算数科学習指導案 指導者中野智子 1 日時平成 30 年 10 月 19 日 ( 金 ) 第 6 校時 2 学年第 6 学年 1 組男子 12 名女子 9 名計 21 名 3 単元名資料の調べ方 4 単元について (1) 単元観本単元は, 小学校学習指導要領第 6 学年の内容 [D データの活用 ] に示された (1) データの収集とその分析に関わる数学的活動を通して, 次の事項を身に付けることができるよう指導する ア次のような知識及び技能を身に付けること ( イ ) 度数分布を表す表やグラフの特徴及びそれらの用い方を理解すること ( ウ ) 目的に応じてデータを収集したり適切な手段を選択したりするなど, 統計的な問題解決の方法を知ること イ次のような思考力, 判断力, 表現力等を身に付けること ( ア ) 目的に応じてデータを集めて分類整理し, データの特徴や傾向に着目し, 代表値などを用いて問題の結論について判断するとともに, その妥当性について批判的に考察すること を受けて設定された単元である ここでは, 資料の代表値としての平均や度数分布の表, 柱状グラフなどを学習し, 統計的に考察したり表現したりする能力を伸ばすことをねらいとしている また, この単元では, グラフに表すことのよさに気づくことで, 表やグラフに興味や関心をもち, 自ら用いようとする意欲を高めることを目指している (2) 児童観本学級の児童の算数アンケートの結果は, 以下の通りである 質問内容 肯定的回答 1 算数の学習が好きである 100% 2 算数の学習はよく分かる 100% 3 算数の授業に進んで取り組んでいる 90% 4 自分の考えを, 図, 言葉, 式などを使ってノートに書くことができる 95% 5 自分の考えを, 図や式などを使って説明することができる 80% 6 ぼく わたしの学び 今日のなるほど 明日のために の振り返りが発表できる 85% アンケートの結果から, 算数の学習に興味 関心をもち, 理解できるまで意欲的に学習しようとする 児童が多いことが分かる 一方, 自分の考えを, 図, 言葉, 式などを使って書くことはできても, みん なの前で分かりやすく説明することには自信をもてない児童が見られる また, 見通し, 振り返り活動 においては, 進んで伝えようとはするが, 話す内容が形骸化しており, 視点に沿って振り返りができる 児童は固定化している
本単元に関わるレディネステストの結果は, 以下の通りである 問題のねらい正答率 1 平均の意味を理解し, 求めることができる 85% 2 棒グラフをかくことができる 90% 3 棒グラフから必要な情報を見つけることができる 80% 4 正 の字を用いた表をかくことができる 71% 5 正 の字を用いた表から必要な情報を見つけることができる 38% 平均の求め方について, 計算ミスが誤答の大きな理由で1 名以外は理解できている 棒グラフをかくことや, 棒グラフから必要な情報を見つけることはできているが, データを二つの観点から分類 整理し, そこから必要な情報を見つけることはできないことが分かる グラフから読み取ったことを表現することにも課題が見られる (3) 指導観指導に当たっては, 総合的な学習の時間 呉空襲 ヒロシマ の学習と関連させ, 教科横断的に学習を仕組んでいく 総合的な学習の時間における資料の整理 分析の場面で, 算数科で学んだデータの収集とその分析の仕方を活用できるようにする 算数科の指導では, 児童が驚きや疑問をもちながら統計の方法を理解できるように, きまり 法則 などを見つけたいと思わせる課題の提示の仕方を工夫する 棒グラフと柱状グラフの違いや, 分布を比較して読み取ったことを, 自分の言葉で説明できるように, 自分で考える時間を大切にする 個人差に応じ, 途中までの考え方や意見でもよいことを伝え, ペアトークやグループ学習, 集団解決の場で, 友達の考え方の続きを推測して説明することを評価していくことで, 