免 責 条 項 本 調 査 レポートで 提 供 している 情 報 は ご 利 用 される 方 のご 判 断 責 任 においてご 使 用 ください ジェ トロでは できるだけ 正 確 な 情 報 の 提 供 を 心 掛 けておりますが 本 調 査 レポートで 提 供 した 内 容 に 関 連 して ご



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(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

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その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

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回 答 Q3-1 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 質 問 : 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 土 地 の 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 答 : あなたの 土 地 は 過 去 の 評 価 替 えで 評 価 額 が

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

などは 別 の 事 業 所 とせず その 高 等 学 校 に 含 めて 調 査 した 5 調 査 事 項 単 独 事 業 所 調 査 票 全 産 業 共 通 事 項 ( 単 独 事 業 所 ) ア 名 称 及 び 電 話 番 号 イ 所 在 地 ウ 経 営 組 織 ( 協 同 組 合 においては 協

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

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目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

弁護士報酬規定(抜粋)

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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●幼児教育振興法案

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

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損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

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文化政策情報システムの運用等

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

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私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

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公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与



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注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

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ほかに パート 従 業 員 らの 厚 生 年 金 加 入 の 拡 大 を 促 す 従 業 員 五 百 人 以 下 の 企 業 を 対 象 に 労 使 が 合 意 すれば 今 年 十 月 から 短 時 間 で 働 く 人 も 加 入 できる 対 象 は 約 五 十 万 人 五 百 人 超 の 企 業

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定款  変更

Speed突破!Premium問題集 基本書サンプル

47 高 校 講 座 モ オ モ 圏 比 較 危 述 覚 普 第 章 : 活

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

市 町 村 税 の 概 況 市 町 村 税 の 概 況 は 平 成 25 年 度 地 方 財 政 状 況 調 査 平 成 26 年 度 市 町 村 税 の 課 税 状 況 等 の 調 及 び 平 成 26 年 度 固 定 資 産 の 価 格 等 の 概 要 調 書 等 報 告 書 等 の 資 料 に

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別紙3

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1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

事 業 概 要 利 用 時 間 休 館 日 使 用 方 法 使 用 料 施 設 を 取 り 巻 く 状 況 や 課 題 < 松 山 駅 前 駐 輪 場 > JR 松 山 駅 を 利 用 する 人 の 自 転 車 原 付 を 収 容 する 施 設 として 設 置 され 有 料 駐 輪 場 の 利 用

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1 はじめに 計 画 の 目 的 国 は 平 成 18 年 度 に 住 生 活 基 本 法 を 制 定 し 住 まいに 関 する 基 本 的 な 計 画 となる 住 生 活 基 本 計 画 ( 全 国 計 画 )を 策 定 し 住 宅 セーフティネットの 確 保 や 住 生 活 の 質 の 向 上

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目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

別 表 1 土 地 建 物 提 案 型 の 供 給 計 画 に 関 する 評 価 項 目 と 評 価 点 数 表 項 目 区 分 評 価 内 容 と 点 数 一 般 評 価 項 目 立 地 条 件 (1) 交 通 利 便 性 ( 徒 歩 =80m/1 分 ) 25 (2) 生 活 利 便

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する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

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アメリカ 進 出 を 目 指 す 日 本 企 業 のための アメリカ マーケットリサーチ レポート 2016-2017 ------アメリカ 市 場 開 拓 戦 略 の 基 本 ------ 日 本 貿 易 振 興 機 構 (ジェトロ) 2016 年 3 月

免 責 条 項 本 調 査 レポートで 提 供 している 情 報 は ご 利 用 される 方 のご 判 断 責 任 においてご 使 用 ください ジェ トロでは できるだけ 正 確 な 情 報 の 提 供 を 心 掛 けておりますが 本 調 査 レポートで 提 供 した 内 容 に 関 連 して ご 利 用 される 方 が 不 利 益 等 を 被 る 事 態 が 生 じたとしても ジェトロ 及 び 執 筆 者 は 一 切 の 責 任 を 負 いかねますので ご 了 承 ください

目 次 まえがき... 1 第 1 章 海 外 マーケット 進 出... 3 1. 海 外 マーケット 開 拓 のメリット... 3 2. 海 外 マーケット 開 拓 のストーリー... 4 3. 海 外 市 場 開 拓 戦 略... 9 第 2 章 マーケットリサーチ... 11 1. マーケットリサーチの 重 要 性... 11 2. マーケットリサーチの 方 法... 13 3. マーケットリサーチの 具 体 的 方 法... 14 第 3 章 アメリカのライフスタイル... 20 1. 歴 史 の 概 略... 20 2. アメリカの 文 化... 26 3. アメリカのライフスタイル... 29 4. アメリカの 感 覚... 36 第 4 章 アメリカの... 39 1. マーケットの 販 売 対 象... 39 2. ショッピング モール... 46 第 5 章 アメリカの 商 品... 53 1. アメリカのデザイン... 53 2. アメリカ 商 品 の 価 格... 57 3. アメリカ 商 品 から 学 ぶ... 58 第 6 章 アメリカのビジネス... 59 1. アメリカのビジネス 日 本 のビジネス... 59 2. 受 注... 64 3. 流 通 納 品... 69 4. 代 金 の 回 収... 74 5. カスタマー サービス... 80 6. 営 業 フォロー... 81 第 7 章 商 品 戦 略 の 基 本... 82 1. マーケットに 合 った 商 品... 82 2. 商 品 の 見 せ 方... 89

3. 価 格... 92 第 8 章 販 売 戦 略 の 課 題... 97 1. 販 売 戦 略 の 前 提... 97 2. 販 売 計 画... 98 3. 展 示 会 (Trade Show)... 101 4. 日 常 営 業... 114 5. 専 門 店 への 販 売 戦 略... 116 6. オンラインストアへの 販 売 戦 略... 117 7. への 販 売 戦 略... 117 8. 売 上 を 伸 ばす... 123 9. 世 界 の 市 場 へ... 126 第 9 章 組 織 戦 略 の 基 本... 127 1. アメリカにおける 販 売 組 織... 127 2. トラブルの 回 避... 138 資 料 1. 初 回 出 展 者 のための 出 展 ガイド 資 料 2. 継 続 出 展 者 のための 出 展 ガイド 資 料 3. アメリカ 商 品 リスト 資 料 4. TOP 100 大 手 小 売 企 業 リスト 資 料 5. メジャー 小 売 企 業 調 査

まえがき アメリカから 世 界 のマーケットへ これまでエージェントとして 2000 社 を 超 えるアメリカ 小 売 企 業 に 日 本 製 品 を 販 売 してきました が 16 年 前 はまさしく ゼロからの 出 発 でした 初 年 度 は 展 示 会 システム 受 注 方 法 流 通 方 法 回 収 方 法 が 分 らずに 目 の 回 るような 毎 日 でした アメリカって 何 と 難 しいマーケットだろ う! と 思 いました 何 から 何 まで 日 本 と 違 う からです ビジネスで 使 う 業 界 用 語 さえ 違 うので 英 語 で 話 す 以 上 の 難 しさがありました 無 駄 な 経 費 もずいぶん 使 い 授 業 料 も 払 わされ 膨 大 な 時 間 もかかってしまいました 時 間 と 経 費 の 浪 費 遠 回 り 試 行 錯 誤 の 連 続 でした しかし 10 年 以 上 過 ぎたころから アメリカマーケットとは 何 て 分 りやすく やりやすいマーケットだろう と 思 うようになりました 今 では 逆 に 日 本 マーケットくらい 難 しいところはない とさえ 思 っています マーケットをしっかり 掴 み 理 解 さえすれば オープンなマーケットですので ビジネスは 日 本 より もやりやすいと 断 言 できます マーケットにとって 魅 力 的 な 商 品 があれば 売 るのは 難 しくありま せん ビジネスの 歴 史 が 浅 い 国 ですから 古 い 習 慣 悪 弊 といわれるものが 無 く 明 確 で 分 りや すいビジネス 環 境 になっています そして マーケットシステムを 理 解 さえすれば ほとんど 問 題 は 起 きません この 10 年 間 は 集 金 できないということもありませんでした つまり ビジネスの 方 法 と 習 慣 さえ 分 れば 日 本 企 業 はアメリカで 充 分 にビジネスができるのです 確 かに 一 時 は 苦 戦 したこともあり 今 振 り 返 ってみると 無 駄 な 遠 回 りをずいぶんしてしまったと 思 います 原 因 は マーケットリサーチ 不 足 でした 商 品 を 販 売 する 時 日 本 の 経 験 から 得 た マーケット 感 覚 で 企 画 方 針 販 売 方 針 を 作 っていたのです このおかげで かなりの 時 間 と 費 用 を 無 駄 にしました スタートの 段 階 で しっかりとリサーチを 行 ってマーケット 情 報 を 把 握 してお けば 右 往 左 往 しないで 済 んだのです このレポートで 私 が 強 調 したいことは 3 点 だけです 1 マーケットリサーチを 深 く 行 う 2 アメリカマーケット 開 拓 戦 略 を 作 る 3 グローバルなビジネスの 質 を 身 に 付 ける これだけです 本 レポートの 中 でこの 3 点 を 軸 にアメリカマーケットにおける ビジネスの 基 本 つ 1

いて 分 りやすく 説 明 いたします この 基 本 を 軸 にして 皆 様 がさらに 自 社 製 品 についてのマー ケットリサーチを 行 えば 日 本 マーケットと 同 じようにアメリカでビジネスができます アメリカでグ ローバルなビジネス 体 制 を 整 えることが 出 来 たら 世 界 のマーケットに 販 売 できます 世 界 全 体 に 日 本 製 品 を 販 売 するのは 時 間 がかかることですが どの 日 本 企 業 にとっても 不 可 能 ということ はありません このレポートの 情 報 によっておそらく 3 年 は 時 間 を 短 縮 できると 確 信 します アメリ カを 入 り 口 として 世 界 のマーケットに 皆 様 の 製 品 を 広 げていってください 輸 出 によって 会 社 は 大 きく 成 長 していきます このレポートが 少 しでも 皆 様 のお 役 に 立 てれば 幸 いです (いくつかの 箇 所 で 繰 り 返 し 同 じ 説 明 をしているところがありますが それは 検 索 時 間 を 短 縮 す るためです 本 調 査 はジェトロ ニューヨーク 事 務 所 のイニシアティブのもと Mira Design Corporation に 委 託 し ました 日 本 貿 易 振 興 機 構 2016 年 3 月 2

第 1 章 海 外 マーケット 進 出 1. 海 外 マーケット 開 拓 のメリット 海 外 マーケット 開 拓 のメリットは つぎの 4 つである 販 路 を 拡 大 するということだけでなく 企 業 と しての 根 本 に 関 わる 発 展 性 がある 1-1 販 売 テリトリーの 拡 大 アメリカは 世 界 最 大 のマーケットである 消 費 力 が 強 く 多 くの 製 品 が 海 外 からの 輸 入 に 依 存 して いる 日 本 製 品 が 参 入 する 余 地 可 能 性 は 充 分 ある リーマンショック 以 降 のアメリカマーケット は 価 格 第 一 という 市 場 トレンドから 価 値 のある 製 品 を 求 めるトレンドに 変 わってきた さらに 貨 幣 の 動 きが 円 高 から 円 安 になってきており これは 日 本 企 業 にとって 順 風 の 風 が 吹 いてきた ことになる 実 際 すでに 10 年 間 継 続 して 出 展 してきた NYNOW 展 およびシカゴのホーム 展 (IHHS)の 日 本 パビリオンで 大 手 小 売 企 業 オンラインストア 専 門 店 との 商 談 数 注 文 が 増 加 し てきている その 結 果 アメリカのマーケットに 日 本 製 品 が 次 第 に 増 えてきている 1-2 企 業 進 化 海 外 市 場 という 新 しい 環 境 に 身 を 置 くことにより 会 社 として 多 くの 刺 激 を 受 け 自 社 製 品 を 客 観 的 に 捉 え 直 し そして 自 社 の 企 画 営 業 をグローバルに 位 置 づける 必 要 がでてくる その 結 果 多 くの 企 画 的 営 業 的 な 努 力 改 良 を 行 うことにより グローバル 戦 略 の 確 立 とともに 企 業 は 否 が 応 でも 進 化 していく 1-3 社 内 の 活 性 化 自 社 のテリトリーが 世 界 になることによって 受 ける 様 々な 刺 激 からスタッフの 向 上 心 が 上 昇 す る 商 品 ブランド 自 体 の 見 直 しのため 自 分 の 仕 事 の 改 善 が 必 要 になり 視 野 も 広 がっていき 社 内 が 活 性 化 していく 1-4 日 本 マーケットの 前 進 3

アメリカ 市 場 開 拓 を 進 める 中 で 日 本 のビジネス 自 体 が 広 がったという 事 例 をよく 見 かける アメ リカの 力 のある 展 示 会 には 多 くの 日 本 のバイヤーが 買 い 付 けに 来 る そこでアメリカのマーケット に 合 わせた 商 品 を 日 本 のバイヤーは 新 鮮 に 感 じるようだ アメリカ 市 場 展 開 を 行 う 企 業 がアメリ カで 販 路 を 拡 げることで 日 本 国 内 からの 注 目 を 浴 びる さらに アメリカマーケットに 向 けた グ ローバルな 製 品 が 日 本 でも 受 け 入 れられ 売 れていく その 結 果 日 本 市 場 の 営 業 活 動 を 押 し 上 げていく つまり 海 外 進 出 = 輸 出 ビジネスによって 企 業 自 身 と 製 品 価 値 を 大 きく 変 える ということであ る これは 企 業 の 規 模 に 関 わらず 大 きなメリットである ますます 多 くの 日 本 企 業 が 海 外 マーケットへ 販 路 を 拡 大 していく 日 本 企 業 がアメリカおよび 世 界 の 市 場 でビジネスを 展 開 することは 可 能 だろうか? 答 えは YES である 日 本 の 市 場 だけで 将 来 のビジネスに 向 けて 順 調 に 売 上 を 伸 ばしていくことは 限 界 があり 海 外 のマーケットに 販 路 を 拡 大 していくという 流 れは TPP の 実 施 が 近 づいてくるにつれ 今 では 常 識 になってきた 海 外 の 展 示 会 に 試 しに 出 てみよう とする 企 業 は 少 なくない しかしながら それは 良 い 方 法 で はない その 方 法 では 時 間 と 経 費 が 有 効 に 使 えない 回 り 道 をすることになる 全 ての 企 業 は 色 々な 事 情 があり 海 外 に 売 っていく 商 品 も 海 外 に 投 資 できる 費 用 もそれぞれ 違 う 会 社 の 体 力 によって 進 むべき 方 法 は 違 ってくる まず 大 まかな 海 外 マーケット 開 拓 の あらすじ につい て 説 明 する 2. 海 外 マーケット 開 拓 のストーリー 2-1 どのような 製 品 が 海 外 マーケットに 合 うか? 価 格 アメリカには 富 裕 層 が 多 いので 高 価 格 帯 製 品 が 売 れるだろう と 考 える 企 業 は 少 なくない 確 かに 富 裕 層 は 他 国 と 比 べると 少 なくは 無 いが その 販 売 ルートが 容 易 に 見 つかるとは 言 えない ハイエンドデパートが 扱 う 高 価 格 帯 製 品 は ヨーロッパのデザイナーズブランドのファッション 製 品 が あたま である それ 以 上 の 製 品 は 扱 っていない いかに 優 れた 製 品 であっても 高 価 格 帯 製 品 は ブランド 知 名 度 をつけていかなくてはならない その 為 には ブランディングに 対 する 投 資 と 時 間 が 必 要 になる 4

