破竹の勢いのオイルサンド 技術改新著しいin-situ採収法について UTFプロジェクトを始めることができ 働いていたような気にもなるのである トが行われた場所と比べて オイルサ たこと自体には 不思議な運が働いて ただここで一つ強調しておきたいの ンド層の不均質性が高いハンギングス は UTFプロジェクト自体は非常に質 トーンでのプロジェクトは オイルサ 著者自身が3年間SAGD法の操業をし の高い計画のもとに実施されていたと ンドの垂直水平方向への連続性を適切 た経験から言うと 同法はいろいろな いう事実である 結局 UTFプロジェク に評価した上で坑井計画を立てること 条件でも応用できる 非常に性質が良 トは SAGD法というプロセスの発想 の重要性を広く認識させた またその い技術だと感じている しかし 80年 の良さと将来性をカナダの技術者達が 中で 三次元地震探査を用いて開発を 代後半頃だったろうか 初めてAOSTRA 正しく評価していたことと それに加 進めていく方法を確立したことは カ のUTFプロジェクトについて知ったと えてオイルサンドを利用可能な資源に ナダオイルサンド株式会社の大きな業 きには こんなプロセスが本当に機能 するという強い意志をアルバータ州政 績であった するのだろうかと感じたものであった 府とカナダ政府が持っていたこと この2 論文に書かれていない致命的な弱点が 点が合わさって実現できたのであろう ーン プロジェクトを通じて 以下のよう さて AOSTRAのUTFプロジェクト なSAGD法の基本形ができあがった は幾つかのフェーズを成功裏に終え 1 SAGD法の2坑の上下の水平坑井の いたようにも思える 何かあるような気がしていた 当時の著者の疑念は 別に根拠があ った訳ではないが 今振り返ると 疑 1995年に実施主体を民間企業に譲るの 念を持った人がいたとしてもおかしく だが ここでカナダオイ はない状況だったようにも思える ルサンド株式会社のプロ まず第一に 1981年にロジャー バ ジェクトについて述べて トラー博士が発表した論文だが その おきたい カナダオイル 論文で博士の提唱したSAGD法のメカ サンド株式会社は 1978 ニズムの方程式では 地下でビチュー 年からフォートマクマレ メンの採れていく形状 すなわちスチ ーの南方60 のハンギン ームチャンバー ビチューメンが採れ グストーンでペトロカナ た場所は水蒸気で満たされているので ダ社 インペリアル石油 スチームチャンバーと呼ばれている ネクセン社との共同プロ の形状が正しく予想されないのである ジェクトに参加していた 実際のチャンバーは U字型が徐々に が 1990年代の前半の低 開いていくような形を取るのだが バ 油価時代に 他社がオイ トラー博士の式を使うと口の広いじょ ルサンド開発に力を入れ うごの断面の様な形状になってしまう なくなる中 プロジェク この問題点を補うために バトラー博 トの主導権を取り 1997 士はその後 幾度か修正モデルを発表 年からはSAGDプロジェク することとなる トに乗り出す この時期 また1980年のインペリアル石油の試 間隔は約5m 出所 Alberta Oil Sands Technology and Research Authority AOSTRA 図5 UTF Underground Test Facility は UTFプロジェクトも みも SAGD法的なプロセスによるも ひと段落していたため のとは言われていたが 後にシミュレー カナダオイルサンド株式 ション解析で精査したIto Yoshiaki氏に 会社のハンギングストー よると 井戸の周辺のビチューメンは ン プロジェクトは SAGD スチームチャンバーを作るSAGD法的 法の操業技術をUTFから な動きではなく むしろCSS法に近い 引き継ぐとともに 評価技 動きが起きていたのではないかという 術と併せて発展させ 今 このように 理論としても実績とし のSAGD法ブームへとつ ても十分とは言い切れない状態にもか なげることになった重要 かわらず UTFでフィールドテストが始ま なプロジェクトであった ったということを考えると 何かの幸運が 特に UTFプロジェク 55 石油 天然ガスレビュー UTFプロジェクトやハンギングスト 出所 カナダオイルサンド株式会社 図6 ハンギングストーン フィールド全景
