熱電変換材料の実験値データベース構築と実験値マテリアルズ インフォマティクス 拓史 1,3, 桂ゆかり 1,3, 熊 将也 2, 今井庸 3, 郡司咲 3, 村薫 1 本 属学会 2017 秋 1 東京 学 学院新領域創成科学研究科物質系専攻 2 理化学研究所 新知能統合研究センター 3 物質 材料研究機構物質 材料統合研究拠点 [1] P. Gorai et al., Comp. Mat. Sci. 112 (2015) 368 376. [2] J. Yan et al., Energy Environ. Sci. 8 (2015) 983 994.
試料依存性 同じ物質名でも 試料の個体差が きく 特性が何桁も異なることも多い ドーピングによる試料特性の変化を考慮した分析が必要 第 原理計算だけでは情報が不 しており 実験データを使 した MIが必要 熱電材料特性の複雑さ 無次元性能指数 ZT σs κ T S: ゼーベック係数 σ: 電気伝導度 κ: 熱伝導率 論 中の実験データを 規模に収集 分析する 法が必要 G. J. Snyder and E. S. Toberer, Complex thermoelectric materials., Nature Materials, 7, 2 (2008) p105-114.
熱電材料特性の複雑さ 試料依存性 同じ物質名でも 試料の個体差が きく 特性が何桁も異なることも多い ドーピングによる試料特性の変化を考慮した分析が必要 第 原理計算だけでは情報が不 しており 実験データを使 した MIが必要 Mg2Si のドーピングによる実験値の変化 論 中の実験データを 規模に収集 分析する 法が必要 G. J. Snyder and E. S. Toberer, Complex thermoelectric materials., Nature Materials, 7, 2 (2008) p105-114.
熱電材料における既存の実験値データベース Materials Research Laboratory (MRL) 約 100 論 からの実験値を収集 ( 共同研究者 6 名 ) 1 材料系につき数試料のデータを収録 既存の実験値を材料系ごとに 較 M.W. Gaultois et al. Chem. Mater. 25.15 (2013) 2911 2920.
熱電材料に関する論 上の実験データを効率的にデータベース化する 法を開発すること 程通常の 作業 作業の効率化完全 動化 ( 理想 ) 論 ダウンロードグラフ抽出情報 作業で 1 本ずつ 材料研究者の内在的知識を活 本研究の 的 針 リストに従って 動ダウンロード ( 無料 ) 作業を効率化する半 動化ソフトで研究者が情報 動ダウンロード (TDM API) 画像認識で 動抽出 テキストマイニングで内容と 脈を 動抽出 作業者 研究業務員 研究業務員 + 研究者 情報科学者 対応論 数 数百本 数千 数万本? 制限なし 準備期間 作業の効率を 1 2 年? 3 5 年? コメント 10 倍にすればいい 情報量が最 化 情報量が少なく不正確 変すぎる 早くMIが始められる チェックで 度 間 未確 の技術 完全 動化は理想だが 論 やグラフのフォーマットがばらばらすぎて困難 専 家の論 読解 を有効活 する枠組みが必要
論 実験値の収集 論 PDF のダウンロード 作業を分割して うことで効率化できる Pb site 論 のグラフ画像抽出 Te site Pb site:pb or Sn Te site:te, Se, or S サンプル情報記 特性値データトレース ターゲット材料熱電材料としてよく研究されている PbTe 系半導体 (NaCl 構造の PbTe, PbSe, PbS, SnTe)
論 実験値の収集 論 PDF のダウンロード thermoelectric materials で検索した 18,471 の論 リストから PbTe 系材料に関する 254 件の論 PDF をダウンロード list of 18,471 papers PDF の名前はリスト番号 _DOI にして保存
論 実験値の収集 論 のグラフ画像抽出 Starrydata Station Made by 桂助教 物理量と図表番号を クリックするだけで ファイル名 動設定 画像保存 画像ファイル名を リスト番号_DOI_図表番号_物理量にして保存 σ, S, κの温度依存性に関する グラフを論 から抽出
