている人たちがいますが それは損税ではありません あくまでも 損税が発生する理由は 仕入れに払った消費税を控除できないという制度にあるのが本質なのです 消費税についての医師会の考え方

2 営悪化を招くことになる 2.消費税の申告等の状況多くの農業者が売上一千万円以下であり 他業種に比べ 免税事業者が多くなっている 農業者は 他業種に比べ 税務申告割合が低く 納税 税務申告に不慣れといえる 特に 消費税については 所得税に比べ対応している農業者が少なく 事務負担が増す懸念から 有利

平成15年度税制改正要望書案

2018年8月改定対応(高額療養費制度の見直し)

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スライド 1

平成23年度税制改正要望

2 3

つのシナリオにおける社会保障給付費の超長期見通し ( マクロ ) (GDP 比 %) 年金 医療 介護の社会保障給付費合計 現行制度に即して社会保障給付の将来を推計 生産性 ( 実質賃金 ) 人口の規模や構成によって将来像 (1 人当たりや GDP 比 ) が違ってくる

公益法人の寄附金税制について

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

の病床数及び新たに併設する介護保険施設の入所定員 ( 病院から転換した病床 ( 以下 転換病床 という ) を活用するものに限る ) の合計が転換前の病院の病床数以下である場合には 実態として 転換後の施設 ( 病院と介護保険施設を併せた全体をいう 以下同じ ) 全体の医療提供の内容は 転換前の病院

平成19年度分から

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

第3回税制調査会 総3-2

医療機関等の消費税負担問題の解決に向けて

PowerPoint プレゼンテーション

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

2 院内処方 ( 入院外 投薬 ) 及び院外処方 ( 薬局調剤 ) における薬剤点数薬剤点数階級別件数の構成割合を入院外の投薬 ( 以下 院内処方 という ) 薬局調剤( 以下 院外処方 という ) 別にみると ともに 500 点未満 が最も多く それぞれ 67.0% 59.4% となっている また

国民健康保険税率等の諮問 について 国立市健康福祉部健康増進課国民健康保険係 国立市富士見台 : ( 代表 ) 内線

正誤表 正誤箇所 誤 正 医科 - 基本診療料 -35/47 注 3 診療に係る費用 ( 注 2 及び注 4に規定する加算 注 3 診療に係る費用 ( 注 2 及び注 4に規定する加算 注の見直し 当該患者に対して行った第 2 章第 1 部医学管理等の 当該患者に対して行った第 2 章第 1 部医学

平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

2. 改正の趣旨 背景の等控除は 給与所得控除とは異なり収入が増加しても控除額に上限はなく 年金以外の所得がいくら高くても年金のみで暮らす者と同じ額の控除が受けられるなど 高所得の年金所得者にとって手厚い仕組みとなっている また に係る税制について諸外国は 基本的に 拠出段階 給付段階のいずれかで課

Microsoft Word - 個人住民税について(2018~2022)

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

平成18年度地方税制改正(案)について

体制強化加算の施設基準にて 社会福祉士については 退院調整に関する 3 年以上の経験を有する者 であること とあるが この経験は 一般病棟等での退院調整の経験でもよいのか ( 疑義解釈その 1 問 49: 平成 26 年 3 月 31 日 ) ( 答 ) よい 体制強化加算の施設基準にて 当該病棟に

PowerPoint プレゼンテーション

15 18 定率減税の縮減 (15% 控除 7.5% 控除 (2 万円上限 )) 資本金等の額 ( 税法に規定する資本金等の額又は連結個別資本金等の額 ) が 50 億円超 800,000 円 10 億円超 50 億円以下 540,000 円 1 億円超 10 億円以下 130,000 円 1 千万

の病床数及び新たに併設する介護保険施設の入所定員 ( 病院から転換した病床 ( 以下 転換病床 という ) を活用するものに限る ) の合計が転換前の病院の病床数以下である場合には 実態として 転換後の施設 ( 病院と介護保険施設を併せた全体をいう 以下同じ ) 全体の医療提供の内容は 転換前の病院

主張2-①-(1)

平成 27 年 6 月 平成 28 年度予算 税制改正要望 目 次 公益社団法人日本薬剤師会 平成 28 年度予算に関する要望事項 1. 公平な診療報酬 調剤報酬の改定 ( 医科 1: 調剤 0.3) 1 2. かかりつけ薬局機能の充実 強化 1 3. 地域包括ケアシステムにおける薬局 薬剤師の活用

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

EU

1 各調整方式の比較 前提 : 法人実効税率 % 金融所得の税率 20% ( 配当軽課の場合の配当分の法人税率は 30%) 比較のポイント 適用税率 法人税率か所得税率か 金融所得課税一元化にマッチするか( 税率 損益通算 ) 簡素な制度か 特定口座への対応はか 法人の税負担は軽減されるか

