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1. 材料と方法 1.1. 分析試料 2 回に分けて受領した ( 表 1-a, b) いずれの試料も細胞溶解液注 1 に溶解してある 受 領後ただちに -80 にて保存した 表 1. 受領試料 (a) 2014 年 3 月 27 日受領分 : 計 2 試料試料名総蛋白質濃度注 2 (mg/ml) NC 24.4 W 24.3 液量注 2 (µl) 50-60 50-60 (b) 2014 年 7 月 24 日受領分 : 計 2 試料試料名総蛋白質濃度注 2 (mg/ml) NC 1.74 W 1.81 液量注 2 (µl) 287 187 注 1: 組成は次の通り 20 mm HEPES-NaOH ph 8.0, 9 M urea, phosphatase inhibitor cocktail 2, phosphatase inhibitor cocktail 3 (Sigma) 注 2: 分析委託者より提供された情報 1.2. トリプシンによる試料蛋白質の加水分解各試料からそれぞれ 150 μg 総タンパク質に相当する細胞溶解液を分取し これを出発材料とした 試料溶液に細胞溶解液を加えて液量を合わせた後 ジチオトレイトールを加え 37 で 30 分間保温し 続いてヨードアセトアミドによる還元アルキル化処理に供した 還元アルキル化処理後に 100 mm 重炭酸アンモニウムを加え 溶液の尿素濃度を 2 M まで希釈した 最後にトリプシンを加え 37 で 16 時間保温して加水分解反応を行った 反応後のペプチド溶液に C 18 StageTip による脱塩処理を施した (Rappsilber J, et al., Anal Chem. 2003, 75: 663-70) 1.3. リン酸化ペプチドの回収脱塩処理後のペプチド試料からリン酸化ペプチドを分画回収した リン酸化ペプチドの特異的吸着には TiO 2 樹脂を用いた 処理手順は GL サイエンス社の Titansphere Phos- TiO Kit に準じた すなわち マイクロチップに充填した TiO 2 樹脂にリン酸化ペプチドを吸着させたあと 強アルカリ溶液で溶出した (Sugiyama N, et al., Mol Cell Proteomics. 2007, 6: 1103-9) 溶出試料は減圧下で乾燥した 2 / 5

1.4. LC-MS/MS リン酸化ペプチド試料を 水 アセトニトリルおよびギ酸からなる溶媒 ( 体積比 98:2:0.1) に溶解し LC-MS/MS に供した LC-MS/MS システムの仕様と設定条件は次の通り LC: Ultimate3000 液体クロマトグラフ ( ダイオネクス社 ) 分析用 C 18 カラム : Acclaim PepMap100( 粒径 3 µm 孔径 100 Å 内径 75 µm 長さ 15 cm ダイオネクス社) 移動相 A の組成 : [ 水 ]:[ アセトニトリル ]:[ ギ酸 ] = 98:2:0.1( 体積比 ) 移動相 B の組成 : [ 水 ]:[ アセトニトリル ]:[ ギ酸 ] = 5:95:0.1( 体積比 ) アセトニトリル送液勾配( 分, %B, % アセトニトリル ): (0, 2, 3.86) (5, 2, 3.86) (120, 33, 32, 69) (120.01, 95, 90, 35) (130, 95, 90.35) (130.01, 2, 3.86) (145, 2, 3.86) 流速: 毎分 300 nl MS/MS: LTQ Orbitrap Velos 質量分析計 ( サーモフィッシャー社 ) イオンモード: 陽イオンモード スプレーエミッター: New Objective 社製 PicoTip Emitter( ヒューズドシリカ製 コーティング処理無し 長さ 5 cm 胴部の内径 20 µm 先端の内径 10 µm) カラムオーブンの設定温度: 35 イオントランスファーキャピラリーの設定温度: 250 FullScan の m/z 走査範囲 (Scan range): 350-1200 質量分解能 (Resolution): 30000 Lock Mass: On (Reference m/z = 536.165) Scan Event: 計 16 個設定した Scan Event 1 では FullScan MS (m/z 350-1200) の測定変数を Scan Event 2 以降は MS/MS の測定変数をそれぞれ設定した 1.5. ペプチド及びタンパク質の同定 MS/MS データを配列データベース検索に供した 検索ソフトウェアとして Matrix Science 社の Mascot Daemon ver. 2.4.0(http://www.matrixscience.com/) を用いた 検索用の配列データベースには SwissProt2014_01(http://www.uniprot.org/) を使用した 設定した検索条件は次の通り : Taxonomy, HomoSapience (Human) (20,273sequences) ; Enzyme, semitrypsin; Maximum missed cleavage, 2; Peptide tolerance, ± 5 ppm; MS/MS tolerance, ± 0.5 Da; Mass, monoisotopic mass; Fixed Modification, Carbamidomethyl (C) ; Variable Modifications, Oxidation (M), Phospho (ST), Phospho (Y) 1.6. ペプチドの同定情報と検出強度値の連結各試料から得られた LC-MS/MS のデータを Nonlinear Dynamics 社の Progenesis ver. 4.0 (http://www.nonlinear.com) で解析し 各検出ピークの強度値を算出した 1.5. で得られたペプチドの同定結果を各検出ピークと連結し 連結された検出ピークの強度を当該ペプチドの検出強度とした 3 / 5

