Jpn. J. Clin. Immunol., 30 (2) 101~107 (2007) 2007 The Japan Society for Clinical Immunology 101 特集 Autoin ammatory syndrome の新たなる展開と治療法の確立総説 PFAPA の診断と治療村田卓士 1, 岡本奈美 1, 清水俊男 2, 玉井浩 1 Diagnosis and Management of Periodic fever with Aphtous Pharyngitis and Adenitis (PFAPA) Takuji MURATA 1,NamiOKAMOTO 1, Toshio SHIMIZU 2 and Hiroshi TAMAI 1 1 Department of Pediatrics, Osaka Medical College 2 Department of Pediatrics, Hanwa Sumiyoshi General Hospital (Received February 1, 2007) summary PFAPA is non-hereditary syndrome characterized by periodic episodes of high fever, aphthous stomatitis, pharyngitis and cervical adenitis. It manifests usually in early childhood, especially before 5 years of age, and last for several years. Its etiology is unknown, but some recent reports suggest a dysregulation of the immune response with continuous pro-in ammatory cytokine activation and a reduced anti-in ammatory response both during and between febrile attacks. The diagnosis is clinical and it is important to exclude other entities of similar presentation with periodic fever and orofacial manifestations. The ˆndings of laboratory are unspeciˆed and show only nonspeciˆc acute in ammatory response. Several treatments have been performed but with various results. Most ešective therapy for a fast resolution of the symptoms is one or two doses of oral prednisone, but its e cacy is not permanent. EŠectiveness of cimetidine and tonsillectomy in PFAPA is not clear as yet. PFAPA is a benign syndrome and the prognosis is better than other autoin- ammatory syndromes, because PFAPA patients grow normally and symptoms diminish within a few years. Key words PFAPA; Diagnosis; Management 抄 録 PFAPA 症候群とは, 周期性発熱, アフタ性口内炎, 頸部リンパ節炎, 咽頭炎を主症状とし 5 歳以下の乳幼児期に発症する非遺伝性自己炎症性疾患である. 病因, 病態は現在不明であるが, サイトカイン調節機能異常は重要な病態の一つと考えられる. 発熱発作の周期は規則的で通常 3~6 日間続くが, 間歇期は全く症状を欠き活動性も正常である. その他, 扁桃炎, 倦怠感, 頭痛, 関節痛, 腹痛, 嘔吐, 下痢, 咳, 血尿, 発疹など多彩な症状を呈するが, いずれも後遺症は残さない. 発熱時の非特異的炎症反応の他は特異的な検査所見はなく, 診断にあたっては他の発熱性疾患の鑑別を含めた臨床診断が重要である. 特異的な治療法はなく, 有熱期間の短縮効果としてステロイド薬, 寛解導入が期待できるものとしてシメチジンや扁桃摘出術などが考慮されることもあるが, 症例の集積および検討を要する. 他の autoin ammatory syndrome に比して予後は良好で, 多くの症例では発症後経時的に発作間隔は広がり 4~8 年程度で治癒, 成長および精神運動発達も正常である. 