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総合工学第 23 巻 (2011) 40 頁 - 45 頁 小林 * 猛 INDUCTION OF CANCER IMMUNITY IN HYPERTHERMIA Takeshi KOBAYASHI Abstract: Heat shock proteins (HSPs) are highly conserved proteins whose syntheses are induced by a variety of stresses, including heat stress. Recent reports have shown the importance of HSPs in immune reactions. If HSP expression induced by hyperthermia is involved in tumor immunity, novel cancer immunotherapy based on this novel concept can be developed. In such a strategy, a tumor-specific hyperthermia system, which can heat the local tumor region to the intended temperature without damaging normal tissue, would be highly advantageous. To achieve tumor-specific hyperthermia, we have developed an intracellular hyperthermia system using magnetite nanoparticles. This novel hyperthermia system can induce necrotic cell death via HSP expression, which induces antitumor immunity. In the present article, cancer immunology and immunotherapy based on hyperthermia and HSP expression are discussed. Keywords : Hyperthermia, Cancer Immunity, Heat Shock Protein, Hyperthermia, Magnetite 1. はじめに温熱療法 ( ハイパーサーミア ) は古くから行われてきたがん治療法であり, がん組織は正常組織に比べて熱に弱いという性質にもとづいている. しかし, いまだ温熱療法は外科手術, 化学療法, 放射線療法に代わるほどの強力ながん治療法にはなっていない. その一因としては, がん組織だけを自在に加温する技術が開発されていなかったからである. がん細胞は 42.5 以上に加温すると殺傷される. 現行の温熱療法では, 正常組織も同時に加温されるので, 正常組織への加温の影響を考えて,42.5 程度まで加温するのが限界であり, 実際にはがん組織も余り殺傷されない. もし, 正常組織が加温されずに, がん組織だけを 43 以上に加温することができれば, 固形がんであればどのような種類のがん細胞であっても死滅させることができるはずである. 我々は, 後述するマグネタイト微粒子を用いた磁場誘導型の温熱療法によって, 腫瘍部位の温度を何度にも上げることができるようにした. このことによって, これまでの 熱で直接的にがんを殺す治療法 とみなされてきた温熱療法からは全く予想できなかった生体反応が観察された. すなわち, 素早く 43 以上に加温することによってがん細胞特有の免疫活性が賦活される効果である. このことは, 原発がんのみを温熱治療すれば転移がんをも免疫によって殺傷できる可能性を秘めている. 我々はこの腫瘍免疫を誘導する温熱療法を Heat Immunotherapy と名付け, そのメカニズムについて熱ショックタンパク質 (Heat shock protein, HSP) に着目して調べた 3, 4). ここでは温熱療法によって誘導される免疫賦活のメカニズムについて, これまでの我々の研究結果を中心に示す. * 応用生物化学科教授

