5-(2)-11 芝 浦 水 再 生 センターにおける 亜 硝 酸 型 硝 化 の 発 生 原 因 に 関 する 検 討 中 部 下 水 道 事 務 所 芝 浦 水 再 生 センター 水 質 管 理 係 山 本 央 吉 野 喜 春 太 田 裕 誌 長 健 太 竹 尾 義 久 大 江 修 平 石 井 英 俊 1 はじめに 芝 浦 水 再 生 センター( 以 下 芝 セ )では 処 理 区 内 における 都 市 開 発 や 近 年 の 人 口 流 入 に 伴 って 流 入 下 水 中 の 全 窒 素 濃 度 が 年 々 増 加 する 傾 向 となっている 一 方 で 芝 セの 水 処 理 施 設 は 高 濃 度 の 窒 素 除 去 を 想 定 した 施 設 として 作 られていないことから 処 理 系 統 に よっては 水 処 理 の 悪 化 が 恒 常 的 に 見 られ 放 流 水 質 中 における 窒 素 濃 度 の 上 昇 が 起 こりや すい 状 況 となっている 特 に 処 理 の 大 部 分 を 担 う 本 系 処 理 施 設 では 年 間 を 通 して 亜 硝 酸 型 の 硝 化 が 繰 り 返 されており 窒 素 濃 度 の 低 減 化 を 阻 む 一 因 となっている 亜 硝 酸 型 の 硝 化 が 発 生 する 原 因 として 水 温 の 低 下 DO( 溶 存 酸 素 ) 不 足 亜 硝 酸 性 窒 素 アンモニア 性 窒 素 有 機 物 負 荷 硫 化 物 等 の 存 在 が 挙 げられ これら 相 互 の 働 きによって 引 き 起 こさ れる 硝 化 細 菌 のアンバランスが 原 因 と 考 えられている 実 施 設 でたびたび 見 られる 亜 硝 酸 型 の 硝 化 を 実 験 室 内 において 再 現 することは 処 理 施 設 特 有 の 構 造 上 の 問 題 や 実 験 方 法 等 の 面 から 難 しく 詳 細 についてはこれまで 明 らかにされていない そこで 本 調 査 では 芝 セにおける 安 定 的 な 窒 素 除 去 対 策 を 進 めるために 亜 硝 酸 型 硝 化 を 引 き 起 こす 原 因 につい て 検 討 を 行 った 2 方 法 2.1 実 験 条 件 本 調 査 は 全 てバッチ 式 のテーブル 実 験 によって 行 った 実 験 には 5L のプラスチックビ ーカーを 用 い 年 間 を 通 じて 硝 化 状 況 が 良 好 な 東 系 の 返 送 汚 泥 1L と 東 系 の 反 応 槽 流 入 水 (または 二 次 処 理 水 )4L を 合 わせた 溶 液 を 混 合 液 として 調 製 した 検 討 した 実 験 条 件 を 表 1 に 示 した アンモニア 性 窒 素 ( 以 下 NH 4 -N )と 亜 硝 酸 性 窒 素 ( 以 下 )による 硝 化 への 影 響 については 混 合 液 中 において 各 成 分 の 濃 度 が 一 定 となるよう 試 薬 を 連 続 的 に 添 加 して 調 整 しながら 曝 気 撹 拌 を 行 った 硫 化 物 と 有 機 物 負 荷 の 影 響 については 予 め NH 4 -N を 3~ 5mg/L 添 加 した 混 合 液 にそれぞれ 硫 化 ナト リウム 及 びスクロースを 所 定 の 濃 度 で 添 加 して 曝 気 を 行 った さらに 芝 セの 処 理 状 況 を 考 慮 し 硝 化 が 継 続 的 に 抑 制 される 運 転 が 亜 硝 酸 型 硝 化 に 与 える 影 響 について 検 討 を 行 っ 表 1 検 討 した 内 容 と 実 験 条 件 検 討 項 目 添 加 濃 度 方 法 曝 気 時 間 空 気 倍 率 DO 目 標 値 アンモニア 性 窒 素 3~ 9mgN/L 継 