口腔内病変をともなう小児期の反復性不明熱においては, 本症を常に考慮する必要がある. I. はじめに PFAPA とは, 周期性発熱, アフタ性口内炎, 頸部リンパ節炎, 咽頭炎を主症状とし, 乳幼児期に発症する疾患である. 本疾患は 1987 年に Marshall らによって syndrome of periodic fever, pharyngitis, and aphthous stomatitis として初めて 12 例が報告 1 大阪医科大学小児科 2 阪和住吉総合病院小児科 され 1) 当初 Marshall 症候群 と呼ばれていたが, 1989 年 PFAPA として疾患群が提唱された 2). その後海外や本邦でも症例が散見されるようになり, 1999 年 Thomas らによって診断基準が確立され ( 表 1) 3) ), 近年認知されつつある非遺伝性自己炎症性疾患である. 本邦でも 2006 年までに約 20 例が報告されるようになった ( 医中誌から ). II. 疫学 ( 表 2) 発症頻度は不明である. 人種差があり, 地中海沿
102 日本臨床免疫学会会誌 (Vol. 30 No. 2) 岸中近東, ヨーロッパ, 米国白人からの報告が多いが, 米国黒人, ヒスパニックには比較的少ない. 遺伝性は認められず, 家族性地中海熱 (FMF) や他の自己免疫疾患の同胞例がまれに報告されているが 4,5), ほとんどの症例では特記すべき家族歴は有しない. 発症年齢のほとんどは 5 歳以下で本邦の平均発症年齢は 3.2 才, 成人発症はまれである 6). また, 発症に季節性は認めない. 表 1 PFAPA の診断基準 3) Ⅰ 5 歳までに発症する, 周期的に繰り返す発熱 Ⅱ 上気道炎症状を欠き, 次のうち少なくとも 1 つの臨床所見を有する a) アフタ性口内炎 b) 頸部リンパ節炎 c) 咽頭炎 Ⅲ 周期性好中球減少症を除外できる Ⅳ 間欠期には全く症状を示さない Ⅴ 正常な成長, 精神運動発達 III. 病因, 病態病因, 病態は現在不明で, 他の autoin ammatory syndrome に見られるような疾患遺伝子も同定されていない. 扁桃腺炎の合併などは, 発症のトリガーに感染症が関与している可能性を示唆し, 時に溶連菌が同定される症例もあるが直接の関与は否定的で, 一般に病原体は検出されない. アトピー素因や他の自己免疫疾患を合併する例がまれにあるが 5) 一般には認めない. 近年,PFAPA におけるサイトカイン調節機能の異常を示唆する報告が散見され 7~9), これらをまとめると, 発熱発作期には血清中 IL 6,IFN g,il 1b, IL 12p70 は高値を示し, これらは間歇期にも高値を示している. 発熱発作期にリンパ球 IFN g 産生能や CD8+T 細胞 IL 2 産生能が増加. 発熱発作期に TNF a は正常 ~ 上昇, 可溶性 TNF 表 2 PFAPA の主な症状, 徴候 本邦報告 (17 例 ) (~2006 年 ) Marshall ら 1) (12 例, 米国 ) Thomas ら 3) (83 例, 米国 ) Tasher ら 5) (54 例, イスラエル ) 性別 ( 男 ; 女 ) 8;9 7;5 52;42 33;21 発症年齢 3.2 才 (3 ヶ月 ~10 才 ) 5 才未満 2.8 才 (2.4~3.3) 1.9 才 (1~10 才 ) 患者背景 罹病間隔 24.2 日 (7~32.1) 4.5 週 (2~9 週 ) 28.2 日 (26.0~30.4) 4.5 週 (1~14 週 ) 発熱期間 4.8 日 (3~11) 4~5 日 3.8 日 (3.5~4.1) 4.5(1~14 日 ) 最高発熱 39.0 C(37.8~40) 40~41 C 40.5 C(40.4~40.6) 40.1 C(38.5~41.2) 倦怠感 100% 悪寒 90% 80% 61% 扁桃腺炎 25% 75% 口内炎 55% 75% 67% 39% 臨床症状 咽頭炎 50% 75% 65% 96% 頚部リンパ節炎 60% 67% 77% 61% 関節痛 / 筋痛 5% 8% 22% 頭痛 5% 83% 65% 46% 腹痛 5% 75% 45% 65% 関節痛 8% ステロイド薬 有効 ~ 著効 :100% 著効 著効 :76% 有効 治療 Cimetidine 有効 ~ 著効 > 無効有効 ~ 著効 :40% NSAID 無効無効有効 ~ 著効 :54% 扁桃摘出術有効 ~ 著効著効 :50~70% 著効 ibuprofen
