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1 国際医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科博士課程 脳血管障害者の下腿下腿圧迫による痙縮抑制効果の検証 平成 24 年度 保健医療学専攻 理学療法学分野 運動動作学領域 学籍番号 :10S3067 氏名 : 三浦和 研究指導教員 : 黒澤和生教授 副研究指導教員 : 勝平純司

2 脳血管障害者の下腿下腿圧迫による痙縮抑制効果の検証 要旨 三浦和 先行研究において麻痺側下肢に対する圧迫は痙縮の程度を示す脊髄運動神経興奮性を抑制すると報告されている. しかし, 痙縮抑制に効果的な圧迫強度や時間を明らかにした研究はこれまで行われていない. 本研究の目的は痙縮の抑制に効果的な圧迫強度と時間を明らかにすることである. 対象は脳血管障害者 18 名 ( 男性 16 名 女性 2 名,BRSⅣ~Ⅵ) とし, 圧迫を麻痺側下腿に加え, 痙縮抑制の効果を安静時は誘発筋電図, 歩行時には三次元動作分析装置を用いて検証した. 結果として, 脳血管障害者への 30-40mmHg,3-5 分の圧迫が血流を阻害せず, 安静時の痙縮抑制効果をもつこと,30mmHg3 分以上の圧迫が歩行時の麻痺側下肢の膝関節角度とパワーに改善効果を与えることが明らかとなった. 本研究の結果は麻痺側下肢への圧迫による痙縮抑制効果だけでなく, 臨床上で効果的な圧迫強度や時間を決める際の一助となるであろう. キーワード 脳血管障害者, 圧迫, 痙縮抑制, 脊髄運動神経興奮性 1

3 Title: Inhibitory Effect of pressure on lower leg muscle of paretic limb spasticity of cerebrovascular disorder person Nodoka MIURA ABSTRACT Some previous studies reported that applying pressure to paretic limbs could inhibit to the spinal motor neuron excitability which indicates the grade of spasticity. However, no study was conducted to show the effective pressure intensity and duration to inhibit spasticity to date. The purpose of this study is to elucidate the effective pressure intensity and duration to inhibit spasticity. 18 cerebrovascular disorder persons (16 men and 2 women, BRSⅣ-Ⅵ) participated in this study. The effects of pressure applying to the lower leg muscle belly on inhibitory of spasticity were examined using electromyogram in static conditions and 3D motion analysis system in gait conditions. As the results, the pressure intensity of 30-40mmHg for 3-5 minutes has the significant effect to inhibit spasticity without inhibition a blood flow in static conditions. Also, the pressure intensity of 30mmHg gave some positive effect on the knee joint angle and power of paretic limb in gait conditions. The present findings might help to explain not only the effect of applying pressure to paretic limb on inhibitory of spasticity but also the effective pressure duration and pressure to inhibit it in clinical settings. Key words: Cerebrovascular disease, Pressure, Inhibition of spasticity, Motor neuron excitability 2

4 目次 要旨 1 目次 3 Ⅰ. はじめに 1. 研究の背景 1-1 脳血管障害者の痙縮とその治療 圧迫の効果 誘発筋電図と脊髄運動神経興奮性を示す3つの指標 圧迫による下肢血流と超音波診断装置での測定 VICON を使用した脳血管障害者の歩行分析 研究目的 - 14 Ⅱ. 実験 1 超音波診断装置を使用した脳血管障害者の両下肢血流量と麻痺側下腿圧迫に対する末梢血流量の検証 1. 対象 方法 実験機器 2-2. 測定手順 2-3. 統計 3. 結果 考察 22 Ⅲ. 実験 2 脳血管障害者の安静時麻痺側下腿圧迫による痙縮抑制効果の検証 1. 対象 方法 実験機器 3

5 2-2. 測定手順 2-3. 統計 3. 結果 考察 32 Ⅳ. 実験 3 脳血管障害者の麻痺側下腿への圧迫が歩行動作へ与える影響 1. 対象 方法 計測方法 2-2. 計測条件 2-3. 解析方法 2-4. 統計処理 3. 結果 考察 42 Ⅴ. 総括および今後の課題 45 Ⅵ. 謝辞 46 Ⅶ. 文献一覧 47 4

6 Ⅰ. はじめに 1. 研究の背景 1-1 脳血管障害者の痙縮とその治療痙縮はさまざまな運動障害を生じさせ, 日常生活活動の低下, 歩行障害などの能力障害を引き起こすとして, そのコントロールは非常に重要な課題となっている. 痙縮の定義は, 上位運動ニューロン障害による麻痺に伴う副作用であり, 速度依存性の深部腱反射の亢進状態 1) とされている. 痙縮の病態生理学的機序については未だ不明であるが, これらの症状は, 通常随意運動をコントロールしている脳や脊髄のダメージにより生じ, 脳血管障害, 脊髄損傷以外にも多発性硬化症, 脳性麻痺, 無酸素脳症, 脳外傷, 頭部外傷や代謝障害などにより生じる 2 ). ダメージの初期は, 脊髄ショックなどで筋は弛緩状態となるが, 徐々に反射が回復するにつれて痙縮が生じてくる. その痙縮は, 抗重力筋である上肢は屈筋, 下肢は伸筋に認められることが多い. 特に下腿三頭筋の痙縮は, アキレス腱反射の亢進と維持される後脛骨筋の筋力により内反尖足を呈しやすく, 立位やトランスファー, 歩行に大きな影響をおよぼしている. その痙縮が阻害因子となり, 転倒の危険性が高いために日常生活において, 自立が困難な脳血管障害者が多くみられる. 痙縮, 痙性姿勢異常, 病的同時収縮などの筋の過活動に加え, 運動麻痺による不動が二次的に筋骨格系に変化を及ぼし, 筋粘弾性の変化, 拘縮, 関節の構造変化が生じている. これらの変化は相乗的に病態を悪化させ, 最終的に機能障害を引き起こすことが多い ( 表 1) 3 ). この病態の課程 ( 図 1) を断ち切ること, 陽性徴候としてのクローヌス, 屈筋および伸筋の筋緊張亢進, 痙性姿勢異常, 病的共同運動パターン, 病的同時収縮など望ましくない過剰な筋活動を抑制し, さらには筋の短縮および拘縮を予防または軽減することにより, 患者の機能障害や能力障害を改善することが必要となる. 5

7 表 1. 上位運動ニューロン障害における運動障害の特徴 < 陽性徴候 > 1. 痙縮 ( 筋緊張の増加 腱反射の亢進 伸張反射の他筋への波及 クローヌス ) 2. 痙性姿勢異常 3. 病的共同運動 4. 病的同時収縮 5. 屈筋反射の亢進 ( バビンスキー反射 ) < 陰性徴候 > 1. 巧緻性の低下 2. 筋力低下 麻痺 ( 筋出力の低下 動作の遅さ ) 3. 個々の筋の選択的活動の障害 < 筋の粘弾性 > 1. 筋硬直 2. 拘縮 3. 線維化 4. 萎縮 文献 3) より引用. 上位運動ニューロン症候群による病態 すぐに 徐々に 運動麻痺 不動 弛緩性麻痺 脳脊髄活動の再編成痙縮 : 痙性姿勢異常病的同時収縮 筋粘弾性の変化拘縮 他の症状 筋の過活動 機能障害 文献 3 ) より一部抜粋. 図 1.. 上位運動ニューロン障害による病態 痙縮など筋の過活動に加え, 運動麻痺による不動が二次的に筋骨格系に変化を及ぼし, 筋粘弾性の変化, 拘縮, 関節の構造変化が生じている. これらの変化は相乗的に病態を悪化させ, 最終的に機能障害を引き起こすことが多い. これまで痙縮に対してさまざまなアプローチがされている. 医師は, 痙縮に対して主に手術療法や薬物療法を行っており, 手術療法では, 龍ら 4 ) によって脊髄選択的後根切断術, 3 後根進入部遮断術, 正門 ) によって末梢神経縮小術などが報告されている. 薬物療法は, 脳からの中枢性抑制,Ib 抑制,Ia シナプス前抑制, 相反抑制, 反回性抑制の5つの抑制要 6

8 素による統合の経路に作用し, 痙縮を緩和するために経口薬を用い, 神経や神経筋接合部に直接的にブロックするために注射が用いられている. バクロフィン, ジアゼパム, チザニジン, ダントロレンナトリウム, トルペリゾンなどがあり, 顕著な痙縮を認める脳血管障害者や脊髄損傷者に対しては, ポンプを体内に埋め込んだバクロフィンの髄注が行われている 5 )6). また, フェノールやエチルアルコールによる神経ブロック 6 ) や近年日本で保険適応が認められたボツリヌス注射が行われている 7 ). しかし, ときに痙縮はトランスファーや着替えの際の下肢の支持性や排尿のサインに使用される為, 日常生活の状態をみながら薬物量の調整が必要である. それに加え, 薬物療法だけでは, 痙縮が抑制されても運動機能の改善が得られないという報告がある 8 )9). よって, 手術療法や薬物療法に加え, 日常生活の状況を把握しながら理学療法を行っていくことが, 痙縮をもつ脳血管障害者の運動機能の改善のために必要であることが考えられた. 痙縮抑制の理学療法として, 運動療法, 物理療法, 装具療法が報告されており,2009 年脳卒中ガイドラインでも認められている. 運動療法では,Smith ら 10 ) が慢性期脳血管患者にトレッドミル歩行運動を行い, 痙縮が軽減したことを報告している. エルゴメーターでも同様の結果となり 11 ), トレッドミルやエルゴメーターといった有酸素運動が, 痙縮軽減や機能改善を目的とした運動療法に用いられるようになってきた. また, ティルトテーブルによる下肢への荷重やストレッチも痙縮へのアプローチ方法として長年行われてきており, その効果も報告されている 2 ). 物理療法では, 温熱療法や寒冷療法が報告されている. 温熱療法は, 直接偏光近赤外線, 高温浴, ホットパック, 極超短波等が行われており, 皮膚温 42 度での痙縮抑制効果が報告されている 12 )13). また, 筋温 25 度での寒冷療法や TENS や FES を使用した電気刺激療法の痙縮抑制効果も報告されている 13)14). このような物理療法による痙縮抑制後に効率よく自動運動を反復するような治療法を組み合わせることにより, さらなる治療効果が得られるとされ, 温熱療法やブロック治療と CI 療法の併用効果 15) や促通反復法と振動刺激の併用効果 16) が報告されている. 装具療法では, PAFO や MAFO といった装具が作成, 使用されており, 動作練習の際, 下肢に痙縮 7

