地域医療癌セミナー 乳がんの薬物療法 NPO 法人がん情報局 2011 年 9 月 11 日 ( 日曜日 ) 2011 年 9 月 11 日 ( 日曜日 ) 地域がん医療セミナー乳がん編 乳がんの薬物療法癌の個性に合わせた治療の選択 治療を理解するための生物学 圭友会 浜松オンコロジーセンター 腫瘍

Similar documents
Microsoft PowerPoint - 薬物療法

<4D F736F F F696E74202D F95BD90AC E E63389F120956C8FBC82AA82F196F295A897C A837E B5F93FB82AA82F18DC494AD8CE38EA197C382CC8AEE D8EAF5F93BF F12E >

<4D F736F F F696E74202D DC58F4994C5817A91E F1956C8FBC82AA82F196F295A897C A837E B8B D E >

<4D F736F F F696E74202D2091E F18E7396AF8CF68A4A82AA82F18D758DC020837A815B B E B8CDD8AB B83685D>

1)表紙14年v0

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F F696E74202D208FAC97D18AC58CEC B A957A8E9197BF>

乳癌かな?!と思ったら

がんの治療

博士の学位論文審査結果の要旨

「             」  説明および同意書

外来在宅化学療法の実際

最近 乳がんの人が増えている? 最近 芸能人で乳癌になった人多くない? 乳がんって増えているの? なったら助からないんでしょ?

がん登録実務について

094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

乳腺病理の着実な進歩-これからの課題 乳癌不均質性に関する考察

乳がんってどんな病気? 手術 放射線療法 薬物療法といった治療があります 乳がんの治療法には がんが一部にとどまっている場合に そこを集中的に治療する 局所療法 と がんが全身に広がっている可能性のある場合に行う 乳がんは 乳房全体をおおうようにはりめぐらされている乳腺にできる腫瘍 です 乳腺は乳汁

するものであり 分子標的治療薬の 標的 とする分子です 表 : 日本で承認されている分子標的治療薬 薬剤名 ( 商品の名称 ) 一般名 ( 国際的に用いられる名称 ) 分類 主な標的分子 対象となるがん イレッサ ゲフィニチブ 低分子 EGFR 非小細胞肺がん タルセバ エルロチニブ 低分子 EGF

頭頚部がん1部[ ].indd

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

<4D F736F F F696E74202D F93FB8AE08A7789EF A837E B283193FA96DA816A95CF8D E >

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

はじめに この冊子は レトロゾール錠 2.5mg アメル による乳がんのホルモン療法を受ける患者さんが 安心して治療に取り組めるように 乳がんのホルモン療法や薬の効果 副作用について解説しています 冊子を読んでもわからないことや 不安に感じることがありましたら 担当医師や看護師 薬剤師に遠慮なくご相

PDF

抗がん剤を受けられる皆様へ

<4D F736F F F696E74202D2094AD955C BD82BF82C482F F6E E63655B93C782DD8EE68

<4D F736F F F696E74202D2088F38DFC B2D6E FA8ECB90FC8EA197C C93E0292E B8CDD8AB B83685D>

図 1 乳管上皮内癌と小葉上皮内癌 (DCIS/LCIS) の組織像 a: 乳頭状増殖を示す乳管癌 (low grade).b: 篩状 (cribriform) に増殖する DCIS は, 乳管内に血管増生を伴わない時は,comedo 壊死を形成することがあるが, 本症例のように血管の走行があると,

スライド 1

膵臓癌について

健康バンザイ! いなぎ講座 乳癌の診断と治療について

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

副甲状腺

モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の特性と

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

法医学問題「想定問答」(記者会見後:平成15年  月  日)

PowerPoint プレゼンテーション

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

外来化学療法における 薬剤師の役割

表紙69-5,6_v10.eps

<4D F736F F D2089BB8A7797C C B B835888E790AC8C7689E6>

70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

AC 療法について ( アドリアシン + エンドキサン ) おと治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 作用めやすの時間 イメンドカプセル アロキシ注 1 日目は 抗がん剤の投与開始 60~90 分

