遺 伝 子 組 換 え(GM) 農 作 物 と 食 品 って どんなもの? 1 基 本 的 な 考 え 方 1. 遺 伝 子 組 換 え 技 術 は 作 物 育 種 の1つの 手 法 として 大 きな 可 能 性 を 秘 めている 2. 環 境 や 健 康 等 に 与 える 影 響 について 十 分 な 評 価 を 行 うことが 重 要 である 3. 消 費 者 の 関 心 に 的 確 に 応 え 情 報 提 供 に 努 めていく 遺 伝 子 組 換 え 技 術 分 類 上 異 なる 種 のDNAを 移 転 又 は 複 製 させることを 目 的 に 細 胞 外 で DNAを 加 工 し そのDNAを 細 胞 内 に 移 入 する 技 術 遺 伝 子 組 換 え 作 物 遺 伝 子 組 換 え 技 術 の 利 用 によって 作 られた 作 物 およびその 子 孫 2
遺 伝 子 組 換 え 技 術 について 3 これまでの 品 種 改 良 いろいろな 性 質 を 受 け 継 ぐので なかなか 目 的 のものができない Bくんのおいしさはそのままで 病 気 に 強 くしたいけど 4
遺 伝 子 組 換 えによる 品 種 改 良 より 確 実 な 方 法 なのね 5 農 作 物 に 関 する 世 界 規 模 の 危 機 食 料 不 足 への 懸 念 ( 億 人 ) 60 50 世 界 人 口 世 界 の 人 口 増 加 40 30 0 1960 1970 1980 1990 2000 資 料 : 総 務 省 統 計 局 世 界 の 統 計 2007 150 収 穫 面 積 (1960 年 = 100) 新 規 農 地 開 発 がある 一 方 砂 漠 化 などにより 農 地 面 積 の 増 加 は 進 まない 100 50 0 1960 1970 1980 1990 2000 資 料 :FAO FAOSTAT 農 業 技 術 の 進 展 なくして 人 類 の 食 料 を まかなってゆくことはできない 6
自 然 界 には 遺 伝 子 組 換 えを 行 う 生 物 がいます 皆 さんの 身 の 周 りの 土 の 中 に 住 む 土 壌 微 生 物 (アグロバクテリウム)の 能 力 を 借 りて 遺 伝 子 を 運 んでもらい 遺 伝 子 組 換 え 作 物 を 作 製 します アグロバクテリウム(Agrobacterium)は 土 壌 中 にいる 微 生 物 で 植 物 に 感 染 すると 植 物 の 根 元 にクラウンゴールと 呼 ばれるこぶを 形 成 します この 現 象 は アグロバクテリウムが 自 分 の 持 つプラスミドDNAの 一 部 (T-DNAと 呼 ば れる 領 域 )を 切 り 離 し その 遺 伝 子 を 植 物 ゲノムの 中 に 組 み 込 むことによって 起 こります 土 壌 微 生 物 である Radiobactor rhizogenes (Agrobacterium tumefaciens) T-DNA 染 色 体 植 物 細 胞 への T-DNAの 組 み 込 み 7 今 日 お 知 らせする 情 報 の 内 容 I. GMOに 関 する 1. 利 用 の 現 状 2. 安 全 性 確 保 の 仕 組 み 3. 表 示 ルール 8
I. GMOに 関 する 1. 利 用 の 現 状 9 (1) 世 界 のGMO (a) 栽 培 面 積 の 推 移 (ha) 約 1 億 3,400 万 ha ( 日 本 の 耕 地 面 積 の 約 29 倍 ) 資 料 : 国 際 アグリバイオ 事 業 団 (ISAAA) 10
(b) 世 界 の 栽 培 国 (2009 年 ) : 商 業 栽 培 国 資 料 : 国 際 アグリバイオ 事 業 団 (ISAAA) 等 1998 年 2003 年 2009 年 9カ 国 16カ 国 25カ 国 11 サントリー 社 の 青 いバラ 12
(c)なぜgmoの 栽 培 は 広 がるのか? 除 草 剤 耐 性 : 除 草 剤 散 布 回 数 の 低 減 ( コスト 低 減 軽 労 化 燃 料 消 費 低 減 ) 不 耕 起 栽 培 による 表 土 流 失 防 止 害 虫 抵 抗 性 : 殺 虫 剤 散 布 回 数 の 低 減 ( コスト 低 減 軽 労 化 燃 料 消 費 低 減 ) 13 (d) 除 草 剤 耐 性 ダイズ (2005 年 7 月 農 業 生 物 資 源 研 究 所 展 示 圃 場 ) 除 草 剤 無 散 布 区 除 草 剤 を 使 用 しない 場 合 は 手 での 除 草 作 業 となるが 現 実 的 には 生 産 者 にとって 重 労 働 となる 除 草 剤 散 布 区 選 択 性 除 草 剤 の 場 合 年 4~5 回 の 散 布 ( 非 組 換 えダイズの 場 合 ) 非 選 択 性 除 草 剤 の 場 合 年 1 回 の 散 布 ( 除 草 剤 耐 性 組 換 えダイズの 場 合 ) 14