続 添 加 7 時 間 4~ 5 倍 - 亜 硝 酸 性 窒 素 1~ 7mgN/L 継 続 添 加 1 時 間 4~ 5 倍 - 硫 化 物.2~ 2mgS/L 初 期 添 加 4 時 間 4~ 5 倍 - 有 機 物 負 荷 a 低 DO:.1-.2mg/L 1, 2mg/L a 初 期 添 加 4 時 間 2 倍, 5 倍 高 DO:.4mg/L 以 上 硝 化 抑 制 - 4 時 間 6 サイクル b 1~ 2 倍.1mg/L 以 下 a COD で 8mg/L および 16mg/L に 相 当 b 1 サイクルは 1 回 の 曝 気 終 了 後 に 汚 泥 を 沈 降 させ 上 澄 み 交 換 を 行 う 過 程 を 示 す -321-
た 硝 化 の 抑 制 効 果 に 関 する 実 験 は 4 時 間 を 1 サイクルとして 低 風 量 ( 送 風 倍 率 で 1 倍 程 度 DO で.1mg/L 前 後 を 想 定 )による 硝 化 の 進 行 を 抑 えた 曝 気 運 転 を 行 った 4 時 間 経 過 後 に 曝 気 と 撹 拌 を 停 止 して 二 沈 を 想 定 した 汚 泥 の 沈 殿 と 上 澄 み 液 の 交 換 汚 泥 の 引 き 抜 きを 行 った 後 に 再 度 処 理 を 繰 り 返 した 各 サイクルで 操 作 を 行 った 後 に 活 性 汚 泥 を 再 度 沈 殿 させて 上 澄 み 液 の 交 換 を 行 い NH 4 -N を 3~ 4mg/L 添 加 して 十 分 な 空 気 量 で 曝 気 を 行 って 硝 化 の 進 行 を 確 認 することで 硝 化 能 力 を 評 価 した なお 実 験 は 全 て 室 温 において 行 った 2.2 試 料 調 製 及 び 分 析 曝 気 を 行 った 混 合 液 の 一 部 を.8μm のフィルターシリンジを 用 いてろ 過 し NH 4 -N の 測 定 用 試 料 とした また そのうち 一 部 は.2μm のフィルターでさらにろ 過 を 行 い と 硝 酸 性 窒 素 ( 以 下 )の 測 定 用 試 料 とした NH 4 -N は 電 量 滴 定 式 のアンモニアメー ター(MT-1:セントラル 科 学 社 製 ) と についてはイオンクロマトグラフ ( Dionex 社 製 )により 測 定 を 行 った その 他 の 水 質 成 分 として DO ph MLSS 溶 存 硫 化 物 溶 解 性 COD 酸 素 利 用 速 度 (Rr ATU-Rr)を 下 水 試 験 方 法 等 に 準 拠 して 行 った 3 結 果 及 び 考 察 3.1 アンモニア 性 窒 素 の 影 響 NH 4 -N の 添 加 濃 度 は 現 在 の 流 入 水 レベル 冬 季 の 濃 度 レベル さらに 今 後 継 続 的 な 濃 度 増 が 見 込 まれる 場 合 を 考 慮 して 3~ 9mg/L とした 図 1にNH 4 -N 添 加 濃 度 段 階 別 の 硝 化 状 況 を 示 した 時 間 経 過 に 伴 って 及 び ともに 徐 々に 増 加 する 傾 向 を 示 したが 添 加 濃 度 の 違 いによる 差 は 見 られなかった NH 4 -N 無 添 加 ( 初 期 NH4-N: 1.9mg/L 継 続 添 加 なし)では にやや 増 加 が 見 られたが NH 4 -N の 減 少 とともに への 移 行 が 進 んでおり 他 の 高 濃 度 添 加 条 件 についても 硝 化 によっ て NH 4 -N 濃 度 が 低 下 することで 同 様 な 傾 向 を 示 すと 考 えられた このことから アンモニ ア 性 窒 素 そのものが 高 いことで 亜 硝 酸 型 硝 化 が 引 き 起 こされることはないと 