村田 PFAPA の診断と治療 103 受容体は上昇, 間歇期には正常 ~ 低値. 血清中 IL 4 は時期を問わず低下傾向, 血清中 IL 2 10, 細胞中 IL 4 10 は正常. すなわち,PFAPA においては pro-in ammatory cytokine は活性化, anti-in ammatory cytokine は低下しており,Th1 type へシフトした免疫異常が示唆されている. また, 自然寛解すること, ステロイド薬が劇的に効くこと, 発作間歇期には無症状であること, これらが周期性であることなども含めると, サイトカイン調節機能の異常は本疾患の重要な病態の一つと考えられる. IV. 主な症状, 徴候 ( 表 2) 主たる症状は, 咽頭痛, 口腔潰瘍, 頸部リンパ節腫脹を伴う繰り返す発熱発作である. 1. 発熱発作 ( 図 1) 頻発症状である.39~40 C 以上の発熱が突然出現し, 通常 3~6 日間 ( 本邦平均 4.8 日 ) 続く. 間歇期は全く症状がなく活動性も正常であるが, 再び 3~8 数週間毎 ( 本邦平均 24.2 日 ) に同様の発作を繰り返す. 発熱周期には生理周期のような規則性が見られ (clockwork periodicity), 患児や家族にも発熱時期の予想がつくことすらある. 発熱は, 主に午後から夕刻にかけて見られる. 3. 頸部リンパ節炎 (lymphadenitis, lymphadenopathy) 左右対称性の圧痛をともなう非化膿性リンパ節炎が約 60% に見られる. 4. 咽頭痛 / 咽頭炎 60~90% の症例に認める. 発熱発作期には,70~90% の症例で 2)~4) のいずれか 1 つを訴えるが, 発症初期にはすべての症状は出揃わず, その後経年的に三症状すべてを伴う例が増える傾向にある. 発熱発作の 1~2 日前に先んじてこれらの症状が出現することもあり, 一般には解熱とともに速やかに消失するが, 解熱後も残存する例もある. 5. 扁桃炎 (cervical adenopathy, cervical adenitis, tonsillitis) 発赤, 中等度に腫脹した扁桃が発熱発作期の 50 ~75% に見られる. 滲出性扁桃炎を認めることもあ 2. 口腔病変, アフタ性口内炎頬粘膜または舌表面に散発あるいは多発し, 比較的大きな潰瘍性病変 ( 図 2, 自験例 ), あるいは周辺に紅斑を伴う小円形潰瘍病変 ( 図 3 10) ) など種々の口腔病変が認められる (50~70%). 疼痛は通常軽度で, 瘢痕を残さない. 図 2 舌辺縁 ~ 体部に大きな潰瘍を伴うアフタ性病変を認める. 図 1 PFAPA の典型的な臨床経過 図 3 舌前縁の小潰瘍性病変 6)
104 日本臨床免疫学会会誌 (Vol. 30 No. 2) る. なお, 反復性扁桃炎の診断にて扁桃摘出術を受けた小児の 20~30% が PFAPA であったとの報告もある 11). 6. 倦怠感発熱発作期には多くの例で悪寒, 食思不振, 生あくび, ぐったり感などを呈し, 重篤感がある. 7. 中枢神経症状頭痛を呈することがしばしばある. 無菌性脳炎の報告もまれにあるが 12), 重篤な中枢神経症状はまれである. 8. その他上記の頻度の高い随伴症状に加え, 関節痛, 腹痛, 嘔吐, 下痢, 咳, 血尿, 発疹など多彩な症状を呈する. なお, これらの症状の軽症例も存在する. なお, 呼吸器症状, 結膜炎やぶどう膜炎などの眼病変, 心血管系, 生殖器系病変などは一般に認めない. V. 診断 1. 臨床診断 PFAPA に特異的な臨床検査所見や画像診断はなく, 前記の診断基準を考慮しながら同様の症状を持つ疾患の鑑別, 除外を中心とした臨床診断が重要である ( 後記 ). 進などの炎症所反応が見られるが特異的なものはなく, これらは間歇期には全く正常となる. 異型リンパ球は見られず, 抗核抗体, リウマトイド因子などの自己抗体, 免疫複合体, 溶連菌関連抗体などはいずれも陰性である. アミロイドーシスの報告例もない. 血清 IgD 値は正常ないし軽度上昇するが, 他の免疫グロブリン値は正常である. その他補体価, 好中球機能, リンパ球亜分画, リンパ球幼弱化能など通常の感染症に対する一般免疫能は正常であり, 易感染性などは認めない. VI. 鑑別診断 10) ( 表 3) 他の口腔顔面症状を呈する autoin ammatory syndrome や, 周期性発熱を呈する感染症全てを鑑別する必要がある. 1. 周期性好中球減少症本症では発熱発作時に好中球減少症を認める, アフタ性口内炎がしばしば見られるなどの特徴があるが, )PFAPA に比してステロイド薬の有効性が低い, ) 発作の間隔は PFAPA より短い, ) 約 30% に遺伝性を認める, ) 好中球減少症は PFAPA では認めない, ) 好中球エラスターゼ遺伝子の変異は PFAPA では見られない, などの相違がある. 2. 臨床検査発熱時には, 好中球優位の白血球増多症, 赤沈亢 表 3 PFAPA と他の Autoin ammatory syndrome の鑑別 10) PFAPA FMF Hyper IgD sjia 周期性好中球減少症 ヘブライ熱 5 才以下の発症 多い まれ 多い 多い 多い まれ 発熱期間 4 日 2 日 4 日 30 日以上 3 日 数日 ~ 数週 発熱間隔 2~8 週 非周期的 非周期的 連日 18~24 日 非周期的 関連症状 アフタ性口内炎 有痛性胸膜炎 関節痛 発疹 咽頭炎 発疹 咽頭炎 有痛性腹膜炎 腹痛 全身性リンパ節腫脹 アフタ性口内炎 筋痛 扁桃炎 下痢 肝脾腫 細菌性全身感染症 関節炎 脾腫 関節炎 ( まれ ) 発疹 人種差 / 地域性なし地中海オランダ人なしなしアイルランド人 特異的検査所見なし遺伝子解析高 IgD 血症周期性好中球減少症なし 合併症 なし アミロイドーシスなし 対称性多関節炎 慢性歯肉炎, 歯牙喪失 腹腔臓器の穿孔 なし