サンプル情報記 特性値データトレース 論 実験値の収集 453 試料の実験値の数値データを収集し csv 形式で保存 論 図 試料組成に関する情報をファイル名にして管理 txt ファイルを画像ファイル名 _ 試料組成にして保存 Traced by Webplotdigitizer Copyright 2010 2017, Ankit Rohatgi
PbTe 系材料 453 サンプルの収集データ Temperature dependence plot of S, σ, κ 23 種類の置換元素 Na, K, Mg, Ca, Sr, Ba, Al, Ga, In, Si, Sb, Bi, Cl, I, Cr, Mn, Zn, Ag, Cd, Hg, La, Ce, Yb 特性に 常に広い幅があるこのプロットから傾向を判断するのは難しい 特性間の相関の傾向を分析
S log(σ) 相関プロット Te 軽い anion ほど S が さくなる (Te > Se > S) 伝導帯は主に Pb の s-p バンドから成る anion の種類による S の変化がない 価電 帯は主に anion の p バンドから成る anion の種類によるフェルミ 付近の状態密度変化が S に影響
S log(σ) 相関プロット Se 軽い anion ほど S が さくなる (Te > Se > S) 伝導帯は主に Pb の s-p バンドから成る anion の種類による S の変化がない 価電 帯は主に anion の p バンドから成る anion の種類によるフェルミ 付近の状態密度変化が S に影響
S log(σ) 相関プロット S 軽い anion ほど S が さくなる (Te > Se > S) 軽い anion ほどバンド端が低くなる (Te > Se > S) バンド端縮重が少なくなる 伝導帯は主に Pb の s-p バンドから成る anion の種類による S の変化がない 価電 帯は主に anion の p バンドから成る anion の種類によるフェルミ 付近の状態密度変化が S に影響
S log(σ) 相関プロット ( 過去のデータベース ) MRL データベースカルコゲナイド系 p type n type S with heavier anion > S with lighter anion anion の種類による S の違いが られない 過去の実験値データベースでは 1 つの材料に対するデータが少なくて えなかった傾向が えた
κ σ 相関プロット 原 量 Te > Se > S κ with heavier anion < κ with lighter anion κ with mixed anions < κ with single anion まだデータの傾向に幅が きい cationの種類や微細構造の違いによる分類が必要
ZT log(σ) 相関プロット Pb site Te site G. J. Snyder and E. S. Toberer, Complex thermoelectric materials., Nature Materials, 7, 2 (2008) p105-114. Anion の種類によって ZT のピーク位置と きさが異なる 計算から導かれる ZT の依存性と整合性がある データ収集により物質ごとの最適な電気伝導率 σ を推定することができる
Starrydata2 本熱電学会熱電特性データベース WG(since 2015 Dec.) で論 リスト 実験値データの共有 分の好きな材料系でのデータ収集や実験値分析の補助を 的とする
まとめ データ収集今回提案したデータ収集 法により個 で PbTe 系の 453 試料のデータを収集することができた材料系を絞っていても幅広い温度依存性を持つデータが得られた データ分析 Anion の違いによる熱電特性間の相関の違いを観察することができた 様々な条件での分類から更に傾向を観察できる幅広いキャリア濃度を持つ試料のデータがあるため第 原理計算の結果を補正して正しい電 構造を導くことに利 できると期待される 本研究は 科学技術振興機構 (JST) のイノベーションハブ構築 援事業の 情報統合型物質 材料開発イニシアティブ (MI2I) から 援を受けた
今後の展望 熱電特性データベースWGでStarrydata2を いて実験値データベースを 規模化グラフ型データベースの共有統計学 経験則の証明 新法則の発 シミュレーションの深化 第 原理計算と実験値の整合性の確認 フィッティングによる未知パラメータの導出 データ科学の導 により研究者に新しい知 をもたらし材料の研究開発を 幅に加速する 機械学習 ( 変数選択 スパースモデリングなど ) 実験値の予測 電 構造の逆算 新規材料の探索