Solvent Chamber Injector Draining diluted deasphalted oil Horizontal Production Well Edge of diluted DAO A B
破竹の勢いのオイルサンド 技術改新著しいin-situ採収法について ドルのとき RORは13 と報告してい 楽なプロジェクトというわけではない るためには 良好なオイルサンド層を る また 日産3万バレルの質の劣った 特にCO2排出がコスト化されると 操 特定する技術 プロジェクトの大規模 SAGDプロジェクトの場合はRORが0 業費で数カナダドルが加算されるとの 化 天然ガス節約 資本コストの削減 としている 報告もある 等が重要なことが ここからも明らか ということで SAGD法は必ずしも 14. SAGD法 VAPEX 法の次の技術 VAPEX法は 天然ガス使用という オイルサンドプロジェクトが成功す である 剤を圧入する方法に移行する方法で 盪 新技術 インペリアル石油が特許を持っている THAI Toe-to-Heel Air Injection 地下のビチューメン自身を燃やして SAGP法 Steam and Gas Push 熱源にしようとする方法である ビチ SAGD法の弱点を克服するために考え 水蒸気にN2やCO2などの凝縮しない ューメンを燃やすために空気を地下に られた技術だが VAPEX法の次の技術 ガスを少量混ぜ 圧入する水蒸気を節 圧入する空気圧入法と呼ばれる技術を も既に幾つか計画されている 溶剤と 約しようというもの オイルサンドに応用したものである 水蒸気圧入の併用のように複数の方法 ロジャー バトラー博士が提唱した 提案されている方法では 生産井は水 と組み合わせたものと 新しい技術を 方法で UTFサイトで実験が行われ CO2 平に掘り 空気を圧入する井戸は垂直 用いるものの2種類に分けられる が圧入されたが 必ずしも成功とはい 井で生産井の先端付近に掘る えなかった CO2が オイルサンド層 盧 組み合わせ法 オイルサンド層内のビチューメンは から外に逃げてしまった可能性もある 生産井の先端付近から燃え始め 周囲 またSAGP法については アルバー のビチューメンは流動性を得て 生産 SAPはSAGD法の一種で 少量の溶 タ州立の研究所ARCやカナダオイルサ 井へと流れこむ 燃焼の場所は生産井 剤を水蒸気とともに圧入してビチュー ンド株式会社から CO2はビチューメ に沿って徐々に井戸元の方向へ移動し メンの粘度を低くして採収しようとい ンの加熱の阻害要因となる可能性があ ビチューメンの過熱領域を広げていく うもので エンカナ エナジー社がク るという報告が学会で発表され バト この方法だと 燃料も水もほとんど リスチナ レイク プロジェクトで実験 ラー博士の支持者とのあいだで大激論 必要としない上 環境への影響もほと 中である になったことがある んどない SAP Solvent Aided Process 2004年にカナダのペトロバンク社は SAVEX法 Combined Steam and この他 溶剤と水平井の電気加熱法 THAIの実証試験実施の認可を受け事業 Vapor Extraction Process を組み合わせた方法なども提案されて を開始した 2005年第4四半期より実験 SAGD法のように 水蒸気を用いて いる この方法だと 溶剤は地下でリサ 開始の予定と言われており 従来の火 オペレーションを開始して その後溶 イクルされるので地上のリサイクルシ 攻法の弱点を克服できるかが注目され ステムは不要になる ている ということである 出所 Oil Week, March 1, 2004 図9 THAI Toe-to-Heel Air Injection 59 石油 天然ガスレビュー 出所 Is There a Role for Nuclear Energy in Alberta's Oil Sands?, Canadian Society of Chemical Engineering/American Institute of Chemical Engineers, R.B. Dunbar, 2003 図10 ACR Advanced CANDU Reactor