2. マグネタイト微粒子を用いた磁場誘導加温型温熱療法がん組織を選択的に加温するために, 酸化鉄の 10nm サイズの磁性ナノ微粒子であるマグネタイト (Fe 3 O 4 ) を発熱体とする誘導加温型の温熱療法を開発した 10). 図 1[A] に我々が開発したマグネタイト微粒子を用いた磁場誘導加温型の温熱療法のスキームを示す. 10 nm サイズのマグネタイトは 110 khz の交番磁場中で主としてネール緩和損によって発熱する. したがって, マグネタイト微粒子を腫瘍部位に選択的に集めることができれば, 患者の外部から交番磁場を照射することによって, がん特異的な加温ができる. 我々はすでに, マグネタイト微粒子を腫瘍に選択的に送達するために, リポソームで包埋し, さらにがん特異的な抗体を化学的に結合させたマグネタイト製剤 (Antibody-conjugated magnetoliposome, AML) を開発した 8). この場合には, 血中投与によって約 6 割が腫瘍に選択的に集積する. また, 遺伝子治療で用いられる遺伝子導入用のベクターであるカチオニックリポソームでマグネタイト微粒子を包埋することで, 正電荷脂質包埋型マグネタイトリポソーム ( Magnetite cationic liposome, MCL) も開発した 10). この場合には, 腫瘍組織に注射することによって静電的な相互作用によって約 6 割が腫瘍に留まる.AML と MCL の模式図を図 1[B] に示す. これらの素材を用いた温熱療法によって, 様々な動物種 ( マウス, ラット, ハムスター, ウサギ ) に対して, 脳腫瘍, 皮膚がん, 舌がん, 乳がん, 腎細胞がん, 骨肉腫で腫瘍の完全退縮に成功している. さらに, 信州大学医学部, 名古屋大学医学部, 戸畑共立病院では臨床研究がスタートし, 既に 12 人の患者に温熱療法が行われている. 興味深いことに, 我々はマグネタイト微粒子を用いた温熱療法によって, 抗腫瘍免疫が賦活されることを, 図 2 に示すような, 腫瘍をラットの両体側に移植する動物実験で見出した 11). 両体側の T-9 ラットグリオーマの皮下腫瘍のうち, 左側の腫瘍にだけ MCL を注入して交番磁場を照射したところ, 図 2[A] に示すように,MCL を注入した左側の腫瘍は 44 まで温度が上昇した. 一方,MCL が注入されていない右側の腫瘍や直腸は温度がほとんど上昇しなかった. 温熱療法を行った 28 日後, 温度上昇があった左側の腫瘍だけでなく, 温度上昇が観察されなかった右側の腫瘍まで, 完全に退縮した ( 図 2[B-II]). また, 温熱療法後の腫瘍組織内に CD8 陽性 T 細胞,CD4 陽性 T 細胞, およびナチュラルキラー (NK) 細胞が集積していることが観察された. さらに, 脾細胞を用いた免疫細胞による細胞障害活性測定を行ったところ,T-9 ラットグリオーマ細胞に特異的な全身性の抗腫瘍免疫が強く活性化していることがわかった. 本治療法は, 腫瘍局所における選択的な温熱療法であるにもかかわらず, 直接加温されない全身のがん ( 転移がんを含む ) に対しても免疫賦活によって治療効果を示すといった, がん治療の理想を実現可能にする治療法であると考えられた.

小林 猛 この免疫賦活メカニズムを解明することは, 我々の温熱療法のシステムにおける従来のがん治療法に対する優位性を示すことができるだけでなく, そのメカニズムを応用した新しい観点のがん治療法の開発につながる. そこで, 温熱療法における免疫賦活のメカニズムについて, いかにしてがんが抗原として免疫細胞に認識されるかを HSP に着目して研究を行った. 3. 温熱療法とがん免疫におけるヒートショックプロテインの役割 HSP は熱ショックタンパク質という名が示す通り, 熱をはじめとするストレスで細胞内発現が誘導されるタンパク質である. 温熱療法では腫瘍を温める物理的な治療法であるから大量の HSP が発現する. HSP としては HSP70 や HSP90, gp (glucose-regulated protein) 96 といった HSP が知られているが, これらの HSP ががん免疫において重要な役割を果たしていることが明らかになった. がん細胞内における HSP の腫瘍免疫における主要な役割は, 腫瘍抗原ペプチドのプロセシングおよび抗原提示における抗原ペプチドの輸送があり,Srivastava らによって relay line model として提唱されている 9). まず,(1) 免疫プロテアソーム複合体によって切り出されたペプチドは, 細胞質内で HSP70 などにシャペロンされる. これらの HSP は抗原ペプチドを TAP(transporters associated with antigen processing) を介して小胞体内に運搬する.(2) 小胞体内で抗原ペプチドは gp96 にシャペロンされる. そして,(3)gp96 は抗原ペプチドを MHC class I/β 2 ミクログロブリン複合体へ輸送する. この relay line model からは腫瘍免疫における HSP の二つの重要な意義を見出すことができる. 一つ目は,HSP が腫瘍細胞表面における MHC class I 分子の抗原提示を促進させる役割を果たすという点である.HSP70 を高発現させることで, がん細胞自身が MHC class I を介した抗原提示を活発に行い, がん細胞が免疫担当細胞 ( 特にがん細胞特異的な CD8 陽性 T 細胞 ) に攻撃されやすくなる. もう一つの重要な知見は,HSP ががん細胞内で腫瘍抗原ペプチドをシャペロンしているという点である. ここで重要なのは, 実際にがん特異的抗原として機能するのは HSP 自身ではなく, それにシャペロンされたペプチドということである. 近年, 多くのがん抗原ペプチドが同定されてきたが, 一種類のペプチド抗原によるワクチン投与は, 治療効果が乏しいことが問題になっている. 一方, 患者の腫瘍から精製された HSP- 抗原ペプチド複合体は,HSP が多様な抗原ペプチドをシャペロンしていることが期待でき, また, それらの抗原は患者自身の腫瘍から摘出されることから,HSP- 抗原ペプチド複合体ワクチンは患者に対する