STEP 1 検査値を使いこなすために 臨床検査の基礎知識 検査の目的は大きく 2 つ 基準範囲とは 95% ( 図 1) 図 1 基準範囲の考え方 2

原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

減量・コース投与期間短縮の基準

PowerPoint プレゼンテーション

フッ化ピリミジン

Microsoft PowerPoint - 印刷用 DR.松浦寛 K-net配布資料.ppt [互換モード]

将来の出産をご希望の患者さんへ.indd

130724放射線治療説明書.pptx

2018 年 10 月 4 日放送 第 47 回日本皮膚アレルギー 接触皮膚炎学会 / 第 41 回皮膚脈管 膠原病研究会シンポジウム2-6 蕁麻疹の病態と新規治療法 ~ 抗 IgE 抗体療法 ~ 島根大学皮膚科 講師 千貫祐子 はじめに蕁麻疹は膨疹 つまり紅斑を伴う一過性 限局性の浮腫が病的に出没

核医学画像診断 第36号

PowerPoint プレゼンテーション

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

乳がん術後連携パス

の活性化が背景となるヒト悪性腫瘍の治療薬開発につながる 図4 研究である 研究内容 私たちは図3に示すようなyeast two hybrid 法を用いて AKT分子に結合する細胞内分子のスクリーニングを行った この結果 これまで機能の分からなかったプロトオンコジン TCL1がAKTと結合し多量体を形

センシンレンのエタノール抽出液による白血病細胞株での抗腫瘍効果の検討

第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide

肺癌の放射線治療

これからのTNBC 治療

第71巻5・6号(12月号)/投稿規定・目次・表2・奥付・背

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

治療法 下記 FOLFIRI 療法 FOLFIRI + 療法 FOLFIRI + 療法 FOLFIRI + 療法 8~9 入 はじめに大腸癌 化学療法 手術後 再発 予防 補助化学療法 切除不能 進行再発大腸癌 対 全身化学療法 抗 剤治療 多 方法 基本 広 使 FOLFOX( ) 療法 FOLF

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe


<4D F736F F F696E74202D FB8AE0938C966B208BB388E7835A837E B8EA197C E55F89F1939A95D22E >


Transcription:

2011 年 9 月 11 日 ( 日曜日 ) 地域がん医療セミナー乳がん編 乳がんの薬物療法癌の個性に合わせた治療の選択 治療を理解するための生物学 圭友会 浜松オンコロジーセンター 腫瘍内科渡辺亨 twatanab@oncoloplan.com http://www.oncoloplan.com 乳腺の構造 小葉 Luminal and Basal epithelium 乳管 腺管 終末腺管 - 小葉単位 乳管上皮細胞 (luminal) 基底細胞 筋上皮細胞 (basal) 筋上皮細胞 (myeloepithelial cell) または基底細胞 (basal cell) CK8/18 CK5/6 脂肪組織 内腔細胞 (Luminal cells) 基底膜 遺伝子発現解析に基づく乳がん分類 (cdna microarray) 1

