3 次 元 内 部 構 造 顕 微 鏡 装 置 (3D-ISM)を 用 いたウマ 卵 巣 内 部 構 造 の 観 察 木 村 順 平 1, 平 野 悠 子 2, 猪 飼 志 保 1, 竹 本 智 子 3,4, 中 村 佐 紀 子 3, 横 田 秀 夫 姫 野 龍 太 郎 3,4, 三 島 健 稔 3,4, 南 保 泰 雄 5, 津 曲 茂 久 1, 松 井 基 純 2, 三 宅 陽 一 1 日 本 大 学 生 物 資 源 科 学 部 獣 医 学 科 神 奈 川 県 藤 沢 市 亀 井 野 1866 e-mail: kimura@brs.nihon-u.ac.jp 2 帯 広 畜 産 大 学 獣 医 学 科 北 海 道 帯 広 市 稲 田 町 西 2-11 e-mail: s01099@st.obihiro.ac.jp 3 埼 玉 大 学 大 学 院 理 工 学 研 究 科 埼 玉 県 さいたま 市 桜 区 下 大 久 保 255 e-mail: satoko@me.ics.saitama-u.ac.jp 4 理 化 学 研 究 所 生 体 力 学 シミュレーション 特 別 研 究 ユニット 埼 玉 県 和 光 市 広 沢 2-1 5 JRA 日 高 育 成 牧 場 北 海 道 浦 河 郡 浦 河 町 字 西 舎 535-13 3, 2 要 旨 ウマの 卵 巣 は 形 態 の 特 異 性 から 卵 巣 全 体 の 内 部 構 造 の 観 察 が 困 難 とされてきた そこ で 3D-ISM をウマ 卵 巣 観 察 に 応 用 したところあらゆる 断 面 観 察 が 可 能 となり さらに VoxelViewer やセグメンテーション 技 術 の 開 発 に 伴 い 三 次 元 像 再 構 築 や 形 態 計 測 等 が 行 えるようになった 1. はじめに 1-1. ウマ 卵 巣 の 解 剖 学 的 特 徴 ウマ 卵 巣 は 他 の 哺 乳 類 と 比 較 して 極 めて 特 異 的 な 形 態 を 有 している ウマの 卵 巣 は 著 しく 大 きく 大 型 の 繁 殖 牝 馬 では 最 長 軸 が8~10cm 程 度 にまで 及 ぶ そのため 従 来 の 組 織 学 的 技 術 では 卵 巣 全 体 の 内 部 観 察 は 不 十 分 とされてきた また 多 くの 哺 乳 類 では 髄 質 が 内 側 で 皮 質 が 外 側 に 位 置 しており 卵 胞 ( 1)は 皮 質 内 で 発 育 して どの 箇 所 からでも 排 卵 ( 2)することができる しかしウマでは 皮 質 と 髄 質 の 位 置 が 逆 転 しており 内 部 の 大 部 分 を 皮 質 が 占 め 表 面 を 髄 質 が 被 っている 髄 質 は 卵 管 采 付 近 で 途 切 れて 皮 質 が 表 面 を 占 め その 表 層 は 表 面 上 皮 で 被 われている この 部 分
は 排 卵 窩 とよばれ ウマの 排 卵 はここでしか 行 われない 1 卵 胞 : 卵 巣 内 にみられる 球 形 の 細 胞 塊 中 に 卵 細 胞 を 入 れる 発 育 段 階 により 原 始 卵 胞 一 次 卵 胞 二 次 卵 胞 三 次 卵 胞 ( 胞 状 卵 胞 ) 成 熟 卵 胞 (グ ラーフ 卵 胞 )とよばれる 主 に 発 情 に 関 与 するホルモンであるエストロ ジェンを 産 生 する 2 排 卵 : 卵 胞 から 卵 子 が 排 出 すること 1-2. ウマの 繁 殖 生 理 ウマは 典 型 的 な 長 日 繁 殖 動 物 である 長 日 繁 殖 動 物 は 日 照 時 間 の 長 くなる 春 から 夏 にかけて 繁 殖 活 動 を 行 い 秋 から 冬 には 非 繁 殖 期 となる 発 情 周 期 の 長 さは 平 均 23 日 で 卵 胞 の 発 育 閉 鎖 排 卵 および 黄 体 ( 3) 形 成 退 