一 方 中 間 低 価 格 帯 の 販 売 はエリアが 広 いのでやりやすいと 言 える ただ 価 格 が 手 頃 である そして 日 本 製 であるというだけで 容 易 に 売 れるということにはならない 価 格 的 にビジネスの 範 囲 に 入 るといっても 準 備 することはいくつかある 何 を 準 備 するのかについては このレポート でしっかり 述 べていきたい 流 通 製 品 の 中 には 流 通 しやすいものと しにくいものがある 流 通 しにくいものは 壊 れやすい 容 積 が 大 きく 流 通 コストが 大 きい 重 量 があるので 流 通 コストが 高 い というものである たしかに これらのものは 輸 出 に 対 して 他 の 製 品 と 同 じようには 出 来 ない アメリカに 輸 出 する 為 には 太 平 洋 を 渡 っていかねばならないので コンテナを 使 うことになる つまり 輸 送 ということを 軸 にし た 全 体 の 流 れを 作 る 必 要 がある 家 具 家 具 は 金 額 が 高 く 輸 送 も 難 しく サイズが 日 米 違 うということで 海 外 マーケットには 難 しい 製 品 の 一 つである しかし その 条 件 は 全 てのメーカーにとって 同 じなのである 日 本 にも ヨーロッ パから 優 れた 家 具 が 大 量 に 入 っていることを 見 ても ビジネスが 不 可 能 ということでは 無 く しっ かりした 独 自 の 商 品 戦 略 が 必 要 なのである まず 商 品 をアメリカマーケットに 合 わせることから 始 まる サイズをあわせるのは マーケティングを 行 い 適 正 サイズを 調 査 するということですぐ に 見 えてくるが ポイントはテイスト デザインである これは アメリカのマーケットをしっかりリサ ーチして ライフスタイルとトレンドにあったデザインを 生 み 出 す アメリカの 若 いデザイナーとコラ ボするという 道 もある 単 に アメリカの 製 品 を 作 っても 意 味 は 無 いので 企 業 独 特 のテイスト 技 術 をアメリカンテイストと 組 み 合 わせて 魅 力 的 な 製 品 を 生 み 出 す それが 出 来 れば その 新 し いテイストの 家 具 は 日 本 でも 充 分 売 れていくだろう 家 具 は 輸 出 に 難 しい という 既 成 概 念 にとら われず 研 究 していけば 可 能 な 道 は 生 まれてくるだろう 流 通 については 家 具 企 業 共 通 の 課 題 ではあるが 一 部 を 組 み 立 て 式 にする 一 部 を 現 地 生 産 にするなど 色 々な 検 討 を 重 ねていく 製 品 の 魅 力 が 固 まり 注 文 が 入 り 商 品 が 流 れていけば 様 々な 場 面 で 工 夫 を 積 み 重 ねることができる 流 通 しやすい 製 品 一 方 価 格 が 中 価 格 帯 低 価 格 帯 である 洋 服 ホーム 製 品 テキスタイル 製 品 など 壊 れない 壊 れにくい 製 品 は 流 通 問 題 という 壁 が 無 いので ビジネスは 格 段 にやりやすい 後 に 説 明 す るが ビジネスの 土 台 をきちんと 作 ることだけが 主 な 課 題 になるので 大 部 分 の 企 業 は 輸 出 可 5

能 なのである 2-2 会 社 の 規 模 は 関 係 あるだろうか? 小 規 模 の 企 業 企 業 規 模 が 小 さい 場 合 は 自 社 にあった 輸 出 戦 略 を 持 つ 必 要 がある 戦 略 は 三 つある 商 品 戦 略 販 売 戦 略 組 織 戦 略 である ( 商 品 戦 略 ) 販 売 力 ブランド 力 に 費 用 をあまりかけられないので 商 品 力 で 売 っていく 売 れていく 中 で ブラ ンディングを 形 成 していく 商 品 は デザイン 機 能 品 質 という 要 素 で 成 り 立 っているが 小 規 模 企 業 は デザインの 良 さか 機 能 を 武 器 としてマーケットの 需 要 を 引 き 出 す デザインと 機 能 の 二 つがあれば 強 力 であるが 一 つだけでは 弱 いので 海 外 市 場 用 に 足 りないところを 増 やす 工 夫 を したほうが 良 いだろう つまり 付 加 価 値 をさらに 高 めることによって バイヤーをひきつけるとい うことである ( 組 織 戦 略 ) 海 外 に 現 地 法 人 を 設 立 するには 多 額 の 投 資 資 金 と 人 材 が 必 要 なので 小 規 模 企 業 には 無 理 がある 小 規 模 企 業 は 上 記 の 製 品 をきちんと 準 備 した 上 で 海 外 に 自 社 のエージェント( 代 理 店 )を 作 ると 良 いだろう ディストリビューター( 問 屋 )に 売 るという 道 もあるが 実 際 小 売 価 格 の 25% 程 度 で 卸 さねばならないので 現 実 的 に 難 しいだろう 販 売 代 金 回 収 流 通 手 配 営 業 フ ォローをすべてやってくれるエージェントとの 提 携 がよいだろう ( 販 売 戦 略 ) 効 率 的 に 販 売 していくには JETRO の 日 本 パ ビリオンに 参 加 するのが 経 済 的 であり 効 果 的 である 展 示 会 費 用 の 援 助 ブースの 準 備 だ けではなく ビジネスの 情 報 も 豊 富 なので 小 規 模 企 業 にとっては 不 安 定 要 素 がほとんど 消 える ただ 年 に 二 回 の 出 展 (2015 年 3 月 現 在 )では 年 間 の 売 上 を 作 ることは 不 可 能 なの で エージェントとの 契 約 は 日 常 的 な 販 売 を 促 進 するためにも 必 要 である 6

中 堅 企 業 ある 程 度 海 外 マーケット 拡 大 に 投 資 は 出 来 るが 限 度 はある 人 を 派 遣 して 現 地 法 人 を 作 るには 人 材 的 余 裕 がない このような 中 堅 の 日 本 企 業 の 海 外 市 場 開 拓 のあらすじは 次 のようになるだ ろう ( 商 品 戦 略 ) グローバルに 通 用 するブランディングに 力 を 入 れる 無 論 商 品 力 でも 売 っていく 売 れていく 中 で ブランディングをさらに 充 実 していく 商 品 は デザイン 機 能 品 質 という 要 素 で 成 り 立 ってい るが 中 堅 企 業 は デザインの 良 さ 機 能 を 武 器 としてマーケットの 需 要 を 引 き 出 す デザインと 機 能 の 二 つがあれば 強 力 であるが 一 つだけでは 弱 いので 海 外 市 場 用 に 足 りないところを 増 やす 工 夫 をする つまり 付 加 価 値 をさらに 高 めることによって バイヤーをひきつけるということ である アメリカ 市 場 は 色 が 商 品 構 成 の 軸 になることから 色 だけはマーケットにしっかり 合 わせ る ブランディングを 強 化 していき パッケージ ラベルなどはアメリカの 消 費 者 に 喜 ばれる 内 容 に 持 っていく マーケットリサーチをしっかり 行 い そのマーケットに 適 した 価 格 を 出 す ( 組 織 戦 略 ) 海 外 に 現 地 法 人 を 設 立 するには 投 資 資 金 と 人 材 が 必 要 なので 当 初 (4-5 年 )は 自 社 のエージ ェント( 代 理 店 )を 作 ると 良 いだろう ディストリビューター( 問 屋 )に 売 るという 道 もあるが 実 際 小 売 価 格 の 25% 程 度 で 卸 さねばならないので 現 実 的 に 難 しいだろう 販 売 代 金 回 収 流 通 手 配 営 業 フォローをすべてやってくれるエージェントとの 提 携 がよいだろう マーケットに 定 着 してきた ら 現 地 法 人 設 立 を 行 うと 良 いだろう ( 販 売 戦 略 ) 効 率 的 に 販 売 していくには JETRO の 日 本 パビリオンに 参 加 するのが 経 済 的 であり 効 果 的 で ある 展 示 会 費 用 の 援 助 ブースの 準 備 だけではなく ビジネスの 情 報 も 豊 富 なので 小 規 模 企 業 にとっては 不 安 定 要 素 がほとんど 無 い ただ JETRO が 主 催 する 年 に 二 回 の 出 展 では 年 間 の 売 上 を 作 ることは 無 理 なので エージェントとの 契 約 は 日 常 的 な 販 売 を 促 進 する 顧 客 が 増 え て 取 り 扱 う 製 品 数 も 増 えていけば JETRO の 日 本 パビリオンの 一 コマでは 狭 すぎるので 単 独 で 大 きなブースにしていく 大 きなブース+ブランディングが 安 定 していけば 大 手 との 取 引 が 可 能 になっていく その 結 果 売 上 は 次 第 に 増 加 していく アメリカにしっかりした 販 売 網 が 出 来 て 海 外 ビジネスに 慣 れれば アメリカ 以 外 のマーケットに 広 げていくことは 充 分 可 能 である 7

大 企 業 大 企 業 といっても アメリカマーケットでビジネスを 行 っていく 為 には 目 的 意 識 のあるステップを 踏 んでいく 必 要 がある 大 企 業 としての 知 名 度 に 安 心 して 苦 戦 する 大 企 業 は 少 なくない 現 地 法 人 を 作 るというところから 始 める 企 業 が 多 いが はじめに 力 を 入 れるところは マーケティング リサーチ である このリサーチによって 海 外 市 場 戦 略 を 形 成 する ポイントは アメリカの 消 費 者 の 支 持 を 得 られる 会 社 ポリシーがあるか アメリカ 消 費 者 の 生 活 を 快 適 に 出 来 る 商 品 であるか という 点 である 自 社 の 視 線 からリサーチするのではなく アメリカの 社 会 消 費 者 の 視 線 が 重 要 なのである 現 地 法 人 設 立 オフィス 開 設 店 舗 オープンなどのハードな 部 分 はもっと 後 の 話 であ る ( 商 品 戦 略 ) グローバルに 通 用 するブランドに 変 えていく 必 要 がある ブランディングをさらに 充 実 していく マー ケットリサーチをしっかり 行 い 商 品 のもつデザイ ン 機 能 品 質 をマーケットに 合 わせて 変 えていく 必 要 がある 無 論 マーケットリサーチの 結 果 マ ーケットに 適 した 価 格 を 出 す 最 も 気 をつけなけ ればならないのは アメリカマーケット アメリカ 消 費 者 との 距 離 を 出 来 るだけ 短 くしていくことだ うちの 商 品 はアメリカには 負 けない 良 いものだ という 過 信 は 日 本 企 業 すべてが 持 ちやすい 確 かに 品 質 は 良 いものの 感 覚 の 部 分 の 違 い に 気 がつかない 企 業 が 多 いのである 製 品 は アメリカのライフスタイルのディティールの 中 で 決 まってくるということである それをマーケットリサーチで 引 き 出 すのである 日 本 の 大 企 業 は 本 社 から 企 画 部 のスタッフが 来 ることが 少 なく たとえ 来 たとしても アメリカの 感 覚 を 吸 収 するまで に 相 当 な 時 間 がかかってしまう ( 組 織 戦 略 ) 海 外 に 現 地 法 人 を 設 立 するのが 組 織 戦 略 上 最 も 良 い 方 法 である ただし 現 地 法 人 に 全 てを 任 せるということはせず 海 外 事 業 部 との 緊 密 な 連 携 が 必 要 になる また 海 外 ビジネスに 精 通 して いるアドバイザーも 現 地 には 必 要 だろう ( 販 売 戦 略 ) 販 路 を 形 成 していく 前 に ブランディングの 確 立 を 優 先 するべきである 売 上 高 という 数 字 を 先 行 8

させると ブランディングはそれだけ 遅 くなっていく ブランディングによっては パッケージやロゴ が 大 きく 変 わることがあるので 最 初 に 準 備 した 製 品 は 全 て 無 駄 になる 可 能 性 がある ブランディ ングを 先 に 行 い そのブランドを 前 面 に 立 てて 売 上 を 作 っていく その 為 には 多 くの 力 が 必 要 で 現 地 スタッフ 現 地 デザイナー 本 社 海 外 事 業 部 との 連 携 がブランディング 確 立 を 推 進 してい く ブランディングが 完 成 すれば 年 に 2-4 回 の 展 示 会 出 展 で 顧 客 を 増 やしていき 年 間 の 売 上 を 作 る 顧 客 が 増 えて 取 り 扱 う 製 品 数 も 増 えていけば 展 示 会 で 大 きなブースにしていくことも 可 能 だろう 大 きなブース+ブランディングがさらに 安 定 していけば 知 名 度 が 上 がっていき 大 手 との 取 引 が 可 能 になっていく その 結 果 売 上 は 飛 躍 的 に 増 加 していく アメリカにしっか り 販 売 網 が 出 来 て 海 外 ビジネスに 慣 れれば 世 界 のマーケットに 広 げていくことは 充 分 可 能 で ある その 意 味 でも 世 界 マーケットの 中 で アメリカを 最 初 の 舞 台 として グローバルビジネスの 土 台 を 形 成 することは 英 語 圏 ということもあり 適 正 な 選 択 であろう 3. 海 外 市 場 開 拓 戦 略 海 外 市 場 開 拓 を 成 功 できるかどうかは 上 記 に 述 べたように 的 確 な 海 外 市 場 開 拓 戦 略 を 作 れ るかどうかにかかっている 3-1 マーケットリサーチ 海 外 市 場 開 拓 戦 略 は どのように 作 れば 良 いかということである 国 にはそれぞれ 法 律 があり 文 化 があり 商 習 慣 があり トレンドがあり そして 何 よりも 感 覚 的 なこと が 日 本 のそれとは 異 な る 消 費 者 のライフスタイルも 大 きく 異 なる この 違 い のあるマーケットで 日 本 の 製 品 が 販 売 できるかどうかなのだ それを 深 く 研 究 するのが 海 外 市 場 でまず 最 初 にやらなければならない テーマ マーケットリサーチ である 3-2 商 品 戦 略 マーケットリサーチによって 色 々な 違 いが 見 えてくる 最 終 的 には その 違 いを 克 服 することが 大 きな 売 上 につながることだということが 分 かる まず 違 いを 克 服 するのは 商 品 である 日 本 の 製 品 とアメリカや 世 界 の 製 品 とではどこかが 必 ず 違 うのである それは デザインのこともあ るし 色 サイズ 素 材 機 能 価 格 など 違 うところは 製 品 によって カテゴリーによって 大 きく 異 な る 日 本 製 品 が 何 も 改 良 しないでそのまま 売 れるということはまずありえない 現 在 の 日 本 製 品 をどのように グローバルマーケットに 合 わせていくかという 戦 略 である 9