伝える意欲を高める また, 和庄中学校区で育成を目指す資質 能力の 主体性 積極性 を身に付けるために, 課題の設定 の場面においては, 主体的な学びに向かう手立てとして, 総合的な学習の時間に児童が集めた, 戦争による様々な被害や復興の様子のデータを分析整理に活用することで関連を図る その分析結果から学んだ事を学習発表会の劇や平和新聞等で全校に伝えるという活動を設定することで, 学ぶ必然性を感じさせる 情報の収集, 整理 分析 の場面においては, グラフを見て気づいたこと, 考えたことをグループで相談する際に, 様々な資料のとらえ方があることに気付けるように, 特徴がよく分かる項目を出し合い表に整理させる 項目を示しながら一斉検証を行うことで, 説明をする方も聞く方も論点が分かりやすくなり, 自信をもって意見を伝え合うことができる まとめ, 振り返り の場面においては, 振り返りの視点を示し, 誰のどの意見が説得力があったのか, どの班のどの項目が分析に当たって有効だったのかを具体的に伝え合うことで, 良い例を知り, 自分の学びにつなげようという意欲を高めていく 5 単元の目標 資料を度数分布表や柱状グラフに表し, また, それらを読み取って分かることを説明することがで きる
6 単元の評価規準算数への関心 意欲 態度 数学的な考え方 数量や図形についての技能 数量や図形についての知識 理解 表やグラフを用いて統計的に考察したり表現したりすることに興味をもち, それらに基づいて処理しようとしている 表やグラフを用いて, 統計的に考察したり表現したりすることができる 度数分布図や柱状グラフをかくことができる また, 目的に応じて, 工夫してつくることができる 度数分布図や柱状グラフについて知るとともに, いくつかの資料を関連させると傾向や原因が分かることがあることを知る 7 指導と評価の計画 全 8 時間 ( 本時は 7/8) 次時学習内容 ( 時数 ) 評 関考技知評価規準評価方法 価 一 単元前 ( 総合的な学習の時間 ) 総合的な学習の時間 呉空襲 ヒロシマ の学習で集めた資料を分析し, 学習発表会の劇や平和新聞に活用することを知る 戦争の被害や, 戦後復興の様子を多くの人に伝え, 平和の大切さを実感してもらいたいな 正しい情報を知るために, 資料の表し方や読み取り方を学びたいな 1 ソフトボール投げの記録を見て, 調べてみたいことを話し合う ソフトボール投げの記録を数直線に表し, 散らばりを調べる (1) 資料の散らばり方がよく分かるような, 表やグ ラフの表し方に興味, 関心をもち, 資料の調べ方 について意欲的に学習しようとしている 発言 観察 二 2 数直線の図をもとにして, 度数分布表に表す (1) 散らばり方を表す度数分布表をつくることができる 発言ノート 3 度数分布表をもとにした柱状グラフのかき方を知り, それをかく 棒グラフと似ている所や違う所を考える (1) 度数分布表をもとにした柱状グラフのかき方を知り, それをかくことができる ワークシートノート
4 5 三 6 度数分布表や柱状グラフから, 散らばりの特徴を読み取る 2 つの柱状グラフを比較して, その違いを読み取る (1) 区間の区切りを変えて, 度数分布表や柱状グラフをかく 区間の区切りの異なるグラフを見て, その違いを読みとる (1) 男女別, 年齢人口の割合を表すグラフを見て, 工夫されていることに気づき, また, グラフから分かることを読み取る (1) 柱状グラフから,6 年と5 年のソフトボール投げの分布を比較し, 散らばりの特徴を読み取ることができる 区間の区切りを変えた度数分布表や柱状グラフを比較し, その違いを読み取ることができる グラフには, いろいろなことが分かるように工夫されたものがあることを知る ノート観察発言ノート観察発言ノート観察発言 四 7 資料の特徴を読み取るための項目を見つけ, 今まで学習した方法を使って分析する 本時 (1) 2つの柱状グラフを比べて, その特徴を読み取ることができる ワークシート観察発言 8 習熟問題に取り組む (1) 表やグラフを用いて, 統計的に考察したり表現したりすることに関心をもち, それらに基づいて処理しようとしている ワークシート 五 総合的な学習の時間 集めた資料をグラフにまとめ, 劇のシナリオに取り入れたり, 平和新聞にまとめたりする 資料の表し方や読み取り方を学んだので, 集めたデー タからより多くの事実を知ることができたね 学んだことを,1 年生から地域の方まで良く分かるように伝えるには, どんなシナリオや新聞が良いか, 調べてみたいな
8 本時の展開 (1) 本時の目標 〇資料の特徴を読み取るための項目を見つけ, 今まで学習した方法を使って分析することができ る (2) 本時の学習展開学習活動 指導上の留意点 評価規準 ( 評価方法 ) 1 ぼく わたしの学び の発表と問題場面を理解し, 本時のめあてを考える 課題の設定 〇 ぼく わたしの学び を発表し, 本時までの学習を振り返る 本時の課題をつかむ ある学校の 6 年 A 組 16 人と 6 年 B 組 16 人の 1 日の家庭学習の時間を調べました A 組と B 組どちらが学習をよくしていると言えますか 本時のめあてを考える 前時の 今日のなるほど 明日のために を振り返り, 今日自分が知りたいこと, 学びたいことにつなげるようにする 学習発表会に向けて, 集めた資料を活用することに触れ, 資料を分析する必要性を感じさせる 主体性 積極性 見ただけでは比較できないことに気づかせ, これまでに学習した方法の何が使えるかを想起させる 学習をよくしていると思う学級を, データを見た感じから選ばせる 2 つのデータの違う部分に着目させ, それぞれの特徴を見つけたいという意欲を高める 主体性 積極性 児童の予想とずれが生じるように, 学習をよくしている という視点で比較させる 2 つの資料を比べ, 特徴を見つけて分析しよう 2 自力解決をして, 集団解決する 〇それぞれの学習時間の平均を求める 平均だけでは学年の特徴が分かりにくいことを確認する 情報の収集 整理 分析 A 組の平均 710 16=44.375 約 44.4 分 B 組の平均 800 16=50 50 分 それぞれ度数分布表と柱状グラフに表す 二つの柱状グラフを見て気づいたことを書く ( 個人 ) 考えたことをグループで相談する ( グループ ) それぞれの学級の違いが分かるような比べ方として, これまでの学習を振り返り考えさせる 書けない児童には, 数値が大きく違うと感じた部分に注目させる 主体性 積極性 特徴がよく分かる項目を表にまとめる より多くの項目を考えている児童を評価する
予想される項目 6 年 A 組 6 年 B 組 平均時間 ( 分 ) 約 44.4 50 一番長い時間 ( 分 ) 60 110 一番短い時間 ( 分 ) 30 20 一番人数の多いはんい ( 分 ) 40 以上 ~60 未満 20 以上 ~40 未満 40 分未満の人数の割合 (%) 30 60 80 分以上の人数の割合 (%) 0 20 柱状グラフや表を見て, どちらの学級がよく学習をしているかを話し合う 主体性 積極性 友達の考え方の続きを推測 して説明することを評価し ていくことで, 伝える意欲を 高める グループで考えた項目を一つの表にまとめ, 分析の根拠として活用しながら説明させる ここまで考えました 等, 途中でも自分の考えを表現することを評価する 分析から, 今後それぞれのクラスがどうしていけばよいのかを考えることで, 生活に活かしていこうとする意識をもたせる 数学的な考え方 2つの柱状グラフを比べて, その特徴を読み取ることができる ( 観察 発言 ワークシート ) 3 学習のまとめを考える まとめ 〇本時のまとめを行う 平均以外にも, 柱状グラフにしたり, 違いがよく分かる表に整理したりし