理学療法科学 22(1):33 38,2007 特集 脳卒中における機能障害と評価 Impairments and their Assessment in Stroke Patients 望月久 1) HISASHI MOCHIZUKI 1) 1) Department of Rehabilitation, Tokyo Metropolitan Bokutoh Hospital: 4 23 15, Koutoh-bashi, Sumida-Ku, Tokyo 130-8575, Japan. TEL +81 3-3633-6151 FAX +81 3-3633-6173 Rigakuryoho Kagaku 22(1): 33 38, 2007. Submitted Dec. 10, 2006. ABSTRACT: Impairments resulting from stroke are wide ranging. In this article, I discuss the nature of motor palsy and spasticity, which are the main impairments of stroke patients, and the assessment of them. For the assessment of motor palsy, Brunnstrom s recovery stages and motor function tests in the Stroke Impairment Assessment Set (SIAS) are compared; and for the assessment of spasticity, the Modified Ashworth Scale and the Modified Tardieu Scale are compared. I also discuss the assessment of balance ability in patients with stroke. Key words: stroke, impairment, spasticity, balance ability, assessment 要旨 : 脳卒中の機能障害は多岐に渡るが, 本稿では脳卒中の中核的機能障害である運動麻痺と痙縮に的を絞り, それらのとらえ方と評価法について検討する 運動麻痺についてはブルンストロームによる片麻痺の回復段階と脳卒中機能障害評価法 (Stroke Impairment Assessment Set, SIAS) の麻痺側運動機能評価, 痙縮についてはModified Ashworth ScaleとModified Tardieu Scaleを対比して検討する また, 脳卒中患者のバランス能力評価についても筆者らの研究結果も含めながら検討する キーワード : 脳卒中, 機能障害, 痙縮, バランス能力, 評価 1) 東京都立墨東病院リハビリテーション科 : 東京都墨田区江東橋 4-23-15( 130-8575) TEL 03-3633-6151 FAX 03-3633-6173 受付日 2006 年 12 月 10 日
34 理学療法科学第 22 巻 1 号 I. はじめに脳卒中片麻痺患者の機能障害の評価には, 運動 認知 情動といった脳機能全体の評価が含まれるが, 臨床の場でこれらの全ての検査を詳細に実施することは困難である 臨床の場では, 診断名をもとにコンピュータ断層撮影 (CT) や核磁気共鳴画像 (MRI) などの画像検査から得られる情報により患者の障害像を予測し, 実際の患者の状態を観察しながらスクリーニング的に検査を実施する そして, 必要に応じてより詳細な検査を実施して, 問題点の整理, 理学療法の目標の設定, 理学療法プログラムの作成を行っている 本稿では, 脳卒中片麻痺患者の中核的障害である中枢性運動麻痺と痙縮 ( 痙性 ) の臨床的測定法について検討する 中枢性運動麻痺の測定についてはブルンストロームによる回復段階と脳卒中機能評価セット (SIAS) の麻痺側運動機能評価を, 痙縮の測定ついてはModified Ashworth ScaleとModified Tardieu Scaleをとりあげ, 対比的に検討する また, 脳卒中片麻痺患者のバランス能力評価についても筆者らの研究結果も含めながら紹介する II. 