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(2) 計画学習課題 学習内容 時間 連立方程式とその解 二元一次方程式とその解の意味 2 連立方程式とその解の意味 ( 本時 1/2) 連立方程式の解き方 文字の消去の意味 加減法による連立方程式の解き方 5 代入法による連立方程式の解き方 連立方程式の利用 問題を解決するために 2つの文字を使っ

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1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

の 問を提示して定着度を確認していく 1 分けて計算するやり方 70 = =216 2 =6 2 筆算で計算する方法 題材の指導計画 ( 全 10 時間扱い ) ⑴ ⑵ ⑶ 何十 何百 1 位数の計算 1 時間 2 位数 1 位数

PowerPoint プレゼンテーション

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○数学科 2年 連立方程式

数学科学習指導案 1 次方程式 ( 中学校第 1 学年 ) 神奈川県立総合教育センター < 中学校 高等学校 > 数学 理科授業づくりガイドブック 平成 22 年 3 月 問題つくりを題材として取り上げ 身近な生活の中にある数量関係を見いだし それを基に文章題を作らせる指導によって 自ら具体的な事象

(Microsoft Word - \207U\202P.doc)

4 単元構想図 ( 全 14 時間 ) 生徒の意識の流れ 表を使って解く 縦 (m) 0 8 横 (m) x= 右辺の形に式を変形して 二次方程式を解こう1 ax = b (x + m) = nは平方根の考えで解くことができる x= 右辺の形に式を変形して 二次方程式を解こう2 x +

41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

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第5学年  算数科学習指導案

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Microsoft Word - 6年国語「パネルディスカッションをしよう」

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

Microsoft Word - 全国調査分析(H30算数)

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資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

ICTを軸にした小中連携

数学○ 学習指導案

(4) ものごとを最後までやり遂げて, うれしかったことがありますか (5) 難しいことでも, 失敗を恐れないで挑戦していますか

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2、協同的探究学習について

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平成 3 年度花乃井中のあゆみ 調査結果から 成果と課題 学力調査では すべての項目において平均値を上回っているが 平均値では若干下回っている教科もある 平均正答率を平均と比べると 国語 A は - ポイント 国語 B は -2.2 ポイント 数学 A は +6.9 ポイント 数学 B は +6.

今年度は 創立 125 周年 です 平成 29 年度 12 月号杉並区立杉並第三小学校 杉並区高円寺南 TEL FAX 杉三小の子

主語と述語に気を付けながら場面に合ったことばを使おう 学年 小学校 2 年生 教科 ( 授業内容 ) 国語 ( 主語と述語 ) 情報提供者 品川区立台場小学校 学習活動の分類 B. 学習指導要領に例示されてはいないが 学習指導要領に示される各教科 等の内容を指導する中で実施するもの 教材タイプ ビジ

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

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(2) -2,4,1 3 y=-x-2 をかいた ( 人 ) 4 (1) y=2x-9,y=2x,y=3x+3 (2) y=x+11 (3) 指導観校内の研究テーマが 考える力を引き出す授業のあり方 ということで, 数学科では考える力とは何かを分析し,11 項目に整理した 1 帰納的に考える力 2

座標軸の入ったワークシートで整理して, 次の単元 もっとすばらしい自分へ~ 自分向上プロジェクト~ につなげていく 整理 分析 協同的な学習について児童がスクラップした新聞記事の人物や, 身近な地域の人を定期的に紹介し合う場を設けることで, 自分が知らなかった様々な かがやいている人 がいることを知

M28_回答結果集計(生徒質問紙<グラフ>)(全国(地域規模別)-生徒(公立)).xlsx

(3) 計画 学習課題学習内容時間 変わり方のようすをわかりやすく表すにはどうしたらよいか考えよう変わり方が大きいか小さいかを調べるにはグラフのどこに目をつけるとよいのだろう 2つの折れ線グラフからどんなことが分かるだろう折れ線グラフをかこう 変わり方を分かりやすく表す工夫 折れ線グラフの縦軸と横軸


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第 3 学年 学級活動学習指導案 平成 18 年 6 月 30 日 ( 金曜日 ) 第 5 時限指導者二階堂聡 1 題 材 夏休みに向けて1 学期の学習を振り返ろう 2 題材について 生徒にとって, 夏休みの過ごし方はそれぞれである 部活動に熱中する生徒, 夏期 講習に参加し, 学力向上に努める生徒