3-3 販 売 戦 略 マーケットに 合 った 製 品 が 準 備 できたら 次 は どのように 販 売 するか? という 課 題 である 年 に 一 回 か 二 回 展 示 会 に 出 展 して 年 間 の 注 文 をとろうとしてもそれは 不 可 能 である 日 常 的 に 新 規 顧 客 を 開 拓 し 固 定 客 の 取 引 額 を 増 やし 営 業 フォロー 販 売 促 進 を 行 うこと 無 しに 継 続 的 な 売 上 は 見 込 めない 3-4 組 織 戦 略 ビジネスの 前 進 は ビジネスの 土 台 構 築 と 比 例 する 販 売 体 制 回 収 体 制 流 通 体 制 がきちんと 出 来 ていなければ ビジネスの 土 台 が 出 来 ないし 何 よりも 大 手 小 売 企 業 との 取 引 は 実 現 しな い 3-5 海 外 市 場 開 拓 戦 略 確 立 アメリカマーケットで 成 功 する 為 には 目 的 意 識 を 持 った 海 外 市 場 開 拓 戦 略 の 確 立 が 必 要 である これが 充 実 していれば 試 行 錯 誤 をすることは 無 い 多 くの 日 本 企 業 が うちの 製 品 はアメリカ に 負 けない という 意 識 が 強 く プロダクトだけを 武 器 にして 販 売 をスタートしてしまう これでは いくら 製 品 が 優 れていても 場 当 たり 的 になってしまい 時 間 と 経 費 を 浪 費 していくだけだ 海 外 市 場 戦 略 をベースにした ビジネスの 土 台 をしっかり 作 ることが 何 よりも 重 要 である 10

第 2 章 マーケットリサーチ 1. マーケットリサーチの 重 要 性 1-1 アメリカ 市 場 開 拓 の 第 一 歩 日 本 企 業 がアメリカ 市 場 進 出 を 目 指 す 時 徹 底 したマーケットリサーチ からスタートすべきであ る この 作 業 が 海 外 進 出 の 流 れを 決 定 づける このマーケットリサーチを 軽 視 する 日 本 企 業 が 少 なくなく 多 くは 後 で 手 痛 い 代 償 を 払 う 傾 向 にある 典 型 的 なのは まずは 展 示 会 に 出 展 し て アメリカ 市 場 の 様 子 を 見 てみよう という 姿 勢 で 展 示 会 に 出 展 をする 結 果 マーケットリサー チを 行 わなかったので デザイン 色 パッケージ 価 格 がアメリカの 需 要 に 合 わず 注 文 は 一 部 の 日 本 ファン からの 小 さな 注 文 で 終 わってしまう これでは いくら マーケットリサーチのため の 出 展 という 位 置 づけであったとしても 市 場 の 反 応 があまりにも 小 さいと 次 に 改 良 を 加 えて 再 挑 戦 しようという 情 熱 すら 沸 き 起 こらず 中 途 半 端 に 終 わってしまう 逆 に マーケットリサーチをしっかり 行 い 展 示 会 に 向 けた 商 品 の 準 備 販 売 体 制 の 準 備 を 整 えて 出 展 した 会 社 は 準 備 が 完 璧 ではなくとも 確 実 な 結 果 を 出 し 前 進 していく なぜならば アメリ カのバイヤーは ビジネスの 体 制 が 全 く 整 っていないサプライヤーといくら 商 談 してもビジネスが 具 体 化 せず リスクが 高 いことを 承 知 しているからである つまり 継 続 的 なビジネスができそうも ない 相 手 との 無 駄 な 商 談 はしたくはないし 注 文 をしても 製 品 がきちんとあがるとは 限 らないとい うことを 知 っているのだ アメリカ 市 場 開 拓 のはじめの 一 歩 は 徹 底 したマーケットリサーチ を 行 い ビジネスの 土 台 を 少 しずつ 整 えることである このリサーチにある 程 度 の 費 用 と 時 間 をか けることによって 後 々の 遠 回 り 無 駄 な 出 費 時 間 の 浪 費 を 防 ぐことができるのである 1-2 アメリカ 人 バイヤーの 視 点 海 外 市 場 における 日 本 企 業 の 失 敗 の 原 因 のひとつに 日 本 企 業 がマーケットについて 誤 った 認 識 をしていることがあげられる それは MADE IN JAPAN は 世 界 最 高 レベル という 観 点 から うちの 商 品 はアメリカの 商 品 よりも 絶 対 に 良 い という 過 信 である 仮 にそれが 正 しいとしても それは 日 本 の 消 費 者 から 見 た 視 点 であり アメリカのバイヤー 消 費 者 はそう 思 っているとは 限 ら ない 商 品 とは 品 質 や 機 能 だけで 成 り 立 っているわけではなく デザイン サイズ 11

価 格 そして 他 の 製 品 とのバランスの 中 で 買 いたい 製 品 として 消 費 者 に 評 価 されるものだ その 一 つ 一 つの ものさし も 日 本 人 とアメリカ 人 とでは 違 う 歴 史 や 文 化 習 慣 住 まい 環 境 が 違 うからである 感 覚 の 違 い とも 言 える たとえば すばらしい 品 質 であっても アメリカのテーブルの 上 に 合 わない 食 器 は 売 れない 食 文 化 を 知 らずして 調 理 ツールを 売 ろうとしても 売 れない バスライフのスタイルを 知 らずにバスルー ム 製 品 を 売 ろうとしても 売 れない トレンドが 違 うのに 日 本 の 洋 服 を 売 ろうとしても 売 れない 製 品 とマーケットの 間 に ずれ がある 限 りバイヤーも 消 費 者 もピンと 来 ないのである 時 折 専 門 店 が ある 程 度 仕 入 れたとしても 大 量 には 売 れない 大 量 に 売 れなければ アメリカ 市 場 開 拓 戦 略 は 中 途 で 挫 折 することになる 逆 に 今 まではアメリカにない 調 理 器 具 でも これを 使 えば アメリカ の 消 費 者 の 手 間 が 一 気 に 解 決 する という 製 品 や 日 本 の 食 器 であっても アメリカ 人 の 家 庭 で 便 利 で 使 いやすいものであれば 売 れるのである つまり 製 品 のマーケットにおける 市 場 性 アメリ カの ものさし に 合 ったデザイン 色 パッケージ 品 質 価 格 を 持 った 商 品 が 求 められる その 需 要 をしっかり 見 極 めなくてはならない それが マーケットリサーチ である 1-3 自 社 製 品 のマーケットリサーチ 本 レポートでは アメリカ 市 場 の 基 本 的 なマーケットリサーチを 行 う しかし それだけでは 不 十 分 である 次 に このレポートをベースとして 自 社 製 品 に 関 するリサーチを 深 く 広 く 進 める 必 要 が ある それによって どの 商 品 をアメリカに 持 っていけばいいのか 製 品 をどのように 改 良 すれば いいのかが 見 えてくる そして 市 場 にあった 適 正 な 価 格 も 見 えてくる そういうステップを 踏 んで いけば 当 社 はこれをアメリカに 売 る! という 力 強 い 製 品 に 絞 られていく アメリカ 販 売 の 商 品 が 決 まってくれば その 販 売 対 象 は 誰 で どのように 売 っていくのかという 戦 略 まで 進 んでいく 1-4 アメリカ 向 けた 商 品 企 画 アメリカで 販 売 を 開 始 してからも アメリカ 向 け 商 品 の 継 続 的 な 企 画 は 必 要 である 幸 いにして 日 本 で 販 売 している 製 品 がそのままアメリカのライフスタイルに 入 っていく 製 品 もあるだろう しか し 販 売 促 進 方 法 パッケージなど 工 夫 すべき 点 は 多 い 現 代 の 消 費 者 の 多 くは スマートフォン を 持 って 買 物 に 行 く 良 さそうな 製 品 があっても すぐに 手 を 出 さずに そのブランドの 中 身 や 背 景 をスマートフォンで 調 べる その 過 程 で 自 分 が 気 に 入 った 企 業 ブランドを 理 解 してから 購 入 する 消 費 者 を 満 足 させる 商 品 企 画 SNS を 使 った 情 報 発 信 は 常 に 必 要 である マーケットリサ ーチによって アメリカ 社 会 で 行 われている SNS の 実 体 とその 内 容 を 調 査 することが 不 可 欠 であ る 12

さらに アメリカの に 並 んだだけでは 不 十 分 なのである アメリカ 企 業 の 製 品 と 競 争 しなけ ればならず 消 費 者 の 手 が 少 しでも 早 く 多 く 他 のメーカーよりも 自 社 製 品 に 伸 びてこなけれ ばならない つまり 今 までの 競 争 相 手 は 日 本 の 同 業 者 であったが これからはアメリカの 同 業 者 ということになる マーケットリサーチによって 競 合 企 業 の 製 品 を 研 究 し それと 充 分 戦 えるア メリカ 向 け 製 品 の 開 発 が 必 要 である 2. マーケットリサーチの 方 法 それでは どのように 自 社 商 品 を 軸 にしたマーケットリサーチ を 行 えばよいだろうか 本 レポー トは 幅 広 い 商 品 を 対 象 としている このレポートをベースに マーケットリサーチをさらに 深 く 行 う のである 2-1 担 当 者 のアメリカ 派 遣 自 社 で マーケットリサーチを 行 う 方 法 のひとつは アメリカに 一 定 期 間 担 当 者 を 派 遣 してマーケ ットリサーチを 行 う 方 法 である 関 連 した 商 品 を 店 頭 で 見 て 回 り デザイン 売 り 場 展 開 価 格 な どあらゆる 要 素 をリサーチする しかし 1-2 週 間 程 度 では 調 査 には 限 界 があるので 一 ヵ 月 か ら 三 ヵ 月 は 必 要 だろう 三 ヵ 月 あれば かなり 充 実 した 調 査 が 出 来 る その 間 に 将 来 出 展 する 展 示 会 も 入 れるとさらに 効 果 的 であり 建 設 的 な 戦 略 が 生 み 出 せる ESTA でのアメリカ 滞 在 可 能 期 間 は ヵ 月 である インターネットでの 調 査 もかなり 重 要 になるが インターネットで 出 てきた 課 題 を 実 際 の 売 り 場 で 検 証 するという 方 法 を 取 れば 現 実 的 で 内 容 の 濃 いリサーチが 出 来 る 展 示 会 視 察 を 行 い JETRO オフィスにも 訪 問 し 話 を 聞 き エージェント レップなどの 人 々とも 会 い インターネット で 出 来 るだけ 効 率 的 な 資 料 を 集 めるという 方 法 である AIRBNB 等 で 長 期 滞 在 が 可 能 な 部 屋 を 借 り PC さえ 持 っていけば 良 いリサーチができるだろう その 間 に アメリカ 消 費 者 からの 聞 き 取 り 調 査 (フォーカスグループ)も 可 能 である アメリカ 市 場 開 拓 は 日 本 企 業 の 未 来 にとっても 重 要 な 意 味 があり かつ マーケットリサーチ が 最 重 要 という 課 題 から 考 えると 三 ヵ 月 のアメリカ 滞 在 は 充 分 に 価 値 のある 方 針 になる 2-2 アメリカ 企 業 へのマーケットリサーチ 委 託 13

もうひとつの 方 法 は マーケットリサーチをアメリカ 企 業 に 委 託 する 方 法 である 時 間 をかけて 客 観 的 な 目 でリサーチできるので 有 益 な 方 法 である 純 粋 なアメリカ 企 業 ではなく 日 系 企 業 の ほうが 日 本 製 品 を 理 解 している という 観 点 や コミュニケーションがしやすい という 意 味 でや りやすいかもしれない ポイントは 自 社 商 品 の 内 容 を 正 確 に 伝 えることである マーケットリサー チを 依 頼 する 相 手 を 選 ぶ 場 合 は その 会 社 がどの 程 度 実 際 のマーケットに 詳 しいかが 選 択 の 基 準 となる 2-3 マーケットリサーチの 内 容 マーケットリサーチは 商 品 に 関 してだけではなく ビジネスを 取 り 巻 く 全 ての 要 素 をリサーチしなく てはならない 主 要 には 次 の 5 つのテーマとなる 1 アメリカ 市 場 全 体 ( 販 売 流 通 回 収 システム)に 関 するリサーチ 2 アメリカのライフスタイル トレンドに 関 するリサーチ 3 製 品 カテゴリーにおける 業 界 同 業 者 に 関 するリサーチ 4 販 売 対 象 ( 店 舗 )に 関 するリサーチ 5 アメリカ 製 品 に 関 するリサーチ 3. マーケットリサーチの 具 体 的 方 法 3-1 アメリカ 市 場 全 体 ( 販 売 流 通 回 収 システム)に 関 するリサーチ アメリカ 市 場 には 商 品 の 販 売 の 形 態 流 通 システム 回 収 システムがある それらは いずれも 日 本 とは 違 い かつビジネスを 行 う 上 で 重 要 な 要 素 である 商 品 の 注 文 をとる 前 に 正 確 に 把 握 し ておき それぞれの 体 制 を 準 備 しなければならない それらの 基 本 的 内 容 は 本 レポートにあるが 製 品 カテゴリーによって 内 容 が 異 なることもある 基 本 的 情 報 は 第 六 章 アメリカのビジネス で 解 説 する 3-2 消 費 者 ライフスタイル トレンドに 関 するリサーチ 本 レポートのリサーチ 内 容 をベースにして 該 当 するカテゴリーのリサーチを 行 う 社 会 全 体 の 情 勢 を 把 握 しておくこと ライフスタイルの 把 握 消 費 者 の 動 向 トレンドの 動 きは 商 品 戦 略 を 組 14

