Microsoft Word - 10th_ippan_yuusyuu_ichinose.docx

Similar documents
学習指導要領

学習指導要領

5 明治初期の諸改革 明治新政府が中央集権化を図るとともに 富国強兵 殖産興業政策の下で 廃藩置県 封建的身分制度の廃止 学制や徴兵令 地租改正などの諸改革を実施したことを知る 欧米文化が導入され 人々の生活が変化していったことを知る 明治初期の外交 清国と日清修好条規 朝鮮とは日朝修好条規が結ばれ

第 2 問問題のねらい青年期と自己の形成の課題について, アイデンティティや防衛機制に関する概念や理論等を活用して, 進路決定や日常生活の葛藤について考察する力を問うとともに, 日本及び世界の宗教や文化をとらえる上で大切な知識や考え方についての理解を問う ( 夏休みの課題として複数のテーマについて調

平成 30 年度年間授業計画 教科 : 地理歴史科目 : 世界史 A 校内科目名 : 世界史 A 対象年次 :1 2 単位 使用教科書 教材 教科書 現代の世界史 改訂版( 山川出版社 ) 補助教材 ニューステージ世界史詳覧 ( 浜島書店 ) 1 学期 2 学期 指導内容指導目標評価の観点 方法 <

第 6 学年社会科指導案 日時平成 24 年 10 月 17 日 ( 木 ) 児童男子 13 名女子 10 名計 23 名 指導者河野美恵 1 単元名平和で豊かな暮らしを目ざして 2 単元を展開するにあたって (1) 単元について本単元は, 新学習指導要領第 6 学年の内容 (1) のケ 日華事変,

学習指導要領

謝辞

008 しかし 自衛隊が最初から広く国民に受け入れられる存在だったかというと 決してそうではなかった 創設時から憲法違反という批判も受けながら 戦後の平和主義の中で苦しみつつ成長してきたというのが実態である かつては自衛官という存在自体を否定的に考える風潮もあったのである たとえば ノーベル文学賞を

年間授業計画09.xls

三衆議院議員稲葉誠一君提出自衛隊の海外派兵 日米安保条約等の問題に関する質問に対する答弁書一について1 我が国が安全保障理事会の常任理事国となるためには 国連憲章の改正が必要であるが 安全保障理事会の常任理事国は 国連憲章の改正についても いわゆる拒否権を有しており 一般的にいつて 国連憲章の改正に

<92508F838F578C76955C81408EE88E9D82BF8E9197BF2E786C7378>

2-1_ pdf

朝日 TV 2015/4/18-19 原発政策安倍内閣は 今後の電力供給のあり方について検討しているなかで 2030 年時点で 電力の 2 割程度を 原子力発電で賄う方針を示しています あなたは これを支持しますか 支持しませんか? 支持する 29% 支持しない 53% わからない 答えない 18%

日本を立て直すそのために 自由民主党が果たす役割 ~ 日本人の手による 憲法 制定によって 国家としてのアイデンティティーを取り戻 せ!!~ 中平雅清はじめに米国大統領選挙の今年 8 年前の11 月を思い出す その頃筆者は 米国マサチューセッツ州ボストンで博士研究員として医学研究に携わっていた 当時

博士学位論文審査報告書

どにしばしば寄稿し 1917 年には 憲法制定会議とは何か ~ ~ 大臣の責任 ~ ~ 戦争と革命 な

O-27567

Try*・[


タイトル

7 民法改正 : (13) 選択的夫婦別姓の実現 (14) 婚姻最低年齢 再婚禁止 (15) 婚外子相続分差別規定廃止 是正 8 性暴力 : (16) 性暴力禁止法 (17)DV 防止法 9 日本軍 慰安婦 : (18) 河野 村山談話 (19) 国家の謝罪と補償 10 性的健康 : (20) 刑法

年間授業画 地理 歴史 2 年必修世界史 A( 理系 ) 数 2 2 年 56 組 書 教材世界史 A( 実教出版 ) プロムナード世界史 ( 浜島書店 ) 1 近代ヨーロッパの成立以後の近現代史を全世界的観点から体系的に理解させる 今日的な諸課題の解決の一助として歴史的理解 意識を習得させる 2