行 という 卵 巣 内 部 の 変 化 が 周 期 的 に 繰 返 される 発 情 周 期 中 の 卵 巣 内 の 変 化 はホルモンという 微 量 の 生 理 活 性 物 質 により 複 雑 にコントロールされている また ウマは 通 常 1 回 に 1 個 排 卵 する 単 排 卵 動 物 である 3 黄 体 : 卵 巣 内 の 卵 胞 破 裂 部 位 に 形 成 される 黄 色 の 内 分 泌 組 織 多 数 の 小 血 管 と 黄 体 細 胞 からなる 主 に 妊 娠 の 維 持 等 に 関 与 するホルモンであるプロジ ェステロンを 産 生 する 1-3. 実 験 の 背 景 と 目 的 家 畜 の 飼 養 によって 生 計 を 立 てている 農 家 にとって 交 配 は 非 常 に 重 要 なものであ り 1 年 1 産 の 大 型 家 畜 動 物 であればなおさらのことである 特 に 繁 殖 活 動 の 時 期 が 限 定 されているウマでは 発 情 周 期 をきちんと 把 握 して 交 配 する 機 会 をできるだけ 多 くつくることが 重 要 である 超 音 波 画 像 診 断 装 置 は 卵 巣 内 モニタリングに 有 効 な 手 段 であり これを 用 いた 卵 胞 発 育 に 関 する 研 究 は 多 く 報 告 されている しかし 卵 巣 観 察 のほとんどは 2 次 元 的 なものであり 3 次 元 的 な 卵 巣 内 の 構 造 および 動 態 に 関 して は 不 明 な 点 が 多 い そこで 本 研 究 では 画 像 診 断 に 有 用 なウマの 卵 巣 内 部 構 造 の 詳 細 な 基 礎 データを 収 集 するために 3 次 元 内 部 構 造 顕 微 鏡 装 置 ( 以 下 3D-ISM)およ び 画 像 処 理 プログラムの 適 用 について 検 討 を 行 った 2. 材 料 と 方 法 2-1. 材 料 1999 年 5 月 ~9 月 上 旬 2000 年 3 月 ~4 月 および 2001 年 8 月 に 日 本 中 央 競 馬 会 競 走 馬 総 合 研 究 所 にて 安 楽 死 または 斃 死 したサラブレッド 種 の 雌 12 頭 から 卵 巣 計 24 個 を 採 取 し 供 試 材 料 とした 死 亡 前 に 頚 静 脈 より 血 液 採 取 を 行 った 2-3. 卵 巣 断 面 画 像 の 取 得 採 取 した 卵 巣 を 直 ちに 10%ホルマリン 溶 液 にて 固 定 した 卵 巣 を PBS にてよく 洗 浄 した 後 周 囲 の 結 合 組 織 をできる 限 り 取 り 除 き 卵 管 は 切 除 した 次 に 卵 巣 を 長 軸 方 向 の 断 面 となるように OCT コンパウンド(サクラファインテック( 株 ))で 凍 結 包 埋
した 次 に 3D-ISM にて 30μm 間 隔 で 切 削 を 行 い 白 色 光 源 下 で CCD カメラ 撮 影 に より 断 面 画 像 を 取 得 した 各 画 像 の X Y 方 向 分 解 能 は 188μm Z 方 向 は 30μm で あった 2-3. 断 面 画 像 の 観 察 卵 巣 の 断 面 画 像 から 黄 体 出 血 体 および 退 行 黄 体 の 分 類 を 試 みた また 肉 眼 的 に 観 察 可 能 な 卵 胞 の 数 をカウントした さらに 卵 胞 を 球 形 であると 仮 定 し 卵 胞 が 認 め られる 断 面 画 像 の 枚 数 に 切 削 厚 さの 30μmを 乗 じて 卵 胞 の 直 径 とした( 図 1) 2-4. 