fMRIについて

Similar documents
SE法の基礎

<4D F736F F F696E74202D2088E B691CC8C7691AA F C82512E B8CDD8AB B83685D>

バイバルコロナリーステント 2015 年 1 月作成第 1 版本ステントは 非臨床試験において 条件付きで MRI 検査の危険性がない MR Conditional に該当することが立証されている 下記条件にて留置直後から MRI 検査を安全に施行することができる 静磁場強度 3 テスラ以下 空間勾

『今からでも大丈夫!! MRI入門Part3』 アーチファクトの基礎 ・ケミカルシフトアーチファクト ・磁化率アーチファクトの基礎

連続講座 画像再構成 : 臨床医のための解説第 4 回 : 篠原 広行 他 で連続的に照射する これにより照射された撮像面内の組織の信号は飽和して低信号 ( 黒く ) になる 一方 撮像面内に新たに流入してくる血液は連続的な励起パルスの影響を受けていないので 撮像面内の組織よりも相対的に高信号 (

Microsoft PowerPoint - 臨床医工学田中2011Dec

有機4-有機分析03回配布用

Microsoft Word - MRIfan net原稿 B1+RMS0929.docx

3T MRI導入に伴う 安全規程の変更について

2014年4月改定対応-画像診断

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

スライド 1

Ingenia と Achieva 北野病院井上秀昭 第 16 回関西ジャイロミーティング

PowerPoint プレゼンテーション

2. FLSH の定常状態ここでは磁化の定常状態がどのように作られるのか感覚的につかめるように説明していきます 2.1 磁化ベクトルによる FLSH の定常状態の考察 Fig.3 の磁化ベクトルモデルを使って説明します 1) 縦磁化が定常状態を作っています 大きさを とします 2) 時刻 t=0 に

スライド 1

【資料1-2】脳神経外科手術用ナビゲーションユニット基準案あ

Microsoft PowerPoint - 第9回電磁気学

機器分析化学 3.核磁気共鳴(NMR)法(1)

<4D F736F F F696E74202D208ACC919F8BB38EBA91E63889F196DA814095FA8ECB90FC B8CDD8AB B83685D>

教えてください 1.5Tと3Tでは何がどう違うのか? 腹部領域

子宮・卵巣

課題 1-1 画像からの 3 次元形状推定 画像を刺激とした入力刺激の次元圧縮を行うため ヒトの視覚処理と似た画像処理を行うことで どのような情報が抽出可能であるかを調査した ヒトの一次視覚野で行われているような方位情報抽出をフィルタ処理により行った その方位情報をアルゴリズムにより加工することで

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint - 04.誘導起電力 [互換モード]

Taro-18_3シーメンス_スライド.jt

連続講座 断層映像法の基礎第 34 回 : 篠原 広行 他 放射状に 線を照射し 対面に検出器の列を置いておき 一度に 1 つの角度データを取得する 後は全体を 1 回転しながら次々と角度データを取得することで計測を終了する この計測で得られる投影はとなる ここで l はファンビームのファンに沿った

NMR_wakate_ ppt

学位論文名 :Relationship between cortex and pulvinar abnormalities on diffusion-weighted imaging in status epilepticus ( てんかん重積における MRI 拡散強調画像の高信号 - 大脳皮質と視


<4D F736F F D2090AC89CA95F18D908F915F927C91BA816989A18D9191E5816A2D312E646F63>

2016 年 3 月 28 日 東芝メディカルシステムズ株式会社 最新 MRI システム Vantage Titan 1.5T / cs Edition 販売開始 心臓検査の操作時間を大幅に削減 より身近な心臓 MRI 検査を実現 東芝メディカルシステムズ株式会社 ( 本社 : 栃木県大田原市社長

