( 様式乙 8) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 米田博 藤原眞也 副査副査 教授教授 黒岩敏彦千原精志郎 副査 教授 佐浦隆一 主論文題名 Anhedonia in Japanese patients with Parkinson s disease ( 日本人パー

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( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

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( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

様式 3 論文内容の要旨 氏名 ( 神﨑光子 ) 論文題名 周産期における家族機能が母親の抑うつ 育児自己効力感 育児関連のストレス反応に及ぼす影響 論文内容の要旨 緒言 女性にとって周産期は 妊娠 分娩 産褥各期の身体的変化だけでなく 心理的 社会的にも変化が著しいため うつ病を中心とした気分障害

PowerPoint プレゼンテーション

( 様式甲 5) 氏 名 渡辺綾子 ( ふりがな ) ( わたなべあやこ ) 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学位授与番号 甲 第 号 学位審査年月日 平成 27 年 7 月 8 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 学位論文題名 Fibrates protect again

東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst


のつながりは重要であると考える 最近の研究では不眠と抑うつや倦怠感などは互いに関連し, 同時に発現する症状, つまりクラスターとして捉え, 不眠のみならず抑うつや倦怠感へ総合的に介入することで不眠を軽減することが期待されている このようなことから睡眠障害と密接に関わりをもつ患者の身体的 QOL( 痛

関係があると報告もされており 卵巣明細胞腺癌において PI3K 経路は非常に重要であると考えられる PI3K 経路が活性化すると mtor ならびに HIF-1αが活性化することが知られている HIF-1αは様々な癌種における薬理学的な標的の一つであるが 卵巣癌においても同様である そこで 本研究で

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

<4D F736F F F696E74202D AAE90AC94C5817A835F C581698FE39E8A90E690B6816A2E >

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

研究の背景社会生活を送る上では 衝動的な行動や不必要な行動を抑制できることがとても重要です ところが注意欠陥多動性障害やパーキンソン病などの精神 神経疾患をもつ患者さんの多くでは この行動抑制の能力が低下しています これまでの先行研究により 行動抑制では 脳の中の前頭前野や大脳基底核と呼ばれる領域が

千葉テストセンター発行 心理検査カタログ


学位論文審査結果報告書

4氏 すずき 名鈴木理恵 り 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位授与年月日平成 24 年 3 月 27 日学位授与の条件学位規則第 4 条第 1 項研究科専攻東北大学大学院医学系研究科 ( 博士課程 ) 医科学専攻 学位論文題目 esterase 染色および myxovirus A 免疫組織化学染色

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり

( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 薬学 ) 氏名 大西正俊 論文題目 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 脳内出血は 高血圧などの原因により脳血管が破綻し 脳実質へ出血した病態をいう 漏出する血液中の種々の因子の中でも 血液凝固に関

( 様式甲 5) 氏 名 忌部 尚 ( ふりがな ) ( いんべひさし ) 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学位授与番号 甲第 号 学位審査年月日 平成 29 年 1 月 11 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 Benifuuki green tea, containin

幻覚が特徴的であるが 統合失調症と異なる点として 年齢 幻覚がある程度理解可能 幻覚に対して淡々としている等の点が挙げられる 幻視について 自ら話さないこともある ときにパーキンソン様の症状を認めるが tremor がはっきりせず 手首 肘などの固縮が目立つこともある 抑うつ症状を 3~4 割くらい

助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のた

機能分類や左室駆出率, 脳性ナトリウム利尿ペプチド (Brain Natriuretic peptide, BNP) などの心不全重症度とは独立した死亡や入院の予測因子であることが多くの研究で示されているものの, このような関連が示されなかったものもある. これらは, 抑うつと心不全重症度との密接な

QOL) を向上させる支援に目を向けることが必要になると考えられる それには統合失調症患者の生活の質に対する思いや考えを理解し, その意向を汲みながら, 具体的な支援を考えなければならない また, そのような背景のもと, 精神医療や精神保健福祉の領域において統合失調症患者の QOL 向上を目的とした

