バイオマス燃料を中心とした輸送用燃料製造におけるGHG排出量に関する研究報告書(公開版)



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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

消 費 ~ 軽 減 率 消 費 の 軽 減 率 制 度 が 消 費 率 10% 時 に 導 入 することとされています 平 成 26 年 4 月 1 日 平 成 27 年 10 月 1 日 ( 予 定 ) 消 費 率 5% 消 費 率 8% 消 費 率 10% 軽 減 率 の 導 入 平 成 26

平成19年9月改定

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

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平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

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1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

第 2 節 関 連 計 画 1. 国 の 方 針 計 画 国 が 示 している 一 般 廃 棄 物 の 減 量 化 等 に 関 する 目 標 値 を 以 下 に 示 します (1) 廃 棄 物 の 減 量 その 他 その 適 正 な 処 理 に 関 する 施 策 の 総 合 的 かつ 計 画 的 な

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18 国立高等専門学校機構

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公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

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32 農事組合法人法人用パンフ_24.2一部改正)

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

1 ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 の 事 業 税 の 課 税 について ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 は 収 入 金 額 を 課 税 標 準 として 収 入 割 の 申 告 となります ( 法 72 条 の2 72 条 の 12 第 2 号 ) ガス 供 給 業 とその 他 の 事

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

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目 改 正 項 目 軽 自 動 車 率 の 引 上 げ 〇 国 及 び 地 方 を 通 じた 自 動 車 関 連 制 の 見 直 しに 伴 い 軽 自 動 車 の 標 準 率 が 次 のとおり 引 き 上 げられます 車 種 区 分 引 上 げ 幅 50cc 以 下 1,000 円 2,000 円

< 目 次 > 1 軽 四 輪 車 等 に 係 る 税 率 引 上 げ Q1 1 軽 四 輪 車 等 についてなぜ 標 準 税 率 を 引 き 上 げることにしたのですか? 3 Q1 2 自 家 用 乗 用 車 については 税 率 を 1.5 倍 に 引 き 上 げ それ 以 外 ( 貨 物 用 営

Microsoft Word - H25年度の概要

平成15・16年度の建設工事入札参加資格の認定について

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3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑


入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

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Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

資料3 家電エコポイント制度の政策効果等について

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リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

一般競争入札について

平成24年度 業務概況書

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

第 40 回 中 央 近 代 化 基 金 補 完 融 資 推 薦 申 込 み 公 募 要 綱 1 公 募 推 薦 総 枠 30 億 円 一 般 物 流 効 率 化 促 進 中 小 企 業 高 度 化 資 金 貸 付 対 象 事 業 の 合 計 枠 2 公 募 期 間 平 成 28 年 6 月 20

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

PowerPoint プレゼンテーション

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

●電力自由化推進法案

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公表表紙

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

波佐見町の給与・定員管理等について

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m07 北見工業大学 様式①

16 日本学生支援機構

Microsoft Word - 通達(参考).doc

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技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

弁護士報酬規定(抜粋)

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

01.活性化計画(上大久保)

d02 国際交流基金 様式1

年 金 払 い 退 職 給 付 制 度 における 年 金 財 政 のイメージ 積 立 時 給 付 時 給 付 定 基 (1/2) で 年 金 を 基 準 利 率 で 付 利 給 付 定 基 ( 付 与 利 の ) 有 期 年 金 終 身 年 金 退 職 1 年 2 年 1 月 2 月 ( 終 了 )

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

定款

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

第4回税制調査会 総4-1

1

平成22年度

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

【労働保険事務組合事務処理規約】

4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

1_2013BS(0414)

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(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

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平成17年度高知県県産材利用推進事業費補助金交付要綱

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 2 年 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制 措 置 を 行 う 前 のものです ( 単 位 : ) 3 職 員 の 平 均 給 与 月

職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 () 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 ( 年 4 月 日 現 在 ) 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 ( ベース) 44. 歳 6,4, 歳,44 4,7 7,6 4. 歳 7,

(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

Transcription:

輸 送 用 燃 料 の Well-to-Wheel 評 価 バイオ 燃 料 を 中 心 とした 輸 送 用 燃 料 製 造 (Well-to-Tank)における 温 室 効 果 ガス 排 出 量 に 関 する 研 究 報 告 書 平 成 20 年 12 月

本 報 告 書 の 内 容 に 関 する 問 い 合 わせ 先 みずほ 情 報 総 研 株 式 会 社 環 境 資 源 エネルギー 部 101-0054 東 京 都 千 代 田 区 神 田 錦 町 3-1 TEL:03-5281-5282 FAX:03-5281-5466 URL:http://www.mizuho-ir.co.jp/kankyo/ 本 報 告 書 の 無 断 複 写 は 著 作 権 法 上 の 例 外 を 除 き 禁 じられています 本 報 告 書 に 記 載 されている 文 章 図 表 等 を 複 写 使 用 する 場 合 はあらかじめトヨタ 自 動 車 及 びみずほ 情 報 総 研 の 許 可 を 受 けて 下 さい また 本 報 告 書 に 記 載 された 情 報 の 利 用 にあたっては 各 自 の 判 断 に 基 づき 行 うものとし トヨタ 自 動 車 及 び みずほ 情 報 総 研 はそれによって 生 じた 一 切 の 損 害 については 責 任 を 負 いかねます

はじめに みずほ 情 報 総 研 株 式 会 社 は 2004 年 11 月 トヨタ 自 動 車 株 式 会 社 からの 委 託 を 受 け 将 来 の 輸 送 用 燃 料 の 方 向 性 を 検 討 する 上 で 重 要 な 指 標 の 一 つとなる 輸 送 用 燃 料 を 製 造 する 際 の 温 室 効 果 ガス 排 出 量 に 関 する 調 査 研 究 を 実 施 し 研 究 報 告 書 としてまとめた(みずほ 情 報 総 研 [2004]) 同 調 査 を 実 施 した 当 時 バイオマス 資 源 を 起 源 とする 燃 料 の Well-to-Tank( 一 次 エネルギーの 採 掘 から 燃 料 タンクに 充 填 されるまで)に 係 る 情 報 も 十 分 ではなかったため 同 報 告 書 において は 基 本 的 に 公 表 されているデータを 中 心 に 把 握 整 理 することに 務 めた その 後 バイオマス 資 源 を 起 源 とする 燃 料 に 関 わる 動 向 は 劇 的 に 変 化 し 世 界 各 国 で 普 及 し 始 めているとともに それ らに 関 する 様 々な 情 報 の 収 集 が 以 前 より 可 能 となりつつある 状 況 にある 本 報 告 書 は 前 回 に 引 き 続 き みずほ 情 報 総 研 がトヨタ 自 動 車 からの 委 託 を 受 け バイオマス 資 源 を 起 源 とした 燃 料 を 中 心 とした Well-to-Tank でのエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 について 新 たに 収 集 整 理 した 情 報 をもとに 算 出 した 結 果 をまとめたものである 2008 年 12 月 みずほ 情 報 総 研 株 式 会 社 環 境 資 源 エネルギー 部

( 裏 表 紙 )

概 要 本 報 告 では 特 にバイオ 燃 料 に 焦 点 をあて 前 回 の 報 告 以 降 新 たに 収 集 整 理 した 情 報 をも とに Well-to-Tank( 一 次 エネルギーの 採 掘 から 燃 料 タンクに 充 填 されるまで)でのエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 算 出 を 行 った バイオ 燃 料 製 造 パスの 選 定 にあたっては 前 回 の 報 告 とは 異 なり 日 本 国 内 に 限 定 せず 導 入 が 進 みつつある 世 界 の 主 要 国 地 域 を 広 く 対 象 とした また 温 室 効 果 ガス 排 出 量 のうち CO 2 排 出 量 については その 発 生 源 別 ( 化 石 燃 料 由 来 バイオ マス 由 来 )に 整 理 した 輸 送 用 燃 料 1 MJ を 製 造 する 時 のエネルギー 消 費 量 と 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 関 係 については バイオ 燃 料 の 多 くは ガソリンや 軽 油 に 比 べ 温 室 効 果 ガス 排 出 量 は 半 分 以 下 と 小 さいものの 多 くのエネルギーを 消 費 するという 結 果 が 得 られた( 概 図 1 参 照 ) また コーンからのエタノール 製 造 パスのように プランテーション 時 の 施 肥 量 が 多 いパスや 燃 料 転 換 時 のエネルギー 源 に 化 石 燃 料 を 用 いているパスでは 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 値 は 大 きくなった なお 本 結 果 には 昨 今 注 目 されつつある 土 地 の 利 用 の 変 化 に 伴 う 温 室 効 果 ガスは 考 慮 していない これらの 扱 いについて は 今 後 の 検 討 課 題 の 一 つである 2.5 エネルギー 消 費 量 [ MJ/MJ ] ( 輸 送 用 燃 料 1MJ 製 造 時 ) 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 間 伐 材 ( 日 ) エタノール サトウキビ( 東 南 ア) エタノール サトウキビ( 伯 ) エタノール サトウキビ( 伯 ) エタノール<cs-3> サトウキビ( 伯 ) エタノール<cs-1> アブラヤシ( 東 南 ア) BDF ガソリンや 軽 油 に 比 べ GHG 排 出 量 は 小 さいが エネルギー 消 費 量 が 大 きい 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 温 室 効 果 ガス(GHG) 排 出 量 [ g eq.co 2/MJ ] ( 輸 送 用 燃 料 1MJ あたりの 化 石 燃 料 由 来 の 温 室 効 果 ガス ) バイオ 燃 料 でもエネルギー 転 換 に おいて 化 石 燃 料 を 多 く 使 用 すると GHG 排 出 量 は 大 きくなってしまう コーン( 米 ) エタノール プランテーション 時 の 施 肥 量 が 多 いことも 寄 与 している サトウキビ( 伯 ) エタノール<cs-2> 軽 油 ガソリン 概 図 1 輸 送 用 燃 料 1 MJ を 製 造 する 時 のエネルギー 消 費 量 と 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 関 係 ( 図 中 の<cs- >はケーススタディの 略 ( 後 述 用 語 の 解 説 ご 参 照 ) ) また 前 回 報 告 に 引 き 続 き 参 考 までに Tank-to-Wheel( 燃 料 タンクから 車 両 走 行 まで)に 関 す るデータとあわせた 日 本 におけるセダン 系 乗 用 車 の 所 定 の 条 件 下 での Well-to-Wheel( 一 次 エネ ルギーの 採 掘 から 車 両 走 行 まで)での 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 一 例 を 算 出 した( 概 図 2 参 照 ) バイオ 燃 料 は 原 料 の 種 類 や 産 地 の 違 いにより Well-to-Wheel での 温 室 効 果 ガス 排 出 量 は 大 きく ばらつく 結 果 となったものの ガソリン 車 より 小 さい 値 となった ( 1 )

なお 本 報 告 で 示 した Well-to-Wheel での 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 算 出 結 果 は ある 条 件 下 でのケ ーススタディであり この 結 果 によってバイオ 燃 料 の 種 類 及 び 各 製 造 パスの 優 劣 を 議 論 できるも のではない バイオ 燃 料 については 原 料 の 生 産 場 所 や 燃 料 の 利 用 場 所 供 給 量 使 い 勝 手 等 幅 広 い 見 地 から 総 合 的 に 評 価 していくことが 必 要 である ガソリン [ICE] ガソリン [ICE/HV] 軽 油 [ICE] 軽 油 [ICE/HV] サトウキビ(ブラジル) エタノール[ICE]< 基 準 ケース> サトウキビ(ブラジル) エタノール[ICE]<ケーススタディ(1)> Well-to-Tank Tank-to-Wheel サトウキビ(ブラジル) エタノール[ICE]<ケーススタディ(2)> サトウキビ(ブラジル) エタノール[ICE]<ケーススタディ(3)> サトウキビ( 東 南 アジア) エタノール[ICE]< 基 準 ケース> 間 伐 材 ( 日 本 ) エタノール[ICE]< 基 準 ケース> アブラヤシ( 東 南 アジア) BDF[ICE]< 基 準 ケース> エタノール 車 の 車 両 効 率 はガソリン 車 と 同 様 BDFの 車 両 効 率 はディーゼル( 軽 油 ) 車 と 同 等 として 計 算 1.0 0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 GHG 排 出 量 [ガソリン 車 を1.0とした 場 合 の 相 対 値 ] 概 図 2 日 本 における Well-to-Wheel での 温 室 効 果 ガス 排 出 量 算 出 結 果 の 一 例 用 語 の 解 説 ICE : Internal Combustion Engine( 内 燃 機 関 ) HV : Hybrid Vehicle(ハイブリッド 車 ) BDF : Bio Diesel Fuel( 生 物 由 来 油 から 作 られる 軽 油 代 替 燃 料 の 総 称 ) サトウキビ(ブラジル) エタノール[ICE] <ケーススタディ(1)> ブラジルにおいてバガス 余 剰 分 をエタノール 原 料 として 利 用 するケース <ケーススタディ(2)> 所 内 エネルギーとして 利 用 しているバガスをエタノール 原 料 にまわし その 代 替 エネルギーとして 新 たに 軽 油 を 投 入 するケース <ケーススタディ(3)> 省 エネルギー 技 術 を 導 入 して 増 加 したバガス 余 剰 分 をエタノール 原 料 として 利 用 するケース ( 2 )