5 主体的 対話的で深い学びの視点 (1) 主体的な学びとしての視点主体的な学びとして 本単元ではプレゼンテーションを作成する段階で 聞き手の関心を最大限ひきつけることができるようなテーマの設定を生徒たち自身に行わせたい このことにより 教師から与えられたテーマではなく 自分たち自身もより興味 関心

(4) 学校の規則を守っていますか (5) いじめは, どんな理由があってもいけないことだと思いますか

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

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○学部 ○○科 学習指導案

(4) ものごとを最後までやりとげて, うれしかったことがありますか (5) 自分には, よいところがあると思いますか

平成21年度全国学力・学習状況調査の結果分析(非公表資料)

(3) 将来の夢や目標を持っていますか 平成 29 年度 平成 28 年度 平成

6 年 No.8 You can see Daibutsu! 1/7 単元の目標 主な言語材料 できることを紹介する表現や感情を表す表現が分かる 修学旅行でできることについて具体物などを見せながら伝え合う 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり できることについ

(4) ものごとを最後までやり遂げて, うれしかったことがありますか (5) 難しいことでも, 失敗を恐れないで挑戦していますか

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

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解答類型

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保健体育第 1 学年庄原市立高野中学校 ん 単元名 心身の発達と心の健康 ~ 思春期の心の変化への対応 ~ 本単元で育成する資質 能力 知と学びに向かう思考力 表現力 日時 平成 29 年 11 月 20 日 ( 月 )5 校時 (13:30~14:20) 場所 1 年生教室 学年 第 1 学年 (

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第 4 学年算数科学習指導案 平成 23 年 10 月 17 日 ( 月 ) 授業者川口雄 1 単元名 面積 2 児童の実態中条小学校の4 年生 (36 名 ) では算数において習熟度別学習を行っている 今回授業を行うのは算数が得意な どんどんコース の26 名である 課題に対して意欲的に取り組むこ

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福翔高等学校「ライティング」学習指導案

H30全国HP

指導方法等の改善計画について

3-2 学びの機会 グループワークやプレゼンテーション ディスカッションを取り入れた授業が 8 年間で大きく増加 この8 年間で グループワークなどの協同作業をする授業 ( よく+ある程度あった ) と回答した比率は18.1ポイント プレゼンテーションの機会を取り入れた授業 ( 同 ) は 16.0

1

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

けて考察し, 自分の考えを表現している 3 電磁石の極の変化と電流の向きとを関係付けて考え, 自分の考えを表現している 指導計画 ( 全 10 時間 ) 第 1 次 電磁石のはたらき (2 時間 ) 知 1, 思 1 第 2 次 電磁石の強さが変わる条件 (4 時間 ) 思 2, 技 1, 知 2

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能を習得したり活用したりすることの必要性について確認する グラフをかく力やグラフを読み取る力を身に付けさせるとともに, 一次関数を学ぶことに対する意欲を高めたい 小単元全体を通して主体的に学ぶ意欲を高め, 自分の考えを説明したいという気持ちにさせた上で, 目的や方法等を明確にした意図のあるペアやグル

内容 児童 経験したことや調べたことから選んで話す 内容 ( 考え ) を分かりやすく話す はっきりした発音で声の大きさを考えて話す 丁寧な言葉を使って話す 相手の顔を見ながら話す 大事なこと

中学校における授業実践事例 1 第 3 学年社会科 消費生活と経済 1 学校名 職氏名萩市立田万川中学校教諭室谷雄二 2 生徒 3 学年 15 人 3 学習指導案 (1) 題材名消費生活と経済 (2) 題材の目標経済活動の意義について消費生活を中心に理解させるとともに 価格の働きに着目させて市場経済

授業の構成要素 学び合う授業で育つ 3 つの力 資料 2 基礎 基本の力知識 理解 技能 問題解決力思考力 判断力 表現力 想像力 学ぼうとする力学習意欲 自己有用感 身に付けた知識 技能を活用したり その成果を踏まえた探究活動を行う中で学び合う授業を展開する 教師の役割 < 問題提示の工夫 > 多

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

3 第 3 学年及び第 4 学年の評価規準 集団活動や生活への関心 意欲態度 集団の一員としての思考 判断 実践 学級の生活上の問題に関心 楽しい学級をつくるために を持ち 他の児童と協力して意 話し合い 自己の役割や集団と 欲的に集団活動に取り組もう してよりよい方法について考 としている え 判

3. 研究の経過 () 知識構成型ジグソー法 で引き起こしたい学びのイメージとその流れ本研究は, 知識構成型ジグソー法 によって引き起こしたい学びを, より深めるためのツールとしての IT 機器活用の可能性を探っていくことを中心に進めてきた そこで, まず 知識構成型ジグソー法 で引き起こしたい学び