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http

(1) ビフィズス菌および乳酸桿菌の菌数とうつ病リスク被験者の便を採取して ビフィズス菌と乳酸桿菌 ( ラクトバチルス ) の菌量を 16S rrna 遺伝子の逆転写定量的 PCR 法によって測定し比較しました 菌数の測定はそれぞれの検体が患者のものか健常者のものかについて測定者に知らされない状態で

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

study のデータベースを使用した このデータベースには 2010 年 1 月から 2011 年 12 月に PCI を施行された 1918 人が登録された 研究の目的から考えて PCI 中にショックとなった症例は除外した 複数回 PCI を施行された場合は初回の PCI のみをデータとして用いた

15 氏 名 し志 だ田 よう陽 すけ介 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 632 号平成 26 年 3 月 5 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 腫瘍外科学 ) 学位論文題目 Clinicopathological features of serrate

論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お

第四問 : パーキンソン病で問題となる運動障害の症状について 以下の ( 言葉を記入してください ) に当てはまる 症状 特徴 手や足がふるえる パーキンソン病において最初に気づくことの多い症状 筋肉がこわばる( 筋肉が固くなる ) 関節を動かすと 歯車のように カクカク と軋む 全ての動きが遅くな

統合失調症発症に強い影響を及ぼす遺伝子変異を,神経発達関連遺伝子のNDE1内に同定した

博士学位論文 内容の要旨および審査結果の要旨 2018 年度中部学院大学 氏名 ( 本籍 ) 小川征利 ( 岐阜県 ) 学位の種類 博士 ( 社会福祉学 ) 学位授与の日付 2019 年 3 月 21 日 学位番号 甲第 8 号 学位授与の要件 中部学院大学学位規則第 4 条の規定による 学位論文題

( 続紙 1) 京都大学博士 ( 教育学 ) 氏名小山内秀和 論文題目 物語世界への没入体験 - 測定ツールの開発と読解における役割 - ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 読者が物語世界に没入する体験を明らかにする測定ツールを開発し, 読解における役割を実証的に解明した認知心理学的研究である 8

中カテゴリー 77 小カテゴリーが抽出された この6 大カテゴリーを 地域包括支援センター保健師のコンピテンシーの構成概念とした Ⅲ. 地域包括支援センター保健師のコンピテンシーリストの開発 ( 研究 2) 1. 研究目的研究 1の構成概念をもとに 地域包括支援センター保健師のコンピテンシーリストを

満 ) 測定系はすでに自動化されている これまで GA を用いた研究は 日本 中華人民共和国 (PRC) および米国で実施され GA 値が糖尿病の診断に有用という結果が日本とアメリカで報告された 本研究ではその普遍性を追求するため 台湾人での検討を行った 同時に台湾における GA の基準範囲を新規に

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博士学位申請論文内容の要旨

神奈川県歴史資料所在目録

氏 名 下村 淳子 学位の種類 博士 ( 健康科学 ) 学位記番号 甲第 2 号 学位授与年月日 平成 26 年 3 月 31 日 学位授与の要件 学位規則第 3 条第 2 項該当 学位論文題目 Study on the risk factors of injuries resulting in h

学位論文名 :Relationship between cortex and pulvinar abnormalities on diffusion-weighted imaging in status epilepticus ( てんかん重積における MRI 拡散強調画像の高信号 - 大脳皮質と視

時間がかかる.DOSS は妥当性が検証されておらず, 更に評価に嚥下造影検査が必要である. FOSS や NOMS は信頼性と妥当性が評価されていない.FOIS は 7 段階からなる観察による評価尺度で, 患者に負担が無く信頼性や妥当性も検証されている. 日本では Food Intake LEVEL

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

博士学位請求論文 審査報告書 2017 年 12 月 28 日 審査委員 ( 主査 ) 経営学部専任教授 氏名鈴木研一印 ( 副査 ) 経営学部専任教授 氏名森久印 ( 副査 ) 経営学部専任教授 氏名大倉学印 1 論文提出者細田雅洋 2 論文題名企業の社会的責任の遂行を促進するためのマネジメント

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図 3 エビデンスプロファイル

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

別添 1 抗不安薬 睡眠薬の処方実態についての報告 平成 23 年 11 月 1 日厚生労働省社会 援護局障害保健福祉部精神 障害保健課 平成 22 年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 向精神薬の処方実態に関する国内外の比較研究 ( 研究代表者 : 中川敦夫国立精神 神経医療研究センタートラン