脳卒中片麻痺患者の運動機能障害脳卒中片麻痺患者の運動機能障害は片側優位の中枢性麻痺で, 筋緊張および運動パターンの異常をともなう筋出力低下を特徴とする CarrとShepherd 1) は脳卒中片麻痺患者にみられる運動機能障害を上位運動ニューロン障害と捉え, 陽性徴候 positive feature, 陰性徴候 negative feature, 適応的徴候 adaptive featureに分け検討している 陽性徴候には伸張反射亢進 ( 狭義の痙縮 ), 陰性徴候には筋力 ( 筋出力 ) 低下 muscle weaknessと巧緻性の欠如 ( 協調性の障害 )loss of dexterity, 適応的徴候には筋と結合組織の変化 ( 機械的 機能的変化 ) 筋トーヌスの亢進 ( 他動運動に対する抵抗性 ) 運動パターンの変化などが含まれる 神経学的な意味での痙縮 ( 狭義の痙縮 ) は, 伸張反射が亢進し関節運動を介して筋を速く伸張すると抵抗感を感じるが, 伸張を続けると急に抵抗が低下する状態をさす 筋を速く伸張するほど初期の抵抗感が強く, ゆっくり伸張すると抵抗感が弱い このことを速度依存性という 痙縮はα 運動ニューロンの活動性の亢進の現れであるが,α 運動ニューロンが興奮する機序は確定的でない 2,3) 筋力低下は筋出力の絶対量が不足している状態で, 患 者は力を出そうと努力しても力を発揮できない 巧緻性の欠如は運動に際して筋活動の協調性がない状態で, 自由度の高い選択的な運動を実行できず, 患者は思うように身体を動かすことができない 運動麻痺が重度な場合は筋出力の低下が前景に立ち, 運動麻痺が軽度な場合は巧緻性の欠如が動作上の問題になりやすい 筋トーヌスの亢進は骨格筋の受動運動に対する抵抗性で, 筋や関節周囲組織の二次的変化の影響が強いとされる 臨床的に用いられる痙性 ( 痙縮 ) には, 伸張反射の亢進と筋トーヌスの亢進の両者が混在して用いられている 運動パターンの変化は, 筋力のアンバランス, 巧緻性の欠如, 筋トーヌスの亢進などにより, 患者の運動方法や姿勢が適応的に変化した状態をいう 脳卒中片麻痺患者の動作にみられる共同運動の影響, 分回し歩行や麻痺側の肩甲帯や骨盤帯が後退した歩行などが相当する III. 脳卒中片麻痺患者の運動麻痺の本質脳卒中片麻痺患者の陰性徴候としての筋出力低下と巧緻性の欠如について簡単なモデルを用いて考えてみたい 図 1の上段は, 脳内の運動の最終出力である一次運動野の運動ニューロン, 脊髄の運動ニューロン, 関節運動に関わる動筋と拮抗筋との神経線維連絡を示している ここで重要なことは, 末梢性運動神経麻痺では脊髄の運動ニューロンと筋 ( 筋線維 ) は1 対 1の対応関係にあるが, 中枢性運動神経麻痺では一次運動野の運動ニューロンと筋は1 対 1ではなく, 多対多の対応関係にあることである 添え字の数は, 一次運動野の各運動ニューロンが1レベルの興奮をすると脊髄運動ニューロンではそれらの神経活動が加算され, 最終的に動筋と拮抗筋に同じ5レベルの興奮が筋に伝わり, 動筋と拮抗筋が協調して収縮する様子を表している 脊髄運動ニューロンレベル以下の末梢性神経麻痺では, 脊髄運動ニューロンの活動性の低下や興奮伝達効率の低下が量的 比例的に筋の出力を低下させ, 機能障害として筋力低下が出現する これに対して中枢性運動麻痺では筋出力低下に加えて筋活動の協調性の低下が生じる 図 1の下段は脳血管障害により黒線の部分の一次運動野の運動ニューロンからの運動指令が失われた様子を表している 黒線の部分の情報が途絶えた結果, 脊髄の運動ニューロンの興奮性が変化し, 筋レベルでは動筋と拮抗筋の収縮のバランスが崩れて自由度の高い選択的な運動が阻害されてしまう このことが脳卒中片麻痺の運動麻痺の本質と考えられる 共同運動は本来的に
脳卒中における機能障害と評価 35 IV. 脳卒中片麻痺患者の運動機能障害の測定法 理学療法における運動機能障害の測定法には, 測定する内容が機能障害の本質に合っていること ( 妥当性 ) と測定結果が理学療法の目標設定やプログラムの立案などに役立つこと ( 実用性 ) が求められる この2つの視点から, 脳卒中片麻痺患者の運動麻痺の測定に用いられるブルンストロームによる片麻痺の回復段階 ( 以後 BRS) と脳卒中機能障害評価法 (Stroke Impairment Assessment Set, SIAS) の麻痺側運動機能評価, 痙縮の測定法であるModified Ashworth Scale( 以後 MASと略す ) とModified Tardieu Scale( 以後 MTSと略す ) を対比して検討する 1. ブルンストロームの片麻痺 (BRS) の回復段階 BRSは臨床的観察から, 脳卒中片麻痺患者に共通してみられる定型的運動要素である共同運動をキー概念として, 片麻痺の回復段階を6 段階に順序付けたものである 4) 日本の理学療法士の間では最も使用されている臨床的評価指標の1つであるが, 