教育研究グループ報告書

(Ⅱ) 実践から上記のねらいを実践してみて 導入は効果的であったと思う 点と点を線で結ばせて 教員の昔の夢を予想させた 生徒はかなり意欲的に取り組み 自然な流れで want to be を導入することができたように思う 学年教員に なりたかった職業と理由を英語で言ってもらい それを動画に撮って見せた

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

25math3

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知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

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平成 30 年度全国学力 学習状況調査の結果について ( 速報 ) 1. 調査の概要 実施日平成 30 年 4 月 17 日 ( 火 ) 調査内容 1 教科に関する調査 ( 国語 A 国語 B 算数 数学 A 算数 数学 B 理科 (3 年に 1 回 )) A 問題 : 主として知識に関する問題 B

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平成 25 年度学力定着状況確認問題の結果について 概要版 山口県教育庁義務教育課 平成 2 6 年 1 月 1 実施概要 (1) 目 的 児童生徒の客観的な学力状況の経年的な把握と分析を通して 課題解決に向けた 指導の工夫改善等の取組の充実を図る全県的な検証改善サイクルを確立し 県内す べての児童

スライド 1

保健体育科学習指導案

とで児童に活動の見通しを持たせ, 自分で課題を立て情報を集め整理し, 発表する等に取り組めるようにしていきたい 調査計画の場面では, 目的に照らしてどのような調査をしていくことがよいのか児童にしっかりと考えさせたい 例えば, データはどう集めたらよいのか, アンケートを実施する場合には, 誰にアンケ

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平成23年度東京都教育研究員  地区発表公開授業

Transcription:

(AL 関連の実践 ) 中学/ 数学 学び合いを通した授業展開 - 基礎基本の力を自ら考え応用する力へ- 川勝義隆 ( 京都府南丹市立園部中学校 ) ( 溝上のコメントは最後にあります ) 対象授業 授業: 中学 2 年生数学 生徒:32 名 ( 男子 16 名 女子 16 名 ) 教材: 未来へひろがる数学 2 ( 啓林館 ) 第 1 節授業の目標学習は これまでに連立方程式の加減法 代入法をもとに 様々な連立方程式の基本的な解き方について学んだところであり これを利用して 日常的な現象に連立方程式がどのように利用できるかを考察し 適した式を立てることで問題解決につなげる内容である 現段階では 連立方程式の解き方については ほとんどの生徒が理解しているため 問題解決に連立方程式が利用できることの良さを感じられるようにすることを目標とする そこで 様々な問題を提示し 問題の中に個々の生徒の気づきを引き出し それを仲間と共有する事で 適切な問題解決に導けるように指導を行った 特に本時については 理科の授業で学んでいる 食塩の濃度 の問題を課題として提示し より身近な現象を数的に解決できることの喜びが感じられることを目標として指導を行った 第 2 節授業の流れ ( 前時の導入及び本時 50 分 ) と工夫 (1) 前時の授業 ( 事前学習 ) 食塩が身近な題材としても 濃度を考えるには 生徒の苦手な 割合 の考え方を使わなければならないため しっかりした復習が必要である 既に 小学生の時に 濃度 について学習しているが そこでは文字を使わず 具体的な値を求めることが中心である 時間中に振り返りと指導を行う予定であったが 授業の内容や進行度合いから 本時の前の時間に事前学習として行った 授業は グループ (3~4 人 ) で解き方や解答を考えさせることで 割合の苦手な生徒も含め ほとんどの生徒が問題を解くことができた また 答えが具体的な値として出るので 生徒も積極的に挙手をして答えることができた -1-

