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No.060 C O N T E N T S I N T R O D U C T I O N 3

Transcription:

イノベーションの発露としての JAXA 深宇宙探査船団 計画 平成 31(2019) 年 1 月 31 日 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 理事 宇宙科学研究所長國中均 1

探査機名 SLIM 目標天体月打上 2021( 予定 ) SLIM (Smart Lander for Investigating Moon) は 将来の月惑星探査に必要なピンポイント着陸技術を研究し 従来の 降りやすいところに降りる 着陸ではなく 降りたいところに降りる 着陸へ と質的な転換を果たします 月よりもリソース制約の厳しい惑星への着陸も現実のものとなってきます また 将来 月面から物資を持ち帰るサンプルリターンを実施する場合 月面から SLIM 級の大きさのリターン機を打ち上げれば はやぶさと同程度の大きさのカプセルを地球に送り返すことができるようになります

SLIM 着陸目標地点の選定結果 Ø 月マントル物質の可能性があるカンラン石が露出している地域は かぐや により特定されている Ø 月表側にあるこのような地域の中から 斜度 地形等 着陸性の観点から選定を行い SLIM 着陸目標地点を選定した Ø SLIM がこの地点へピンポイント着陸して観測を行うことで 巨大衝突仮説の検証など月の起源と進化過程の解明に貢献できる 選定された着陸目標地点は 神酒の海 と呼ばれる低緯度地域に存在する 斜度が 15deg 程度以下で概ね一定の地点である 南緯 : 13.3degS/ 東経 : 25.2degE SLIM 着陸地点 ( 左 : 月全体における位置 右 : 拡大図 ) 出典 :NASA/LRO 出典 :JAXA/ かぐや 3

マリナー 10 号の探査によって 水星にも磁場と磁気圏活動があることが発見されました BepiColombo は この惑星の磁場 磁気圏 内部 表層を初めて多角的 総合的に観測し 惑星の磁場 磁気圏の普遍性と特異性 地球型惑星の起源と進化 について明らかにします 探査機名 BepiColombo/MMO 目標天体水星打上 2018

BepiColombo mission plan Launch: Oct. Earth swing-by x 1 2018 Arrival: Dec. 2025 Venus swing-by x 2 Mercury swing-by x 6 Mercury Orbit Insertion Interplanetary Cruising Gravitational Capture Electric Propulsion [MTM] MPO 2.3h 480km x 1500km ESA Stephane Corvaja Ariane-5: MPO+MMO Yellow: Red: ESA/ATG medialab ESA: C.Carreau 9.3h 590km x 11,639km MMO ( Extension +) Observation: 1 Earth year

はやぶさ では イオンエンジンによる新しい航行方法を確立しながら 太陽系の起源の解明に繋がる手がかりを得ることを目的に 小惑星イトカワのサンプルを持ち帰りました はやぶさ 2 では はやぶさ で培った経験を活かしながら 太陽系の起源 進化と生命の原材料物質を解明するため C 型小惑星 Ryugu ( リュウグウ ) を目指します 探査機名はやぶさはやぶさ 2 目標天体いとかわりゅうぐう打上 2003 2014

探査機名 MMX 目標天体火星打上 2024 ( 予定 ) Martian Moons exploration = MMX Martian moons: Phobos,Deimos Launch Arrival at Mars Sampling Departure Return to Earth 2024 2025 2028 2029 火星衛星探査計画 MMX は 2020 年代前半の探査機打上げを目指し 研究開発が行われている 火星衛星の擬周回軌道 (QSO: Quasi Satellite Orbit) に入り 火星衛星観測 サンプル採取を行う 観測と採取を終えた探査機は サンプルを携えて地球に帰還する

探査機名 DESTINY + 目標天体小惑星フェイトン打上 2020 年代前半 ( 予定 ) 小型深宇宙機の実現を目指しています イプシロンロケット打ち上げによる地球周回超楕円軌道から イオンエンジンによるスパイラル上昇と月スイングバイを組みあわせて 地球脱出を行って太陽系宇宙に進出します 搭載するダスト分析器で太陽系内のダストの分布や化学組成を計測します さらに動力航行を続けて小惑星フェイトンとのフライバイを行い 搭載カメラで小惑星表面の撮像を計画しています