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県医労.indd

新規文書1

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

Q1 法人事業税の負担変動の軽減措置とは どのような制度ですか? A. 平成 27 年度税制改正により導入された 外形標準課税の拡大 ( 所得割の税率引き下げ及び付加価値割 資本割の税率引き上げ ) によって生じる税負担の変動の影響を緩和する措置で 付加価値額が一定以下の法人を対象に税負担の増加につ

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平成23年度税制改正の主要項目

税制について

第5回基礎問題小委員会 礎5-4

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3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

長野県観光地の概要

2018年8月改定対応(高額療養費制度の見直し)(第二版)

第2回税制調査会 総2-2

PowerPoint プレゼンテーション

平成19年度税制改正.xls

税制改正を踏まえた生前贈与方法の検討<訂正版>

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

私たちの人生 病気やケガのリスクと 経済的影響は? 50 ( 千人 ) 1, 通院入院 ( 歳 )

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○国民健康保険税について

られる 日本でも消費税に飲食料品に対する軽減税率を導入する方向で作業が進んでいることから 将来的に日本でもゼロ税率が導入される道が開かれつつあると言えるかもしれない 非課税措置については 日本の消費税では図表 1のように分類されている 一般に 非課税措置が導入されるケースは 技術的に消費税を課税でき

研究開発投資にかかる政府目標 安倍政権が 新 3 本の矢 の 1 つとして掲げた 2020 年頃の名目 GDP600 兆円達成 の目標や 日本再興戦略 2016( 閣議決定 ) 等に基づく 今後 5 年間での民間企業の研究開発投資の対 GDP 比 3% 目標の達成には 民間企業の研究開発投資を年平均

「公的年金からの特別徴収《Q&A

( 図表 1) 平成 28 年度医療法人の事業収益の分布 ( 図表 2) 平成 28 年度医療法人の従事者数の分布 25.4% 27.3% 15.8% 11.2% 5.9% n=961 n=961 n= % 18.6% 18.5% 18.9% 14.4% 11.6% 8.1% 資料出所

平成19年度市民税のしおり

別紙2

Microsoft Word 役立つ情報_税知識_.doc

「個人投資家の証券投資に関する意識調査」の結果について

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除額の変遷 1 昭和 49 年産業構造が転換し会社員が急速に増加 ( 働き方が変化 ) する中 (1) 実際の勤務関連経費が給与所得控除を上回っても 当時は特定支出控除 ( 昭和 63 年導入 ) がなく 会社員は実際の勤務関連経費がいくら高くても実額控除できなかった

< 現行 > 対象者医療区分 Ⅰ(Ⅱ Ⅲ 以外の者 ) 1 * 医療の必要性の低い者医療区分 Ⅱ Ⅲ 1 2 * 医療の必要性の高い者 ( 指定難病患者を除く ) 3 指定難病患者 2 生活療養標準負担額のうちにかかる部分 1 日につき32 1 日につき 1 日につき < 見直し後 > 対象者医療区

2015年1月改定対応(難病・小児慢性対応)

Ⅱ. 赤字の解消計画 Ⅱ (1) 赤字解消のための基本方針 Ⅱ (2) 赤字解消のための具体的取組 国保は構造的な問題を抱えており 被保険者の保険料負担軽減のために法定外繰入金を繰入れているといった状況は 全国的な状況であることから 国は全国で約 3,400 億円の公費を拡充し 国保の財政基盤の強化

Microsoft Word - 個人住民税について

はしがき 配偶者控除 と 配偶者特別控除 は 昭和 36 年と昭和 62 年の税制改正で導入された歴史ある制度です ここ数年 配偶者控除の改正について様々な議論が行われてきましたが 平成 29 年度税制改正において 就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築する観点から配偶者控除と配偶者特別控除の見直し

個人市民税 控除・税率等の変遷【市民税課】

TKC医業経営指標に基づく経営動態分析

3 ページ 4 ページ 5 ページ 5 6 ページ 7 ページ 8 ページ 8 ページ 9 ページ 10 ページ 2

( 参考 ) 平成 29 年度予算編成にあたっての財務大臣 厚生労働大臣の合意事項 ( 平成 29 年 12 月 19 日大臣折衝事項の別紙 ) < 医療制度改革 > 別紙 (1) 高額療養費制度の見直し 1 現役並み所得者 - 外来上限特例の上限額を 44,400 円から 57,600 円に引き上

平成 24 年度国民健康保険税税率改定案 1 医療保険分 ( 基礎課税額 ) 現行 改定 増減 伸率 所得割額 4.30 % 4.63 % % 資産割額 % 9.80 % % 税率等 均等割額 17,100 円 18,000 円 900 円 5.3%