頭部推奨撮像条件 日本磁気共鳴専門技術者認定機構 ( 北海道地区 ) 1. 全脳 2. 頭蓋底 3. 下垂体 4. MRA 5. 脳卒中

PowerPoint プレゼンテーション

Ø Ø Ø

PowerPoint プレゼンテーション

第1章 様々な運動

放射線の人体に与える影響および 放射線とアイソトープの安全取扱の実際Ⅱ   北海道大学大学院医学研究科  加藤千恵次

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

15分でわかる(?)MRI

脂肪塞栓

Microsoft Word - note02.doc

Microsoft PowerPoint - 基礎電気理論 07回目 11月30日

ヒト脳機能データ推定システムの研究開発

<4D F736F F F696E74202D E8EA58FEA82C982E682E997CD82C68EA590AB91CC>

内 容 目 次

Microsoft Word - 2_0421

その他の脂肪抑制法 -Dixon法を中心に-

第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ⑴ 原告は, 平成 21 年 9 月 30 日 ( 優先権主張 : 平成 20 年 9 月 30 日, 米国, 平成 21 年 4 月 17 日, 英国 ), 発明の名称を 単磁区ナノ粒子の磁気共鳴イメージング とする特許出願 ( 特願 2011-

2009 年 11 月 16 日版 ( 久家 ) 遠地 P 波の変位波形の作成 遠地 P 波の変位波形 ( 変位の時間関数 ) は 波線理論をもとに P U () t = S()* t E()* t P() t で近似的に計算できる * は畳み込み積分 (convolution) を表す ( 付録

スライド 1

Microsoft PowerPoint - hiei_MasterThesis

X 線 CT における らせん穴あきファントム を用いたスライス厚測定 鹿山清太郎 (1) 伊藤雄也 (1) 山際寿彦 (1) 丹羽正厳 (1), (2) 富田羊一 (1), (3) 辻岡勝美 (4) 加藤良一 (4) 1) 藤田保健衛生大学大学院保健学研究科医用放射線科学領域 2) 市立四日市病院

X 線コンヒ ュータ断層撮影法 X-Ray CT: Computed Tomography 磁気共鳴画像診断法 MRI: Magnetic Resonance Imaging

2. コンデンサー 極板面積 S m 2, 極板間隔 d m で, 極板間の誘電率が ε F/m の平行板コンデンサー 容量 C F は C = ( )(23) 容量 C のコンデンサーの極板間に電圧をかけたとき 蓄えられる電荷 Q C Q = ( )(24) 蓄えられる静電エネルギー U J U

A_MRI ppt

いて認知 社会機能障害は日々の生活に大きな支障をきたしますが その病態は未だに明らかになっていません 近年の統合失調症の脳構造に関する研究では 健常者との比較で 前頭前野 ( 注 4) などの前頭葉や側頭葉を中心とした大脳皮質の体積減少 海馬 扁桃体 視床 側坐核などの大脳皮質下領域の体積減少が報告

Microsoft Word - 01.docx

PowerPoint プレゼンテーション

特集 2 光脳機能イメージング 近赤外分光法 (NIRS) 信号の意味 東海大学医療技術短期大学看護学科 灰田宗孝 NIRS 開発の歴史近赤外分光法 (NIRS:Near Infra Red Spectroscopy) は 波長 700 2,500nmの光が 他の波長領域の光と比べ生体への透過性が高

脳ドックは 病気が起こる前に 脳の健康診断を行うことが目的です 中高年層から起こる脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を早期に発見し予防に役立てるために 脳ドック をおすすめいたします 脳卒中の危険因子と言われる高血圧 糖尿病 高脂血症 肥満 長期の喫煙歴 家族に脳血管障害が有る方などは 特に注意が必要で

目標 近年の電波利用システムを対象とした高精度ばく露量評価手法について調査検討を行ない 得られた成果に基づき 電波防護指針適合性評価手法の確立および電波の安全性に関する医学 生物学的研究に寄与することで 電波防護指針に基づく適正かつ健全な電波利用環境の構築に貢献する 2

s ss s ss = ε = = s ss s (3) と表される s の要素における s s = κ = κ, =,, (4) jωε jω s は複素比誘電率に相当する物理量であり ここで PML 媒質定数を次のように定義する すなわち κξ をPML 媒質の等価比誘電率 ξ をPML 媒質の

例 e 指数関数的に減衰する信号を h( a < + a a すると, それらのラプラス変換は, H ( ) { e } e インパルス応答が h( a < ( ただし a >, U( ) { } となるシステムにステップ信号 ( y( のラプラス変換 Y () は, Y ( ) H ( ) X (