歩行機能との対応と運動の自由度の観点からの意味づけについて考えてみたい RBSと患者の歩行能力には概ね表 1のような関連性がある この関連性は臨床的な経験とRBSの各ステージの運動機能からの類推から得ることができる このような評価指標の値と歩行脳能力との対応は臨床上有用である また,BRSは定型的な共同運動から分離した自由度の高い運動へという, 運動麻痺の回復過程が示されており, 理学療法の方向性を与えてくれる 自由度の高い運動が可能なことは, そのことを可能にする情報処理能力を脳が有していることを表しており, 脳の情報処理能力の回復とも関連している 図 1 中枢性運動麻痺のモデル図上段は健常者, 下段は脳卒中による中枢性運動麻痺の状態を示す 下段の黒い部分が病巣部を示し, 傷害されたニューロンからの信号が途絶え, 筋出力の低下と協調性の低下が生じる 備わっている運動ニューロン間の線維連絡で, 脳血管障害により病巣部の運動ニューロン活動が失われたときに, 残存運動ニューロンの活動と解剖学的に定まる筋の走行により, 一定の運動様式が現れるものと考えることもできる 2. SIAS 麻痺側運動機能評価 SIASは脳卒中患者の総合的な評価法で, その中の一部として上肢 (2 項目 ) と下肢 (3 項目 ) の麻痺側運動機能測定項目がある ( 表 2) 5) 各測定項目とも共通して0 から5の6 段階の評定で, 各運動課題を非麻痺側と同等な筋力と協調性で実施できることが最高点の基準である 0から3までは徒手筋力検査 (MMT) 順じた基準,3から 5までは協調性の視点が加わっており, 筋出力と協調性の両面から脳卒中患者の運動機能を捉えている BRSには,1 共同運動を中心とした麻痺の一面を見ているだけに過ぎない,2 下肢の近位機能と遠位機能を分けていない,3 評価が煩雑である,4 順序尺度としての信頼性 妥当性が十分でない,5 必ずしも回復段階に沿って患者の機能改善が進むわけではない, などの問題点があり,
36 理学療法科学第 22 巻 1 号 表 1 ブルンストロームの片麻痺の回復段階 (BRS) と歩行能力との関連性 Ⅰ 下肢の BRS ステージ 弛緩性の麻痺の状態で連合反応も出現しない 予想される歩行能力 随意的な運動がなく, 麻痺側下肢の立脚期の支持性が得られないため, 長下肢装具でも歩行は困難 Ⅱ 連合反応による運動が出現する 連合反応や運動 姿勢の変換により筋の緊張状態が変化するため, 長下肢装具 ( 短下肢装具 ) での歩行の可能性がある Ⅲ 屈筋共同運動 伸筋共同運動による運動が可能 屈筋共同運動による遊脚期の振り出し, 伸筋共同運動による立脚期の支持が可能になり, 多くは短下肢装具での歩行が可能 Ⅳ 座位で 90 以上の膝屈曲, 足背屈が可能 股関節 膝関節 足関節の分離運動が一部可能になるため, 多くの症例で歩行は可能. 短下肢装具は必要なことが多い Ⅴ 立位で股伸展位の股屈曲, 足背屈が可能 さらに分離運動が可能となり, 簡便な短下肢装具などでほとんどの症例で歩行可能 Ⅵ 立位で股外転, 座位で股外内旋が足内反外反を伴って可能 装具なしで歩行可能で歩容も正常に近い * 臨床的な経験をまとめたもので, 体幹機能や非麻痺側機能により歩行能力は変化する 表 2 SIAS による下肢の麻痺側運動機能評価法 下肢近位 ( 股 )hip-flexion test 座位にて股関節を 90 より最大屈曲させる.3 回行う. 必要ならば座位保持のための介助をしてかまわない 0: 全く動かない 1: 大腿にわずかな動きがあるが足部は床から離れない 2: 股関節の屈曲運動があり, 足部は床から離れるが十分でない 3: 課題可能. 中等度または著明なぎこちなさあり 4: 課題可能. 軽度のぎこちなさあり 5: 健側と変わらず. 正常. 下肢近位 ( 膝 )knee-extension test 座位にて膝関節を 90 屈曲位から十分伸展 ( 10 程度まで ) させる. 必要ならば座位保持のための介助をしてかまわない 0: 全く動かない 1: 下腿にわずかな動きがあるが足部は床から離れない 2: 膝関節の伸展運動があり, 足部は床から離れるが十分でない 3 ~ 5:hip-flexion test の定義と同一. 下肢遠位 foot-pat test 座位または臥位. 座位は介助しても可. 踵部を床につけたまま, 足部の背屈運動を強調しながら背屈 底屈を 3 回繰り返し, その後なるべく速く背屈を繰り返す. 0: 全く動かない 1: わずかな背屈運動があるが前足部は床から離れない 2: 背屈運動があり, 前足部は床から離れるが十分でない 3 ~ 5:hip-flexion test の定義と同一.