補 足 説 明 : 本 研 究 内 容 の 報 告 にあたって [1]Well-to-Tank と 自 動 車 の LCA との 関 係 ライフサイクルアセスメント(LCA)とは 原 材 料 の 採 取 ( 鉄 鉱 石 の 採 掘 等 )から 製 造 輸 送 使 用 及 び 廃 棄 に 至 るすべての 過 程 (すなわち 人 間 に 例 えるならばゆりかごから 墓 場 までの 全 生 涯 )を 通 して 製 品 やサービスが 環 境 に 与 える 負 荷 の 大 きさを 定 量 的 に 整 理 評 価 する 手 法 のこ とである 例 えば 製 造 に 必 要 な 原 材 料 を 減 らす 等 部 分 的 に 環 境 負 荷 を 軽 減 しても 製 品 の 使 用 段 階 でエネルギー 消 費 量 が 増 えてしまっては 環 境 問 題 の 解 決 には 繋 がらない 環 境 保 全 を 進 め るためには 製 品 のライフサイクル 全 体 を 通 して 環 境 に 与 える 負 荷 の 大 きさを 評 価 し その 削 減 を 進 めていくことが 不 可 欠 である 一 方 Well-to-Wheel( 一 次 エネルギーの 採 掘 から 車 両 走 行 まで)とは 自 動 車 に 関 する LCA の うち 自 動 車 が 使 用 段 階 で 消 費 する 燃 料 のライフサイクルに 焦 点 を 当 てて 検 討 する 手 法 のことで ある そして 本 報 告 で 取 り 上 げた Well-to-Tank( 一 次 エネルギーの 採 掘 から 燃 料 タンクに 充 填 されるまで)とは Well-to-Wheel のうち エネルギー 原 料 の 採 掘 栽 培 から 輸 送 用 燃 料 を 製 造 し 自 動 車 の 燃 料 タンクに 充 填 されるまでの 部 分 に 注 目 したものである( 補 図 1 参 照 ) 燃 料 供 給 サイクル Well-to-Tank (エネルギー 原 料 ) 採 掘 栽 培 生 産 輸 送 貯 蔵 ( 燃 料 ) 生 産 輸 送 貯 蔵 充 填 本 研 究 の 対 象 燃 料 供 給 インフラ 製 造 使 用 燃 料 供 給 インフラ 解 体 廃 棄 土 地 の 利 用 の 変 化 ( 森 林 伐 採 等 ) ( 自 動 車 ) 製 造 ( 自 動 車 ) 輸 送 走 行 廃 棄 リサイクル 車 両 サイクル 関 連 インフラ 製 造 使 用 Tank-to-Wheel 車 両 サイクル 関 連 インフラ 解 体 廃 棄 車 両 サイクル 補 図 1 自 動 車 のライフサイクルの 各 段 階 と 本 報 告 の 対 象 範 囲 ( 波 線 部 分 は 本 報 告 の 対 象 外 ) Well-to-Wheel での 評 価 は 将 来 の 自 動 車 用 燃 料 や 動 力 源 (パワートレーン)を 評 価 する 指 標 の 一 つとして 一 般 的 に 使 用 されている LCA での 算 出 結 果 は 自 動 車 の 製 造 やある 想 定 距 離 を 走 行 したこと 等 に 伴 い 発 生 する 環 境 負 荷 の 総 量 を 表 すのに 対 し Well-to-Wheel での 算 出 結 果 は 燃 料 と 動 力 源 に 組 み 合 わせによる 単 位 量 ( 例 えば 走 行 距 離 や 発 熱 量 等 )あたりの 環 境 負 荷 の 量 を 表 している( 補 図 2 参 照 ) このように Well-to-Wheel とは 自 動 車 のライフサイクルで 最 も 重 要 な 走 行 段 階 に 焦 点 をあてた 評 価 手 法 の 1 つである ( 3 )

温 室 効 果 ガス(GHG) 排 出 量 [kg eq.co2] 自 動 車 製 造 までの GHG 排 出 量 傾 き 燃 料 と 動 力 源 (パワートレイン)の 組 み 合 わせに よる 単 位 走 行 距 離 あたりのGHG 排 出 量 [ 単 位 :kg eq.co 2 /km] Well-to-Wheel 結 果 LCA 結 果 総 量 LCAの 前 提 条 件 と して10 万 km 走 行 と した 場 合 における GHG 排 出 量 [ 単 位 :kg eq.co 2] 走 行 距 離 [km] 100,000 [km] 補 図 2 Well-to-Wheel 結 果 と 自 動 車 の LCA 結 果 との 関 係 [2]カーボンニュートラル カーボンニュートラル(Carbon Neutral)とは 一 連 の 人 為 的 活 動 を 行 った 際 に 排 出 される CO 2 と 吸 収 される CO 2 が 同 じ 量 であることをいう バイオ 燃 料 の 場 合 その 元 となる 植 物 等 のバイオ マス 資 源 に 含 まれる 炭 素 分 は 植 物 がその 成 長 過 程 で 光 合 成 により 大 気 中 の CO 2 を 吸 収 したもの である 従 って バイオ 燃 料 を 燃 焼 してエネルギーに 利 用 しても その 植 物 を 再 生 産 する 限 り 大 気 中 の CO 2 は 変 化 しないという 概 念 である 本 報 告 では これらカーボンニュートラルとして 扱 われる CO 2 の 量 を バイオマス 由 来 として 整 理 している 燃 料 転 換 等 の エネルギーになる 部 分 光 合 成 (CO 2を 吸 収 ) バイオマス 資 源 の 生 産 輸 送 用 燃 料 になる 部 分 光 合 成 (CO 2を 吸 収 ) バイオマス 資 源 が 再 生 産 される 限 り カーボンニュートラル バイオマス (CO 2を 排 出 ) (バイオマス 由 来 ) 化 石 燃 料 (CO 2を 排 出 ) 燃 料 製 造 に 関 する プロセス ( 化 石 燃 料 由 来 ) 京 都 議 定 書 で 計 上 される [Well-to-Tank CO 2] 自 動 車 の 走 行 (CO 2を 排 出 ) (バイオマス 由 来 ) 京 都 議 定 書 では 計 上 されない [Tank-to-Wheel CO 2] 補 図 3 本 報 告 での CO 2 排 出 量 とカーボンニュートラルとの 関 係 ( 4 )

- 目 次 - はじめに 概 要...(1) 補 足 説 明 : 本 研 究 内 容 の 報 告 にあたって...(3) [1]Well-to-Tank と 自 動 車 の LCA との 関 係...(3) [2]カーボンニュートラル...(4) 1. 問 題 意 識 と 目 的...1 2. 調 査 範 囲...2 2.1 世 界 におけるバイオ 燃 料 の 政 策 動 向 及 び 導 入 状 況...2 2.1.1 米 国...2 2.1.2 ブラジル...5 2.1.3 欧 州...7 2.1.4 東 南 アジア(タイ)...9 2.1.5 東 南 アジア(マレーシア)...10 2.1.6 東 南 アジア(インドネシア)...11 2.1.7 日 本...12 2.2 評 価 対 象 とする 燃 料 製 造 (Well-to-Tank)パス...13 2.3 環 境 負 荷 項 目...14 2.4 算 出 方 法...15 3. Well-to-Tank に 関 するデータの 収 集 手 順 及 び 算 出 方 法 ( 基 準 ケース)...16 3.1 バイオエタノール...16 3.1.1 米 国...16 3.1.2 ブラジル...25 3.1.3 欧 州...28 3.1.4 東 南 アジア...34 3.1.5 日 本...37 - i -

3.2 バイオディーゼル 燃 料 (BDF)...44 3.2.1 米 国...44 3.2.2 ブラジル...47 3.2.3 欧 州...49 3.2.4 東 南 アジア...52 4. ケーススタディ...56 4.1 海 外 でのバイオエタノールに 関 するケーススタディ...56 4.1.1 米 国 におけるコーンストーバーの 利 用...56 4.1.2 ブラジルにおける 余 剰 バガスの 利 用...58 4.1.3 欧 州 における 小 麦 わらの 利 用...61 4.2 日 本 でのバイオエタノールに 関 するケーススタディ...62 4.2.1 稲 わらの 利 用...62 4.2.2 欧 州 ETBE の 輸 入...63 4.2.3 ブラジルからの 輸 入 エタノールの ETBE 利 用...64 4.2.4 東 南 アジアからの 輸 入 エタノールの ETBE 利 用...65 5. 結 果 の 考 察 と 今 後 の 展 開...67 5.1 評 価 対 象 としたバイオ 燃 料 の Well-to-Tank における 算 出 結 果...67 5.1.1 バイオエタノール...67 5.1.2 ETBE...69 5.1.3 BDF...70 5.2 結 果 の 考 察 と 今 後 の 展 開 について...71 5.2.1 バイオエタノール...71 5.2.2 BDF...73 5.2.3 輸 送 用 燃 料 1 MJ 製 造 時 のエネルギー 消 費 量 と 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 関 係...74 5.2.4 今 後 の 展 開...74 5.3 [ 参 考 ]Well-to-Wheel での 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 算 出 結 果 の 一 例...75 6. 参 考 文 献...77 - ii -

1. 問 題 意 識 と 目 的 燃 料 電 池 自 動 車 (FCV)の 実 用 化 が 視 野 に 入 り ガソリン 車 ハイブリッド 車 とともに 動 力 源 の 選 択 肢 が 増 える 一 方 で 燃 料 の 多 様 化 も 進 みつつある このような 背 景 のもと 自 動 車 が 引 き 続 き 社 会 の 中 で 活 用 されるために 自 動 車 の 利 便 性 を 犠 牲 にすることなく 環 境 負 荷 を 軽 減 する ために 役 立 つ 様 々な 技 術 や 燃 料 の 可 能 性 を 検 討 するための 基 礎 情 報 を 把 握 することが 本 研 究 の 目 的 である 前 回 の 報 告 (みずほ 情 報 総 研 [2004])では 日 本 において 輸 送 用 燃 料 として 考 えられる 様 々な 燃 料 製 造 パスについて 調 査 整 理 するとともに それら 各 パスにおける Well-to-Wheel( 一 次 エネ ルギーの 採 掘 から 車 両 走 行 まで)でのエネルギー 消 費 量 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 積 み 上 げ 形 式 に て 算 出 した その 後 特 にバイオマス 資 源 を 起 源 とする 燃 料 ( 以 下 バイオ 燃 料 )については 様 々な 国 地 域 において 各 種 技 術 開 発 が 実 施 されるとともに 当 時 と 比 べ 市 場 規 模 も 大 きく 変 化 している 本 研 究 の 目 的 に 資 するためには これらの 内 容 を 反 映 した 基 礎 情 報 の 見 直 しが 必 要 であると 考 え られる また バイオ 燃 料 については カーボンニュートラル が 免 罪 符 となっていることにつ いての 懸 念 も 出 始 めている このような 懸 念 にこたえるためにも バイオ 燃 料 の 種 類 や 製 造 パス の 違 いによる Well-to-Wheel での 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 定 量 的 に 把 握 しておくことが 重 要 である 本 報 告 では 特 にバイオ 燃 料 に 焦 点 をあて 前 回 の 報 告 以 降 新 たに 収 集 整 理 した 情 報 をも とに Well-to-Tank( 一 次 エネルギーの 採 掘 から 燃 料 タンクに 充 填 されるまで)でのエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 算 出 を 行 った なお バイオ 燃 料 製 造 パスの 選 定 にあたっては 前 回 の 報 告 とは 異 なり 日 本 国 内 に 限 定 せず 導 入 が 進 みつつある 世 界 の 主 要 国 地 域 を 対 象 に 1 既 に 実 現 している 2 将 来 実 現 する 可 能 性 が 高 い 3 実 現 した 場 合 の 波 及 効 果 が 大 きい とい う 視 点 から 行 った また 温 室 効 果 ガス 排 出 量 のうち CO 2 排 出 量 については その 発 生 源 別 ( 化 石 燃 料 由 来 バイオマス 由 来 )に 整 理 した - 1 -

2. 調 査 範 囲 前 回 の 報 告 では 評 価 対 象 とする 輸 送 用 燃 料 製 造 パスは 日 本 国 内 に 限 定 した 本 研 究 が 各 国 各 地 域 でのエネルギー 事 情 やインフラストラクチャーの 整 備 規 制 の 状 況 に 応 じて 自 動 車 と 燃 料 の 最 適 な 組 み 合 わせを 追 求 していくという 視 点 から 特 にバイオ 燃 料 製 造 パスの 選 定 にあたっ ては 日 本 国 内 に 限 定 せず 導 入 が 進 みつつある 世 界 の 主 要 国 地 域 に 注 目 して 行 うこととした なお 本 報 告 では バイオ 燃 料 として 昨 今 注 目 されている 液 体 燃 料 の バイオエタノール と バイオディーゼル 燃 料 (BDF) を 対 象 とした バイオ 燃 料 製 造 パスの 選 定 にあたり はじめに 現 時 点 での 世 界 におけるバイオ 燃 料 の 政 策 動 向 及 び 導 入 状 況 を 整 理 しておく 2.1 世 界 におけるバイオ 燃 料 の 政 策 動 向 及 び 導 入 状 況 バイオ 燃 料 の 生 産 及 び 消 費 という 視 点 から 米 国 ブラジル 欧 州 東 南 アジア 日 本 の 5 つ の 国 地 域 について 整 理 した( 本 内 容 は 2008 年 3 月 時 点 での 状 況 をもとに 作 成 している) 2.1.1 米 国 (1) 政 策 動 向 1998 年 に 公 布 された 大 統 領 令 13134 号 バイオ 製 品 とバイオマスエネルギーの 開 発 促 進 に 関 する 大 統 領 令 により バイオマスエネルギーに 関 する 技 術 開 発 や 導 入 が 加 速 化 された クリン トン 政 権 時 代 バイオマスエネルギーは 環 境 保 護 農 業 保 護 エネルギーセキュリティの 確 保 の 3 点 から 導 入 が 進 められており 発 電 やエタノールに 関 する 技 術 開 発 が 盛 んに 実 施 されてきた また 2005 年 に 制 定 された 包 括 エネルギー 法 により 再 生 可 能 燃 料 使 用 基 準 (Renewable Fuel Standard(RFS))が 定 められ 2012 年 に 75 億 ガロン(= 約 2,840 万 キロリットル)の 導 入 を 義 務 付 けることとなった その 後 エタノールの 導 入 は 順 調 に 進 み 義 務 量 を 上 回 るペースで 製 造 さ れている 2007 年 に 一 般 教 書 演 説 の 中 で 2017 年 におけるバイオ 燃 料 の 導 入 義 務 量 を 350 億 ガロンとする 旨 の 発 表 がなされ エタノール 工 場 建 設 の 計 画 は 大 幅 に 増 加 する また 2007 年 末 に 成 立 した 新 エネルギー 法 において RFS は 大 きく 見 直 され 2022 年 におけるバイオ 燃 料 導 入 義 務 量 を 360 億 ガロンとすることが 決 定 された 新 たな RFS で 定 められたバイオ 燃 料 導 入 義 務 量 360 億 ガロンの うち 150 億 ガロンがコーン 由 来 エタノール 等 の 従 来 型 (conventional) 燃 料 210 億 ガロンがセ ルロース 系 エタノール 等 の 次 世 代 (advanced) 燃 料 とされている( 図 2.1.1 参 照 ) (2) 導 入 状 況 1 バイオエタノール 米 国 におけるバイオエタノールの 生 産 設 備 容 量 を 図 2.1.2 に 示 す 2007 年 には 2,000 万 キロリ ットルを 突 破 し 更 に 拡 張 運 用 開 始 予 定 を 入 れれば 2008 年 中 に 4,000~5,000 万 キロリットル - 2 -