Basal-like HER2 Luminal B Luminal A 遺伝子発現解析に基づく 乳癌の病型分類 乳癌は単一疾患ではない 少なくとも 4 病型に分類できる 乳癌 intrinsic subtypeの代替定義 Intrinsic subtype 臨床病理学的定義 メモ Luminal A ER, PgRの陽性割合にはあまりこだわらない Luminal A ER and/or PgR 陽性 Ki-67の cut-point はPAM50 intrinsic subtypeとの比 HER2 陰性較に基づき決定 Ki-67 低値 (<14%) Ki-67 染色の地域精度管理が重要 Luminal B Erb-B2 過剰発現 Basal like Luminal B(HER2 陰性 ) ER and/or PgR 陽性 HER2 陰性 Ki-67 高値 Luminal B(HER2 陽性 ) ER and/or PgR 陽性 HER2 過剰発現 増幅あり Ki-67 低 ~ 高 HER2 陽性 (non luminal) HER2 過剰発現 増幅あり ER PgR 陰性 Triple negative(ductal) ER and PgR 陰性 HER2 陰性 もし信頼できる Ki-67 測定ができない場合にはグレードなどの増殖指標を用いて Luminal A と luminalb(her2 陰性 ) を識別してもよい Triple negative と Basal like の約 80% が一致するが Triple negative は髄様癌や腺様のう胞癌などの特殊形の一部も含む 真の Basal like の鑑別に基底細胞のケラチンを染色する方法があるが 再現性が乏しく一般化はできない Sorlie T, Perou CM et al. PNAS 2001 Subtypeにより推奨される全身治療 Subtype 治療 メモ Luminal A 化学療法併用はほとんど必要としない内分泌療法単独 ( 例外 : リンパ節転移多数の場合 ) Luminal B(HER2 陰性 ) 化学療法化学療法の適応と内容は内分泌感受性 再発リスク + ホルモン療法と患者の希望によって選択 Luminal B(HER2 陽性 ) 化学療法 + 抗 HER2 療法 + ホルモン療法 この群で化学療法を省略できるというdataはない HER2 陽性 (non luminal) 化学療法低リスク ( 例 :pt1a) は薬物療法なしで + 抗 HER2 療法経過観察もありうる Triple negative(ductal) 特殊型 A. ホルモン反応型 B. ホルモン非反応型 化学療法 ホルモン療法化学療法 A. 管状癌 粘液癌 篩状癌 B. アポクリン癌 髄様癌 腺様のう胞癌 化成癌髄様癌や腺様のう胞癌はリンパ節陰性なら化学療法は必要ないだろう 術前抗がん剤治療 術後抗がん剤治療 再発 転移後治療 薬物療法の目的 目的 特徴 1 全身の微小転移を撲滅し乳がんの再発を抑えがんを治癒させる 2 乳がんのしこりを出来るだけ小さくして手術で切除する範囲を小さくし 乳房を残すことができる 3 乳がんに対する効果を患者さん自身が確認することができるので 副作用があっても治療意欲を保つことができる 1 全身の微小転移を撲滅し乳がんの再発を抑えがんを治癒させる 2 効果を患者さん自身も医師も確認することはできない 1 がんに伴なう症状を和らげる 2 がんに伴なう症状が出ないようにする 3 一日でも元気で長生きできるようにする 摂取方法 細胞毒性抗がん剤 一般名 商品名 静脈点滴 ジェネリック シクロフォスファミド エンドキサン フルオロウラシル 5-FU( ゴエフユウ ) メトトレキサート メソトレキセート ドキシフルリジン フルツロン カペシタビン ゼローダ テガフール フトラフール テガフール ウラシル ユーエフティー テガフール ギメラシル オテラシルカリウム ティーエスワン ゲムシタビン ジェムザール ドキソルビシン アドリアシン ピラルビシン テラルビシン エピルビシン ファルモルビシン ミトザントロン ノバントロン マイトマイシン C マイトマイシン ビノレルビン ナベルビン パクリタキセル タキソール NAB-パクリタキセル タキソール ドセタキセル ワンタキソテール エリブリン ハラヴェン 内服 2