9 をもつ患者の痙縮抑制効果が高いことが報告されている 17)18). 痙縮抑制には, これら高額な機械や物品, 特別な準備, 技術が必要である一方, エアースプリント等の圧迫は, 筋緊張が緩和し良肢位保持が可能となることも報告されており 19), 痙縮抑制がより簡便に行える方法の一つといえる. エアースプリントや徒手での圧迫は, 臨床で理学療法治療の際使用されており, 痙縮抑制や随意性の促通に効果をもつことを私自身も感じてきた. しかし, 臨床では経験を頼りにした圧迫応用がされており, これまでの研究でも圧迫の最も効果的な強度や時間を報告したものはない. よって, 今回, 圧迫の痙縮抑制効果について詳細に検討し, 高額な機械や物品, 特別な準備, 技術等がなくても理学療法アプローチに簡易に, また有効に活用できるよう検証していく必要があると考えた. 1-2 圧迫の効果さまざまな研究において圧迫の効果が証明されており, 中でも圧迫が痙縮を示す脊髄運動神経興奮性に影響を与えるという研究が, 海外でいくつか報告されている.1985 年に Kuklka ら 20 ) は, アキレス腱への持続圧迫を行い, ヒラメ筋の脊髄運動神経興奮性を示す H 波の振幅と持続時間の低下を観察した. 振幅の低下は短時間であり, 圧迫の量による変化はみられなかったが, 持続的な圧迫は断続的な圧迫と比較して H 波の減少が長く続くことを証明した. また,1998 年に Morelli ら 21 ) が下腿三頭筋のマッサージの圧迫は H 波の短い持続的な低下をひきおこすことを証明した. これら 2 つの研究は, 健常者と脳血管障害者で同様の結果となっている.1992 年,Robichaud ら 22 ) は, エアースプリントを使用し, 健常者 脳血管障害者 脊髄損傷者のヒラメ筋筋腹への圧迫効果を証明した.3つの対象すべてに圧迫中, 持続的 連続的な H 波の低下がみられた. その効果は圧迫中だけに限られたが, 主動作筋 拮抗筋どちらも適度な圧迫を与える周囲圧迫が, 脊髄運動神経興奮性に効果をもたらすことを証明した.Agostinucci ら 23 ) は上肢で Robichaud と同様の研究を行い, 抑制と亢進の異なる 2 つの圧迫効果を 2006 年に報告したが,2010 年に 8

10 Robichaud の研究結果と同様に上肢でも圧迫によって痙縮の抑制効果が生じることを報告した 24 ). これらの先行研究や臨床経験から, 徒手やエアースプリント, サポーター等の圧迫が, その筋の痙縮を抑制し, 随意性を促通する効果を持つことが考えられた. 筋腹への圧迫効果を検証した Robichaud 22 ) や Agostinucci 23 )24) らは, 痙縮が生じやすい抗重力筋であるヒラメ筋の脊髄運動神経興奮性を計測した. 主たる足関節底屈筋である下腿三頭筋は, 腓腹筋とヒラメ筋で構成されており, 日常生活における立ち上がりや歩行などの動作では腓腹筋とヒラメ筋が複雑に収縮と弛緩を繰り返すことで成り立っている. 脳血管障害者では, この下腿三頭筋に痙縮が生じることで, 様々な動作が影響を受け, 特に痙縮により引き起こされる内反尖足は歩行障害を引き起こし, 足クローヌスは歩行障害を悪化させる. よって, 圧迫の先行研究と同様の方法で, 誘発筋電図を使用し, ヒラメ筋の脊髄運動神経興奮性の計測から, 下腿の圧迫効果を検証し, より簡便な臨床応用のために圧迫強度や時間を数値化していく必要があると考えた. 1-3 誘発筋電図と脊髄運動神経興奮性を示す3つの指標ドイツの生理学者 Paul A. Hoffmann によって 1974 年に報告された H 波は, 脊髄における単シナプス性反射として考えられていることから, 脊髄反射機能や随意運動と反射機構とのかかわりに関する研究に幅広く使用されている 25 ). 末梢神経を電気刺激し, その神経支配下の筋から誘発される反応を記録する検査を誘発筋電図という. 代表的なものに, M 波,H 波,F 波の3つの波形がある ( 図 2).H 波は, 電気刺激により第 1 次筋紡錘終末から発射される GroupⅠの線維を興奮させることによって生じたインパルスが, 脊髄でシナプス結合し, シナプス後電位の作用によって脊髄前角細胞の運動神経を興奮させ, その電位が α 運動神経を通り, 筋へ到達して記録される波形である 26 ). 内藤は 27 ),H 波は古くから確立され, 動物実験との整合性も検証されてきた最も信頼できる方法であると報告している. 9

11 引用文献 27) より一部抜粋. 図 2.. 誘発筋電波形 H 波と M 波の経路 H 波は,Ia 線維の刺激により動員される Ia シナプス入力の増加による運動細胞数であり, 反射成分を示している. M 波は,α 運動線維の刺激により動員される運動単位量であり, 非反射成分を示している. H 波の振幅が脊髄運動神経興奮性を示す指標となるとき,M 波の振幅との関係から評価される場合が多い ( 図 3).H 波の最大振幅と最大刺激を加えたときの M 波の振幅比である Hmax/Mmax や H 波と M 波の閾値比 Hth/Mth がこれまで多くの研究に用いられてきた 27 ).M 波は中枢神経障害の有無にかかわらず一定である為,H 波と M 波の比は, 痙縮により最大値比は増大し, 閾値比は減少すると考えられている 28 ).H/M 比は腱反射と同様に個人差が大きい. よって, 絶対値を診断に利用するよりも, 同一患者での経時的変化や薬による効果など客観的に評価, 追跡する場合に役立つといわれている 26 ). その一方で, H 波の最大値は Ib 抑制, 反回抑制,collision effect などの影響を受けることから, 必ずしも脊髄運動神経の興奮性を正しく反映しているとは限らないという点より, 船瀬 25)29) は, この問題を解消するために H 波と M 波との増員曲線の最大傾斜の比率 Hslp/Mslp を用いる方法を報告している. 10

12 図 3.. 脊髄運動神経興奮性の指標 脊髄運動神経興奮性の指標は H 波と M 波の閾値比である Hth/Mth,H 波と M 波の最大値比である Hmax/Mmax,H 波と M 波の増加率の比である Hslp/Mslp の 3 つの指標がある. 誘発筋電図の H 波は安静時, 下腿三頭筋と橈側手根屈筋から誘発される. その他の筋では, 軽度の随意収縮を加えなければ誘発することはできない 30 ). 圧迫の効果を検証した先行研究では, ヒラメ筋の H 波と M 波の最大値比 Hmax/Mmax を用いて評価している. 従来から使用されている閾値比 Hth/Mth に, 増加率比 Hslp/Mslp を加えた 3 つの指標を測定値より算出し, 下腿三頭筋の痙縮の度合いを測定していくことが, より詳細な痙縮抑制効果の検証につながると考えた. 1-4 圧迫による下肢血流と超音波診断装置での測定圧迫は様々な効果が報告されており, 先行研究の様によい効果がある一方で, 身体に悪影響を及ぼす効果も報告されている. 特に脳血管障害者の麻痺側と非麻痺側の血流量は異なり, 健常者と比較し低下をみせるという報告がある 31 ). また, 臨床においても脳血管障害者の麻痺側上下肢には血流量の低下が原因と考えられる冷感, 代謝の低下のよる皮膚のかさつき, 硬さ, 栄養の供給量低下による巻き爪, 筋萎縮や筋肉の付きにくさがみられる. 11

13 これらのことから, 脳血管障害者の痙縮への圧迫効果が期待される一方で, 圧迫による下肢の虚血状態などの危険が生じる可能性も高いと考えた. これまで脳血管障害者の血流量を調べた先行研究の多くは, 脈波計を使用した足指末梢血流量の測定である. しかし, 不随意運動や不整脈のある場合には測定値の信頼性が低く, 足関節血流圧が 40mmHg 以下の低い例では測定不能となる場合もあると報告されている 32). 近年, 急速な発達により超音波診断装置が下肢の動脈血流障害の確実な判定に使用で きるようになった 33 ). また, 超音波診断装置は, 末梢動脈の非侵襲的で定量的な血流量の評価が可能である 33 ). よって, 超音波診断装置を使用し, 脳血管障害者の麻痺側, 非麻痺側の動脈血流量の比較と, 圧迫強度と時間に対する血流反応を検証していく必要があると考えた. 静脈血流に関しては, ヒラメ筋静脈は静脈血栓好発部位であり, 血流量低下による血流うっ滞は血栓のリスクを高めると報告されている 34 ). しかし, 超音波診断装置を用いてのヒラメ筋静脈血流量の測定は詳細に描出できるようになってきた一方で, 技術によっては, プローブの圧迫による血栓遊離の危険性を伴うと報告されている 35 ). また, 静脈に対しての圧迫法は多くの研究がされており, 予防法や治療法として利用されている 36 ). 特に深部静脈血栓症予防には 18mmHg 前後の弾性ストッキングや 35~50mmHg の間欠的空気圧迫法, 下肢動脈瘤や静脈血栓後遺症には 30mmHg 以上の弾性ストッキングや 50mmHg 前後の間欠的空気圧迫法が使用されており,10~50mmHg の圧迫は静脈血流の改善に効果を持つことが考えられた. よって, 今回,18mmHg の圧迫で動脈血行障害が生じ壊死が発生したという先行研究をふまえ 37 ), 最も下腿で大きな血管である後脛骨動脈の圧迫による末梢血流量の変化を検証し, 安全な圧迫強度と圧迫時間の検証を行うこととした. 1-5 三次元動作分析装置 (VICON) を使用した脳血管障害者の歩行分析脳血管障害による片麻痺患者は入院および通院患者の大半を占めるため, 片麻痺患者の歩行に対するリハビリテーションは理学療法士が日常的に遭遇する課題である. しかし, 12

