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25~44歳の子育てと仕事の両立

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目次 Ⅰ 調査概要 1 1. 調査目的 1 2. 調査項目 1 3. 調査設計 1 4. 回収結果 1 5. 報告書の見方 1 Ⅱ 調査結果 2 1. 回答者の属性 2 (1) 性別 2 (2) 年代 2 (3) 結婚の状況 2 (4) 働き方 3 (5) 世帯構成 3 (6) 乳幼児 高齢者との同

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第 16 表被調査者数 性 年齢階級 学歴 就業状況別 124 第 17 表独身者数 性 年齢階級 就業状況 家庭観別 142 第 18 表有配偶者数 性 年齢階級 就業状況 家庭観別 148 第 19 表仕事あり者数 性 年齢階級 配偶者の有無 親との同居の有無 職業別 154 第 20 表仕事あ

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自動的に反映させないのは133 社 ( 支払原資を社内で準備している189 社の70.4%) で そのうち算定基礎は賃金改定とは連動しないのが123 社 (133 社の92.5%) となっている 製造業では 改定結果を算定基礎に自動的に反映させるのは26 社 ( 支払原資を社内で準備している103

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1. 交際や結婚について 4 人に3 人は 恋人がいる または 恋人はいないが 欲しいと思っている と回答している 図表 1 恋人が欲しいと思わない理由は 自分の趣味に力を入れたい 恋愛が面倒 勉強や就職活動に力を入れたい の順に多い 図表 2 結婚について肯定的な考え方 ( 結婚はするべきだ 結婚

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調査の概要 少子高齢化が進む中 わが国経済の持続的発展のために今 国をあげて女性の活躍推進の取組が行なわれています このまま女性正社員の継続就業が進むと 今後 男性同様 女性も長年勤めた会社で定年を迎える人が増えることが見込まれます 現状では 60 代前半の離職者のうち 定年 を理由として離職する男

4 子育てしやすいようにするための制度の導入 仕事内容への配慮子育て中の社員のため以下のような配慮がありますか? 短時間勤務ができる フレックスタイムによる勤務ができる 勤務時間等 始業 終業時刻の繰上げ 繰下げによる勤務ができる 残業などの所定外労働を制限することができる 育児サービスを受けるため

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結婚しない理由は 結婚したいが相手がいない 経済的に十分な生活ができるか不安なため 未婚のに結婚しない理由について聞いたところ 結婚したいが相手がいない (39.7%) で最も高く 経済的に十分な生活ができるか不安なため (2.4%) 自分ひとりの時間が取れなくなるため (22.%) うまく付き合え

~~ 改正労働契約法の認知状況や施行状況 ~~ 今年 4 月施行の改正労働契約法有期契約労働者の認知状況は不十分 無期労働契約への転換 は 6 割以上 不合理な労働条件の禁止 は 7 割が 知らなかった 契約期間の定めのある労働契約 ( 有期労働契約 ) で働く人が安心して働き続けることができるよう

関東地方の者が約半数を占める (45.3%) 続いて近畿地方 (17.4%) 中部地方 (15.0%) となっている 図表 2-5 地域構成 北海道 東北関東中部近畿中国四国九州 沖縄総数 (%) 100.0% 8.9% 45.3%


13 第2章 基本目標Ⅲ

 第1節 国における子育て環境の現状と今後の課題         

離職経験は圧倒的に女性に多く 男性 5% に対して女性の 14% が離職経験ありと回答している 離職の理由 ( 複数回答 ) の第一位は男女ともに キャリアアップ ( 約 50%) であるが 2 番目に多い項目で男女で差があり 男性は 職務の内容 ( 研究テーマを含む ) (40%) であるのに対し

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2 継続雇用 の状況 (1) 定年制 の採用状況 定年制を採用している と回答している企業は 95.9% である 主要事業内容別では 飲食店 宿泊業 (75.8%) で 正社員数別では 29 人以下 (86.0%) 高年齢者比率別では 71% 以上 ( 85.6%) で定年制の採用率がやや低い また

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図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

の場合 グループ間の格差はいくぶん縮小するが この傾向は変わらなかった 生きがいに関しては 者の方がよりも生きがいを持っている割合が高かった 公務員女性では生きがいとして 仕事 自分自身の内面の充実 という回答割合が会社員に比べて高かった 定年や退職に関しては 現職退職後の仕事について男性は 3 つ

第 3 章各調査の結果 35

このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

女性の就業促進について 1. 女性の労働力率 労働力率は大きく上昇 歳層女性 2000 年 63.9% 2015 年 75.3% 2. 女性の稼得賃金 低水準 大きい課題 本日は非正規社員の育児休業について 2

