Microsoft PowerPoint - 08【資料53-5】PM2.5に対する総合的な対策の取り組み状況(最終版)

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3 地球温暖化対策の推進に関する方針及び推進体制 (1) 地球温暖化対策の推進に関する方針 [ 基本理念 ] 人類が自然と調和し 未来にわたり持続可能な発展を実現するため NTT グループ地球環境憲章に則り NTT 西日本はグループ会社と一体になって 全ての企業活動において地球環境の保全に向けて最大

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配慮事項 1 鉛の使用量 ( バッテリーに使用されているものを除く ) が可能な限り削減されていること 2 資源有効利用促進法の判断の基準を踏まえ 製品の長寿命化及び省資源化又は部品の再使用若しくは材料の再生利用のための設計上の工夫がなされていること 特に 希少金属類の減量化や再生利用のための設計上

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学識経験者による評価の反映客観性を確保するために 学識経験者から学術的な観点からの評価をいただき これを反映する 評価は 中立性を確保するために日本学術会議に依頼した 詳細は別紙 -2 のとおり : 現時点の検証の進め方であり 検証作業が進む中で変更することがあり得る - 2 -

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Executive summary

H28秋_24地方税財源

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Transcription:

資料 53-5 微小粒子状物質 (PM2.5) に対する総合的な対策の取り組み状況 - 自動車関係の発生源情報の更なる把握に向けた検討 - 1

1.PM2.5 の総合的な対策が 求められている背景 2

1 PM2.5 の総合的な対策が求められている背景 (1) 我が国では これまでの規制等の取組により大気環境の保全に努めてきており 二酸化硫黄 (SO 2 ) 二酸化窒素 (NO 2 ) などの濃度は大きく改善してきている 一方で 平成 21 年 9 月に環境基準が設定された PM2.5 については 環境基準の達成率が低く 大気環境行政における残された大きな課題となっている 中央環境審議会 今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について ( 第 11 次答申 ) においては これまでの排出ガス規制等による PM 低減対策を着実に実施することとし 今後 PM2.5 に対する総合的な対策等を検討する中で 自動車に必要な対策についても検討すること等としている 平成 25 年 1 月以降 中国において PM2.5 による深刻な大気汚染が発生し 我が国でも一時的に濃度の上昇が観測されたこと等により国民の関心が高まり PM2.5 による大気汚染に関して包括的に対応することが求められた これを踏まえ 環境省では 平成 25 年 12 月に PM2.5 に関する総合的な取組 ( 政策パッケージ ) をとりまとめた 同政策パッケージにおいて PM2.5 の対策を進めるため 中央環境審議会に新たな専門委員会 微小粒子状物質等専門委員会 ( 以下 PM2.5 等専門委員会 ) が設置することとされた 3

1 PM2.5 の総合的な対策が求められている背景 (2) 発生源情報の整備 については 具体的な PM2.5 削減対策の基礎 H25 年度 PM2.5 排出インベントリ及び発生源プロファイル策定検討会 ( 以下 PM2.5 インベントリ等検討会 ) を設置し PM2.5 の発生源情報の把握に着手 同検討会の進捗は 同専門委員会に適宜報告される 発生源情報の整備 どこからどれだけ原因物質が排出されているか ( 発生源情報 ) を把握するため PM2.5 排出インベントリ及び発生源プロファイル策定検討会 において調査を開始します 当面は大規模固定煙源の排出実態の把握を行うと共に その後 移動発生源を対象に調査を進め 平成 26 年度末には主要な発生源の排出状況を取りまとめます その後 中小規模発生源の排出実態の把握を進める等 各発生源情報の精度向上を図り 具体的な PM2.5 削減対策の基礎とします 出典 : 環境省 PM2.5 に関する総合的な取組 ( 政策パッケージ ) ( 平成 25 年 12 月 25 日発表 ) を基に事務局にて作成 4