DESTINY + DESNIY+ ミッションプロファイル (1) 1 (2) 1 (3) Phaethon (4) 2 Phaethon 1.0au (5) Phaethon (6) 2 0.75au (7) (8) TBD (1) (4)Phaethon (5)Phaethon (6) (2) (3) 10 10

探査機名 JUICE 目標天体木星ガニメデ打上 2022( 予定 ) ESA( 欧州宇宙機関 ) が主導する大型木星氷衛星探査計画であり 欧州各国をはじめ 日本や米国が参加する史上最大級の国際太陽系探査計画です ガニメデをはじめとする木星の月たちには 地下に広大な海が存在していると言われています これを調べることで 木星の成り立ちや宇宙における生命存在可能性に迫ることを目指しています 2022 年に打ち上げ 2029 年に木星系に到着 2032 年に衛星ガニメデの周回軌道への投入が予定されています 探査機の開発から 15 年以上 打ち上げから 10 年以上におよぶ まさに現代宇宙探査の グレートジャーニー です

小天体着陸技術 / サンプルリターンカプセル (SRC) 技術 はやぶさ はやぶさ 2 で培った小天体着陸技術 /SRC 技術は 現状でも世界でも突出した技術であり 戦略的 継続的に継承 発展させていけば 世界を牽引できる技術の一つとなりえる MMX, CAESAR 等の開発を進めることで 直径 40cm~1.2m の様々なサイズの SRC 開発技術を獲得し 世界の SR 計画を先導する鍵技術を確固たるものにすることができる はやぶさ & はやぶさ 2 打ち上げ :2003 年 2012 年 SRC 直径 :40cm SRC システム重量 :~20kg 突入速度 :12km/s サンプル温度 :80 以下 火星衛星探査計画 (MMX) 打ち上げ :2024 年 ( 予定 ) SRC 直径 :60cm SRC システム重量 :~50kg 突入速度 :12km/s サンプル温度 :80 以下 国際共同彗星 SR(CAESAR) 打ち上げ :2024 年 ( 予定 ) SRC 直径 :120cm SRC システム重量 :~270kg 突入速度 :12km/s サンプル温度 :0 以下 トロヤ群探査 (OKEANOS) 打ち上げ :2020 年代後半 SRC 直径 :40cm? SRC システム重量 :~20kg 突入速度 :15km/s サンプル温度 :20 以下 火星の月フォボスの複数個所からのサンプルをリターン NASA New Frontiers Program 4 のファイナリストミッション選定済 JAXA は SRC の開発を担当最終選考は 2019 年 7 月の予定 ソーラー電力セイルによるトロヤ群探査 SR もオプションで検討中 12

木星 火星 彗星 金星 月 小惑星 水星

宇宙研の深宇宙探査船団 黄 : 終了緑 : 運用中赤 : 開発中青 : 計画 JUICE 電力セイル : 木星 あかつき IKAROS: 金星 水星 : BepiColombo のぞみ MMX: 火星 はやぶさはやぶさ 2 DESTINY + : 小惑星 月 : ひてん GEOTAIL Lunar-A かぐや PROCYON SLIM EQUULEUS OMOTENASHI 彗星 : さきがけすいせい CAESAR

深宇宙探査船団

土星圏探査 エンケラドス - 間欠泉をもつ衛星 - 土星系 タイタン - 大気をもつ衛星 - フェーベ - 逆行衛星 - 逆行小惑星 17

JAXA 深宇宙探査船団が次に進出するのは 木星 / 土星圏 水星より内側 逆行小惑星月 / 火星表面 必要技術超小型探査機 (50kg ならイプシロンでも土星到達可 ) 待機電力ゼロ RTG 高性能太陽電池電力充電 低 Duty 活動 1W で 100 分充電して 100W 相当 1 分活動低温作動 熱制御エアロキャプチャ ( バリュート インフレータブル ) ペネトレータ 例 : 50kg 探査機 + イプシロン 土星 Swing-By 土星同期軌道バリュートで火星表面に到達

