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Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

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03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

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別 表 1 土 地 建 物 提 案 型 の 供 給 計 画 に 関 する 評 価 項 目 と 評 価 点 数 表 項 目 区 分 評 価 内 容 と 点 数 一 般 評 価 項 目 立 地 条 件 (1) 交 通 利 便 性 ( 徒 歩 =80m/1 分 ) 25 (2) 生 活 利 便

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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし


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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

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代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

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平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

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一般競争入札について

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平成17年度高知県県産材利用推進事業費補助金交付要綱

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長崎市民間建築物耐震化推進事業の概要

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( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

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(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

(5) 給 与 改 定 の 状 況 事 委 員 会 が 無 い た め 記 載 し て お り ま せ ん 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 ( 参 考 ) 区 分 民 間 給 与 A 公 務 員 給 与 B 較 差 A - B 勧 告 ( 改 定 率 ) 給 与 改 定 率 国 の 改

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共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

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定款

人 同 意 第 49 回 宇 和 島 定 例 決 結 果 一 覧 表 番 号 件 名 決 結 果 報 告 第 1 号 専 決 処 分 した 件 報 告 即 日 受 理 専 決 第 1 号 道 おける 故 和 解 即 日 受 理 専 決 第 2 号 車 両 接 触 故 和 解 即 日 受 理 案 第

答申第585号

目 次 第 1 部 個 人 所 得 税 の 概 要 居 住 者 非 居 住 者 の 定 義 4 個 人 所 得 税 の 納 付 のしかた( 給 不 所 得 者 ) 5 居 住 者 の 個 人 所 得 税 額 の 計 算 のしくみ( 給 不 所 得 者 ) 6 非 居 住 者 の 個 人 所 得 税

平成16年度

損 益 計 算 書 ( 平 成 25 年 10 月 1 日 から 平 成 26 年 9 月 30 日 まで) ( 単 位 : 千 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 304,971 営 業 費 用 566,243 営 業 総 損 失 261,271 営 業 外 収 益 受 取 利 息 3,545

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鳥 取 国 民 年 金 事 案 177 第 1 委 員 会 の 結 論 申 立 人 の 昭 和 37 年 6 月 から 38 年 3 月 までの 国 民 年 金 保 険 料 については 納 付 していたものと 認 められることから 納 付 記 録 を 訂 正 することが 必 要 である 第 2 申

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(3) その 他 市 長 が 必 要 と 認 める 書 類 ( 補 助 金 の 交 付 決 定 ) 第 6 条 市 長 は 前 条 の 申 請 書 を 受 理 したときは 速 やかにその 内 容 を 審 査 し 補 助 金 を 交 付 すべきものと 認 めたときは 規 則 第 7 条 に 規 定 す

(2) 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 保 育 の 必 要 な 子 どものいる 家 庭 だけでなく 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 のために 利 用 者 支 援 事 業 や 地 域 子 育 て 支 援 事 業 な

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

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課 税 ベ ー ス の 拡 大 等 : - 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し ( 後 掲 ) - 減 価 償 却 の 見 直 し ( 建 物 附 属 設 備 構 築 物 の 償 却 方 法 を 定 額 法 に 一 本 化 ) - 欠 損 金 繰 越 控 除 の 更 な る 見 直 し ( 大

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

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平成22年度

埼 玉 県 入 間 郡 三 芳 町 大 字 藤 久 保 1100 番 地 1 三 芳 町 役 場 本 庁 舎 4 階 ウ 提 出 方 法 : 持 参 または 郵 送 による 提 出 とする ただし 提 出 期 限 必 着 とし 郵 送 の 場 合 は 必 ず 到 着 を 確 認 するものとする (3

第1章 簿記の一巡

調査結果の概要

1 ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 の 事 業 税 の 課 税 について ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 は 収 入 金 額 を 課 税 標 準 として 収 入 割 の 申 告 となります ( 法 72 条 の2 72 条 の 12 第 2 号 ) ガス 供 給 業 とその 他 の 事

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

(1)1オールゼロ 記 録 ケース 厚 生 年 金 期 間 A B 及 びCに 係 る 旧 厚 生 年 金 保 険 法 の 老 齢 年 金 ( 以 下 旧 厚 老 という )の 受 給 者 に 時 効 特 例 法 施 行 後 厚 生 年 金 期 間 Dが 判 明 した Bは 事 業 所 記 号 が