て比べることで, よりくわしく資料を分析することができる 練習問題を解く 4 今日のなるほど 明日のために を発表する 振り返り 〇振り返りを書いて発表する 本時の学習を振り返り, 次時に向けてど のように学びを深めるかを発表させる 書けない児童には, 自分が難しいと感じ た所や, 分かりやすかった友達の意見を書 くことを指導する 班の見つけた項目が, それぞれの特徴の違いを見つけるのにとても役に立った 柱状グラフにして比べたり, 違いがよく分かるような表に整理して比べたらよいことが分かった B 組に 110 分も学習している人がいたので, 平均すると B 組の方がよく学習していると思ったけど, みんなの意見を聞いて平均だけではくわしい分析はできないことが分かった この学習で学んだことを, 総合的な学習の時間の資料整理に生かし, 戦争について集めたデータの分析をしっかりと行い, 発表会で伝えていきたい
9 板書計画 二つの資料を比べ, 特徴を 見つけて分析しよう 平均以外にも, いろいろな調べ方をすることで 資料をくわしく分析することができる 6 年 A 組 6 年 B 組 A 組の表 B 組の表 A 組の平均 平均時間 ( 分 ) 約 44.4 43 50 45 B 組の平均 一番長い時間 ( 分 ) 60 110 A 組の 柱状グラ フ B 組の 柱状グラ フ 一番短い時間 ( 分 ) 30 20 一番人数の多いはんい ( 分 ) 40 以上 ~60 未満 20 以上 ~40 未満 40 分未満の人数の割合 (%) 30 60 80 分以上の人数の割合 (%) 0 20 グラフから分かることどちらがよく学習しているかな? 10 練習問題 次の被爆時の人口と原爆死亡者の人口を比べて, どんなことがいえますか
単元で育成を目指す資質 能力に係る児童の変容について 次の被爆時の人口と原爆死亡者の人口を比べて, どんなことがいえますか 凖正答 (47%) < 正答例 > 爆心地からの距離が遠くなるほど, 人口に対しての死亡者の割合が減っている 1~2 kmと 0.5~1 kmを比較すると, 人口は 1~2 kmの方が 0.5~1 km 2 倍ほど多いのに, 死亡者数は 1 万人しか変わっていない 1 番人口に対して亡くなった方の割合が多いのは 0.5 km未満の所だった 誤答 (52%) < 誤答例 > なぜか 1 km ~2 kmで亡くなっている人が多い 山のようにグラフが上がったり下がったりしている 1~2 kmが死亡者, 被爆時の人口両方が 1 番多いことが分かる 成果と課題 学習前は, グラフから読み取ったことを書くことができない児童の割合 14% であったが, 学習後は100% の児童が自分の考えを書くことができるようになった 総合的な学習の時間で取り組んでいる内容だったため, 意欲的に学習に取り組むことができた 主体性 積極性 の育成に迫ることができたと考える 国語科の学習では, 自分の考えを説明する際にアンケート結果をグラフに表し, そこから読み取ったことを根拠にする児童が増えた また, 社会科の学習では, 課題を解決する際に, 複数の資料の中からグラフを正しく読み取り, それを基に考えることができる児童が増えた 練習問題のグラフが授業で行ったグラフの形式と異なっていたため, グラフが何を表しているのか把握できていない児童の割合は19% であった ( 二つの柱状グラフを比較する形ではなく, 被爆時の人口に死亡者を重ねた形だったため, グラフの見方が分からなかった ) 数値に着目してデータを分析することができた児童はいなかった ( グラフのどこを見て分析すればよいかは理解できたが, 実際に割合を計算して数値で比較, 分析することはできていなかった ) 問題の中に割合を求めることを記述しておけば, 正答率が上がったのではないか 割合を意識してデータを比較することができている児童の割合は48% であった 資料を分析するための多様な視点をもたせることが十分できていなかった