設 備 容 量 ( 百 万 ガロン) 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 advanced (without cellulosic) Cellulosic conventional Cap./Uc/Ex RFS('05) 5,000 0 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 図 2.1.1 米 国 におけるバイオ 燃 料 導 入 義 務 量 出 典 DOE 資 料 をもとにみずほ 情 報 総 研 が 作 成 25 20.8 設 備 容 量 ( 百 万 kl) 20 15 10 5 6.4 6.6 7.3 8.9 10.3 11.8 16.4 13.8 0 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 図 2.1.2 米 国 におけるバイオエタノールの 生 産 設 備 容 量 程 度 までその 容 量 は 拡 大 するものと 見 込 まれている すなわち 2007 年 末 に 成 立 した 新 エネルギ ー 法 における RFS で 掲 げられたコーン 由 来 エタノール 等 の 150 億 ガロンは 比 較 的 近 い 将 来 達 成 さ れると 考 えられる 一 方 次 世 代 燃 料 については 現 在 酵 素 法 を 中 心 とした 新 技 術 (セルロース 系 エタノール 発 酵 技 術 )の 開 発 が 進 んでいる しかしながら コーン 由 来 エタノールと 比 較 すると 生 産 コスト 高 になることは 否 めず この 開 発 の 進 展 が 米 国 における 将 来 的 なエタノール 供 給 力 を 決 めるといっ ても 過 言 ではない これまでエタノールは 原 料 栽 培 地 域 に 近 いところで 生 産 されるため その 主 力 はコーンベルト 地 帯 中 心 であった ところが 最 近 ではエタノール 価 格 が 高 騰 し 採 算 が 取 りやすくなったため 米 国 内 全 土 にエタノール 工 場 が 建 設 されるようになっている(ただし コーン 価 格 やエネルギー 価 格 の 高 騰 に 伴 い 現 在 は 採 算 が 取 れない 事 例 も 多 いと 類 推 される) セルロース 系 エタノール 工 場 は 2007 年 現 在 1 ヶ 所 である セルロース 系 エタノール 発 酵 技 術 が 開 発 された 際 の 主 力 原 料 はコーンストーバー(とうもろこしの 実 以 外 の 部 分 )と 考 えられており その 生 産 工 場 の 立 地 も 現 在 と 大 きく 変 わることはないと 思 われる よって 導 入 義 務 量 210 億 ガ ロンの 達 成 については 局 地 的 な 供 給 インフラストラクチャーや 生 産 に 消 費 する 水 を 確 保 できるか 否 かも 影 響 すると 考 えられる - 3 -

2 BDF 米 国 における BDF の 生 産 設 備 容 量 を 図 2.1.3 に 示 す 生 産 設 備 容 量 は 2007 年 には 約 200 万 キロ リットルまで 増 大 している 2.5 2 1.5 1 0.5 0 0.67 0.39 0.26 0.04 0.04 0.04 0.04 0.04 0.07 0.14 0.14 1.96 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 設 備 容 量 ( 百 万 kl) 2006 2007 図 2.1.3 米 国 における BDF の 生 産 設 備 容 量 米 国 における BDF 原 料 の 中 心 は 大 豆 であったが ごく 近 年 ではマルチフィードストック 型 の 工 場 が 増 えてきている これまで 米 国 ではコーンと 大 豆 の 連 作 により 安 定 的 な 大 豆 供 給 が 行 われて きたが コーンの 需 要 の 高 まりに 伴 う 価 格 高 騰 により 大 豆 栽 培 面 積 が 大 きく 減 少 している こ のような 背 景 から 以 前 に 比 べ 大 豆 の 入 手 がやや 困 難 になりつつあることもあり マルチフィー ドストック 型 の 工 場 が 増 えてきていると 考 えられる 設 備 容 量 ( 百 万 kl) 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 大 豆 大 豆 + 他 の 作 物 Multi 図 2.1.4 原 料 別 BDF の 生 産 設 備 容 量 推 移 - 4 -

2.1.2 ブラジル (1) 政 策 動 向 ブラジルでは オイルショックの 時 期 (1975~80 年 代 )に 国 家 アルコール 政 策 としてプロアル コール 政 策 を 導 入 し エタノール 利 用 促 進 策 を 打 ち 出 した 当 初 混 合 率 や 価 格 を 決 定 し 導 入 促 進 を 図 ったが オイルショック 後 の 原 油 価 格 低 迷 を 受 け エタノールの 利 用 が 落 ち 込 んだ その 後 エタノール 製 造 販 売 に 対 する 規 制 緩 和 を 行 い 現 在 の 国 の 関 与 は 砂 糖 エタノール 各 省 連 絡 評 議 会 による 無 水 エタノールのガソリンへの 混 合 率 決 定 のみとなっている ブラジルでは レギュラーガソリンに 20~25 %のエタノールが 混 合 されているほか E100( 含 水 アルコール 100 %)が 販 売 されている 2003 年 にはガソリンとエタノール 等 を 任 意 の 比 率 で 混 合 した 燃 料 が 使 用 可 能 な 自 動 車 である FFV(flexible-fuel vehicle)が 販 売 され その 利 便 性 から 新 車 の 販 売 台 数 の 半 分 以 上 を 占 めるようになっている 一 方 で 以 前 はある 程 度 の 規 模 で 流 通 して いたアルコール 専 用 車 は 現 在 ではほとんど 販 売 されなくなってきている 2.5 2.0 軽 油 アルコール ガソリン FFV 販 売 台 数 ( 百 万 台 ) 1.5 1.0 0.5 0.0 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 図 2.1.5 ブラジルにおける 新 車 販 売 台 数 の 推 移 出 典 ブラジル 自 動 車 工 業 会 資 料 をもとにみずほ 情 報 総 研 が 作 成 ( 注 )FFV 単 独 の 販 売 台 数 表 示 は 2005 年 から 2003 年 及 び 2004 年 の 数 字 には 相 当 数 の FFV が 含 まれている また ブラジルは BDF 生 産 についても 積 極 策 を 打 ち 出 している ブラジルは 米 国 に 次 いで 世 界 第 2 位 の 大 豆 生 産 量 ( 約 6,000 万 トン)を 誇 り この 5 年 あまりの 間 に 生 産 量 を 約 1,000 万 トン も 増 大 させた これは 米 国 が 大 豆 生 産 からコーン 生 産 へシフトし その 生 産 減 分 をブラジルの セラードを 中 心 とした 未 耕 作 地 域 でカバーしたことによるものである ブラジルでは 農 作 物 の 輸 送 等 に 大 型 トラックが 用 いられており この 軽 油 の 消 費 も 大 きい このため 温 暖 化 対 策 やエネルギーセキュリティの 観 点 から 2007 年 に 2 %までの 混 合 を 認 める ようになり その 後 2008 年 に 義 務 化 2013 年 に 5 %の 義 務 化 を 目 指 した 施 策 が 進 められている また 国 営 石 油 会 社 であるペトロブラスでは BDF ではなく 水 素 や 触 媒 を 使 って 大 豆 油 等 の 植 物 油 から 効 率 よくディーゼル 油 を 生 成 する 技 術 (H-BIO)の 開 発 を 進 めており 将 来 的 には BDF と H-BIO の 両 方 の 導 入 が 進 むと 考 えられる - 5 -

(2) 導 入 状 況 1 バイオエタノール ブラジルは 2004 年 までは 世 界 最 大 のエタノール 生 産 国 であり 消 費 が 大 きいだけではなく 世 界 各 地 への 輸 出 も 実 施 している 原 料 は 基 本 的 にケーンジュース( 砂 糖 の 搾 汁 )である 最 近 の 生 産 量 は 約 1,600 万 キロリット ル 程 度 であり 主 力 生 産 地 域 はサンパウロを 中 心 とした 中 南 部 地 域 である 12 10 設 備 容 量 ( 百 万 kl) 8 6 4 2 0 無 水 含 水 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 図 2.1.6 ブラジルにおけるエタノール 生 産 量 の 推 移 出 典 UNICA 資 料 をもとにみずほ 情 報 総 研 が 作 成 2 BDF ブラジルにおける BDF の 原 料 は 大 豆 である ブラジルでは 2005 年 から BDF の 生 産 が 開 始 され たばかりであり 生 産 量 自 体 はエタノールと 比 較 してもまだ 少 ない しかし 2007 年 には 40 万 m 3 を 超 える 生 産 量 となり また B2(バイオディーゼル 2 % 混 合 ) 義 務 化 による 需 要 が 約 84 万 トンともいわれていることから 数 年 以 内 には 100 万 トンを 超 える 生 産 量 になると 予 想 される [m 3 ] 60,000 在 庫 50,000 販 売 量 生 産 量 40,000 30,000 20,000 10,000 0 Jan-05 Feb-05 Mar-05 Apr-05 May-05 Jun-05 Jul-05 Aug-05 Sep-05 Oct-05 Nov-05 Dec-05 Jan-06 Feb-06 Mar-06 Apr-06 May-06 Jun-06 Jul-06 Aug-06 Sep-06 Oct-06 Nov-06 Dec-06 Jan-07 Feb-07 Mar-07 Apr-07 May-07 Jun-07 Jul-07 Aug-07 Sep-07 Oct-07 Nov-07 Dec-07 Jan-08 図 2.1.7 ブラジルにおける BDF 生 産 販 売 在 庫 の 推 移 出 典 生 産 量 はブラジル 石 油 監 督 庁 (ANP) 在 庫 及 び 販 売 量 は F.O.Licht( 原 典 は ANP) - 6 -

2.1.3 欧 州 (1) 政 策 動 向 欧 州 では 2003 年 5 月 に 輸 送 用 バイオ 燃 料 導 入 に 係 る 指 令 (The EU Biofuels Directive on the promotion of the use of biofuels or other renewable fuels for transport(2003/30/ec)) が 発 効 した こ の 指 令 は 加 盟 各 国 がバイオ 燃 料 及 びその 他 再 生 可 能 燃 料 の 市 場 導 入 量 について 目 安 となる 国 家 目 標 (National Indicative Target)を 設 定 することが 義 務 付 けられ 2005 年 末 までにすべての 輸 送 用 燃 料 におけるバイオ 燃 料 比 率 (エネルギー 換 算 比 率 )を 2 % 2010 年 末 までに 5.75 %に 引 き 上 げることが 目 標 とされている( 目 標 を 定 めることは 義 務 だが 5.75 %の 達 成 は 法 的 拘 束 力 を 持 た ない) しかしながら 2005 年 における 導 入 状 況 は ドイツやスウェーデン 等 目 標 を 超 過 した 国 がある 反 面 EU 全 体 では 1 % 程 度 に 過 ぎず その 達 成 が 危 ぶまれている そこで 法 的 拘 束 力 を 持 った 施 策 として 現 在 検 討 中 の 再 生 可 能 エネルギーロードマップ(Renewable Energy Roadmap)にお いて 2020 年 までに 10 %という 目 標 が 掲 げられようとしている フランス ドイツ スウェーデン オーストリア リトアニア イタリア ポーランド ラトビア スロバキア ハンガリー オランダ ルクセンブルグ エストニア ギリシャ ベルギー ポルトガル スロベニア イギリス チェコ アイルランド マルタ スペイン フィンランド デンマーク キプロス 2005 実 績 2010 目 標 0 2 4 6 バイオ 燃 料 シェア(%) 8 図 2.1.8 EU におけるバイオ 燃 料 導 入 目 標 及 び 実 績 出 典 EU 資 料 をもとにみずほ 情 報 総 研 が 作 成 欧 州 では EU 全 体 の 施 策 以 外 にも 特 徴 的 な 政 策 を 掲 げる 国 も 多 い ドイツでは BDF 導 入 を 進 めるため 燃 料 税 の 免 税 を 行 ってきた また 自 国 産 並 びに EU 内 で 生 産 された BDF の 利 用 を 積 極 的 に 推 進 し 導 入 拡 大 を 図 っている その 結 果 として ドイツは 世 界 最 大 の 約 200 万 トン 以 上 の BDF を 消 費 する 国 となっている また 他 国 がインセンティブを 続 ける 中 BDF に 関 するインセンティブは 2012 年 で 完 全 に 終 了 という 状 況 にまで 達 している - 7 -