考 えられた 3 2 1 対 照 3mg/L 5mg/L 7mg/L h 2h 4h 6h h 2h 4h 6h h 2h 4h 6h h 2h 4h 6h h 2h 4h 6h 図 1 アンモニア 性 窒 素 の 硝 化 への 影 響 9mg/L (1サイクル) 3.2 亜 硝 酸 性 窒 素 の 影 響 図 2 に 異 なる 濃 度 の を 添 加 して 硝 化 を 進 めた 時 に 生 成 される 濃 度 の 変 化 を 示 した( 原 水 中 に 含 まれる NH 4 -N から 生 成 する の 影 響 を 除 くために ATU を 予 め 混 合 液 に 添 加 ) の 添 加 濃 度 に 依 存 して 曝 気 開 始 直 後 から 硝 化 の 進 行 度 に 差 が 見 ら れた の 生 成 速 度 で 見 ると 1mg/L 添 加 時 で 4mgN/gMLSS/h 7mg/L では -322-
1.5mgN/gMLSS/h まで 低 下 した 芝 セ( 東 系 )の 平 均 的 な 生 成 速 度 (3 ~ 5mgN/gMLSS/h)から 見 ると 1~ 3mg/L 程 度 の による 硝 化 への 短 期 的 な 影 響 は ないと 考 えられる 一 方 で を 5~ 7mg/L 添 加 したケースでは Rr や 硝 化 速 度 の 低 1 5 (1サイクル) 1mg/L 3mg/L 5mg/L 7mg/L h 2h 4h 6h 8h 1h h 2h 4h 6h 8h 1h h 2h 4h 6h 8h 1h h 2h 4h 6h 8h 1h 図 2 亜 硝 酸 性 窒 素 の 硝 化 への 影 響 下 が 顕 著 に 起 こっており 有 機 物 酸 化 細 菌 と 硝 化 細 菌 のいずれに 対 しても 悪 影 響 を 及 ぼす ことが 確 認 された 3.3 硫 化 物 の 影 響 図 3 に 硫 化 物 添 加 時 の 硝 化 における 窒 素 成 分 の 変 化 を 示 した( 初 期 NH 4 -N: 5mg/L) 無 添 加 と.2mgS/L 添 加 のケースでは 差 が 見 られなかった 2mgS/L では の 生 成 がやや 緩 やかとなり その 結 果 の 蓄 積 が 確 認 された 他 の 条 件 と 比 較 して 2mgS/L で の 生 成 が 遅 れて 始 まったのは 硫 化 物 の 毒 性 によると 考 えられ その 後 濃 度 は 徐 々に 増 加 したのに 対 し の 濃 度 に 増 加 は 見 られなかった 2mgS/L を 添 加 した 混 合 液 中 の 曝 気 開 始 から 1 時 間 後 に 溶 存 硫 化 物 が 検 出 されなかったことや 上 澄 み 液 を 交 換 して 再 度 曝 気 しても 同 様 に の 蓄 積 が 見 られたことから 溶 存 硫 化 物 は 短 時 間 で 活 性 汚 泥 の 硝 化 能 力 を 低 下 させ 特 に の 発 生 に 関 与 する 細 菌 の 働 きを 抑 制 する 効 果 があると 考 えられた また 曝 気 を 進 めることで は 徐 々に 増 加 し 最 大 で 窒 素 成 分 全 体 (NH 4 -N + + )の 33%を 占 めた 窒 素 成 分 に 占 める 割 合 3 2 1 1% 8% 6% 4% 2% % (1サイクル NH 4 -N:3mg/L 添 加 ) 対 照 ( 無 添 加 ).2mgS/L 2mgS/L 2mgS/L h 1h 2h 3h 4h h 1h 2h 3h 4h h 1h 2h 3h 4h h 1h 2h 3h 4h 8h NH4-N NO2-N NO3-N 図 3 溶 存 硫 化 物 が 硝 化 に 与 える 影 響 -323-
