技術論文 ルミパルス f を用いた 同時検出試薬の 性能評価 石垣 卓也 1) 康 東天 2) 服部佳奈子 1) 山中 基子 1) 堀田多恵子 1) 1) 九州大学病院検査部 812-8582 福岡県福岡市東区馬出 3-1-1 2) 九州大学大学院医学研究院臨床検査医学分野 要 旨 今回 富士レビオ社が開発した第 4 世代検査試薬である ルミパルス 以下 本試薬 の性能評価を行っ た 同時再現性 日差再現性 およびプロゾーン試験に関しては良好な結果であった 同じ第 4 世代検査試薬であるアー キテクト コンボアッセイ および 試薬を用いた Seroconversion Panel の測定結果では 4 種中 2 種において本試薬が最も早期に検出した 残り 2 種においても他試薬と同等の検出時期であった HIV-1 p24 抗原 の希釈感度試験においても本試薬は 試薬と同等の検出感度であり 高い検出感度を有していることが 示唆された 一方 干渉物質の影響では乳びにて負の影響 および RF にて正の影響が認められた また相関試験では 本試薬のみ陽性となった検体が 2 例認められ マイクロフィブリンの影響が示唆された 以上のことから本試薬は第 4 世 代検査試薬の特徴である HIV-1 p24 抗原の検出感度に優れ 早期検出が期待できるが RF による影響やマイクロフィブリ ンによる偽陽性などが発生するため 陽性を示した際は判定に注意する必要がある キーワード ルミパルス f HIV HIV-1 p24 window period RF ヒト免疫不全ウイルス Human Immunodeficiency れていた しかし 抗体検査法では感染成立から抗 virus HIV は 後 天 性 免 疫 不 全 症 候 群 Acquired 体産生までに一定の期間 window period が存在 Immune Deficiency Syndrome AIDS の病因であり し 感染成立後早期に抗体を検出することは困難で 遺伝学的系統関係から HIV-1 と HIV-2 の 2 種に分類 あった この期間をさらに短縮するため 新たに されている 我が国における HIV 感染者は年々増加 HIV-1 抗原 HIV-1 p24 抗原 を同時に検出可能とし し HIV スクリーニング検査の重要性がますます た第 4 世代検査法が開発され 第 3 世代検査法より 高まっている また 抗レトロウイルス療法 Anti- もさらに数日早く検出することが可能となった 3), 4) 1) Retroviral Therapy ART により HIV の増殖を抑 今回 我々はルミパルス f を用いた 同 制し 患者の免疫能を回復させ AIDS 発症を遅ら 時検出試薬の基本性能評価 および 現在市販され せることが可能となっている このことから HIV ている同じ第 4 世代検査法間にて比較する機会を得 感染症の早期発見は HIV の拡散防止のみならず たので報告する 2) 治療の観点からも重要である 従来の HIV スクリーニング検査では IgG 型であ I 対象および方法 る HIV-1 抗体および HIV-2 抗体を検出する第 2 世代 検査法 もしくは IgM 型である HIV-1 抗体および HIV-2 抗体を検出する第 3 世代検査法が広く用いら 1 試薬および装置 本試薬はルミパルス f 富士レビオ社 を用いて 平成 27 年 2 月 23 日受付 平成 27 年 3 月 19 日受理 医学検査 Vol.64 No.3 215 343
Table 1 Comparison with three HIV antigen and antibody screening tests Principle Detection of anti-hiv antibody gp41 HIV-1 Detection of HIV antigen Time (min) Sample (μl) antibody N1-9 (mouse) antibody N3-3 (mouse) 25 12 (Fujirebio) CLEIA Architect (Abbott japan) CLIA gp41 HIV-1 gp41 HIV-1(O) gp36 HIV-2 antibody (mouse) 29 1 (Sysmex) CLEIA undetermined antibody (human) 17 3 gp36 HIV-2 測定し 比較対照法として 同じ第 4 世代検査法で ある ARCHITECT アナライザー i2 アボットジャ II 成績 結果 パン社 を用いたアーキテクト コンボ アッセイ 以下 アーキテクト および シ スメックス社 を用いた 試薬 以 1 同時再現性 陽性プール血清を 