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図表 1 第一子出産後 就業継続した女性 しなかった女性の職場環境 希望すればいつでも有給休暇を取得することができた遅れて出社したり 早めに退社することが柔軟にできた子育て中の女性従業員と そうでない女性従業員で仕事の割り当てや勤務時間が全く異なる職場だった突発的に発生する業務が多く 仕事のスケジュ

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大学卒女性の働き方別生涯所得の推計-標準労働者は育休・時短でも2億円超、出産退職は△2億円。

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Transcription:

結婚生活と正社員就業が両立しにくい日本 出産とフルタイム就業が両立しにくい米国 日米とも学卒時には正社員やフルタイムで就業する女性が多いが 離職の時期は日米で差が見られる 米国は出産 1 年前までは就業状況にあまり変化が見られないが 出産 1 年後に無職が 42.4% と増え 出産による離職の影響が見られる 日本は結婚後から正社員は 4 割になり その代わりに無職やパート等の非正社員が増えている また 出産後には半分以上の女性が無職になる 100% 80% 60% 40% 20% 0% 3% 21% 76% 24% 34% 41% 57% 45% 無職 21% 33% 21% 21% その他就業正社員 図 1 日本 : ライフイベントによる就業形態の変化 100% 80% 60% 40% 20% 0% 6% 4% 4% 14% 7% 14% 37% 23% 21% 32% 21% 63% 61% 27% 37% 26% 失業非労働力その他就業常勤フルタイム 図 2 米国 : ライフイベントによる就業形態の変化 無職期間が長い日本 米国では 一番長い離職期間でも 1 年間という女性が 4 割を超えているが 日本では いったん離職すると無職期間が長い女性が多い 50.0% 4 40.0% 3 30.0% 2 20.0% 1 10.0% 0.0% 日本 16.4% 13.9% 11.5% 9.9% 10.2% 6.8% 8.4% 5.9% 6.5% 3.1% 3.4%1.2%1.2%0.9%0.6% 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 6 年 7 年 8 年 9 年 10 年 11 年 12 年 13 年 14 年 15 年 結婚経験あり女性 (n=323) 50.0% 4 40.0% 3 30.0% 2 20.0% 1 10.0% 0.0% 44.1% 18.0% 図 3 一番長い無職期間 米国 9.8% 7.8% 9.8% 3.1% 1.2% 2.0% 0.8% 2.0% 0.4% 0.4% 0.4% 0.4% 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 6 年 7 年 8 年 9 年 10 年 11 年 12 年 15 年 20 年 結婚経験あり女性 (n=256)

いったん離職すると主婦優遇の壁を越えにくい日本 就業している結婚経験のある女性に限定して比較すると 無職経験がある場合 日本は年収 130 万円未満が有業者の約 7 割 ( 米国は 18000 ドル未満階級が 4 割強 ) である 一方 無職経験のない有配偶女性であれば日本は有業者で年収 130 万未満は 3 割弱 ( 米国 2 割弱 ) である また無業経験なしの場合 米国女性で年収 600 万円以上が 4 人に 1 人 ( 日本は 4%) と 日本では高賃金を得る有配偶女性の少なさも目につく 日本は女性が相対的に低賃金であり 加えて無職経験のある有配偶者の賃金が低いのが特徴である 無職経験あり (n=136) 8.8 22.1 30.2 8.1 22.1 8.8 無職経験なし (n=181) 5.0 9.9 8.3 37.0 29.3 3.9 2.8 3.9 なし ~50 万円 ~103 万円 ~130 万円 ~300 万円 ~500 万円 ~600 万円 600 万円以上 図 4 日本現在仕事をしている結婚経験のある女性の昨年の年収分布 無職経験あり (n=136) 22.1 10.3 10.3 28.7 10.3 6.6 10.3 1.5 無職経験なし (n=394) 5.3 7.1 26.1 12.9 19.5 24.4 4.6 0% 20% 40% 60% 80% 100% なし $6000 以下 $6000~$10,999 $11,000~$17,999 $18,000~$36,999 $37,000~$49,999 $50,000~$74,999 $75,000 以上 図 5 米国現在仕事をしている結婚経験のある女性の昨年の年収分布 日本では過去の職業経験が賃金面で評価されない 米国では過去の職業経験が賃金面で評価される賃金構造があることが女性の就業に大きい影響を与えている 米国は学歴の賃金評価が高く 学校卒業後 妊娠前 第 1 子 1 歳時等の仕事の経験や他の企業での経験が現在の賃金に反映される このように企業を超えて職業経験が評価されるため 離職後早く労働市場に戻ると見られる 一方 日本は対比すると正社員の身分と長期勤続が賃金を引き上げるが外部経験は賃金に反映されない賃金構造であった このことは女性の選択が正社員を続けるかやめるかの二択になりがちなことを説明する また離職すると早い復帰へのメリットがない

