海外市場調査 電気電子情報工学課程 B4 佐藤航 今回 私がシンガポールで実務訓練以外の時間で調査 探求したことは以下の 3 つである 1. 気候への工夫 2. 複合民族国家 3. 現地の学生の勉強に対する意識 気候への工夫まずシンガポールの気候であるが 赤道直下に位置するだけあり 1 年の平均気温が 27 と高温である さらに 熱帯気候だけあり 1 週間連続が雨日ということも少なく 多湿である これに対して多くのシンガポール人は 薄着 で対策している 男性も女性もタンクトップやショートパンツのような露出が多いラフな服装で過ごしており それに合わせてサンダルを履いている人も多い もちろん街 学校 仕事場には正装の人もいるが その割合は少なく多くの人が涼しげな私服である また 全ての建物内で冷房を掛けており快適に過ごすことができる しかし省エネという意識がないためか 冷房を強く使用し少し肌寒く感じることもある シンガポールにはホーカーセンターという 日本でのフードコートに似た場所が数多く存在する 特徴として 様々な国の屋台が軒を並べているのだが その中に必ず複数のドリンクショップがある 常に暑いシンガポールにとって ホーカーセンターは食事の場所であると同時に大事な水分補給の場所にもなっていると推測できる Fig.1 11 月のビーチの様子
複合民族国家シンガポールは主に中華系 マレー系 インド系の住民からなる複合民族国家である それだけに国内にチャイナタウンとリトルインディアが存在する 特にリトルインディアは他の街とは雰囲気と街並みが異なり 日曜日の夜になるとシンガポール中のインド人が家族や友人と会うために集まるので インド人だらけになる チャイナタウンにも中国人が多くいるのだが シンガポールの国民の 77% が華僑系であるためあまり新鮮さや驚きは感じられない 他に マレー系の住民は長期休暇の際にマレーシア等の母国に帰るのが一般的らしく 私の同じラボの人も年末年始は帰省していた 恐らくそのような人が多いためか マレーシア人とシンガポール人はお互いの国を容易に入出国できる また それ以外の人間でも比較的楽に入出国できる また国内に仏教 イスラム教 ヒンドゥー教 キリスト教の寺院や教会が多くあり 様々な人種 信仰者がいることが伺える 祝日においてもそれぞれの宗教に関した休みが存在する やはり中華系の人種が多いせいかチャイニーズニューイヤー (1 月中旬 ~2 月初旬 ) に長期休暇を取る人が多く 盛大なお祭りが開かれる Fig.2 チャイナタウン Fig.3 リトルインディア 2
現地の学生の勉強に対する意識私の実務訓練先が National University of Singapore (NUS) であったため そこの学生と交流する機会が何度かあった 多くの NUS の学生は留学生らしく 食堂などでも中華系 マレー系 インド系以外の人種の学生を見る機会が多かった また非常に勉強熱心であり 同じく勉強熱心であるアメリカの大学の交換留学生も褒め称えるくらいである 実際に 学校の近くに 24 時間営業のカフェがあるのだが 夜の 11 時くらいに行っても多くの学生がパソコンを開きながら勉強していた 様々なカフェで熱心に勉強している学生を何度も目の当たりにした ラボ内でも博士号を取る為に 一生懸命研究をしている学生が多かった 日本とは異なり 博士号を取るにあたり学費を納める必要はなく逆に奨学金を受け取って生活している しかしその分博士号を取るのは困難であるらしく途中で諦めた人も少なくなかった 3
ez-link カードシンガポールでバスや電車に乗る際 ほとんどの場合切符ではなく ez-link カードが用いられる バスや電車の切符の代わりになるだけでなく コンビニやスーパー等で電子マネーとしても用いることができる 日本での Suica や Icoca とよく似たカードであるが 優れた点が 2 つある 1 つ目は シンガポール国内全てのバスと電車で使用できる点である これ1 枚でシンガポールをどこにでも行くことができる 勿論 シンガポールが日本より小さな国でありカードの統一が容易であるのは明白だが 似たようなカードを何枚も持つ必要がない利点は大きい そして 2 つ目は 2$ 以上の残高がないと使用できない点である この 2$ という額はバス 電車の最高の運賃を示しており バスの降車の際に不正を防止するために 2$ 以上の残高が必要となる ( 仮に降車の際にカードをタッチしないと自動的に残高から 2$ 引かれる ) さらに残高不足によりバスに乗れないといったトラブルを防ぐためにバス停の近くにチャージの機械が備えてあったり 残高が少なくなるとタッチをした際に黄色のランプが 残高が極端に少なくなると赤色のランプを光らせ利用者に通知させる Suica や Icoca と僅かな違いしかないが 利用者にとっては利便性が大きく異なる 日本でも全てのバスと電車で使えるカードが開発されることで 公共交通機関の利用者がより多くなると考えられる Fig. ez-link card 4
Amusement card 日本のゲームセンターでゲームをする場合 現金用いてゲームをプレイすることができる 最近では特定のゲーム機専用のカードを買い お金をチャージしてプレイする機種も増えてきた しかし このカードは特定のゲーム機でしかプレイすることができず そのゲームに飽きた残高を無駄にしてしまう機会も少なくない これに対して シンガポールのゲームセンターは現金には対応しておらず全てカード制である その代わり1 枚のカードで全てのゲームを遊ぶことができる これにより 日本であるような残高を無駄にすることがなくなると考えられる さらに お金を入れたのに反応しない 間違えてお金を入れてしまった 等の現金が絡むトラブルはなく チャージの残高を戻すだけなのでスムーズに解決できる また 一度にある程度チャージしてしまえば 以降は現金を持ち歩く必要はなく 膨大な金額の浪費や喝上げ等の防止にもなる Fig. Amusement card 5
バスの路線表シンガポールにおいて バスは MRT と同様に国民にとって欠かせない公共交通機関である 国内を網の目のように結んでいるため ほとんどの場所へ行くことができる バスによっては 2 階建のバスもあり 街並みを眺めるのにも適している 主要な公共交通機関だけあり バスの路線表等も非常に分かりやすく示してある Fig.1 にバスの路線表の例を示す 路線表にはそれぞれ バスの番号 バスが来る頻度 止まるバス停 各バス停までの距離が示されている 路線図の隅には距離による運賃表も示されている 主要バス停には待ち時間も表示されている 主要バス停でなくとも携帯端末を用いれば 全てのバスの待ち時間と目的地までのおよその所要時間を調べることができる しかしながら シンガポール人からしてみれば便利なバスだが 観光客からしてみれば不便な点が 2 つある まず 目的地を調べるのが困難なことだ 路線表には地名と道路の名前しか書かれておらず 非常に使いづらい 私達も初めて使用した際 マーライオンを見たかったのだがどこのバス停で降りればよいか分からず途方に暮れた経験がある 次に バス内で次に止まるバス停がどこにも示されない点だ 最近は 次のバス停をバス内の電光掲示板で示すバスも増えてきたが その普及率はまだまだ低い バスを普段使用している人には問題ないが ほとんどの観光客は慣れていないので人に尋ねる他ない どちらの問題も携帯端末で調べれば解決することが多いが 観光客にとってはそれすらも難しい このように 海外の公共交通機関において優れている点を日本でも採用し 逆に不便な点を改善して日本に用いれば地元民にとっても観光客にとっても使いやすい交通機関になり 利用客の増加が見込める バスの番号 バスが来る頻度 距離 目的地 Fig. バスの路線表 6