テーラーメイド (tailor-made) がんワクチンといえる. このように, がん細胞による HSP 発現は, 温熱療法における腫瘍免疫賦活においてはメリットとして考えられる. 前述したように,HSP が温熱療法で発現するのは当然であり, もし, 温熱療法における HSP 発現ががん免疫を強く誘導するのであれば, 温熱療法は非常に効率のよいがん治療法といえる. このようなことから, 我々は以下に述べる研究仮説を組み立て, 温熱療法におけるがん免疫賦活のメカニズムを調べた. 4. 温熱療法によるがん細胞の免疫原性の亢進我々は, 温熱による HSP70 発現誘導によって,MHC class I の細胞表面密度が増強されるかを調べた 3). 研究仮説の概略図を図 3 に示す. T-9 ラットグリオーマ細胞に対して 43 で 1 時間の加温を行ったところ, 温熱処理 24 時間後に HSP70 発現のピークが見られた 3). この HSP70 の温熱による発現誘導は, 加温 48 時間後には消失した. つまり, 一過性の HSP70 発現誘導がおこった. この温度条件において, 加温後の経時的な細胞表面の MHC class I 発現をフローサイトメーターで調べた. 温熱しなかった細胞と比較して, 温熱した細胞の MHC class I は, 温熱 24 時間後から発現増強が起こり,48 時間後には最大 2 倍程度の MHC class I 密度の増強が見られた. この発現増強は 72 時間後には消失したことから, 一過性の発現増強であった. この MHC class I の発現増強パターンは,HSP70 の発現誘導パターンと類似しており, また,HSP70 発現誘導に遅れて MHC class I 発現の増強が始まることから,HSP70 発現と MHC class I 増強は連動していることが示唆された. また, この MHC class I 増強は, 細胞内で HSP70 と結合してペプチド輸送を阻害する薬剤である DSG (deoxyspergualin) を投与することによって減少したことから,HSP70 の運搬能が関与していることが示された. 次に, この温熱処理による MHC class I 発現の増強が, がん細胞の免疫原性を高めているかを調べた 3). 上記実験と同じ条件 (43, 30 分 ; この温度条件では T-9 ラットグリオーマ細胞は細胞死を起こさない ) で加温した T-9 細胞を F344 ラットに接種したところ, 温熱しなかった細胞と比較して有意に腫瘍増殖が抑制された. この効果が, 温熱による細胞へのダメージではなく, 免疫の影響であることを確かめるために,F344 の無胸腺ラット ( ヌードラット ) に接種したところ, 温熱した細胞と温熱しなかった細胞で腫瘍の増殖に差がなかった. 無胸腺ラットでは, がん細胞が提示する MHC class I 分子を認識して攻撃する T 細胞が欠損している. このことから, 温熱によって増強された細胞表面 MHC class I は,T 細胞によって認識されることがわかった. また, 脾臓を用いた免疫担当細胞の殺細胞活性測定を行ったところ, 温熱した細胞を接種すると腫瘍特異的な細胞性免疫が賦活されることを確かめた. 以上のことから, 温熱療法においても HSP70 発現と MHC class I による抗原提示に相関があり, 温熱療法によってがん細胞自身が MHC class I 発現を増強して, 免疫系に認識されやすくなることが示された. このことが, 我々が解明した一つ目のメカニズムである. 5. 温熱療法によるがん細胞の壊死に伴う HSP ワクチン放出 HSP70 等の HSP はがん細胞内で抗原ペプチドをシャペロンしている. 上述したように, がん細胞から HSP- 抗原ペプチド複合体を精製して, ワクチンとして利用されている. 患者にがんワクチンとして投与された HSP- 抗原ペプチド複合体は, 樹状細胞 (Dendritic cell, DC) 等の専門的抗原提示細胞 (Antigen