食塩水の濃度について 濃度 (%)= 食塩の質量 全体の質量 全体の質量 = 水 + 食塩の質量例えば 200gの中に 16gの食塩があれば 16 200 =8% 以上のことを確認して 次の問題を解いてみよう! 1 食塩水 200g の中に 10g の食塩が溶けている この食塩水の濃度は何 %? 水の量は何 g? 2 230g の水に 20g の食塩を溶かしたとき できる食塩水の濃度は何 %? 食塩水の量は何 g? 3 7% の食塩水 300g に溶けている食塩は何 g? 水の量は何 g? 4 10% の食塩水を 150g 作る 何 g の水に 何 g の食塩を溶かせばよいか? (2) 本時のめあての提示と課題の解き方の確認および指導授業の初めには この一時間で何を学ぶのかについて 必ず めあて の提示を行っている 今回も事前に復習した内容を確認し めあての提示を行った めあて 濃度を連立方程式で考える さて 濃度や速度などの割合の問題は 単位やその求め方に混乱を生じる生徒も多く 1 年生時の文字式や方程式の時より 表を書かせ その表をきちんと完成させることで式を考え 解答を導き出せるように指導をしている 今回の食塩の濃度の問題についても 表を用いて式を立てることを指導し 表を書くことから学習を進めた 表を書いて式を求めることを示した後 個々に解答を求めさせた 分数の計算に戸惑う生徒もいたが 個別学習でありながらも 周りの生徒との教え合いで ほとんどの生徒が解を導き出すことができた 例題 : 濃度がそれぞれ 8% 15% の 2 種類の食塩水がある この 2 種類の食塩水を混ぜ合わせ 濃度が 10% の食塩水を 700g つくる それぞれの食塩水を何 g ずつ混ぜ合わせればよいか A B C 8% 15% 10% 食塩水質量 g x y 700 食塩の 8 15 10 割合 食塩の 8 15 10 x y 700 質量 g x y 700 8 15 x y 10 700 A:500g B:200g -2-

(3) グループで問題演習を行う 例題で解き方の確認を行った後 解法の定着のために問題演習を行った この学習においては グループ (3~4 人 ) で問題を考え 個々である程度解いた上で 作った式の確認や答え合わせを行った これまでの授業においても 問題演習などで 答え合わせをグループ (2~4 人 ) で行うことも多く 生徒は戸惑うことなく課題の解答などについて話し合うことができていた 問題 :14% の食塩水 A 500gに 6% の食塩水 B を何 gか混ぜ合わせ 11% の食塩水 C を作った 6% の食塩水 B を何 g 混ぜ合わせたか また 11% の食塩水 C は何 gできたのか A B C 14% 6% 11% 食塩水質量 g 500 x y 食塩の 14 6 11 割合 食塩の 6 500 質量 g x 11 y 500 x y 14 500 6 x 11 y B:300g C:800g 図表 1 問題演習のプリント 図表 2 全体指導及び問題演習の様子 (4) 濃度の問題を自分達で作る問題演習によって 基本的な問題が解けるようになった上で 表だけを示し グループ (3~4 人 ) で生徒自身に問題を考えさせた 例題と同じような問題を考える生徒 また 現実ではあり得ない濃度を設定する生徒など 様々な考え方が示された 今回の授業においては 生徒自身の様々な考え方 ( 数の大きさや割合などの概念 ) を引き出したいという思いもあり どのような濃度や式を考えるか興味があった 問題の設定に困っている生徒には 水を混ぜた場合や 食塩そのものを加えた場合などについて示したりもしたが そうした中で グループで様々に考えることができていた -3-

では 表を利用して問題を作ってみよう! A B C 食塩水質量 g 食塩の割合食塩の質量 g % % % 図表 3 問題作成をしている時の様子 図表 4 板書の様子 第 3 節成果と課題 (1) 教科指導における成果と課題 割合 ( 食塩の濃度 ) について 理科の単元の復習及び確認を行うことで 数学とのつながりを示すことができた また 身近な現象が連立方程式で表せることの良さとその考え方について示すことができた 問題を自分で作ることで 濃度や式の構成など 問題の前後の考察を深めることができた 表を用いて問題を考えることがある程度定着し 連立方程式の式は作ることができるようになった 生徒が終始前向きに努力することができ 普段は計算の苦手な生徒が生き生きと活動できた 時間的な余裕がなく 事前の計画よりも前倒しして授業を進める必要があった ( 事前学習 ) 学習内容が多く 一通りの学習はできたが 数学の苦手な生徒が理解できたかどうかについて その検証が不十分であった 問題作成に固執させきれず 答えを出す作業に時間のかかった生徒がおり 問題作成によって得られる発見に到達できなかったところもあった (2) 主体的対話的で深い学び に対する成果と課題 -4-