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在学生向け 大学院生 平成 31 年度 < 社会人大学院生対象 > 長期履修の申請について 本学では 社会人の大学院生の様々な学習需要に対応するために 長期履修制度 を導入しています この制度は 標準の修業年限を超えて計画的に教育課程を履修し修了することにより学位を取得することができる制度です 対象

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

博士の学位論文審査結果の要旨

Wnt3 positively and negatively regu Title differentiation of human periodonta Author(s) 吉澤, 佑世 Journal, (): - URL Rig

ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際

インプラント周囲炎を惹起してから 1 ヶ月毎に 4 ヶ月間 放射線学的周囲骨レベル probing depth clinical attachment level modified gingival index を測定した 実験 2: インプラント周囲炎の進行状況の評価結紮線によってインプラント周囲

平成14年度研究報告

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( 続紙 1) 京都大学博士 ( 教育学 ) 氏名田村綾菜 論文題目 児童の謝罪と罪悪感の認知に関する発達的研究 ( 論文内容の要旨 ) 本論文は 児童 ( 小学生 ) の対人葛藤場面における謝罪の認知について 罪悪感との関連を中心に 加害者と被害者という2つの立場から発達的変化を検討した 本論文は

SHAPS YJEXPANDS 2SHAPS YJEXPANDS 2 3SHAPS YJEXPANDS 2 Depression Inventory DSM DSMR Montgomery Åsberg Depression Rating

対象と方法 本研究は 大阪医科大学倫理委員会で承認を受け 対象患者から同意を得た 対象は ASA 分類 1 もしくは 2 の下肢人工関節置換術が予定された患者で 術前に DVT の存在しない THA64 例 TKA80 例とした DVT の評価は 下肢静脈エコーを用いて 術前 術 3 日後 術 7

背景 急性大動脈解離は致死的な疾患である. 上行大動脈に解離を伴っている急性大動脈解離 Stanford A 型は発症後の致死率が高く, それ故診断後に緊急手術を施行することが一般的であり, 方針として確立されている. 一方上行大動脈に解離を伴わない急性大動脈解離 Stanford B 型の治療方法

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日本皮膚科学会雑誌第117巻第14号

4. 発表内容 : 研究の背景 イヌに お手 を新しく教える場合 お手 ができた時に餌を与えるとイヌはまた お手 をして餌をもらおうとする このように動物が行動を起こした直後に報酬 ( 餌 ) を与えると そ の行動が強化され 繰り返し行動するようになる ( 図 1 左 ) このことは 100 年以

血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 に関する説明書 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター 所属長衞藤義勝 この説明書は 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 の内容について説明したものです この研究についてご理解 ご賛同いただける場合は, 被

はしがき これは学位規程 ( 平成 25 年文部科学省令第 5 号 ) 第 8 条による公表を 目的として 平成 28 年 3 月 15 日に本学において博士の学位を授与した 者の論文内容の要旨及び論文審査の結果の要旨を収録したものである

研究成果報告書

博士学位申請論文内容の要旨

研究計画書

京都大学博士 ( 工学 ) 氏名宮口克一 論文題目 塩素固定化材を用いた断面修復材と犠牲陽極材を併用した断面修復工法の鉄筋防食性能に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 塩害を受けたコンクリート構造物の対策として一般的な対策のひとつである, 断面修復工法を検討の対象とし, その耐久性をより

Title 思春期男子の身体化と心理療法 - 主体の確立という視点から-( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 梅村, 高太郎 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

甲37号

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本研究の目的は, 方形回内筋の浅頭と深頭の形態と両頭への前骨間神経の神経支配のパターンを明らかにすることである < 対象と方法 > 本研究には東京医科歯科大学解剖実習体 26 体 46 側 ( 男性 7 名, 女性 19 名, 平均年齢 76.7 歳 ) を使用した 観察には実体顕微鏡を用いた 方形


平成18年度厚生労働科学研究費補助金(労働安全衛生総合研究事業)

氏名:野崎 律子 (のざきりつこ)