参考 1 環境基準達成状況等 (1/2) (1)SO2 の環境基準達成状況長期的評価による環境基準達成局 ( 平成 24 年度 ) は 一般環境大気測定局 ( 一般局 ) で 1,022 局中 1,019 局 (99.7%) 自動車排出ガス測定局 ( 自排局 ) で 59 全局 (100%) となっている ( 環境基準 :1 時間値の 1 日平均値が 0.04ppm 以下であり かつ 1 時間値が 0.1ppm 以下であること ) (2)NO 2 の環境基準達成状況長期的評価による環境基準達成局 ( 平成 24 年度 ) は 一般局で 1,285 全局 (100%) 自排局で 406 局中 403 局 (99.3%) となっている ( 環境基準 :1 時間値の 1 日平均値が 0.04ppm から 0.06ppm までのゾーン内又はそれ以下であること ) (3)SPM の環境基準達成状況長期的評価による環境基準達成局 ( 平成 24 年度 ) は 一般局で 1,320 局中 1,316 局 (99.7%) 自排局で 394 局中 393 局 (99.7%) となっている ( 環境基準 :1 時間値の 1 日平均値が 0.10mg/m3 以下であり かつ 1 時間値が 0.20mg/m3 以下であること ) 5

参考 1 環境基準達成状況等 (2/2) PM2.5 の環境基準は 平成 21 年 9 月に定められており 平成 22 年度から平成 24 年度までの環境基準の達成率及び年平均濃度の状況は 下表のとおり ( 環境基準 :1 年平均値が 15μg/m3 以下であり かつ 1 日平均値が 35μg/m3 以下であること ) 一般局 ( 一般大気測定局 ) 自排局 ( 自動車排出ガス測定局 ) 達成率 (%) 年平均濃度 (μg/ m3 ) 達成率 (%) 年平均濃度 (μg/ m3 ) 平成 22 年度 32.4 15.1 8.3 17.2 平成 23 年度 27.6 15.4 29.4 16.1 平成 24 年度 43.3 14.5 33.3 15.4 6

参考 2 中央環境審議会 今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について ( 第 11 次答申 ) ( 平成 24 年 8 月 10 日 ) 抜粋 5. 今後の自動車排出ガス低減対策の考え方 5.1.4 微小粒子状物質 ブラックカーボン対策 (~ 省略 ~) ディーゼル車やディーゼル特殊自動車から排出される PM は そのほとんどが PM2.5 であるため これまでの排出ガス規制等の対策の着実な実施が PM2.5 削減対策として有効である (~ 省略 ~) 最新規制適合のディーゼル車やディーゼル特殊自動車には DPF が装着されており DPF により大半のブラックカーボンは捕集されると考えられる 今後 国内排出量の把握や対策についての検討が進められる予定である したがって まずは これまでの排出ガス規制等による PM 低減対策を着実に実施することとし 今後 PM2.5 に対する総合的な対策及びブラックカーボンの温暖化の効果と削減対策を検討する中で 自動車に必要な対策についても検討することが適当である 5.1.5 その他の未規制物質対策 (~ 省略 ~) 今後 VOC について 工場 事業場等を含めた総合的な低減対策を検討することとなった場合には その一環として 改めて自動車の排出ガス低減対策及び燃料規格のあり方について その効果と課題を踏まえて検討する必要がある 更に 自動車排出ガス低減対策の検討に当たっては 温室効果ガスである二酸化炭素 ( 以下 CO2 という ) に加え メタン (CH4) や N2O 等が増大しないよう配慮する必要がある 5.3.4 大気環境の状況把握と改善効果の予測 自動車排出ガス規制や総合的な自動車排出ガス低減対策の進展に伴い これらの対策の効果の実態を的確に把握し また 今後の諸対策の効果を予測することが 新たな施策を企画 実施していく上で 一層重要になる その際には PM( ブラックカーボンを含む ) NOx VOC 等の排出インベントリの整備や SPM(PM2.5 を含む ) 光化学オキシダント等の二次生成のメカニズムの解明とそれに寄与する因子の把握も必要となる そのため 排出源における各種対策により沿道等での大気環境の改善に及ぼす効果を把握するための測定局の整備及び衛星観測を活用した測定体制の整備や 今後の諸対策による効果を予測する数値シミュレーションモデルの活用等に努めることが望ましい 7