表 2.1.1 ドイツにおける BDF 向 け 燃 料 税 の 推 移 燃 料 税 2006~2007 2008 2009 2010 2011 2012 BDF ( /kl) 純 BDF:90, BDF 混 合 :150 150 210 270 330 450 純 植 物 油 ( /kl) 0 100 180 260 330 450 また フランスでは BDF 混 合 許 容 量 の 増 大 (5 7 %)を 打 ち 出 すだけでなく エタノール 85 % 混 合 ガソリン(E85)の 積 極 導 入 拡 大 を 図 っている 特 に E85 に 関 しては 2007 年 に 500 ヶ 所 2008 年 には 1,500 ヶ 所 の E85 ガソリンスタンドを 開 設 する 計 画 を 掲 げており また 自 動 車 メーカーとも 連 携 し FFV の 投 入 を 図 っている イギリスでは 再 生 可 能 輸 送 燃 料 義 務 制 度 (Renewable Transport Fuels Obligation(RTFO))とし て 燃 料 販 売 事 業 者 に 一 定 のバイオ 燃 料 混 合 を 義 務 付 ける 制 度 を 実 施 している この 制 度 による と 2008~2009 年 には 自 動 車 用 燃 料 の 販 売 量 の 2.5 %( 体 積 %) 2009~2010 年 には 3.75 % 2010 ~2011 年 には 5 %をバイオ 燃 料 とすることを 燃 料 販 売 事 業 者 に 対 して 義 務 付 けることになってい る このように EU では 積 極 的 な 施 策 が 推 進 されているものの バイオ 燃 料 の 拡 大 が 真 に 持 続 性 を 有 するものかという 点 について 別 途 議 論 がなされている 従 って ここに 掲 げた 推 進 策 がす べて 順 調 に 進 められるとは 言 い 難 く 例 えば 再 生 可 能 エネルギーロードマップに 掲 げられた 2020 年 10 %についても 各 所 で 疑 問 視 されているのが 現 状 である (2) 導 入 状 況 1 バイオエタノール EU におけるバイオエタノールの 導 入 量 は 0.9 Mtoe( 約 180 万 キロリットル(2006 年 ))となっ ており そのうち 35 %がドイツにおける 消 費 となっている EU では 国 ごとに 様 々な 原 料 が 利 用 されており 代 表 的 なものとしては 小 麦 等 の 穀 物 ビートが 挙 げられるが スウェーデンのよ うにブラジルからの 輸 入 が 中 心 となっている 国 もある イギリス 5.5% ポーランド 6.0% その 他 4.8% スペイン 13.0% 2006 年 0.9 MTOE ドイツ 35.0% フランス 17.1% スウェーデン 18.6% 図 2.1.9 EU におけるバイオエタノール 導 入 実 績 出 典 EU 資 料 をもとにみずほ 情 報 総 研 が 作 成 - 8 -

2 BDF EU における BDF の 導 入 量 は 3.8 Mtoe( 約 400 万 キロリットル(2006 年 ))となっており そ のうち 65 %がドイツにおける 消 費 となっている EU における BDF 原 料 の 中 心 は 菜 種 ひまわり 等 である ポーランド 1.1% イギリス 3.5% その 他 12.2% スペイン 1.7% スウェーデン 1.4% フランス 14.5% 2006 年 3.8 MTOE ドイツ 65.6% 図 2.1.10 EU における BDF 導 入 実 績 出 典 EU 資 料 をもとにみずほ 情 報 総 研 が 作 成 2.1.4 東 南 アジア(タイ) (1) 政 策 動 向 タイは 東 南 アジアでもバイオ 燃 料 の 積 極 導 入 が 進 む 国 の 一 つである 2000 年 代 前 半 には タイ 国 営 石 油 会 社 (PTT)やバンチャック 石 油 等 によりエタノール 10 % 混 合 ガソリンの 試 験 販 売 を 開 始 した その 後 支 援 策 を 制 定 した 後 バンコク 市 内 及 び 近 郊 のガソリンスタンド 約 200 ヶ 所 で エタノール 10 % 混 合 ガソリン(ガソホール 95 プレミアムガソリンへのバイオエタノール 混 合 ) の 販 売 を 開 始 し 2011 年 までにすべてのガソリンをエタノール 10 % 混 合 ガソリン 化 する 目 標 を 設 定 している ガソリンとガソホール(E10)は 1 リットルあたり 3 タイバーツの 価 格 差 (インセンティブ) があるため ガソホールの 販 売 量 が 増 加 している また BDF に 関 しても 導 入 が 開 始 され B2 のタイ 全 土 への 導 入 開 始 と 将 来 的 な B5 B10 の 全 国 普 及 が 推 進 されている (2) 導 入 状 況 タイにおけるバイオエタノール 生 産 原 料 の 中 心 は 廃 糖 蜜 である これは タイにとって 砂 糖 が 重 要 な 輸 出 商 品 であること 以 前 から 廃 糖 蜜 からアルコールを 生 産 していたことによる タイの エネルギー 省 によると 現 在 日 産 1,000 キロリットル 程 度 のバイオエタノールの 設 備 容 量 があ り 2008 年 末 には 日 産 2,000 キロリットル 程 度 にまで 拡 大 することが 見 込 まれている - 9 -

一 方 BDF に 関 しては 2007 年 度 は 日 産 200 キロリットル 程 度 の 生 産 量 であったが 2008 年 中 に 日 産 1,200 キロリットル 程 度 まで 拡 大 すると 見 込 まれている しかしながら タイでは 十 分 な 油 糧 作 物 栽 培 が 実 施 されておらず 現 時 点 ではマレーシアやインドネシアからパームを 輸 入 し て BDF を 製 造 している 現 在 パーム 栽 培 の 拡 大 も 図 られているが 将 来 的 な 耕 地 ( 生 産 量 ) 確 保 がタイにおける BDF 導 入 量 に 影 響 するものと 考 えられる 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 設 備 容 量 ( 百 万 L/d) Ethanol BDF 図 2.1.11 タイにおけるバイオエタノール 及 び BDF の 生 産 量 とその 見 通 し 2.1.5 東 南 アジア(マレーシア) (1) 政 策 動 向 マレーシアはインドネシアと 並 び 世 界 最 大 のパーム 生 産 国 であり 早 くから 輸 出 戦 略 品 目 とし てパーム 油 を 活 用 してきた 同 国 では 2006 年 にバイオ 燃 料 の 国 家 戦 略 を 策 定 し 現 在 導 入 されて いる B2 燃 料 の BDF 混 合 率 を 5 %まで 拡 大 することを 計 画 している また 非 持 続 的 なパーム 生 産 や 需 給 バランスの 悪 化 を 懸 念 し インドネシアと 提 携 し 向 こう 10 年 において 600 万 トンの 粗 パーム 油 (CPO) 生 産 を 実 施 することを 示 している しかしながら 最 近 の CPO の 国 際 価 格 の 高 騰 により BDF 製 造 の 採 算 が 大 きく 悪 化 していることから 当 初 の 予 定 通 り BDF が 生 産 されないことが 懸 念 されている (2) 導 入 状 況 現 在 では 4 ヶ 所 年 産 30 万 トンの BDF 製 造 工 場 が 設 置 されているが 計 画 実 証 中 の 工 場 で の 生 産 が 開 始 されると 更 に 60 万 トンの 生 産 が 行 われることになる 現 在 全 国 で 約 90 のライ センスが 与 えられており これらすべてが 稼 働 を 開 始 すると 年 産 約 1,000 万 トン 程 度 の 生 産 規 模 となる - 10 -

3,500 1000 3,000 900 800 CPO local price (RM/t) 2,500 2,000 1,500 1,000 500 700 600 500 400 300 200 100 0 Jan-05 Apr-05 Jul-05 Oct-05 Jan-06 Apr-06 Jul-06 Oct-06 Jan-07 ( 参 考 目 盛 US$/t) Apr-07 Jul-07 Oct-07 0 図 2.1.12 マレーシアにおける CPO 価 格 の 推 移 出 典 Malaysian Palm Oil Board(MPOB) 2.1.6 東 南 アジア(インドネシア) (1) 政 策 動 向 インドネシアは 2007 年 に 1,700 万 トンの CPO を 生 産 し 世 界 最 大 の CPO 生 産 国 となった ま た 化 石 燃 料 消 費 抑 制 や 雇 用 創 出 を 目 指 してバイオ 燃 料 プログラムを 掲 げている バイオ 燃 料 の 導 入 に 向 け B5 の 導 入 及 び 2010 年 には 混 合 率 10 %への 拡 大 が 検 討 されている (2) 導 入 状 況 F. O. Licht 社 資 料 によると 現 時 点 では 10 万 トン 程 度 の 生 産 量 と 報 告 されているが 正 式 な 値 は 不 明 である 2008 年 末 までに 計 画 が 予 定 通 り 進 行 すれば 年 間 約 300 万 トン 程 度 の 生 産 規 模 にな る 予 定 である - 11 -

2.1.7 日 本 (1) 政 策 動 向 我 が 国 では 2006 年 3 月 のバイオマス ニッポン 総 合 戦 略 の 改 訂 以 降 バイオ 燃 料 の 導 入 に 向 け た 動 きが 大 きく 加 速 した その 後 2007 年 2 月 にはバイオ 燃 料 の 大 幅 導 入 拡 大 として 将 来 的 に 600 万 キロリットルの 国 産 バイオ 燃 料 生 産 を 意 識 した 各 種 施 策 についての 整 理 が 実 施 されている 我 が 国 では 2003 年 における 揮 発 油 の 品 質 の 確 保 等 に 関 する 法 律 ( 品 確 法 )の 改 正 に 伴 い ガソリンへのバイオ 燃 料 の 混 合 (エタノール 3 % 混 合 )が 認 められるようになり また 2006 年 には 軽 油 にバイオディーゼルを 混 合 させて 販 売 する 際 の 規 格 が 定 められている バイオエタノールの 混 合 に 関 しては 直 接 混 合 は 過 剰 な 水 の 混 入 によるエタノール/ 水 の 分 離 部 材 への 悪 影 響 等 を 懸 念 して 石 油 業 界 を 中 心 に 反 発 が 多 い その 対 応 策 として 石 油 業 界 はエタ ノール 3 %に 相 当 するエチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)を 製 造 し それをガソリンに 混 入 することでバイオ 燃 料 とする 動 きとなっている なお 石 油 業 界 では 原 油 換 算 50 万 キロリ ットル 相 当 の ETBE の 導 入 を 目 指 し バイオガソリンと 称 する ETBE 混 合 ガソリンの 販 売 を 実 施 している しかし エタノール 生 産 事 業 者 は 比 較 的 簡 易 にバイオ 燃 料 の 混 合 が 可 能 なことから 直 接 混 合 を 望 むことが 多 い その 結 果 我 が 国 は ETBE と 直 接 混 合 の 二 重 標 準 (ダブルスタンダード)で 導 入 が 進 み 始 めている (2) 導 入 状 況 1 バイオエタノール 現 時 点 では バイオエタノールの 製 造 を 商 業 規 模 で 実 施 しているのは 大 阪 府 堺 市 のバイオエタ ノール ジャパン 関 西 株 式 会 社 のみであり その 規 模 は 年 産 1,400 キロリットルとなっている 我 が 国 において 現 時 点 で 使 用 されているバイオマス 資 源 は 建 設 廃 木 材 のみであるが 農 林 水 産 省 の 事 業 により 北 海 道 で 3 万 キロリットル 新 潟 で 1,000 キロリットルの 生 産 計 画 があり こ れらは 穀 物 や 糖 質 作 物 等 が 原 料 となる 予 定 である 2 BDF BDF に 関 しては 1 バッチ 100~200 リットル 程 度 の 小 型 プラントから 年 産 1,500 キロリット ル 以 上 のプラントまであり で 年 間 約 5,000 キロリットル 以 上 生 産 されているものと 考 えら れる - 12 -

2.2 評 価 対 象 とする 燃 料 製 造 (Well-to-Tank)パス 2.1 で 整 理 した 内 容 をもとに 本 報 告 で 検 討 の 対 象 とするバイオ 燃 料 製 造 パスを 次 の 通 り 選 定 した 表 2.2.1 検 討 の 対 象 としたバイオ 燃 料 製 造 パス 燃 料 種 類 原 料 生 産 ( 栽 培 ) 場 所 エネルギー 転 換 の 場 所 バイオ 燃 料 の 利 用 場 所 備 考 バイオエタノール BDF コーン 米 国 米 国 米 国 セルロース 系 バイオマス (*) 米 国 米 国 米 国 サトウキビ ブラジル ブラジル ブラジル or 日 本 小 麦 欧 州 欧 州 欧 州 or 日 本 テンサイ 欧 州 欧 州 欧 州 or 日 本 サトウキビ 東 南 アジア 東 南 アジア 東 南 アジア or 日 本 コメ 日 本 日 本 日 本 間 伐 材 日 本 日 本 日 本 大 豆 米 国 米 国 米 国 大 豆 ブラジル ブラジル ブラジル 菜 種 欧 州 欧 州 欧 州 ETBE としての 利 用 も 想 定 ETBE としての 利 用 も 想 定 アブラヤシ (パーム 油 ) 東 南 アジア 東 南 アジア 東 南 アジア (*)コーンストーバー スウィッチグラス 等 また 特 にバイオエタノールについて 今 後 各 国 で 量 産 された 場 合 や 日 本 での 導 入 量 が 増 え た 場 合 等 新 たに 想 定 されるパスについてはいくつかのケーススタディを 行 った - 13 -