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スライド 1

高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

改訂内容 ( 部追加 改訂 部削除 ) ビ シフロール 錠, ミラペックス LA 錠 共通 改 訂 後 改 訂 前 2. 重要な基本的注意 2. 重要な基本的注意 (5) レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により 病的賭博 ( 個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず 持続的に

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題目(主題)

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TDM研究 Vol.26 No.2

化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典

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歯科医師と歯科衛生学生の回答を比較したが 各質問項目における群間の差の分析には クロス集計 カイ二乗検定 Mann-Whitney U 検定 Kruskal-Wallis 検定を用いた 項目間の関連性については Spearman の順位相関係数を用いた なお 本研究は 東京都歯科医師会の承認および東

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

学位論文要旨 牛白血病ウイルス感染牛における臨床免疫学的研究 - 細胞性免疫低下が及ぼす他の疾病発生について - C linical immunological studies on cows infected with bovine leukemia virus: Occurrence of ot

博 士 学 位 論 文

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Transcription:

( 様式乙 8) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 米田博 藤原眞也 副査副査 黒岩敏彦千原精志郎 副査 佐浦隆一 主論文題名 Anhedonia in Japanese patients with Parkinson s disease ( 日本人パーキンソン病患者における幸福感の喪失 ) 学位論文内容の要旨 目的 パーキンソン病 (PD) において 気分障害は非運動症状の中でも重要なものであり 運動症状とは独立して PD 患者の生活の質を低下させる PD 患者の多くはうつ関連症状を示すが 大うつ病を示すことは稀で PD の気分障害に対しては選択的セロトニン再取込み阻害薬の効果は不充分であるとの指摘もある このことは ドパミン神経回路の変性による気分障害が PD に特異的に起きている可能性を示唆する アンヘドニア ( 幸福感の喪失 ) は ドパミン報酬系回路の機能不全として注目され PD 独特の気分障害を引き起こす PD においては 4 つのドパミン神経回路のうち 中脳辺縁系回路 - 中脳の腹側被蓋野から側坐核や扁桃体などの大脳辺縁系のドパミン受容体 (D3 受容体 ) に投射するドパミン報酬系回路の変性がアンヘドニアを引き起こす しかし PD では早期にセロトニン神経核やノルアドレナリン神経核も障害されることが知られており PD の気分障害が何に起因するのかは議論 - 1 -

のあるところである また 日本人 PD 患者のアンヘドニアについて まとまった検討は未だなされていない そこで本研究では 日本人 PD 患者の hedonic tone について Snaith-Hamilton Pleasure Scale (SHAPS) を用いて検査し Self-Rating Questionnaire for Depression (SRQ-D) を用いて抑うつ気分との関連を検討すると共に 健常者群においても同様の調査を行い 比較検討した また PD 患者については hedonic tone と PD 治療薬の関連についても検討した 方法 100 人の日本人 PD 患者と 300 人の日本人健常者群 (C1 群 ) および C1 群から抽出された 111 人の PD 患者と年齢をマッチさせた健常者群 (C2 群 ) について SHAPS と SRQ-D によるアンヘドニアの出現頻度と抑うつ気分との関連について調査し 比較検討を行った 各々の診断基準に従い SHAPS 3 点をアンヘドニア SRQ-D = 11~15 点を possible depression SRQ-D 16 点を probable depression とし SHAPS = 0 を Normal hedonic tone (NHT) とした SHAPS については SHAPS を構成する 4 つの質問領域 ( 趣味 / 娯楽 感覚的経験 飲食 社会的相互影響 ) について PD 患者と健常者群で得点に違いがあるかどうか検討した また PD 患者において 各 PD 治療薬と hedonic tone との関連についても検討した 結果 C1 群の 3.3% C2 群の 2.7% がアンヘドニアを示し 全ては同時に possible / probable のうつであった PD 患者では 10%(10 人 ) がアンヘドニアを示し 46% がうつを示した PD 患者の hedonic tone の程度は 年齢 性別 ヤール重症度 罹病期間 運動日内変動の有無 L-ドーパに換算した薬剤量とは相関せず うつと相関した しかし アンヘドニアを呈した 10 人の PD 患者のうち 7 人はうつを伴ったが 3 人はうつを伴わなかった PD 患者の中で D3 ドパミン受容体に高い選択性を持つドパミンアゴニストであるプラミペキソール (PPX) の投与を受けている患者にはアンヘドニアは認め - 2 -