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する 婦 人 相 談 所 その 他 適 切 な 施 設 による 支 援 の 明 記 禁 止 命 令 等 をすることが できる 公 安 委 員 会 等 の 拡 大 等 の 措 置 が 講 じられたものである 第 2 改 正 法 の 概 要 1 電 子 メールを 送 信 する 行 為 の 規 制 ( 法

Transcription:

順 天 堂 スポーツ 健 康 科 学 研 究 第 2 巻 第 4 号 ( 通 巻 58 号 ),155~160 (2011) 155 報 告 四 国 九 州 アイランドリーグの 自 立 的 経 営 に 関 する 一 考 察 ホームタウン 地 域 住 民 の 期 待 満 足 度 に 着 目 して 山 本 圭 吾 青 山 芳 之 A study on Management stabilization of Shikoku and Kyusyu Island League Focussing on the satisfaction of local residents Keigo YAMAMOTO and Yoshiyuki AOYAMA 緒 将 来 のプロ 野 球 選 手 を 目 指 す 選 手 達 のリーグであ る 四 国 九 州 アイランドリーグ( 以 下, 四 国 九 州 IL)は, 開 幕 から 5 年 間 の 間 に20 名 の 選 手 を NPB 球 界 に 送 り 出 しており, 一 定 の 成 果 を 上 げている. しかし, 経 営 面 に 目 を 向 けると,リーグ 開 幕 初 年 度 である2005 年 に 約 3 億 円,2006 年 に 約 1 億 5000 万 円,そして2007 年 に 約 1 億 2000 万 円 と, 毎 年, 赤 字 を 出 し 続 けている.さらに, 高 知 ファイティングド ッグスや 長 崎 セインツの 球 団 存 続 問 題 が 起 こった り, 福 岡 レッドワーブラーズが 経 営 難 から2010 年 度 シーズンの 参 戦 見 送 りを 決 定 したりするなど, 経 済 的 に 自 立 した 経 営 ができていないのが 現 状 である. 経 済 的 に 自 立 した 経 営 とは,プロスポーツの 収 入 源 とされる 入 場 料 収 入,スポンサー 収 入, 放 映 権 料,マーチャンダイジング 収 入 を 安 定 的 に 確 保 し, 独 立 採 算 で 黒 字 経 営 をしていくことであるが, 四 国 九 州 IL においては,J リーグやプロ 野 球 のよ うな 放 映 権 料 など 大 きな 収 入 源 は 期 待 できないこと から, 収 入 の 核 とされる 集 客 に 力 を 注 がなくてはな らないと 言 える. 言 順 天 堂 大 学 大 学 院 スポーツ 健 康 科 学 研 究 科 Graduate School of Health and Sports Science, Juntendo University 四 国 九 州 IL の 1 試 合 平 均 観 戦 者 数 は,リーグ 設 立 年 の2005 年 が1,068 人,2006 年 が806 人,2007 年 が1,100 人,リーグが 拡 張 した2008 年 は886 人,2009 年 が774 人 と2007 年 度 シーズンは 持 ち 直 したもの の, 開 幕 年 度 から 観 戦 者 数 を 減 らしているのが 現 状 である. 入 場 料 収 入 をきちんと 確 保 するためには, 一 人 で も 多 くのファンにスタジアムに 足 を 運 ばせ,チケッ トを 買 ってもらうことが 重 要 であり, 球 団 側 は, 観 客 が スタジアムに 来 てよかった と 満 足 するよう なサービスを 提 供 しなければならない.しかし, 現 状 を 見 る 限 り, 多 くの 観 戦 者 に 足 を 運 んでもらえる ようなサービス 製 品 が, 観 戦 者 に 提 供 されていない と 考 えざるを 得 ないと 言 える.これを 解 決 するため には, 観 戦 者 のニーズを 的 確 に 捉 え,それを 満 たす ような 製 品 を 提 供 し, 安 定 した 観 客 を 確 保 できるよ うな 戦 略 面 の 改 善 が, 今 後, 四 国 九 州 IL には 必 要 であると 言 える. 研 究 目 的 方 法 本 研 究 の 目 的 は,アイランドリーグ 創 設 時 から 参 戦 し, 最 も 集 客 に 苦 戦 していると 推 察 される 高 知 フ ァイティングドッグスを 事 例 に, 試 合 観 戦 に 対 する ニーズを 構 造 的 に 捉 え,それらのニーズに 対 する 満 足 度 を 明 らかにすることで, 今 後 の 集 客 戦 略 改 善 の