陰性血清を用いて濃度の異な 下 を用いて測定した Table 1 る 3 種類の試料 陰性 低値陽性 高値陽性 を調 2 測定原理 整した これら 3 濃度の試料を連続 1 回測定し 同 本試薬はアルカリホスファターゼ ALP 標識抗 時再現性について検討した なお 前処理による要 原あるいは抗体を用い 化学発光基質として 3-2'- 因の影響を避けるため 前処理を行った検体を基に スピロアダマンタン -4-メトキシ-4-3''-ホスホリ 重複測定を行った 陽性試料については低値陽性 ルオキシ フェニル-1,2-ジオキシセタン 2 ナトリ 高値陽性ともに CV 4%未満と良好であった また ウム塩 以下 AMPPD を使用する化学発光酵素 陰性試料についても 測定値は.2.3 C.O.I と安定 免疫法 CLEIA 法 を原理としている 測定には前 しており 良好であった Table 2 処理操作が必要となっており 検体 5 容量に対して 2 日差再現性 処理液 1 容量を混合し 測定用検体とする 本試薬 3 にて凍結した上記試料 およびメーカー指定 では検体 2 μl に対して処理液 4 μl を加え 測定 のコントロール試料を用いて 1 日間 1 日 1 回測定 用試料とした 抗 HIV 抗体検出では HIV-1 リコンビ を行った 陽性試料については血清試料 コントロー ナント gp41 抗原と HIV-2 リコンビナント gp36 抗原 ル試料ともに CV 4%未満と良好であった 陰性試料 をそれぞれ結合させたフェライト粒子と検体中の抗 についても 測定値は.2.3 C.O.I と安定してお HIV-1 抗体および抗 HIV-2 抗体を反応させ 免疫複 り 良好であった Table 3 合体を形成する また HIV-1 p24 抗原検出では 3 希釈感度試験 HIV-1 p24 モノクローナル抗体 N1-9 と HIV-1 p24 モ WHO International Standard NIBSC code:9/636 ノクローナル抗体 N3-3 をそれぞれ結合させたフェ HIV-1 p24 抗 原 を 基 に.25 IU/mL か ら 2. ライト粒子と検体中の HIV-1 p24 抗原を反応させ IU/mL までの 6 系統の希釈系列を調整した これら 免疫複合体を形成する B/F 分離を行った後 ALP の試料を各試薬にて 1 回測定を行った 本試薬 標識 HIV-1 リコンビナント抗原や ALP 標識 HIV-2 はともに.5 IU/mL にて陽性と判定された リコンビナント抗原 および ALP 標識抗 HIV-1 p24 一方 アーキテクトでは 1. IU/mL にて陽性と判定 抗体を作用させ免疫複合体を形成させる 再び B/F 分離を行った後 基質である AMPPD を作用させ発 Table 2 Within-run precision 光した光を検出し 抗 HIV-1 抗体 抗 HIV-2 抗体 HIV-1 p24 抗原を検出している 344 Mean S.D. C.V. (%) Low positive High positive.23.5 21. 1.55.5 3.4 1.78.26 2.4 医学検査 Vol.64 No.3 215
Table 3 Between-day precision Serum sample Control sample Low positive High positive Positive 1 (anti-hiv-1 antiboby) Positive 2 (anti-hiv-2 antiboby) Positive 3 (HIV-1 p24 antigen).24.5 21.5 1.55.5 3.4 1.22.23.24.7 29.1 4.1.9 4.1.9 2.2 3.52.12 3.5 Mean S.D. C.V. (%) Table 4 Comparison of the sensitivities of three HIV antigen and antibody screening tests using WHO International Standard NIBSC IU/mL Architect (S/CO).6 1. 1.4 1.8 2.7 3.5.37.68.99 1.27 1.78 2.51.7 1.5 3.2 4.8 6.1.25.5.75 1. 