み 立 てる 上 で 重 要 な 情 報 である 自 社 商 品 がアメリカの 消 費 者 のライフスタイルに 当 てはまらな ければ その 商 品 は 売 れない アメリカの 消 費 者 はどのようなものを 求 めているのだろうか と いう 消 費 者 の 観 点 から 自 社 の 商 品 を 見 てみる ライフスタイルを 知 ること 無 しに 日 本 の 製 品 を 提 案 することは 出 来 ない アメリカの 家 庭 に 入 らなくても インターネットで 人 気 店 舗 の 調 査 訪 問 でリサーチすることはできる アメリカの 消 費 者 を 集 めて 聞 き 取 り 調 査 を 行 うのも 生 の 声 が 聞 けて 大 いに 勉 強 になる アメリカでは フォーカス グループ (FOCUS GROUP)という 消 費 者 に 商 品 を 見 てもらったり 使 ってもらって 消 費 者 に 意 見 をまとめるというプロセスがよくマー ケティングの 中 で 活 用 される これを 行 うと アメリカのライフスタイルの 中 でその 日 本 の 商 品 が 100%そのままで 良 いか あるいは 多 少 工 夫 が 必 要 かがすぐに 見 えてくる 自 社 製 品 とアメリカ との ずれ が 明 確 になり 正 確 な 商 品 戦 略 が 生 まれてくる * フォーカス グループ アメリカの 消 費 者 を 10-20 人 集 め 製 品 を 直 に 見 てもらって おせじ 抜 きのコメントをしてもらう 自 宅 で 製 品 を 実 際 に 使 い アンケートに 記 入 してもらう 方 法 も 効 果 的 である この 調 査 によって 日 本 人 には 想 像 もつかない 意 見 が 引 き 出 されることがよくある アメリカのライフスタイルの 基 本 は 第 三 章 アメリカのライフスタイル で 解 説 する 3-3 業 界 同 業 者 に 関 するリサーチ 自 社 商 品 に 近 い 業 界 同 業 者 に 関 しての 情 報 が 必 要 である 日 本 でも 業 界 全 体 の 動 向 他 社 の 動 向 は 販 売 戦 略 を 決 めるときには 必 要 不 可 欠 な 情 報 であろう アメリカでも 同 じことである こ の 情 報 をつかむために 業 界 紙 を 入 手 し 業 界 に 詳 しい 人 を 見 つけたい 競 争 相 手 になりそうな 会 社 についての 徹 底 した 分 析 が 必 要 になるばかりか 良 いヒントを 得 られるだろう さらに アメリ カ 市 場 に 向 けた 的 確 な 企 画 方 針 を 出 すためにも 必 要 だろう 自 社 に 近 い 同 業 者 を 三 社 ほど 選 択 し どのような 商 品 をどの 程 度 の 価 格 で 販 売 し どのようなプレゼンテーション 営 業 戦 略 販 促 を 行 っているかという 情 報 をしっかり 得 ておきたい これは どの 企 業 も WEB サイトで 商 品 企 業 ポリシー 歴 史 などを 公 開 しているので リサーチはしやすい 3-4 販 売 対 象 ( 店 舗 )に 関 するリサーチ 販 売 対 象 ( 販 売 先 )のリサーチを 行 うのも 重 要 なリサーチである アメリカ 市 場 に 販 売 するといっ ても いろいろな 切 り 口 がある 店 舗 に 販 売 する だけでも デパート 量 販 店 専 門 店 チェーン 15

店 専 門 店 カタログ 会 社 オンラインショップなどに 分 かれる また 店 舗 に 直 接 販 売 するので はなく インポーター 卸 販 売 会 社 ディストリビューターなど 中 間 の 会 社 に 販 売 する 方 法 もある これらの 販 売 先 をリサーチして 販 売 先 をある 程 度 絞 っていくことは 販 売 戦 略 の 基 本 として 必 要 である 買 ってくれるところであればどこでもいい 的 な 販 売 戦 略 では 市 場 へのアプローチの 切 り 口 が 中 途 半 端 になり 販 売 方 針 が 右 往 左 往 し いたずらに 時 間 が 過 ぎていく 対 象 となる 店 舗 がどのような 商 品 構 成 をしていて どの 様 なものを 必 要 としているかを 知 ることによって 適 正 な 商 品 提 案 を 行 うことができる 販 売 対 象 をよく 知 ることができれば 展 示 会 でバイヤーが 突 然 来 て も 活 発 な 商 談 が 可 能 になる アメリカの 生 活 を 理 解 することが マーケティング リサーチの 原 点 である アメリカ 人 が 住 んで いる 住 居 使 っている 家 具 日 用 品 がどのようなものか 生 活 の 内 容 アメリカの 文 化 を 知 ること である インターネットで 様 々な 資 料 を 集 めて 整 理 すると アメリカ 人 の 生 活 の 実 像 生 活 感 覚 が 次 第 に 見 えてくる 下 記 の 人 気 の WEB サイトを 研 究 すると 良 い Crate & Barrel: http://www.crateandbarrel.com/ Bloomingdales: http://www1.bloomingdales.com/ Williams Sonoma: http://www.williams-sonoma.com/ Bed Bath & Beyond: http://www.bedbathandbeyond.com/ Gracious Home: http://www.gracioushome.com/ 必 要 な 基 本 情 報 は 第 四 章 アメリカの で 解 説 する 3-5 アメリカ 製 品 に 関 するリサーチ アメリカの 全 体 の 商 品 傾 向 は 本 レポートで 資 料 として 添 付 しているが それをベースとして 次 に 自 社 商 品 の カテゴリー に 絞 り 込 んでリサーチする デザイン 色 サイズ 仕 様 パッケージ ラ ベル 説 明 書 価 格 類 似 商 品 リサーチというベーシックなリサーチに 加 え 現 地 リサーチでは 売 り 場 の 構 成 ディスプレイ 方 法 パッケージに 書 かれている 情 報 競 合 会 社 のリサーチ 競 合 商 品 のリサーチも 行 う 関 連 した 情 報 はできるだけたくさん 集 める リサーチして 得 た 資 料 を 集 約 していけば これをどう 活 用 するか という 答 えは 見 えてくる 第 5 章 アメリカの 商 品 で 解 説 す る 商 品 リサーチ 自 社 と 同 じカテゴリーの アメリカ 製 品 をサンプル 購 入 してリサーチする 同 じ 競 合 製 品 のみでな 16

く 関 連 商 品 もすべてリサーチする 売 り 場 では 色 やデザインが コーディネイトしやすいもの が 売 れやすいからである 一 見 関 係 なさそうであっても アメリカ 人 はキッチンをナチュラルな 色 で 統 一 したい バスルームを 白 で 統 一 したいなど 全 体 の 生 活 の 中 で 統 一 感 を 持 たせたい 人 が 多 い その 為 に 刃 物 を 作 る 会 社 は 家 庭 のキッチン 全 体 を 知 るべきだし タオルを 作 る 会 社 はア メリカのバスルーム 全 体 を 理 解 すべきである デザインリサーチ これはあらゆるアイテムに 共 通 することである デザインの 中 には 色 も 含 まれる アメリカでは 一 般 的 に 同 系 色 でコーディネイトする 傾 向 が 大 変 強 い その 色 目 も 日 本 の 一 般 的 な 色 目 とは 微 妙 に 違 う また これが 良 いデザイン という 定 義 が 難 しいので 断 定 しにくいが 一 般 論 とし て アメリカ 消 費 者 はシンプルな 形 で 楽 しい 面 白 い エキサイティング 可 愛 い ものが 好 き である デザインは 商 品 の 顔 であるので アメリカのバイヤーの 目 をひきつけるもの かつシ ンプルなものが 好 まれる アメリカ 市 場 のデザイン 傾 向 とその 時 期 のトレンド( 特 に 色 )の 流 れをき っちりリサーチする 店 舗 訪 問 した 時 は 全 体 の 構 成 を 写 真 撮 影 しておくと リサーチレポートが まとめやすい 価 格 リサーチ 商 品 リサーチの 核 心 のひとつに 価 格 リサーチがある アメリカのバイヤーは 価 格 に 非 常 にシビ アである これは ただ 安 ければ 売 りやすいという 意 味 ではない 成 功 しているアメリカ 企 業 は 消 費 者 にいかに 手 頃 な 価 格 で 大 量 に 販 売 するかという 発 想 をするのである この 点 は 日 本 企 業 はしっかり 注 目 する 必 要 がある アメリカのビジネスは 基 本 的 に いかに 大 量 販 売 するか という 考 え 方 を 持 っている 少 しでもコストを 抑 えるために 製 品 の 一 部 パッケージを 中 国 で 作 り 市 場 に 出 す 価 格 を 抑 えるというような 工 夫 をしている その 結 果 価 格 を 算 出 する 場 合 には 大 量 販 売 を 前 提 にして 行 っている 時 折 日 本 企 業 の 中 から 価 格 で 競 争 したくない という 声 を 聞 く しかし マーケットで 消 費 者 の 手 が 伸 びなければ 継 続 販 売 は 出 来 ないのだから 価 格 ともしっかり 向 き 合 い 消 費 者 が 納 得 で きる 価 格 体 系 を 持 つことが 消 費 者 の 支 持 を 得 るのではないだろうか 商 品 の 魅 力 と 価 格 の 合 理 的 バランスが 必 要 である 一 般 消 費 者 は 商 品 に 対 して 価 格 感 覚 を 持 っている その 商 品 の 素 材 生 産 背 景 がどうであれ その 価 格 感 覚 をはるかに 超 えているものには 手 を 出 さない はじめてアメリカの 展 示 会 に 出 展 する 日 本 企 業 は 次 のように 考 えて 価 格 計 算 をしてくる はじ めは 大 量 には 売 れないので 少 量 の 注 文 をベースにコスト 計 算 をしよう 商 品 がよければ うち 17

の 価 格 を 理 解 してくれる 人 はいるだろう 送 料 は 量 によって 違 うので 少 量 発 送 をベースに 計 算 しよう またさらに 予 想 できない 経 費 がかかるかもしれないので 5% 上 乗 せておこう と その 結 果 コストはドンドン 上 がりアメリカ 製 品 よりもかなり 高 めの 卸 価 格 になってしまう このような 大 雑 把 な 方 法 では 販 売 は 難 しい 慎 重 に 原 価 計 算 することで より 売 りにくい 状 況 を 自 ら 作 り 出 し てしまうことになる 具 体 的 な 方 法 は 本 レポートに 添 付 している 資 料 アメリカの 商 品 のように エクセルにまとめる そして できるだけ 多 くのアメリカ 製 品 をリストアップする 多 ければ 多 いほど 良 い それができた ら 次 に 写 真 を 抜 いて 製 品 名 価 格 店 舗 名 のリストに 変 換 し 最 後 はそれを 価 格 の 低 いもの から 高 い 順 に 並 べ 替 える そうして 最 多 価 格 帯 と 標 準 価 格 を 算 出 し そのリストのどの 位 置 に 自 社 製 品 が 入 るかを 見 定 める 実 際 入 れてみて 全 体 の 中 でのバランスをチェックする 高 価 格 帯 に 入 るか 中 間 の 位 置 に 入 るか それで 基 本 的 な 販 売 方 針 の 方 向 が 見 えてくる アメリカ 企 業 で 成 功 している 会 社 は 消 費 者 の 立 場 に 立 っている 会 社 が 多 い 逆 に 言 えば 消 費 者 の 支 持 を 受 けている 企 業 だけが 成 功 している その 意 味 でも 重 要 課 題 である 価 格 戦 略 は しっかりとしたポリシーを 持 って 算 出 すべきだ 業 界 競 合 企 業 リサーチ 日 本 において 業 界 の 流 れ を 知 らずしてビジネスはできないのと 同 じように アメリカでも 業 界 の 状 況 をある 程 度 把 握 しておく 特 に アメリカの 老 舗 企 業 成 長 力 のある 若 い 企 業 などの 情 報 は 必 要 だ 自 社 ブランドのアメリカ 業 界 における 市 場 位 置 を 明 確 にできる 自 社 とカテゴリー デ ザイン テイストが 近 い 企 業 = 競 争 相 手 (COMPETITOR)の 分 析 も 重 要 である 彼 らの 商 品 パ ッケージ 価 格 設 定 販 売 方 法 販 売 ツール 販 売 先 SNS などを 調 査 するのが 市 場 に 慣 れてい く 一 番 の 近 道 と 言 える 彼 らの 動 向 はこれから 市 場 開 拓 する 日 本 企 業 にとってはヒントをもたらす だろう 3-6 マーケットリサーチが 市 場 開 拓 戦 略 を 決 める 上 記 に 述 べてきたように 五 つの 柱 のマーケットリサーチが 必 要 で それが アメリカ 開 拓 戦 略 の 成 功 失 敗 の 分 かれ 道 である このマーケットリサーチと 分 析 には 最 低 三 ヵ 月 は 必 要 である そ のくらい 時 間 をかけなければ 表 面 だけのリサーチになってしまい やらないのと 大 差 のない 結 果 を 生 み 出 す アメリカに 商 品 を 一 刻 も 早 く 紹 介 したいという 気 持 ちが 強 いあまり 充 分 な 情 報 と 準 備 抜 きにして 良 い 結 果 はあり 得 ない 充 実 したマーケットリサーチを 行 えば アメリカ 市 場 に 18

おけるふさわしい 販 売 戦 略 が 導 き 出 されてくる マーケットリサーチを 行 うところから 海 外 ビジネ スは 始 まり マーケットと 自 社 の 距 離 を 小 さくしていくことが 出 来 る 19