156 順 天 堂 スポーツ 健 康 科 学 研 究 第 2 巻 第 4 号 ( 通 巻 58 号 ) (2011) に 資 する 基 礎 資 料 を 得 ることである. コトラー(2003)は, 製 品 を 欲 求 やニーズを 満 たす 目 的 で 市 場 に 提 供 され, 注 目, 獲 得, 使 用, 消 費 の 対 象 となるすべてのもの と 定 義 している. 製 品 は, 形 のある 具 体 的 な 物 のほか,サービス, 人, 場 所, 組 織,アイディアなどさまざまな 要 素 から 構 成 されている. 製 品 概 念 についてはいろいろな 考 え 方 が 示 されているが, 確 認 すべきことは, 製 品 とい うものがいくつかの 次 元 からなり, 消 費 者 がトータ ルとしての 製 品 を 購 入 しているということである. さらに,コトラー(1997)は, 観 戦 スポーツのよ うなサービス 製 品 は,4 つの 製 品 レベルで 考 える 必 要 がある とし,4 つの 製 品 レベルからなる 拡 大 製 品 概 念 として 提 示 している. 即 ち,サービス 製 品 においては,その 中 心 的 なベ ネフィットである 中 核 的 製 品 とともに, 必 ず 提 供 されなければならない 促 進 的 製 品,そして 差 別 化 に 役 立 つ 付 加 的 製 品 と,そのサービスがど ういう 過 程 で 提 供 されるかを 決 める 拡 大 製 品 の 4 つを 総 合 的 に 捉 えることが 重 要 であり,この 4 つ の 製 品 レベルがまんべんなく 提 供 されたときに, 製 品 の 価 値 は 高 まり, 顧 客 の 満 足 も 向 上 するというこ とである. このコトラーの 拡 大 製 品 概 念 は, 顧 客 志 向 の 立 場 を 主 張 したものであり,サービス 的 な 部 分 もプロダ クトの 一 部 として 捉 えていることから, 製 品 とし て, 観 戦 スポーツを 考 える 際 に, 非 常 に 有 効 な 理 論 であると 考 えられる.また, 村 上 (2004)が 拡 大 製 品 概 念 を 用 いて,プロ 野 球 観 戦 者 の 満 足 度 調 査 を 行 っていることから, 本 研 究 でもコトラーの 拡 大 製 品 概 念 を 用 いることとした. そして, 本 研 究 の 目 的 を 達 成 するため, 1. ファイティングドッグス 観 戦 者 は,コトラー の 拡 大 製 品 概 念 に 対 応 する 多 様 なニーズを 持 っている 2. 現 在, 高 知 球 団 は 観 客 が 満 足 するような 製 品 を 提 供 できておらず,コトラーの 拡 大 製 品 概 念 を 用 いることで,ニーズが 満 たされていな いポイントを 明 らかにすることができる という 2 つの 仮 説 を 立 て, 検 証 した. 研 究 方 法 は 以 下 のとおりである. 調 査 時 期 2009 年 11 月 12 日 ~12 月 10 日 調 査 対 象 高 知 市 内 の 地 域 住 民 調 査 方 法 郵 送 法 による 質 問 紙 調 査 法 調 査 項 目 野 球 に 係 わる 個 人 的 属 性 アイランドリーグ 観 戦 に 対 する 重 要 度 23 項 目 ( 非 常 に 重 要 まあ 重 要 重 要 でない 全 く 重 要 でない の 4 段 階 尺 度 ) アイランドリーグ 観 戦 に 対 する 満 足 度 23 項 目 ( 満 足 まあ 満 足 やや 不 満 不 満 の 4 段 階 尺 度 ) ドリームパスポートの 利 用 状 況 デモグラフィック 属 性 その 結 果,205 名 の 配 布 に 対 し,154 名 の 有 効 回 答 を 得 た( 回 収 率 75 ). データの 集 計 分 析 には SPSS for Windows 統 計 パッケージ 及 び Microsoft Excel 2007を 用 いた.サ ンプルの 属 性 は 表 1 のとおりであった. 表 1 調 査 対 象 者 のデモグラフィック 属 性 男 性 62.3 20 代 3.3 性 別 年 齢 女 性 37.7 30 代 48.7 平 均 39.4 歳 会 社 員 57.0 40 代 43.3 (SD 5.87) 公 務 員 10.1 50 代 以 上 4.7 自 営 業 10.7 10 分 以 下 36.8 職 業 スタジアム 専 業 主 婦 6.7 11~20 分 23.6 までの パート 11.4 21~30 分 26.4 所 要 時 間 その 他 4.0 31 分 以 上 13.2 結 果 考 察 本 研 究 では,コトラーの 拡 大 製 品 概 念,そして 村 上 (2004)の 先 行 研 究 を 参 考 に, 製 品 としてのアイ ランドリーグ 観 戦 において 便 益 を 構 成 すると 思 われ るサービス 属 性 項 目 を23 項 目 作 成 した. まず, 仮 説 1. 高 知 ファイティングドッグスの 試 合 観 戦 者 は,コトラーの 拡 大 製 品 概 念 に 対 応 する 多 様 なニーズを 持 っている を 検 証 するために,