1.5 2. されており 本試薬の HIV-1 p24 抗原に対する感度 は と同等であり アーキテクトと比較して高 は が他の第 4 世代検査法と異なり 最も遅 く 21 日目に陽性となる結果となった これは第 3 世 代検査法であるオーソ HIV-1/2 と同じ検出時期で あった 5 プロゾーン試験 HIV-1 抗体強陽性検体 ProMedDx 社 および HIV-2 抗体強陽性検体 SCIPAC 社 HIV 抗原強陽 性検体の 1 倍希釈による多段希釈系列を調整し 各 測定試薬のプロゾーン現象の有無を確認した その 結果 全ての測定試薬にてプロゾーン現象は確認さ れなかった Table 6 6 干渉物質の影響 干渉物質の影響を調べるため 干渉チェック A プ い感度を有していた Table 4 ラス シスメックス社 を用いて陽性試料 陰性試 4 感染初期の早期検出能試験 料に添加し 評価を行った その結果 遊離型ビリ Boston Biomedical Inc. (BBI) HIV Seroconversion Panel (PRB4, PRB961) お よ び ZeptoMetriy Seroconversion Panel (HIV912, HIV932)を用い 感 染初期の早期検出能について検討を行った Table 5 各 Panel の No. 1 は HIV に感染したと疑われ 採 血を始めた日 Day であり No. 2 以降の検体に ついては No. 1 からの経過日数を表記している ル ミパルス プレスト オーソ HIV-1/2 第 3 世代検査 法 ルミパルス オーソ HIV-1/2 第 2 世代検査法 における各 Panel の測定は富士レビオ社に依頼した HIV-1 RNA Western blotting の結果については 各 Panel 付随の添付資料より引用した 本試薬は全てのパネル血清において アーキテク ト と比較して同等か またはそれよりも早 期 に 検 出 す る こ と が 可 能 で あ っ た PRB4 HIV912 HIV932 では第 4 世代検査法であるアー キテクトに対して 2 日から 7 日早期に検出できて おり 早期検出能を有していた PRB4 において 医学検査 Vol.64 No.3 215 ルビンでは 19.5 mg/dl まで 抱合型ビリルビンでは 2.9 mg/dl まで ヘモグロビンでは 487 mg/dl まで 影響は認められなかった 一方 乳びでは 陽性試 料にて濃度に応じた負の影響を認めた 干渉チェッ ク RF プラスを用いた評価では 陽性試料 陰性試 料ともに RF の濃度に応じて測定値に正の影響が認 められた Figure 1 このことを確認するため 高値 RF 患者血清 3 例 を用いた添加回収試験を行った 陽性試料が 1 倍希 釈になるように 高値 RF 患者血清を添加し 測定 した 対照として RF 濃度 31 U/mL の患者血清を同 様に添加し 測定を行った その結果 対照を 1% とした場合 全ての検体において正の影響が認めら れた Table 7 7 相関 陽性相関として 212 年 12 月から 213 年 4 月の 間に HIV-1 RNA 検査にて陽性が確認された 16 例 陰性相関として入院および外来患者の残血清 99 例 計 115 例の検体を用い 本試薬と対照法との相関を 345
Table 5 Detection of HIV infection in four HIV seroconversion panels Panel No. Day Architect Presto Ortho HIV-1/2 Ortho HIV-1/2 HIV-1 RNA* Western blotting* Generation 4th 4th 4th 3rd 2nd C.O.I Result S/CO Result C.O.I Result copies/ml PRB 4 PRB 961 HIV 912 HIV 932 1.2.13..2.1 BLD NEG 2 2.2.12..2.1 BLD NEG 3 7.3.18..2.1 BLD NEG 4 1.2.14..2.1 1, NEG 5 14 1. +.74..2.1 6, NEG 6 17 8.6 + 5.78 +.2.2.1 6, NEG 7 21 >15 + 73 + 4.1 + 1.2.2 >8, NEG 1.2.8..2.1 <5 IND 2 5.2.6..2.1 <5 IND 3 7.2.9..2.1 <5 IND 4 12.2.9..2.1 <5 IND 5 14.2.9..2.1 <5 IND 6 19.2.9..2.1 <5 IND 7 21.2.1..2.1 48 IND 8 27 1.4 + 8.7 + 13.7 +.2.1 15, IND 9 29 >15 + 26.1 + 54.3 +.2.1 2, IND 1.3.9..1.1 157 NEG 2 2.2.8..1.1 <5 NEG 3 7.2.8..1.1 69 NEG 4 9.2.8..1.1 221 NEG 5 14 1. +.58 1.4 +.1.1 33,74 NEG 