細胞毒性抗がん剤 1 周期非特異性薬剤 2 S 期特異性薬剤 (Synthesis: 合成 ) 3 M 期特異性薬剤 (Mytosis: 分裂 ) 細胞毒性抗がん剤 1 周期非特異性薬剤 分類代表的薬剤作用機序主な副作用 アルキル化剤 プラチナ製剤 抗がん抗生物質 シクロフォスファミドイフォスファミドブスルファンダカルバジンカルムスチン シスプラチンカルボプラチンオキザリプラチン ダウノルビシンアドリアマイシンダクチノマイシンエピルビシン DNA 架橋形成 DNA 架橋形成 DNA 架橋形成 DNA 修復阻害 DNA 転写阻害 好中球減少脱毛出血性膀胱炎 腎障害悪心 嘔吐血小板減少 悪心 嘔吐好中球減少脱毛心筋障害 2 S 期特異性薬剤 細胞毒性抗がん剤 分類代表的薬剤作用機序主な副作用 代謝拮抗薬 1 型トポイソメラーゼ阻害剤 葉酸拮抗薬メソトレキセート プリン類似体フルダラビンメルカプトプリン ピリミジン類似体フルオロウラシルシタラビンゲムシタビン イリノテカントポテカン FH2 FH4 を阻害し DNA,RNA, タンハ ク合成阻害 核酸になりすまし DNA 合成 修復を阻害する 核酸になりすまし DNA,RNA 合成を阻害する DNA-DNA topoisioerase 複合体を阻害する 骨髄抑制口内炎 骨髄抑制口内炎 骨髄抑制口内炎下痢 下痢悪心 嘔吐脱毛 3 M 期特異性薬剤 細胞毒性抗がん剤 分類代表的薬剤作用機序主な副作用 ビンカアルカロイド タキサン クロイソカイメン ビンブラスチンビンクリスチンビンデシンビノレルビン ドセタキセルパクリタキセル エリブリン チュブリンの重合を抑制し紡錘糸の合成を阻害 チュブリンの脱重合を抑制し紡錘糸の機能を阻害 チュブリンの重合を抑制し紡錘糸の合成を阻害 知覚神経障害血管炎骨髄抑制 知覚神経障害脱毛骨髄抑制 知覚神経障害脱毛骨髄抑制 細胞分裂と細胞周期 細胞分裂と細胞周期 G 0 期 ( 非分裂細胞 ) G 1 期 : Gap1( 第 1 休止期 ) S 期 : Synthesis ( 合成期 ) G 2 S G 1 G 2 期 : Gap2 ( 第 2 休止期 ) M M 期 : Mytosis ( 分裂期 ) 3

がん細胞 正常細胞 無秩序 無限の増殖早い増殖がん組織の縮小 消失 ( 効果 ) 秩序だった制御された増殖増殖の早い組織毛根脱毛 禿頭消化器粘膜悪心 嘔吐骨髄好中球減少皮膚 爪皮疹 爪脱 ホルモン療法薬 組織染色で乳癌の好物を知る 分類一般名商品名 前 閉経 後 摂取方法 シ ェネリック 卵巣機能抑制薬 抗エストロゲン薬 リュープロレリン リュープリン 皮下注射 ゴセレリン ゾラデックス 皮下注射 タモキシフェン ノルバデックス 内服 トレミフェン フェアストン 内服 プロゲステロン薬 メドロキシプロゲステロン ヒスロンH 内服 アナストロゾール アリミデックス 内服 アロマターゼ阻害薬 レトロゾール フェマーラ 内服 左上 : エストロゲン受容体右上 : プロゲステロン受容体左下 :HER2 エキセメスタンアロマシン 内服 乳癌細胞中の女性ホルモン受容体 閉経前 乳癌と女性ホルモン 性周期に伴い卵巣から女性ホルモンが分泌される 閉経後 副腎皮質から分泌される男性ホルモンが皮下脂肪などに存在する酵素 アロマターゼ により女性ホルモンに変換される 女性ホルモン受容体陽性の乳癌にとっては餌となる 4

閉経前 LHRH アゴニストリュープリン R ゾラデックス R 抗エストロゲン剤ノルバデックス R フェアストン R プロゲステロン剤ヒスロン H R ホルモン療法 アロマターゼ阻害剤アリミデックス R アロマシン R フェマーラ R 抗エストロゲン剤ノルバデックス R フェアストン R プロゲステロン剤ヒスロン H R 閉経後 O 男性ホルモンと女性ホルモン OH CH 3 CH 3 アロマターゼ OH CH 3 HO テストステロンエストラジオール アロマターゼ阻害剤 世代非ステロイド系ステロイド系 aminoglutethimide testolacotone 1 ( 日本非発売 ) ( 日本非発売 ) 分子標的薬 2 fadrozole ( アフェマ ) formestane 3 anastrozole ( アリミテ ックス ) letrozole ( フェマーラ ) exemestane( アロマシン ) 乳癌における HER2 (Human Epidermal Growth Factor Receptor type 2) 分類一般名商品名摂取方法シ ェネリック 抗体トラスツズマブハーセプチン点滴静注 キナーゼ阻害ラパチニブタイケルブ内服 HER2/neu (c-erbb2) 癌遺伝子産物 細胞膜表面の receptor-type tyrosine kinase 15-25% で DNA 増幅またはタンパク過剰発現 発育 増殖に関与 増幅 / 過剰発現の認められる乳癌は : 予後が悪い (prognostic factor) anthracyclines に対する高感受性 (positive predictive factor) ホルモン療法に対する低感受性 (negative predictive factor) 5