グループでの学習において 対話的な部分を構築しようとした グループによっては 例題や練習問題において お互いに相談をし 教え合い学習を行うことができた 問題作成において グループによっては 設定する値について話し合いを行い 不適切な値については 自分達で訂正することができていた 問題演習や課題などにおいて仲間と確認し合うことは 個々の生徒の気づきにもつながり そのやりとりによって対話的な活動ができた 濃度の考え方について 問題作成の段階で 生徒同士の相談を行ったが 課題が十分に理解できていない生徒もおり 主体的に問作を行うまでには至らなかったところもあった 生徒同士の対話はあったが 与えられた課題や自分達で設定した課題に対してお互いの意見を出し合ったり 更に発展させた内容までには話し合いが発展しなかった 課題提示 課題理解 課題解決 その後に続く より発展的な課題への深まりが十分でなかった 指導者が次につながる課題へのヒントや方向性を示すことができていなかった 第 4 節研究授業全体の振り返り ( 数学科の取組 事前の取組も含め ) について今回の研究授業の前に教科で事前研修を行っている この事前研修では 授業での課題をどうするのか 主発問はどこにもっていくのかなどの議論を行った 当初は 速度の問題からx yの決め方によって連立方程式の作り方が変わることをもとに より深い学びを目指したが 問題の解決方法がある程度決まってしまう課題でもあったため 速度の問題については 解法の学習に終始した それに対して今回の濃度の問題は 基本的な解法は決まったものであるが 問作において値の設定のしかたが様々にあり 具体的に濃度を混ぜ合わせる現象としてもイメージしやすく 深い学びにもつながるのではないかと課題を設定した 事前に他の学級での数学科の参観において更に議論を行い 当日の授業となった しかし 数学教師が問題を解くのとではやはり生徒と思考の違いもあり 予想していたところまでは課題を深められなかったことは 事前研修の甘さであったかと考えられる また 事後研修では 実際の授業をうけて 授業展開の工夫や 課題提示の様々な方法について再度確認をした 反省とするべきところは 事前に模擬授業を行い 生徒目線での質問や課題解決を行うべきであった そうすることで 生徒への課題提示や生徒の解答に対する更に深い課題の投げかけにつながるのではないかと確認した また 正しい解答等考え方に固執するがあまり ある程度無難な正しい解答が多く 間違ったり 不適切な値がでない状況でもあった 問題作成においては 何気なく設定した値がどのような結果になるのかを予想させ そして修正させる中で学ぶことも多いと改めて確認することができ この点が指導の上で不十分であったと言える 授業の全体的な流れとしては 課題を解決できる方法までは学習が進められ 生徒もほぼ理解することができていたが その学習をもとにした 主体的対話的で深い学び につなげるには まだまだ深く考えていかなければならない 溝上のコメント 教師は 本日のめあて ( 学習目標 ) を黒板の冒頭に書き ( 黄色部分 )( 図表 5 左 ) この 1 時間それを消さずに授業を進めた 生徒はめあてを前回の ( ポートフォリオ式の ) 振り返り ( 図表 5 右 ) を見ながら確認していた 授業の最初 ( めあて ) と最後 ( 振り返り ) を前回の授業から繋ぐループに感心した -5-

図表 5 授業の様子 ( 左 ) めあて ( 黄色部分 ) を消さずに授業を進める ( 右 ) ポートフォリオ式の振り返り 図表 6 のようなグループワークの形態になると 前を向かない生徒がいてアクティブラーニングをもって授業が崩れてしまうことが少なくないが (* 参考 ) 川勝教諭の授業では 生徒たちは傾聴の姿勢をとって教師の説明を聴いていた これはふだんからの指導を入れていないとなかなかできない (* 参考 ) 溝上慎一 (2018). アクティブラーニング型授業の基本形と生徒の身体性 ( 学びと成長の講話シリーズ1) 東信堂 図表 6 グループワークの形態でも傾聴の姿勢 与えられた問題を解くとき 生徒は教え合いながら問題を解いていた ( 図表 7) すばらしかった 他方で 教え合いを必要としない生徒は この1 時間 ほとんど他者と話したり教えたりしないで黙々と問題を解くということも起こっていた 少しでいいので 全員 が他の生徒に たとえばある問題への解答を 説明する といったように 言語活動を入れてはどうだろうか 数学を数学の言語 ( 記号や式 ) 以外の日常言語で語らせることに (= 言語活動 ) 数学の学習を数学だけで終わらせない まさに教科横断的な あるいは将来の仕事 社会で求められるような数的リテラシーを育てていくポイントがあるように思う -6-

図表 7 グループで教え合いながら授業を受け 問題を解く プロファイル 川勝義隆 ( かわかつよしたか )@ 京都府南丹市立園部中学校 一言 : 数学は いかに合理的に考えるか ということを学ぶ教科だと思っています 日常の様々な場所で数学の考え方が利用されていますが その考え方の良さを感じられるような指導を目指しています また 数学が苦手な生徒はたくさんいますが 私は 数学が得意な生徒 を育てるのではなく 数学が嫌いにならない生徒 を育てられるような指導を心がけています -7-