目 次 < 子ども 子育て > 1 < 健康 医療 > 2 < 医療保険 > 4 < 介護 > 4 < 雇用 > 5 < 年金 > 5 < 生活衛生 > 5 < その他 > 7 * 印を付している項目は他省庁が主管で要望をしている項目

Microsoft PowerPoint - 7.【資料3】国民健康保険料(税)の賦課(課税)限度額について

Transcription:

第 9 回国民医療推進協議会総会 医療の消費税問題と 日本医師会の考え方 平成 25 年 10 月 23 日公益社団法人日本医師会 Satoshi Imamura

医療の消費税問題と日本医師会の考え方 - 地域医療の継続を支える税制の実現を求めますー Ⅰ 社会保険診療と消費税問題 Ⅱ 簡易課税制度に関する要望 1

Ⅰ 社会保険診療と消費税問題 2

控除対象外消費税とは 社会保険診療は非課税なので 患者から消費税をいただかない しかし 社会保険診療を行なうための設備や医薬品などの仕入れには 消費税がかかる 仕入れにかかった消費税 自由診療に要したもの 社会保険診療に要したもの 課税 非課税 税を納めるときに控除される 税を納めるときに控除されない 控除対象外消費税 医療機関の負担はない 医療機関の負担が発生 3

非課税取引消費税の性格から課税対象とすることになじまないもの 土地の譲渡 貸付など 有価証券 支払手段の譲渡など他社会政策的な配慮に基づくもの社会保険診療など助産埋葬料 火葬料一定の学校の授業料など教科書の譲渡住宅の貸付け他 公定価格公定価格ではないため 個々の事業者は 消費税負担を消費者に 転嫁 しうる価格設定可能4

社会保険診療に係る消費税非課税制度の主な問題点 患者 国民の視点から 1. 非課税でありながら 患者 国民 保険者にも一定の消費税負担が 目に見えないかたちで生じている 2. 税の補填に保険料を使うことは不合理 5

社会保険診療に係る消費税非課税制度の主な問題点 医療機関の視点から (1) 消費税分上乗せのマクロ的な補填不足 (2) 医療機関による仕入構成の違いに対応できない (3) 診療報酬本体部分について 一部の項目にしか消費税分上乗せがなされていない (4) 薬価については 理論的には補填されているが 実際の仕入価格の格差による不公平が生じている 6

控除対象外消費税 負担の現状 5% 4% 社会保険診療収入に占める控除対象外消費税の割合 ( 平成 21 年度 ) 3% 2% 2.6% 2.5% 2.2% 2.3% 1.9% 1% 0% 私立医科大学病院 (29 大学 82 病院 ) 国立病院機構 (145 病院 ) 全国厚生農業協同組合連合会 (35 厚生連 115 病院他 1) 社会福祉法人恩賜財団済生会 (81 病院 ) 医師会病院 (51 病院 ) 私立医科大学病院 国立病院機構 全国厚生農業協同組合連合会 社会福祉法人恩賜財団済生会 医師会病院 1 病院当り控除対象外消費税 ( 百万円 ) 392 128 125 ( 2) 128 45 1 病院の他 66 診療所 328 介護保険実施施設を含む 2 関連する診療所及び介護保険実施施設分を含む 7

日本医師会の調査では 社会保険診療等報酬の 2.2% に相当する控除対象外消費税が発生している (%) 5.0 社会保険診療等収益に占める控除対象外消費税の負担割合社会保険診療等収入に占める控除対象外消費税の割合 病院 診療所別 病院 診療所別 4.0 H18 年度 H19 年度 3.0 2.0 2.2 2.2 2.1 2.2 2.1 2.2 2.0 2.2 1.0 0.0 全体 (1207/1138) 無床診療所 (584/542) 有床診療所 (158/127) 病院 (460/463) * 横軸 ( ) 内の数字は医療機関数 (H18 年度 /H19 年度 ) 全体には病院 診療所の別が無回答の客体を含む 日医総研消費税の実態調査より 8

病床規模が大きい病院ほど 負担割合がやや高くなる (%) 5.0 4.0 社会保険診療等収益に占める控除対象外消費税の負担割合社会保険診療等収入に占める控除対象外消費税の割合 病院 病床規模別 H18 年度 H19 年度 3.0 2.0 1.9 2.0 2.1 2.2 2.2 1.9 2.0 2.4 3.0 2.6 1.0 0.0 20~100 床 (88/86) 101~300 床 (198/201) 301~500 床 (102/102) 501~700 床 (48/50) 700 床以上 (17/17) * 横軸 ( ) 内の数字は医療機関数 (H18 年度 /H19 年度 ) 日医総研消費税の実態調査より 9

