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伝熱の応用と伝熱機器. 実存気体の性質 ( 熱力学の復習 ). ランキンサイクルと蒸気プラント. ガスタービン発電とブレイトンサイクル 4. 蒸気タービン ガスタービン複合発電. 冷凍 空調 コジェネレーション 伝熱の応用と伝熱機器. 実存気体の性質 ( 熱力学の復習 ). ランキンサイクルと蒸気プラント. ガスタービン発電とブレイトンサイクル 4. 蒸気タービン ガスタービン複合発電. 冷凍 空調 コジェネレーション 圧力とは 単位面積 S 当たりに加わる力 F: P F / S パスカルの原理 非圧縮性流体中に加えられた力は 流体の他の部分の圧力を同じだけ増加させる 高さhで密度 ρの流体の下にある物体に加わる圧力 P : P gh 圧力の単位 : F( N ) P ( N / m S( m ) 0 ( Pa ) ( bar ) 000( mbar ) 0 ) ( Pa ) ( bar ) ( mbar ) ( hpa ) 00( Pa ) P 0 P 0 P h 大気圧 大気圧とは 地球上の平均海水面高さにおいて受ける圧力 その値は 水銀の高さ760mm に等しい P g h.9 0 ( kg / m ) 9.8066( m / s 0.76( m ).0 0.0 0.0 0 0 ( Pa ) ( bar ) ( kg m / s ( N / m ( Pa ) また 重力単位系において大気圧は.0 0 ( kg m / s P 9.8066( m / s ).0 0.0( kg f 4 ( N / ( m / / cm ) ) m ) s ) / m / m ) ) 760mm 地球上の海水面高さにおいて 我々は (cm ) 当たり (kg f ) の力を受けている P 水銀

状態変化 状態変化の説明 液体をシリンダ内に入れ, 摩擦のない気密性のあるピストンで蓋をする いま, ピストンに一定の圧力 p を加えて加熱する場合を考える 理解を容易にするために, 最初,0 であった水を 気圧 (= 0.0 MPa) の下で加熱するものとする 液体は加熱されると, 温度がしだいに上昇し, 一般にその体積は少し大きくなる 液体の加熱による温度上昇はどこまでも続くのではなく, 液体の種類と圧力で決まる極限値がある 例えば水は 気圧では 00,0 MPa では.06 までは液体であるが それ以上加熱しても液体の状態ではこれ以上の温度にはならない この温度をその液体の, その温度における飽和温度という また, この温度の液体を飽和液という この状態では温度と圧力の間に一定の関係があり, 互いに独立な状態量にはならない つまり, 温度が与えられると圧力は決まってしまうので この圧力を与えられた温度に対する飽和圧力という 圧力 : P 蒸気線図 温度 : T 臨界点 ボイルの法則 : P v= 一定 比容積 :v 状態量と状態線図 V v m 体積 質量 pv 内部エネルギー 比エンタルピー :h h u dq 加熱量比エントロピー :ds ds T 温度 Helmholtzの自由エネルギF: F U TS Gibbsの自由エネルギG: G H TS 仕事 液体 飽和液線 湿り蒸気 気体 飽和蒸気線 比容積 : v