6 16 3.9 + 2.42 + 7.1 +.1.1 11,8 NEG 7 21 >15 + 39.91 + >1 + 6.7 1.6 >5, NEG 8 23 >15 + 96.44 + >1 + 1.4 5.9 >5, p24 p16(vf) 1.2.8.1.1.2 <5 NEG 2 2.2.7..1.1 <5 NEG 3 7.2.8..1.1 <5 NEG 4 1.2.7..1.1 <5 NEG 5 14.2.1..1.1 134 NEG 6 17.2.12..1.1 1,57 NEG 7 22 1. +.66.8.1.2 29,6 NEG 8 24 4,815 NEG 9 29 4.6 + 2.15 + 1.6 + 1.2 3.1 2,3 p24 1 36 2.8 + 7 + 2. + 1.1 7.4 2,425 p24, p65 11 38 2.9 + 2.1 + 2.4 + 1.2 7.7 3,161 p24, p65 12 49 5.1 + 2.47 + 7.9 + 3.1 12.6 4,52 p24, p65 13 51 6.3 + 2.46 + 1.2 + 3.6 13. 4,967 p24, p65, gp16 14 56 9.5 + 3.3 + 15.5 + 6.1 14.7 1,377 p24, p65, gp16 *Data from panel data sheet. BLD; below limits of detection, NEG; negative, IND; indeterminate. 評 価 した その 結 果, 陽 性 検 体 では 全 例 一 致 したが, 陰 性 検 体 において 2 例, 本 試 薬 のみが 陽 性 を 示 した (Table 8) 乖 離 した 2 例 について 各 分 析 試 薬 での 測 定 値 及 び, 本 試 薬 にて 再 検 査 を 実 施 した 結 果 を 示 す (Table 9) No. 1 は 3 回 再 検 を 行 ったが, 再 現 性 は 得 られず, No. 2 では 2 回 再 検 して 全 て 陰 性 となった 乖 離 した 2 例 は HIV-1 RNA 検 査 の 依 頼 がなく,HIV 感 染 歴 は 不 明 であったが, 再 検 査 での 測 定 値 が 初 回 値 と 異 な 346 医 学 検 査 Vol.64 No.3 215
Table 9 Comparison of two unmatch test and retest of Lumipluse Table 6 Prozone phenomenon of high titers HIV-1 Ab positive HIV-2 Ab positive HIV-1 p24 Ag positive Architect HIV Ag/Ab combo assay (S/CO) Dilution 1 7.96 >1. 11 755.78 >1. 12 376.37 75.8 13 64.5 12.8 14 4.3 6.56 1.2 15.6.79.1 16.2.13. 17.2.9. 1 165.11 >1. 11 19.55 67. 28 年に出版された 診療における HIV-1/2 感染 2 1 47.1 13.6 13 2.6 8.4 1.3 症診断のためのフローチャート において HIV-1/2 14.4.83.1 15.2.16. 十分に高い検査法であることが望まれている 5) 今 1 1,645.47 >1. 回検討に用いた BBI Seroconversion Panel および 11 1,616.22 >1. 12 1,28.65 >1. ZeptoMetriy Seroconversion Panel にて 本試薬は比較 13 399.6 >1. 14 52.65 >1. か それ以上早期に HIV を検出可能であった ま 15 8.2 5.66 16.9 16 1..6 1.7 た HIV-1 p24 抗原を用いた希釈感度試験の結果か 17.3.11.2 Architect HIV Ag/Ab (S/CO) Retest 2.5 2.5.12.9...6 1.9 2.4.2.2 III 考 察 スクリーニング検査法に用いられる方法は 感度が 対照としたアーキテクトや に対して 同等 らも HIV 早期検出能の高さを示しており 他の第 4 世代検査法と比較して検出感度の高い検査法であ ることが確認された 一方 相関に用いた検体にお Table 7 Recovery test of RF No. 1 No. 2 No. 3 No. 1 No. 2 いて 2 例偽陽性検体が認められた 初回値と再検 RF Concentration (IU/mL) Contrast quantity