2.3 環 境 負 荷 項 目 本 報 告 では 前 回 報 告 同 様 環 境 負 荷 項 目 として 次 の 内 容 に 関 わる 項 目 を 対 象 とした [エネルギー 消 費 量 ] エネルギー 消 費 量 ( 低 位 発 熱 量 ベース)[MJ] [ 大 気 圏 への 排 出 物 ] 温 室 効 果 ガス:CH 4, CO 2, N 2 O[kg] ただし 本 研 究 では 化 石 燃 料 の 燃 焼 に 伴 う CH 4 及 び N 2 O の 排 出 はゼロとした ( 燃 焼 に 伴 う 環 境 負 荷 の 排 出 は CO 2 のみ 考 慮 ) また 温 室 効 果 ガスについては IPCC[2001]を 参 照 し 一 般 に 地 球 温 暖 化 への 影 響 度 を 示 す 係 数 として 多 く 使 用 されている 地 球 温 暖 化 ポテンシャル(GWP)の 100 年 値 を 特 性 化 係 数 に 採 用 した 100 年 値 を 採 用 した 理 由 については 1 CO 2 の 大 気 中 残 存 年 数 ( 寿 命 )が 120 年 である 2 地 球 温 暖 化 の 影 響 度 を 調 査 する 際 にしばしば 100 年 間 の 影 響 を 議 論 することが 多 い ことが 挙 げられる CO 2 以 外 の 物 質 (CH 4, N 2 O)については この GWP 100 年 値 に 従 い CO 2 相 当 量 への 換 算 により 評 価 を 実 施 した [GWP 指 標 結 果 kg eq-co 2 ]=[ 温 暖 化 物 質 排 出 量 kg ] [GWP 100 年 値 kg eq-co 2 / kg ] 本 研 究 で 使 用 した GWP の 100 年 値 を 表 2.3.1 に 示 す(IPCC[2001]) 表 2.3.1 地 球 温 暖 化 に 対 する 特 性 化 係 数 ( 単 位 :kg eq-co 2 /kg) 温 暖 化 物 質 名 GWP メタン (CH 4 ) 23 二 酸 化 炭 素 (CO 2 ) 1 亜 酸 化 窒 素 (N 2 O) 296-14 -

2.4 算 出 方 法 算 出 方 法 についても 前 回 報 告 同 様 各 燃 料 が 生 産 され 自 動 車 に 供 給 されるまでのライフサイ クルに 含 まれるプロセスごとにデータを 調 べる 積 み 上 げ 法 を 採 用 した プロセスごとのエネルギー 消 費 量 及 び CO 2 排 出 量 を 算 出 する 際 に 使 用 する 化 石 燃 料 の 燃 焼 及 び 電 力 の 使 用 に 関 するデータは 特 に 断 りがない 限 り 前 回 報 告 で 用 いたものを 一 貫 して 使 用 した [ 負 荷 配 分 の 取 り 扱 いについて] バイオマス 生 産 においては 主 要 な 燃 料 製 造 原 料 の 生 産 のほかに 葉 や 茎 等 の 副 産 物 も 生 産 さ れたり また エネルギー 転 換 においては 主 生 成 物 のほかに 様 々な 副 生 成 物 が 生 み 出 されたり する 場 合 がある 各 プロセスで 投 入 されるエネルギーはこれら 副 産 物 や 副 生 成 物 の 発 生 にも 寄 与 していると 考 えられるが これらの 負 荷 配 分 の 考 え 方 や 方 法 によって 値 は 大 きく 変 化 する 従 って 本 報 告 では 基 準 ケースとして 副 産 物 や 副 生 成 物 に 対 する 負 荷 配 分 は 一 切 行 わず 主 生 成 物 がエネルギー 消 費 に 伴 い 発 生 する 環 境 負 荷 のすべてを 負 うものとした [ 土 壌 から 放 出 される N 2 O について] 土 壌 から 放 出 される N 2 O については 参 照 した 文 献 内 に 報 告 があるものを 除 き 環 境 省 [2002] に 記 載 されている 直 接 排 出 [ 合 成 肥 料 ]の 排 出 係 数 (15.6[kg-N 2 O/t-N])を 用 いて 算 出 した こ れは 日 本 全 国 で 実 施 した 畑 地 からの N 2 O のフラックス 調 査 に 基 づき 作 物 種 を 考 慮 して 推 計 し た 値 である 具 体 的 には プランテーションにおいて 投 入 される 窒 素 の 量 にこの 排 出 係 数 を 乗 ず ることによって プランテーションプロセスからの N 2 O 排 出 量 を 算 出 した - 15 -

3. Well-to-Tank に 関 するデータの 収 集 手 順 及 び 算 出 方 法 ( 基 準 ケース) 3.1 バイオエタノール 3.1.1 米 国 (1)コーンからのエタノール 製 造 1 前 提 条 件 本 報 告 で 対 象 とした 米 国 でのコーンからのエタノール 製 造 パスのフロー 図 を 図 3.1.1 に 示 す: プラン テーション コーン 国 内 輸 送 ( 米 国 ) エタノール 転 換 Dry-mill ( 米 国 ) 無 水 エタノール 国 内 輸 送 ( 米 国 ) (ethanol ) DDGS 図 3.1.1 コーンからのエタノール 製 造 パスのフロー 図 米 国 におけるコーンのプランテーション( 生 産 )は アイオワ 州 イリノイ 州 ミネソタ 州 ネブラスカ 州 をはじめとするコーンベルトを 中 心 に 行 われている 生 産 されたコーンはトラック で 近 隣 のターミナルに 一 旦 収 集 され そこからエタノール 転 換 工 場 へ 輸 送 される 本 報 告 では エタノール 転 換 工 場 は 米 国 で 最 も 普 及 しているドライミル 方 式 を 想 定 した エタノール 転 換 工 場 では 前 処 理 発 酵 蒸 留 及 び 脱 水 プロセスを 経 て 無 水 エタノールが 製 造 される 生 産 されたコーンのエタノール 転 換 工 場 までの 輸 送 距 離 について 生 産 に 必 要 となる 原 料 を 収 穫 するための 面 積 (U.S. Department of Agriculture[2007])や Pimentel, D. et al.[2005]における コーンの 輸 送 距 離 に 関 する 記 述 ( 往 復 144 km)を 参 考 に 本 報 告 では 90 miles(= 約 145 km)と した ドライミル 方 式 では 副 産 物 として DDGS(Distiller's Dried Grains with Solubles)が 発 生 する DDGS には 澱 粉 以 外 の 蛋 白 質 や 脂 肪 等 の 栄 養 成 分 が 多 量 に 残 っているため 古 くから 配 合 飼 料 原 料 として 用 いられているが ここではエタノール 製 造 が 主 目 的 であるため DDGS への 負 荷 配 分 を 行 わず 本 パスに 由 来 するすべての 環 境 負 荷 はエタノールが 担 うものとした 2 本 報 告 における 算 出 コーンのプランテーション コーンのプランテーションについてはいくつかの 先 行 研 究 が 報 告 されている(Graboski, M.S. [2002] Patzek, T.W.[2004] Shapouri, H. et al.[2004] Pimentel, D. et al.[2005] 等 ) これら を 比 較 し エネルギー 消 費 量 が 最 大 となるケース(Pimentel, D. et al.[2005])と 最 小 となるケー ス(Shapouri, H. et al.[2004])に 記 載 されたデータをもとにエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 算 出 した その 結 果 を 表 3.1.1 に 示 す - 16 -

表 3.1.1 コーンのプランテーションにおけるエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 データ 名 単 位 ( 最 大 *) ( 最 小 *) 主 製 品 コーン( 含 水 率 15 %) kg 1.0 1.0 N 系 肥 料 MJ 0.97 0.94 P 2 O 5 系 肥 料 MJ 0.09 0.09 K 2 O 系 肥 料 MJ 0.06 0.07 CaO 系 肥 料 MJ 0.60 0.01 除 草 剤 ( 化 学 品 ) MJ 0.28 0.13 エネルギー 消 費 量 ( 肥 料 等 は 製 造 時 の エネルギー 消 費 量 ) 殺 虫 剤 MJ 0.11 - ガソリン MJ 0.15 0.12 軽 油 MJ 0.36 0.26 LPG MJ - 0.09 電 力 1 化 石 燃 料 由 来 MJ 0.01 0.08 電 力 2その 他 MJ 0.01 0.03 生 産 に 必 要 な 資 材 や 労 働 者 の 農 場 までの 輸 送 MJ 0.08 - MJ 2.72 1.82 温 室 効 果 ガス 排 出 量 CO 2 kg 0.19 0.11 N 2 O kg 2.76E-4 2.67E-4 (CO 2 相 当 量 ) kg 0.27 0.19 *) 化 石 燃 料 由 来 の 温 室 効 果 ガス 排 出 量 が 最 大 または 最 小 ケースの 意 味 参 考 までに 前 回 報 告 との 比 較 を 図 3.1.2 に 示 す 本 報 告 前 回 報 告 Lorenz [1995] Marland [1991] ( 最 小 ) Pimentel [2005] Patzek [2004] Graboski [2002] 本 報 告 前 回 報 告 Lorenz [1995] Marland [1991] ( 最 小 ) Pimentel [2005] Patzek [2004] Graboski [2002] N 2 O Shapouri [2004] ( 最 小 ) Shapouri [2004] ( 最 小 ) CO 2 [MJ/kg-corn] 0.0 1.0 2.0 3.0 [g-eq CO 2/kg-corn] 0 100 200 300 図 3.1.2 コーンのプランテーションに 関 する 本 報 告 と 前 回 報 告 の 比 較 ( 左 :エネルギー 消 費 量 右 : 温 室 効 果 ガス 排 出 量 ) - 17 -

コーンの 国 内 輸 送 コーンのエタノール 転 換 工 場 までの 輸 送 に 関 する 各 種 設 定 ( 輸 送 形 態 積 載 量 燃 費 等 )につ いては GREET 1.8a[2007]の 設 定 に 従 った また 輸 送 距 離 は 前 述 の 通 り 90 miles とした コーンのエタノール 転 換 コーンのエタノール 転 換 についてもプランテーション 同 様 いくつかの 先 行 研 究 が 報 告 されて いる(Graboski, M.S.[2002] Patzek, T.W.[2004] Shapouri, H. et al.[2004] Pimentel, D. et al. [2005] U.S. Environmental Protection Agency[2006] 等 ) コーンのエタノール 転 換 技 術 は ここ 数 年 で 技 術 開 発 が 強 力 に 進 められてきた 結 果 エネルギ ー 消 費 量 が 大 きく 減 少 した 従 来 でんぷんの 糖 化 プロセスでは 100 程 度 まで 加 温 する 必 要 が あったが 糖 化 酵 素 の 開 発 によってこれらのプロセスが 不 要 となったことからエネルギー 消 費 が 削 減 している また エタノールの 収 率 の 面 では 数 年 前 までは 2.6~2.7 gallon/bu であったのが 現 在 では 2.8 gallon/bu まで 向 上 している 更 にコーンからのエタノール 転 換 において 大 きなエネ ルギー 消 費 プロセスの 一 つとなっているエタノール 分 離 プロセスにおいて これまで 一 般 的 であ った PSA 法 と 比 較 して 一 段 とエネルギー 消 費 を 削 減 できる 膜 分 離 技 術 が 普 及 しつつあることも 影 響 していると 考 えられる 本 報 告 では 前 述 の 先 行 研 究 のうち 化 石 燃 料 由 来 の 温 室 効 果 ガス 排 出 量 が 最 も 大 きい Pimentel, D. et al.[2005]と 最 も 小 さい( 技 術 開 発 効 果 を 考 慮 していると 考 えられる)U.S. Environmental Protection Agency[2006]に 記 載 されたデータをもとにエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 算 出 した その 結 果 を 表 3.1.2 に 示 す 表 3.1.2 コーンのエタノール 転 換 におけるエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 データ 名 単 位 ( 最 大 *) ( 最 小 *) 主 製 品 エタノール kg 1.0 1.0 副 産 物 DDGS kg 1.12 0.96 うち たんぱく 質 kg 0.30 0.23 脂 肪 kg - 0.09 熱 エネルギー(LHV) MJ - 10.2 蒸 気 MJ 13.4 - エネルギー 消 費 量 電 力 1 化 石 燃 料 由 来 MJ 4.1 2.1 電 力 2その 他 MJ 1.6 0.8 脱 水 用 エネルギー MJ 0.1 - MJ 19.2 13.1 温 室 効 果 ガス 排 出 量 CO 2 kg 1.11 0.76 *) 化 石 燃 料 由 来 の 温 室 効 果 ガス 排 出 量 が 最 大 または 最 小 ケースの 意 味 参 考 までに 前 回 報 告 との 比 較 を 図 3.1.3 に 示 す - 18 -

本 報 告 前 回 報 告 Marland [1991] Levelton [2000] ( 最 小 ) Pimentel [2005] Patzek [2004] Shapouri [2004] 本 報 告 前 回 報 告 Marland [1991] Levelton [2000] ( 最 小 ) Pimentel [2005] Patzek [2004] Shapouri [2004] Graboski [2002] ave その 他 Graboski [2002] ave USEPA [2006] ( 最 小 ) 化 石 燃 料 由 来 USEPA [2006] ( 最 小 ) [MJ/kg-ethanol] 0 5 10 15 20 25 [g-eq CO 2/kg-ethanol] 0 500 1,000 1,500 2,000 図 3.1.3 コーンのエタノール 転 換 に 関 する 本 報 告 と 前 回 報 告 の 比 較 ( 左 :エネルギー 消 費 量 右 : 温 室 効 果 ガス 排 出 量 ) エタノールの 国 内 輸 送 エタノールの 米 国 内 における 輸 送 に 関 する 各 種 設 定 は GREET 1.8a[2007]の 設 定 に 従 った 米 国 内 における 輸 送 手 段 としてはトラック 船 鉄 道 が 用 いられている 3 算 出 結 果 米 国 でのコーンからのエタノール 製 造 パスについて エタノール 1 MJ 製 造 時 におけるエネル ギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 算 出 結 果 を 表 3.1.3((A) 最 大 ケース (B) 最 小 ケース) に 示 す 表 3.1.3(A) 米 国 でのコーンからのエタノール 1 MJ 製 造 時 における エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 ( 最 大 ケース) 資 源 供 給 資 源 輸 送 燃 料 転 換 燃 料 輸 送 エネルギー 消 費 量 化 石 燃 料 由 来 0.34 0.02 0.66 0.05 1.07 [MJ/MJ-EtOH] バイオマス 由 来 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 その 他 0.00 0.00 0.06 0.00 0.06 0.34 0.02 0.72 0.05 1.13 温 室 効 果 ガス 排 出 量 化 石 燃 料 由 来 24.50 1.52 41.59 3.48 71.08 CO2 [g eq-co2/mj-etoh] バイオマス 由 来 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 CH4 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 N2O 10.32 0.00 0.00 0.00 10.32 34.81 1.52 41.59 3.48 81.40-19 -