村田 PFAPA の診断と治療 105 2. 他の周期性発熱症候群 1) 高 IgD 症候群 (HIDS) 本症では血清中 IgD 高値が特徴であるが,PFA- PA では正常 ~ 軽度上昇にとどまる. また,HIDS に見られる血清中 IgA の上昇, 尿中メバロン酸高値は PFAPA では見られない. また,PFAPA に比して発症が低年齢で (1 歳以下 ) 罹病期間も長期に及ぶ. 2) FMF 本症の 68% に口腔内アフタが見られるが, 遺伝性, 家族集積性があり, 腹痛などの消化器症状は PFAPA より重篤で, 罹病期間もはるかに長期に及ぶ.MEFV gene mutation は PFAPA では見られないが,MEFV gene(m694v) のヘテロ接合体を認める報告がある 13). コルヒチンに対して FMF はよく反応するが,PFAPA では反応不良である. 3) ヘブライ熱幼児期発症はまれ, 発熱は非周期的で数日 ~ 数週持続する. 人種はアイルランド人に多い傾向にある. 4) 若年性特発性関節炎 (JIA) 全身型 JIA(sJIA) と PFAPA との鑑別が重要となるが,sJIA では関節症状が高頻度で重篤である. さらに経過により拘縮を残すが,PFAPA では見られない. 5) TRAPS 本症では口腔内アフタはまれで, ステロイド薬は無効である. また,TNF-receptor gene mutation は PFAPA では見られない. 6) Muckle-Wells 症候群蕁麻疹, 進行性聾, アミロイドーシスを 3 兆候とし, 口腔 陰部潰瘍を合併することがあるが, PFAPA に比して治療無効例が多い. 7) familial cold autoin ammatory syndrome (FACS) 報告例がまれな遺伝性疾患である. 寒冷を発症の誘因とし, 発熱, 発疹, 関節症状など症状は多彩, 蕁麻疹は成人期に重篤で,PFAPA には見られない. 8) 炎症性腸疾患クローン病では口腔潰瘍は年余に渡って持続し, PFAPA がアフタ性であるのに対し線状を呈することが多い. また, クローン病では高熱はまれである. CARD15/NOD2 gene mutation はクローン病で頻度が高いが,PFAPA では同定されない 14). 9) 感染症マラリア,Borrelia, 単純ヘルペス, 慢性活動性 EB ウイルス感染症などの鑑別が重要である. 10) その他ベーチェット病, 習慣性扁桃腺炎など. VII. 治療現在では特異的な治療法はないが, 本来予後良好な疾患であるため, 発熱発作を抑制し, その期間を短縮させ QOL を保つのが治療の原則となる. 1. 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID) アスピリン, イブプロフェンなどの NSAID は, 多くの場合有効性は一過性ないしは無効例が多い (0~30%). 2. ステロイド薬内服薬の中では著効例の報告がもっとも多い (70 ~80%). 発熱発作初期に,1 回ないし 2 回の選択的投与 ( プレドニゾロン :1~2 mg/kg) で 12~24 時間以内に発熱発作は劇的に改善し, 早期に QOL を改善するとともに診断的価値も大きい. 一方, 有熱期間の短縮効果はあるが発熱の反復を抑えることは出来ず, また発作間隔が短縮した結果, 次の発熱発作が早く発来する, 発熱以外の臨床症状は残存する例も一部にあるなどの問題点がある. 3. シメチジン 1992 年,Feder らによってその有用性が報告された 15). シメチジンは T 細胞上の H2receptor 拮抗作用による suppressor T 細胞抑制,natural killer 細胞の活性化,macrophage や monocyte からの IL 12 の放出促進,natural killer 細胞活性の増強などの免疫調節作用を持つことが示唆されているが, PFAPA における作用機序は不明である. 有効性は 30% 程度であるが 3) 根治に誘導する可能性がある薬剤である.20~40 mg/kg または 150 mg 1~2/ 日が通常の投与法で, 予防的投与としても行われる. 4. 扁桃摘出術またはアデノイド切除術 tonsillectomy/adenoidectomy 内科的治療抵抗例には扁桃摘出術が行われることもある. 高い有効性や寛解率を示す報告が見られるが 64% 16), 再発例も見られる 17). 扁桃またはアデノイドの持つ抗原提示作用の除去が治療効果と考えられるが, その有効性や, 小児期の免疫能に与える影響などについてはさらなる検討が必要である.
