臨床研究に関する研修会 Ⅱ 長崎大学病院臨床研究センター 平成 27 年 9 月 24 日
倫理委員会申請時の注意点 臨床研究センター 副センター長福島千鶴
e-learning の受講 研究を申請する研究者及び 研究分担者は 申請前に必ず e-learning を受講して下さい CITI JAPAN プロジェクト ( 医学研究者標準コース ) 所属関係なし 研究責任者は研究分担者の受講状況を確認の上 申請して下さい 研究分担者に未受講の研究者がいる場合は申請を受理できません
病院倫理委員会 or 医歯薬倫理委員会? 医科系 / 歯科系においては 平成 27 年 10 月から振り分け基準が変更になります 研究責任者の所属に関係なく長崎大学病院の患者さんの情報 試料を用いる研究は病院倫理委員会になります 内容旧新 1 臓器移植に関するもの医歯薬病院 ( ) 2 HIV 患者等個人情報が特に問題となる場合医歯薬病院 3 健常人 ( ボランティア ) を対象とする場合医歯薬医歯薬 患者の正常データを使用する場合医歯薬病院 4 生命倫理の専門家が審議に参加することが必要な場合医歯薬 ( ) 再生医療に関連するものは 今後 別の委員会 ( 認定再生医療等委員会 特定認定再生医療等委員会 ) での審議となります
研究計画書 / 同意説明文書のひな形 臨床研究センターの HP に掲載しています ( 適宜更新しています ご注意ください ) 研究計画書 同意説明文書 / 同意書 情報公開文書 学内限定
多施設共同研究を申請する時の注意点 共通の研究計画書 ( 最新版 ) を提出 既に共同研究機関 ( 主幹実施施設 ) において倫理委員会の審査を受けた研究計画書を提出 長崎大学病院版として新たに作成する必要はありません 長崎大学病院版の同意説明文書を作成し提出 各研究で提供されたひな形がある場合は内容を確認し 長崎大学病院に沿った同意説明文書を作成 主幹実施施設の倫理審査許可書を提出 主幹実施施設で倫理審査委員会で承認 または施設追加の申請が承認された事を確認
倫理申請の流れ 研究者 申請 差し戻し (4 営業日以内 ) 再申請 研究計画書 同意説明文書の記載内容 倫理委員会申請書 関連書類の確認を行います 事務局 / 臨床研究センタ 申請受理後 倫理委員会へ 注意 病院倫理委員会 委員会開催 2 週間前の水曜日 17:00 までに事務局 / 臨床研究センターでのチェックが完了した研究のみ その月の倫理委員会で審議されます 差し戻しの期間や修正する時間も考慮して申請して下さい
申請前の事前相談 研究をしたいけど どうしたらいい? 研究計画書 同意説明文書の書き方がいまいちわからない 研究計画書も 同意説明文書も作成してみたけど これで問題ない? もう少し具体的に指摘内容を教えて欲しい ( 申請書類を差し戻された場合 ) 事務局に提出する前に臨床研究ユニット ( 内線 7726) へご相談下さい
研究実施にあたって 知っておくべきこと 臨床研究センター 中島佐和子
侵襲のあり なしの判断 侵襲あり 研究対象者の身体又は精神に障害又は負担が生じる モニタリング : 必須 ( 介入を伴う場合 ) 重篤な有害事象の報告 : 義務あり 軽微な侵襲あり, 侵襲なし 研究目的でない診療における侵襲 負担が小さい 既存試料 情報 モニタリング : 任意 重篤な有害事象の報告 : 義務なし 研究を計画するにあたり 軽微な侵襲 侵襲なし とする理由を明確にして下さい
侵襲あり ( 例 ) 研究目的で行われる 穿刺 切開 薬物投与 放射線照射 心的外傷に触れる質問等によって 研究対象者の身体又は精神に傷害又は負担が生じること 既承認医薬品を研究目的で承認の範囲で投与する場合 放射線照射を研究目的で一定の条件を設定し 行う場合 調査等でその人にとって思い起こしたくないつらい体験 ( 災害 事故 虐待 過去の病気等 ) や意図的に緊張 不安を与える等 精神の恒常性を乱す場合 研究対象者の年齢や状態等を十分考慮し 総合的に判断
軽微な侵襲 ( 例 ) 採血や放射線照射に関して 労働安全衛生法に基づく一般健康診断で行われるものと同程度である場合 通常診療に上乗せして研究目的で行う穿刺 切開 採血量を増やす等が通常診療と比較した場合に研究対象者の身体及び精神に生じる負担が相対的にわずかである場合 調査等で研究対象者にあらかじめ精神的苦痛等が生じる内容を含む事を明示し 匿名で回答または拒否できる等 十分な配慮がなされている場合 造影剤を用いない MRI 撮像を研究目的で行う場合は 研究対象者の身体に生じる傷害及び負担が小さいと考えられ 長時間に及ぶ行動の制約等によって身体及び精神に負担が生じない場合
