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1. 一般事項 1) 接合金物 名称 : HDCⅢ-S 用途 : 在来軸組工法建築物における軸組材相互の接合 補強 2) 試験依頼者 名称 : 株式会社タツミ 所在地 : 954-0111 新潟県見附市今町 8-3-1 連絡先 : TEL 0258-66-5515 3) 試験の目的 当該接合金物を用いた接合部の短期基準接合耐力 ( 引張 ) を評価する 耐力壁の取り付く柱の仕口 ( アンカー型 ) 引張試験 4) 試験内容 準拠する試験方法 評価方法ハウスプラス確認検査株式会社制定 木造建築構造試験事業における接合部性能試験業務方法書 ( 平成 21 年 4 月 1 日制定 ) による 木造軸組工法住宅の許容応力度設計 (2008 年版 :( 財 ) 日本住宅 木材技術センター発行 ) 対応 5) 実施日 2012 年 7 月 17 日 6) 気温 湿度 気温 30.6 湿度 34.7% 7) 試験実施場所 ハウスプラス確認検査株式会社横浜試験研究センター神奈川県鶴見区元宮 1 丁目 12 番 24 号 8) 試験担当者 ハウスプラス確認検査株式会社評定部 家納吾郎 道場信義 千葉博 加川啓介 加力装置 : 最大出力 200kN 最大ストローク 600mm 9) 試験機器能力 荷重計 : 容量 200kN 感度 5000 10-6 /kn 非直線性 0.05%RO 変位計 : 電気式変位計 ( 容量 100mm 感度 100 10-6 /mm 非直線性 0.1%RO) ハウスプラス確認検査株式会社 1/12 HP12-KT0

2. 試験体の仕様 1) 試験体 2) 接合金物 3) 接合具 図 2.1 参照図 2.2 参照図 2.3 参照 部材 柱 105mm 105mm 900mm スプルース同一等級構成構造用集成材 E95-F315 番号 常態密度 g/cm 3 絶乾密度 g/cm 3 含水率 % No.1 0.44 0.40 12.49 No.2 0.44 0.39 13.65 No.3 0.45 0.40 12.68 No.4 0.46 0.41 14.00 No.5 0.45 0.40 12.51 No.6 0.45 0.40 12.36 平均値 0.45 0.39 12.95 標準偏差 0.01 0.01 0.70 4) 木質材料 横架材 105mm 105mm 105mm 部材スプルース同一等級構成構造用集成材 E95-F315 番号 常態密度 g/cm 3 絶乾密度 g/cm 3 含水率 % No.1 0.48 0.42 13.28 No.2 0.47 0.42 12.91 No.3 0.46 0.41 13.00 No.4 0.46 0.40 13.13 No.5 0.47 0.42 13.01 No.6 0.45 0.40 12.70 平均値 0.46 0.41 13.00 標準偏差 0.01 0.01 0.20 5) 加工の程度 柱 : 接合金物用穴加工 1-φ22mm 接合具用孔 2-φ12mm 横架材 : 接合金物用孔加工 1-φ60mm 接合具用孔 1-φ12mm ハウスプラス確認検査株式会社 2/12 HP12-KT0

依頼者提出図 図 2.1 試験体図 ハウスプラス確認検査株式会社 3/12 HP12-KT0

依頼者提出図 図 2.2 接合金物図 ハウスプラス確認検査株式会社 4/12 HP12-KT0

3. 試験方法 1) 試験方法図 3.1 に試験方法を示す 2) 試験体固定方法試験体は 柱芯位置で接合金物 ( カップ ) を 固定用アンカーボルト で鉄骨架台と緊結した ( 締付トルク管理値 :20N m) 3) 変位の測定方法柱の絶対変位を試験体前後 2 面で計測し その平均値を試験結果に用いた 4) 加力方法加力は柱の孔へ M16 ボルトを 4 本介し加力した 加力手順は以下のとおり 手順 1: 1 体目は予備試験として単調増加加力とし この結果から 4.2 完全弾塑性モデルによる降伏耐力及び終局耐力等の求め方 に従い 降伏耐力 Py および降伏変位 δy を求める 手順 2: 残りの試験体は本試験として 1 方向の繰返し加力を実施する 繰返し履歴は変位制御とし 降伏変位 δy の固定数列方式 (δy の 1/2 1 2 4 6 8 12 16 倍 ) にて繰り返す なお 予備試験において降伏変位 δy が得られない場合には 最大荷重時変位 δmax の 1/9 1/5 3/9 2/5 1/2 3/5 7/9 1の順で繰返し加力を行う 手順 3: 加力は 最大荷重に達した後 最大荷重の 80% に低下するまで または仕口の機能が失われるまで (30 mm以上 ) 行う 加力方向 柱 : 105 105 絶対変位両側面 900 土台 : 105 105 図 3.1 試験方法 ( アンカー型 ) ハウスプラス確認検査株式会社 6/12 HP12-KT0