Presentation Title Arial 28pt Bold Agilent Blue

15分でわかる(?)MRI

連続講座 画像再構成 : 臨床医のための解説第 1 回 : 篠原広行 他 画像再構成 : 臨床医のための解説第 1 回 MRI における折り返しアーチファクトの発生機序と対策 篠原 広行 1) 小島慎也 2) 橋本雄幸 3) 2) 上野恵子 2) 1) 首都大学東京東京女子医科大学東医療センター放射

RLC 共振回路 概要 RLC 回路は, ラジオや通信工学, 発信器などに広く使われる. この回路の目的は, 特定の周波数のときに大きな電流を得ることである. 使い方には, 周波数を設定し外へ発する, 外部からの周波数に合わせて同調する, がある. このように, 周波数を扱うことから, 交流を考える

画像処理工学

PowerPoint プレゼンテーション

第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

公益ざい

<4D F736F F D D816993FA97A7816A89698B768EA590CE4D52498A4A94AD82CC95E082DD>

Microsoft Word - H26mse-bese-exp_no1.docx

Microsoft PowerPoint EM2_15.ppt

15分でわかる(?)MRI

Philips MR- VoC - Ingenia Elition x Kumamoto Chuo Hospital

生物 第39講~第47講 テキスト

ID: 02053(090603) イヌで後肢のふらつきが認められた症例

スライド タイトルなし

第 33 回 ( 平成 27 年度 ) 大阪科学賞記念講演レジュメ ~ 研究者を目指す高校生の皆さんへ 脳情報デコーディング 脳から心を読む技術 京都大学 / 国際電気通信基礎技術研究所 (ATR) 神谷之康 デコーディングとは? サザエさん で有名な長谷川町子にこんな 4 コマ漫画があります 若い

レーザー発振の原理

Chap. 1 NMR

Microsoft PowerPoint - machida0206

3DASL (Arterial Spin Labeling) 技術解説 June 18, 2011 MR 技術部宇野万里恵 Copy 2011 GE Healthcare Japan 無断転載禁止

問題 2 資料 No.2 を見て 次の設問に答えなさい < 送風機の断面図 > で示す片吸込み型送風機において 過去に何らかの原因で運転中に羽根車のアンバランスが増大し 軸受損傷に至った経緯がある このアンバランス増大傾向をいち早く捉えるために ポータブル型の振動診断器によって傾向管理を行うことにな

Microsoft PowerPoint - aep_1.ppt [互換モード]

ÿþŸb8bn0irt

「複数モダリティー統合による 脳活動計測技術の研究開発」

⑤新技術説明会/印刷用資料の様式(首都大学東京_沼野先生)ロゴ挿入(暗証)

DVIOUT

構造力学Ⅰ第12回

スライド 1

( 全体 ) 年 1 月 8 日,2017/1/8 戸田昭彦 ( 参考 1G) 温度計の種類 1 次温度計 : 熱力学温度そのものの測定が可能な温度計 どれも熱エネルギー k B T を

【資料3-1】認証基準_認証基準改正の概要

線形システム応答 Linear System response

2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように

非造影MRA ~上肢~

Transcription:

