Oil spill in Gulf プロジェクトリスクマネジメント第 0 回 Deepwater Horizon on fire 0 年 7 月 0 日 ( 水 ) 0:5-:45 原油スポットと先物 998 年以降のスポット市場 60 40 0 $/ バレル 00 80 WTI Brent 60 40 0 0 市場の効率性 市場価格には, どのレベルの情報セットまで織り込まれているのか? どのような情報を使えば市場を出し抜けるのか? ウィーク フォーム 過去の株価を統計的に解析し将来株価を予測することはできない セミ ストロング フォーム ある企業の公開情報に基づいて株価予想を行っても意味がない ストロング フォーム インサイダー情報による株価予想も意味がない 実証分析の結果 不動産市場などは効率的ではない側面があると言われているが, 株式市場や外国為替市場など, 高度に組織化され標準化された資産について大量の取引が行われている市場に関しては : ウィーク フォームは効率的 セミ ストロング フォームはほぼ効率的だが, いくつかの反証もある ストロング フォームの仮説は棄却される 参考文献 :Fama E. F., Efficient capital markets: A review of theory an empirical work, Journal of Finance, ol.5, 383-47, May 970
株価変動のシミュレーション 月当たり収益率の期待値 0.95%, ボラティリティ 3% の幾何ブラウン運動 株価はなぜランダムウォークするのか 過去のサイクルから将来価格が予想された瞬間に, 株価はその予想値の現在価値までシフトしサイクルを消し去る 新たな情報にのみ反応する Compass rose アノマリー (Anomalies) アノマリー : 利益が恒常的に期待利益率を越える, あるいは下回る状態 3 NYE stocks Gol returns 960 年 ~980 年の小型株効果 CAPM でとらえきれないリスク要因を補う収益率が期待されている? 偶然? 例外? 新規発行株の利益 長期的にはパフォーマンスが悪い 利益発表後の株式のパフォーマンス 投資家は情報を直ちに評価することができない 市場の効率性に関する 6 つの教訓 市場に記憶はない 市場価格はとりあえず信頼する 市場価格に内在する情報を読みとる 金融的な幻想は存在しない 資金調達, 株式分割, 配当戦略,etc. 投資家は自身でできることに対しては対価を払おうとはしない 個々の株式はほぼ完全な代替物である 需要は非常に弾力性が高い 市場に記憶はない 市場の価格の履歴は何も語らない ウィーク フォームの効率的市場仮説 財務担当者は往々にして通常を越えた株価上昇の後は債券よりも株式による資金調達を好む 本来ナンセンス 株価下落の後には新株の発行に消極的 再上昇をあてにしているがこのような循環は存在しない 有利な内部情報を持っている場合, 新株発行に消極的になるが, この情報は過去の株価動向とは何ら関係ない
市場価格を信用せよ ほとんどの投資家にとって継続的に標準以上の収益率を達成する方法はない 継続的に標準以上の収益率を上げるには他の全ての人よりも情報を持っていなければならない 他人よりうまく為替レートの変化や金利の動向を予想できると考えるのは幻影にすぎない 市場価格に内在する情報を読みとる 企業の発行している証券についての市場の評価は企業の将来見通しについて, 重要な情報を提供する 企業の発行する債券の利回りが平均を上回っている場合, その企業は何らかの問題を抱えている 長期金利と短期金利の差は短期金利の将来動向に関する投資家の予測を表している M&Aの際の株価動向は, そのM&Aの価値を示す 投資家が企業より簡単にできること 投資家は自分自身で同じようにできることに対して対価を支払わない より多角化し業績を安定させるために合併するよりも, 投資家が自身で分散投資する方が容易 財務レバレッジのための債券は投資家個人が借り入れるよりも安価に発行できなければ意味がない 派生証券の価値 ( ブラック ショールズの微分方程式による表現 ) : 時点 tにおける原資産の価値, t: 時点 tにおける派生証券の価値 r : 非危険利子率 : トレンド : ボラティリティ 原資産を株とし, 株価はドリフト付き幾何ブラウン運動に従うものとする t z その他の主な仮定 証券の信用売りが可能で, 代価は全額利用することができる 取引コストや税金はかからない 派生証券が市場で流通している間の株式配当はない 無リスクの裁定機会は存在しない 証券の売買は連続的に実施される 派生証券と株式によるポートフォリオ 派生証券を 単位購入し, 株式を 単位売るポートフォリオを考える. このポートフォリオの価値 Π は :, t Δ を一定とすると, 時間 t から t+t にかけてのポートフォリオの価値 Π の変化は : 3