小林 猛 - presenting cell, APC) の CD91 レセプター等の特異的レセプターと結合する 2). レセプターと結合した HSP- 抗原ペプチド複合体はエンドサイトーシスによって取り込まれ,APC 内の MHC class I 提示経路のプロセシングを受けて, 抗原ペプチドは MHC class I によって細胞表面に提示される. この現象は, 本来がん細胞自身の MHC class I によって提示されるべき抗原ペプチドが,APC によって代わりに提示されることから, クロスプライミング (cross-priming) と呼ばれる. ここで, 専門的抗原提示細胞である DC は, がん細胞とは比較にならないほどの強力な抗原提示能を有する. 一方,HSP70 自身が APC を刺激するサイトカインであるといった報告もある 2). この場合, 抗原ペプチドの有無に関わらず,HSP70 は CD14 と結合して DC の成熟や単球からのサイトカイン放出を誘導する. この生体反応は自然免疫の活性化を意味し,HSP は生体が本来備えている自然のアジュバントであることを示唆する. 古典的には, 免疫とは 非自己に対する反応 として認知されてきたが, 特にがんにおいては自己 非自己の概念が当てはまりにくい. このことから, 特にがん免疫では 自己 非自己 ではなく, いかに生体にとって 危険(Danger) であるかが重要であると考えられている 1). この理論において,HSP は細胞がストレスに曝されると発現するタンパク質であることから, 重要な Danger signal になると考えられる. 特に, HSP- 抗原ペプチド複合体のワクチン投与では, 本来細胞内に存在する HSP が血中で感知されるといった状況になり, 生体にとって危険であると認識されるシステムが備わっていることが容易に想像できる. 一方, がん細胞から精製しなくても, 何らかの原因でがん細胞が死んだ場合に,HSP- 抗原ペプチド複合体が細胞外へ放出されて免疫系に認識される可能性がある. 我々は, 温熱療法において HSP 発現が増強し, さらにがん細胞が熱で壊死することによって, 細胞内から HSP- 抗原ペプチド複合体が放出され, がんワクチン化が起こっているのではないかと考えた. 研究仮説の概略図を図 4 に示す. マグネタイト微粒子を用いた温熱療法のシステムでは, マグネタイト微粒子自身が発熱する. したがって, マグネタイト微粒子の腫瘍内における分布が重要になってくるが,T-9 皮下腫瘍内のマグネタイト微粒子を磁場照射によって発熱させると, その周りの腫瘍組織が熱によって壊死して, その壊死領域にマグネタイト微粒子が流入していくことで腫瘍内部を拡散していった. このことによって, 複数回の磁場照射を行うと, 腫瘍組織の壊死とともにマグネタイト微粒子の分布領域が広がっていき,1 日 1 回の磁場照射による温熱療法を 24 時間毎に 3 日間連続で行うことによって, 腫瘍全体を均一に壊死させることができた. ここで,24 時間毎といった温熱のタイミングは, 上述したように,T-9 細胞が最も HSP70 を発現するタイミングであり, 腫瘍内では大量の HSP70 が発現していた. つまり,1 日 1 回の磁場照射による温熱療法を 24 時間毎に 3 日間連続で行うことによって,HSP70 を大量に発現させながら腫瘍全体を壊死させることができた. このことによる重要な意義は大量の HSP が腫瘍組織から放出されることである.Srivastava らは, 精製した HSP70- 抗原ペプチド複合体のワクチン効果は, 投与した量に依存して促進されることを報告している 9). 我々の温熱療法では腫瘍全体が壊死するので,T-9 腫瘍を用いた実験では 1g の腫瘍細胞が壊死したと考えられる. 我々の検討で,1g の腫瘍細胞中には約 2 mg という非常に大量の HSP70- 抗原ペプチド複合体が含まれる計算となる. 次に, 実際に温熱後の HSP70-ペプチド複合体に抗腫瘍効果があるのかを調べるために, 温熱療法を行ったラットの腫瘍を摘出して,HSP70- 抗原ペプチド複合体を精製してワクチン効果を調べたところ, 有意な抗腫瘍効果を示した 4). さらに我々は, 精製した HSP70- 抗原ペプチド複合体ではなく, 温熱によっ

て壊死させた T-9 細胞の上清に HSP70 が放出されているのを確認して, この細胞死で放出された HSP70 が抗腫瘍効果を持つことを確認した 4). 我々のマグネタイト微粒子を用いたハイパーサーミアは,HSP70- 抗原ペプチドの放出を伴う壊死を誘導し, 免疫担当細胞を腫瘍局所に集積させ, 抗腫瘍免疫を強く誘導することがわかった. このことにより, マグネタイト微粒子を用いた温熱療法は, 腫瘍局所における in situ ワクチン療法というべき治療法であるといえよう. HSP を介した免疫賦活メカニズムを基にして, さらに温熱療法の免疫賦活能を高めるための新しい治療方法の提案を我々はしている. 具体的には, マグネタイト微粒子を用いた温熱療法との組み合わせとして,IL-2 や GM-CSF といったサイトカインとの併用療法,HSP70 のリコンビナントタンパク質の腫瘍 6) 5) 局所投与との併用療法,HSP70 遺伝子治療との併用療法の開発を行っている. 謝辞 本研究は中部大学総合工学研究所平成 21 年度 ~22 年度の第 4 部門の援助を受け遂行されたものであ り, ここに謝意を表します. 参考文献 1) Asea, A., Kraeft, S. K., Kurt-Jones, E. A., Stevenson, M. A., Chen, L. B., Finberg, R. W., Koo, G. C., and Calderwood, S. K. 2000. HSP70 stimulates cytokine production through a CD14-dependant pathway, demonstrating its dual role as a chaperone and cytokine. Nat. Med. 6: 435-442. 