第 3 章 アメリカのライフスタイル アメリカマーケットに 商 品 を 販 売 するとき アメリカ ライフスタイルの 理 解 は 重 要 である マーケ ティングリサーチを 行 えばマーケットの 内 容 は 明 らかになるが アメリカの 歴 史 的 な 文 化 の 蓄 積 を 認 識 したことにはならない アメリカマーケットに 進 出 するということは 単 に ものを 売 る だけ にとどまらない アメリカマーケットの 背 景 を 認 識 することによって アメリカの 文 化 人 習 慣 テ イストというものをとらえる それは 日 本 の 会 社 が 日 本 マーケットで 日 本 人 に 物 を 売 る という 行 動 とは 明 らかに 違 う アメリカのライフスタイルに 日 本 のもの を 供 給 するのである アメリカマーケットを 観 察 すると 日 本 マーケットと 大 きく 違 うことに 気 がつく マーケットを 構 成 する 社 会 自 体 が 日 本 と 対 極 的 であるからである 千 年 以 上 の 積 み 重 ねがある 日 本 社 会 と 建 国 後 2 0 年 のアメリカ 社 会 とでは 違 うのは 当 然 だ いわば アメリカマーケットは 日 本 企 業 にとって 異 質 なマーケット である その 異 質 性 はアメリカの 歴 史 文 化 人 種 構 成 の 違 いから 来 ているので まず 初 めにそれらの 概 要 を 認 識 する 必 要 がある 日 本 人 の 持 っている 漠 然 とした アメリカのイメ ージ は 現 実 とはかなり 違 う 1. 歴 史 の 概 略 ここでアメリカの 歴 史 を 詳 細 に 述 べていくことはできないが あらましを 知 っておくことは マーケテ ィングリサーチを 深 めるためには 決 して 無 駄 にはならない 文 化 は 歴 史 の 積 み 重 ねによって 形 成 されている ここにアメリカの 300 年 の 歴 史 を 簡 単 にまとめた 1-1 ヨーロッパ 各 国 による 植 民 地 政 策 17 世 紀 スペインをはじめとして イギリス フランス オランダなどのヨーロッパ 各 国 がアメリカに 進 出 し 自 国 圏 の 拡 大 を 図 った スペインは 中 南 米 を 制 覇 した 後 アメリカに 進 出 し フロリダ 半 島 に 拠 点 を 作 り 勢 力 を 拡 大 していった オランダは 西 インド 会 社 を 設 立 し マンハッタン 島 にニュー アムステルダムという 町 を 建 設 し 1664 年 にはイギリスのヨーク 公 ジェームスがニューアムステルダムを 占 領 し 彼 の 名 に 因 んで ニューヨーク と 名 前 を 変 えた フランスは カナダに 拠 点 を 作 りケベックと 名 付 け その 後 五 大 湖 地 域 に 勢 力 を 伸 ばし ニューオリンズを 建 設 した イギリスは バージニアをはじめとし ペンシ 20

ルベニア マサチューセッツ フィラデルフィア ボストンなどに 拡 大 していった その 後 1755 年 か ら 1763 年 フレンチ インディアン 戦 争 などを 経 て イギリスが 北 アメリカのフランス 領 を 獲 得 し 勢 力 拡 大 に 成 功 した 1-2 イギリス 植 民 地 の 発 展 イギリス 植 民 地 は 大 西 洋 沿 岸 南 北 に 長 く 伸 びていたため 各 地 域 でさまざまな 産 業 が 発 展 した ニューハンプシャー マサチューセッツ ロードアイランド コネチカットなどのニューイングランドの 北 部 植 民 地 は 造 船 業 漁 業 貿 易 が 発 展 し ニューヨーク ニュージャージー ペンシルベニア デラウエアの 中 部 植 民 地 は 貿 易 農 業 酪 農 メリーランド バージニア ノースカロライナ サ ウスカロライナ ジョージアなど 南 部 植 民 地 は 農 園 (プランテーション)が 発 達 していった 人 口 の 増 加 に 伴 い 教 育 機 関 が 設 立 され 1636 年 のハーバードに 始 まり 各 地 域 に 大 学 が 作 られ ていった 植 民 地 社 会 は 次 第 に 充 実 していき イギリス 本 国 に 対 する 自 治 意 識 も 次 第 に 育 ってい った 植 民 地 人 (アメリカ 人 )はイギリス 本 国 からの 押 し 付 け 的 な 植 民 地 政 策 に 対 抗 する 精 神 が 高 まっていった 1-3 独 立 戦 争 不 当 な 植 民 地 条 約 に 対 する 抵 抗 運 動 から 始 まった 戦 いは 次 第 に 各 地 域 の 植 民 地 を 統 一 する 独 立 戦 争 へと 変 わっていった 1775 年 には ジョージ ワシントンを 司 令 官 に 選 び 自 由 と 平 等 の 精 神 を 軸 にした 独 立 宣 言 書 を 草 案 し 1776 年 に 公 布 された 戦 争 は 世 界 最 強 のイギリス 軍 が 圧 倒 的 に 優 勢 で ワシントンは 何 度 も 破 れては 後 退 したが フ ランクリンの 外 交 手 腕 によって フランス スペインと 同 盟 し 1781 年 にイギリスをヨークタウンで 降 伏 させた 1787 年 には 連 邦 主 義 三 権 分 立 民 主 主 義 を 基 本 にした 合 衆 国 憲 法 が 草 案 され 1789 年 に 初 代 大 統 領 にジョージ ワシントンが 選 出 された この 当 時 のアメリカの 人 口 は 393 万 人 であり ニューヨークが 首 都 の 小 さな 共 和 国 に 過 ぎなかった 日 本 では 徳 川 家 斉 が 将 軍 の 時 代 で 寛 政 の 改 革 が 行 われた ヨーロッパでは フランス 革 命 が 始 まった 年 である その 後 アメリカ フランス 間 の 交 渉 で 領 土 の 譲 渡 が 行 われ アメリカ 中 部 の 広 大 な 土 地 を 手 に 入 れ 領 土 は 一 気 に 2 倍 以 上 となり その 後 メキシコからカリフォルニアを 購 入 し テキサス オレゴ ンを 併 合 しさらに 領 土 を 拡 大 していった 1848 年 にはアメリカンリバーにおいて 砂 金 が 発 見 されゴ 21

ールドラッシュが 始 まった 1-4 黒 人 奴 隷 解 放 運 動 南 部 の 農 園 (プランテーション)の 綿 花 栽 培 のために 黒 人 奴 隷 の 需 要 は 高 かった 独 立 宣 言 で 奴 隷 は 禁 止 されたが 実 際 は 逆 に 拡 大 して 行 った 奴 隷 人 口 も 1800 年 には 85 万 人 だったものが 1860 年 には 400 万 人 に 増 加 した 南 部 では 黒 人 の 暴 動 逃 亡 などの 抵 抗 が 頻 発 した こうした 実 情 に 対 して 北 部 から 南 部 への 批 判 が 高 まっていった 1861 年 にはリンカーンが 大 統 領 に 就 任 し た その 後 南 部 11 州 は 連 邦 を 脱 退 し 国 は 二 つに 分 裂 してしまい 1861 年 南 北 戦 争 が 勃 発 した 1862 年 には 奴 隷 解 放 宣 言 が 公 布 され 18 5 年 に 北 軍 勝 利 で 戦 争 は 終 結 したが リンカーン 大 統 領 はその 5 日 後 に 暗 殺 されてしまった 黒 人 は 宣 言 後 選 挙 権 も 得 たが 差 別 が 合 法 化 され 差 別 は 逆 に 社 会 に 定 着 してしまった 彼 ら の 失 望 の 時 代 が 始 まるのである この 時 代 には 人 口 が 3,000 万 人 に 増 加 していた 同 時 代 の 日 本 の 人 口 は 4,300 万 人 (1900 年 統 計 )であった 1-5 国 力 の 飛 躍 1864 年 に 制 定 された 関 税 法 は 関 税 平 均 47%という 保 護 貿 易 色 の 強 い 経 済 対 策 によって 国 内 産 業 は 飛 躍 的 に 発 展 した 鉄 道 業 鉄 鋼 業 の 発 展 労 働 量 不 足 を 補 うために 政 府 は 移 民 積 極 政 策 を 採 った 経 済 発 展 国 力 発 展 によってアメリカは 早 くも 世 界 列 強 の 域 に 達 し 19 世 紀 には 最 先 端 を 走 っていたイギリスを 追 い 越 した しかし 自 由 競 争 の 結 果 各 業 種 に 独 占 企 業 が 生 ま れた また 蓄 音 機 (エジソン) 電 話 (ベル) タイプライター(マーゲンセイラ) 万 年 筆 (ウォーター ヒル) コダックカメラ(イーストマン)などの 発 明 が 次 々に 文 明 を 前 進 させ 急 速 な 産 業 の 発 展 を 促 した 1914 年 には ヨーロッパでは 第 一 次 世 界 大 戦 が 勃 発 した 1920 年 代 には マンハッタンの 摩 天 楼 の 建 築 競 争 に 見 られるように 金 ぴか の 物 質 的 な 反 映 の 時 代 になった 自 動 車 (フォード)の 大 量 生 産 が 行 われ 色 々な 分 野 にヒーローが 現 れた ジャズのアームストロング 野 球 のベーブル ース 映 画 のチャップリン 飛 行 機 パイロットのリンドバーグである 禁 酒 法 ギャング 団 アルカ ポネ 女 性 参 政 権 ロストジェネレ-ションもこの 時 代 である そして 暗 黒 の 木 曜 日 の 株 価 大 暴 落 に 始 まる 1929 年 の 大 恐 慌 に 至 る 1930 年 代 の 不 況 時 代 22

である この 時 のアメリカの 人 口 は 1 億 6 百 万 人 (1920 年 統 計 )である 1-6 不 況 の 1930 年 代 1929 年 の 銀 行 倒 産 は 659 行 1930 年 1352 行 1931 年 2294 行 と いう 驚 くべき 数 字 を 見 ても 大 不 況 の 規 模 がわかる 工 場 閉 鎖 生 産 半 減 により 町 は 失 業 者 であふれた 1933 年 に 大 統 領 に 就 任 し た 民 主 党 フランクリン ルーズベルト(FDR)は ニューディール 政 策 に 着 手 し 相 当 の 成 果 を 挙 げた アメリカ 史 上 はじめての 4 期 続 い た 大 統 領 である そして 第 二 次 世 界 大 戦 が 勃 発 した この 戦 争 で 失 業 問 題 は 解 決 し た 大 戦 後 トルーマン 大 統 領 の 時 代 に 東 西 冷 戦 が 始 まった この 時 のアメリカの 人 口 は 1 億 3 千 万 人 (1940 年 統 計 )である 1-7 人 種 差 別 撤 廃 運 動 人 種 差 別 撤 廃 運 動 が 本 格 的 に 始 まったのは 1950 年 代 後 半 の 事 である 1955 年 12 月 1 日 ロ ーザ パークスという 黒 人 女 性 が 白 人 乗 客 にバスの 席 を 譲 らず 逮 捕 された 小 さな 事 件 をきっか けに 黒 人 革 命 (BLACK REVOLUTION)が 始 まるのである かの 有 名 なマーチン ルーサー キン グ 牧 師 を 含 む 黒 人 の 指 導 者 たちはバス ボイコット 運 動 を 指 揮 した ボイコット 運 動 が 始 まった 一 年 後 ついに 連 邦 最 高 裁 がバス 会 社 に 人 種 隔 離 禁 止 令 を 出 すのである 黒 人 社 会 は 歓 喜 の 声 を 挙 げて 勝 利 を 喜 んだ 以 後 ごく 少 数 であるが 黒 人 学 生 が 白 人 学 校 に 入 学 するなど 黒 人 達 は 人 種 差 別 撤 廃 への 道 を 歩 んだ この 一 連 の 運 動 を 公 民 権 運 動 と 呼 ぶ 南 部 中 心 であった 公 民 権 運 動 は 1960 年 代 に 入 り リベラル 派 の 白 人 にも 広 がり 全 米 的 な 運 動 となっていった 1-8 ジョン F ケネディのニューフロンティア 政 策 史 上 まれに 見 る 大 接 戦 の 大 統 領 選 挙 当 時 70 歳 のニクソンと 若 干 43 歳 のケネディの 戦 いは ケネディに 軍 配 が 上 がる 彼 の 提 唱 する ニューフロンティア 政 策 とは アメリカが 立 ち 向 かわなければならな い 新 たな 挑 戦 を 掲 げたものである 1960 年 代 アメリカはもはや 地 平 線 を 開 拓 する 必 要 がなくなった しかし 終 わらない 冷 戦 科 学 技 術 23

や 宇 宙 産 業 の 未 開 の 分 野 いまだ 解 決 されない 貧 困 の 問 題 これらのニューフロンティアを 国 民 の 目 標 として 掲 げることによって ケネディはアメリカにリベラルなムードを 巻 き 起 こした 保 守 的 で 停 滞 気 味 の 共 和 党 から 進 歩 的 で 斬 新 な 民 主 党 へと 国 民 特 に 若 い 世 代 の 関 心 が 移 り 変 わっ ていったのである この 時 のアメリカの 人 口 は 1 億 8 千 万 人 (1960 年 統 計 )である 1-9 1960 年 代 のベトナム 戦 争 と 反 戦 運 動 ベトナム 戦 争 とは 当 初 植 民 地 化 していたフランスと 独 立 を 目 指 すベトナム 人 の 戦 いであった そ こに インドシナ 半 島 全 体 の 共 産 化 を 恐 れたアメリカが 反 共 軍 事 体 制 の 南 ベトナムを 支 援 し 始 めるのである ケネディ 大 統 領 暗 殺 以 後 後 を 継 いだジョンソン 大 統 領 は 1965 年 2 月 北 ベトナム 爆 撃 を 命 じる 65 年 の 段 階 では 国 民 の 中 ではベトナム 戦 争 支 持 派 が 大 勢 を 占 めていた しかし ベトナムに 派 遣 される 若 者 が 急 速 に 増 え 各 大 学 でも 軍 事 訓 練 が 強 化 される これを 受 け 学 生 達 を 中 心 に 反 戦 運 動 が 盛 り 上 がった ベトナム 戦 争 はもはや 自 由 主 義 を 守 る 戦 いでは なく 軍 と 産 業 の 結 びつき( 軍 産 複 合 体 )の 生 み 出 した 産 物 である 事 に 国 民 の 批 判 が 高 まった 大 義 名 分 を 失 った 戦 争 を 推 し 進 めたジョンソン 大 統 領 は 反 戦 運 動 を 受 けて 再 出 馬 を 断 念 した 1967 年 には 人 口 は 2 億 人 を 突 破 した 1-10 80 年 代 レーガン 大 統 領 レーガン 大 統 領 に 象 徴 されるものは 強 いアメリカ の 再 現 と 伝 統 的 なアメリカの 価 値 観 の 再 構 築 を 求 めた 1980 年 代 のアメリカであ る もとハリウッド 俳 優 であるレーガン 大 統 領 は 宗 教 右 派 の 支 援 を 受 け 歴 代 大 統 領 就 任 時 最 高 年 齢 である 69 歳 11 ヶ 月 で 当 選 した 彼 の 打 ち 出 した 政 策 は レーガノミックス と 呼 ばれ 主 に 大 型 の 減 税 政 府 の 財 政 支 出 を 極 端 に 抑 える 小 さな 政 府 を 実 現 しようとす るものである レーガン 大 統 領 は 就 任 すると 同 時 に ソ 連 への 敵 意 をあらわにする 彼 は 社 会 福 祉 の 予 算 を 削 り スターウォーズ 計 画 などと 呼 ばれる 戦 略 防 衛 構 想 を 推 進 しようとするのである この 背 景 に は レバノンの 内 戦 に 巻 き 込 まれ ベイルートのアメリカ 大 使 館 が 爆 撃 される サハリン 上 空 で 大 韓 航 空 機 がソ 連 に 爆 撃 されるなど 当 時 の 緊 張 した 国 際 情 勢 を 反 映 している この 時 のアメリカ の 人 口 は 2 億 3 千 万 人 (1981 年 統 計 )である 24