14 個々の理学療法士の視診による片麻痺患者の歩行分析は信頼性が低いことが報告されており 38), 臨床で片麻痺者の歩行に対して十分な評価が行われているとはいえない. その原因として, 片麻痺者の歩行は個人差が非常に大きいため一様な評価が困難であることが挙げられる. しかし, 山本らは三次元動作分析装置を用いて片麻痺者の歩行を詳細に分析し, 片麻痺者の共通した歩行の特徴について報告している 39). 一般的な脳血管障害片麻痺の歩行は, 歩行速度の低下, 歩行周期の延長, ストライド長の短縮, 特に麻痺側から非麻痺側へのステップ長の短縮, 麻痺側の踵接地困難による足尖接地または足底全面接地, 遊脚期のクリアランス不十分, 立脚期の麻痺側足関節の内反による不安定性, 立脚期の麻痺側膝関節の膝折れや過伸展がみられ, これらの代償として遊脚期の麻痺側のぶん廻しや股関節の過度の屈曲, 体幹の過度の前後傾が生じている 40). 片麻痺者の足関節の機能について着目した研究では, イニシャルコンタクト時に背屈筋が働かず足底全面接地または足尖接地となり, また下腿の前傾が生じないため, 前上方への動きが止まり, 位置エネルギーを使ったロッカー作用が生じにくい状態が報告されている 39). この状況により, ローディングレスポンス時に体重心が上昇せず, ミッドスタンス以降の重力による落下を使用した体重心の前方移動が生じにくい状態となる. このとき, 膝関節は過屈曲または過伸展を示すが個々の患者で異なる動きをすることが報告されている 39). 頭鬼ら 41) によると膝関節の過屈曲状態が続くことによって, それを防止するため骨盤を後方に引き, 体幹を前傾させ, 膝を過伸展する傾向があると報告されている. よって, アンクルロッカー機能をはじめとする体重心の上昇の獲得が脳血管障害片麻痺患者の歩行に対するアプローチで重要となる. 脳血管障害片麻痺患者のアンクルロッカー機能低下に対して, 山本らは, 装具の底屈制動モーメントの大きさを各片麻痺で適切に設定することで改善が可能なことを報告している 39).AFO は足関節ロッカーにおける底屈筋の遠心性収縮の補助と前足部ロッカーの終わりから遊脚期にかけてつま先のクリアランスを取ることを目的に使用されている. 櫻井ら 42) も底屈制動モーメントが, 初期接地 (IC) から荷重応答期 (LR) に働き, 足関節の滑 13

15 らかな接地と下腿の前方回転を引き起こすことを報告している. しかし, 装具による歩行動作の改善は, 他動的な固定や誘導が大きく, 身体的, 特に神経学的な改善にはつながりにくい. 海外の先行研究で, 直接的に脊髄運動神経に作用し, ヒラメ筋の痙縮抑制効果を示す圧迫の効果が報告されている. また, 国内でも脳血管障害者の筋圧迫による歩行分析が,100mmHg の大腿圧迫で1つ報告されており 43), 下腿の圧迫も痙縮を抑制し, 歩行時のアンクルロッカー機能を改善させる効果をもつことが予測される. 下腿の圧迫による痙縮抑制がアンクルロッカーを中心とした歩行の立脚期にどのように影響を与えるのか, また, その強度での圧迫がより効果を示すのかを分析をしていくことは, 圧迫の動作効果をみるためにも必要と考えた. 以上より, 理学療法治療への応用の為, 実際に痙縮のある脳血管障害者を対象とし, Robichaud ら,Agostinucci らの研究をもとに, 安静時の脊髄運動神経興奮性の変化を誘発筋電図の H 波を用いて検証し, 痙縮抑制に適切な圧迫強度と時間を数値化して明らかにしていくこと, また, その結果から同様の圧迫強度, 時間で歩行動作時の痙縮抑制効果が生じるのかを明らかにしていくことが,EBP(Evidence based physical therapy) の確立のために必要と考えた. 2. 研究の目的本研究では, 脳血管障害者の麻痺側下腿を対象にマンシェット, サポーターによる圧迫強度と圧迫時間の変化が下腿血流に及ぼす影響を検討した. その結果を基に, 血流を阻害することなく, 脊髄運動神経の興奮性を低下させ, 歩行動作に影響を与える圧迫強度と圧迫時間を検証し, 主に脳血管障害者の下腿三頭筋の痙縮抑制を目的とした臨床応用に有効な指標を得ることを目的に研究を行った. 14

16 Ⅱ. 実験 1: 超音波診断装置を使用した脳血管障害者の脳血管障害者の両下肢血流量と両下肢血流量と麻痺側下腿圧迫に対する末梢血流量の検証 1. 対象対象は, 地域で生活する慢性期脳血管障害者 14 名 ( 男性 12 名 女性 2 名 平均年齢 72.0±5.70 歳 BRSⅣ~Ⅵ) とした. 意思疎通や歩行の困難な脳血管障害者は除外し, 麻痺の有無をアキレス腱反射で確認した. 発症からの期間は平均 13.5±5.97 年であった. 脳梗塞 8 名, 脳出血 6 名であり脳血管障害による右片麻痺は 6 名, 左片麻痺は 8 名であった.ADL は介助 ~ 自立レベル, 歩行はフリーハンドまたはT 字杖や四点杖で介助 ~ 自立レベルであった. 対象者の属性を表 2 に示した. 対象者全員に対して事前に説明およびアンケート記入をしてもらい基礎情報の収集と研究への了承を得てから測定を実施した. 本研究は国際医療福祉大学研究倫理審査委員会の承諾を得て実施した.( 承諾番号 : ). 15

17 表 2. 属性詳細 ( 実験 1) 足関節受動 RO M( 膝伸展位 ) 底屈筋 MAS 発症からの年数 歩行レベル 対象者 性別 年齢 診断名 麻痺側 下肢 BRS アキレス腱反射 屋内 屋外 歩行補助具 使用装具 A 男性 72 脳梗塞 R Ⅵ 軽度亢進 15(0) 0 26 自立 自立 なし なし B 男性 76 脳梗塞 L Ⅵ 軽度亢進 5(0) 0 20 自立自立なしなし C 男性 78 脳梗塞 R Ⅳ 軽度亢進 0(-5) 2 12 中等度介助中等度介助四点杖 PAFO D 男性 70 脳梗塞 L Ⅳ 亢進 -5(-5) 1 10 見守り見守り T 杖 MAFO E 男性 75 脳出血 L Ⅳ 軽度亢進 -10(-10) 2 23 自立自立 T 杖なし F 男性 75 脳出血 R Ⅵ 軽度亢進 5(5) 1 12 自立自立 T 杖なし G 男性 71 脳梗塞 L Ⅳ 軽度亢進 0(-20) 0 11 見守り見守り T 杖 PAFO H 男性 81 脳出血 L Ⅳ 亢進 -5(-30) 3 17 見守り軽介助 T 杖なし I 男性 73 脳梗塞 L Ⅴ 軽度亢進 5(5) 1 10 自立自立 T 杖 PAFO J 女性 64 脳出血 R Ⅳ 軽度亢進 -20(-24) 3 12 自立自立 T 杖なし K 男性 63 脳出血 R Ⅳ 亢進 -10(-10) 3 9 自立自立なしなし L 男性 78 脳梗塞 L Ⅵ 軽度亢進 5(5) 0 15 自立自立なしなし M 男性 63 脳梗塞 L Ⅳ 軽度亢進 0(-5) 2 8 自立自立 T 杖 PAFO N 女性 70 脳出血 R Ⅳ 亢進 -10(-10) 2 5 自立自立 T 杖 PAFO BRS: Brunnstrom Recovery Stage ROM: Range of motion: 関節可動域 MAS: Modified Ashworth Scale PAFO: プラスティック AFO MAFO: 金属支柱つき AFO 16

18 2. 方法 2-1 実験機器全対象者にデジタル超音波診断装置日立 HI VISION Preirus( 図 4 5) と EUP-L65 の 14-6MHz プローブを用いて血流量の測定を行った. 測定部位は内果後方の後脛骨動脈とし, カラードプラ断層より血流の有無や方向, 流速を確認後, パルスドプラ法を用いて波形から定量的な測定を行った. 血流量は流路断面積と流路断面積内の時間的空間的平均流速との積により自動的に 1 回血流量 (Stroke Volume, 以下 SV 値 ) が求められた. 検査者によって測定精度や再現性に差が出ないように,1 人が練習を行い, 測定を実施した. 図 4. 超音波診断装置 HI VISION Preirus 図 5. 超音波診断装置 HI VISION Preirus( ドップラー画像 ) 17

19 2-2 測定手順被験者の測定肢位は腹臥位, 股関節 0 度, 枕を使用し膝関節屈曲 20 度, 足関節軽度底屈位とした. まず麻痺側, 非麻痺側の内果後方の後脛骨動脈の血流量を超音波診断装置で測定した. その後, 幅 21 cmの大腿用血圧計カフを麻痺側下腿中心と合わせ装着し,20, 30,40,50mmHg の圧迫を水銀血圧計を用いてランダムな順に 5 分間加えた. 圧迫後 1 分,3 分,5 分の時点で後脛骨動脈の血流量を測定した. それぞれの圧迫解除後の血流回復までの時間を 5 分間とし, 測定位置には印をつけ, 同じ位置で測定を行った. 血流回復時間は, 予備実験を行い,5 分後に血流量が圧迫前に戻ることを確認した. 測定の流れは図 6, 測定の設定を図 7, 測定風景を図 8 に示す. 図 6.. 測定の流れ 0mmHg で後脛骨動脈の血流量を測定後, 下腿にランダムに圧迫を加え, それぞれ 1,3,5 分後に測定を行った. 圧迫後は 5 分間の休憩を入れた. 図 7. 測定の設定測定は腹臥位で超音波診断装置を用い, 内果後面の後脛骨動脈の血流量を測定した. 圧迫は下腿に行い, 水銀血圧計を用いて行った. 18