序章近代世界の成立とグローバリゼーションの諸段階 世界 商品交換 全地球 結合 500 年ほど前に始まった 近代化 それ以前の広大な地域の商品交換ネットワークは? モンゴル帝国の 世界 商品の生産は? Ⅰ グローバリゼーション とは グローバリゼーションと近代 グローバリゼーション 最近( 現代 )

教科 : 地理歴史科目 : 世界史 A 別紙 1 (1) 世界史へのいざない 学習指導要領ア自然環境と歴史歴史の舞台としての自然環境について 河川 海洋 草原 オアシス 森林などから適切な事例を取り上げ 地図や写真などを読み取る活動を通して 自然環境と人類の活動が相互に作用し合っていることに気付かせ

mr0712.indd


5 第 2 章近代国家の形成と発展 1 立憲政治をめざして 4 王政復古と急進的改革 明治新政府の制度改革や富国強兵 殖産興業政策に着目して, 明治初期の国 家的統一過程を考察させる 文明開化による欧米文化の導入と, 国民の反応を理解させる 5 新たな対外関係の樹立と内乱の終結 明治初期の対外政策に

指導内容科目世界史 A の具体的な指導目標評価の観点 方法 ユーラシアの諸文明 西アジア 西アジアにおける古代オリエント文明とイラン人の活動 アラブ人とイスラーム帝国の形成過程や文明の特質を理解する 5 ユーラシアの諸文明 ヨーロッパ 古代ギリシア ローマ文明 キリスト教を基盤とした東西ヨーロッパ世

Try*・[

論文の内容の要旨 論文題目 戦後韓日関係と領土問題 韓国における 独島問題 の言説とイメージ 氏名玄大松 本稿は 領土意識 対日感情 というものが そもそも社会的に 構築 されたものであると見る社会的構築主義 (Social Constructivism) の認識論的立場から 独島問題 を通じて韓国

7 民法改正 : (13) 選択的夫婦別姓の実現 (14) 婚姻最低年齢 再婚禁止 (15) 婚外子相続分差別規定廃止 是正 8 性暴力 : (16) 性暴力禁止法 (17)DV 防止法 9 日本軍 慰安婦 : (18) 河野 村山談話 (19) 国家の謝罪と補償 10 性的健康 : (20) 刑法

「安倍政権の実績をマニフェスト評価」

( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 経済学 ) 氏名 蔡美芳 論文題目 観光開発のあり方と地域の持続可能性に関する研究 台湾を中心に ( 論文内容の要旨 ) 本論文の目的は 著者によれば (1) 観光開発を行なう際に 地域における持続可能性を実現するための基本的支柱である 観光開発 社会開発 及び

00[1-2]目次(責).indd

<4D F736F F D D A81698D918AD6816A BC82CC985F95B682CC93E CC97768E7C8B7982D1985F95B690528DB882CC8C8B89CA82CC97768E7C82CC8CF6955C2E646F63>

の自由 妨げられない通商活動 自制と 1982 年の国連海洋法条約 (UNCLOS) を含む国際法の普遍的な原則に従った紛争の平和的手段による解決を推進することの重要性を強調した 我々は ARF や ASEAN 海洋フォーラム拡大会合等を通じた情報共有や能力構築を含む 海洋安全保障及び海上の安全に関


学習指導要領

学習指導要領

無党派層についての分析 芝井清久 神奈川大学人間科学部教務補助職員 統計数理研究所データ科学研究系特任研究員 注 ) 図表は 不明 無回答 を除外して作成した 設問によっては その他 の回答も除外した この分析では Q13 で と答えた有権者を無党派層と定義する Q13 と Q15-1, 2 のクロ

7 民法改正 : (13) 選択的夫婦別姓の実現 (14) 婚姻最低年齢 再婚禁止 (15) 婚外子相続分差別規定廃止 是正 8 性暴力 : (16) 性暴力禁止法 (17)DV 防止法 9 日本軍 慰安婦 : (18) 河野 村山談話 (19) 国家の謝罪と補償 10 性的健康 : (20) 刑法