1-11 1987 年 ブラック マンデー 1986 年 長 い 間 世 界 最 大 の 債 権 国 だったアメリカが 一 転 して 債 務 国 に 転 落 した それだけではな く 1987 年 10 月 19 日 にニューヨークの 株 価 が 記 録 的 な 大 暴 落 を 記 録 した 下 げ 幅 22.6%は 1929 年 の 暗 黒 の 木 曜 日 を 上 回 り ブラック マンデー( 暗 黒 の 月 曜 日 )と 呼 ばれるようになる 財 政 赤 字 と 貿 易 赤 字 による 双 子 の 赤 字 日 本 が 円 高 ドル 安 を 予 想 し 多 量 のアメリカ 国 債 を 売 ったなどと 様 々な 仮 説 があるが どれほどの 関 連 性 があったかは 証 明 されていない しかし 債 務 国 になっ たという 事 実 は 少 なからず 軍 事 費 拡 大 に 起 因 する 1-12 冷 戦 の 終 結 冷 戦 に 向 けて 動 きだしたのは ソ 連 のほうだった 1982 年 に 長 い 間 政 権 を 掌 握 していたブレジネフ 書 記 長 が 死 亡 その 後 の 書 記 長 も 高 年 齢 者 ばかりであった そこに 1985 年 54 歳 のゴルバチョフ が 就 任 したのである 彼 はすぐさま 6 年 ぶりに 米 ソ 首 脳 会 談 を 開 催 1986 年 には 驚 くべき 軍 縮 計 画 をアメリカに 提 案 するのである もちろん ソ 連 を 悪 の 帝 国 呼 ばわりするレーガン 大 統 領 はそれ に 応 じなかった しかし 確 実 にお 互 いの 相 互 理 解 は 深 まっていった ペレストロイカ(ソ 連 社 会 主 義 改 革 ) グラ スノスチ( 情 報 公 開 ) を 強 力 に 推 し 進 めるゴルバチョフは 3 度 目 の 訪 米 時 に INF( 中 距 離 核 戦 力 ) 全 廃 条 約 をレーガンと 調 印 した さらには 共 産 圏 諸 国 の 民 主 化 もすさまじい 勢 いで 進 む 冷 戦 崩 壊 に 向 けもっとも 象 徴 的 であったのは 1989 年 11 月 ベルリンの 壁 崩 壊 である 28 年 もの 歳 月 を 経 て 壁 は 取 り 壊 された これを 背 景 に 1989 年 12 月 マルタで 会 談 が 行 なわれ 当 時 のアメリカ 大 統 領 ブッシュ( 父 )とゴルバチョフ 書 記 長 が 冷 戦 の 終 結 を 確 認 しあった 1-13 アメリカの 政 治 的 復 活 レーガンのあとを 継 いだ H.W.ブッシュ 大 統 領 は 積 極 的 な 強 硬 策 でパナマ 侵 攻 湾 岸 戦 争 を 行 い 軍 の 威 信 を 世 界 に 見 せつけた アメリカの 政 治 的 勝 利 は 誇 示 できたものの 経 済 は 双 子 の 赤 字 ( 財 政 赤 字 と 貿 易 赤 字 )で 苦 しめられていた 25

ブッシュの 後 のクリントン 大 統 領 は 経 済 的 不 況 を 克 服 する 為 に 努 力 し 職 を 去 るときにはこれま でに 無 い 好 景 気 を 生 み 出 した IT 産 業 もこの 時 代 に 大 きく 飛 躍 した アメリカは 1980 年 代 から 軍 事 目 的 で 電 話 回 線 を 利 用 した 情 報 網 の 整 備 を 行 っていて それにより インターネットが 民 間 に 急 速 に 広 がり ハイテク 技 術 の 独 占 が 進 んだ クリントン 大 統 領 の 後 には ジョージ.W.ブッシュが 大 統 領 になり 支 持 率 は 低 かったもののクリン トン 政 権 時 代 の 好 景 気 を 引 き 継 いだ 好 景 気 に 浮 かれていたアメリカの 目 を 覚 ます 出 来 事 が 9.11 アメリカ 同 時 多 発 テロ 事 件 であった これによって アメリカは 大 きく 保 守 的 傾 向 に 舵 を 切 っ た 2008 年 にカリフォルニア 州 フロリダ 州 における 住 宅 バブルがはじけたことにより 連 鎖 的 な 世 界 金 融 危 機 を 招 いた このとき リーマンブラザーズは 巨 額 の 負 債 を 抱 え 倒 産 し リーマンショックと して 世 界 を 震 撼 させた 2009 年 にはアメリカ 歴 史 上 初 めての 黒 人 大 統 領 バラクオバマ 大 統 領 が 誕 生 した 2. アメリカの 文 化 2-1 アメリカの 人 口 米 国 勢 調 査 局 は 2006 年 10 月 12 日 米 国 の 人 口 が 同 年 10 月 17 日 日 午 前 ( 日 本 時 間 同 日 午 後 ) に 3 億 人 に 達 する 見 通 しになったと 発 表 した 米 国 の 人 口 は 11 秒 に 1 人 (=1 日 に 約 8,000 人 ) のペースで 増 加 していることから 予 測 をはじき 出 した 人 口 減 が 懸 念 される 日 本 とは 対 照 的 に 米 国 は 先 進 国 の 中 で 例 外 的 に 出 生 率 が 高 く 3 億 人 突 破 は 米 国 の 活 力 を 象 徴 している 一 方 で ヒスパニック 系 移 民 の 流 入 や 南 部 西 部 での 人 口 増 は 米 国 社 会 に 変 化 をもたらし 環 境 への 影 響 を 懸 念 する 声 も 出 ている 同 調 査 局 や 米 メディアによると 2 億 人 になったのは 1967 年 11 月 20 日 それから 約 39 年 で 人 口 が 1 億 人 増 加 したことになる 4 億 人 に 達 するのは 2043 年 ごろと みられている 約 40 年 間 で 日 本 マーケットと 同 じ 規 模 のマーケットがもう 一 つ 生 まれるのである (アメリカの 人 口 推 移 ) 1861 年 ( 南 北 戦 争 ): 3000 万 人 ( 日 本 :4300 万 人 ) 1929 年 ( 大 恐 慌 ): 1 億 人 ( 日 本 :4300 万 人 ) 1967 年 (ベトナム 戦 争 ): 2 億 人 ( 日 本 :1.0 億 人 ) 26

1980 年 : 2.3 億 人 ( 日 本 :1.1 億 人 ) 1990 年 : 2.5 億 人 ( 日 本 :1.2 億 人 ) 2000 年 : 2.8 億 人 ( 日 本 : 1.3 億 人 ) 2006 年 : 3 億 人 ( 日 本 :1.3 億 人 ) 2016 年 : 3.2 億 人 ( 日 本 :1.3 億 人 ) 2-2 多 人 種 社 会 の 生 み 出 すエネルギー アメリカは 人 種 のるつぼ (MELTING POT)と 言 われている いや むしろ サラダ ボール (SALAD BAWL)とも 言 われている サラダのように 混 ぜてもそれぞれの 野 菜 が 変 わらないように 人 種 が 混 ざっても 各 人 種 は 変 わらないと 言 う 意 味 だ それほど 人 種 という 要 素 が 他 の 国 に 比 べてアメリカ 社 会 の 大 きな 特 徴 になっている アメリカの 現 在 の 人 口 構 成 は 次 のとおりである 人 種 の 構 成 アメリカの 国 勢 調 査 (2010 年 )では 人 種 を 以 下 のように 分 類 している 白 人 72.4% アフリカ 系 アメリカ 人 12.6% アメリカインディアンとアラスカ 原 住 民 0.9% アジア 系 4.8% ハワイとその 他 太 平 洋 諸 島 の 原 住 民 0.1% その 他 の 人 種 ( 主 にヒスパニック) 9.3% 白 人 の 構 成 比 は 72%であるが その 中 には 英 国 ドイツ 北 欧 のラテン 系 東 ヨーロッパのスラ ブ 系 が 混 在 している また ユダヤ 系 アメリカ 人 も 多 く ユダヤ 系 もいくつかに 分 かれる このよう に 様 々な 文 化 習 慣 が 共 生 しており アメリカの 社 会 はこの 人 口 構 成 = 多 文 化 による 社 会 構 成 という 要 素 ぬきには 語 れない そこには ヨーロッパから 移 民 してきた 白 人 社 会 の 文 化 が 主 流 を 成 したというよりも 白 人 文 化 を 軸 にいろいろな 文 化 が 集 結 し お 互 い 影 響 を 与 え 合 い まった く 新 しい 開 放 感 にあふれた アメリカ 文 化 が 生 まれてきたといってよい それは ヨーロッパの 文 化 とは 明 確 に 違 い いろいろな 文 化 が 混 合 して 1+1+1=3 になったのではなく 古 い 因 習 伝 統 が 削 られて 現 代 にあった 合 理 的 な 文 化 として 集 約 されてきた この 独 特 な アメリカ 文 化 様 式 は TV やハリウッド 映 画 を 通 して 世 界 中 に 広 まって 行 った 昔 か 27

ら ファッションはヨーロッパ アメリカに 洗 練 されたファッションはない と 言 われ 続 けてきたが 今 ではどうだろうか アメリカの T シャツ ジーンズを 中 心 にした アメリカン カジュアル が 世 界 中 に 広 まっていった アメリカのただの 労 働 着 が 多 くの 人 種 によって 好 き 勝 手 に 工 夫 され 着 こな され 次 第 に ファッション にまで 高 められていったのは 多 文 化 による 感 性 のシンプル 化 と 言 えるのではないか シンプル が 人 種 の 多 いアメリカ 社 会 の 共 通 言 語 なのである アメリカの 現 代 は 明 らかに 古 き 良 き 昔 のアイビー 文 化 とは 異 なっている その 大 きな 変 化 は 長 い 歴 史 の 中 で 次 第 に 形 成 されてきたのではなく この 50 年 ほどの 間 に 急 速 に 構 築 されてきた 新 文 化 であ る 大 きな 人 口 を 基 盤 に たくましい 経 済 成 長 と 文 化 の 変 化 こそがアメリカの 持 つ 力 強 いエネル ギー と 言 えよう 2-3 日 本 との 違 い 様 々な 点 でアメリカと 日 本 とは 異 なる それを 整 理 してみる アメリカは 多 民 族 国 家 である アメリカは 300 年 日 本 は 2000 年 以 上 の 歴 史 を 持 つ アメリカは 多 様 な 社 会 であり 日 本 は 均 質 的 社 会 である アメリカは 広 大 な 国 土 を 持 ち 日 本 は 狭 い 国 土 を 持 つ 25 倍 の 違 い アメリカの 人 口 は 3 億 人 日 本 は 1.3 億 人 アメリカの 出 生 率 は 千 人 あたり 14.14 人 日 本 は 9.47 人 アメリカは 資 源 大 国 日 本 は 資 源 小 国 アメリカは 個 人 優 先 的 価 値 観 日 本 は 集 団 優 先 的 価 値 観 このようにアメリカと 日 本 は 大 きく 違 う 歴 史 環 境 を 持 っている では こうした 大 きな 違 いを 克 服 し て 日 本 の 企 業 はアメリカに 溶 け 込 めるのだろうか 実 は 歴 史 的 に 日 本 ほど 海 外 の 文 化 を 吸 収 してきた 国 家 は 少 ない 中 国 韓 国 インドの 文 化 を 吸 収 して 日 本 文 化 が 形 成 された 日 本 人 は 海 外 の 文 化 を 取 り 入 れるのが 上 手 な 民 族 であることは 歴 史 的 な 事 実 である 実 際 アメリカの 多 くの 文 化 が 戦 後 日 本 に 抵 抗 なく 入 り 定 着 した 食 の 世 界 では 多 くの 海 外 の 食 事 が 日 本 風 に 姿 を 変 えて 定 着 した ただ 対 海 外 ビジネスは 日 本 マーケットが 豊 かだったこと 円 高 が 進 んだこと などの 理 由 により 日 本 企 業 の 海 外 志 向 が 少 なかったため 多 くの 日 本 企 業 はその 経 験 を 持 って いない しかし 海 外 ビジネスの 情 報 が 蓄 積 し 海 外 で 成 功 する 会 社 も 増 えていくにしたがって 本 来 インターナショナルに 強 い 日 本 企 業 が 海 外 マーケットに 慣 れる 時 代 は 遠 くない 28

3. アメリカのライフスタイル アメリカのライフスタイルは 大 きな 家 に 住 み あまりデザインに 囚 われずシンプルなライフスタイ ルというのが 日 本 人 の 持 つイメージではないだろうか 日 本 の 一 戸 建 て 住 宅 床 面 積 は 平 均 125 m2であり アメリカでは 148 m2である 約 1.2 倍 アメリカの 方 が 広 い イメージほどは 大 きな 差 は 無 い しかし リビングルームが 広 い 玄 関 が 無 いなど 間 取 りは 日 本 とはだいぶ 違 う 住 宅 のデザイ ンは 時 代 とともにゆっくりと 変 化 している 3-1 人 々の 住 まい 都 市 部 の 人 々は 一 戸 建 て 住 宅 コンドミニアム( 所 有 ) アパートメント( 賃 貸 )のいずれかに 住 まいを 持 つ 一 戸 建 て 住 宅 は 建 物 によってもちろん 違 いはあるが 一 般 的 に ベットルーム(マ スターベッドルーム 子 供 部 屋 1 2 部 屋 )があり バスルーム(トイレとバス)が 近 接 している リビ ングルーム ダイニングルーム ファミリールーム(リビングと 共 通 のところもある) ストーレッジ ( 倉 庫 ) ガレージ( 車 庫 )というのが 一 般 的 だろう 一 般 の 一 戸 建 て 住 宅 の 広 さは 床 面 積 3,000-5,000 スクエアフィート (84-140 坪 )という 大 きさである ニューヨークのような 都 会 では アパートメント(APARTMENT)に 住 んでいる 人 が 多 い シングル は リビング ベッドルーム ダイニングルームが 一 つになった 1 ルームとバスルームのみの スタ ジオ カップルの 場 合 は 1 ベッドルーム+リビング+バスルーム 子 供 がいる 場 合 は 2 ベッドルー ム+リビング+バスルームに 住 むのが 一 般 的 でである アメリカの 住 宅 デザインもトレンドに 左 右 される 根 底 にあるシンプル+クリーンは 大 きな 変 化 はな いものの アメリカの 消 費 者 が 単 にシンプル+クリーンだけを 求 めているわけではない 常 に 何 か 新 しいもの への 追 求 はある 3-2 アメリカ 人 の 住 宅 へのこだわり 多 くのアメリカ 人 は 家 に 大 変 なこだわりがある 自 分 たちの 理 想 の 家 を 獲 得 することが 人 生 の 目 標 でもある 住 宅 改 装 の TV ショーは 非 常 に 人 気 があり ロウズ(LOWE'S) や ホームデポ (THE HOME DEPOT)のような 大 きなホームセンターも 理 想 的 な 住 宅 を 追 求 する 人 々で 賑 わって いる ホームデポにいくと 住 宅 の 小 さな 部 品 は 当 然 だが ドアを 買 いに 来 たり トイレを 買 いに 来 る 人 々がいる 彼 らはそれを 自 分 で 取 り 付 けるのである 内 装 の 工 事 は 無 論 のこと 家 自 体 も 全 29