ず PPX 投与患者では 他の PD 治療薬の投与を受けている患者に比べて NHT を示している割合が最も高かった また PPX 投与患者と PPX 非投与患者を比べると 両者の SRQ-D の得点は同等であるが SHAPS の得点は前者で有意に低かった SHAPS の 4 つの質問領域について解析を行なうと PD 患者と C1 群 C2 群との間に 社会的相互影響に関した質問領域の得点に差がなかったが 趣味 / 娯楽 感覚的体験 飲食に関連した質問領域では PD 患者で hedonic tone が大きく減弱していた 考察 PD 患者では うつとアンヘドニアを示す頻度が健常者に比べて有意に高かった しかし アンヘドニアを示した 10 人の PD 患者のうち 3 人はうつを示さなかった また 辺縁系に高い分布を示す D3 受容体のアゴニストである PPX の投与を受けている患者では うつとアンヘドニアの相関関係はみられず hedonic tone を保っていた このことは アンヘドニアはうつと重複するかもしれないが PD 患者では 中脳辺縁系ドパミン報酬系回路の変性による気分障害が起きている可能性を示唆する 結論 PD 患者では うつを伴わないアンヘドニアを示すことがあり ドパミン神経回路の変性に起因する気分障害が PD で特異的に起きている可能性を示唆している PPX は PD 患者治療において hedonic tone を保持することができる - 3 -

( 様式乙 9) 審査結果の要旨および担当者 報告番号乙第号氏名藤原眞也 主査 米田博 論文審査担当者 副査副査 黒岩敏彦千原精志郎 副査 佐浦隆一 主論文題名 Anhedonia in Japanese patients with Parkinson s disease ( 日本人パーキンソン病患者における幸福感の喪失 ) 論文審査結果の要旨アンヘドニア ( 幸福感の喪失 ) が パーキンソン病 (PD) にみられるドパミン神経の機能不全による特異的な気分障害の症状として注目されている 本研究は PD 患者の hedonic tone を Snaith-Hamilton Pleasure Scale (SHAPS) を用いて検討すると共に Self-Rating Questionnaire for Depression (SRQ-D) により抑うつ気分との関連について検討した 本研究では 100 人の日本人 PD 患者と 300 人の健常者 (C1 群 ) および C1 群から PD 患者と年齢をマッチさせた 111 人の健常者 (C2 群 ) について アンヘドニアの頻度を比較すると共に PD 患者のアンヘドニアがうつと関連しているか否か また hedonic tone と各 PD 治療薬との関連について検討し 進行性神経難病である PD の治療戦略に役立てることを目的とした その結果 申請者は本研究において 1.PD 患者は健常者 (C2 群 ) に比べてアンヘドニアの頻度 うつの頻度共に有意に高かった PD 患者の hedonic tone の程度は 年齢 性別 ヤール重症度 - 4 -

罹病期間 運動日内変動の有無 L-ドーパに換算した薬剤量とは相関しなかった アンヘドニアを示した PD 患者 10 人のうち 3 人はうつを伴わなかった 2.PD 患者の中で 中脳辺縁系ドパミン神経回路 ( 報酬系回路 ) に高率に分布する D3 受容体に高い選択性を持つドパミンアゴニストであるプラミペキソール (PPX) で治療を受けている患者にはアンヘドニアを認めず 正常 hedonic tone を保持している割合が高かった PPX 投与患者と PPX 非投与患者を比べると 両者の SRQ-D の得点は同等であることから 抑うつ状態とは独立して hedonic tone に作用すると考えられた これらの結果から PD には中脳辺縁系ドパミン神経回路 ( 報酬系回路 ) の機能不全による特異的な気分障害の症状があり 治療薬として PPX の可能性が示された 以上により 本論文は本学学位規程第 3 条第 2 項に定めるところの博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認める ( 主論文公表誌 ) Geriatrics and Gerontology International 11(3): 275-281, 2011-5 -