順 天 堂 スポーツ 健 康 科 学 研 究 第 2 巻 第 4 号 ( 通 巻 58 号 ) (2011) 157 高 知 ファイティングドッグスの 試 合 観 戦 に 対 する 重 要 度 ( 事 前 期 待 ) の 平 均 値 を 算 出 した.4 段 階 のリッカート 尺 度 で 聞 いたところ,23 項 目 中, チ アリーダーなどの 演 出 と グッズのバリエーショ ン を 除 いた21 項 目 で 4 段 階 の 平 均 である2.5を 上 回 った.そのうち,12 項 目 で 4 段 階 尺 度 の 重 要 で ある にあたる 3 を 上 回 っていた.したがって, 高 知 ファイティングドッグスの 観 戦 者 は, 単 に 勝 ち 負 けだけを 見 に 来 ているのではなく,その 他 にも 多 様 なニーズを 持 っていることが 明 らかになった. 次 に, 性 別 や 年 代 の 違 い,そして 過 去 の 高 知 ファ イティングドッグスの 観 戦 経 験 やアイランドリーグ 以 外 の 野 球 観 戦 経 験 の 有 無 によって, 観 戦 者 の 試 合 観 戦 に 対 する 重 要 度 ( 事 前 期 待 )が 変 わってくると 考 えられるところから,それぞれの 項 目 と 試 合 観 戦 に 対 する 重 要 度 で 比 較 分 析 を 行 った. まず, 性 別 や 年 代 によって 試 合 観 戦 に 対 する 重 要 度 に 違 いがあるかをみるために, 性 別 については t 検 定, 年 代 別 については 一 元 配 置 分 散 分 析 を 行 った ところ, 性 別 において 内 野 フェンスの 高 さ に 1 水 準 で 有 意 な 差 が 出 た( 表 2).しかし, 年 代 別 では, 有 意 な 差 は 見 られなかった( 表 3). 次 に, 過 去 の 高 知 ファイティングドッグスの 観 戦 表 2 性 別 による 試 合 観 戦 に 対 する 重 要 度 ( 事 前 期 待 ) 表 3 過 去 の 高 知 ファイティングドッグスの 観 戦 経 験 の 有 無 による 事 前 期 待 の 差 項 目 全 体 男 性 女 性 t 値 有 意 確 率 項 目 観 戦 経 験 がある 観 戦 経 験 がない t 値 有 意 確 率 チケットの 買 いやすさ 3.14 3.11 3.18-0.453 チアリーダーなどの 演 出 2.39 2.48 2.25 1.329 スタジアムの 雰 囲 気 (カラーリング 照 明 ) 3.01 2.96 3.11-1.018 プロらしい 高 度 なプレー 3.46 3.49 3.42 0.581 アイランドリーグらし い 一 生 懸 命 なプレー ゲームの 勝 敗 3.66 3.64 3.70-0.487 2.97 2.96 3.00-0.313 グッズのバリエーション 2.42 2.41 2.43-0.105 グッズの 値 段 2.58 2.55 2.62-0.396 参 加 できるイベント 2.91 2.82 3.07-1.729 