脳卒中における機能障害と評価 37 表 3 下肢のブルンンストロームの回復段階と SIAS 運動機能評価との関連性 * SIAS の得点は間隔尺度ではないが便宜的に平均値を求めた (n = 56) これらに関して改善されている 共同運動という視点はないが, 筋出力 協調性の低下の中枢性運動麻痺に重要な特性を捉えており, 簡便に運動麻痺の全体像をつかむ上では使用しやすい 3. BRSとSIAS 運動機能評価との関連性表 3は筆者の調査した下肢のBRSとSIASの運動機能評価項目との関連性である SIASについては下肢の総合的な評価指標として, 股関節 膝関節 足関節の各得点および得点合計を使用した 下肢 BRSと下肢のSIAS 運動機能評価の合計点との相関はrs=0.953(p<0.01) となり, 強い相関を認めた また, 下肢のSIAS 運動機能評価の評点は股関節屈曲, 膝関節伸展, 足関節背屈の順で低下し, 遠位の運動麻痺が強い傾向を示した 6) 4. Modified Ashworth Scale(MAS) MASはAshworthによる原法をBohannonらが改定したものである 7) 関節の可動範囲を1 秒程度で他動的に屈伸させ, 伸張される筋の痙縮の度合いを0,1,1+,2,3, 4の5 段階に評定する順序尺度である ( 表 4) 評定の記載から分かるように, 神経学的な痙縮と筋の性状の変化の両者を混合して測定している 伸張速度も比較的遅いので, 拘縮も含めて筋や関節周囲組織の性状の変化に強く影響される 評価の信頼性については低いとする報告もある 8) 5. Modified Tardieu Scale(MTS) MTSは伸張速度を変えて痙縮の測定をするのが特徴である 筋の伸張速度は,V1: できるだけゆっくり, V2: 対象とする体節が重量で落下する速さ,V3: できるだけ速く, の3 種類である 痙縮の程度は, 伸張に対 表 4 Modified Ashworth Scaleの評定 0 : 筋緊張の亢進はない 1 : 可動域の終わりにわずかな抵抗感がある 1 +: 可動域の 1 / 2 以下でわずかな抵抗感がある 2 : 全可動域で抵抗感があるが, 運動は容易である 3 : 他動運動が困難なほど抵抗感がある 4 : 拘縮状態で屈曲 伸展は困難である表 5 Modified Tardieu Scaleによる痙縮の評定 0 : 他動運動中の抵抗を感じない 1 : 他動運動中のわずかな抵抗を感じるが明らかな引っかかりはない 2 : 他動運動に対する明らかな引っかかりがある 3 : 持続しない ( 伸張し続けた場合に 10 秒に満たない ) クローヌスがある 4 : 持続する ( 伸張し続けた場合に 10 秒以上の ) クローヌスがある ( 文献 10 より引用 ) する抵抗感やクローヌスの状態から5 段階に評定する ( 表 5) また,V3とV1の速度で筋を伸張したとき, 最初に抵抗感 ( 引っかかり感,catch) を示す関節角度 (R1:V3 の速度,R2:V1の速度) を測定する 9,10) V1は筋や関節を構成する軟部組織の粘弾性や伸長性に規定される非反射性要素 ( 拘縮 ) を,V3は伸張反射の亢進による反射性要素を反映するとされる 竹内ら 10) は足関節底屈筋に対してMASとMTSの測定を行い,MTSの信頼性, およびV1の伸張速度におけるMTSの痙縮の評定とMASの評定に強い相関があることを報告している
38 理学療法科学第 22 巻 1 号 6. 痙縮の臨床的意味 MASやMTSは筋の他動的伸張に対する抵抗感から痙縮の程度を測定しており, 安静時の筋の痙縮を評価している しかし理学療法士にとっては, 脳卒中患者の歩行の立脚期に麻痺側の下肢が伸展し足関節が内反底屈するような, 運動時の痙縮の状態と安静時の痙縮の程度がどのように関連するかが重要である 非反射性要素による抵抗感については関節可動範囲の減少 ( 拘縮 ) や運動に対する機械的抵抗として, 安静時の状態が運動時にも影響を及ぼすと考えられる 脳卒中患者の運動時に問題となるのは, 随意的な筋出力に対して不随意的に生じる筋出力が本来の運動を阻害することである この現象を臨床的には 痙性 と表現していると考えている MTSなどで測定される痙縮の反射性要素と 痙性 の関連性や 痙性 の評価方法の検討は, 理学療法士にとって大きな課題である V. 