仕事の専門性が曖昧な日本 仕事の専門性について尋ねた結果が図 6 である 正社員 ( 常勤フルタイム ) パートともに 専門性を活かしている と感じている者は米国に多く 米国常勤フルタイムで そう思う と回答した者の割合は 52.9% であるのに対し 日本は 41.6% である とりわけ パート等の非正規雇用者についてこの差が大きく そう思う と回答した者が米国では 44.7% いるのに対し 日本は 23.9% である さらに日本では そう思わない と回答した者が 21.4% と高くなっている 日本 正社員 (N=137) 41.6 19.7 12.4 10.2 16.1 米国 常勤フルタイム (N=314) 52.9 29.0 7.3 8.0 2.9 日本 パート等 (N=159) 23.9 22.0 17.6 15.1 21.4 米国 パート等 (N=170) 44.7 25.9 12.4 8.2 8.8 そう思うまあそう思うどちらともいえないあまりそう思わないそう思わない 図 6 現在の仕事の専門性に関する日米比較 ( 就業形態別 ) 米国では 妻の出産後 1 2 週間休暇を取得する夫が多い 日本は育児休業制度が法制化されており 無業になる母親は多いものの 就業継続者は 1 年近い休業をとっている 一方米国の母親は FMLA 法の制約のため また有給でない州が多いことから 6 週から 12 週の休業が多い 一方米国では出産の際に有給休暇をとる父親が多く 1 週が 4 割 2 週が 2 割であり 休み 0 週は 2 割にとどまる これに対して日本は厚生労働省雇用均等調査 ( 平成 22 年 ) によれば父親の育児休業取得率はわずか 1.4%(6 割が 2 週間未満 ) にとどまる 父親の出産に際する有給休暇の取得は日本の設問に入れなかったため米国と直接の比較はできないが 日本では 1 2 週の休みを父親の 6 割がとるような状況にはないものと思われる 140 120 100 80 60 米国母親 (n=294) 米国父親 (n=310) 日本母親 (n=101) 40 20 0 0 4 8 12 16 24 30 52 週 図 7 米国における母親と父親の出産後の休暇期間と日本の母親の育児休業期間

夫に育児休業を取ってほしくない理由は もし今後子どもが生まれるとしたら夫に育児休業をとってほしいかどうかについて と ってほしくないが日本は半数 米国は 3 割である 日本 (n=913) 12% 22% 11% 53% 2% 米国 (n=960) 23% 33% 13% 29% 3% 2 週間以内 1カ月くらい 3カ月くらい 6カ月以上 とってほしくない わからない ( 米のみ ) 図 8 夫に育児休業を取ってほしいか 育児休業を取ってほしくない理由を見ると 日本では 職場の理解が得られないと思う から 職場に迷惑をかけると思うから が多い 日本では 短い間でも 職場を離れに くい仕事の分担があると認識されている 一方 米国では経済的な問題が主な理由である 0.0% 10.0%20.0%30.0%40.0%50.0%60.0%70.0% 経済的に不利になるから 54.1% 63.3% 昇進に差しさわりがあると思うから 職場の理解が得られないと思うから 9.2% 22.1% 16.7% 45.2% 日本 (N=471) 米国 (N=120) 職場に迷惑をかけると思うから 34.2% 58.0% その他 17.0% 20.0% 図 9 夫に育児休業をとってほしくない理由 育児だけの生活は閉塞感がある と思っている未婚女性が多い日本 日本 (N=322) 38.5% 32.6% 16.5% 8.7% 3.7% 米国 (N=574) 14.3% 25.8% 36.1% 14.6% 9.2% そう思うまあそう思うどちらともいえないあまりそう思わないそう思わない 日本は 育児だけの生活は閉塞感がある に そう思う ややそう思う をあわせると約 7 割となり 育児に関してかなりの閉塞感を抱いている 一方で 米国女性は約 4 割である 図 10 未婚女性 : 育児だけの生活は閉塞感がある