Recovered quantity Recovery (%) 値の乖離については 検体由来のマイクロフィブリ 1,188 1,458 864 2.8 5.1 2.5 121.7 221.7 18.7 もマイクロフィブリンによる影響が示唆された こ ンによる影響が報告されており 6) 本試薬において のことから本試薬添付文書においても 陽性となっ た検体については再検査を行い 再現性を確認する Table 8 Corelation between and comparison assay に知られており 各社 RF の影響を考慮した試薬が Positive Total Architect combo assay を調べた際 本試薬は RF の濃度に比例して正の影 響を受けていた RF による測定値への影響は一般的 n = 115 ことが推奨されている また 干渉物質による影響 Positive 17 2 96 17 98 Total 19 96 115 Concordance rate 98.3% 設計されている 本試薬が RF の影響を受けた原因 は不明であるが 影響を受けることから陽性検体に 対する扱いや再検基準の設定などには十分注意する 必要がある Seroconversion Panel PRB4 を用いた評価では り再現性が得られないことから 検体由来の影響が 第 4 世代検査法である が第 3 世代検査法と 考えられ 検体中に含まれるマイクロフィブリンの 同じ時期となったが 他の Panel 希釈感度試験に用 影響が示唆された いた試料 プロゾーン試験で使用した HIV-1 p24 リ コンビナント抗原などを用いた評価では の 医学検査 Vol.64 No.3 215 347
C.O.I Bilirubin F C.O.I Bilirubin C C.O.I Hemoglobin C.O.I Turbidity.4.4.4.4.3.3.3.3.2.2.2.2.1.1.1.1... 11 5 1 15 2 Bilirubin F 15 Positive 11 15 1 2 Bilirubin C Positive 11 15 25. 5 Hemoglobin Positive 11 15 1 1 1 1 9 9 9 1 2 1 2 25 9 5 C.O.I Rheumatoid factor 1.2 1 C.O.I Rheumatoid factor 7.8 Positive 7.6.8 7.4.6 7.2.4 7.2 6.8 5 1, 1,5 Turbidity Positive 5 1, 1,5 6.6. 2. 4. 6. IU/mL. 2. 4. 6. IU/mL Figure 1 Effect of interference substances and Rheumatoid factor (RF) HIV-1 p24 抗原に対する感度は 他の第 4 世代と同 Seroconversion Panel においても本試薬のみが 他の 等かそれ以上の性能であった このことから PRB4 試薬に比べ早期に検出することが可能であった ま に て が HIV 抗 原 と 反 応 し な か っ た の は た 偽陰性などの未反応もなく スクリーニング試 HIV-1 p24 抗原認識部位に変異が発生し の 薬としての性能を十分に満たしているといえる モノクローナル HIV-1 p24 抗体が反応できなかった 可能性が考えられる 認識部位の変異による抗原検出の偽陰性は B 型 肝炎ウイルスにおける HBs 抗原検査などで報告例が あり PRB4 の HIV も同様に抗原認識部位であ 7 ), 8 ) る gag 領域に変異が発生し 偽陰性になったと推測 しかし 相関検体における偽陽性検体や RF によ る偽陽性反応など 非特異反応が見られることがあ るため 判定の際には十分注意する必要がある 今後 HIV 感染者数は増加していくと考えられ 早期発見による拡散防止や早期治療のため 本試薬 のスクリーニング試薬としての有用性が期待される される これに対して 本試薬では抗原決定基が 2 つあり HIV に変異が起こり 1 つの抗原決定基が 本論文の内容は 第 53 回日本臨床化学会年次学術 反応しなくても もう 1 つの抗原決定基がこれを補 集会 213 年 8 月 徳島 にて報告した うことができ 偽陰性となることを回避することが 可能と考えられる IV 結 語 今回検討に用いたルミパルス は他の第 4 世代に比べ同等かそれ以上の感度を有しており 348 文献 1) 白坂 琢磨 他 平成 23 年エイズ発生動向年報 厚生労働省 エイズ動向委員会 212. 2) 平成 25 年度厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事 業 抗 HIV 治療の開始時期 成人 慢性期 抗 HIV 治療 ガイドライン 12 19 HIV 感染症及びその合併症の課題を 克服する研究班 編 214. 3) Stekler J et al.: Screening for acute HIV infection: Lessons 医学検査 Vol.64 No.3 215