平成 0 年度 (018 年度 ) 教科年間授業計画表 教科 地歴 科 日本史 A 目 年 1 本城 今井 日本史 A 現代からの歴史 ( 東京書籍 ) 図説日本史通覧 ( 帝国書院 ) 中校までの歴史習の上に 世界的視野に立った歴史認識を形成する 現代社会を形成してきた人間の営みとして歴史を正しく

必要な自衛の措置をとるための実力組織としての自衛隊を保持する との憲法改正案に反対する決議 第 1 決議の趣旨当会は 必要な自衛の措置をとるための実力組織としての自衛隊を保持するとの憲法改正案については 憲法の基本原則の一つである恒久平和主義を著しく損なう危険性が大きいので 反対する 第 2 決議の

Japan Academy of Personal Finance パーソナルファイナンス研究 No.2 総量規制の導入経緯と問題点 伊藤 幸郎 東京情報大学大学院 堂下 浩 東京情報大学 要旨 貸金業法は 2006 年 12 月に国会へ上程され 2010 年 6 月に完全施行へと至った 新たに導入

学習指導要領

B5

グループ発表 PKO 賛成派平和のための PKO 2015/06/16 山上咲子 1.PKO( 国連平和維持活動 ) とは何か PKO は一般的に 国連の安全保障理事会の決議に基づいて 加盟国による特別な部隊を作り 紛争の起った地域に派遣して紛争の拡大 再発防止 停戦後の平和維持のために行う活動 と

Microsoft Word - 概要3.doc

*4 [7, 8] (942 ) 2 28 [5] [2] [5] *4 [2] [7] [7] 28 [9] [5] [5] ( ) 7 28 [6] (916-11

< F2D906C8CFB93AE91D48A77322E6A7464>

第16講  第二次世界大戦とドイツの戦略(1)

ったことである しかも 共和党は南北戦争中ですら 北部においても有権者の圧倒的な支持を得ていたわけでなく 南北戦争後も 政治的課題として浮上した 奴隷制を廃止したうえで南部諸州を連邦に復帰させる再建 (Reconstruction) をめぐる争点群は 民主党よりも共和党にとって分裂を惹き起こしやすい

学習指導要領

目次 はじめに 1. 通信に関する適切な立法権限の行使の必要性 2. グローバル プラットフォームの影響力拡大と空間のシームレス化 3. 個人の自律とプライバシー 4. 表現の自由 5 規制のあり方に関する諸問題 2

Microsoft PowerPoint - ir.under.jp13-1.pptx

法学研究所所報№41.ren

力な政治家になっていった この期間における三木の政治活動については, すでに別稿において検討した 1 前稿を受け, 本稿では第 3 次吉田茂内閣における三木武夫の言動を考察する この時期の三木武夫の先行研究としては, 竹中佳彦の研究が重要である 2 竹中は三木と芦田均を対比し, 中道政治の形成と崩壊

学術俯瞰講義 3 11 以降の民主主義論 戦後思想の流れの中で 2 宇野重規 ( 社研 )

論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お

安全保障会議 ( 現行 ) の概要 ( 構成 ) 委員長 : 内閣官房長官 委 安全保障会議 ( 構成 ) 議長 : 内閣総理大臣 事態対処専門委員会 内閣総理大臣の諮問に基づき 以下の事項を審議 国防の基本方針 防衛計画の大綱 対処基本方針 武力攻撃事態 / 周辺事態等への対処 / 自衛隊法第 3

3. 無期労働契約への転換後の労働条件無期労働契約に転換した後の職務 勤務地 賃金 労働時間等の労働条件は 労働協約 就業規則または個々の労働契約等に別段の定めがない限り 直前の有期労働契約と同一になるとされており 無期転換に当たって職務の内容などが変更されないにもかかわらず 無期転換後の労働条件を

新しい日本をつくる国民会議 (21 世紀臨調 ) 小泉内閣改造後の政党政治のあり方に関する提言 第 1. 内閣改造の評価と今後の課題 ( 小泉首相は党改革の断行を ) 1. 今般の内閣改造において小泉首相は 1 第 2 次小泉改造内閣基本方針 を策定し これに忠誠を誓う人材を起用する方針を明らかにし