図 4 に 溶 存 硫 化 物 を 低 濃 度 範 囲 で 添 加 した 際 の 硝 化 への 影 響 を 示 した 1 サイクルでは.2mgS/L では 影 響 がほとんど 見 られず 2mgS/L でも 影 響 は 小 さかったが サイクル 数 の 増 加 と 伴 って 徐 々に NO2-N の 蓄 積 が 確 認 され.2mgS/L の 添 加 濃 度 でも 亜 硝 酸 型 硝 化 に 移 行 していくことが 確 認 された H21 年 度 の 調 査 では センターの 第 一 沈 殿 池 出 口 で 3~ 9mgS/L の 溶 存 硫 化 物 が 検 出 されており 同 様 な 濃 度 レベルであっても 反 応 槽 への 長 期 間 の 流 入 があった 場 合 亜 硝 酸 型 硝 化 の 一 因 になり 得 ると 考 えられた 4 (NH 4 -N:3mg/L 添 加 ).2mgS/L NO2-N NO3-N 2 4 2mgS/L NO2-N NO3-N 2 対 照 ( 無 添 加 ) 1サイクル 2サイクル 3サイクル 4サイクル 5サイクル 6サイクル 図 4 溶 存 硫 化 物 の 長 時 間 暴 露 による 影 響 3.4 硝 化 抑 制 運 転 による 影 響 亜 硝 酸 型 の 硝 化 が 起 こりやすい 処 理 の 特 徴 として 流 入 下 水 量 の 変 動 等 による 好 気 時 間 の 相 対 的 な 不 足 流 入 水 の 有 機 物 濃 度 の 上 昇 やそれに 伴 う DO の 低 下 が 挙 げられる モデ ル 物 質 としてスクロースを 用 いてこれらの 影 響 を 調 べた 結 果 有 機 物 負 荷 が 低 い 場 合 には 十 分 な 空 気 量 で 曝 気 を 行 うことによって 良 好 に 硝 化 が 進 む 一 方 DO が 低 い 場 合 や 有 機 物 負 荷 が 高 まる 条 件 では 硝 化 速 度 の 低 下 や 硝 化 開 始 の 遅 れが 生 じる 傾 向 が 見 られた 本 系 処 理 施 設 はこれに 類 似 した 状 況 に 曝 されており NH 4 -N や が 残 存 する 処 理 が 連 続 的 に 行 われることが 硝 化 に 及 ぼす 影 響 について 検 討 した 図 5 に 硝 化 を 抑 制 しながら 処 理 を 行 った 時 の 各 窒 素 成 分 の 割 合 を 示 した( 平 均 的 な 運 転 実 施 時 の NH 4 -N は 開 始 時 が 3mg/L 処 理 終 了 時 が 28mg/L 溶 解 性 COD は 同 様 に 28mg/L から 16mg/L に 低 下 ) 硝 化 が 良 好 な 通 常 の 東 系 汚 泥 ( 対 照 汚 泥 )では 6 時 間 程 度 で NH 4 -N が に 完 全 硝 化 する 一 方 2 サイクル 経 過 の 汚 泥 ではやや 硝 化 の 進 みに 遅 れが 見 られ た 4 サイクル 経 過 の 汚 泥 では の 濃 度 に 増 加 が 見 られ 6 サイクルでは の 窒 素 成 分 全 体 (NH 4 -N + + )に 占 める 割 合 が 4%を 占 めた また 実 際 の 水 処 理 運 転 を 考 慮 した 汚 泥 の 引 き 抜 き( 曝 気 24 時 間 に 対 し 2 割 相 当 :SRT5 日 )の 有 無 によ る 硝 化 への 影 響 に 差 は 見 られなかったことから 継 続 的 な 硝 化 の 抑 制 が 硝 化 細 菌 のバラン -324-