画 像 処 理 1) 立 体 画 像 の 再 構 築 3 次 元 画 像 解 析 ソフトウェア Voxel Viewer( 東 芝 機 械 )を 用 いてボリュームレン ダリングを 行 い 卵 巣 の3 次 元 立 体 像 を 再 構 築 し( 図 2a) さらに 体 積 測 定 を 行 った 2) 画 像 抽 出 卵 巣 内 の 卵 胞 および 黄 体 に 対 して 領 域 の 抽 出 を 行 った 卵 胞 に 対 しては 統 計 的 手 法 を 用 いた 領 域 判 別 を 半 自 動 的 に 行 い 黄 体 に 対 しては RV エディタ(RIKEN)を 用 いて 直 交 3 断 面 (x,y,z)を 作 成 し マニュアルで 直 接 抽 出 を 行 った その 後 ボクセ ルデータに 変 換 して 上 述 の 方 法 により3 次 元 立 体 像 を 構 築 し 体 積 を 測 定 した また 卵 巣 内 の 空 間 的 位 置 関 係 を 可 視 化 するために 卵 巣 と 卵 巣 内 構 造 物 の 不 透 明 度 の 設 定 を 変 えてから3 次 元 再 構 築 を 行 った( 図 2b) 3) 血 中 ホルモン 濃 度 測 定 採 取 した 血 液 を 用 いて 血 中 ホルモン 濃 度 の 測 定 を 行 った 血 液 は 遠 心 分 離 後 冷 蔵 保 存 した 血 中 エストラジオール 濃 度 ( 以 下 E 2 )は 血 漿 をドライアイス-メタノ ール 法 によりエーテル 抽 出 した 後 アセトニトリルおよびヘキサンを 用 いた 脱 脂 肪 処 理 を 行 い 2 抗 体 法 RIA にて 測 定 した 血 中 プロジュステロン 濃 度 ( 以 下 P 4 )は エーテル 抽 出 後 2 抗 体 法 RIA にて 測 定 した E 2 およびP 4 測 定 には 米 国 Colorado State University の G.D.Niswender 博 士 より 供 与 された 抗 E 2 血 清 (GDN244)および 抗 P 4 血 清 (GDN337)を 使 用 した E 2 の 測 定 内 および 測 定 間 変 動 係 数 は 4.8%および 5.8% P 4 の 測 定 内 および 測 定 間 変 動 係 数 は 3.5%および 13.4%であった 測 定 結 果 より 血 中 P 4 値 が 1.0 ng/ml 未 満 のものを 卵 胞 期 群 1.0 ng/ml 以 上 のものを 黄 体 期 群 として 分 類 した 4) 統 計 学 的 処 理 全 てのデータは 平 均 ± 標 準 誤 差 で 示 した 2 群 間 の 比 較 にはt 検 定 またはマンホイ ットニーのU 検 定 を 用 い 多 群 間 の 比 較 については 二 元 配 置 分 散 分 析 の 後 Scheffe の 多 重 比 較 検 定 を 行 った p<0.05 を 有 意 差 ありと 判 定 した
180 枚 目 210 300 420 480 540 600 660 720 750 画 像 数 30μm = 直 径 図 1. 卵 胞 計 測 法 ( 図 2a) ( 図 2b) 図 2. 再 構 築 された3 次 元 立 体 像
3. 結 果 3-1. 卵 巣 内 部 構 造 断 面 画 像 より 皮 質 髄 質 および 排 卵 窩 の 位 置 関 係 が 明 らかとなった( 図 4a,カラー Fig.1) すなわち 排 卵 窩 は 卵 巣 中 央 部 に 位 置 し 卵 胞 黄 体 および 出 血 体 を 含 む 広 範 囲 の 卵 巣 皮 質 に 囲 まれていた 髄 質 は 辺 縁 の 狭 い 範 囲 のみに 認 められた 出 血 体 には 大 量 に 血 液 が 充 満 していることが 確 認 された( 図 4b,カラーFig.2) 黄 体 は 黄 体 層 を 有 する 様 々な 形 態 の 構 造 物 として 認 められ 退 行 黄 体 は 小 さな 痕 跡 的 な 形 態 として 観 察 された( 図 4b,カラーFig.2) また 排 卵 窩 に 