はじめに fmri について 佐藤病院リハビリテーション科理学療法士土岐哲也 H28.2.8 日 ( 月曜日 ) 近年 磁気共鳴画像法 (magnetic resonance imaging:mri) の発展により 全脳レベルでの脳活動や神経線維連結等を評価することが可能となっている 水分子の拡散方向や程度を画像化する拡散強調画像 (diffusion weighted imaging:dwi) 技術を用いて脳内の白質線維走行を評価する拡散テンソル画像 (diffusion tensor imaging:dti) は白質神経線維の統合性を評価する目的で近年広く用いられている 今回 当院にも fmri が使用することができるため紹介したいと思う MRI とは MRI とは manetic resonace imaging の略称で 磁気共鳴画像と呼ばれる現象を利用した断層撮影法のことである MRI 装置の中で視覚 聴覚 触覚 味覚 嗅覚などの五感や運動または認知的な刺激を加えた時に 脳内のどの部位が活動していたのかということを把握することができる 頭部だけではなく頸部 胸部 腹部 骨盤 四肢など全身あらゆる部位を撮影することが可能である MRI の理論 水素原子は血液や細胞液 脂肪などを構成している元素の一つであり 人体を構成する元素のうち最も多く存在している 地球上には地磁気が存在しているが 地場中にある 1 個の水素原子は歳差運動することが知らされている 水素原子は陽子の周囲を 1 個の電子が回転している構造をしておりスピンとも呼ばれる 原子が歳差運動する角速度を核周波数とよび地場の大きさに比例して核周波数も大きくなる ここで ω は核周波数 Bo は地場の大きさ γ は磁気回旋比と呼ばれる核に固有の定数である 水素原子そのものが小さな磁石と同じ性質を持っているので 1 個の水素原子は電子が原子核を周回する面に垂直な方向の磁化ベクトルと考えることができる 歳差運動をしている磁化ベクトルを総和すると 1 つの巨視化磁化ベクトルとして表すことができる MRI の理論 MRI の理論 2 水素原子に対し スピンの歳差運動と同じ周波数で磁場を小刻みに振動させる RF(radio frequency) 波を印加することでスピンにエネルギーを与えることができる RF 波の印加によりエネルギーが与えられた状態を励起状態とよぶ 励起されたスピンは共鳴して磁化ベクトルの方向が変化する そのときの振動数を共鳴周波数と呼び その大きさは磁場の大きさと比例して大きく 1T(10000 ガウス ) あたり約 42MHz となる Z 軸方向にある磁化ベクトルに対し X 軸方向に RF 波を印加してスピンを励起すると 共鳴を起こし磁化ベクトルは Y 軸方向に回転する この現象を磁気共鳴現象と呼び 印加する RF 波の時間と強さとの積分により回転角度が決まる RF 波は印加することにより回転する磁化ベクトルの角度をフリップアングルとよび 回転角度が 90 回転するような RF 波を 90 パルス 180 回転するような RF 波を 180 パルスとよぶ RF 波を印加され励起した水素原子は共鳴周波数と同じ速度で歳差運動しながら元の磁化ベクトルの状態に戻ろうとする このとき受信コイルを置くと電磁誘導により起電力が生じる 受信コイルで検出した微弱電流波形を保存したデータが MRI 信号である 1

MRI 装置の構成 スライス断面の決定 スライス断面のみの水素原子を励起するためには 左図に示したように傾斜磁場コイルを利用して 磁場強度の強い場所と弱い場所を作り 目的とするスライス断面以外の場所の共鳴周波数を印加する RF 波の共鳴周波数以外の周波数にすることで実現できる 上記の図のように 静磁場コイルの内側に磁場の均一性を高めるためのシムコイルがあり その内側には磁場の大きさを空間的に直線的に変化させるための傾斜 ( 勾配 ) 磁場コイルが X Z Y 軸方向に 3 つあり さらにその内側に RF 波を送信したり MRI 信号を受信したりするボディコイルから構成される MRI 装置と空間的な座標との関係は 図に示した筒型の静磁場コイルの場合に身体の左右方向を X 方向 前後方向を Y 方向 頭側方向を Z 方向とするのが一般的である 目的のスライス断面のみを 1.5T の磁場強度となるように傾斜磁場をつくり 磁場強度 1.5T の共鳴周波数である 64MHz の RF 波を印加すると目的のスライス断面のみの水素原子だけが励起される 診療報酬 T1 強調画像 1 3 テスラ以上の機器による場合 1600 点 2 1.5 テスラ以上 3 テスラ未満の機器による場合 1330 点 3 1 又は 2 以外の場合 920 点注 :1 1 及び 2 については 別に厚生労働大臣か定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に限り算定する 1 2 及び 3 を同時に行った場合にあっては 主たる撮影の所定点数のみにより算定する 3 MRI 撮影 ( 脳血管に対する造影の場合は除く ) について造影剤を使用した場合は 250 点を所定点数に加算する 心臓の MRI 撮影を行った場合は 心臓 MRI 撮影加算として 300 点を所定点数に加算する 高信号 ( 白 ): 出血 ( 亜急性期 ) 低信号 ( 黒 ): 出血 ( 慢性期 ) ほとんどの病変 脳回の萎縮 脳室の拡大といった解剖構造をみるのに適する 造影剤投与前後に撮像されることが多い T2 強調画像 FLAIR 高信号 ( 白 ): ほとんどの病変低信号 ( 黒 ): 出血 ( 慢性期 ) 線維化 石灰化 多くの病変を鋭敏に ( 高信号として ) とらえる T2 強調画像では発症後 3~6 時間頃から高信号域として認められる 高信号 ( 白 ): ほとんどの病変低信号 ( 黒 ): 出血 ( 慢性期 ) 線維化 石灰化 水の信号を抑制した ( 低信号にした )T2 強調像 脳室や脳溝周辺の病変などをみるのに適する FLAIR 像では発症後 3~6 時間頃から高信号域として認められる 2