20 図 8. 測定風景 2-3 統計統計は,SPSS Ver.19 を使用し,0mmHg の非麻痺側と麻痺側の比較に対応のある t 検定を用い, 非麻痺側と麻痺側 0mmHg と各圧迫強度 時間の比較に一元配置分散分析, 多重比較検定 (Bonferroni 法 ) を用いた. 各圧迫強度と時間の比較には, 麻痺側 0mmHg を 100% としたときの 1 回血流量 SV 値の圧迫強度, 時間ごとの変化率を算出し, その値を要因とした反復測定による 2 元配置分散分析, 多重比較検定 (Bonferroni 法 ) を用いた. 有意水準は 5% 未満とした. 3. 結果 0mmHg の麻痺側と非麻痺側の血流量を表 3, 図 9 に示す. 各圧迫強度と時間間での麻痺側の血流量の変化を表 4 に示す.0mmHg での麻痺側 1 回血流量 SV 値は, 非麻痺側と比較し低下をみせたものの有意差は認められなかった. また, 非麻痺側, 麻痺側 0mmHg を含む各圧迫強度 時間間の麻痺側の 1 回血流量 SV 値に有意差は認められなかった. 測定の一例を図 10 に示す. 19

21 表 3.0mmHg 時の麻痺側と非麻痺側の血流量麻痺側と非麻痺側の血流量の比較 脳血管障害者 (n=14) 一回血流量 (SV)ml 非麻痺側 ± 麻痺側 ± n.s. 図 9. 麻痺側と非麻痺側の血流量の変化の変化 0mmHg の非麻痺側, 麻痺側の 1 回血流量は, 非麻痺側に比較し麻痺側に低下傾向がみられるものの有意差はみられない. 図 10. 測定例左から 0,20,30,40,50mmHg の圧迫によるそれぞれ圧迫後 3 分時点の血流の変化をドップラー画像で示す. 20

22 表 4 各圧迫圧迫強度と強度と時間での時間での麻痺側麻痺側血流量 脳血管障害者 (n=14) 一回血流量 SV(ml) 0mmHg を 100% とした値 (%) 0mmHg 非麻痺側 ± n.s. 麻痺側 ± n.s mmHg 1 分 ± n.s ± n.s. 3 分 ± n.s ± n.s. 5 分 ± n.s ± n.s. 30mmHg 1 分 ± n.s ± n.s. 3 分 ± n.s ± n.s. 5 分 ± n.s ± n.s. 40mmHg 1 分 ± n.s ± n.s. 3 分 ± n.s ± n.s. 5 分 ± n.s ± n.s. 50mmHg 1 分 ± n.s ± n.s. 3 分 ± n.s ± n.s. 5 分 ± n.s ± n.s. 21

23 4. 考察今回, 超音波診断装置を使用し, 脳血管障害者の 0mmHg 時の麻痺側と非麻痺側下肢の比較と,0mmHg と強度と時間を変えての圧迫の比較,0mmHg を 100% としたときの各圧迫強度, 時間での比較より, 末梢動脈血流の変化を検証し, 脳血管障害者に対する安全な圧迫応用の可能性に対する検証を行った. 結果, 麻痺側の一回血流量 SV 値は, 非麻痺側と比較し有意差はなく, すべての圧迫強度 時間間の麻痺側血流量にも有意差はみられなかった. よって,20~50mmHg1~5 分の圧迫は臨床で安全に脳血管障害者に応用が可能であることが明らかとなった. 1 回血流量 SV 値は, 非麻痺側と比較して麻痺側下肢で低下傾向を示したが, 統計上有意差はみられなかった. 栗山ら 30 ) は, 麻痺側上下肢の血流量は発症後 15 か月未満で増加するものの,15 か月以降は非麻痺側と比較し低値を示し, 低値を示す変化は左片麻痺と比較し右片麻痺に著明であり, 年齢による変化はないと報告している. しかし, 非麻痺側に対する麻痺側下肢の血流量低下は, 麻痺側血流量の変化ではなく, 非麻痺側の血流量の増大によるものとの報告 44) もあり, 一概に麻痺側下肢が慢性的な血流量低下の状態になっているとは言い難い. よって, 今回の様に比較的麻痺の軽い, 歩行可能な脳血管障害者は非麻痺側の血流量増大や麻痺側の血流量低下が生じないことが考えられた. 20~50mmHg1~5 分の麻痺側下腿への圧迫は, 圧迫を加えていない時と血流量の差はなく, 圧迫では動脈血流の虚血による二次的障害が生じる危険性は低いことが明らかとなった. 血管は弾性を持ち, 拍動に応じた圧変動により変形しているが, 静脈と比較し, 動脈は固く変形が少ない. 特に末梢動脈血管はその固さを増す 45 ). これは末梢では脈波速度が大きくなり, 血圧が上昇するためだといわれている. また, 高齢の高血圧患者は動脈壁の平滑筋緊張度が亢進しており, 廃用により血管拡張反応が低下している 46 ). それに加え, 時間の明記はないものの,70mmHg 以上の加圧によって動脈血流に影響が生じることが報告されている 47 ) よって, 脳血管障害者の下肢に対する 20~50mmHg1~5 分の圧迫では, 血流量が 0mmHg の状態と比較しても大きな変化はなく, 動脈などの深部血流は圧迫によ 22

24 る影響を受けにくいという先行研究 48) の結果と同様に, 圧迫による虚血の危険性は低いことが考えられた. しかし, 麻痺側の冷感を訴える脳血管障害者が多く, 麻痺側上下肢の循環障害は, 肩手症候群や異所性骨化, 筋萎縮が生じる原因との報告もされているため 49 ), 圧迫は5 分以内の短時間にとどめるべきであると考える. 23

25 Ⅲ. 実験 2 脳血管障害者の安静時麻痺側麻痺側下腿下腿圧迫による痙縮抑制効果の検証 1. 対象地域在住で慢性期の脳血管障害者 18 名 ( 男性 16 名 女性 2 名, 年齢 72.6±5.51 歳, 身長 161.6±5.12 cm, 体重 61.6±9.09 kg ) とした. 属性を表 5 に示した. 測定肢は麻痺側と非麻痺側の両下肢とした. 参加基準は, 意識鮮明で口頭指示に従えるものであることとし, 意思疎通や歩行の困難な脳血管障害者は除外した. アキレス腱反射を行い, 麻痺の有無を確認した. この研究は国際医療福祉大学研究倫理審査委員会の承認 ( 承諾番号 : ) を得たのち実施し, 対象者に事前および実験開始前に目的と内容を十分説明し, 紙面にて同意を得て行った. 24

26 表 5. 属性詳細 ( 実験 2) 足関節受動 ROM 歩行レベル 対象者 性別 年齢 診断名 麻痺側 下肢 BRS アキレス腱反射 ( 膝伸展位 ) 底屈筋 MAS 発症からの年数 屋内 屋外 歩行補助具 使用装具 A 男性 75 脳梗塞 R Ⅵ 軽度亢進 自立 自立 T 杖 なし B 男性 71 脳梗塞 L Ⅳ 軽度亢進 0(-20) 0 11 見守り見守り T 杖 PAFO C 女性 70 脳出血 R Ⅳ 亢進 自立自立 T 杖 PAFO D 男性 73 脳梗塞 L Ⅴ 軽度亢進 自立自立なしなし E 男性 75 脳出血 L Ⅳ 軽度亢進 自立自立 T 杖なし F 男性 69 脳出血 L Ⅳ 亢進 自立自立なしなし G 男性 81 脳出血 L Ⅳ 亢進 -5(-30) 3 17 見守り軽介助 T 杖なし H 男性 70 脳梗塞 L Ⅳ 亢進 見守り見守り T 杖 PAFO I 男性 73 脳梗塞 L Ⅴ 軽度亢進 自立自立 T 杖 PAFO J 女性 64 脳出血 R Ⅳ 軽度亢進 -20(-24) 3 12 自立自立 T 杖なし K 男性 72 脳梗塞 R Ⅵ 軽度亢進 15(0) 0 26 自立自立なしなし L 男性 78 脳梗塞 R Ⅳ 軽度亢進 0(-5) 2 12 中等度介助中等度介助四点杖 PAFO N 男性 78 脳梗塞 L Ⅵ 軽度亢進 自立自立なし膝装具 M 男性 76 脳梗塞 L Ⅵ 軽度亢進 5(0) 0 20 自立自立なしなし O 男性 63 脳出血 R Ⅳ 亢進 自立自立なしなし P 男性 75 脳出血 R Ⅵ 軽度亢進 自立自立 T 杖なし Q 男性 63 脳梗塞 L Ⅳ 軽度亢進 0(-5) 2 8 自立自立 T 杖 PAFO R 男性 81 脳梗塞 L Ⅵ 軽度亢進 自立自立 T 杖なし BRS: Brunnstrom Recovery Stage ROM: Range of motion: 関節可動域 MAS: Modified Ashworth Scale PAFO: プラスティック AFO MAFO: 金属支柱つき AFO 25

27 2. 方法 2-1 実験機器測定は, アキレス腱反射の評価に打腱器, 足関節の可動域測定に角度計を使用した. 脊髄運動神経興奮性を示す H 波と M 波の測定に誘発筋電位検査装置 ( 日本光電 MEM2404) を用いた. 圧迫には水銀血圧計と大腿用血圧計カフ (21 cm ) を使用した 測定手順 測定は, まず入室時から椅子座位までの動作中と安静椅子座位の麻痺側下肢の筋緊張状 態を, 視診, 被動抵抗などの触診にて, 弛緩, 正常, 軽度亢進, 亢進, 固縮に分類した. その後, 日本の理学療法士の間で最も使用されている臨床的評価指標である 50 ) Brunnstrom Recovery Stage( 以下 BRS) を段階に合わせ姿勢をかえて実施した. マット上安静背臥位にて国内外で多用され標準的な痙縮評価法となっている 51 ) Modified Ashworth Scale( 以下 MAS), 足関節 Range of motion test( 以下 ROM-t), アキレス腱反射, クローヌスの標準的な 6 つの麻痺の評価 ( 表 6) を行った. これら 6 つの評価は, 検査者によって差が出ないよう一人が行った. 次に, 腹臥位を取ってもらい, 枕を使用し膝関節屈曲 20 度, 股関節 10 度, 足関節軽度底屈位に設定した. その後, 麻痺側, 非麻痺側ともに電極抵抗値が 5Ω 以下になるよう下腿の皮膚処理を行い, 脛骨粗面と内果を結ぶ中点で脛骨内側のヒラメ筋上に活性電極 (G1), 内果近位部のアキレス腱上に基準電極 (G2) を設置した. 不関電極 ( アース ) は刺激と記録電極の間に設置した. 基準値を求める為に圧迫の無い状態で膝窩の脛骨神経に 1Hz の電気刺激を加え, M 波と H 波の閾値と最大振幅値の 20 回平均を片脚ずつ左右それぞれ測定した. 刺激強度は M 波と H 波の閾値, 最大振幅が得られる強度とし,H 波は最大 M 波の 25~30% とした. 麻痺側下肢の下腿中心に幅 21 cmの大腿用血圧計カフの中心を合わせ装着し, 圧迫強度 20,30,40,50mmHg になるよう大腿カフをふくらませ, それぞれ圧迫中 1 分 3 分 5 分に電気刺激を加え,M 波と H 波の閾値と最大振幅値の測定を行った. 26