表 3.1.3(B) 米 国 でのコーンからのエタノール 1 MJ 製 造 時 における エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 ( 最 小 ケース) 資 源 供 給 資 源 輸 送 燃 料 転 換 燃 料 輸 送 エネルギー 消 費 量 化 石 燃 料 由 来 0.20 0.02 0.46 0.05 0.72 [MJ/MJ-EtOH] バイオマス 由 来 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 その 他 0.00 0.00 0.03 0.00 0.03 0.21 0.02 0.49 0.05 0.76 温 室 効 果 ガス 排 出 量 化 石 燃 料 由 来 12.02 1.35 28.22 3.48 45.07 CO2 [g eq-co2/mj-etoh] バイオマス 由 来 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 CH4 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 N2O 8.90 0.00 0.00 0.00 8.90 20.92 1.35 28.22 3.48 53.97 (2)セルロース 系 バイオマスからのエタノール 製 造 1 前 提 条 件 本 報 告 で 対 象 とした 米 国 でのセルロース 系 バイオマスからのエタノール 製 造 パスのフロー 図 を 図 3.1.4 に 示 す: プラン テーション セルロース 系 バイオマス 国 内 輸 送 ( 米 国 ) エタノール 転 換 ( 米 国 ) 無 水 エタノール 国 内 輸 送 ( 米 国 ) (ethanol ) 残 渣 ( 所 内 エネルギー 源 として 利 用 ) 図 3.1.4 セルロース 系 バイオマスからのエタノール 製 造 パスのフロー 図 セルロース 系 バイオマスとして 米 国 ではコーンストーバーやスウィッチグラス 等 が 考 えられ る スウィッチグラスは 北 アメリカ 中 央 アメリカ 南 アメリカやアフリカに 分 布 し ほとんど の 地 域 で 自 生 している 草 本 系 バイオマスであり 米 国 においてエネルギー 作 物 として 期 待 されて いるバイオマスの 一 つである 2007 年 現 在 エネルギー 作 物 として 一 般 的 に 生 産 されているわけ ではないが 商 業 規 模 での 生 産 コスト 試 算 を 目 的 としてノースダコタ 州 北 部 からネブラスカ 州 南 部 で 生 産 実 験 が 実 施 されているところである セルロース 系 バイオマスからのエタノール 製 造 については 現 在 のところ セルロースの 糖 化 プロセスを 中 心 に 研 究 開 発 が 実 施 されている 段 階 である セルロースの 前 処 理 糖 化 方 法 として は 希 硫 酸 法 濃 硫 酸 法 酵 素 法 水 蒸 気 爆 砕 法 等 の 各 種 要 素 技 術 の 他 これらの 組 み 合 わせに よるプロセス 等 複 数 の 方 法 が 提 案 開 発 されている 現 在 硫 酸 を 用 いる 方 法 が 技 術 的 に 先 行 しているが エネルギー 効 率 や 初 期 コスト 等 を 考 慮 すると 酵 素 を 用 いる 方 法 に 関 する 技 術 開 発 への 期 待 が 大 きい これら 技 術 は 世 界 的 に 開 発 段 階 にあり 各 種 想 定 に 基 づく 分 析 に 留 まってい るのが 現 状 である( 表 3.1.4 参 照 ) - 20 -

表 3.1.4 各 国 のセルロース 系 バイオマスからのエタノール 製 造 技 術 開 発 状 況 開 発 対 象 日 本 米 国 /カナダ 欧 州 主 な 対 象 バイオマス 建 設 廃 材 稲 わら 等 コーンストーバー スウィッチグラス 等 麦 わら 等 前 処 理 + 糖 化 技 術 建 設 廃 材 を 対 象 とした 希 硫 酸 法 が 商 業 化 酵 素 糖 化 部 分 を 開 発 中 ソフトセルロース 向 けの 技 術 開 発 は 水 熱 処 理 技 術 等 の 研 究 開 発 が 実 施 されて いる 希 硫 酸 + 酵 素 糖 化 法 の 技 術 開 発 が 進 められ DOE 主 導 による 酵 素 開 発 は 最 も 進 んでいるといわれてい る ハンマーミル 水 蒸 気 爆 砕 による 前 処 理 を 組 み 合 わせた 酵 素 糖 化 法 は 商 業 化 フェーズ 爆 砕 水 熱 処 理 粉 砕 処 理 に 関 する 研 究 が 行 われ ている リグニン 化 学 糖 質 化 学 など 木 材 成 分 化 学 の 基 礎 研 究 がトップレベル であるが バイオマス 糖 化 前 処 理 と 植 物 細 胞 壁 構 造 に 注 目 した 研 究 が 米 国 に 先 行 されている エタノール 発 酵 C 5 C 6 糖 の 並 行 発 酵 の 酵 母 細 菌 育 種 が 行 われて いる C 5 C 6 糖 の 並 行 発 酵 の 酵 母 細 菌 育 種 が 行 われて いる キシロース アラビノース 発 酵 能 を 付 与 した 酵 母 の 育 種 が 行 われている 主 な 技 術 開 発 目 標 糖 回 収 率 90% 発 酵 効 率 90% ( 産 総 研 ) 糖 回 収 率 90 % 発 酵 効 率 87% (NEDO) 90 gallon/t-feedstock dry (DOE) エタノール 回 収 率 : 90~95 % (EU) 2 本 報 告 における 算 出 セルロース 系 バイオマスのプランテーション ここでは セルロース 系 バイオマスのプランテーションとして 実 の 生 産 を 考 慮 する 必 要 のな いバイオマスの 生 産 を 想 定 した セルロース 系 バイオマスの 商 業 生 産 については 本 格 的 に 実 施 されておらず 定 常 的 な 大 規 模 生 産 に 関 するデータは 現 時 点 では 見 つけられていないが スウィッチグラスについては その 単 収 や 肥 料 投 入 量 等 に 関 する 研 究 がいくつか 報 告 されている 例 えば R.E.A.P.の 研 究 報 告 では カナダでのスウィッチグラス 生 産 の 商 業 生 産 に 関 するデータ が 示 されている 品 種 によって 単 収 は 異 なるが いずれの 品 種 も 10 トン-dry/ha 前 後 で 施 肥 量 は 窒 素 肥 料 を 50~60 kg/ha としている 一 方 Perrin, R.K. et al.[2008]では 10 ヶ 所 において それぞれ 5 年 間 の 栽 培 を 実 施 した 結 果 平 均 単 収 が 5 トン-dry/ha で 更 にこのデータを 10 年 間 に 外 挿 した 場 合 は 7 トン-dry/ha としている ここでの 施 肥 量 は 場 所 や 年 によって 様 々であるが 窒 素 肥 料 として 0~212 kg/ha( 平 均 75kg/ha)である また Pimentel, D. et al.[2005]ではスウ ィッチグラス 生 産 のエネルギー 投 入 量 について 分 析 しており ここでは 単 収 を 10 トン-dry/ha 窒 素 肥 料 投 入 量 を 50 kg/ha としている このように 先 行 研 究 で 報 告 されている 単 収 や 肥 料 投 入 量 等 は 品 種 や 栽 培 地 によって 異 なっている これらの 情 報 をもとに 本 報 告 では 単 収 10 トン-dry/ha 窒 素 肥 料 投 入 量 50 kg/ha とした ま た 農 作 業 に 必 要 となると 思 われる 軽 油 や 除 草 剤 についても 考 慮 した セルロース 系 バイオマスのプランテーションにおけるエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 算 出 結 果 を 表 3.1.5 に 示 す - 21 -

表 3.1.5 セルロース 系 バイオマスのプランテーションにおける エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 データ 名 単 位 量 主 製 品 セルロース 系 バイオマス(スウィッチグラス) kg 1.0 エネルギー 消 費 量 ( 肥 料 等 は 製 造 時 の エネルギー 消 費 量 ) N 系 肥 料 MJ 0.27 除 草 剤 ( 化 学 品 ) MJ 0.12 軽 油 MJ 0.36 MJ 0.75 CO 2 kg 0.05 温 室 効 果 ガス 排 出 量 N 2 O kg 2.35E-4 (CO 2 相 当 量 ) kg 0.12 参 考 までに 前 回 報 告 との 比 較 を 図 3.1.5 に 示 す 本 報 告 前 回 報 告 Lorenz [1995] Pimentel [2005] 本 報 告 前 回 報 告 Lorenz [1995] Pimentel [2005] CO 2 N 2 O [MJ/kg-cellulose] 0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 [g-eq CO 2/kg-cellulose] 0 50 100 150 図 3.1.5 セルロース 系 バイオマスのプランテーションに 関 する 本 報 告 と 前 回 報 告 の 比 較 ( 左 :エネルギー 消 費 量 右 : 温 室 効 果 ガス 排 出 量 ) セルロース 系 バイオマスの 国 内 輸 送 コーンの 国 内 輸 送 同 様 輸 送 距 離 は 90 miles とした セルロース 系 バイオマスのエタノール 転 換 木 質 系 バイオマス(この 中 でも 樹 種 の 違 いがある)と 草 本 系 バイオマスとでは 性 状 が 異 なるた め 同 条 件 では 転 換 効 率 も 異 なると 考 えられる よって 本 報 告 では 主 力 原 料 としてコーンス トーバーやスウィッチグラス 等 に 比 較 的 性 状 の 近 い 草 本 系 バイオマスに 関 して 報 告 されている 先 行 研 究 を 主 に 参 考 にした 濃 硫 酸 法 に 関 する 先 行 研 究 としては Kadam, A. et al.[1999] 新 エネルギー 産 業 技 術 総 合 開 発 機 構 [2006]や Arkenol 社 の 技 術 (http://www.bluefireethanol.com/technology/) 等 が 挙 げられる Kadam, A. et al.[1999]は 木 質 系 バイオマスと 稲 わらを 対 象 に Arkenol 社 の 技 術 ではこれらも 含 むセルロース 系 バイオマスを 対 象 としたデータが 記 載 されている 一 方 新 エネルギー 産 業 技 術 総 合 開 発 機 構 [2006]では 木 質 系 バイオマスを 対 象 とした 研 究 であるため ここでは Kadam, A. - 22 -

et al.[1999]における 稲 わらと Arkenol 社 の 技 術 に 注 目 した ここで Arkenol 社 の 技 術 では リ グニン 残 渣 を 利 用 しないエネルギー 消 費 量 が 示 されているため 蒸 気 分 のエネルギーをリグニン 残 渣 が 賄 うものとした 希 硫 酸 + 酵 素 法 については Kadam, A. et al.[1999]では 稲 わらを 原 料 とした 場 合 Aden, A. et al.[2002]ではコーンストーバーを 原 料 とした 場 合 の 研 究 が 報 告 されている また 水 蒸 気 爆 砕 + 酵 素 法 については EUCAR[2007]においてバイオテクノロジー 企 業 IOGEN 社 のデータとし て 小 麦 わらを 原 料 とした 場 合 の 研 究 が 報 告 されている 本 報 告 では 前 述 の 先 行 研 究 の 内 容 を 比 較 検 討 した 結 果 比 較 的 新 しい 報 告 である Arkenol 社 の 技 術 と EUCAR[2007]を 取 り 上 げることにした セルロース 系 バイオマスのエタノール 転 換 におけるエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 算 出 結 果 を 表 3.1.6 に 示 す 表 3.1.6 セルロース 系 バイオマスのエタノール 転 換 における エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 データ 名 単 位 ( 最 大 *) ( 最 小 *) 主 製 品 エタノール kg 1.0 1.0 電 力 1 化 石 燃 料 由 来 MJ 7.9 - エネルギー 消 費 量 電 力 2その 他 MJ 3.1 - バイオマス 由 来 エネルギー MJ 42.9 48.2 MJ 53.9 48.2 CO 2 排 出 量 ( 化 石 燃 料 由 来 ) kg 0.67 - 温 室 効 果 ガス 排 出 量 CO 2 排 出 量 (バイオマス 由 来 ) kg 4.93 4.50 kg 5.60 4.50 *) 化 石 燃 料 由 来 の 温 室 効 果 ガス 排 出 量 が 最 大 または 最 小 ケースの 意 味 参 考 までに 前 回 報 告 との 比 較 を 図 3.1.6 に 示 す ここで 前 回 報 告 においてはバイオマス 由 来 の CO 2 排 出 量 は 評 価 していないため 本 報 告 とは 単 純 比 較 できないことに 注 意 が 必 要 である 本 報 告 前 回 報 告 Kadam [1999] Kadam [1999] ( 最 小 ) Arkenol NEDO [2006] EUCAR [2007] ( 最 小 ) その 他 化 石 燃 料 由 来 バイオマス 由 来 本 報 告 前 回 報 告 Kadam [1999] Kadam [1999] ( 最 小 ) Arkenol NEDO [2006] EUCAR [2007] ( 最 小 ) 化 石 燃 料 由 来 CO 2 バイオマス 由 来 CO 2 [MJ/kg-ethanol] 0 20 40 60 80 [g-eq CO 2/kg-ethanol] 0 2,000 4,000 6,000 図 3.1.6 セルロース 系 バイオマスのエタノール 転 換 に 関 する 本 報 告 と 前 回 報 告 の 比 較 ( 左 :エネルギー 消 費 量 右 : 温 室 効 果 ガス 排 出 量 ) - 23 -