湿り飽和蒸気の状態量 v,h,s: 湿り蒸気 v,h,s : 飽和水圧力 : P v,h,s : 飽和蒸気 x: 乾き度 (dryness) 0 x v v x 液体 x -x 気体 v v 湿り蒸気 V V 比容積 : v xv xv v xv v xh xh h xh h v h xs xs S xs S S 蒸気表の使用法 [ 例 ]( 湿り蒸気の場合 ) (T= 0,s =.0000 kj/kgk) の場合の状態量 T = 0 の場合 飽和圧力は Ps = 4.760 bar = 476 kpa, v' = 0.000908 m /kg, v" = 0.94 m /kg h' = 6. kj/kg, h" = 74.4 kj/kg, r =. kj/kg s' =.846 kj/kgk, s" = 6.88 kj/kgk s <s<s であるから この状態は 湿り蒸気である この時の渇き度は x = (.0000-.846)/(6.88-.846) = 0.64 よって v = 0.00 + (0.94-0.00) 0.64 = 0.486 m /kg h = 6. +. 0.64 = 968. kj/kg u = h-pv = 968.-476 0.486 = 80. kj/kg 蒸気表の使用法 [ 例 ]( 過熱蒸気の場合 ) ( P = 0 MPa,T = 94 ) の場合の状態量 P = 0 MPa = 00 bar の場合, Ts = 0.96 より,Ts<T= 94 であるから この状態は 過熱蒸気である 従って 蒸気表より P = 0 MPa の過熱蒸気に対して T= 90 : v = 0.068 m/kg,h = 068. kj/kg,s = 6.7 J/kgK T= 400 : v = 0.064 m/kg,h = 099.9 kj/kg,s = 6.8 kj/kgk であるから 94 の時の値は 内挿値 : (94-90)/(400-90) = 0.4 より v = 0.068 + (0.064-0.068) 0.4 = 0.097 m /kg h = 068. + (099.9-068.) 0.4 = 08. kj/kg s = 6.7 + (6.8-6.7) 0.4 = 6.899 kj/kgk u = h-pv = 08.-0000 0.097 = 8.4 kj/kg 蒸気表の使用法 [ 例 ] (P= 0 MPa,s = 6.899 kj/kgk) の場合の温度 P = 0 MPa = 00 bar の過熱蒸気の場合 蒸気表より 400 の過熱蒸気のエントロピーは s = 6.8 kj/kgk 90 の過熱蒸気のエントロピーは s = 6.7 kj/kgk であるから 内挿値 : x=(6.899-6.7)/(6.8-6.7) = 0.088/0.047=0.4 より 温度は T=Ts+(T-Ts) x= 90 + (400-90) 0.4 = 94 と求めることができる

演習問題 - 容器 V(m ) の容器の中に 気圧 (0.MPa) の飽和水 ( ) と飽和蒸気 ( ) がそれぞれ m (kg) m (kg) づつ入っている m =000(kg) m =0.(kg) として 容積 V とこの容器内の流体の内部エネルギー U(J) を求めよ 演習問題 - 回答の方針 P=0.[MPa] において v 0.00044[ m / kg] v.694[ m / kg] V mv m v [ m ] であるから 非容積は v V m m m m [ m / kg] よって 乾き度 x は v v x v v 従って h x h xh [ kj / kg] u h pv [ J / kg] U u ( m' m'') [ J] 演習問題 - 圧力 0.0(MPa) 比エンタルピ 000(kJ/kg) の湿り蒸気の乾き度 x とその湿り蒸気の比エントロピ (kj/kg K) をもとめよ 伝熱の応用と伝熱機器. 実存気体の性質 ( 熱力学の復習 ). ランキンサイクルと蒸気プラント. ガスタービン発電とブレイトンサイクル 4. 蒸気タービン ガスタービン複合発電. 冷凍 空調 コジェネレーション

Rankine サイクル ( 蒸気サイクル ) 超臨界圧ボイラ 東京電力 千葉火力発電所 号タービン発電機 ( 展示場所 ) 東京電力株式会社電気の史料館 [ 大型火力用蒸気タービン諸元 ] メーカー : アメリカ General Electric Co. 製造年 :96 年形式 : タンデムコンパウンド型複流 単一再加熱出力 :,000kW 回転数 :,000rpm 蒸気温度 :000F(8 ) 蒸気圧力 :,800psi(6kg/cm ) 排気 :. インチ (8.mm) 水銀柱絶対圧

燃料集合体構造 Rankine サイクル ( 蒸気サイクル ) PWR BWR 各要素内を作動流体が定常的に流れているとする 各要素の入り口 出口などの位置で流体の運動エネルギー 位置エネルギーは無視する ポンプ吸収仕事 : ボイラ加熱 : 過熱器加熱 : 4 タービン発生仕事 : 4 復水器放熱 : Q L B S P h W h h W ' h Q W h h L T W h h 4 Q C W h 4 h