28 圧迫の 4 回はランダムな順で行い,5 分後の測定後に圧迫を解除し,5 分間休憩をとって次の圧迫を行った. 実験前や実験中はアルコールやカフェインの摂取を控えてもらい, アスピリ系薬剤の内服の有無を確認して実施した. また, 誘発筋電位測定前は十分に休憩を取り,24 に設定した静かな部屋で 1 名ずつ測定を行った. 測定後, 脊髄運動神経興奮性を示す H 波と M 波の閾値比 ( 以下 Hth/Mth), 最大振幅比 ( 以下 Hmax/Mmax), 増加率比 ( 以下 Hslp/Mslp) の 3 つの指標を算出した.H 波の潜時に関しては, 同一被検者で一定条件の場合, 変化しにくいため, この実験のデータ解析には考慮しない. 測定手順を図 11 に, 設定を図 12 に示す. 表 6. 6 つの標準的な麻痺の評価 1 動作時 安静時の下腿筋筋緊張 ( 弛緩 正常 軽度亢進 亢進 固縮 ) 2 Brunnstrom Recovery Stage(BRS)( ステージ ) 3 Modified Ashworth Scale (MAS)( レベル ) 4 足関節 Range of motion test(rom-t)( 度 ) 5 アキレス腱反射 ( 低下 正常 軽度亢進 亢進 ) 6 足クローヌス ( 回 ) 図 11.. 測定手順 0mmHg での H,M 波の測定後, カフを装着し 20~50mmHg をランダムな順で加え, それぞれ 1,3,5 分に H,M 波の測定を行った. それぞれの圧迫後は5 分間の休憩を入れた. 27

29 図 12. 実験 2 の設定腹臥位にて, ヒラメ筋上とアキレス腱上に表面電極を設置し膝窩の後脛骨神経に電気刺激を加え,M,H 波の測定を行った 統計統計は,SPSS Vol.16 解析ソフトを使用し,6 つの麻痺の評価結果と脊髄運動神経興奮性を示す 3 つの指標の関係性を明らかにするため,Spearman の順位相関係数を用いた. また, 麻痺側と非麻痺側の 0mmHg の比較に t 検定, 麻痺側, 非麻痺側の 0mmHg を含んだ各圧迫強度, 時間間の比較には一元配置分散分析, 多重比較 (Bonferroni 法 ) を用いた. 圧迫の効果は, 麻痺側 0mmHg を 100% としたときの変化率を算出し, 反復測定による 2 元配置分散分析, 多重比較 (Bonferroni 法 ) を用いて検証した. 有意水準は 5% 未満とした. 参加者のデータの中で, 欠損値を含むデータや誘発筋電図に影響を与えるアスピリン系薬剤内服者のデータは, 統計分析上含まず棄却した. 3. 結果 圧迫効果の前に, 誘発筋電図の指標が標準的な痙縮の評価と関係を示すのかみた結果, 麻痺側クローヌス数と麻痺側 Hmax/Mmax が正の相関 (r=0.477, p<0.05) を示した. 28

30 結果を表 7 に示した. また,0mmHg の麻痺側と非麻痺側で誘発筋電図の指標が変化を示すのかみた結果, 麻痺側 Hmax/Mmax と非麻痺側 Hmax/Mmax の間に有意差が認められ (t=2.265, p<0.05), 麻痺によって高値となることを示した.Hth/Mth,Hslp/Mslp は麻痺側と非麻痺側間で有意差はみられなかった. 比較の結果を表 8, 図 13 に示した. 脊髄運動神経興奮性を抑制する圧迫強度と時間を検証した結果, 圧迫のない状態と Hmax/Mmax では 40mmHg5 分 (F=2.638, p<0.05),hslp/mslp では 30mmHg3 分 (F=2.703, p<0.05) に有意差が認められ, 各圧迫強度の痙縮抑制効果を示した ( 表 9, 図 14, 図 15).20~50mmHg1~5 分の各圧迫 強度と 時間間には有意差は認められなかった. 圧迫による効果検証の結果を表 10 に 示した. 表 7 麻痺の臨床的評価と誘発筋電図指標の相関係数脊髄運動神経興奮性 ( 麻痺側 )(n=18) 最大値比 (Hmax/Mmax) 閾値比 (Hth/Mth) 増加率比 (Hslp/Mslp) 安静時筋緊張 動作時筋緊張 BRS MAS 足関節 ROM アキレス腱反射 クローヌス ( 回 ) * *: p<0.05 表 8 麻痺側と非麻痺側の脊髄運動神経興奮性の比較 脊髄運動神経興奮性 麻痺側 (n=13) 非麻痺側 (n=13) 最大値比 (Hmax/Mmax) 60.24± ± 閾値比 (Hth/Mth) ± ± 増加率比 (Hslp/Mslp) 84.60± ± 欠損値を含むデータとアスピリン系薬剤内服者の5 名の結果は, 統計分析上含まず棄却した. * n.s. n.s. *: p<

31 表 9 圧迫による脊髄運動神経興奮性の変化脊髄運動神経興奮性 (n=11) 最大値比 (Hmax/Mmax) 増加率比 (Hslp/Mslp) 麻痺側 0mmHg 40mmHg5 分 0mmHg 30mmHg3 分 平均値 ± 標準偏差 51.61± ± * 0.65± ±0.338 * 欠損値を含むデータとアスピリン系薬剤内服者の 7 名の結果は, 統計分析上含まず棄却した. *: p<0.05 表 10 圧迫強度と時間における脊髄運動神経興奮性の変化脊髄運動神経興奮性 (n=11) 最大値比 (Hmax/Mmax) 閾値比 (Hth/Mth) 増加率比 (Hslp/Mslp) ( 平均値 ± 標準偏差 ) 1 分 3 分 5 分 1 分 3 分 5 分 1 分 3 分 5 分 20mmHg ± ± ± ± ± ± ± ± ± mmHg ± ± ± ± ± ± ± ± ± mmHg ± ± ± ± ± ± ± ± ± mmHg ± ± ± ± ± ± ± ± ± mmHg を 100% とした時の値欠損値を含むデータとアスピリン系薬剤内服者の 7 名の結果は, 統計分析上含まず棄却した. 30

32 * (%) (%) (%) 図 13.. 麻痺側と非麻痺側の比較麻痺側と非麻痺側のヒラメ筋脊髄運動神経興奮性を示す 3つの指標を比較した. 最大値比で有意差がみられた. 図 14. 各圧迫強度の痙縮抑制効果 0mmHg と比較した結果, 最大値比 (Hmax/Mmax) では 40mmHg5 分, 増加率比 (Hslp/Mslp) では 30mmHg3 分の圧迫が有意に低下をみせた. 31

33 3 分 5 分 図 15.. 測定例 0mmHg と比較して 30mmHg と 40mmHg で H 波の振幅の減少がみられる. 4. 考察この研究の目的は, 脳血管障害者に対し, 麻痺側ヒラメ筋を圧迫したときの脊髄運動神経興奮性の変化を検証し, 痙縮抑制に適切な圧迫強度や時間, 効果を明確にすることである. 研究の結果, 誘発筋電図の指標である麻痺側の Hmax/Mmax は痙縮の標準的な評価であるクローヌス数と相関を示し, 非麻痺側 Hmax/Mmax と有意な差を示すことが明らかとなった. また, 圧迫のない状態と比較し Hmax/Mmax では 40mmHg5 分,Hslp/Mslp では 30mmHg3 分に有意差が認められ, 痙縮抑制にそれぞれの圧迫強度と時間が効果的であることが明確となった. 脊髄運動神経興奮性の指標である Hmax/Mmax は, 脳血管障害者の麻痺側足クローヌスの程度を示し, 非麻痺側と比較して麻痺側で高値を示した. クローヌスは, 痙縮によって過剰に興奮した単シナプス性伸張反射弓の自己振動であることから, 同じ経路にある脊髄の運動神経の興奮を示す Hmax/Mmax との相関を示したことが考えられた. クローヌスは痙縮の徴候の1つである 4) ことから, 脊髄運動神経興奮性を示す指標は, 麻痺の一側面である痙縮の程度を示していることが確認できた. また, 脳血管障害者の麻痺側上肢の脊髄運動神経興奮性を示す F 波の振幅は非麻痺側と比較し有意に亢進することが報告されている 50). 今回, 下肢の脊髄運動神経興奮性を示す Hmax/Mmax が有意に麻痺側で亢進したこと 32