同意取得のタイミングと方法 新たに試料 情報を取得する場合はもちろん 既存試料を利用する場合も 研究対象者が通院中 入院中あるいは連絡が取れる場合は 可能な限り文書による同意を取得するよう努めて下さい 既存試料 情報を用いる場合で 文書または口頭での同意取得が困難な場合 ( 死亡 退職 転居などにより連絡がとれない ) は研究対象者がその利用を拒否できる機会を保障した上で 利用目的を含む研究の概要について通知または公開を行って下さい ( 情報公開 / オプトアウト )
新たに試料 情報を取得する場合 侵襲介入試料 情報の種類 IC 等の手続き ありなしー文書 IC なしありー文書 IC or 口頭 IC+ 記録の作成 なしなし人体採取試料文書 IC or 口頭 IC+ 記録の作成 なし なし 人体採取試料以外 ( 調査や診療記録のみを用いる研究等 ) 文書 IC or 口頭 IC+ 記録の作成 or 情報公開 ( オプトアウト ) 既存の試料 情報を利用する場合 ( 自らの研究機関に保有しているもの ) 匿名化されていない又は連結可能匿名化 ( 院内に対応表あり ) 試料 情報の種類 人体採取試料 人体採取試料以外 ( 検査結果 画像 カルテ情報等 ) 連結不可匿名化 IC 等の手続き 文書 I or 口頭 IC+ 記録の作成困難な場合 情報公開 ( オプトアウト ) 例外あり 情報公開 ( オプトアウト ) 手続き不要 迷ったら 臨床研究ユニットへ相談して下さい ( 内線 :7726)
報告すべき事項 1. 重篤な有害事象の報告 侵襲を伴う研究の実施において重篤な有害事象の発生を知った場合は 研究との因果関係を問わず 速やかに病院長に報告する必要があります ( 指針 p.5 第 1 章第 2 用語の定義 (25)(26)(27)) ( 指針 p.7 第 2 章第 5 研究責任者の責務 2-(5)) ( 指針 p.29 第 7 章第 17 重篤な有害事象への対応 ) 重篤な有害事象の発生を知った場合 すみやかに CT ポータルより報告を行って下さい ご不明な点は臨床研究センターへご連絡下さい ( 内線 :7726)
報告すべき事項 2. 研究等変更申請 研究計画の変更 ( 選定基準 症例数の変更 ) 研究責任者の変更 / 研究者等の異動 研究実施期間の変更 共同研究施設の変更 同意説明文書の変更など 変更申請を行う場合は研究計画書 同意説明文書を改訂し 最新版を研究等変更申請書と一緒に提出して下さい
3. 実施状況報告 報告すべき事項 継続している研究についての実施状況を 病院長へ報告 ( 年 1 回 ) ( 指針 p.7 第 2 章第 5 研究責任者の責務 2-(6)) 4. 研究等終了 ( 中止 ) 報告 研究が終了 ( 中止 ) した場合は速やかに病院長へ報告 ( 指針 p.7 第 2 章第 5 研究責任者の責務 2-(7))
報告すべき事項 5. 研究に関する登録 公表 介入研究は公開データベースに登録する必要があります 国立大学附属病院長会議 :UMIN 一般財団法人日本医薬情報センター :JAPIC 公益財団日本医師会 :JMA CCT 全ての研究 ( 中止 期待する結果が得られなかった場合も含む ) において結果を公表する必要があります 公表方法 学会発表 論文 データベース ( 介入研究の場合 ) 実施部門の HP 等
報告内容実施のタイミング提出先 重篤な有害事象の報告 重篤な有害事象の内容 経過や転帰研究責任者の見解など 発現後 速やかに又は知り得てから速やかに 総務課 ( 総務 ) 内線 :2540 又は CT- ポータル 変更申請 変更の内容と理由 ( 最新版の研究計画書 同意説明文書も一緒に提出 ) 変更前 総務課 ( 総務 ) 内線 :2540 又は CT- ポータル 実施状況報告 研究の進捗状況有害事象の有無逸脱の有無など 年に 1 回 総務課 ( 総務 ) 内線 :2540 又は CT- ポータル 研究の登録 研究の概要研究計画の変更進捗状況 研究実施前 ( 変更 進捗は随時 ) 公開データベース 結果の公表 研究の結果 ( 内容については規定なし ) 終了後 遅滞なく 学会論文公開データベースホームページ
モニタリングについて 侵襲 ( 軽微な侵襲を除く ) を伴う介入研究は 信頼性を確保するためモニタリングを実施する必要があります 研究責任者はモニタリングの実施体制 方法について研究計画書あるいは手順書に定めて下さい 該当する研究の実施を計画している研究者は 計画の段階で臨床研究センターへご相談下さい モニタリングについては次回 (10 月 23 日 ( 金 )) のセミナーで行います