選 手 と 触 れ 合 えるイベ ント(サイン 会 写 真 3.01 2.98 3.05-0.500 撮 影 等 ) 他 の 観 客 のマナー 3.18 3.12 3.27-1.098 座 席 のすわり 心 地 2.85 2.86 2.84 0.135 充 実 した 売 店 食 事 2.93 2.95 2.91 0.264 従 業 員 (ボランティ ア, 警 備 員 も 含 む)の 3.22 3.20 3.25-0.382 接 客 態 度 日 常 生 活 の 気 晴 らし 2.57 2.58 2.57 0.030 応 援 の 一 体 感 3.07 3.01 3.16-1.065 内 野 のフェンスの 高 さ 2.57 2.43 2.80-2.686 グラウンドの 見 やすさ 3.16 3.10 3.25-1.104 スタジアムへの 交 通 ア クセス 3.21 3.14 3.32-1.315 場 内 アナウンス 音 響 2.87 2.81 2.96-1.144 スター 選 手 の 活 躍 3.22 3.20 3.25-0.382 トイレの 清 潔 さ 3.37 3.29 3.50-1.656 試 合 後 のスムーズな 退 出 2.95 2.85 3.13-1.901 チケットの 買 いやすさ 3.27 3.00 0.070 チアリーダーなどの 演 出 2.56 2.23 0.042 スタジアムの 雰 囲 気 (カラーリング 照 明 ) 3.15 2.88 0.059 プロらしい 高 度 なプレー 3.62 3.30 0.006 アイランドリーグらし い 一 生 懸 命 なプレー 3.73 3.59 0.218 ゲームの 勝 敗 3.07 2.88 0.159 グッズのバリエーション 2.54 2.30 0.090 グッズの 値 段 2.69 2.47 0.152 参 加 できるイベント 2.99 2.84 0.306 選 手 と 触 れ 合 えるイベ ント(サイン 会 写 真 3.18 2.84 0.020 撮 影 等 ) 他 の 観 客 のマナー 3.23 3.12 0.411 座 席 のすわり 心 地 3.00 2.70 0.032 充 実 した 売 店 食 事 3.03 2.84 0.140 従 業 員 (ボランティ ア, 警 備 員 も 含 む)の 3.24 3.19 0.696 接 客 態 度 日 常 生 活 の 気 晴 らし 2.58 2.57 0.928 応 援 の 一 体 感 3.24 2.89 0.010 内 野 のフェンスの 高 さ 2.72 2.43 0.042 グラウンドの 見 やすさ 3.22 3.09 0.365 スタジアムへの 交 通 ア クセス 3.31 3.11 0.129 場 内 アナウンス 音 響 2.99 2.75 0.070 スター 選 手 の 活 躍 3.32 3.11 0.117 トイレの 清 潔 さ 3.34 3.41 0.581 試 合 後 のスムーズな 退 出 2.95 2.96 0.925 注 ) =P<0.01 注 ) =P<0.05, =P<0.01