2) Basu, S., Binder, R. J., Ramalingam, T., and Srivastava, P. K. 2001. CD91 is a common receptor for heat shock proteins gp96, hsp90, hsp70, and calreticulin. Immunity. 14: 303-313. 3) Ito, A., Shinkai, M., Honda, H., Wakabayashi, T., Yoshida, J., and Kobayashi, T. 2001. Augmentation of MHC class I antigen presentation via heat shock protein expression by hyperthermia. Cancer Immunol. Immunother. 50: 515-522. 4) Ito, A., Shinkai, M., Honda, H., Yoshikawa, K., Saga, S., Wakabayashi, T., Yoshida, J., and Kobayashi, T. 2003. Heat shock protein 70 expression induces antitumor immunity during intracellular hyperthermia using magnetite nanoparticles. Cancer Immunol. Immunother. 52: 80-88. 5) Ito, A., Matsuoka, M., Honda, H and Kobayashi, T. 2003. Heat shock protein 70 gene therapy combined with hyperthermia using magnetic nanoparticles. Cancer Gene Ther. 10: 918-925. 6) Ito, A., Matsuoka, M., Honda, H and Kobayashi, T. 2004. Anititumor effects of combined therapy of recombinant heat shock protein 70 and hyperthermia using magnetic nanoparticles in an experimental subcutaneous murine melanoma. Cancer Immunol. Immunother. 53: 26-32. 7) Matzinger, P. 2002. The danger model: a renewed sense of self. Science. 296: 301-305. 8) Shinkai, M., Le, B., Honda, H., Yoshikawa, K., Shimizu, K., Saga, S., Wakabayashi, T., Yoshida, J., and Kobayashi, T. 2001. Targeting hyperthermia for renal cell carcinoma using human MN antigen-specific magnetoliposomes. Jpn. J. Cancer Res. 92: 1138-1145. 9) Srivastava, P. K., Menoret, A., Basu, S., Binder, R. J., and McQuade, K. L. 1998. Heat shock proteins come of age: primitive functions acquire new roles in an adaptive world. Immunity. 8: 657-665. 10)Yanase, M., Shinkai, M., Honda, H., Wakabayashi, T., Yoshida, J., and Kobayashi, T. 1998. Intracellular hyperthermia for cancer using magnetite cationic liposomes: an in vivo study. Jpn. J. Cancer Res. 89: 463-469. 11)Yanase, M., Shinkai, M., Honda, H., Wakabayashi, T., Yoshida, J., and Kobayashi, T. 1998. Antitumor immunity induction by intracellular hyperthermia using magnetite cationic liposomes. Jpn. J. Cancer Res. 89: 775-782.