単調試験の結果を表 3.1 及び図 3.2 に示す 結果から定めた加力サイクルを表 3.2 に示す 表 3.1 構造特性値項目 降伏耐力 :Py [kn] 29.96 降伏変位 :δy [mm] 1.81 最大耐力 :Pmax [kn] 54.17 最大耐力時変位 :δ Pmax [mm] 8.61 終局耐力 :Pu [kn] 52.38 終局変位 :δu [mm] 21.42 初期剛性 :K [kn/cm] 165.52 降伏点変位 :δv 3.17 塑性率 :μ 6.76 構造特性係数 :Ds 0.28 包絡面積 :S [kn mm] 1039.05 Psm(3mm) [kn] 40.50 δ 2/3Pmax [mm] 2.44 0.1Pmax [kn] 5.42 δ 0.1Pmax [mm] 0.13 0.4Pmax [kn] 21.67 値 荷重 (kn) 70 60 50 40 30 20 10 0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 δ 0.4Pmax [mm] 1.12 包絡線 履歴線 第 Ⅰ 直線第 Ⅱ 直線 0.9Pmax [kn] 48.75 第 Ⅲ 直線完全弾塑性モデル δ 0.9Pmax [mm] 4.60 図 3.2 荷重変位関係 HP12-KT033-0 表 3.2 加力サイクル 固定数列 1/2δy δy 2δy 4δy 6δy 8δy 12δy 16δy 履歴変位 [mm] 0.91 1.81 3.62 7.24 10.86 14.48 21.72 28.96 変位 ( mm ) ハウスプラス確認検査株式会社 7/12 HP12-KT0

4. 評価方法 4.1 短期基準接合耐力の評価 1) 算定方法試験結果より得られた1 降伏耐力 Py 2 最大荷重 Pmax の 2/3 の値の各平均値にばらつき係数を乗じて算出した値を比較し 小さい方の値を短期基準接合耐力とする 参考値として 特定変形時 (3 mm ) の耐力 Psm の平均値も記載する 2) ばらつき係数次式により算出する なお ばらつき係数は 母集団の分布を正規分布とみなし 統計的処理に基づく信頼水準 75% の 95% 下限許容限界値をもととしている ばらつき係数 =1-CV K ただし CV: 変動係数 K : 定数 2.336( 試験体数 6 体 ) 4.2 完全弾塑性モデルによる降伏耐力及び終局耐力等の求め方 1) 包絡線降伏耐力 Py は包絡線を作成し 完全弾塑性モデル ( 図 4.1) を用いて求める 最大荷重は 最大荷重時の変位が 30 mm以下の場合は それを最大荷重と扱い 最大荷重が 30 mmを超える場合は 変位 30 mm時の荷重を最大荷重として扱う 包絡線は 測定した荷重 - 変位曲線の終局加力を行った側の最初の荷重 - 変位曲線より求める 2) 算定方法特性値の算定方法を以下に示す (1) 包絡線上の 0.1Pmax と 0.4Pmax を結ぶ第 Ⅰ 直線を引く (2) 包絡線上の 0.4Pmax と 0.9Pmax を結ぶ第 Ⅱ 直線を引く (3) 包絡線に接するまで第 Ⅱ 直線を平行移動し これを第 Ⅲ 直線とする 第 Ⅰ 直線と第 Ⅲ 直線との交点の荷重を降伏耐力 Py とし この点から X 軸に平行に第 Ⅳ 直線 (4) を引く (5) 第 Ⅳ 直線と包絡線との交点の変位を降伏変位 δy とする (6) 原点と (δy,py) を結ぶ直線を第 Ⅴ 直線とし その勾配を初期剛性 K と定める (7) 最大荷重後の 0.8Pmax 荷重低下域の包絡線上の変位を終局変位 δu と定める (8) 包絡線と X 軸及びδu で囲まれる面積を S とする 第 Ⅴ 直線とδu と X 軸及び X 軸に平行な直線で囲まれる台形の面積が S と等しくなるように (9) X 軸に平行な第 Ⅵ 直線を引く 第 Ⅴ 直線と第 Ⅵ 直線との交点の荷重を完全弾塑性モデルの終局耐力 Pu と定め その時の変 (9) 位を完全弾塑性モデルの降伏点変位 δv とする (11) 塑性率 μ=(δu/δv) とする (12) 構造特性係数 Ds は 塑性率 μを用い Ds=1/ (2μ-1) とする 図 4.1 完全弾塑性モデルの設定方法 ハウスプラス確認検査株式会社 8/12 HP12-KT0