Microsoft PowerPoint - 08macro6.ppt

国会への法案提出を目指すこととする としている 同方針をもとにパーソナルデータに関する検討会が立ち上げられ, 平成 26 年 (2014 年 )6 月 9 日付けで パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱 ( 事務局案 ) が示されたところである しかしながら, その結論によっては, 個人に関

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

26 X 1.X バンド レーダー設置の必要性と京丹後市への配備決定 X BMD PAC-3 BMD

目次 1. 調査概要 Page 2 2. 回答者属性 Page 3 3. 問 1. 地球儀を俯瞰する外交 Page 4 4. 問 2. 日本の国連安保理非常任理事国としての取組 Page 5 5. 問 3. 東アジアの安全保障政策 Page 6 6. 問 4. 女性参画推進における国際的取組 WAW

平成 年度授業改善 ( 中学校社会 ) 第 2 学年社会科 ( 歴史的分野 ) 学習指導案 1 単元名 近代国家の歩みと国際社会 - 新しい価値観のもとで - ( 帝国書院 ) 2 単元について 本単元は, 学習指導要領の内容 (1) ウ及び (5) イを受け, 開国とその影響, 富国強

第 2 問 A インターネット上に掲載された料理レシピやその写真から料理の特徴の読み取りや推測を通じて, 平易な英語で書かれた短い説明文の概要や要点を捉える力や, 情報を事実と意見に整理する力を問う 問 1 6 イラストを参考にしながら, ネット上のレシピを読んで, その料理がどのような場合に向いて

Microsoft PowerPoint - ir.under.jp13.handout.ppt [Compatibility Mode]

5. 政治経済学部 ( 政治行政学科 経済経営学科 ) (1) 学部学科の特色政治経済学部は 政治 経済の各分野を広く俯瞰し 各分野における豊かな専門的知識 理論に裏打ちされた実学的 実践的視点を育成する ことを教育の目標としており 政治 経済の各分野を広く見渡す視点 そして 実践につながる知識理論

untitled

経済変動論 0

Microsoft PowerPoint - 14th.pptx

2

あなたやあなたの子どもが 国外の戦争で殺し・殺される!? 安倍政権の戦争法案

特別世論調査

平和安全法制などの整備法整備の経緯 図表 Ⅱ 閣議決定 の概要と法制整備 閣議決定 の項目 概要 法制整備 警察や海上保安庁などの関係機関が それぞれの任務と権限に応じて緊密に協力して対応す 治安出動 海上 1 武力攻撃に 至らない るとの基本方針の下 対応能力を向上させ連携を強化するな

期末考査 テストのまとめ自分の現状の学力について確認させる定期テスト素点 欧米の列強の侵略 支配を受けたアジアの各地域の当時の状況を理解させる この時の欧米の支配が近代を通して続いたことを把握させる 自由主義 ナショナリズムの進展西ヨーロッパとアメリカの自由主義 ナショナリズムの高まり 科学技術の発

学習指導要領

<4D F736F F D20837D834E838D97FB8F4B96E291E889F090E091E682528FCD81698FAC97D1816A>

PP65/ /特集/山口.indd

日本人と憲法 2017 調査 単純集計結果 調査方法 個人面接法 調査時期 2017 年 3 月 11 日 ( 土 )~26 日 ( 日 ) 調査対象 全国 18 歳以上の国民 調査相手 住民基本台帳から層化無作為 2 段抽出 4,800 人 (400 地点 12 人 ) 調査有効数 ( 率 ) 2

明治時代 大正時代 1914 年 サラエボ事件をきっかけに (1) が始まる 大戦中 日本は中国政府に対して (2) を認めさせる 1917 年には (3) が起こり レーニンの指導のもとシベリア出兵を退け 1922 年ソビエト


「改訂版 世界史A(世A019)」教科書シラバス案

Q4. 次の衆院選はいつ頃行うのが適切だと思いますか 次の衆院選の適切な実施時期については できるだけ早い時期に (63.8%) ( 前月調査比 4.1 ポイント増 ) が 6 割を超え 予算成立前後に (12.5%) ( 前月調査比 1.2 ポイント減 ) 次の衆院議員の任期をむかえる頃に (7.