158 順 天 堂 スポーツ 健 康 科 学 研 究 第 2 巻 第 4 号 ( 通 巻 58 号 ) (2011) 経 験 の 有 無 によって, 試 合 観 戦 に 対 する 重 要 度 ( 事 前 期 待 )に 違 いがあるかを 見 るために t 検 定 を 行 っ たところ, チアリーダーなどの 演 出, 選 手 と 触 れ 合 えるイベント, 座 席 の 座 り 心 地, 内 野 フェ ンスの 高 さ においては 5 水 準, プロらしい 高 度 なプレー, 応 援 の 一 体 感 においては 1 水 準 で 有 意 な 差 が 見 られた.しかし,アイランドリーグ 以 外 の 野 球 観 戦 経 験 の 有 無 では, 試 合 観 戦 に 対 する 重 要 度 ( 事 前 期 待 )に 有 意 な 差 は 見 られなかった. このように, 性 別 や 過 去 の 高 知 ファイティングド ッグスの 観 戦 経 験 の 有 無 によって 事 前 期 待 に 違 いが あった.これらのことから, 高 知 ファイティングド ッグスの 観 戦 者 は 単 に 勝 ち 負 けだけを 見 に 来 ている のではなく,その 他 にも 多 様 なニーズを 持 っている ことが 明 らかになり, 仮 説 1 が 採 択 された. 第 2 に, 仮 説 2. ファイティングドッグス 観 戦 者 の,ニーズが 満 たされていないポイントを 明 らか にすることができる を 検 証 することとした. コトラー(2004)によれば, 顧 客 満 足 は あるサー ビスに 対 する 事 前 期 待 と,サービス 享 受 後 の 評 価 の 関 係 によって 決 定 される.つまり, 事 前 期 待 を 事 後 評 価 が 上 回 れば 顧 客 は 満 足 し, 満 足 した 顧 客 はそ の 製 品 やサービスを 再 購 入 し,リピーターとなる. しかし, 事 前 期 待 が 満 たされないときは 顧 客 不 満 足 となり,その 製 品 やサービスから 離 れていく. そこで, 本 研 究 では, 高 知 ファイティングドッ グスの 試 合 観 戦 に 対 する 満 足 度 ( 事 後 評 価 )の 平 均 値 から 高 知 ファイティングドッグスの 試 合 観 戦 に 対 する 重 要 度 ( 事 前 期 待 )の 平 均 値 を 差 し 引 く ことによって, 観 戦 者 の 顧 客 満 足 がどの 程 度 達 成 さ れているかを 確 認 することとした.その 結 果,23 項 目 中, 事 後 評 価 の 方 が 上 回 っていたのは 5 項 目 のみ であり,あとの18 項 目 においては,すべて 事 後 評 価 が 下 回 っていた( 表 4). また,コトラーの 4 つの 製 品 レベル 毎 に 平 均 値 を 比 較 したところ, 中 核 的 製 品, 促 進 的 製 品, 付 加 的 製 品, 拡 大 された 製 品 のすべてにおい て 事 後 評 価 が 下 回 る 結 果 となった. 顧 客 満 足 はあく までも 主 観 によるものであるため, 各 項 目 について サンプル 1 人 1 人 の 満 足 度 を 見 たところ, 全 体 の 3 分 の 2(66 )の 回 答 者 が 満 足 と 答 えたのは,23 項 目 中 9 項 目 であった. 平 均 値 で 見 たときよりは, 満 足 度 の 項 目 数 は 若 干 増 えたが,それでもあとの14 項 目 については, 不 満 と 感 じた 人 が 多 かった. 次 に, 高 知 ファイティングドッグスのリピーター とリピーターでない 人 との 間 で 事 後 評 価 に 違 いがあ るのかを 見 るため, 観 戦 経 験 のある 人 のうち,2008 年 度,2009 年 度 を 通 して 2 回 以 上 観 戦 に 来 ている 人 とそうでない 人 の 2 群 に 分 け,t 検 定 を 行 ったとこ ろ, スター 選 手 の 活 躍 において 1 水 準 で 有 意 な 差 が 見 られた. 以 上 のことから, 高 知 ファイティングドッグスの 試 合 においては,ほとんどの 項 目 で, 観 客 のニーズ は 十 分 に 満 たされておらず, 特 に, 事 前 期 待 と 事 後 評 価 の 開 きが 大 きかった, アイランドリーグらし い 一 生 懸 命 なプレー, プロらしい 高 度 なプレー, 従 業 員 (ボランティア, 警 備 員 も 含 む)の 接 客 において, 観 客 が 満 足 するような 製 品 を 提 供 できて いるとは 言 えないことが 明 らかとなり, 仮 説 2 が 支 持 された. 今 後, 球 団 側 は, 現 在 提 供 している 商 品 を 見 直 さ なければならないが, 特 に,ニーズが 満 たされてい なかったポイントを 改 善 しなければならないが, アイランドリーグらしい 一 生 懸 命 なプレー, プ ロらしい 高 度 なプレー は, 選 手 個 人 の 問 題 であ り, 直 ぐに 改 善 できるというものではないため, 球 団 として 直 ぐに 取 り 組 むことができる, 従 業 員 の 接 客 態 度 に 重 点 をおいて 改 善 していくことが 必 要 であると 考 えられる. 結 論 本 研 究 は,アイランドリーグ 創 設 時 から 参 戦 し, 最 も 集 客 に 苦 戦 していると 思 われる 高 知 ファイティ ングドッグスを 事 例 に,ホームタウン 地 域 住 民 の 試 合 観 戦 に 対 する 期 待 と 満 足 度 を 明 らかにすることを 目 的 として,コトラーの 拡 大 製 品 概 念 を 用 いて 調 査 を 行 った. その 結 果,