向 けて 形 の 歪 んでいる 排 卵 前 の 大 型 卵 胞 も 観 察 された( 図 4b,カラーFig.2) さらに 卵 巣 の 立 体 再 構 築 画 像 の 可 視 化 ( 図 5,カラーFig.3 4 5)により 卵 胞 黄 体 出 血 体 および 排 卵 窩 の 空 間 的 位 置 関 係 が 明 らかとなった 排 卵 間 近 の 大 型 卵 胞 黄 体 および 出 血 体 が 排 卵 窩 に 向 っている 様 子 を 立 体 的 に 観 察 することができた : 排 卵 窩 の 位 置 を 示 す M: 髄 質 部 を 示 す F: 卵 胞 図 4a. 卵 巣 断 面 画 像 -1 ( 巻 頭 カラーFig.1 参 照 ) 出 血 体 黄 体 退 行 黄 体 図 4b. 卵 巣 断 面 画 像 -2 ( 巻 頭 カラーFig.2 参 照 )
卵 巣 の3 次 元 再 構 築 像 ( 卵 胞 期 ) ( 不 透 明 度 =255) 卵 巣 の3 次 元 再 構 築 可 視 化 像 ( 卵 胞 期 ) ( 不 透 明 度 : 卵 巣 =5 構 造 物 =255) 卵 巣 の3 次 元 再 構 築 像 ( 黄 体 期 ) ( 不 透 明 度 =255) 卵 巣 の3 次 元 再 構 築 可 視 化 像 ( 黄 体 期 ) ( 不 透 明 度 : 卵 巣 =5 構 造 物 =255) 図 5. 3 次 元 再 構 築 画 像 ( 上 段 : 卵 胞 期 群 下 段 : 黄 体 期 群 ) ( 巻 頭 カラーFig.3 Fig.4 Fig.5 参 照 ) 排 卵 窩 のある 側 を 軸 に360 度 (60 度 6 回 ) 回 転 させた 画 像 可 視 化 画 像 は 卵 巣 の 不 透 明 度 を5にし 構 造 物 の 不 透 明 度 を255に 設 定
3-2. 卵 巣 体 積 および 構 造 物 の 体 積 卵 胞 期 群 の 卵 巣 体 積 (89.2±24.7mm 3 )は 黄 体 群 の 卵 巣 体 積 (39.5±3.6mm 3 )と 比 べて 有 意 に 大 きかった( 図 6a) また 各 個 体 の 両 卵 巣 の 差 は 卵 胞 期 群 で 大 きい 傾 向 があったが 有 意 差 はなかった( 図 6b) さらに 抽 出 した 卵 巣 内 構 造 物 の 体 積 を 測 定 したところ 図 5 上 段 に 示 した 卵 胞 期 群 の 卵 巣 内 に 存 在 する 卵 胞 の 総 体 積 は 36.3 cm 3 であり 卵 巣 全 体 (119.1 cm 3 )の 約 3 0%を 占 有 していた このうち 大 型 卵 胞 の 体 積 は 27.5cm 3 あり 総 卵 胞 体 積 の75% であった( 表 1) また 図 5 下 段 に 示 した 黄 体 期 群 の 卵 巣 内 に 存 在 する 卵 胞 の 総 体 積 は 0.9cm 3 黄 体 の 体 積 2.5cm 3 であり それぞれ 卵 巣 体 積 (34.6cm 3 )の3%およ び7%を 占 めていた( 表 1) 200 卵 巣 体 積 250 両 卵 巣 の 卵 巣 サイズの 差 150 200 大 卵 巣 小 卵 巣 卵 巣 体 積 (mm 3 ) 100 * p<0.05 卵 巣 体 積 (mm 3 ) 150 100 50 50 0 0 卵 胞 期 黄 体 期 卵 胞 期 黄 体 期 ( 図 6a) 卵 巣 体 積 ( 図 6b) 卵 巣 体 積 の 差 図 6. 卵 巣 体 積 卵 胞 期 群 (1 例 ) 黄 体 期 群 (1 例 ) 卵 巣 体 積 (cm 3 ) 119.1 34.6 総 卵 胞 体 積 (cm 3 ) 36.3[30%] 0.9[3%] 黄 体 (cm 3 ) 2.5[7%] 表 1. 卵 巣 体 積 と 卵 巣 内 構 造 物 の 体 積 ([ ] 内 は 卵 巣 体 積 に 対 する 占 有 率 を 示 す)