て 自 分 で 作 るという 人 も 珍 しくないほどだ アメリカ 人 の 住 宅 へのこだわりは 日 本 人 以 上 かもしれ ない 3-3 住 まいの トレンド 住 宅 業 界 で 語 られている 最 近 のアメリカの 住 宅 のトレンドをいくつかまとめた 小 さくコンパクトな 家 最 近 の 人 気 のあるデザインは ノスタルジックなフロントのエントランスがありサイズとしては 1,800 スクエアフィート(170 平 方 メートル) 程 度 の 傾 斜 の 低 い 屋 根 の 小 さな 住 宅 である コテージタ イプの 住 宅 は 手 に 入 れやすく コンパクトな 家 に 住 むことがトレンドになってきている 人 々は 効 率 的 に 暮 らすことに 高 いプライオリティーを 置 き 始 め 2010 年 の 新 しい 家 は 2009 年 より 1,000 ス クエアフィート(90 平 方 メートル)ほど 縮 小 している 価 格 の 高 い 広 い 家 は 売 れなくなっているので ある 住 宅 購 入 者 の 最 近 の 傾 向 は 高 価 なものでなく 小 さい 家 でも 快 適 なスペースを 欲 してい るという 効 率 性 新 しいアメリカの 住 宅 の 平 均 的 サイズはより 小 さくなったため 小 さな 家 を 住 みやすくするために 効 率 的 なスペース 利 用 のプランニングを 行 い 賢 く 収 納 を 行 うこと また スペースの 窮 屈 さを 和 らげるための 照 明 心 地 よい 小 さな 空 間 の 活 用 が 求 められている 住 宅 のエネルギー 効 率 を 上 げる 為 に 壁 に 設 置 されている 防 寒 建 築 素 材 空 気 が 漏 れないようにするための 絶 縁 材 家 の いたるところに 配 置 されている 省 エネの 電 気 機 器 屋 根 の 素 材 熱 効 率 の 高 い 暖 房 地 熱 発 電 などが 注 目 されている 平 屋 の 家 ベビー ブーマーの 年 老 いた 両 親 にとって 平 屋 の 家 は 歩 行 しやすく 非 常 に 使 い 勝 手 がよいの で 好 まれている 肥 満 が 社 会 問 題 化 しているアメリカでは 階 段 における 事 故 が 多 く そのために も 平 屋 の 人 気 は 高 いようだ キッチン バスルームの 充 実 大 きなバスルームに 対 する 憧 れはベビー ブーマーの 間 で 人 気 があったが サイズが 縮 小 したの で 人 々は 高 品 質 の 蛇 口 の 快 適 なタッチや 良 いデザインのシンク キッチンでは ハイエンドの 設 30

備 花 崗 岩 のカウンタートップを 求 めるように 変 化 している また 一 方 ではベッドルームやリビン グルームは 小 さくなっても 出 来 れば 大 きなキッチンやゆったりとしたバスルームを 望 んでいると 言 われる 3-4 アメリカ 人 があこがれる 住 宅 アメリカ 人 に 人 気 の 高 い 住 宅 のスタイルには 次 のようなものがある クラフトマン バンガロー ハウス スタイル (Craftsman Bungalow House Style) 低 い 傾 斜 の 屋 根 を 持 つ 居 心 地 の 良 い 平 屋 の 住 宅 1900 年 初 期 に 立 てられたスタイルであり 1930 年 以 降 徐 々に 衰 退 していった しかし そのスタイルは 現 在 復 活 しつつある シンプルな 形 状 でナチュラルな 素 材 を 利 用 している こぢんまりとした 2.5 階 建 ての 家 であり 幅 広 い 屋 根 奥 行 きの 深 いベランダには シンプルな 製 品 があ る カリフォルニアやシカゴの 平 屋 住 宅 は 全 く 他 とは 異 なったクオリティーをもつ 多 彩 なタイプがある 低 く 切 り 妻 の 付 いた 屋 根 幅 の 広 いひさしで その 下 に 装 飾 された 腕 木 がある 屋 根 やポーチを 支 える 円 錐 もしくはスクエアの 形 をした 柱 デコレーションされたポーチ デザインモチーフが 入 った 窓 硬 い 石 や 木 材 など 各 種 の 材 料 を 混 ぜて 骨 組 みが 造 られている 英 国 カントリーハウス スタイル (English Country House Styles) 中 世 の 英 国 のコテージや 荘 園 を 思 い 出 させる 住 宅 小 さ くてクラシカルの 雰 囲 気 の 窓 チューダー リバイバル 時 代 の 家 で 使 われていた 木 製 フレームが 使 用 されている 英 国 風 スタイルの 復 活 は 伝 統 的 な 英 国 のデザインに 対 するアメリカ 人 の 憧 れを 表 している 煉 瓦 石 の 高 い 壁 で 覆 われた 正 面 のゲーブル 非 対 称 の 設 計 大 きな 煙 突 屋 根 窓 つきの 切 り 妻 高 い 傾 斜 のある 屋 根 が 見 受 けら れる 31

クイーンアン ハウス スタイル (Queen Anne House Styles) ビクトリア 調 建 築 は 細 かいデザインから 成 り 立 っている 厳 格 なスタイルの 家 である ファンシーなゴシック 調 のコ テージ また 壮 大 なイタリアン 様 式 である そのスタイル は 精 巧 で フェミニンなテイストである タワーの 中 は 窓 精 巧 な 装 飾 で 飾 られている ロマンチック スタイルは 贅 沢 に 装 飾 されている 輝 かしい 色 を 用 いて 塗 られた 建 物 は ペイントレディーズ Painted Ladies.と 呼 ばれてい た 急 傾 斜 の 屋 根 複 雑 で 非 対 称 の 形 フロントに 向 か って 伸 びる 切 妻 一 階 にあるベランダは 丸 みを 帯 びている 四 角 い 棟 装 飾 された 屋 根 をもつ 石 造 り 建 築 である プレイリー ハウス スタイル (Prairie House Styles) 低 い 傾 斜 の 屋 根 はこれらの 家 で 地 球 を 抱 いたような 外 観 スクエアであり 対 照 的 なラインは 強 さと 素 朴 さを 示 してい る これはあまり 見 かけないが 現 地 のアメリカンスタイル のひとつで Prairie School(プレーリースクール)として 知 ら れたクリエイティブなシカゴの 建 築 家 の 集 団 によって 開 発 さ れたものである Frank Lloyd Wright(フランクロイドライト) はプレーリースタイルの 父 である 広 大 なプレーリー 地 域 を 代 表 する 水 平 で 開 放 的 なフロアであり 充 分 な 製 品 スペースと 広 いひさし 長 く 連 なる 窓 をもつ 低 い 寄 棟 の 屋 根 がある 3-5 アメリカの 住 宅 内 装 のスタイル アメリカの 住 宅 内 装 のスタイルは 多 くあり クラシックな 側 面 から 取 り 入 れた 建 築 のディティールの ものもあれば 今 までにないユニークさを 持 つ 現 代 的 なものもある 一 般 的 に アメリカの 家 はトラディショナルなスタイルもしくは モダンなコンテンポラリースタイル で 装 飾 されている ヨーロピアンスタイルはデコラティブのトレンドに 基 づく 地 域 性 や 時 代 性 をもつ デザインである フランスの Louis XV スタイルやイングランドのビクトリアンスタイルを 含 むもの が 代 表 的 これらのトレンドは 同 系 統 の 家 具 や 色 素 材 によって 統 一 されている 32

トラディショナルなヨーロピアンスタイルは 比 較 的 プレーンである 際 立 ったコントラストを 使 うよ りも 色 は 同 系 色 の 組 み 合 わせが 多 く 全 体 が 溶 け 込 むようなイメージである コンテンポラリースタイルは ルールがなく 毎 年 変 化 しており 一 般 的 に 強 いコントラストを 持 た せるものが 多 い 例 えば シルクのタペストリーを 使 いながら レンガの 壁 を 設 置 したり 精 巧 に 作 られた 鉄 の 装 飾 は アンティーク 調 の 素 材 と 組 み 合 わせたりして 素 材 のコントラストで 現 代 の トレンドを 表 現 する 3-6 住 宅 内 の 各 セクション リビングルーム(Living Room) リビングは おおよそ 400-600 スクエアフィート (37-58 平 方 メートル) 程 度 の 広 さで 日 本 のそ れよりもかなり 広 い 都 市 部 のアパートメントのリビングが 日 本 と 同 じ 程 度 である リビングには ソファーセット コーヒーテーブル ライト 飾 り 棚 などが 置 いてある ソファーには 1 人 用 2 人 用 のソファー ファミリーで 歓 談 できるソファーセット L 字 型 のセクショナルがある リビングの 他 に リクレーションルーム ファミリールームが 別 にある 大 きな 家 もある リビングルームにあるインテ リアは 壁 に 額 や アートポスターなどの 額 絵 画 鏡 壁 飾 りなどがあり コーナーテーブルの 上 にはテーブルランプ 飾 り 棚 の 上 にはアートやアンティックな 置 物 飾 り ソファーセットにはクッショ ン ひざ 掛 け 中 央 の 床 の 上 にはラグを 敷 く リビングルームの 中 心 になるのはテレビである テ レビは DVD プレーヤーやゲーム ステレオシステムのような 電 気 製 品 とセットになっている レク リエーションを 家 族 で 一 緒 に 楽 しむことがアメリカの 理 想 的 姿 である ベッドルーム(Bedroom) この 部 屋 には ベッド ソファー ベッドサイドテーブル ドレッサーがある 広 さは 家 によって 大 き く 違 うが 200-400 スクエアフィート (19-38 平 方 メートル) 程 度 の 広 さが 多 い 洋 服 を 収 納 するウ ォークインクローゼットが 併 設 されている 家 が 多 い インテリアには クッション ひざ 掛 け かご アロマオイルを 置 いたりする 壁 には 絵 画 ポスターの 入 った 額 などを 飾 る 快 適 なベッドルームもアメリカの 家 庭 には 重 要 な 要 素 で ベッドの 種 類 も 多 い 例 えば サイズが 調 整 できるベッドもあれば ソファーのように 座 ることも 出 来 るものもある また 手 動 で 上 下 左 右 に 動 かすことが 出 来 るものもあれば ウォーターベッド 空 気 の 入 ったエアーベッドのようなものも ある 33

キッチン (Kitchen) 都 市 部 のアパートメントのキッチンは 50-100 スクエ アフィート (5-9 平 方 メートル) 程 度 しかないが 一 戸 建 てになると 200-400 スクエアフィート (19-38 平 方 メートル)くらいあり 大 きいサイズで 広 々としている 中 には キッチンの 中 央 に 調 理 用 の 備 え 付 けテーブ ルが 置 いてあり 多 人 数 のディナー パーティーのク ッキングにも 対 応 できる こういう 家 では 収 納 もかなり ゆとりがある キッチンとは 別 に 家 事 コーナーとして 活 用 されるサービスルームがある 家 もある 多 くのアメリカ 人 は キッチンを 閉 塞 感 のある 場 所 にはせずに 家 族 とのコミュニケーションができ るようにオープンキッチンにすることが 多 い キッチンの 中 は 全 て 統 一 された 素 材 ( 木 材 やスチー ル)を 使 い 良 い 雰 囲 気 を 出 している ステンレスのスチールで 仕 上 げた 電 化 設 備 にすべてを 統 一 しようとする 人 もいる これらの 洗 練 された 演 出 は 裕 福 さの 象 徴 と 言 えるのだろう アメリカの 住 宅 では キッチンにオーブンやシンク 冷 蔵 庫 電 子 レンジや 食 洗 機 ごみ 処 理 機 な どが 設 置 されていることが 多 い 一 般 的 には 装 飾 するには 壁 面 デザインに 気 を 遣 い 絵 画 花 輪 ポット フライパンなどをかけたり アートオブジェやかごを 置 くこともある ダイニングルーム(Dining Room) 大 きな 家 には 人 々がディナーに 集 うダイニングルームがある 一 般 的 には 大 きなダイニングテ ーブルやイスがあり また コンソール キャビネット カウンターテーブル ドリンク 専 用 のキャビ ネットもある 家 が 多 い 狭 い 家 アパートメントでは 一 般 的 にダイニングは 家 の 端 のほうに 位 置 しビストロテーブルやチェアを 用 いていることが 多 い 都 市 部 のアパートメントでは ダイニングル ームはリビングルームと 一 体 になっているが 一 戸 建 ての 家 では 普 通 ダイニングルームはリビン グルームとキッチンの 間 にあり 独 立 したスペースになっている この 部 屋 には カップボード ダイ ニングテーブル イス サービステーブルなどがゆったりと 置 いてある インテリアは ランプ ろう そく 立 て 花 瓶 置 物 ワインラック 壁 には アートなどの 額 壁 飾 り 鏡 などが 飾 られている バスルーム (Bath Room) 34