6月号書き始め

( 続紙 1 ) 京都大学博士 ( 法学 ) 氏名小塚真啓 論文題目 税法上の配当概念の意義と課題 ( 論文内容の要旨 ) 本論文は 法人から株主が受け取る配当が 株主においてなぜ所得として課税を受けるのかという疑問を出発点に 所得税法および法人税法上の配当概念について検討を加え 配当課税の課題を明


ラバラに小選挙区に候補者を立てるとなれば 参院選での野党支持者による一体感のある選挙戦に影響を与えます 一体感のあるなしに関係なく そもそも小選挙区で野党分裂選挙となれば勝ち目はありません 与党から衆参同日選挙の可能性が指摘され また安倍内閣支持率が 51% もある現在 全国の全選挙区で野党の選挙協

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

<4D F736F F D20819A DB90C5916B8B7997A796408BD68E7E82C982C282A282C482CC88D38CA98F912E646F63>

北方領土問題に関する特別世論調査 の要旨 平成 20 年 11 月 内閣府政府広報室 調査時期 : 9 日から 19 日調査対象 : 全国 20 歳以上の者 3,000 人有効回収数 ( 率 ):1,826 人 (60.9%) 1 北方領土問題の認知度 問題について聞いたことがあり, 問題の内容も知

リスクを一方的に押し付けられているため 安全に対して不安を抱えながら日常生活を送っている 現在の第二次安倍政権は 米軍基地が存在することでこのような苦しい状況に置かれている沖縄県に対して 基地負担を軽減するどころか 普天間基地の辺野古移設によって県内の米軍基地を強化しようとしている 安倍政権のこうし

スモールワールドネットワークを用いた人工市場シミュミレーションの研究

ISO19011の概要について

「消費者安全法改正に伴う関係内閣府令(案)及びガイドライン(案)」に関する意見書

設問 6: あなたは普段どの程度国際的なニュースや情報に接しているか ( 注 ) この設問は2015 年より実施 (1) 毎日 (2) 週に2~3 回程度 (3) 週 1 回程度 (4) 月 1 回程度 8 8 (5)2~3ヶ月に1 回程度 2 3 (6)6ヶ月に

Transcription:

論文テーマ : 私の政策提言 サブテーマ : 戦後の超克 - 中庸の均衡 としての憲法改正を目指して 氏名 : 市野瀬弘和 目次 1. 序論 2. 本論第一章講和論争第二章再軍備論争第三章 吉田ドクトリン の帰結 3. 結論 4. 参考文献 1