順 天 堂 スポーツ 健 康 科 学 研 究 第 2 巻 第 4 号 ( 通 巻 58 号 ) (2011) 159 表 4 事 後 評 価 と 事 前 期 待 の 平 均 値 の 比 較 事 後 評 価 事 前 期 待 平 均 値 の 差 スター 選 手 の 活 躍 2.623 3.216-0.593 ゲームの 勝 敗 2.913 2.973-0.060 中 核 的 製 品 アイランドリーグらしい 一 生 懸 命 なプレー 2.857 3.662-0.805 プロらしい 高 度 なプレー 2.671 3.463-0.791 日 常 生 活 の 気 晴 らし 2.843 2.574 0.269 トイレの 清 潔 さ 2.701 3.372-0.670 促 進 的 製 品 チケットの 買 いやすさ 2.985 3.135-0.150 従 業 員 (ボランティア, 警 備 員 も 含 む)の 接 客 態 度 2.486 3.216-0.731 場 内 アナウンス 音 響 2.886 2.871 0.015 チアリーダーなどの 演 出 2.545 2.395 0.151 グッズのバリエーション 2.714 2.419 0.295 付 加 的 製 品 グッズの 値 段 2.574 2.578-0.005 充 実 した 売 店 食 事 2.471 2.932-0.461 選 手 と 触 れ 合 えるイベント(サイン 会 写 真 撮 影 等 ) 2.681 3.007-0.326 拡 大 さ れ た 製 品 相 互 作 用 物 理 的 環 境 接 近 可 能 性 応 援 の 一 体 感 2.838 3.068-0.229 他 の 観 客 のマナー 2.710 3.176-0.466 座 席 のすわり 心 地 2.814 2.851-0.037 スタジアムの 雰 囲 気 (カラーリング 照 明 ) 2.603 3.014-0.411 内 野 のフェンスの 高 さ 2.757 2.574 0.183 グラウンドの 見 やすさ 2.814 3.155-0.341 スタジアムへの 交 通 アクセス 2.914 3.209-0.295 試 合 後 のスムーズな 退 出 2.881 2.953-0.072 顧 客 の 参 加 参 加 できるイベント 2.567 2.912-0.345 高 知 ファイティングドッグスの 観 戦 者 は, 単 に 試 合 の 勝 ち 負 けだけを 見 に 来 ているのではなく,そ の 他 にも 多 様 なニーズを 持 っている 高 知 ファイティングドッグス 観 戦 者 の, アイ ランドリーグらしい 一 生 懸 命 なプレー, プロらし い 高 度 なプレー, 従 業 員 (ボランティア, 警 備 員 も 含 む)の 接 客 において, 特 にニーズが 満 たされ ていない ということが 明 らかになった. 今 後, 観 戦 者 の 満 足 度 を 高 めていくためには, 本 研 究 で 事 前 期 待 と 事 後 評 価 の 開 きが 大 きかった 項 目 を 改 善 していくことが 必 要 である.しかし, 項 目 の 中 には, 直 ぐに 改 善 できるというものではないもの もあるため, 球 団 として 直 ぐに 取 り 組 むことができ るものから 重 点 をおいて 改 善 していくことが 必 要 で あろう. ( 当 論 文 は, 平 成 21 年 度 順 天 堂 大 学 大 学 院 スポー ツ 健 康 科 学 研 究 科 の 修 士 論 文 を 基 に 作 成 されたもの である)

160 順 天 堂 スポーツ 健 康 科 学 研 究 第 2 巻 第 4 号 ( 通 巻 58 号 ) (2011) 主 要 参 考 文 献 2) 青 山 芳 之 スポーツマーケティングに 関 する 一 考 察, 埼 玉 女 子 短 期 大 学 紀 要, 第 7 号,101 116(1996) 1) フィリップ コトラー ホスピタリティと 観 光 の マーケティング,ホスピタリティ ビジネス 研 究 会 訳, 第 1 版, 東 海 大 学 出 版 会 (1997) 平 成 22 年 3 月 11 日 平 成 23 年 1 月 27 日 受 付 受 理