Π の変化の不確実性 は と t の関数なので, 伊藤のレンマを用いて F F F x ax, tt bx, tz のとき F(x, t) の全微分 F x t b t ( 伊藤のレンマ ) x x よって t t 確定的な項不確実項 デルタ (Δ) ヘッジ 不確実項はこのポートフォリオのリスクである. コールオプションのペイオフの差 参考までに 行使時点における株価の差 とおくと, このポートフォリオの価値の変動は t t となり, これは無リスクポートフォリオとなる. このようなリスクのヘッジをデルタ ヘッジという. 無リスクポートフォリオの価値変化 無リスクポートフォリオの価値 Π の変化は,Π と同額の現金を短期国債などの無リスク資産に投資したときの資産価値の変化に等しくならなければならない. そうでないと裁定が起きる. rt e rt なので rt よって r t t ブラック ショールズ微分方程式 一方, ポートフォリオの価値の式 なので r rt rt r t r t t r r 0, t から コールオプションの境界条件 を株価, 満期 T におけるコールオプションの行使価格を K とすると, 境界条件は この境界条件の下での式 : T, T max K, 0 r r 0 の がコールオプションの価格を与える ブラック ショールズ微分方程式の解 ここで, t Ke r xx x x x exp log r K log r K これが, 満期までの期間 τ のヨーロッパ型コールオプションの価格 c(, τ) を与えるブラック ショールズの式である. x 標準正規変数の累積分布関数 標準正規変数の確率密度関数 4
プットオプションの価格式 ヨーロッパ型プットオプションの価格 p(, τ) は, プットーコール パリティより p r, c, Ke r Ke r Ke いずれの価格式もトレンド項 μ( 期待収益率 ) を含まない 政府の保証という名のプットオプション 期後に, 経済状況によりそれぞれ 50% の確率で 0 百万円か 30 百万円のペイオフが得られる新薬開発プロジェクトがある. 今, 政府が経済状況如何に関わらず全ての生産物を 0 百万円で買い取る保証をしたときのこの保証の現在価値は? ただし, 割引率は 0%, 無リスク利子率は 5% とする. オプションの価値はリスク選好に無関係 期待利益率が r であるようなリスク中立な世界を仮定できる 従来の評価法 (DCF) 従来の評価法の問題点 保証のない場合のプロジェクトの現在価値 : 0.5 0 0.5 30 P 00 百万円.0 保証のある場合のプロジェクトの現在価値 : * 0.5 0 0.5 30 80 P.0 75 百万円 従来の評価法では, 政府の保証のあるプロジェクトのペイオフと保証のないプロジェクトのペイオフのリスクが等しく, 同じ割引率 ( この場合 0%) で割り引けると仮定している. 保証 ( プットオプション ) の価値 : * P P 75 百万円 正しい評価 保証された見返りと引き換えにプロジェクトを放棄することができるという経営の柔軟性はプロジェクトのリスクひいてはディスカウントレートを変化させる. プットオプションの行使価格が 億 千万円であるこのケースの場合, このオプションを持つことによりリスクは完全に除去され, 企業はどのような場合でも 億 千万円のペイオフを得ることができる. このため, このようなプロジェクトの現在価値は 0/.05=00 百万円となり, このような保証の正しい価値は,00 百万円となる. 上記の例でプットオプションの行使価格が 億 千万円でなければ, 従来法で恣意性のないディスカウントレートを求めることは不可能であり, 正確な評価をすることができない. 課題 0 石油 天然ガス 金属などの資源開発業は, なぜ資本力が大きい方が有利と言われるのか? 試験は 8 月 3 日 ( 水 )0:5-:45 本 資料 ノート持ち込み可, 情報端末,PC, 計算機のたぐいは使用不可 5