参考 3 微小粒子状物質等専門委員会委員名簿 飯田訓正慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授 井上祥治石油連盟環境専門委員会環境部会長 上野広行公益財団法人東京都環境公社東京都環境科学研究所調査研究科副参事研究員 鵜野伊津志九州大学応用力学研究所教授 大原利眞独立行政法人国立環境研究所地域環境研究センター長 ( 委員長 ) 梶井克純京都大学大学院地球環境学堂教授 金谷有剛独立行政法人海洋研究開発機構地球表層物質循環研究分野分野長代理 釜谷広志電気事業連合会環境専門委員会副委員長 ( 中部電力株式会社環境部長 ) 河野博子株式会社読売新聞東京本社編集委員 坂本和彦埼玉県環境科学国際センター総長 柴田芳昭一般社団法人日本自動車工業会環境委員会地域環境部会ヘルスエフェクト クリーンエア分科会長 田邊潔独立行政法人国立環境研究所環境計測研究センターフェロー 中村修福岡県環境部副理事兼環境保全課長 奈良恒雄一般社団法人日本化学工業協会 VOC 検討 SWG 主査 畠山史郎東京農工大学大学院農学研究院教授 弓手崇生一般社団法人日本鉄鋼連盟環境保全委員会委員長 ( 五十音順 敬称略 ) 8

2. 発生源情報の整備について 9

2-1 発生源情報の整備の背景 微小粒子状物質 (PM2.5) は 発生源から粒子として排出されるもの ( 一次粒子 ) と ガス状の物質として排出されたもの ( 前駆物質 ) が大気中で化学反応を起こし粒子化するもの ( 二次生成粒子 ) が存在する したがって PM2.5 の総合的な対策を行うには 各発生源からの一次粒子としての PM2.5 の排出量のみならず 二次生成粒子となる前駆物質の排出量を把握する必要がある 発生源情報を整備していくことで 主要な排出源が特定され 優先すべき排出量削減の区分や どの排出源についてデータが不足し さらなる調査が必要かについて明らかとなる 排出インベントリ (inventory) は 各発生源から排出される物質の排出量を物質別に産業別 燃料別等 各発生源の種類毎に整理したデータである PM2.5 の一次粒子及び二次生成粒子の前駆物質の排出インベントリについては 自動車分野など排出量等の整備が進んでいる分野もあり また一部の民間研究機関や地方自治体で整備が行われているが 環境省で実施している大気汚染物質排出量総合調査 及び VOC 排出量調査等の前駆物質に関する調査を除けば 国で整備 管理を行っているものは存在しない このため 有効な PM2.5 発生源情報の整備について H25 年度より着手することとした ( ) 大気汚染物質排出量総合調査 全国の都道府県 指定都市 中核市及び大気汚染防止法に定める政令市を対象に 大気汚染防止法に基づき届出されたばい煙発生施設 一般粉じん発生施設 特定粉じん発生施設等を対象として行われるばいじん NOx SOx 排出量調査 環境省が 3 年ごとに実施 図 1: 粒子の生成から消滅までのサイクル ( 出典 :( 一社 ) 日本自動車工業会 微小粒子状物質 SPM から PM2.5 へ より ) 出典 : 第 1 回微小粒子状物質等専門委員会 資料 5 PM2.5 発生源情報の整備について を基に事務局にて作成 10

2-2 今後の検討項目 ( 全体 ) 固定煙源の発生源情報の把握 大規模固定煙源を対象とした発生源情報の把握 ( 既存データをベースに作業 ) 煙突内 PM2.5 のより正確な測定に向けた検討 自動車の発生源情報の把握 ガソリン車からの PM の把握 ガソリン車からの燃料蒸発ガスの把握 環境省の排出インベントリ整備 H25 年度に整備に着手した排出インベントリを一部更新 (H23 年度活動量を反映 既存情報を活用 ) 既存の発生源情報 機関 A 選択 機関 c 可能な限り最新の活動量 機関 B 環境省の排出インベントリ 更新 全体まとめ課題検討 シミュレーション 固定煙源 自動車 固定煙源の発生源情報の把握 大規模固定煙源を対象とした発生源情報の整備 煙突内 PM2.5 のより正確な測定に向けた検討等 自動車の発生源情報の把握 ガソリン車からの PM ガソリン車からの燃料蒸発ガス 11