日本の正社員女性で低い労働時間の柔軟性 仕事をする上で 時間の融通のきく仕事であった かどうかを尋ねたのが図 11 である 日本 米国ともにパート等で働く人の方が 正社員や常勤フルタイムで働く人よりも時間の融通がきくと感じている人の割合が高い また 日本の正社員と米国の常勤フルタイムを比較すると 米国の常勤フルタイムでは時間の融通性について そう思う と回答した人は 35.7% であるのに対し日本は 15.8% である さらに日本の正社員では時間の融通性について そう思わない と回答する者が 2 割を占めており 特に日本の正社員女性における労働時間の硬直性がうかがえる 日本 正社員 (N=139) 15.8 25.2 19.4 18.7 20.9 米国 常勤フルタイム (N=314) 35.7 30.6 7.6 12.7 13.4 日本 パート等 (N=160) 31.9 40.0 11.9 9.4 6.9 米国 パート等 (N=170) 48.8 28.8 7.7 8.8 5.9 そう思うまあそう思うどちらともいえないあまりそう思わないそう思わない 注 ) 自営及び無回答 非該当を除く 図 11 現在の仕事の時間の融通性に関する日米比較 ( 就業形態別 ) 日本はパートで 米国は常勤フルタイムでワーク ライフ バランスの満足度高い既婚女性のワーク ライフ バランスの満足度をみると 日本では 賃金水準が低いパート等の働き方の方がワーク ライフ バランスの満足度が高い 日本では 安定雇用である正社員は 賃金水準は高いものの 労働時間が家庭生活との両立には長すぎたり硬直的であったりするために女性の不満も大きいのだと思われる 一方 米国では安定雇用である常勤フルタイムに就く方がワーク ライフ バランスの満足度が高い これは常勤フルタイムも帰宅時間のピークが 17 時と さほど長時間労働ではないためと思われる 日本無職 (N=197) 6.09 19.29 45.18 16.24 13.2 日本パート等 (N=189) 12.17 42.86 25.4 14.29 5.29 日本正社員 (N=140) 5.71 30.71 26.43 25 12.14 米国無職 (N=295) 14.58 17.97 43.73 13.9 9.83 米国パート等 (N=175) 26.86 38.29 18.29 13.14 3.43 米国常勤フルタイム (N=280) 34.64 38.57 12.86 10 3.93 そう思うまあそう思うどちらともいえないあまりそう思わないそう思う思わない 図 12 ワーク ライフ バランスの満足度

稼得役割を学んでいない日本女性 米国では男性の家事 育児を担うべきだと学ぶことと 女性が生活費を分担して担うことを学ぶことが表裏一体に行われているようである 一方 日本においても 男性が家事 育児を担うべきと学んだ女性は 若い年齢層で明らかに上昇している しかしながら 生活費を稼ぐことについては 日本の女性は 学んでいない という回答の割合が高い 女性が生活費を分担して担うという教育がまだ浸透していないことがうかがえる 日本 (N=727) 14.7% 47.3% 38.0% 米国 (N=1508) 49.6% 28.5% 21.9% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 学んだ学んでいない覚えていない 図 13 女性もお金をかせぐ責任を男性と対等に分担するべきと学んだか 学卒時に考えていた就業パターン - 再就職型が多い日本 あなたは 学校を卒業した頃 どのような働き方をしようと考えていましたか につ いて 米国では 生涯独身型 両立型 の割合が高いが 日本では 再就職型 が約 4 割 である 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 生涯独身型 6.5% 27.7% DINKS 型 2.2% 1 両立型 再就職型 18.6% 30.0% 31.4% 40.3% 日本 (N=911) 米国 (N=1508) 退職型 その他 1.8% 2.0% 5.3% 19.3% 図 14 あなたは 学校を卒業した頃 どのような働き方をしようと考えていましたか

日本の未婚女性では 高学歴ほど強い育児役割意識 子どもを持ったらあなたは自分が育児を主にすることを当然だと思う かどうか尋ねたところ 未婚女性 ( 子どもいない ) において 米国に比べると 日本では 高学歴層において 特に そう思う まあそう思う と回答した割合がより高くなっている 日本では高学歴女性ほど 育児役割分担意識が強いということは注目すべき点である 日本高卒 (N=43) 18.6% 34.9% 23.3% 14.0% 9.3% 日本短大 大卒等 (N=258) 23.3% 48.4% 12.8% 10.5% 米国高卒 (N=47) 8.5% 29.8% 25.5% 25.5% 10.6% 米国短大 大卒等 (N=412) 8.5% 24.5% 28.6% 23.8% 14.6% そう思うまあそう思うどちらともいえないあまりそう思わないそう思わない 図 15 学歴別 子どもを持ったらあなたは自分が育児を主にすることを当然だと思う 日本では 結婚で家事時間が大幅に増える 米国では未婚者の家事時間も一定程度ある これは親同居の未婚者が少ないこととおそらく関係しているだろう また結婚している人でも子どもを持つ前にはそれほど家事時間は多くない 一方 日本では結婚すると 女性の家事時間が急速に増える また子どものいる人ではさらに多い 2.1% 100% 90% 80% 70% 0.6% 17.0% 25.8% 21.0% 18.4% 1.6% 7.3% 8.9% 20.9% 23.6% 5.3% 15.4% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 53.9% 47.0% 21.0% 34.9% 34.0% 3.6% 1.2% 32.3% 33.1% 37.3% 24.9% 39.8% 22.4% 11.3% 10 時間以上 6~10 時間未満 4~6 時間未満 2~4 時間未満 1~2 時間未満 1 時間未満 日本 米国 図 16 ライフステージ別女性の家事時間