拡散強調画像 (DWI) 水分子の拡散を反映した画像 拡散低下部分が高信号となる 高信号 ( 白 ): なし低信号 ( 黒 ): 水 脂肪脳梗塞 ( 急性期 ) 類表皮腫 拡散強調画像 (DWI) は超急性期脳梗塞の診断に最も有用である DWI では水分子がランダムに動き ( 拡散運動 ) の多い領域が低信号としてとらえる 超急性期の脳梗塞部は細胞性浮腫により水分子の拡散が低下し 高信号となる 発症後 1~3 時間以内には脳梗塞巣を検出できると言われる 亜急性期 ~ 慢性期には徐々に信号が低下し 等信号 ~ 低信号域となる 急性期梗塞の確認のしやすさは DWI FLAIR 像 T2 強調画像 T1 強調像の順である 長所 fmri とは fmri は functional MRI の略称で機能的 MRI とも呼ばれている 現在の所 fmri という言葉は脳機能に対する撮影法 計測器 解析法などさまざまな意味で用いられており その意味の解釈ははっきりしていない 放射線被爆がない 空間分解能に優れる コントラスト分解能に優れる 非侵略的である あらゆる角度の断面が撮像できる 短所 fmri の特徴 全脳撮像の場合には時間分解能はそれほど高くない (3 秒程度 ) 金属を持ち込めない 刺激に用いる道具に制限がある 心臓ペースメーカーなど磁性体の体内金属は禁忌 銀歯などの金属の周囲にはアーチファクトが現れる アーチファクト fmri でわかること fmri でみる情報というのは賦活を直接的にみているわけではなく 脳が賦活した高さをみている 脳が賦活した部位を検出する原理はホールド効果を用いる ホールド効果の流れ 神経細胞の活動増加 酸素消費量の増加 deoxy-hb 濃度が微少に上昇 脳血流の急激の増加 oxy-hb 濃度が急激に増大 MR 信号の増強 fmri の安全性 脳機能画像解析法の種類と特徴 脳機能画像解析法の長所と短所 静磁場が人体に及ぼす影響としては 4T 以上の磁場強度において めまい 頭痛 金属的な味覚などが報告されている 傾斜磁場コイルに電流を流したり止めたりすることでコイルがきしみ音が発生する 長所 短所 fmri 空間分解能が高い (2mm程度) 時間分解能が低い (3 秒程度 ) NIRS 時間分解能が高い ( 数 10msec 程度 ) 空間分解能が低い (3cm程度) MEG 時間分解能が高い (1msec 程度 ) 広がりをもつ活動源に対して有効な手立てがない EEG 時間分解能が高い (1msec 程度 ) 空間分解能が低い (3cm 程度 ) PET 雑音が少ない 時間分解能が低い ( 数 10 秒程度 ) 3

fmri の実験手順 1 実験に必要な器具の配置や MR 装置などの設定をするなど実験系の準備をする 2 被験者に対しての説明と同意 3 測定 4 アンケート 実験方法 ブロックデザインの実験はタスクのブロックと何もしていないレストの組み合わせを何度か繰り返して行う タスクを行っている状態の画像とレストの状態の画像と比較して解析を行っていない時には被験者にタスクを正確に遂行させることはもちろんのこと レストではできるだけ無心でいるように心がけてもらうなど タスクのことを考えさせないように注意を促す必要がある fmri の禁忌事項 fmri の実験に必要な機材 神経刺激装置 ペースメーカー 骨成長刺激装置 除細動器 人工内耳 脳動脈クリップ など 上肢の運動時の脳活動 上肢の運動イメージ中の脳活動 4

言語想起 ( 動物の名前 ) 終わりに ご清聴ありがとうございました 5