超小型探査機技術 ISAS 50kg PROCYON DOOR CubeSat EQUULEUS CubeSat EQUULEUS でさらなる超小型化を狙う深宇宙 CubeSat バスの構成 (20x30x10cm, 10kg) PROCYONに搭載して世界で初めて実証した革新的超小型探査機技術 ( 超小型深宇宙通信系, 世界最高効率のSSPA, 高精度 DDOR 軌道決定手法, イオンスラスタ RCSを統合した超小型推進系, 小惑星超近接フライバイ観測用追尾望遠鏡など ) 19 19

深宇宙探査機アビオニクスの革新的小型軽量高性能化 ( ) 概要 / 現状 通信装置 記録装置 姿勢制御装置 当面の探査ミッションを変革し 競争力を高めるための構成 データ処理装置 インタフェース変換装置 センサ アクチュエータ 究極としてイメージすべき形態 搭載科学衛星 :SPRINT-A ASTRO-H ERG 集約化 I/F 軽量化 センサ小型化 DESTINY+ 等 将来科学衛星に搭載 量産化によるコストダウンが実現すれば 社会への普及が見込まれる 1 SoC( ) 2 3 4 (SpaceWire) 5 6 3 待機電力不要システム 宇宙 + 地上応用性耐放射線化 ( 地上高信頼機器にも必須技術 ) 例 :SOI (Silicon on Insulator) 20

大気圏突入用開型柔軟エアロシェルの技術は 将来の惑星探査における鍵技術の一つとして 世界で注目されている この技術には これまでの大気圏突入機にはない特徴 ( 高効率な減速性能 高い収納効率等 ) を有している それを最大限に活かすことにより 超小型探査機による本格的惑星探査を実現することで 新しい惑星探査のかたち ( 立体的な同時分散型探査 ) を拓き 惑星探査の世界にパラダイムシフトを起こす可能性を持っている この技術は 東京大学を中心としたチームが JAXAが有する飛行実験の機会や大型風洞設備等を利用して 成熟させてきている 2004 : 大気球実験 @ 三陸 (B100-10 号機実験 ) 展開型柔軟エアロシェル ( バリュート ) による大気圏突入技術 2012 : 観測ロケット実験 @ 内之浦 (S-310-41 号機実験 ) 展開型柔軟エアロシェルが超小型惑星探査機実現の鍵技術 展開型エアロシェル技術 を応用した超小型着陸機 ( ナノランダー ) 技術 展開型エアロシェル による抗力変調方式エアロキャプチャによる超小型探査機の惑星周回軌道投入技術 2005~ : 大規模風洞試験 @JAXA 調布 (Φ1.27m 極超音速風洞 6.5m 5.5m 低速風洞 ) 2017: 超小型衛星 EGG (From ISS-Kibo and JSSOD) 立体的分散型探査 21

火星の飛行探査用ドローン 飛行機型ドローン 観測衛星や着陸機では実施することが難しい広範囲かつ高解像度な観測を実現することを目的とした飛行機型ドローンの研究を進めている.2016 年には大気球を利用して高高度飛行試験を実施した. 現在も国内の大学の研究者らとともに研究を進めている. ヘリコプタ型ドローン 火星表面で発見された縦孔 地下空洞の探査を目的としてヘリコプタ型ドローンの研究を進めている.2018 年 9 月に開催されたAIAA SPACE FORUM にて概念設計結果を発表した. 現在も風洞試験や数値流体シミュレーションを用いて, 精力的に研究をすすめている. [ 火星地下水圏 ( 斜面着陸 + ローバ )] 22

月軌道プラットフォームゲートウェイ (Gateway) について l 2018 年 2 月 米国予算教書において 月の周回軌道 に設置される有人拠点として ゲートウェイ (Gateway) を国際協力 民間との協力により構築していくことが発表された (ISS 参加 5 極の宇宙機関による作業チームが実施してきたコンセプトスタディを踏まえたもの ) l プログラム開始フェーズでは 4 名の宇宙飛行士が 30 日程度滞在することを想定 l NASA は 2022 年から電気推進エレメントを打ち上げ 2026 年頃までの完成を計画 4000km 75000km) NASA の発表に基づく Gateway のイメージ 電気 推進エレメント 補助モジュール 有人宇宙船 ロホ ットアーム 補給機 エアロック 居住モジュール 23

国際貢献地球規模に深宇宙局を接続して高精度に探査機位置決定 NASA,ESA) NASA JAXA DDOR 2017 1 52 1.28km (1σ) 100% 24