34 から, 上下肢の脊髄運動神経興奮性は麻痺により亢進を示すことが考えられた. 30~40mmHg3~5 分の圧迫は, 健常者と同様に脳血管障害者の痙縮を抑制する効果をもつことが明らかとなった.Hslp/Mslp と Hmax/Mmax の低下はそれぞれ伸張反射の急激な亢進の抑制, 伸張反射の最大強度の減少を示していると考えられ,Hth/Mth の上昇を含め,30~40mmHg3~5 分の圧迫強度 時間を痙縮抑制の目的に応じて使い分けることが可能と考えられた. 具体的に述べると, 痙縮強度の増加を緩やかにする場合は,30mmHg 3 分, 痙縮の大きさを小さく抑える場合は,40mmHg 5 分の圧迫を加えることで, 慢性期の脳血管障害者の痙縮は圧迫中一時的に抑制コントロールが可能であることが考えられた. 原ら 51 ) は, ポリエチレンフォーム製ブロックによる体部圧迫によって, 痙縮型やアテトーゼ型脳性まひの全身性の筋緊張緩和を得たことを報告している. それに加え, 以前から行われてきた古典的筋腱ストレッチ法は, 目的とする筋緊張亢進筋をゆっくり強く伸張することでその緊張を抑制しようとするものであり, 脊髄の情報伝達経路に影響を与え伸張反射を抑制しようとするものと理解されている 51 ). ボバース法, 上田法も含め, いずれも反射経路を利用した手技であり, 今回の圧迫による痙縮抑制効果のメカニズムが関係していることが考えられた. 今回の結果である, 圧迫の痙縮抑制効果は, 随意的な下肢関節の運動を引き出し, 動作の安定性を高めるための理学療法に応用が可能と考えられた. 圧迫により, 脊髄運動神経興奮性の低下が生じたメカニズムに, 感覚受容器からの入力が大きく影響していると考えられている 23). 感覚には表在感覚と深部感覚の2つがあるが, 圧迫はそのどちらにも影響を与える. 腱や皮膚の真皮下層 関節包に存在する表在感覚受容器と深部感覚受容器は, 圧迫による皮膚や筋の持続的変形を感じると, その速度や大きさを感知し, 関節運動の方向と動き, 運動への抵抗の検出と他動 自動の弁別を行う. 感覚入力系における主な制御機構は,Ia シナプス前抑制, 脊髄内の介在ニューロンの賦活性がある.Ia シナプス前抑制の程度は, 高次中枢によって制御されており, 圧迫による脊髄運動神経興奮性の抑制への関与はないことが先行研究 23) で証明されている. 従って, 圧迫の痙縮抑制の作用機序としては, 従来から行われている持続伸張と同様のメカニズム 33

35 による効果と考えられる. すなわち, ゆっくり時間をかけて筋を伸張する圧迫は, 靭帯にある深部感覚受容器のゴルジ腱器官から Ib 繊維の興奮をひきおこし, 脊髄内の介在ニューロンを介して Ia 線維を抑制し, すでに興奮していたα 運動神経を抑制させたと考えられる. Mense 52 ) によると, 伸展された筋に温熱刺激を与えると, 筋紡錘から Ia 線維とゴルジ腱器官から Ib 線維にインパルス発射頻度が増加し, 筋紡錘 2 次終末からⅡ 線維へのインパルス発射頻度は減少するという. 圧迫のカフによる保温効果は, 痙縮抑制に影響を与えていないことが報告されている 23 ) ものの, 圧迫による筋内圧上昇に伴う筋温上昇が痙縮抑制に影響を与えていないかは今後検証が必要である. また, 近年, ゴルジ腱器官は, 張力センサーを持つものの,7g 以上の伸張でなければ反応しないといった伸張に対する感受性の低下が指摘されている 23 ). 圧迫のような小さな筋の伸張で反応をおこしているかどうか, また, 筋の圧迫によって筋線維の滑走不全や収縮能の低下が生じているのかどうか等詳細な検証が今後の課題である. 34

36 Ⅳ. 実験 3 脳血管障害者の麻痺側下腿下腿への圧迫が歩行動作へ与える影響 1. 対象対象は, 地域で生活する慢性期脳血管障害者 11 名 ( 男性 9 名 女性 2 名, 年齢 72.0±9.0 歳, 身長 161.0±9.0cm, 体重 59.0±17.0 kg,brsⅢ~Ⅵ) とした. 高次脳機能障害が重度で口頭指示に対する理解が困難な者, 整形外科疾患や歩行に影響を及ぼす合併症を持つ者, 意思疎通や歩行の困難な脳血管障害者は除外した. アキレス腱反射を行い, 麻痺の有無を確認した. 発症からの期間は平均 12.7 年であり, 脳梗塞 5 例, 脳出血 6 例であった. 右片麻痺は 5 名, 左片麻痺は 6 名であった. 対象者全員に対して事前に説明およびアンケート記入をしてもらい, 基礎情報の収集と研究への了承を得てから測定を実施した. 本研究は国際医療福祉大学倫理審査委員会の承諾を得て実施した.( 承諾番号 : ). 対象者の属性を表 11 に示した. 35

37 表 11. 属性詳細 ( 実験 3) 足関節受動 RO 歩行レベル 対象者 性別 年齢 診断名 麻痺側 下肢 BRS アキレス腱反射 M( 膝伸展位 ) 底屈筋 MAS 発症からの年数 屋内 屋外 歩行補助具使用装具 A 男性 75 脳梗塞 R Ⅵ 軽度亢進 自立 自立 T 杖 なし B 男性 71 脳梗塞 L Ⅳ 軽度亢進 0(-20) 0 11 見守り見守り T 杖 PAFO C 女性 70 脳出血 R Ⅳ 亢進 自立自立 T 杖 PAFO D 男性 75 脳出血 L Ⅳ 軽度亢進 自立自立 T 杖なし E 男性 81 脳出血 L Ⅳ 亢進 -5(-30) 3 17 見守り軽介助 T 杖なし F 男性 70 脳梗塞 L Ⅳ 亢進 見守り見守り T 杖 PAFO G 男性 63 脳出血 R Ⅳ 亢進 自立自立なしなし H 女性 72 脳梗塞 R Ⅳ 軽度亢進 自立自立なしなし I 男性 75 脳出血 R Ⅵ 軽度亢進 自立自立 T 杖なし J 男性 63 脳梗塞 L Ⅳ 軽度亢進 0(-5) 2 8 自立自立 T 杖 PAFO K 男性 81 脳梗塞 L Ⅵ 軽度亢進 自立自立 T 杖なし BRS: Brunnstrom Recovery Stage MAS: Modified Ashworth Scale PAFO: プラスティック AFO MAFO: 金属支柱つき AFO 36

38 2. 方法 2-1 計測方法歩行計測には三次元動作分析装置 (VICON 社製, 赤外線カメラ 9 台 図 16) と AMTI 社製床反力計 4 枚を用いた. 麻痺側ヒラメ筋への圧迫には軟性サポーター 20 cm ( ヘルスポイント社製 図 17) を用い, 圧迫強度は圧測定器 PREDIA(Molten 社製 図 18) を用いてモニタリングした. 臨床歩行分析研究会が推奨する方法 ( 図 19) を参考にし, 赤外線反射マーカーを左右の肩峰, 股関節 ( 立位における上前腸骨棘と大転子を結んだ線上の下方 3 分の 1 の位置 ), 膝関節 ( 膝伸展位での膝蓋骨中点を通る線上で, かつ膝蓋骨を除いた大腿骨遠位端前後幅の 2 分の1の位置 ), 腓骨外顆, 第 5 中足骨頭部, 上腕骨外側上顆, 尺骨茎状突起, 右側上後腸骨棘の計 15 か所に貼付した. 床反力計と三次元動作分析装置の計測データはサンプリング周波数 100Hz でパーソナルコンピューターに同期して取り込んだ. 図 16.3 次元動作解析装置 VICON 図 17. 圧迫サポーター + 右 PSIS (Posterior Superior Spines) 図 18. 圧測定器 ( プレディア ) 37 図 19. マーカー位置

39 2-2 計測条件課題動作は 6m の自由歩行とし, 裸足での歩行および 2 種類の強度で麻痺側下腿に圧迫を加えた歩行の計 3 条件とし, 各 3 試行実施した.2 種類の強度は, 実験 2 で効果のみられた 30mmHg と効果がみられなかった 50mmHg とした. 自由歩行は 通常歩いている速度で歩いてください と口頭指示を与えて実施した. 被験者は裸足での歩行を行なった後, 麻痺側下腿中央にサポーターを装着して異なる二種類の強度によるヒラメ筋への圧迫を乱数表を用いて被験者間でランダムに加え,3 分間経過した後に歩行を実施した. 圧迫強度が異なる試行間には 5 分間の休憩をおいた. 測定風景を図 20 に示した 図 20. 計測風景 2-3 解析方法運動学, 運動力学的な解析には Visial3D.V4(C-motion 社製 ) を用いた. 計測されたマーカー座標値と床反力データにそれぞれ,6Hz と 18Hz 二次のバターワースフィルターをかけた後に,6 自由度モデルを使用して下肢三関節の角度, モーメント, パワーを算出した. ランチョ ロス アミーゴ方式の観察による歩行分析に基づき, 歩行の立脚期イニシャルコンタクト ( 以下 IC), ローディングレスポンス ( 以下 LR), ミッドスタンス (MS), ターミナルスタンス (TS), プレスウィング (PS) に分けて, 各相の足関節, 膝関節, 股関節の 3 関節の角度, モーメント, パワーの最大値と最小値を抽出した. また歩行の時間 38

40 距離因子として床反力の鉛直方向成分のデータを用いて, 歩行速度, 麻痺側と非麻痺側の歩幅, ステップ時間, 重心位置を算出した. 2 4 統計処理統計解析には SPSS Ver.16 を用いて, 一元配置分散分析反復測定法を用いた後, 多重比較 Bonferroni 法にて, 各圧迫強度での歩行指標の比較を行った. 危険率は 5% 未満を有意とした. 3. 結果各圧迫強度の歩行指標の結果を図 21,22 と表 12 に示す. 圧迫無し時と比較して 30mmHg の圧迫を麻痺側ヒラメ筋に加えた時の IC における膝関節屈曲角度は有意に減少し (F=2.563, p<0.05),lr 時の膝関節の負のパワーは有意に増加した (f=2.887, p<0.05). それぞれ一例抽出し, 結果を図 23,24 に示す. 他の指標では各条件間で有意差は認められなかった. * SE n=11 * SE n=11 図 21.IC 時の膝関節角度 図 22. LR 時の膝関節負のパワー IC 時の膝関節屈曲角度が 30mmHg の LR 時の膝関節の負のパワーが 30mmHg 圧迫によりわずかであるが有意に減少 の圧迫によりわずかであるが, 有意な増大 をみせた.( 差分平均 0.80±0.783) がみられた.( 差分平均 0.016±0.0587) 39