(2) 日 本 農 業 の 現 状 とGM 農 作 物 への 依 存 度 経 営 規 模 が 小 さい 販 売 農 家 1 戸 当 たり 農 地 面 積 は1.8ha(2006 年 ) 米 国 の 約 1/100 仏 国 の 約 1/29 資 料 : 農 林 水 産 省 耕 地 及 び 作 付 面 積 統 計 農 業 構 造 統 計 調 査 USDA 2007Agricultural Statistics EU Agriculture in the European Union Statistical and Economic Information 2006 農 業 経 営 者 の 高 齢 化 農 業 就 業 人 口 ( 販 売 農 家 )の 65 歳 以 上 の 割 合 は60.4%(2008 年 ) 食 料 自 給 率 の 低 下 1965 年 2007 年 73% 40% 資 料 : 農 林 水 産 省 統 計 部 平 成 20 年 農 業 構 造 動 態 調 査 食 生 活 の 変 化 が 大 きな 要 因 15 畜 産 物 や 油 脂 を 生 産 するには 数 倍 の 穀 物 が 必 要 16
トウモロコシの 輸 入 我 が 国 への 輸 入 量 < 参 考 > 米 国 におけるGMトウモロコシの 栽 培 面 積 割 合 (%) 単 位 : 千 トン % ( 万 ha) 生 産 国 輸 入 量 シェア 米 国 16,306 98.8 アルゼンチン 87 0.5 インド 72 0.5 その 他 39 0.2 合 計 16,504 100.0 栽 培 面 積 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 27 20 55 48 39 73 80 45 52 61 2004 2005 2006 2007 2008 : 非 GMトウモロコシ :GMトウモロコシ 資 料 : 財 務 省 貿 易 統 計 (2008 年 ) 資 料 :USDA ISAAA DAFFA FAO 等 17 ダイズの 輸 入 我 が 国 への 輸 入 量 単 位 : 千 トン % < 参 考 > 米 国 におけるGMダイズの 栽 培 面 積 割 合 (%) ( 万 ha) 生 産 国 輸 入 量 シェア 米 国 2,729 73.5 ブラジル 568 15.3 カナダ 325 8.8 その 他 89 2.4 栽 培 面 積 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 15 13 11 8 9 85 87 89 91 92 2004 2005 2006 2007 2008 合 計 3,711 100.0 資 料 : 財 務 省 貿 易 統 計 (2008 年 ) : 非 GMダイズ :GMダイズ 資 料 :USDA ISAAA DAFFA FAO 等 18
( 参 考 ) 輸 入 大 豆 の 価 格 の 推 移 単 位 : 円 /60kg 平 成 13 年 平 成 18 年 平 成 19 年 平 成 20 年 非 遺 伝 子 組 換 え 大 豆 1 3,473 3,505 3,745 5,123 遺 伝 子 組 換 え 不 分 別 大 豆 2 3,105 2,905 2,945 3,908 対 比 (%) 1/2 112 121 127 131 注 : 遺 伝 子 組 換 え 不 分 別 大 豆 及 び 非 遺 伝 子 組 換 え 大 豆 は 日 経 市 中 相 場 である また 平 成 20 年 の 価 格 は 1 月 から8 月 までの 平 均 価 格 である 19 どんな 遺 伝 子 組 換 え 食 品 がありますか? 7 種 類 (98 品 種 )の 遺 伝 子 組 換 え 作 物 に ついて 食 品 としての 安 全 性 が 確 認 され 国 内 での 販 売 流 通 が 認 められています (2009 年 4 月 現 在 ) 安 全 性 審 査 の 手 続 きを 経 た 遺 伝 子 組 換 え 食 品 様 々な 食 品 に 加 工 されています トウモロコシ ダイズ ナタネ 品 種 :45 品 種 特 徴 : 害 虫 抵 抗 性 除 草 剤 耐 性 高 リシン 含 有 じゃがいも 品 種 :6 品 種 特 徴 : 除 草 剤 耐 性 高 オレイン 酸 含 有 テンサイ ワタ 品 種 :15 品 種 特 徴 : 害 虫 抵 抗 性 雄 性 不 稔 性 稔 性 回 復 性 アルファルファ 品 種 :8 品 種 特 徴 : 害 虫 抵 抗 性 ウィルス 抵 抗 性 品 種 :3 品 種 特 徴 : 除 草 剤 耐 性 品 種 :18 品 種 特 徴 : 害 虫 抵 抗 性 除 草 剤 耐 性 品 種 :3 品 種 特 徴 : 除 草 剤 耐 性 厚 生 労 働 省 ホームページより http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/dl/list.pdf 20