2. 結果 2.1. LC-MS/MS 2 回目に受領した各試料から取得された LC-MS/MS の TIC クロマトグラムを図 1 に 示す NC および W の 2 つの TIC クロマトグラムは類似のイオン強度パターンを示し た この結果から 両試料間で試料調製と LC-MS/MS がともに一様に行われ 比較可 能なペプチドデータが得られたと判断した 図 1. TIC クロマトグラム (0-135 分 ) 2.2. 同定ペプチド及びタンパク質の数 NC および W の 2 種類の試料から得られた LC-MS/MS のデータから 比較解析ソフトである Progenesis を用いて MS/MS データを抽出し 1.5. の手順に従って配列データベースと照合した その結果 ペプチドの同定情報と連結された 1648 個のピークが検出された ( 添付ファイル 1) このうちの 1537 種類 すなわち 93.3% がリン酸化ペプチドであった これらのリン酸化ペプチドは 計 713 種類のリン酸化タンパク質に由来する なお 1 回目に受領した試料では NC の試料からは 26 種類 W の試料からは 21 種類のペプチドが同定された そのうち リン酸化ペプチドの数はそれぞれ 16 種類 10 種類だった 試料調製と測定の対照としておいた OVISE の試料からは通常通り 6360 種類のペプチドが検出され このうちの 5827 種類 すなわち 91.6% がリン酸化ペプチドだった この結果から試料調製の工程に改善が必要だと考え 1 回目に受領した試料の分析はこの時点で中断した 4 / 5

2.3. 検出強度の比較同定された1537 種類のリン酸化ペプチドの比較定量データを表計算ファイルにまとめた ( 添付ファイル2) ただし 3 種類のリン酸化ペプチドについては NCあるいは Wにおいて 検出強度値が得られなかったので 倍数値 (Fold change) を算出することができなかった 3. 添付データ 以下に列挙したデータファイルは 本分析報告書とともに電子メールで分析委託者に 送付する 添付ファイル1: ファイル名 [ 添付ファイル1_ ペプチドの同定情報と検出強度.xls] 添付ファイル2: ファイル名 [ 添付ファイル2_ プロテオーム比較解析結果まとめ.xls] * 倍数値を求めることができなかった 3 種類のリン酸化ペプチドの情報は 表の一番下に載せた その他 : 残余試料の取りあつかい 本分析の終了後に残った試料は お申し出のない限り 分析報告書の提出から 6 ヵ月 を経た時点で破棄いたします 以上 5 / 5