41 表 12. 歩行パラメーターの3つの圧迫強度での平均値と標準誤差と統計結果 歩行パラメーター 0mmHg 30mmHg 50mmHg P-value 0mmHg 30mmHg 50mmHg spatiotemporal Walking speed(m/s) 0.37(0.070) 0.39(0.075) 0.39(0.080) Loading response time(s) 0.49(0.103) 0.55(0.165) 0.55(0.140) Single stance time (s) 1.00(0.105) 0.99(0.095) 0.93(0.126) Pre-swing time(s) 0.48(0.087) 0.51(0.097) 0.53(0.102) Non-paretic step time (s) 0.80(0.117) 0.87(0.185) 0.88(0.152) Paretic step time (s) 1.00(0.110) 0.99(0.100) 1.00(0.120) Non-paretic step length (%) 0.25(0.040) 0.25(0.041) 0.26(0.046) Paretic step length (%) 0.28(0.037) 0.30(0.037) 0.29(0.040) COG loading response(max) 0.05(0.017) 0.05(0.017) 0.05(0.015) loading response(min) -0.01(0.015) -0.01(0.016) -0.01(0.013) Pre-swing(Max) 0.05(0.018) 0.04(0.017) 0.05(0.016) Pre-swing(Min) 0.05(0.018) 0.04(0.017) 0.05(0.016) Stance(Max) 0.06(0.019) 0.06(0.018) 0.06(0.017) Stance(Min) -0.02(0.015) -0.02(0.016) -0.02(0.013) Lateral sway (%) GRF loading response(max) 0.05(0.011) 0.05(0.010) 0.05(0.011) loading response(min) -0.04(0.012) -0.04(0.013) -0.04(0.013) Pre-swing(Max) -0.01(0.015) -0.02(0.016) -0.01(0.013) Pre-swing(Min) 0.05(0.013) 0.05(0.012) 0.05(0.013) Stance(Max) 0.04(0.019) 0.04(0.020) 0.04(0.021) Stance(Min) -0.02(0.023) -0.02(0.022) -0.02(0.024) Ankle Angle at initial contact (Deg) -0.47(1.927) -0.78(2.039) 0.85(1.977) Peak planter flexion angle in loading response(deg) 2.85(1.641) 2.86(1.780) 4.17(1.500) Max morment in loading response(nm/kg) 0.50(0.076) 0.53(0.080) 0.53(0.084) Max power in loading response(w/kg) 0.06(0.024) 0.06(0.022) 0.06(0.023) Planter flexion angle in loading response(deg) -4.62(1.301) -5.55(1.342) -3.43(1.356) Min morment in loading response(nm/kg) (0.001) (0.001) (0.001) Min power in loading response(w/kg) -0.24(0.054) -0.30(0.064) -0.26(0.072) Peak dorsiflexion in stance(deg) 6.60(1.175) 6.67(1.195) 6.90(1.038) Max morment in stance(nm/kg) 0.81(0.077) 0.82(0.078) 0.90(0.105) Max power in stance(w/kg) 0.69(0.148) 0.73(0.166) 0.85(0.221) Planter flexion angle in stance(deg) -6.55(1.428) -7.15(1.842) -6.16(1.537) Min morment in stance(nm/kg) -0.01(0.001) -0.01(0.002) -0.01(0.001) Min power in stance(w/kg) -0.35(0.064) -0.39(0.079) -0.50(0.127) Peak planter flexion in pre-swing(deg) 5.70(1.065) 5.78(1.056) 5.52(0.839) Max morment in pre-swing(nm/kg) 0.80(0.076) 0.80(0.078) 0.89(0.105) Max power in pre-swing(w/kg) 0.68(0.150) 0.73(0.167) 0.85(0.222) Min angle in pre-swing(deg) -5.69(1.427) -6.20(1.880) -5.38(1.569) Min morment in pre-swing(nm/kg) (0.005) (0.002) 0.025(0.031) Min power in pre-swing(w/kg) -0.19(0.057) -0.23(0.067) -0.34(0.134) Peak planter flexion in swing(deg) 2.78(1.589) 2.16(1.723) 3.06(1.781) Max morment in swing(nm/kg) 0.004(0.005) (0.001) 0.032(0.034) Max power in swing(w/kg) 0.006(0.002) 0.006(0.001) 0.006(0.003) Peak dorsiflexion in swing (Deg) -3.89(1.463) -4.49(1.817) -3.47(1.602) Min morment in swing(nm/kg) (0.004) (0.000) (0.005) Min power in swing(w/kg) (0.007) (0.001) (0.097) Peak dorsiflexion moment in loading response (Nm/kg) 40

42 Knee Hip Angle at initial contact (Deg) 12.93(2.244) 12.12(2.236) 13.12(2.213) * * Peak flexion in loading response(deg) 14.73(2.423) 14.46(2.520) 15.16(2.580) Max morment in loading response(nm/kg) 0.09(0.034) 0.09(0.035) 0.09(0.033) Max power in loading response(w/kg) 0.16(0.055) 0.16(0.056) 0.16(0.049) Min angle in loading response(deg) 7.41(2.691) 7.40(2.754) 7.71(2.855) Min morment in loading response(nm/kg) -0.39(0.095) -0.38(0.083) -0.42(0.099) Min power in loading response(w/kg) -0.20(0.059) -0.25(0.065) -0.24(0.058) * * Peak extension in stance(deg) 25.38(3.541) 24.64(3.222) 25.77(3.442) Max morment in stance(nm/kg) 0.13(0.034) 0.15(0.034) 0.14(0.036) Max power in stance(w/kg) 0.36(0.088) 0.32(0.076) 0.40(0.089) Min angle in stance(deg) 0.79(2.427) 0.77(2.120) 1.84(2.562) Min morment in stance(nm/kg) -0.52(0.093) -0.50(0.084) -0.55(0.095) Min power in stance(w/kg) -0.38(0.097) -0.42(0.113) -0.42(0.113) Peak flexion in pre-swing(deg) 24.85(3.604) 24.24(3.224) 25.52(3.459) Max morment in pre-swing(nm/kg) 0.10(0.025) 0.11(0.025) 0.10(0.023) Max power in pre-swing(w/kg) 0.33(0.094) 0.28(0.080) 0.37(0.093) Min angle in pre-swing(deg) 1.47(2.489) 1.34(2.138) 2.67(2.620) Min morment in pre-swing(nm/kg) -0.41(0.092) -0.40(0.082) -0.43(0.088) Min power in pre-swing(w/kg) -0.18(0.054) -0.18(0.048) -0.17(0.051) Peak flexion in swing(deg) 29.81(4.480) 28.22(4.272) 30.12(4.812) Max morment in swing(nm/kg) 0.04(0.007) 0.04(0.007) 0.05(0.013) Max power in swing(w/kg) 0.03(0.007) 0.04(0.011) 0.07(0.033) Min angle in swing(deg) 12.61(2.184) 11.80(2.159) 12.75(2.301) Min morment in swing(nm/kg) -0.08(0.012) -0.07(0.011) -0.08(0.012) Min power in swing(w/kg) -0.12(0.036) -0.12(0.035) -0.13(0.040) Peak extensor moment in loading response(n.m/(kg.m)) Flexion at initial contact (Deg) 12.78(3.202) 13.18(3.039) 14.76(2.451) Peak extension in stance(deg) 17.05(2.029) 16.81(2.250) 17.55(1.995) Max morment in loading response(nm/kg) 0.60(0.085) 0.60(0.095) 0.60(0.088) Max power in loading response(w/kg) 0.39(0.104) 0.40(0.093) 0.44(0.104) Min angle in loading response(deg) 5.51(2.432) 5.80(2.288) 6.03(2.464) Min morment in loading response(nm/kg) -0.15(0.042) -0.15(0.054) -0.13(0.033) Min power in loading response(w/kg) -0.16(0.048) -0.17(0.057) -0.12(0.035) Max angle in stance(deg) 17.06(2.030) 16.82(2.250) 17.55(1.995) Peak extensor moment in stance (N.m/(kg.m)) 0.68(0.149) 0.67(0.146) 0.68(0.137) Max power in stance(w/kg) 0.47(0.116) 0.47(0.110) 0.53(0.134) Min angle in stance(deg) -7.91(1.627) -8.22(1.390) -8.09(1.642) Peak flexion moment in stance (N.m/(kg.m)) -0.31(0.051) -0.33(0.049) -0.32(0.051) Min power in stance(w/kg) -0.25(0.060) -0.25(0.058) -0.22(0.056) Peak flexion in pre-swing(deg) 0.26(1.819) 0.56(1.793) -0.21(1.724) Max morment in pre-swing(nm/kg) 0.07(0.061) 0.05(0.052) 0.06(0.057) Max power in pre-swing(w/kg) 0.25(0.065) 0.25(0.061) 0.27(0.078) Min angle in pre-swing(deg) -7.91(1.627) -8.21(1.390) -8.09(1.642) Min morment in pre-swing(nm/kg) -0.29(0.053) -0.31(0.050) -0.31(0.052) Min power in pre-swing(w/kg) -0.18(0.056) -0.18(0.062) -0.18(0.062) Max angle in swing(deg) 18.95(2.207) 19.06(2.010) 19.53(2.183) Max morment in swing(nm/kg) 0.09(0.029) 0.10(0.019) 0.10(0.037) Max power in swing(w/kg) 0.17(0.049) 0.57(0.396) 0.20(0.061) Min angle in swing(deg) -0.71(1.989) -0.10(2.001) -1.12(1.763) Min morment in swing(nm/kg) -0.16(0.023) -0.15(0.028) -0.17(0.025) Min power in swing(w/kg) -0.07(0.012) -0.38(0.314) -0.08(0.026) 41