Topic.1 農 作 物 だけでない!? 身 近 なGM 技 術 利 用 - 物 質 生 産 医 薬 品 など インシュリン インターフェロン 抗 生 物 質 など 洗 剤 の 成 分 プロテアーゼ リパーゼ セルラーゼ など 21 2. 安 全 性 確 保 の 仕 組 み 22
安 全 性 評 価 は3つの 視 点 で 食 品 としての 安 全 性 評 価 食 品 安 全 委 員 会 厚 生 労 働 省 タンパク 質 や 生 産 物 の 毒 性 アレルギー 誘 発 性 など 飼 料 としての 安 全 性 評 価 食 品 安 全 委 員 会 農 林 水 産 省 飼 料 を 通 じた 食 品 の 安 全 性 家 畜 に 対 する 安 全 性 我 が 国 の 生 物 多 様 性 への 影 響 評 価 競 合 における 優 位 性 有 害 物 質 の 産 生 性 交 雑 性 農 林 水 産 省 環 境 省 23 食 品 としての 安 全 性 評 価 方 法 遺 伝 子 を 組 換 えたことによって 新 たに 作 られる 主 な 物 質 はタンパク 質 です ヒトの 体 内 では 胃 や 腸 などで 消 化 されることが 確 認 されています 体 内 に 蓄 積 して 病 気 などの 原 因 になるとは 考 えられません 遺 伝 子 組 換 え 作 物 と 従 来 の 作 物 の 相 違 点 組 み 込 む 遺 伝 子 の 安 全 性 はどうか? いままでのトウモロコシ アレルギーが 起 きないか? 毒 性 はないか? 遺 伝 子 組 換 えトウモロコシ 体 内 に 蓄 積 して 悪 影 響 を 及 ぼさないか? 栄 養 成 分 に 予 定 外 の 変 化 はないか? 24
食 品 中 のアレルギーの 特 徴 と 評 価 方 法 遺 伝 子 の 導 入 によって 新 たに 作 られるタンパク 質 がアレルギーの 原 因 にならないか について 詳 しく 調 べられています アレルゲンと 似 たところがないか? アレルゲンは 胃 や 腸 で 消 化 されにくい 胃 や 腸 で 速 やかに 分 解 されるか? アレルゲンは 熱 に 強 い 熱 に 弱 いかどうか? アレルゲンの 量 が 増 えていないか? 遺 伝 子 を 組 換 える 前 の 食 品 に もともとアレルゲンが 含 まれている 場 合 25 長 期 に 食 べ 続 けても 大 丈 夫 なの? 食 品 に 含 まれる 物 質 が 重 金 属 ( 例 :カドミウム)や 分 解 しにくい 有 機 化 合 物 ( 例 :ダイオキシン 類 )の 場 合 は 人 の 体 内 に 蓄 積 一 度 に 摂 取 する 量 が 微 量 でも 長 期 に 食 べ 続 けた 時 の 影 響 を 検 討 する 必 要 遺 伝 子 組 換 え 食 品 の 場 合 は? 新 たに 作 られるタンパク 質 は 消 化 され 体 内 に 蓄 積 されない 安 全 性 審 査 は 長 期 の 毒 性 試 験 の 必 要 性 を 個 別 に 判 断 する 仕 組 み これまで 審 査 された 食 品 は 結 果 として 必 要 性 がないと 判 断 26
Topic.2 食 べておいしい 農 作 物 にも ( 全 ての 一 般 農 作 物 も100% 安 全 なものはありません) ソラニン( 糖 鎖 アルカロイド 類 ) ジャガイモ レクチン(フィトヘマグルチニン) インゲンマメ 消 化 酵 素 (トリプシン) 阻 害 タンパク ダイズ 青 酸 (シアン) 化 合 物 キャッサバ(タピオカデンプンの 原 料 ) 27 3. 表 示 のルールについて
遺 伝 子 組 換 え 食 品 の 表 示 制 度 遺 伝 子 組 換 え 農 作 物 またはそ れを 原 材 料 とする 加 工 食 品 遺 伝 子 組 換 えが 分 別 されてい ない 農 作 物 またはそれを 原 材 料 とする 加 工 食 品 表 示 義 務 遺 伝 子 組 換 え などと 表 示 します 遺 伝 子 組 換 え 不 分 別 などと 表 示 します 分 別 生 産 流 通 管 理 が 行 われた 非 遺 伝 子 組 換 え 農 作 物 または それを 原 材 料 とした 加 工 食 品 表 示 義 務 はありません ただし 遺 伝 子 組 換 えでない などと 任 意 表 示 ができます ダイズ 油 醤 油 などDNAやタン パク 質 が 残 っていない 食 品 表 示 義 務 はありません GMOに 関 する 情 報 農 林 水 産 省 遺 伝 子 組 換 え 技 術 の 情 報 サイト http://www.s.affrc.go.jp/docs/anzenka/index.htm バイテクコミュニケーションハウス http://www.biotech-house.jp/ バイオセイフティークリアリングハウス( 環 境 省 ) http://www.bch.biodic.go.jp/ など 30