3-3. 卵 胞 サイズと 卵 胞 数 図 7より 卵 胞 期 群 では 1-5mmの 卵 胞 数 が 他 のサイズと 比 べて 有 意 に 多 かった 黄 体 期 群 では 卵 胞 数 に 有 意 差 はみられなかったが 卵 胞 期 群 と 同 様 に 小 卵 胞 数 が 多 い 傾 向 にあった また 卵 胞 期 群 と 黄 体 期 群 の 卵 胞 数 をサイズ 毎 に 比 較 したところ 1-5m mの 卵 胞 に 関 しては 卵 胞 期 群 の 方 が 有 意 に 多 い 傾 向 にあった 次 に 排 卵 に 近 い 大 型 卵 胞 (>40mm)をもつ 個 体 を 調 べたところ 卵 胞 期 群 は5 頭 中 3 頭 対 して 黄 体 期 群 には7 頭 中 0 頭 に 認 められた( 表 2) 卵 胞 期 群 で 大 型 卵 胞 をもつ 検 体 の 平 均 血 中 E 2 値 (18.0±2.7 pg/ml)は 大 型 卵 胞 をもたない 検 体 の 血 中 E 2 値 (5.9±4.1 pg/ml)に 対 して 有 意 に 高 いことがわかった 30 卵 胞 サイズ(mm) 卵 胞 数 25 20 15 10 a b 1-5 5-10 10-15 15-20 20-25 25-30 30-35 35-40 40-45 45-50 bc 5 b b b b b bbb 0 卵 胞 期 群 黄 体 期 群 図 7. 卵 胞 サイズと 卵 胞 数 ( 群 別 ) 大 型 卵 胞 あり 黄 体 あり 出 血 体 あり 卵 胞 期 群 (5 頭 ) 3/5 2/5 1/5 黄 体 期 群 (7 頭 ) 0/7 6/7 0/7 表 2. 大 型 卵 胞 黄 体 および 出 血 体 をもつ 検 体 ( 頭 )の 割 合 3-4. 出 血 体 黄 体 および 退 行 黄 体 の 数 出 血 体 は 黄 体 期 群 には 見 られず 卵 胞 期 群 に 1 頭 認 められた( 表 2) また 黄 体 期 群 では7 頭 中 6 頭 に 黄 体 がみられたのに 対 し 卵 胞 期 群 では5 頭 中 2 頭 であった ( 表 2) しかし 卵 胞 期 群 は P 4 値 が 1.0 ng/ml 以 下 であるため 認 められた 黄 体 は いずれも 機 能 していないと 考 えられた
4. まとめと 考 察 ウマ 卵 巣 全 体 の 断 面 画 像 から 皮 質 髄 質 および 排 卵 窩 の 位 置 関 係 が 明 確 となり さ らに 卵 胞 黄 体 および 出 血 体 が 肉 眼 的 に 分 類 された 特 に 卵 胞 に 関 しては 超 音 波 診 断 装 置 による 観 察 が 困 難 である5mm 以 下 の 小 卵 胞 を 観 察 することが 可 能 となり 詳 細 な 観 察 を 行 えるようになった また 卵 巣 画 像 の 立 体 化 および 可 視 化 によって 卵 巣 内 構 造 物 や 排 卵 窩 の 3 次 元 的 な 位 置 関 係 が 明 らかとなり 大 型 卵 胞 出 血 体 および 黄 体 の 先 端 部 が 排 卵 窩 へ 向 っていることが 実 証 された 卵 胞 や 黄 体 の 立 体 構 造 が 明 確 に 示 されたのはこれが 初 めてであり 今 回 示 したような 扁 平 な 黄 体 構 造 などは 全 く 新 し い 知 見 である さらにボクセルデータから 体 積 算 出 することで 卵 巣 だけでなく 卵 胞 黄 体 および 出 血 体 といった 構 造 物 の 体 積 や 表 面 積 の 測 定 が 可 能 となった これにより 様 々な 形 態 を 呈 する 卵 巣 内 構 造 物 ( 特 に 出 血 体 や 黄 体 )を 比 較 する 際 に 有 効 な 手 段 となることが 