細胞表面の HER タンパク HercepTest による免疫組織化学染色 No staining (<10% of tumor cells) 0 Faint perceptible membrane staining (>10% of tumor cells) 1+ 2+ Weak to moderate membrane staining (>10% of tumor cells) 3+ Strong complete membrane staining (>30% of tumor cells) Hudis C. N Engl J Med 2007;357:39-51 17 番染色体長腕 17q12 fluorescent in situ hybridization HER2/CEP: 0.7 HER2/CEP: 4.7 HER2/CEP: 1.0 HER2/CEP: 6.6 HER2/CEP: 1.2 HER2/CEP: 7.6 HER2/CEP: 1.3 HER2/CEP: 7.7 ハーセプチン ( トラスツズマブ ) ヒト化抗 HER2 モノクローナル抗体 HER2 タンパク過剰発現 抗原結合部位 : マウス抗体由来 のない乳がん細胞 のある乳がん細胞 ヒト IgG1 部分 6

トラスツズマブ (HER2 タンパクに対する抗体 ) 40,000 人 / 年 乳癌診療概観 診断手術放射線薬物 再発 14,000 人 / 年 薬物 放射線 手術 Primary Treatment Complex 治癒 治癒 症状緩和 QOL 向上 延命 400 人 / 年 死亡 乳がんの治療 局所治療 ( 外科手術 放射線照射 ) と全身治療 ( 抗がん剤分子標的薬剤 ) を併用し治癒を目指す しっかりと区別して考えることが大切 全身治療を主体に 放射線照射 外科手術を適宜併用し 症状緩和 症状予防 延命を目指す 乳がん薬物療法 ( 術前 術後療法 ) Curative Chemotherapy 治癒率向上 臨床試験で検証された投与量を厳密に守る必要がある Palliate symptoms, Prevent symptoms Prolong survival 症状コントロールと副作用マネージメント QOL を保つためには投与量を減量することも許容 Q: 薬物療法は術前 or 術後 どちらにするか A: 浸潤癌であり腫瘍サイズが Core Needle Biopsy 可能なら術前薬物療法が望ましい 理由 : (1) 治療効果を患者自身が体感できる (2) 効果を見ながら薬剤の変更ができる (3) 整容性の高い温存術が可能となる 7

症例 1 58 歳閉経後 検診受診姉二人が乳癌 ( 一人は死亡 ) 左 C 領域 T=3cm T2N0M0: Stage IIA 針生検 : 浸潤性乳管癌 ( 充実腺管癌 ) ER (+:90 %), PgR (+:90 %), HER2 (2+) FISH (-) Ki67:12 % 核異型度 :1 治療 術前 フェマーラ 治療前 2009/11/21 最近 2011/04/02 32 才 AI さんの場合 楽器会社に勤める AI さんは 朝シャワーを浴びているときに 右の乳房の下 外側に卵ほどの大きさのごつごつしたしこりを感じた 今まで全く気付かなかった 翌日 総合病院の外科を受診し診察をうけ マンモク ラフィ 超音波 MRI を実施 翌週の外来で 4cm の乳癌なので乳房全摘が必要 といわれた AI さんはどうしても乳房をとるのはいやだと思った インターネットで検索し浜松オンコロジーセンターをみつけ 乳房温存の可能性についてセカンドオピニオンを聞いてみようと予約した AI さんの乳房 MRI 画像 AI さんの病理検査結果 HER2 タンパク エストロゲン受容体 プロゲステロン受容体 8