learned, Clin Infect Dis, 27; 44: 459 461. 4) 桜庭 尚哉 他 ルミパルス Presto II を用いた 同 時検出試薬の基礎性能評価 医学と薬学 211; 65: 663 672. 5) 山本 直樹 他 診療における HIV-1/2 感染症の診断 ガイド ライン 28 日本エイズ学会 日本臨床検査医学会標準推奨 法 日本エイズ学会誌 29; 11: 7 72. 6) 井本 真由美 他 マイクロチップ電気泳動法を利用した AFP AFP-L3%および PIVKA-II 測定の評価 基礎検討 検 体安定性およびマイクロフィブリンの影響について 医 学と薬学 211; 66: 535 54. 7) 松田 親史 他 S 領域の変異株による HBs 抗原 EIA 法 偽陰性の 1 例と HBs 抗原関連試薬の反応性 感染症学雑 誌 211; 85: 21 25. 8) 出口 松夫 他 HBs 抗原検出感度と変異株検出能における 7 種類の免疫学的測定試薬の評価 感染症学雑誌 25; 79: 138 142. Technical Article Evaluation of fourth-generation measurement of HIV antigen antibody with f Takuya ISHIGAKI 1) Kanako HATTORI 1) Motoko YAMANAKA 1) Taeko HOTTA 1) Dongchong KANG 2) 1) Clinical Chemistry and Laboratory Medicine, Kyushu University Hospital (3-1-1, Maidashi, Higashi-ku, Fukuoka 812-8582, Japan) 2) Department of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University Summary We evaluated a new fourth-generation HIV test, assay, for the measurement of the HIV antigen and antibody. Good results were obtained for the within-run precision, between-day precision and prozone phenomenon of high titers. In the detection of HIV infection using four HIV seroconversion panels, HIV Ag/Ab assay detected more quickly than a comparison assay using two samples. In the comparison of the sensitivities to the HIV-1 p24 antigen using WHO International Standard NIBSC, assay was observed to have a higher sensitivity than Architect. However, we observed negative interference in the chyle test and a positive interference in the rheumatoid factor test. In a correlation test, two samples were unmatched between the assay and the comparison assay. In this study, although assay was good for screening HIV infection, it was necessary to judge a positive result carefully. Key words: f, HIV, HIV-1 p24, window period, RF (Received: February 23, 215; Accepted: March 19, 215) 医学検査 Vol.64 No.3 215 349