1. 序論今年 すなわち 2018 年は 戦後 73 年目にあたる 戦後 という言葉は 1945 年以降から現在に至るまでの時代区分を示しているだけでなく 日本人の精神構造の転換点を表しているように思われる そして その決定的な原動力となったのが 1946 年に公布され 翌年に施行された日本国憲法であることは間違いないであろう とりわけ 憲法第 9 条は日本が 平和国家 であるという理念イデーを国際社会に対して示す条項であり 戦前 戦中 = 軍国主義との断絶を強調している また 戦後日本の国家構造を決定づけたのは 憲法第 9 条に加え 日米安全保障条約であったと考えられる 前者が戦後における軍備なき平和 = 理想主義 の価値体系であるならば 後者はそれにおける力による平和 = 現実主義 の価値体系であるといえる 戦後日本は この二つの歯車が適度な均衡を保ちながら 理想主義的現実主義国家 として国際社会を生き抜いてきたのである 平和に対する手段が異なる両者が 正面から衝突することなく 共存を保ってきたのは 1955 年にいわゆる 55 年体制 が成立したからである 55 年の衆議院選挙では 護憲派が護憲に必要な議席を獲得した 1 そのため 保守合同して間もない与党の自由民主党 ( 自民党 ) は憲法改正を棚上げし 保守本流路線を選択せざるを得なかった それは 護憲と日米安保を共存させることで 一方で改憲再軍備を唱える自民党内 戦前派 を 他方で護憲日米安保反対を唱える野党を抑える必要から生まれた きわめて巧妙な政策路線 2 である 政治学者であるジェラルド カーティスが この 保守 政党 (= 自由民主党 引用者註 ) は 三〇年間に及ぶ支配の間に 日本の卓越した中道政党に成長したのである 3 と喝破していることは 自民党が憲法第 9 条と日米安全保障条約の間で均衡と調和を図ってきたことの証左といえる ところで 日本国憲法が公布されたのは 1946 年 ( 施行は 1947 年 ) であり 日米安全保障条約が調印されたのは 1951 年 ( 発効は 1952 年 ) である すなわち 戦後日本の国家構造を支える二つの中心点は 55 年体制が成立する以前に その枠組みを整えつつあったといえる したがって この時期における日本の政治史を概観することで 現在の日本が抱える憲法 安全保障に関する不毛なイデオロギー論争の源流を抽出できるのではないか と思われる 本稿では 敗戦から 1952 年に至るまでの日本の歴史 すなわち 占領期 における講和論争と再軍備論争について史実を追うことで 現在 憲法第 9 条をめぐって護憲派と改憲派との間で繰り広げられている不毛なイデオロギー論争の原因を抽出することを試みる その上で 現在の日本人をいまだに束縛している 戦後 という空間 時間を乗り越えるために必要な 中庸の均衡 としての憲法改正について提示していくことを目的とする 2. 本論 1 雨宮昭一 [2008] 92 頁 2 福永文夫 [2008] 270-71 頁 3 ジェラルド カーティス ( 山岡清二訳 )[1987] 58 頁 2

第一章講和論争日本国内では 1950 年から 51 年にかけて講和論争が燃え上がる 全面講和 ( ソ連 中国 東欧諸国を含む講和を指す ) か片面講和 ( アメリカを中心とする自由主義陣営のみとの講和を指す ) か をめぐる論争は 50 年代最大の政治 外交問題であった 4 当時の首相であった吉田茂は 表面化しつつあった米ソ冷戦の 現実 を直視したうえで 片面講和を主張する アメリカは 日本を反共体制の中に位置づけようとしており 対日講和問題は このようなアメリカの冷戦戦略の一環として捉えられた アメリカのその意図にそって 自由主義陣営 に加わることが冷戦の現実の中で日本の独立を図る近道であると考えた吉田は 中ソをのぞく連合国との 片面講和 を選択する 5 というよりも 当時におけるアメリカの圧倒的な地位から見て 他に選択肢はなかったと考えるべきであろう 6 これに対して 社会党 共産党などの野党やいわゆる進歩的学者 文化人らは東西の平和的共存は可能であると指摘し 全面講和 を主張した 第二次世界大戦で中国 朝鮮および東南アジア諸国に多大な犠牲を強いた日本人にとって これらの国々を排除した講和は倫理的にも許されないという思いが 全面講和 論にはあったのである 7 以上のように 片面講和 と 全面講和 をめぐる対立は 講和問題を 空間軸 の視座から捉えるか 時間軸 の視座から捉えるか という対立に還元されるように思われる すなわち 吉田は冷戦構造に支えられた国際政治環境という 空間 を意識したうえで 片面講和を主張したのに対し 野党や進歩的知識人たちは 戦前 戦中の反省 ( 時間 ) を踏まえたうえで 憲法第 9 条の価値体系に沿った全面講和を主張したのである 第二章再軍備論争 1950 年における朝鮮戦争の勃発は 首相吉田茂に試練を課した すなわち 米国の講和特使となった J.F. ダレスが強硬に日本の再軍備を要求するようになったのである 吉田は執拗に抵抗する その理由は 第一に 自立経済を不能にする こと 第二に 諸外国に日本の 再侵略に対する危惧 があること 第三に 国内的にも 軍閥再現 の危惧があることであった 8 吉田は 憲法第 9 条を盾とすることによって ダレスの再軍備要求を拒絶する すなわち ダレスの強硬な要求に押し切られないために 憲法第九条は強い手段となった 9 といえよう 吉田は 講和問題の際に 米ソ冷戦の 現実 を前提としたうえで 片面講和 を選択した 他方 再軍備問題の際には 憲法第 9 条の 理想主義 を盾とすることで 大規模な再軍備を回避しようとしたのである 加えて 吉田は再軍備問題を 時間軸 の 4 中村正則 [2005] 57 頁 5 加藤節 [1997] 161 頁 6 北岡伸一 [2011] 121 頁 7 中村 前掲 57 頁 8 五百旗頭真 [2007] 427 頁 9 高坂正堯 [2006] 70 頁 3