106 日本臨床免疫学会会誌 (Vol. 30 No. 2) 5. サリドマイド近年その有効性を示す報告が見られ 18), 寛解に至らしめる可能性が示唆されている. 一方, 妊娠可能年齢者に対する投与には十分な注意が必要である. 6. コルヒチン使用例の報告があるが, 有効性は一過性である. 7. その他各種抗菌薬, アシクロビル, レセルピン, エストロゲン,g グロブリン, セファランチンなどを用いた報告があるが, 有効性は示されていない. VIII. 予後他の autoin ammatory syndrome に比して予後は良好で,4~8 年程度で治癒する. 多くの症例では発症後, 経時的に発作間隔は広がり, 随伴症状は軽微となり, 遂には症状を呈さなくなる. したがって, 通常成人になる前にほとんどの PFAPA は軽快し, 成長 発達障害を認めない. 間歇期には, 予防接種なども通常通り行える. 一方, まれに 17 年などの長期例や, 約 3 年の寛解の後に再燃した症例も報告されており 5), 今後本邦においても慎重な経過観察と症例の集積 検討が必要と思われる. IX. 自験例 5 歳, 男児. 正常分娩, 周産期異常なく運動 精神発達も正常. 周期性発熱を呈する家族歴はない. 3 歳時より 2 回 / 月の頻度で嘔気を伴った発熱が出現した. 発熱発作はほぼ同様の頻度で繰り返したが, 5 才時より発熱の 1~2 日前から舌辺縁 ~ 体部にかけてびらんが出現し, 解熱とともに消腿した. 発作時には輸液で水分管理を行いながら抗菌薬の投与を行うも, 効果は乏しかった. 発熱時, 理学的には舌の地図状のびらん ( 図 2), 軽度の咽頭発赤は認めるも扁桃肥大, 肝脾腫, リンパ節腫大などは認めなかった. この間, 成長 発達は正常で, 水痘やムンプスなどの一般感染症は通常の経過で治癒した. 発熱時の血液検査では, 白血球数 :14900/ml( 好中球 66.0%),CRP: 14.1 mg/dl, その他生化学的検査, 各種免疫機能, 画像診断に異常は認めず, また培養検査にても有意菌は認めず.Pyrin, mevalonic kinase, type1 TNF receptor などの遺伝子解析を行うも, 既知の in ammatory syndrome を示唆する mutation は認められなかった. 以上より PFAPA と診断し, 家族の同意のもと経口 H2-blocker を開始. その後, 最高体温, 発熱期間とも抑制傾向が見られた.7 才時現在, 軽度の舌炎は持続しているが高熱の出現は見ず, 疾患は軽快する傾向にあるようである. X. 結語 PFAPA は, 本来 self-limit な疾患で正常な成長, 精神運動発達が可能な疾患である. 不明熱, 反復性口内炎や反復性扁桃炎を主訴に医療機関を訪れた患児においては, 医師は本症を念頭に置きながら十分な鑑別診断を行う. 確定診断がつけば, 成長期の QOL を保つような治療方針を立て, 患児や家族の不安をあおらないようなケアを行う必要がある. XI. 関連ホームページ 一般向けの情報として以下のホームページが有用であるので, ご参照いただきたい. Pediatric Rheumatology International Trials Organization (PRINTO, http://www.printo.it/ pediatric-rheumatology / pediatricrheumatology / Japan_index.asp) See this 2002 professional article on PFAPA: http://www.fetalneonatal.com/cgi/content/full/ archdischild%3b86/6/434 文 1) Marshall GS, Edwards KM, Butlern J, Lawton AR. : Syndrome of pediatric fever, pharyngitis, and aphthous stomatitis. JPediatr110 :43 46, 1987. 2) Marshall GS, Edwards KM, Lawton AR. : PFAPA syndrome (letter). Pediatr Infect Dis J 8 :658 659, 1989. 3) Thomas KT, Feder HM Jr, Lawton AR, Edwards KM. : Periodic fever syndrome in children. JPediatr135 :15 21, 1999. 4) Padeh S, Brezniak N, Zemer D, Pras E, Livneh A, Langevitz P, Migdal A, Pras M, Passwell JH. : Related Articles, Links Periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and adenopathy syndrome: clinical characteristics and outcome. JPediatr135 :98 101, 1999. 5) Tasher D, Somekh E, Dalal I. : PFAPA syndrome: new clinical aspects disclosed. Arch Dis Child 91 :981 984, 2006. 献
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