Rankine サイクルの理論熱効率 理論熱効率 L th Q T B L Q P S は次のように算出される h h h h h h h h 4 4 h h h h h4 h h h 給水ポンプの仕事 L P は圧縮性の小さな水の仕事であるから 普通その値は非常に小さく タービン仕事 L T に比べて無視できることが多い この時には近似的に h =h と考えてよく 次のように書ける h4 h QC th h h Q Q th B S QC th Q Q ランキンサイクルの効率向上 B S Q C 小 hを大きくする : QB 大 dh c dt 廃熱を減らす : QC 小 QB + QS 大 T を大きくする 炉の出口温度を上げる タービン翼の材料の耐熱性 p 再生サイクル ηth 大 圧力を上昇させる タービンから蒸気を取り出し 給水を加熱 タービンの効率がわずかに下がるが 全体の効率は上がる Rankine サイクルの熱効率向上の方法 h ( 復水器出口の飽和水のエンタルピー ) は冷却水温度 ( ほぼ大気温度 ) に近い状況下のエンタルピーであるから ほぼ一定の値をとる また h 4 ( タービン出口の湿り蒸気のエンタルピー ) は 湿り蒸気の状態が飽和蒸気に近づくほど値が上昇するが 簡単のために一定とする η th の値は h ( 過熱器出口の蒸気のエンタルピー ) が大きいほどに に近づく 蒸気のエンタルピーは蒸気温度にほぼ比例して増加する傾向を持つ したがって h の値を上げるには 過熱器出口の蒸気温度 T を上げる必要があるが 過熱器材料やタービン翼材料の耐熱性に関連し ある限度以上には T を上げることができない Rankine サイクルの熱効率向上の方法 温度 T がある上限値で押さえられる条件の下で 熱効率 η th をさらに高める手段として ボイラ圧力を上げる方法がある これはh 4 ( タービン出口の湿り蒸気のエンタルピー ) の値が減少することを意味する ただし その際 タービン出口の湿り蒸気に含まれる液体の質量割合 すなわち湿り度が増加し 湿り蒸気に含まれる液滴の量が多くなり タービン翼に衝突して浸食作用を起こすようになる 通常 蒸気タービン出口の湿り度は 約 % 以下にするのが普通 高圧 : タービン出口エンタルピの低下

再熱サイクル 蒸気タービンを高圧 低圧の 段に分ける 高圧タービン内で膨張する蒸気が 湿り蒸気の状態に入る前に高圧タービンから出て再熱器に至り ここで加熱された後 低圧タービンに流入するようにした方式 湿り度の大きな湿り蒸気の発生が巧みに避けられている 再熱サイクルの理論熱効率 理論熱効率は給水ポンプ仕事を無視 (h =h ) した形で h h4 h h6 th h h h h4 h h ) ( h h4 h h6 h h h h h h h h 6 h h 4 4 再生サイクル 加熱方法 : 混合式抽気給水加熱器 : 図のように復水と抽気蒸気を給水加熱器で混合し給水を作る方式表面抽気給水加熱器 : 抽出蒸気によって金属壁をはさんで給水を間接的接触で加熱する方式である 再生サイクル Rankineサイクルの理論熱効率 : h4 h th h h 上式の右辺第 項分子のh 4 -h は復水器における放熱量であって この量は一般に非常に大きいものである いま 単位時間に質量 Wの蒸気が流入している蒸気タービンの途中の位置 6から 蒸気の一部 ( 質量 mw) を外部へ抽出する 残りの蒸気 (-m)wは さらに蒸気タービン後段で仕事をした後 復水器で冷却されて復水する 抽気した分だけタービンの出力は減るが 復水器からの放熱が減少するためボイラの熱負荷も減る したがって 後者の減少のほうが大であれば プラントの熱効率が上昇する

再生サイクルの理論熱効率 簡単のためポンプ仕事は無視すると ボイラと加熱器での合計か熱量はW(h -h ) 復水器での放熱量は(-m)W(h 7 -h ) であるので 理論効率 η th は th mh h 抽出蒸気と復水の混合時のエネルギー保存を考えると h h mw h6 h m W h h m h h この関係より (h =h ) として th 7 h h h h7 mh6 h7 h h mh h 6 6 再生サイクルの運転条件 抽出蒸気が無い場合 (m=0) の再熱サイクルの理論熱効率 η th,0 は h h7 h7 h th, 0 h h h h 再生サイクルによる熱効率の向上 すなわちη th >η th,0 が成立するためには h =h として h6 h h h h6 h h h 抽出蒸気の単位質量あたり タービン出力の減少割合 ( 左辺 ) より ボイラと過熱器の合計熱負荷の軽減割合 ( 右辺 ) が大であれば η th > η th,0 である 図に示す蒸気原動所の理論サイクルを考える 圧縮水はボイラで過熱され圧力 MPa 温度 400 の加熱蒸気となり 蒸気タービンを通って 圧力 0.0044MPa の湿り蒸気まで可逆断熱膨張し 腹水器で腹水した後 ポンプで加圧されてボイラ入口に供給される ポンプ前後での温度上昇は無視できるとする ただし 0.0044MPa での飽和温度を 0 とする 演習問題 - 演習問題 -( 続き ). このサイクルのTs 線図とhs 線図を作成しなさい 線図中には 各状 態の位置を明示し 両軸の数値と単位とを記入すること. 水 kg 当たりのボイラでの加熱量を求めなさい. 水 kg 当たりの蒸気タービンでの発生仕事量を求めなさい 4. このサイクルの熱効率を求めなさい ただし 以下の数値を使用してよい 表 飽和蒸気表 ( 抜粋 ) 圧力 比エンタルピ 比エントロピー Ps (MPa) h' (kj/kg) h'' (kj/kg) s' (kj/kg/k) s'' (kj/kg/k) 0.0044.66 6.4 0.46 8.446 表 圧縮水および過熱蒸気表 ( 抜粋 ) 圧力 温度 比エンタルピ比エントロピー Ps (MPa) t( ) h (kj/kg) s (kj/kg/k) 0 0. 0.4 400 98. 6.608