視座から考えていた すなわち 再軍備問題を冷戦構造という 空間軸 ではなく むしろ 軍閥再現 の危惧という戦前 戦中における記憶 ( 時間軸 ) と結び付けることを意識していたのである 再軍備問題は朝鮮戦争の勃発という国際政治環境の変化によって生じたものである しかし 当時の日本国民の大半は それを国際政治から切り離し 内政的な問題として捉えていた 国際政治学者である坂本義和は 日本における国際冷戦と国内冷戦 と題する論文の中で次のように語っている 再軍備問題は 必ずしも朝鮮戦争や国際冷戦との関連でとり上げられているのではなく しばしば実はそれ以上に 軍国主義体制復活への警戒と抵抗という 日本の内政問題として取り組まれているのであり その意味で問題は朝鮮戦争や国際冷戦とは切り離されて 優れて内政的な問題に読み替えられることになったのである 10 すなわち 再軍備問題は 軍国主義体制復活という 時間軸 と結び付けられて考えられたのである 吉田は このような国民感情を十分に理解していた したがって 吉田は 戦前 戦中の記憶という 時間軸 を意識したうえで アメリカからの再軍備要求に対して 執拗に抵抗を続けたのである そして その 戦前 戦中の記憶 を象徴していたのが憲法第 9 条であった 興味深いことに 吉田は社会党の党員たちに対して 再軍備反対の運動を起こすよう依頼している すなわち 吉田は再軍備反対を主張する社会党を対米カードとして利用しようとしたのである 11 第三章 吉田ドクトリン の帰結吉田茂は 片面講和を選択し アメリカの冷戦戦略にコミットメントすることを決意する それは サンフランシスコ講和条約とセットで結ばれた日米安全保障条約の調印に帰結する 一方 吉田は アメリカからの再軍備要求に対して 憲法第 9 条の理想主義を盾とすることによって 軽武装路線を貫いた こうして アメリカからの度重なる再軍備要求をかわして軍事費負担を軽減し 代わりに米軍駐留を認めてソ連への防波堤とし 安保政策の根幹をアメリカに委ねるという いわゆる 吉田ドクトリン の原型が築かれたのである 12 吉田ドクトリンとは 日米安全保障条約 = 現実主義と 憲法第 9 条 = 理想主義の間で 均衡と調和を図ったものであり 前者は冷戦構造という 空間軸 の視座と 後者は戦前 戦中の記憶という 時間軸 の視座と強く結びついたものである したがって 吉田ドクトリンは 戦後日本外交における 空間 と 時間 の均衡点を模索したものであったというべきであろう 以上のように 戦後日本外交は 絶対的現実主義と絶対的理想主義の極論を排すことによって 中庸 の道を歩んできた それこそが 戦後日本における国家構造の本質であったといえよう 3. 結論 10 坂本義和 [1990] 123 頁 11 福永文夫 [2014] 310 頁 12 日本再建イニシアティブ [2015] 46 頁 4