仕入に係る消費税の負担は医療機関によって異なる 総収入対課税仕入の比率の分布 (N=1207) (H18 年度 ) 400 319 336 平均 44.3% 医療機関数 300 200 258 132 100 0 2 64 10% 未満 10% 以上 20% 未満 20% 以上 30% 未満 30% 以上 40% 未満 40% 以上 50% 未満 50% 以上 60% 未満 44 60% 以上 70% 未満 18 70% 以上 80% 未満 9 6 80% 以上 90% 未満 90% 以上 100% 未満 19 100% 以上 総収入対課税仕入の比率 ( 課税仕入 総収入 ) 医療機関の費用構造は多様であり 上記比率が50% 以上の施設が2 割近く存在し 100% 以上の施設もみられる こうした個別性を考慮した仕組みが必要 日医総研消費税の実態調査より 10

控除対象外消費税に対する現行の対応 平成元年診療報酬改定 改定率 ( 全体 ):0.76% 平成 9 年診療報酬改定 改定率 ( 全体 ):0.77% 診療報酬 ( 本体 ) :0.11% 診療報酬 ( 本体 ) :0.32% 薬 価 :0.65% 薬 価 :0.40% 特定保険医療材料 :0.05% 合計 1.53% 上乗せ 11

( 参考 ) 診療報酬点数の改定経緯 1 平成元年消費税導入時の上乗せ改定項目 平成元年 平成 24 年 上乗せ上乗せ後の点数点数 1 血液化学検査 5 項目以上 7 項目以下 (+5) 195 93 2 8 項目又は9 項目 (+5) 245 102 3 感染症血清反応 抗ストレプトリジン0 価 (ASO 価 ) (+5) 35 * 15 4 血漿蛋白免疫学的検査 C 反応性蛋白 ( 定性 ) (+5) 40 * 16 5 C 反応性蛋白 ( 定量 ) (+5) 50 * 16 6 細菌薬剤感受性検査 3 系統薬剤以下 (+5) 145 算定方法変更 7 点滴回路加算 (+1) 15 包括化 8 中心静脈注射回路加算 (+1) 15 包括化 9 人工腎臓食事給与加算 (+1) 61 項目廃止 10 精神科テ イ ケア及び精神科ナイト ケア食事給与加算 (+1) 46 包括化 11 基準寝具加算 (+1) 15 包括化 12 給食料 (+1) 136 包括化 ( 老人 ) 老人保健施設入所者基本療養費 (+660 円 ) 210,660 円 介護保険へ * 平成 2 年の改定でマイナスされた項目 12

控除対象外消費税の実態 医療機関の控除対象外消費税 - 社会保険診療等収益に占める負担割合 - (H19 年度 N=1138) 医薬品 材料から生じる部分 1.12% その他 0.74% 設備投資から生じる部分 0.35% 2.2% 過去に診療報酬で補てんしたとされている部分 薬価 特定保険医療材料 1.1% 診療報酬本体 0.43% 0.67% 1.53% 保険料 本人負担 公費で負担 医療機関が負担 * 控除対象外消費税は 法人税 所得税の損金 必要経費に算入可能で その分だけ法人税 所得税を軽減可 しかし 法人税非課税の学校法人や赤字が継続する法人等については その効果はない 13

日本医師会税制改正要望 社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度を 仕入税額控除が可能な課税制度に改めること その際 ゼロ税率 軽減税率を適用するなど患者負担を増やさない制度に改善 日本歯科医師会 日本薬剤師会なども同様の趣旨を要望 14

消費税率 8% 引き上げ時の要望 改正法において 消費税率 8% 引き上げ時に 医療保険制度の中で手当することとされている この手当については 消費税負担の検証結果に基き 通常の診療報酬改定とは別立てで 消費税増収による財源で行い 従前 ( 特定の項目に偏った上乗せ ) とは異なる適切な上乗せ方法による改善を要望 15

消費税率 10% 引き上げ時の要望 患者負担 国民負担 保険者負担を増やすことなく 仕入税額控除が可能となるゼロ税率などによる課税制度の実現を要望 食料品など生活必需品に対する軽減税率とは 政策目的を異にすることから 分けて検討すべき 16

Ⅱ 簡易課税制度に関する要望 17

日本医師会税制改正要望 消費税の簡易課税制度は中小医療機関の事務負担軽減措置として必要不可欠であることから その見直しは慎重に行うこと 趣旨 消費税の簡易課税制度は 中小事業者の事務負担軽減措置として設けられた制度のひとつであり 中小医療機関にとっても極めて必要性の高い制度です そこで 消費税の簡易課税制度は中小医療機関の事務負担軽減措置として必要不可欠であることから その見直しは慎重に行うことを要望します 18