示 唆 された P 4 濃 度 の 低 い 卵 胞 期 群 では LH( 黄 体 形 成 ホルモン)が 増 加 するので 小 卵 胞 の 発 育 を 促 進 させる そのため 黄 体 期 群 に 比 べて 小 卵 胞 が 有 意 に 多 く 大 型 卵 胞 が 存 在 するの で 卵 巣 体 積 が 大 きくなるのではないかと 考 えられた また 大 きな 卵 胞 ほど E 2 産 生 量 が 増 加 するので 大 型 卵 胞 をもつ 方 がもたないものに 比 べて E 2 濃 度 が 高 くなる 一 方 P 4 濃 度 の 高 い 黄 体 期 群 では LH が 抑 制 されるために 大 型 卵 胞 が 形 成 されないと 考 えられた また P 4 濃 度 が 高 いということは 観 察 される 黄 体 が 機 能 的 であることを 示 す 指 標 となる 5. 結 論 3D-ISM によって 鮮 明 なウマ 卵 巣 断 面 画 像 が 得 られた スライサ 部 分 が 自 動 制 御 で 高 速 回 転 であるため 非 常 に 効 率 よく 連 続 断 面 画 像 を 得 ることが 可 能 となった 取 得 し た 画 像 より 三 次 元 化 および 領 域 抽 出 を 行 ったところ 卵 巣 内 の 立 体 的 配 置 や 体 積 およ び 表 面 積 といった 視 覚 的 情 報 および 数 値 データを 得 ることが 可 能 となった これらの 情 報 に 生 理 学 的 な 情 報 を 付 随 することによりウマ 卵 巣 の 詳 細 な 解 析 が 可 能 であると いうことが 示 唆 された また 画 像 診 断 における 基 礎 的 なデータの 作 成 に 3D-ISM は 極 めて 有 用 であると 考 えられた 参 考 文 献 [1] Gastal, E.L., Bergfelt, D.R., Nogueira G.P., Gastal, M.O., Ginther, O.J., 1999. Role of luteinizing hormone in follicle deviation based on manipulating progesterone concentrations in mares. Biol. Reprod. 61, 1492-1498. [2] Ginther, O.J., 1992. Reproductive Biology of the Mare, Basic and Applied Aspects, Second Edition. Equiservice, Wisconsin, USA. [3] Ginther, O.J., Gastal, E.L., Gastal, M.O., Beg, M.A., 2005. Regulation of circulating gonadotropins by the negative effects of ovarian hormones in mares. Biol. Reprod. 73, 315 323. [4] Kimura, J., Tsukise, A., Yokota, H., Nambo, Y., Higuchi, T., 2001. The application of three-dimensional internal structure microscopy in the observation of mare ovary. Anat. Histol. Embryol. 30, 309-312. [5] Kimura, J., Hirano, Y., Takemoto, S., Nambo, Y., Ishinazaka, T., Himeno, R.,
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