スを 崩 す 一 因 になることが 確 認 された 一 方 送 風 倍 率 を 5 倍 程 度 に 設 定 した 運 転 で 汚 泥 引 き 抜 きの 有 無 を 比 較 したところ 引 き 抜 きありの 条 件 において NO2-N の 蓄 積 が 確 認 され た 窒 素 成 分 に 占 める 割 合 2 1 1% 8% 6% 4% 2% % ( 送 風 倍 率 :1 倍 余 剰 引 き 抜 きなし) 対 照 2サイクル 4サイクル 6サイクル h 1h 2h 3h 4h 5h 6h h 1h 2h 3h 4h h 1h 2h 3h 4h 5h 6h h 1h 2h 3h 4h 5h 6h NH4-N NO2-N NO3-N 図 5 低 風 量 の 連 続 運 転 による 硝 化 への 影 響 表 2 にセンターの 処 理 施 設 と 今 回 の 実 験 から 得 られた 硝 化 速 度 の 比 較 を 示 した 汚 泥 性 状 が 良 好 な 東 系 では 流 入 下 水 中 のアンモニア 性 窒 素 濃 度 の 高 低 にかかわらず の 生 成 速 度 が を 途 中 で 逆 転 して 完 全 硝 化 に 至 る 一 方 で 亜 硝 酸 型 の 硝 化 が 起 こりやす い 深 槽 東 や 今 回 実 験 から 得 られた 硫 化 物 添 加 や 硝 化 抑 制 のケースでは 処 理 開 始 直 後 から の 生 成 速 度 が 低 く 好 気 時 間 を 長 くしてもこの 状 態 が 継 続 する そこで 各 実 験 の 結 果 を 亜 硝 酸 型 硝 化 の 大 きさとして 表 わすために NH4-N から NO2-N に 変 化 する 時 の 硝 化 速 度 と NO2-N から NO3-N へ 変 化 する 時 の 硝 化 速 度 をそれぞれ 求 め その 差 を 見 ること で 亜 硝 酸 型 硝 化 の 大 きさを 比 較 した 表 2 芝 セの 処 理 施 設 と 実 験 で 得 られた 硝 化 速 度 の 比 較 (mgn/gmlss/h) 芝 セ( 東 系 ) 芝 セ( 東 系 ) 芝 セ( 深 槽 硫 化 物 2mg/L c 硝 化 抑 制 時 間 (h) 1 2.7 1.5 1..7.6..... 2 4.1 2.8 3.9 3.5 3.6....8. 3 4.3 3.2 5. 4. 5..3 4.2.9 3.3 1. 4. 2.8 5.6 4.4 3.8. 2.2. 4. 1.3 5.. 4.6 3.8 4.2 1.5 4.7 1.6 3.9 1.4 6.. 3.2 5. 5..7 - - 3.6 1.7 7...4 2.5 4.2.6 - - 3..8 a 開 始 時 のアンモニア 性 窒 素 濃 度 :1.9mg/L 8/18 に 調 査 実 施 b 開 始 時 のアンモニア 性 窒 素 濃 度 :22.1mg/L 5/12 に 調 査 実 施 c 6 サイクル 終 了 時 -325-
亜 硝 酸 と 硝 酸 の 生 成 速 度 の 差 (mgn/gmlss/h) 亜 硝 酸 と 硝 酸 の 生 成 速 度 の 差 (mgn/gmlss/h) 3.5 硝 化 速 度 の 差 に よ る 各 要 因 の 影 響 度 比 較 図 6 に 各 要 因 の 影 響 度 を 示 し た ( サ イ ク ル と 記 載 の な い 場 合 は 全 て 1 サ イ ク ル を 示 す ) 溶 存 硫 化 物 に よ る 影 響 は 相 対 的 に 大 き く 送 風 倍 率 の 低 い 運 転 の 継 続 も 同 様 に 亜 硝 酸 型 硝 化 を 顕 著 に 誘 発 す る 大 き な 要 因 で あ る こ と が わ か る 一 方 で 芝 浦 水 再 生 セ ン タ ー の 実 施 設 で 恒 常 的 に 見 ら れ る 亜 硝 酸 型 の 硝 化 は こ う し た 単 独 の 要 因 の 値 と 比 べ て さ ら に 大 きい 値 で あ る こ と が 確 認 さ れ た 今 回 実 施 し た 実 験 は 最 長 で 