演習問題 -4 蒸気原動所の つの理論サイクルを考える. 図 では 40 の水 ( 状態 ) を MPa の圧力のもとでボイラにより 60 ( 状態 ) へ加熱する. この蒸気を MPa まで絞り弁により膨張させ ( 状態 ), 再熱器で再び 60 ( 状態 4) へ加熱する. そして蒸気タービン A により湿り蒸気の状態まで膨張させ ( 状態 ), 復水器で復水し, ポンプで加圧して状態 へ戻す. 一方, 図 では図 における絞り弁を蒸気タービンに置き換えており, 状態 の蒸気を蒸気タービン B に導いて仕事を発生させ, 圧力 MPa まで膨張させたいもので ( 状態 ), を除く から までの状態は図 と同じである. 次の ()-() の各問に答えよ なお, 蒸気の熱物性表は表, 表 の値を用いよ 図 図 圧力 [Mpa] 飽和温度 [ ] 表 比エンタルピー [kj/kg] 比エントロピー [kj/(kg K)] P t s h ' h '' s ' s ''.0 6.9 794.9.974 表 圧力 [Mpa] 飽和温度 [ ] 比エンタルピー [kj/kg] 比エントロピー [kj/(kg K)] P t h s.0 60 098 6.497.0 40 80.7 0.66 60 77.68 () この つのサイクルの概略を同一の T-s 線図上に記せ. ただし, 図 の線図を答案用紙に書き写し, サイクルを実線で記すと共に, 状態 4 の位置を図中に明示せよ. () 状態 の蒸気の比エンタルピーと乾き度を求めよ. () 図 のサイクルにおいて, 状態 ~4 の間で蒸気 kg 当たりに加えられる熱量を求めよ. (4) 蒸気タービン B での蒸気 kg 当たりの発生仕事量を求めよ. () 図 のサイクルにおいて, 状態 ~4 の間で蒸気 kg 当たりに加えられる熱量を求めよ. 図 演習問題 - 図 は蒸気原動所の主要な機器構成を示し 図 はこの蒸気原動所の理論サイクルを水の気液共存曲線とともに p-v 線図上に描いたものである また図中の -4 は作動流体である水の熱力学的状態を示す状態番号である 次の ()-() の各問に答えよ () 理論サイクルの名称を答えよ ( または p-v 線図を描け ) () 図 中の各状態番号,,,4,4,4 にそれぞれ対応する水の熱力学的状態を表す名称を記せ () 図 の理論サイクルを Ts 線図で描け 少なくとも図には 縦 横軸の記号, 気液共存曲線, サイクル曲線, -4 の各状態点, サイクルの方向矢印 を記入すること 演習問題 -6 代表的な熱機関の理論サイクルについて以下の問いに答えよ. 図 A はオットーサイクル, 図 B はサバテサイクル, 図 C はディーゼルサイクルの p-v 線図を示している それぞれのサイクルに対応する T-s 線図を図 D, E, F から選択せよ.. 図 A のオットーサイクルにおいて熱効率の計算を行う 外部から供給される熱量 Q および放出される熱量 Q をそれぞれ求めよ. ただし 定圧比熱を Cp, 定積比熱を Cv とする. また各状態の温度は例に従って使用せよ. ( 例 : 状態 の温度 T).. の結果を利用してオットーサイクルの熱効率を求めよ 4. サバテサイクル, ディーゼルサイクルの熱効率をそれぞれ求めよ. 図 図