エタノールの 国 内 輸 送 セルロース 系 バイオマスから 製 造 したエタノールの 米 国 内 における 輸 送 に 関 する 各 種 設 定 は コーンと 同 様 GREET 1.8a[2007]の 設 定 に 従 った 米 国 内 における 輸 送 手 段 としてはトラック 船 鉄 道 が 用 いられている 3 算 出 結 果 米 国 でのセルロース 系 バイオマスからのエタノール 製 造 パスについて エタノール 1 MJ 製 造 時 におけるエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 算 出 結 果 を 表 3.1.7((A) 最 大 ケース (B) 最 小 ケース)に 示 す 表 3.1.7(A) 米 国 でのセルロース 系 バイオマスからのエタノール 1 MJ 製 造 時 における エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 ( 最 大 ケース) 資 源 供 給 資 源 輸 送 燃 料 転 換 燃 料 輸 送 エネルギー 消 費 量 化 石 燃 料 由 来 0.12 0.03 0.29 0.05 0.49 [MJ/MJ-EtOH] バイオマス 由 来 0.00 0.00 1.60 0.00 1.60 その 他 0.00 0.00 0.12 0.00 0.12 0.12 0.03 2.01 0.05 2.21 温 室 効 果 ガス 排 出 量 化 石 燃 料 由 来 8.08 2.01 25.14 3.48 38.70 CO2 [g eq-co2/mj-etoh] バイオマス 由 来 0.00 0.00 183.70 0.00 183.70 CH4 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 N2O 11.62 0.00 0.00 0.00 11.62 19.69 2.01 208.84 3.48 234.02 表 3.1.7(B) 米 国 でのセルロース 系 バイオマスからのエタノール 1 MJ 製 造 時 における エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 ( 最 小 ケース) 資 源 供 給 資 源 輸 送 燃 料 転 換 燃 料 輸 送 エネルギー 消 費 量 化 石 燃 料 由 来 0.12 0.03 0.00 0.05 0.20 [MJ/MJ-EtOH] バイオマス 由 来 0.00 0.00 1.80 0.00 1.80 その 他 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.12 0.03 1.80 0.05 2.00 温 室 効 果 ガス 排 出 量 化 石 燃 料 由 来 8.08 2.01 0.00 3.48 13.56 CO2 [g eq-co2/mj-etoh] バイオマス 由 来 0.00 0.00 167.81 0.00 167.81 CH4 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 N2O 11.62 0.00 0.00 0.00 11.62 19.69 2.01 167.81 3.48 192.99-24 -

3.1.2 ブラジル ブラジルについては サトウキビからのエタノール 製 造 パスのみを 対 象 とした 1 前 提 条 件 本 報 告 で 対 象 としたブラジルでのサトウキビからのエタノール 製 造 パスのフロー 図 を 図 3.1.7 に 示 す: プラン テーション サトウキビ 国 内 輸 送 (ブラジル) エタノール 転 換 糖 質 発 酵 (ブラジル) 無 水 エタノール 国 内 輸 送 (ブラジル) (ethanol ) 余 剰 バガス 図 3.1.7 ブラジルでのサトウキビからのエタノール 製 造 パスのフロー 図 ブラジルでは サトウキビを 原 料 に 砂 糖 とエタノールが 生 産 されている サンパウロ 州 を 中 心 としたブラジル 南 部 では 4 月 から 11 月 が 収 穫 期 であり アラゴアス 州 等 のブラジル 北 東 部 では 9 月 から 3 月 が 収 穫 期 であるため 年 間 を 通 じて 国 内 でのエタノール 生 産 が 可 能 となっている サトウキビ 生 産 は USINA(ウッジーナ)と 呼 ばれる 工 場 自 身 が 行 っている 場 合 と 契 約 して いる 生 産 者 が 生 産 供 給 をしている 場 合 がある USINA は 砂 糖 とエタノールの 両 方 を 生 産 でき るものが 多 いが 本 報 告 ではエタノールのみ 生 産 する 工 場 を 想 定 した サトウキビは 新 植 してから 5~6 回 程 度 収 穫 を 行 い その 後 はまた 新 植 する 収 穫 や 植 え 付 け 作 業 は 一 部 で 機 械 化 されているものの 大 部 分 が 手 作 業 である 収 穫 されたサトウキビはトラッ クで USINA へ 搬 送 され エタノールに 転 換 される USINA では 搾 汁 発 酵 蒸 留 脱 水 等 を 経 て 無 水 エタノールが 生 産 されるが ブラジル 内 ではエタノール 燃 料 (E100)も 流 通 しているた め 脱 水 前 の 含 水 エタノールも 製 品 として 出 荷 されている(ただし 他 国 でのエタノール 製 造 パ スとの 比 較 も 考 慮 し 本 報 告 では 無 水 エタノールを 製 造 するパスのみを 対 象 としている) 搾 汁 後 のバガスは 所 内 にてエネルギー 源 ( 電 力 蒸 気 等 )として 利 用 されている 無 水 アルコールは 主 として 国 営 石 油 会 社 であるペトロプラス 社 等 の 石 油 企 業 に 直 接 販 売 され ローリーで 流 通 拠 点 へ 搬 送 される 流 通 拠 点 には ガソリン エタノールそれぞれのタンクがあ り ラインブレンダーで 混 合 され パイプラインやローリーで 供 給 されている 2 本 報 告 における 算 出 サトウキビのプランテーション サトウキビのプランテーションについては 前 回 報 告 で 参 考 にした Macedo, I.C.[1998]の 他 に 最 近 では Macedo, I.C. et al.[2004]が 公 表 されている Macedo, I.C. et al.[2004]では 新 たにごみ 焼 却 からの CH 4 排 出 等 が 考 慮 されている この 文 献 では 2001 年 から 2002 年 のサトウキビ 収 穫 期 間 のデータを 用 いているが 天 候 の 影 響 が 大 きいプロセスについては 1998 年 から 2003 年 のデ ータを 採 用 していると 記 載 されている 本 報 告 では Macedo, I.C. et al.[2004]に 記 載 されている 平 均 データと 最 良 データをもとにエネ ルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 算 出 した その 結 果 を 表 3.1.8 に 示 す - 25 -

表 3.1.8 ブラジルでのサトウキビのプランテーションにおける エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 データ 名 単 位 ( 平 均 ) ( 最 良 ) 主 製 品 サトウキビ kg 1.0 1.0 副 産 物 バガス kg 0.28 0.28 燃 料 : 農 業 活 動 MJ 0.038 0.038 N 系 肥 料 MJ 0.052 0.053 P 2 O 5 系 肥 料 MJ 0.005 0.004 エネルギー 消 費 量 K 2 O 系 肥 料 MJ 0.009 0.007 石 灰 MJ 0.007 0.007 除 草 剤 MJ 0.013 0.011 殺 虫 剤 MJ 7.95E-4 7.95E-4 MJ 0.124 0.121 CO 2 kg 7.72E-3 7.62E-3 ごみ 焼 却 からの CH 4 排 出 (CO 2 相 当 量 ) kg 6.60E-3 6.60E-3 温 室 効 果 ガス 排 出 量 ごみ 焼 却 からの N 2 O 排 出 (CO 2 相 当 量 ) kg 2.40E-3 2.40E-3 土 壌 からの N 2 O 排 出 (CO 2 相 当 量 ) kg 6.30E-3 6.30E-3 (CO 2 相 当 量 ) kg 2.30E-2 2.29E-2 参 考 までに 前 回 報 告 との 比 較 を 図 3.1.8 に 示 す 本 報 告 前 回 報 告 Macedo [1998] ( 平 均 ) Macedo [1998] ( 最 良 ) Macedo [2004] ( 平 均 ) Macedo [2004] ( 最 良 ) 本 報 告 前 回 報 告 Macedo [1998] ( 平 均 ) Macedo [1998] ( 最 良 ) Macedo [2004] ( 平 均 ) Macedo [2004] ( 最 良 ) CO 2 N 2 O CH 4 [MJ/kg-sugaecane] 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 [g-eq CO 2/kg-sugarcane] 0 5 10 15 20 25 図 3.1.8 ブラジルでのサトウキビのプランテーションに 関 する 本 報 告 と 前 回 報 告 の 比 較 ( 左 :エネルギー 消 費 量 右 : 温 室 効 果 ガス 排 出 量 ) サトウキビの 国 内 輸 送 サトウキビのエタノール 転 換 工 場 までの 輸 送 については Macedo, I.C. et al.[2004]に 記 載 され たエネルギー 消 費 量 に 関 するデータをもとに 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 算 出 した ここで 燃 料 は 軽 油 を 想 定 した - 26 -

サトウキビのエタノール 転 換 サトウキビのエタノール 転 換 についても Macedo, I.C. et al.[2004]に 記 載 されている 平 均 デー タと 最 良 データをもとにエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 算 出 した ここで 平 均 最 良 それぞれのケースにおける 転 換 効 率 は サトウキビ 1 トンあたりそれぞれ 91.8 リットル 88.7 リットルである また エタノール 転 換 工 場 内 で 消 費 するエネルギー( 電 力 及 び 蒸 気 )はサトウ キビ 絞 汁 後 のバガスを 燃 料 として 利 用 しており エネルギー 面 で 完 全 に 独 立 している 上 更 に 5 ~15 % 程 度 の 余 剰 バガスが 発 生 している よって 本 報 告 では エネルギー 利 用 効 率 の 面 で 2 通 りのケースを 想 定 し 平 均 ケースでは 8 %の 余 剰 バガスが 最 良 ケースでは 15 %の 余 剰 バガスが 発 生 するものとしてエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 算 出 した その 結 果 を 表 3.1.9 に 示 す 表 3.1.9 サトウキビのエタノール 転 換 におけるエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 データ 名 単 位 ( 平 均 ) ( 最 良 ) 主 製 品 エタノール kg 1.0 1.0 副 産 物 余 剰 バガス kg 0.31 0.59 エネルギー 消 費 量 燃 料 用 バガス MJ 27.1 25.0 温 室 効 果 ガス 排 出 量 CO 2 排 出 量 (バイオマス 由 来 ) kg 2.54 2.35 エタノールの 国 内 輸 送 エタノールのブラジル 国 内 における 輸 送 に 関 する 各 種 設 定 は GREET 1.8a[2007]の 設 定 に 従 っ た ブラジル 国 内 における 輸 送 手 段 としては 鉄 道 パイプライン トラックが 用 いられている 3 算 出 結 果 ブラジルでのサトウキビからのエタノール 製 造 パスについて エタノール 1 MJ 製 造 時 におけ るエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 算 出 結 果 を 表 3.1.10((A) 平 均 ケース (B) 最 良 ケース)に 示 す 表 3.1.10(A) ブラジルでのサトウキビからのエタノール 1 MJ 製 造 時 における エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 ( 平 均 ケース) 資 源 供 給 資 源 輸 送 燃 料 転 換 燃 料 輸 送 エネルギー 消 費 量 化 石 燃 料 由 来 0.06 0.02 0.00 0.02 0.10 [MJ/MJ-EtOH] バイオマス 由 来 0.00 0.00 1.01 0.00 1.01 その 他 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.06 0.02 1.01 0.02 1.11 温 室 効 果 ガス 排 出 量 化 石 燃 料 由 来 4.02 1.66 0.00 1.17 6.86 CO2 [g eq-co2/mj-etoh] バイオマス 由 来 0.00 0.00 94.75 0.00 94.75 CH4 3.43 0.00 0.00 0.00 3.43 N2O 4.53 0.00 0.00 0.00 4.53 11.98 1.66 94.75 1.17 109.57-27 -

表 3.1.10(B) ブラジルでのサトウキビからのエタノール 1 MJ 製 造 時 における エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 ( 最 良 ケース) 資 源 供 給 資 源 輸 送 燃 料 転 換 燃 料 輸 送 エネルギー 消 費 量 化 石 燃 料 由 来 0.06 0.02 0.00 0.02 0.10 [MJ/MJ-EtOH] バイオマス 由 来 0.00 0.00 0.93 0.00 0.93 その 他 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.06 0.02 0.93 0.02 1.03 温 室 効 果 ガス 排 出 量 化 石 燃 料 由 来 3.96 1.41 0.00 1.17 6.55 CO2 [g eq-co2/mj-etoh] バイオマス 由 来 0.00 0.00 87.54 0.00 87.54 CH4 3.43 0.00 0.00 0.00 3.43 N2O 4.53 0.00 0.00 0.00 4.53 11.92 1.41 87.54 1.17 102.05 3.1.3 欧 州 (1) 小 麦 からのエタノール 及 び ETBE 製 造 1 前 提 条 件 本 報 告 で 対 象 とした 欧 州 での 小 麦 からのエタノール 及 び ETBE 製 造 パスのフロー 図 を 図 3.1.9 に 示 す: プラン テーション 小 麦 域 内 輸 送 ( 欧 州 ) エタノール 転 換 糖 質 発 酵 ( 欧 州 ) 無 水 エタノール 域 内 輸 送 ( 欧 州 ) (ethanol ) 域 内 輸 送 ( 欧 州 ) ETBE 転 換 ( 欧 州 ) ETBE 域 内 輸 送 ( ETBE ) ( 欧 州 ) DDGS 図 3.1.9 小 麦 からのエタノール 及 び ETBE 製 造 パスのフロー 図 小 麦 は 欧 州 域 内 で 生 産 され 収 穫 乾 燥 した 後 にエタノール 原 料 として 利 用 される 小 麦 は 澱 粉 質 のため コーン 同 様 糖 化 してエタノール 発 酵 する よって 本 研 究 ではコーンに 適 用 する ドライミル 方 式 と 同 様 のプロセスを 適 用 することを 想 定 し ドライミル 方 式 での 所 内 エネルギー は 現 在 最 も 使 用 されている 天 然 ガスボイラーを 利 用 するものとした また 副 産 物 として 発 生 する DDGS への 負 荷 配 分 については コーンの 時 と 同 様 本 パスに 由 来 するすべての 環 境 負 荷 は( 無 水 )エタノールが 担 うものとした - 28 -