43 SE 3 試行 図.23 対象者 Y IC 時に 30mmHg の圧迫により膝関節屈曲角度の減少がみられた. 対象者 A SE 3 試行 図.24 対象者 A LR 時に 30mmHg の圧迫により膝関節の負のパワーに増大がみられた. 4. 考察今回, 圧迫の有無および強度の異なる圧迫を下腿に加えた際の歩行の変化を歩行の時間距離因子と運動学, 運動力学パラメーターを算出し比較した結果,30mmHg の麻痺側下腿部の圧迫により IC 時の膝関節屈曲角度が有意に低下し,LR 時の膝関節の負のパワーが有意に増加した ( 図 25). IC LR 膝伸展角度 膝伸展筋パワー 図 25. 歩行時の効果 42

44 健常者の IC 時では, 下肢は前進と膝関節の安定の両方を得る為に足関節は中間位, 膝関節は伸展位, 股関節は 30 屈曲位となる 53). 脳血管障害者は, 足関節が底屈位を呈しやすく, 足底全面接地もしくは足尖接地となり, 踵を軸にした足部の滑らかな接地が生じないことが報告されている 17). また, 膝関節も足関節や股関節の機能低下により不安定となり, 過伸展位や屈曲位となりやすいことが報告されている 38). 他の条件と比較し,30mmHg の下腿三頭筋の圧迫は, 膝関節屈曲角度を減少させ, 伸展位で下肢を支持するよう歩行を改善させた. そのメカニズムとして, 下腿三頭筋の圧迫が, 安静時と同様に下腿三頭筋の痙縮を抑制し, 痙縮によって働きにくくなっていた正常肢位での関節固定機能を改善させた結果, 膝関節伸展位での安定した接地につながったことが考えられた. 本来, ヒラメ筋は, 足関節を安定させる働きをもち, その働きにより膝関節を伸展位に安定させる 54). この働きが痙縮抑制により生じたこと ( 図 26), また, このヒラメ筋の痙縮が抑制されるとともに膝屈曲に作用する腓腹筋の痙縮が抑制されたため, 膝伸展が生じたことが考えられた. 図 26. ヒラメ筋の働き引用文献 54 ) より抜粋本来, ヒラメ筋は, 足関節を安定させる働きをもち, その働きにより膝関節を伸展位に安定させる 43

45 健常者の LR 時では足関節と膝関節では衝撃吸収反応を示す. 衝撃吸収は, 膝関節の屈曲を大腿四頭筋の遠心性収縮により制限することで生じる 53).30mmHg の下腿圧迫による膝関節の負のパワーの増加は, 衝撃吸収機能の改善と膝関節における荷重の安定性の維持を示していると考えられる. 下腿の圧迫により, 痙縮による足関節底屈方向への動きが抑制され, 脳血管障害者では生じにくくなる身体の前進に重要なヒールロッカーの機能を生じさせたと考えられる. その結果, ヒールロッカーに反応して起こる膝関節伸展筋の遠心性収縮による重要な衝撃吸収メカニズムに改善が得られたことが考えられた. また, 通常, 健常者では膝伸展筋である大腿四頭筋や大臀筋が収縮することにより, 骨盤と体幹を上方へ押し上げる作用がある. 脳血管障害者は,IC から LR にかけてヒールロッカーが生じないことによって重心が持ち上がらず,MS 初期での足関節を中心とした身体の前方回転が阻害されることが報告されている 17). 今回,X 軸方向の重心 (COG) の変化は数値として現れなかったが, 下腿三頭筋の圧迫による IC 時の膝関節伸展,LR 時の大腿四頭筋の筋パワーの改善により, 身体の前上方への移動が容易になったことも考えられた. この IC から LR での前上方への重心移動の改善は,MS 以降の膝関節過伸展や過屈曲の防止等, その期以降の歩行動作にも影響を与える重要な機能の改善であり, この下腿の圧迫による重心移動スピード等の詳細な検証は今後の課題である. 脊髄運動神経興奮性を示す H 波は通常, 座位や腹臥位条件に比べて立位条件では抑制され, 歩行時はシナプス前抑制が増強するといわれている 55). しかし, 脳血管障害者の脊髄運動神経興奮性は, 座位に比べ立位で亢進し, より抑制が必要な姿勢や動作時に抑制が十分働かない状態となっていることが報告されている 50). 歩行時も同様に脊髄運動神経興奮性の抑制が必要なタイミングでも抑制が生じていないことが考えられた. しかし, 今回 30mmHg の圧迫により, 装具の底屈制動モーメントと同様に歩行周期の IC と LR 時に抑制効果が働き, 膝関節の伸展, 伸展筋パワーの増大を引き起こすことが明らかとなった. この結果は, 脳血管障害者の歩行訓練の際の痙縮補助への圧迫応用の可能性を示唆するもので ある. 44

46 今回, 比較的歩行の自立度が高い対象者であった. 歩行自立度が低く, 膝関節のロッキングを示す脳血管障害者は大きな底屈制動が必要であり, 歩行自立度の高い脳血管障害者は小さな底屈制動で歩行が改善する傾向をもつことが報告されているため, 圧迫の効果は比較的自立度の高い脳血管障害者に効果的であることが考えられた. Ⅴ. 総括および今後の課題今回, 圧迫を脳血管障害者の麻痺側下腿に加え, 痙縮抑制の効果を安静時は誘発筋電図, 歩行時は三次元動作分析装置を用いて検証した. 結果として, 脳血管障害者への 30~ 40mmHg,3~5 分の圧迫が血流を阻害せず, 安静時の下腿の痙縮抑制効果をもつこと, 30mmHg3 分以上の圧迫が歩行時の麻痺側下肢の膝関節角度とパワーに改善効果を与えることが明らかとなった. 本研究の結果は麻痺側下肢への圧迫による痙縮抑制効果だけでなく, 臨床上で効果的な圧迫強度や時間を決める際の一助となることが考えられた. 痙縮の反射性要素に注目して, 圧迫の安静時と歩行時の痙縮抑制効果を明らかにしたことがこの研究の新規性を示す部分である. この圧迫の痙縮抑制効果は, 随意的な足関節運動を引き出し, 動作の安定性を高めるための理学療法に応用が可能と考えられた. しかし, 今回, 下腿三頭筋の痙縮に注目し, 拮抗筋の随意的な関節運動の促通を筋電図的変化を通しては検証することができなかった. 今後, より足関節のコントロールを必要とする動作を中心に筋電図を使用し, 痙縮抑制効果と促通効果を検証していきたいと思う. また, 同時に筋電図や被験者の情報をより詳細に把握することで, リハビリテーションや内科疾患, 末梢の問題等が被験者の痙縮の状態に影響を与えていないかを検証していく必要がある. 足関節のコントロールとしてヒラメ筋は, 抗重力筋であることから, 通常, 姿勢のコントロールによく働いている. 特に立位での動作前に動作の準備段階として働いている. この時, 遂行しようとする運動が状況に応じてより効率的に実現できるよう高次中枢から反射機能も調整されており, その作用を運動にも組み込もうとしている. 加えて, 反射機能は, 随意的な筋張力をなるべく早く有効なものにするため, ある程度の筋長の保持や随意的な筋収縮の前に筋張力を生じさせる働きを持つ 56). この働きを担う反射の一つである下 45

47 腿筋の伸張反射も, 筋の長さを一定に保ち, 常に随意運動と関わり合い, 動作によって反 射活動を調整している 57). この調整はヒラメ筋脊髄運動神経興奮性を示す値が背臥位, 立 58) 位, 一側下肢荷重位などの姿勢変化や歩行動作により変化することを報告した先行研究からも明らかにされている. しかし, 高次中枢が障害される脳血管障害者や脊髄損傷者は, これらの反射調節が不十分となることから, 安静時だけでなく動作に応じた動作前の調整が行われていないことが考えられ, 特に抑制方向への調整が困難となることが考えられた. 今回, 圧迫の安静時と歩行時の痙縮抑制効果を検証することができたが, 今後はより痙縮抑制を必要とする姿勢変換時や動作の準備段階時の圧迫効果を検証し, 理学療法治療への効果的応用へとつなげていきたいと考えている. Ⅵ. 謝辞本研究の遂行にあたり, 熱心にご指導いただきました黒澤和生教授, 勝平純司講師をはじめ, 理学療法学分野の先生方に心から感謝いたします. また, 本研究に際し, ご協力いただいた小田原市脳血管障害患者の会 さくら会 の皆様, 国際医療福祉大学小田原保健医療学部理学療法学科学部生に深く感謝いたします. 46

48 Ⅶ. 文献一覧 1)Lance JW: In: Feldman RG, et al(eds), Spasticity: Disorder Motor Control. Chicago: Year Book Medical Publishers, 1980: ) Lalith E Satkunam. Rehabilitation medicine: 3.Management of adult spasticity. CMAJ.2003; 169(11): ) 正門由久. ボツリヌス治療とリハビリテーション.MB Med Reha2012; 144: ) 龍浩志, 土屋直人, 横井風児ら. 脳卒中後遺症の痙性片麻痺に対する選択的腰部脊髄後根切除術. リハビリテーション医学 2006;43(10):694 5) マークL. ラタッシュ. 運動神経生理学講義. 東京 : 大修館書店,2002: ) 正門由久. 痙縮に対するリハビリテーション. 分子脳血管病 2010;9(4): ) 太田哲生, 木村彰男. 各種疾患に対するボツリヌス治療脳卒中 ( 下肢痙縮 ).Medical rehabilitation2012;144: ) Simpson DM, Alexander DN, O Brien CF, et al. Botulinum toxin type A in the treatment of upper extremity spasticity: a randomized, double-blind, Placebo-controlled trial. Neurology1996; 6(5): ) Bakheit AM,Thilmann AF,Ward AB,et al.a randomized,double-blind, placebo-controlled, does-ranging study to compare the efficacy and safety of three doses of botulium toxin type A(Dysport)with placebo in upper limb spasticity after stroke. Stroke2000; 31(10): ) Smith GV, Silver KH, Goldberg AP, et al. Task-oriented exercise improves hamstring strength and spastic reflexes in chronic stroke patients. Stroke1999; 30(10): ) 塚谷桐子, 小澤純一. 中枢神経疾患患者に対するストレングスエルゴメータ駆動の効果. 理学療法福井 2008;12: ) 竹中伸行, 田中栄里, 桑原岳哉ら. 直線偏光近赤外線照射が脳血管障害片麻痺患者の 47

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