バスルームは 大 抵 ベッドルームに 併 設 されている マスターベッドルームには かならずバスル ームがついているが 子 供 部 屋 などには 二 つのベッドルームで 一 つのバスルームの 場 合 が 多 い バスルームをエレガントな 雰 囲 気 にしたい 人 は 多 く キャンドルや 小 さな 置 物 などをアクセントとし て 置 く スチームバスやサウナを 併 設 する 家 もある キッズルーム(Kids Room) 子 供 部 屋 には ベッド 机 本 棚 などが 置 いてある インテリアはあまり 置 かない 明 るく かわい い 内 装 にする 家 も 多 い 書 斎 (Den) 書 斎 が 一 部 屋 になっている 家 もあれば リビングのコーナーが 書 斎 スペースになっている 場 合 も ある インテリアには 写 真 立 て ランプ アートなどを 飾 る ランドリールーム(Laundry Room) この 部 屋 には 普 通 ウォシング マシン( 洗 濯 機 )とドライヤー( 乾 燥 機 )が 置 いてあり 洗 剤 雑 貨 などを 収 納 する 棚 がある インテリアはあまり 置 かない 通 常 ウォシング マシン( 洗 濯 機 )とドラ イヤー( 乾 燥 機 )は 住 宅 建 築 に 含 まれていることが 多 い ガレージ(Garage) ガレージは 自 動 車 のみを 置 くスペースではなく 大 工 道 具 ガーデニング 用 品 を 置 くスペースで もある 大 工 作 業 が 好 きな 人 は 多 くのツールを 壁 にきれいに 並 べたり 週 末 に 内 装 工 事 をした り 何 か 製 作 したりする ストレージ / 収 納 スペース (Storage) 地 下 にストレージがあったり 天 井 裏 がストレージになっていたり 庭 に 別 棟 として 物 置 があったり する 都 会 のアパートでは 別 にストレージを 借 りることもある 収 納 スペースを 充 分 取 ると 住 宅 の 中 がきれいに 収 まり 理 想 的 な 住 まいになるので 広 く 取 りたい 人 は 多 い 35

庭 (Garden) 木 や 花 を 植 えて 好 きなガーデンにする 家 は 多 い そのために ガーデンニング グッズをそろえ る 4. アメリカの 感 覚 4-1 アメリカのトレンドと 日 本 のトレンド 日 本 には 日 本 の 文 化 歴 史 自 然 を 背 景 にした 日 本 の 色 というものがあり 同 じようにアメリ カでも アメリカの 色 というものがある 加 えて その 年 の 流 行 (Trend)というものがあるので それを 無 視 して アメリカはこういう 色 デザインがいい と 一 概 に 言 うことはできない アメリカの 住 居 は 流 行 があるものの それほど 毎 年 頻 繁 に 変 わるわけではないので ライフスタイルの 傾 向 というのはある 程 度 明 確 にはなる このアメリカ 独 特 の 傾 向 を 無 視 して 当 社 のデザイン 色 はこれで 行 く というのは 危 険 な 賭 けに なってしまう アメリカのトレンドに 合 わせてみて 違 和 感 がないのであれば 問 題 ないが 大 きく 違 和 感 があればアメリカマーケットにあわせたデザイン 色 の 調 整 というものが 必 要 になってくる ただ 忘 れてはならないのは アメリカのデザインにぴったりと 合 わせるということでは 決 してない それでは アメリカにある 普 及 品 と 同 じになり 商 品 価 値 がなくなってしまう 自 社 の 独 自 のデザイ ンとアメリカのトレンドの 微 妙 なバランス 感 覚 が 必 要 になるということである アメリカは 多 くの 人 種 による 多 様 化 した 社 会 という 認 識 が 日 本 の 中 にあるのが 大 きな 落 とし 穴 である 多 様 化 しているのだから 日 本 的 なデザインも 好 む 人 がいるだろうと 甘 く 見 てはマーケテ ィングを 誤 る むしろ 多 様 化 しているからこそ 社 会 は 統 一 した 共 通 言 語 たるトレンド を 求 める のである アメリカは 日 本 以 上 にトレンドに 敏 感 なマーケットである 4-2 アメリカのトレンド エコ フレンドリー (Eco Friendly) 現 在 アメリカ 全 体 がエコブームになっている 環 境 保 護 という 意 識 は 日 本 に 比 べてまだまだ 浅 い のであるが 輸 入 食 品 は 安 全 ではない アジア 製 品 はすぐ 壊 れる というアジア 製 品 への 不 安 36

から 始 まって 安 全 な 食 品 を 食 べたい 安 全 なものを 生 活 に 取 り 入 れたい 環 境 に 配 慮 すべき だ という 意 識 が オーガニック 食 品 ナチュラル 製 品 への 憧 れ 環 境 を 大 切 に というような 意 識 の 変 化 がこの 数 年 で 定 着 してきた Eco と 商 品 についていると メディアも 取 り 上 げたがる そ の 変 化 の 波 は にも 伝 達 され ナチュラル 製 品 オーガニック 商 品 環 境 保 護 商 品 エコ フ レンドリー 商 品 へとバイヤーの 関 心 が 移 っている ブランド 志 向 アメリカの 好 景 気 を 背 景 に リーマンショック 前 は 高 級 品 が 良 く 売 れた 景 気 後 退 になり 売 上 は 落 としているものの 有 力 デパートの 高 級 品 売 り 場 は 相 変 わらず 買 い 物 客 であふれている 特 に 高 級 バッグの 人 気 は 高 く デパートのルイビトン グッチ シャネル フェンディ プラダを 高 級 品 と して 中 級 品 としてはコーチ ケイトスペイド マイケルコースなどが 常 に 多 くのファンを 集 めている 高 級 靴 も 堅 実 な 人 気 で クリスチャン ルブタン シャネル グッチ プラダ 中 級 品 としてトリーバ ーチ スチュアート ワイツマンのコーナーには 順 番 待 ちの 列 を 成 している 洋 服 ではリッチカジュ アルに 人 気 があり アリス&オリビア 3.1 フィリップ リム ダイアン バーンステハンバーグ ラグ アンドボーン ミリー セオリ フェルムト ラング アレクサンダー ワン ホート フィッピ バーバリ ー エリザベス アンド ジェームス ハルストン ヘリテージなどが 人 気 ブランドであろう アイテム のトレンドは プリントを 加 えたスキニーパンツ ショートパンツ レザーアイテムになっている ア メリカ 人 のブランド 志 向 はこの 数 年 で 火 がついた 感 じで いまだ 下 火 にはなっていない その 影 響 で あらゆる 製 品 カテゴリーでブランド 的 なプレゼンテーションが 求 められている マーケットの 二 極 化 アメリカの 金 融 バブルが 崩 壊 して 以 降 一 点 豪 華 主 義 へ 走 る 人 も 多 く 高 級 ブランドが 売 れてい る 一 方 では 低 価 格 製 品 の 店 舗 が 増 え 続 けている ニューヨークの 五 番 街 は ユニクロ H&M センチュリー21 などファッションの 安 売 りチェーン 店 が 続 々と 出 展 している アメリカ 全 体 のマーケ ットも 良 いもの と 安 いもの の 二 つに 分 かれてきている しかし 高 価 格 帯 は 当 然 であるが 低 価 格 帯 でも 安 ければ 何 でも 良 い ということではなく 安 くても 品 質 の 良 いもの が 求 められてい る 4-3 カラー トレンド 今 年 来 年 の 流 行 色 はなにか?これは 製 品 をデザインするあらゆる 産 業 に 共 通 の 企 画 テーマ 37

である 色 の 流 行 は 製 品 の 購 買 に 決 め 手 になることは 周 知 のとおりで アメリカマーケットに 販 売 する 日 本 製 品 を 扱 っている 日 本 企 業 もむろん 無 関 係 ではない 例 えば グリーンが 流 行 してい る 時 は いかなる 商 品 でもグリーンの 商 品 または 一 部 グリーンを 使 った 商 品 の 動 きは 早 い 商 品 構 成 上 重 要 な 要 素 である アメリカ 人 は 日 本 人 以 上 にトレンドカラーに 敏 感 である アメリカ のバイヤーの 中 には 今 年 は WWD 誌 が 次 のシーズンの 流 行 色 は** 色 と 発 表 したのでそれにつ いていく という 人 もかなり 多 い つまり 方 程 式 的 に 仕 入 れを 行 うのである したがって 商 品 は 取 り 立 てて 新 しくなくともトレンドカラーを 強 く 打 ち 出 しているブースには 多 くの 人 が 入 っていく 色 の 選 択 は 日 用 品 企 業 にとっても 最 も 難 しい 課 題 である 根 拠 が 明 確 ではないからだ そこ で 製 品 にとって 重 要 な 要 素 である 色 をはずさないために 多 くの 会 社 デザイナーは 企 画 会 社 から 高 額 のトレンド 情 報 を 購 入 する 流 行 色 協 会 の 資 料 を 集 めるなどして はずさない 努 力 を する 一 つには 世 界 のトレンドを 牽 引 するヨーロッパのトレンドの 研 究 はヒントになる パリのプルミエールビジョン( 素 材 の 展 示 会 )の 流 行 色 情 報 なども 研 究 するとよいだろう その 情 報 を いきなり 採 用 するということではなく 製 品 のデザイン カタログ パッケージなどを 製 作 す る 時 の 参 考 情 報 として 使 うとよいだろう 多 くのアメリカ 企 業 はこれらの 色 を 何 らかの 形 で 取 り 入 れていく 違 和 感 のあるパッケージや 宣 伝 ツールを 作 ってしまわないように アメリカの 色 を 研 究 する それがアメリカマーケットでは 重 要 なのである アメリカマーケットでは 白 と 黒 の 製 品 は 良 く 売 れている 伝 統 的 な 安 全 色 である この 傾 向 は しばらくは 続 いていくだろう 特 に アメリカの 住 宅 インテリアの 色 は 白 が 基 調 になっている 為 白 の 製 品 は 安 定 して 売 れていく 2016 年 -2017 年 のカラー 傾 向 は 穏 やかな 色 ソフトな 色 のピンク 水 色 ライトベージュである また 70 年 代 を 彷 彿 させるカラーグループのマルサラ レッド バーガンジー パープル ネイビー ブルー ブラウン イエローでいずれもかすれたトーンである 38

第 4 章 アメリカの アメリカマーケットに 製 品 を 販 売 するとき 様 々な 販 売 対 象 が 考 えられる 販 売 対 象 によって 販 売 方 法 取 引 内 容 は 変 わってくる 1. マーケットの 販 売 対 象 1-1 専 門 店 (Specialty Store) アメリカの 専 門 店 (Specialty Store スペシャリティ ストア)は マーケットが 全 米 規 模 のチェーン 店 に 押 されているとは 言 え 多 種 多 様 に 存 在 し 消 費 者 にとっては 欠 かせない 存 在 である レベルの 高 い 専 門 店 から 家 族 経 営 の 小 規 模 な 専 門 店 までその 数 は 多 い 通 常 展 示 会 で 仕 入 れるので 一 店 ずつ 営 業 攻 勢 をかけるというより 展 示 会 で 出 会 い 注 文 を 得 る 方 法 が 効 率 的 だ 展 示 会 で すぐにビジネスを 開 始 できる 必 ずしも 信 用 状 況 (クレジット ランク)が 高 い 店 ばかりではないので ファクタリング 会 社 を 通 して 信 用 リサーチをしっかりと 行 うか 前 払 いや クレジットカード 払 いによる 決 済 が 望 ましい 展 示 会 に 来 る 顧 客 の 多 くは 専 門 店 であるので 受 注 することは 容 易 であるがしっかりした 回 収 体 制 が 必 要 である 美 術 館 博 物 館 に 併 設 さ れている 店 舗 も アメリカには 多 く ミュージア ム ストア(Museum Store)としてひとつのマー ケットを 形 成 している 店 舗 のあらまし 日 本 企 業 の 製 品 がギフト 製 品 やホーム 製 品 雑 貨 的 なもの デザイン 系 製 品 であれば はじめに 対 象 とする は 各 種 専 門 店 である 雑 貨 店 日 用 品 専 門 店 ステーショナリー 専 門 店 家 具 インテリア 専 門 店 ハードウェアショップ ギフトショップ キッチン 専 門 店 ミュージアムストア などがそうである 最 近 は 様 々な 生 活 用 品 を 扱 うライフスタイル 型 専 門 店 が 増 えてきている 店 39

舗 の 広 さは 500 スクエアフィートから 3000 スクエアフィートくらいであろう 狭 くともこだわりの 品 揃 え 良 いテイスト コンテンポラリーな 雰 囲 気 で 固 定 客 に 人 気 のあるおしゃれな 専 門 店 も 増 え てきた 商 品 構 成 商 品 構 成 は が 扱 っていない こだわりの 商 品 をテーマに 個 性 のあるデザイン ユニークな 製 品 楽 しい 商 品 目 新 しい 製 品 など 専 門 店 の 商 品 の 仕 入 れは バイヤーが 展 示 会 で 発 注 したり ショールームに 行 って 発 注 する セールスやレップが 店 舗 に 行 ってサンプルを 使 っ て 注 文 することもある 取 引 が 継 続 している 取 引 先 は 電 話 Eメール オンラインによる 発 注 も 行 う 日 本 企 業 がアメリカマーケットで 最 初 に 取 引 する 販 売 対 象 である NYNOW の 日 本 パビリオン には 数 多 くの 専 門 店 が 来 ており 日 本 製 品 ファン 固 定 客 も 増 えてきた バイヤーたちは 日 本 製 品 のデザインの 良 さ 品 質 の 高 さを 充 分 認 識 している 納 品 回 収 専 門 店 への 納 品 には 特 にルールがなく 商 品 を 梱 包 した 箱 にインボイスを 入 れて 運 送 会 社 (UPS や FEDEX)を 使 って 発 送 する 取 引 が 安 定 的 に 継 続 している 場 合 は NET30 NET60 の 取 引 形 態 がある 決 済 方 法 は ファクタリングを 通 すか クレジットカード 決 済 COD 決 済 になるだろう 多 く の 店 舗 は クレジットカードで 支 払 っている 取 引 自 体 はシンプルで 基 本 的 に 返 品 も 無 いので 取 引 上 難 しい 問 題 は 発 生 しない 商 品 の 出 荷 の 前 に 決 済 は 完 了 する 納 品 回 収 体 制 は 前 もって 準 備 しておく 詳 細 は 第 六 章 アメリカのビジネス で 解 説 する 営 業 方 法 規 模 の 大 きい 展 示 会 で 多 くのバイヤーと 出 会 うのが 効 率 的 である 各 都 市 にあるギフト 展 やカテ ゴリー 別 の 展 示 会 で 専 門 店 と 出 会 うことができる 有 力 な 店 には 商 品 のカタログを 送 り 営 業 的 なコンタクトを 展 示 会 前 から 行 い 展 示 会 案 内 を 送 り アポをとってブースで 商 談 が 出 来 れば 一 番 良 い 行 きやすいロケーションで かなりの 有 力 店 であれば アポをとって 店 舗 に 行 き 商 談 を 行 うという 方 法 も 可 能 アメリカビジネスの 初 年 度 には 特 に 力 を 入 れる 販 売 対 象 である 専 門 店 との 取 引 の 中 で 多 くのことを 吸 収 していく アメリカビジネス 初 年 度 に 100 店 の 専 門 店 との 取 引 を 行 うのは 充 分 可 能 だ 取 引 上 の 注 意 点 専 門 店 は どこにでも 売 っている 商 品 を 避 ける 傾 向 があり 売 っているものにこだわりがある ため 近 くの で 扱 ってほしくない つまり オーバーラッピング を 避 けたいのである 展 示 40