5. 試験結果 (1) 試験結果を図 5.1~ 図 5.7 に示す また 構造特性値の一覧を表 5.1 に示す HP12-KT033 70 60 荷重 (kn) 70 60 荷重 (kn) 70 60 荷重 (kn) 50 50 50 40 40 40 30 30 30 20 20 20 10 10 10 0 変位 ( mm ) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 図 5.1 荷重 - 変位関係 (No.1) 0 変位 ( mm ) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 図 5.2 荷重 - 変位関係 (No.2) 0 変位 ( mm ) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 図 5.3 荷重 - 変位関係 (No.3) 70 60 荷重 (kn) 70 60 荷重 (kn) 70 60 荷重 (kn) 50 50 50 40 40 40 30 30 30 20 20 20 10 10 10 0 変位 ( mm ) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 図 5.4 荷重 - 変位関係 (No.4) 0 変位 ( mm ) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 図 5.5 荷重 - 変位関係 (No.5) 0 変位 ( mm ) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 図 5.6 荷重 - 変位関係 (No.6) 凡例 包絡線第 Ⅰ 直線第 Ⅲ 直線 相対変位 ( mm ) 履歴線第 Ⅱ 直線完全弾塑性モデル 表 5.1 構造特性値 HP12-KT033 項目 No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6 平均標準偏差 降 伏 耐 力 : Py [kn] 32.72 31.99 32.20 37.08 32.20 32.48 33.11 1.96 降 伏 変 位 : δy [mm] 1.80 1.63 1.97 2.60 1.53 1.67 1.87 0.39 最 大 荷 重 : Pmax [kn] 56.18 54.14 55.62 51.38 55.74 56.57 54.94 1.93 最大荷重時変位 : δpmax [mm] 13.94 12.20 15.86 16.79 15.70 16.75 15.21 1.80 終 局 耐 力 : Pu [kn] 54.68 50.82 52.92 49.14 54.28 55.19 52.84 2.40 終 局 変 位 : δu [mm] 23.28 15.25 20.91 24.96 21.31 25.78 21.92 3.79 初 期 剛 性 : K [kn/cm] 181.78 196.26 163.45 142.62 210.46 194.49 181.51 24.75 降伏点変位 : δv [mm] 3.01 2.58 3.24 3.45 2.58 2.83 2.95 0.35 塑 性 率 : μ 7.73 5.91 6.45 7.23 8.26 9.11 7.45 1.18 構造特性係数 : Ds 0.26 0.30 0.29 0.27 0.25 0.24 0.27 0.02 包 絡 面 積 :S [kn mm] 1190.87 709.60 1020.92 1141.96 1087.04 1345.03 1082.57 213.10 Psm(3mm) [kn] 44.83 43.39 42.50 40.55 46.29 45.72 43.88 2.16 δ 2/3Pmax [mm] 2.18 2.01 2.40 2.36 1.93 2.08 2.16 0.19 0.1Pmax [kn] 5.62 5.41 5.56 5.14 5.57 5.66 5.49 0.19 δ 0.1Pmax [mm] 0.19 0.16 0.11 0.24 0.09 0.16 0.16 0.05 0.4Pmax [kn] 22.47 21.66 22.25 20.55 22.30 22.63 21.98 0.77 δ 0.4Pmax [mm] 1.09 0.86 1.17 1.38 0.87 1.00 1.06 0.20 0.9Pmax [kn] 50.56 48.73 50.06 46.24 50.17 50.91 49.44 1.74 δ 0.9Pmax [mm] 4.10 4.74 4.35 4.14 3.82 4.05 4.20 0.31 ハウスプラス確認検査株式会社 9/12 HP12-KT0

荷重 [kn] 70 60 50 40 30 20 HP12-KT033-1 HP12-KT033-3 HP12-KT033-2 HP12-KT033-4 10 HP12-KT033-5 HP12-KT033-6 0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 図 5.7 荷重変位包絡曲線一覧 変位 [mm] ハウスプラス確認検査株式会社 10/12 HP12-KT0

(2) 終局時の状態を表 5.2 に 代表的な終局時の破壊性状を写真 5.1~ 写真 5.4 に示す 表 5.2 終局状態 HP12-KT033 部位 終局状態 試験体 接合金物 目視観察による損傷なし No.1~No.6 接合具 ドリフトピンの変形 No.1~No.6 木材 柱 : ドリフトピンからの割れ破壊 横架材 : 目視観察による損傷なし No.1~No.6 No.1~No.6 写真 5.1 代表的な破壊性状 (No.1) 写真 5.2 代表的な破壊性状 (No.3) 写真 5.3 代表的な破壊性状 (No.5) 写真 5.4 代表的な破壊性状 (No.6) ハウスプラス確認検査株式会社 11/12 HP12-KT0

6. 評価結果算定した短期基準接合耐力を表 6 に示す 表 6 短期基準接合耐力 HP12-KT033 試験体 Py 2/3Pmax Psm(3mm) ( 参考 ) (kn) (kn) (kn) No.1 32.72 37.45 44.83 No.2 31.99 36.09 43.39 No.3 32.20 37.08 42.50 No.4 37.08 34.25 40.55 No.5 32.20 37.16 46.29 No.6 32.48 37.71 45.72 試験体数 n 6 6 6 係数 k 2.336 2.336 平均値 (kn) 33.11 36.62 43.88 標準偏差 1.960 1.286 変動係数 CV 0.059 0.035 ばらつき係数 0.862 0.918 短期基準接合耐力 (kn) 28.5 33.6 採用 この接合部性能試験報告書を転載するときは 必ず全文を記載してください ハウスプラス確認検査株式会社 12/12 HP12-KT0

添付資料 7. 試験結果詳細 8. 骨格曲線

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