6 サイクル(4 時 間 6= 24 時 間 ) の 連 続 運 転 で あ り 実 施 設 で は 数 日 か ら 1 週 間 近 い 単 位 で 今 回 の 実 験 条 件 と 同 様 な 処 理 条 件 が 続 く こ と や 各 要 因 の 相 加 効 果 な ど が 実 施 設 で 高 い 値 が 見 ら れ る 原 因 と 考 え ら れ る ま た 本 実 験 の 結 果 か ら 亜 硝 酸 型 硝 化 を 引 き 起 こ さ ず に 硝 化 を 進 め る 条 件 としては 硝 化 速 度 の 差 が 1mgN/gMLSS/h 程 度 を 維 持 す る こ と が 限 界 ラ イ ン で あ る こ と が 確 認 さ れ た 5 4 硫 化 物 風 量 アンモニア 性 窒 素 実 施 設 3 2 亜 硝 酸 型 硝 化 発 生 の 境 界 1 図 6 亜 硝 酸 型 硝 化 を 引 き 起 こ す 各 要 因 の 影 響 度 比 較 3.6 亜 硝 酸 型 硝 化 を 防 止 す る 施 設 機 能 に つ い て 亜 硝 酸 型 硝 化 を 防 止 し て い く た め に は 硝 化 を あ る 程 度 の レ ベ ル で 維 持 し て い く 必 要 が あ る こ と が 今 回 の 実 験 か ら 予 想 さ れ た し た が っ て 今 回 の 実 験 結 果 を セ ン タ ー の 水 処 理 運 転 に 反 映 さ せ て い く た め に ア ン モ ニ ア 性 窒 素 の 硝 化 率 と 硝 化 速 度 の 関 係 を 余 剰 汚 泥 引 き 抜 き の 有 無 別 に 図 7 に 示 し た 通 常 の 処 理 施 設 で は 引 き 抜 き を 考 慮 す る 必 要 が あ る た め 点 線 の グ ラ フ に 示 し た 関 係 と な り 硝 化 の 度 合 い を あ る 程 度 ま で 引 き 上 げ る こ と に よ っ て 亜 硝 酸 型 亜 硝 酸 型 硝 化 を 防 止 す る こ と が (A-HRT4 時 間 で 計 算 ) 4 余 剰 なしのケース 3 余 剰 あり(SRT:5 日 )のケース 2 1 亜 硝 酸 型 硝 化 が 起 こらないレベル 2 4 6 8 1 アンモニア 性 窒 素 硝 化 率 (mg/gmlss/h) 図 7 亜 硝 酸 型 硝 化 の 防 止 に 必 要 な 施 設 機 能 -326-
できると 考 えられた この 関 係 から 現 有 の 芝 セの 処 理 施 設 を 使 用 する 場 合 には 硝 化 速 度 を 7~ 9mgN/gMLSS/h で 維 持 していく 必 要 があることが 確 認 された この 値 は 比 較 的 処 理 状 況 の 良 い 夏 季 の 活 性 汚 泥 が 持 つ 硝 化 速 度 の 2 倍 程 度 となり 現 在 の 施 設 の 規 模 や 性 能 で は 亜 硝 酸 型 の 硝 化 は 避 けられないことがわかる 4 まとめ 種 々の 要 因 が 亜 硝 酸 型 の 硝 化 を 引 き 起 こす 要 因 となることが 確 認 された また 現 在 の 芝 セは 施 設 規 模 や 処 理 設 備 の 性 能 から 見 ると 亜 硝 酸 型 の 硝 化 を 防 止 するためには 不 十 分 であることが 定 量 的 な 観 点 から 明 らかとなった 今 回 ビーカー 実 験 によってある 程 度 の 条 件 が 整 理 されたことから 今 後 はパイロットプ ラントや 実 施 設 を 活 用 した 実 証 実 験 や 亜 硝 酸 型 の 硝 化 を 起 こしている 処 理 状 況 を 改 善 す るための 手 法 の 検 討 などが 課 題 と 考 えられる -327-