2018 年 3 月下旬 自民党は自衛隊の根拠規定の明記など四項目の憲法改正案をまとめた 憲法論議が新たな局面を迎えたといえよう 13 しかし 相変わらず 改憲派と護憲派の間には硬直したイデオロギー対立の溝が生じている その要因は どこにあるのであろうか それは おそらく改憲派が憲法第 9 条を 空間軸 の文脈で捉えているのに対し 護憲派がそれを 時間軸 の文脈で捉えているからであろう すなわち 前者は憲法前文が掲げている国際協調主義の精神を憲法 9 条と結び付け それを 世界の中の日本 というパースペクティブで捉えているのに対し 後者は 憲法第 9 条を過去の戦争体験 ( アジア 太平洋戦争 ) と結び付けて考え それを戦後日本における 平和の象徴 と位置付けている 前者の思想的系譜は 国際政治環境を前提をとしたうえで 片面講和 を選択した吉田の選択を起点としており 後者のそれは アメリカからの再軍備要求に対して 憲法 9 条を戦前 戦中の記憶と結び付けた吉田の考えを起点としているといえよう したがって 改憲派と護憲派の対立は 吉田ドクトリン に収斂されている と思われる すなわち 吉田ドクトリンは 改憲派と護憲派の対立を内在しているといえよう 戦後日本における 強兵 なき 富国 路線 ( 三谷太一郎 14 ) とは 日米安全保障条約と憲法第 9 条の ねじれ を前提とした 吉田ドクトリン を基盤としていた しかし 現在 日本を取り巻く安全保障環境は大きく変動しており 吉田ドクトリン の論理で戦後を支えることに限界が来ているように思われる したがって 我われ日本人は 日米安全保障条約に依存する比率を減少しつつ 憲法第 9 条の強化を図っていく必要がある そこに現在の 戦後を超克 する鍵が隠されているのである それこそ 中庸の均衡 としての憲法改正である それは 戦後日本外交が歩んできた 中庸 路線の道のりを意識したうえで憲法改正を行っていくことを意味する 憲法第 9 条前段 ( 第一項 ) は 理想主義的 な条文であるが それは日本が 平和国家 であるというイメージを作り出すことに寄与 しており 見逃せないであろう したがって 日本が 平和国家 であるという理念 イデーを国 際社会に対して示す第一項は そのまま残すべきであろう しかし憲法第 9 条後段 ( 第二項 ) は 国際社会において日本が独立国家として生き抜いていくには 非現実的な条文である 政治学者である北岡伸一の言葉を借りるならば 平和主義というよりも 非軍事主義と呼ぶほうがふさわしい 15 したがって これを削除するか あるいは自衛権を規定した条文を追加すべきであろう すなわち 現実主義的 な条文を憲法第 9 条に導入するのである 戦後日本外交は 現実主義と理想主義の間にある 中庸 の道のりを歩んできた したがって 憲法を改正する際には 現実主義 ( 空間 ) と理想主義 ( 時間 ) の間で均衡点を探り 妥協を図っていくことが重要であろう 今こそ 日本人自らの手によって 中庸の均衡 としての憲法改正を行っていこう 13 中央公論 (2018 年 6 月号 ) 166 頁 14 三谷太一郎 [2017] 254 頁 15 北岡伸一 [2000] 263 頁 5

4. 参考文献 ( 引用順 ) 1 雨宮昭一 [2008] 占領と改革シリーズ日本近現代史 7 岩波新書 2 福永文夫 [2008] 大平正芳 中公新書 3 ジェラルド カーティス ( 山岡清二訳 )[1987] 日本型政治 の本質 自民党支配の民主主義 TBS ブリタニカ 4 中村正則 [2005] 戦後史 岩波新書 5 加藤節 [1997] 南原繁 近代日本と知識人 岩波新書 6 北岡伸一 [2011] 日本政治史 外交と権力 有斐閣 7 五百旗頭真 [2007] 占領期 首相たちの新日本 講談社学術文庫 8 高坂正堯 [2006] 宰相吉田茂 中公クラシックス 9 坂本義和 [1990] 日本における国際冷戦と国内冷戦 地球時代の国際政治 岩波書店 10 福永文夫 [2014] 日本占領史 1945-1952 中公新書 11 日本再建イニシアティブ [2015] 戦後保守 は終わったのか 自民党政治の危機 角川新書 46 頁 12 中央公論 (2018 年 6 月号 ) 13 三谷太一郎 [2017] 日本の近代とは何であったか 問題史的考察 岩波新書 14 北岡伸一 [2000] 普通の国 へ 中央公論社 本稿は 中央公論 (2018 年 6 月号 )284 頁に掲載された筆者の読者投稿 憲法論議に 今 不足しているもの から着想を得ている 6