2-3-1 今後の自動車関係の検討項目 (1) ガソリン車の PM 検討することとなった背景 これまでガソリン車からの PM の排出原単位をゼロとしていたが ディーゼル車の排出量が 大幅に低減されたことや ポート燃料噴射方式と比較して PM が多く排出されると考えられる 筒内直接燃料噴射方式のエンジンを備えたガソリン車 ( 直噴ガソリン車 ) が近年普及してき たことにより ガソリン車の PM の排出実態について把握が必要と考えられた 排出原単位 : 自動車がある平均速度 ( ここでは 走行途中の停止時間を含む旅行速度を用いる ) で走行した場合の1km 走行当たりの排出ガス量であり 車速 ( 旅行速度と同じ ) と排出量の関係式で示されるものである 車種別 燃料別 車両総重量別 排出ガス規制年別及び排出物質ごとに作成している 調査対象 普及率が比較的高いと思われる車両重量クラス 排気量クラスのガソリン車 直噴ガソリン車 調査方法 試験方法 : 公定試験モードである JC08 モード等にて 1 車両あたり 10 種類程度とする なお冷機始動時の排出量への影響を排出原単位に反映するため JC08 モードについては 冷機状態 暖機状態の両方で測定を実施する 計測項目 :PM 重量 成分 (EC OC 無機イオン 有機酸 ) PM 前駆物質 (NO NO 2 CO VOC 成分 ) とする 12

2-3-2 今後の自動車関係の検討項目 (2) 燃料蒸発ガス 検討することとなった背景 燃料蒸発ガス規制については 昭和 47 年からエンジン キャニスタ等大気開口部から排出される燃料蒸発ガスを捕捉する方法によりHSL 規制 ( 許容限度 2.0g/test) が導入され 中環審第 2 次答申を踏まえ平成 12 年から平成 14 年にかけてDBL 規制を導入 ( 許容限度はHSLと合わせて2.0g/test) し SHED(Sealed Housing for Evaporative Emission Determination) 施設を用いたエンクロージャー法により測定を行うこととした また 燃料の蒸発性の指標であるリード蒸気圧 (Reid Vapor Pressure:RVP) の値が試験結果に多大な影響を及ぼすと考えられたことから 第 3 次答申において その対策として試験燃料についてはRVP の値は56kPa 以上 60kPa 以下が適当とされ 市場に供給される燃料については燃料生産者の自主的な取組により平成 13 年から72kPa 以下が望まれるとされた 第 5 次答申において 市場に供給される燃料について 燃料生産者の自主的な対応として 更に平成 17 年から65kPa 以下に低減することが適当とされた このように これまで燃料蒸発ガスの規制強化等がなされたところであるが 車両の技術開発の進歩や車の使われ方の変化により 排出実態が変化しているかどうか確認する必要がある 調査方法 HSL: ホット ソーク ロス ( 走行直後の駐車時に自車両を熱源として排出されるもの ) DBL: ダイアーナル ブリージング ロス ( 昼夜を含む長時間の駐車中に外気温を熱源として排出されるもの ) 燃料蒸発ガス排出率に関するデータ整備ガソリン車からの燃料蒸発ガス排出量について 国内外の計測結果や推計手法を調査し ガソリン車からの燃料蒸発ガス排出量の算出に必要なデータを整備する 自動車使用実態に関するアンケート調査調査項目 : 地域 用途 車種 始動時刻 運転時間 駐車継続時間等について調査調査期間 : 1 週間以上連続して調査 ( 複数日にまたがって駐車を継続している状況も把握するため ) 13

3. 今後の予定 14

3 今後の予定 自動車関係の発生源情報 ( ガソリン車の PM 燃料蒸発ガスの排出量 ) については 今年度 把握に着手する予定 上記に係る今後の取組状況については 自動車排出ガス専門委員会及び同作業委員会へ 適宜ご報告する予定 自動車を含めた全体の発生源情報の取組状況については PM2.5 等専門委員会へ 適宜ご報告する予定 15