2 本 報 告 における 算 出 小 麦 のプランテーション 欧 州 での 小 麦 からのエタノール 製 造 に 関 する 先 行 研 究 としては LowCVP[2004]が 挙 げられる ここでは 英 国 で 小 麦 を 生 産 し その 実 をエタノール 原 料 として 利 用 するパスが 報 告 されている 小 麦 のプランテーションについて 本 報 告 では LowCVP[2004]に 記 載 されているデータをも とにエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 算 出 した その 結 果 を 表 3.1.11 に 示 す 表 3.1.11 小 麦 のプランテーションにおけるエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 データ 名 単 位 量 主 製 品 小 麦 ( 乾 燥 後 : 含 水 率 3 %) kg 1.0 N 系 肥 料 MJ 1.48E-3 P 2 O 5 系 肥 料 MJ 7.13E-5 K 2 O 系 肥 料 MJ 4.25E-5 エネルギー 消 費 量 除 草 剤 ( 化 学 品 ) MJ 1.13E-4 軽 油 MJ 1.39 電 力 1 化 石 燃 料 由 来 MJ 9.81E-3 電 力 2その 他 MJ 0.12 MJ 1.52 CO 2 kg 0.05 温 室 効 果 ガス 排 出 量 N 2 O kg 6.32E-4 (CO 2 相 当 量 ) kg 0.24 小 麦 の 域 内 輸 送 小 麦 のエタノール 転 換 工 場 までの 輸 送 に 関 する 各 種 設 定 ( 輸 送 形 態 (トラック) 輸 送 距 離 ( 片 道 50 km) 燃 費 等 )については EUCAR[2007]の 設 定 に 従 った 小 麦 のエタノール 転 換 小 麦 のエタノール 転 換 についても LowCVP[2004]に 記 載 されているデータを 参 考 にした こ こでは エタノール 転 換 プロセスで 消 費 されるエネルギーについて ケーススタディとして 天 然 ガスボイラーを 使 用 する 場 合 天 然 ガスコジェネレーションを 使 用 する 場 合 小 麦 わらボイラ ーを 使 用 する 場 合 の 3 ケースが 設 定 されている 本 報 告 では 天 然 ガスボイラーを 使 用 する 場 合 を 基 準 ケースとしてエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 算 出 した その 結 果 を 表 3.1.12 に 示 す - 29 -

表 3.1.12 小 麦 のエタノール 転 換 におけるエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 データ 名 単 位 量 主 製 品 エタノール kg 1.0 副 産 物 DDGS( 含 水 率 10%) kg 0.49 熱 エネルギー(LHV) MJ 9.6 エネルギー 消 費 量 電 力 1 化 石 燃 料 由 来 MJ 0.4 電 力 2その 他 MJ 4.2 MJ 14.2 温 室 効 果 ガス 排 出 量 CO 2 kg 0.57 エタノールの 域 内 輸 送 エタノールの 欧 州 域 内 における 輸 送 に 関 する 各 種 設 定 ( 輸 送 形 態 (トラック) 輸 送 距 離 ( 片 道 150 km) 燃 費 等 )については EUCAR[2007]の 設 定 に 従 った ETBE 転 換 エタノールの ETBE 転 換 プロセスについては 前 回 報 告 同 様 Kadam, K.L. et al.[1999]を 参 考 にした ここで 発 電 時 のエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 については 日 本 に 輸 出 実 績 のあるフランスのデータを 用 いた 3 算 出 結 果 欧 州 での 小 麦 からのエタノール 及 び ETBE 製 造 パスについて それぞれ 1 MJ 製 造 時 における エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 算 出 結 果 を 表 3.1.13(エタノール) 及 び 表 3.1.14 (ETBE)に 示 す 表 3.1.13 欧 州 での 小 麦 からのエタノール 1 MJ 製 造 時 における エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 資 源 供 給 資 源 輸 送 燃 料 転 換 燃 料 輸 送 エネルギー 消 費 量 化 石 燃 料 由 来 0.16 0.01 0.37 0.01 0.54 [MJ/MJ-EtOH] バイオマス 由 来 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 その 他 0.01 0.00 0.16 0.00 0.17 0.17 0.01 0.53 0.01 0.71 温 室 効 果 ガス 排 出 量 化 石 燃 料 由 来 15.95 0.40 21.35 0.56 38.26 CO2 [g eq-co2/mj-etoh] バイオマス 由 来 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 CH4 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 N2O 20.83 0.00 0.00 0.00 20.83 36.78 0.40 21.35 0.56 59.09-30 -

表 3.1.14 欧 州 での 小 麦 からの ETBE 1 MJ 製 造 時 における エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 資 源 供 給 資 源 輸 送 燃 料 転 換 燃 料 輸 送 ETBE 製 造 燃 料 輸 送 エネルギー 消 費 量 化 石 燃 料 由 来 0.05 0.00 0.13 0.00 0.11 0.01 0.31 [MJ/MJ-ETBE] バイオマス 由 来 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 その 他 0.00 0.00 0.05 0.00 0.00 0.00 0.06 0.06 0.00 0.18 0.00 0.12 0.01 0.37 温 室 効 果 ガス 排 出 量 化 石 燃 料 由 来 5.48 0.14 7.33 0.19 8.72 0.42 22.28 CO2 [g eq-co2/mj-etbe] バイオマス 由 来 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 CH4 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 N2O 7.15 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 7.15 12.63 0.14 7.33 0.19 8.72 0.42 29.44 (2)テンサイからのエタノール 及 び ETBE 製 造 1 前 提 条 件 本 報 告 で 対 象 とした 欧 州 でのテンサイからのエタノール 及 び ETBE 製 造 パスのフロー 図 を 図 3.1.10 に 示 す: プラン テーション テン サイ 域 内 輸 送 ( 欧 州 ) エタノール 転 換 糖 質 発 酵 ( 欧 州 ) 無 水 エタノール 域 内 輸 送 ( 欧 州 ) (ethanol ) 域 内 輸 送 ( 欧 州 ) ETBE 転 換 ( 欧 州 ) ETBE 域 内 輸 送 ( ETBE ) ( 欧 州 ) テンサイ パルプ 図 3.1.10 テンサイからのエタノール 及 び ETBE 製 造 パスのフロー 図 テンサイは 貯 蔵 中 に 糖 分 が 低 下 していくため 一 定 期 間 で 搾 汁 を 終 了 するが エタノール 転 換 は 得 られた 糖 蜜 を 利 用 して 年 間 を 通 じて 行 われる 2 本 報 告 における 算 出 テンサイのプランテーション 欧 州 でのテンサイのプランテーションに 関 するデータを 得 ることができなかったため 本 報 告 では ヘクタールあたりの 収 穫 量 が 欧 州 とほぼ 同 等 である 米 国 でのテンサイのプランテーション に 関 するデータを 参 考 にして 推 計 した 欧 州 でのテンサイのプランテーションにおけるエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 算 出 結 果 を 表 3.1.15 に 示 す - 31 -

表 3.1.15 テンサイのプランテーションにおけるエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 データ 名 単 位 量 主 製 品 テンサイ kg 1.0 N 系 肥 料 MJ 1.57 P 2 O 5 系 肥 料 MJ 0.11 エネルギー 消 費 量 K 2 O 系 肥 料 MJ 0.08 CaO 系 肥 料 MJ 0.53 軽 油 MJ 0.18 MJ 2.47 温 室 効 果 ガス 排 出 量 CO 2 kg 0.17 テンサイの 域 内 輸 送 テンサイのエタノール 転 換 工 場 までの 輸 送 に 関 する 各 種 設 定 ( 輸 送 形 態 (トラック) 輸 送 距 離 ( 片 道 50 km) 燃 費 等 )については EUCAR[2007]の 設 定 に 従 った テンサイのエタノール 転 換 テンサイのエタノール 転 換 に 関 する 先 行 研 究 としては EUCAR[2007]が 挙 げられる ここで は 59 MW 規 模 の 工 場 を 想 定 し エタノール 転 換 プロセスで 消 費 されるエネルギーは 天 然 ガスを 使 用 するものとしている 本 報 告 においても EUCAR[2007]に 記 載 されているデータをもとに テンサイのエタノール 転 換 におけるエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 算 出 した その 結 果 を 表 3.1.16 に 示 す 表 3.1.16 テンサイのエタノール 転 換 におけるエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 データ 名 単 位 量 主 製 品 エタノール kg 1.0 副 産 物 テンサイパルプ kg 0.69 熱 エネルギー(LHV) MJ 8.14 エネルギー 消 費 量 電 力 1 化 石 燃 料 由 来 MJ 0.11 電 力 2その 他 MJ 1.36 MJ 9.61 温 室 効 果 ガス 排 出 量 CO 2 kg 0.47 エタノールの 域 内 輸 送 小 麦 の 時 と 同 様 エタノールの 欧 州 域 内 における 輸 送 に 関 する 各 種 設 定 は EUCAR[2007]の 設 定 に 従 った - 32 -

ETBE 転 換 小 麦 の 時 と 同 様 の 設 定 とした 3 算 出 結 果 欧 州 でのテンサイからのエタノール 及 び ETBE 製 造 パスについて それぞれ 1 MJ 製 造 時 にお けるエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 算 出 結 果 を 表 3.1.17(エタノール) 及 び 表 3.1.18 (ETBE)に 示 す 表 3.1.17 欧 州 でのテンサイからのエタノール 1 MJ 製 造 時 における エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 資 源 供 給 資 源 輸 送 燃 料 転 換 燃 料 輸 送 エネルギー 消 費 量 化 石 燃 料 由 来 0.84 0.02 0.31 0.01 1.17 [MJ/MJ-EtOH] バイオマス 由 来 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 その 他 0.00 0.00 0.05 0.00 0.05 0.84 0.02 0.36 0.01 1.22 温 室 効 果 ガス 排 出 量 化 石 燃 料 由 来 56.44 1.23 17.55 0.56 75.77 CO2 [g eq-co2/mj-etoh] バイオマス 由 来 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 CH4 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 N2O 44.91 0.00 0.00 0.00 44.91 101.35 1.23 17.55 0.56 120.68 表 3.1.18 欧 州 でのテンサイからの ETBE 1 MJ 製 造 時 における エネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 資 源 供 給 資 源 輸 送 燃 料 転 換 燃 料 輸 送 ETBE 製 造 燃 料 輸 送 エネルギー 消 費 量 化 石 燃 料 由 来 0.29 0.01 0.11 0.00 0.11 0.01 0.52 [MJ/MJ-ETBE] バイオマス 由 来 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 その 他 0.00 0.00 0.02 0.00 0.00 0.00 0.02 0.29 0.01 0.12 0.00 0.12 0.01 0.54 温 室 効 果 ガス 排 出 量 化 石 燃 料 由 来 19.38 0.42 6.03 0.19 8.72 0.42 35.16 CO2 [g eq-co2/mj-etbe] バイオマス 由 来 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 CH4 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 N2O 15.42 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 15.42 34.80 0.42 6.03 0.19 8.72 0.42 50.59-33 -

3.1.4 東 南 アジア 東 南 アジアについては サトウキビからのエタノール 製 造 パスのみを 対 象 とした 1 前 提 条 件 本 報 告 で 対 象 とした 東 南 アジアでのサトウキビからのエタノール 製 造 パスのフロー 図 を 図 3.1.11 に 示 す: プラン テーション サトウキビ 域 内 輸 送 ( 東 南 アジア) エタノール 転 換 糖 質 発 酵 ( 東 南 アジア) 無 水 エタノール 域 内 輸 送 ( 東 南 アジア) (ethanol ) 余 剰 バガス 図 3.1.11 東 南 アジアでのサトウキビからのエタノール 製 造 パスのフロー 図 現 在 東 南 アジアで 燃 料 用 エタノールの 製 造 及 び 利 用 が 進 んでいる 国 としてタイが 挙 げられる タイでは サトウキビからのエタノール 製 造 は 主 に 砂 糖 工 場 で 行 われており ブラジル 同 様 砂 糖 とエタノールの 両 方 が 製 造 されている また エタノール 原 料 として 廃 糖 蜜 とサトウキビから 搾 汁 されるケーンジュースの 両 方 を 利 用 している 工 場 では 季 節 によってこれらを 使 い 分 けてお り サトウキビ 収 穫 期 には 原 料 としてケーンジュースを そうでない 時 期 には 原 料 糖 を 利 用 して いる 東 南 アジアでのエタノール 製 造 について 本 報 告 では 基 準 ケースとして 東 南 アジア 域 内 で サトウキビを 生 産 した 後 同 域 内 でエタノールを 製 造 し 利 用 するパスを 想 定 した また エタ ノール 転 換 工 場 内 で 消 費 するエネルギーは ブラジル 同 様 サトウキビ 搾 汁 後 のバガスを 燃 料 と して 利 用 するものとした ただし 含 水 エタノールから 無 水 エタノールにする 脱 水 プロセスにつ いては 共 沸 蒸 留 が 主 流 のブラジルとは 異 なり モレキュラーシーブ 技 術 を 適 用 していると 想 定 した 2 本 報 告 における 算 出 サトウキビのプランテーション 東 南 アジアでのサトウキビのプランテーションについては 先 行 研 究 として Samson, R. et al. [2001]においてフィリピンでのサトウキビ 生 産 時 の 投 入 エネルギーに 関 するデータが 記 載 され ている 本 報 告 においても ここに 記 載 されているデータをもとにエネルギー 消 費 量 及 び 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 算 出 した その 結 果 を 表 3.1.19 に 示 す サトウキビの 域 内 輸 送 サトウキビのエタノール 転 換 工 場 までの 輸 送 については 地 域 の 規 模 等 を 勘 案 し 欧 州 での 小 麦 やテンサイの 事 例 における 各 種 設 定 ( 輸 送 形 態 (トラック) 輸 送 距 離 ( 片 道 50 km) 燃 費 等 ) と 同 じものとした - 34 -