脳卒中片麻痺患者のバランス能力評価脳卒中片麻痺患者のバランス能力測定にはBRSのように理学療法士間で普遍的に使用されている測定法はないが, 直立検査,Fugl-Mayer 評価法のバランスの下位項目,Berg balance scale,functional reach,timed Up & Go test などが使用されつつある 11,12) 筆者らは, 主に重心動揺計を用いて脳卒中片麻痺患者のバランス能力測定を行なってきた 13,14) その結果からは, 脳卒中患者の歩行能力と麻痺側への重心移動能力に強い関連があり, 麻痺側足底の支持基底面内に身体重心線を納めることができる姿勢調節能力の獲得が歩行の改善に寄与することが示唆された また, このことは麻痺側片脚立位保持などの簡便な方法で, 脳卒中片麻痺患者のバランス能力や歩行能力の推定に関する重要な情報が得られることを示している VI. おわりに脳卒中片麻痺患者の運動機能障害の測定法について, 病態との関連と臨床的な意味づけを中心に私見を述べた 脳卒中片麻痺患者の障害像は複雑であり, 簡略にモ デル化しすぎた面もあるが, 障害像の本質を理解する上で参考になれば幸いである 神経科学や理学療法の進歩により病態や障害の理解が深まれば, それらの測定法もより的確で実用的なものになっていくと思う しかし, もう一方で現在ある評価指標の意味を考え, その結果が患者の機能障害や活動制限とどのような関連があるのかを追求し, 評価指標を実際に使える物指しにしていく作業も重要と考えている 引用文献 1) Carr JH, Shepherd RB: Stroke Rehabilitation. Butterworth-Heinemann, 2003. 2) 鴨下博 : 痙縮の新しい理解.Clin Rehabil,2002, 11(10): 893-899. 3) 関勝, 木村彰男 : 痙性片麻痺の筋緊張亢進状態. 総合リハ,2003, 31(12): 1107-1114. 4) 佐久間穣爾, 松村秩 ( 訳 ):Signe Brunnstrom 片麻痺の運動療法. 医歯薬出版, 東京,1974. 5) 千野直一 ( 編 ): 脳卒中患者の機能評価 SIASとFIMの実際. シュプリンガー フェアラーク東京, 東京,1997. 6) 望月久 他 : 脳卒中片麻痺患者の運動機能評価 (Brunnstrom stageとsias 運動機能評価の比較 ). 東京都衛生局学会誌, 1997, 99: 188-189. 7) Bohannon RW, Smith MB: Interrater reliability of a modified ashworth scale of muscle spasticity. Physical Therapy, 1987, 67: 206-207. 8) Blackburn M, Vliet P, Mockett SP: Reliability of movements obtained with the modified ashworth scale in the lower extremities of people with stroke. Physical Therapy, 2002, 82(1): 25-34. 9) Cornerstone Therapy Education: Assessment of Spasticity, Part 1: http://www.cornerstoneceu.com/spasticityassessment.htm( 閲覧日 2006 年 10 月 19 日 ). 10) 竹内伸行, 田中栄里, 桑原岳哉 他 :Modified Tardieu Scale の臨床的有用性の検討. 理学療法学,2006, 33(2): 53-61. 11) 藤澤宏幸, 武田京子, 前田里美 他 : 脳卒中片麻痺患者におけるFunctional Reach Testと片脚立位保持時間の測定の意義. 理学療法学,2005, 32(7): 416-422. 12) 杉本諭, 丸谷康平 : 慢性期脳卒中患者の歩行能力と Functional Balance Scaleの下位項目の関係.PTジャーナル, 2005, 39(6): 547-552. 13) 望月久 : 脳卒中片麻痺患者の歩行能力と重心動揺. 理学療法科学,1998, 13: 7-10. 14) 望月久 : 脳卒中のバランス障害の経過とその対応.PT ジャーナル,2000, 34(11): 771-776.