32 才 AI さんの場合 治療日誌 HER2 enriched Breast Cancer に対する術前化学療法 trastuzumab + vinorelbine trastuzumab 前半 trastuzumab + vinorelbine 12 週間 trastuzumab + paclitaxel 後半 trastuzumab + paclitaxel 12 週間 trastuzumab +vinorelbine trastuzumab + paclitaxel trastuzumab +vinorelbine trastuzumab + paclitaxel の病理学的効果 病理学的完全効果 治療前 治療前 治療後 治療後 がん治療とその目標 診断 目標治癒 手術放射線薬物 再発 薬物放射線手術 治癒 治癒 目標症状緩和 症状予防 延命 死亡 9

再発の早期発見は意味がない腫瘍マーカー値上昇瘍マーカー値上昇PET検査異常PET検査異常通常画像検査通常画像検査異常異常症状発症状発 再発の診断時点はいつか? 腫 ( 薬物療法 手術 放射線 ) 現終末期医療 ( 症状緩和 苦しみを取り除く ) 緩和医療 現 生存期間が延長するように見えるだけ 乳がんの治療 局所治療 ( 外科手術 放射線照射 ) と全身治療 ( 抗がん剤分子標的薬剤 ) を併用し治癒を目指す しっかりと区別して考えることが大切 全身治療を主体に 放射線照射 外科手術を適宜併用し 症状緩和 症状予防 延命を目指す 目標 の目標と心構え 症状緩和 (Palliate Symptoms) 症状予防 (Prevent Symptoms) 延命 (Prolong Survival) 心構え 治癒は目標ではないが不可能ではない 出来ること 出来ないことを区分し出来ることは最善を尽くし 出来ないことは受け入れる 静穏の祈り 神よ変えることのできないものを受け入れる冷静さと変えなければならないことを変える勇気とそれらを区別する智恵とを我らにあたえたまえラインホルドニーバー PROPORTION SURVIVING 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 転移性乳癌患者の予後 1988-1993 国立がんセンター中央病院内科 274 症例 Median Survival Time : 28 months 5 Year Survival Rate : 22.5% 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120 132 144 MONTH AFTER DIAGNOSIS OF MBC Jpn J Clin Oncol 28(6):368 1998 10

Construction and Validation of Practical Prognostic Index for Patients With Metastatic Breast Cancer (J Clin Oncol 16(7):2401 1998) 0 1 2 Adjuvant Chemo (ADJCT) no yes Liver metastasis (HEP) no yes Distant LN metastasis (DLN) no yes Elevation of serum LDH no yes Disease free interval (DFI) 24 mo. < 24 mo. Low risk 0,1 Intermediate risk 2,3 High risk 4,5,6 PROPORTION SURVIVING 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 リスク別転移性乳癌患者の予後 Risk Category MST(mo.) High risk 10.0 Intermediate risk 22.8 Low risk 49.6 0 12 24 36 48 60 72 84 96 MONTH AFTER DIAGNOSIS OF MBC J Clin Oncol 16(7):2401 1998 SS さん 34 才 SS 34 才 再発乳癌患者の場合 1995/8 乳房切除術 (stage IIIA) 術後補助化学療法 1998/5 鎖骨上リンパ節転移出現再発後化学療法 (1) 肺 骨転移出現再発後化学療法 (2) 骨転移増悪放射線照射胸水 リンパ管性肺転移 1999/1 国立がんセンター中央病院受診 PS 4, 呼吸困難癌性疼痛 S. S. 34 才 再発乳癌患者の場合 S.S. さんの国立がんセンター中央病院受診理由 3 月 17 日に長男の卒園式がある いまかかっている病院では それまでもたないと言われた もし なんか治療があって 卒園式に出られるのなら 私は国立がんセンターで治療を受けたい S. S. 34 才 再発乳癌患者の場合 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 18 28 3 15 24 3 9 17 5 7 入院 外泊 退院卒園式入学式 死亡 DNR ハ クリタキセル 80 80 80 80 80 80 80 (mg) CEA 573 1218 340 191 162 国立がんセンター中央病院外来担当医師の説明 胸水を抜けば少しは楽になると思う 抗癌剤治療は可能だが 効果が出るかどうかはやってみないとわからない O2 45 81 103 56 75 CO2 44 87 68 52 43 r.a. 5L O 2 r.a. r.a. PS 4 4 4 3 2 2 1 11