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子 宮 体 が ん の 疑 い が あ る と い わ れ た あ な た へ 子 宮 体 がんの 疑 いがあります 子 宮 体 がんです と 聞 かされて あなたは 大 きなショックを 受 けていることでしょう 子 宮 の 病 気 ということで 女 性 である 自 分 とあらためて 向 き 合 わざるを 得 なくなっているかもしれません がんの 告 知 を 冷 静 に 受 け 止 められなかったり 医 師 がていねいに 説 明 してくれても 理 解 するのが 難 しかったりするのは 普 通 のことです 自 らが 納 得 して 治 療 を 受 けられるように まず 子 宮 体 がんそのものや 標 準 的 な 治 療 について 正 確 な 情 報 を 集 めましょう また 痛 みがあるとき 悩 みや 不 安 で 精 神 的 につらいときにも 担 当 医 だけでなく ほかの 科 の 専 門 医 看 護 師 や 薬 剤 師 ソーシャルワーカーなど あなたをサポートしてくれる 医 療 スタッフがいることも 覚 えておきましょう もちろんこの 冊 子 を 読 んで 疑 問 に 思 ったことも 医 療 スタッフに 聞 いてみてください それが 医 療 スタッフとのよりよい コミュニケーションのきっかけになり あなたの 納 得 につながるのであれば 私 たちもとてもうれしく 思 います CONTENTS 取 材 協 力 日 本 医 科 大 学 武 蔵 小 杉 病 院 薬 剤 部 がん 指 導 薬 剤 師 宮 田 広 樹 子 宮 体 がんとは どのような 病 気 ですか 4 どのような 検 査 が 行 われ 子 宮 体 がんだと 確 定 されるのですか 5 子 宮 体 がんの 進 行 期 (ステージ)について 教 えてください 6 子 宮 体 がんでは どのような 治 療 が 行 われますか 8 どんな 手 術 が 行 われ 体 にはどのような 変 化 が 現 れますか 10 手 術 以 外 に どのような 治 療 が 行 われますか 12 薬 物 療 法 ではどのような 副 作 用 がいつごろ 現 れますか 14 再 発 転 移 とは どのような 状 態 になることですか 16 苦 痛 を 和 らげてくれる 専 門 家 がいます 17 Patient's Voice 8 9 12 13 16 3

Q 1 子 宮 体 がんとは どのような 病 気 ですか A. 子 宮 体 部 の 内 膜 に 発 生 するがんで 子 宮 頸 部 にできる 子 宮 頸 がんとは 性 質 が 異 なります 多 くは 女 性 ホルモンのエストロゲンが 関 係 するタイプです 図 表 1 子 宮 は 主 に 筋 肉 からできており 入 口 に 近 い 頸 部 と 奥 の 体 部 に 分 けられます 子 宮 体 部 は 妊 娠 していないときには 鶏 卵 よりやや 大 きいくらいのサイズです 子 宮 体 がんは 子 宮 体 部 の 内 膜 にできるがん で 子 宮 頸 部 にできる 子 宮 頸 がんとは 性 質 が 異 なることから 明 確 に 区 別 して 診 断 治 療 が 行 われます( 図 表 1) 子 宮 体 がんは 閉 経 を 迎 える 前 後 の40 代 後 半 から 増 え 始 め 50~60 代 で 最 も 多 くなる のが 特 徴 です ただ 最 近 では 40 歳 未 満 でみつかる 若 年 子 宮 体 がん が 増 えている ことが 指 摘 されています 子 宮 体 部 の 内 側 の 内 膜 は 排 卵 前 に 増 殖 し 子 宮 の 構 造 て 厚 みを 増 し 月 経 ではがれるという 新 陳 代 謝 を 繰 り 返 していますが 閉 経 に 向 かうころ から この 内 膜 の 部 分 にがんができることが あるのです 子 宮 体 がんにはいろいろな 種 類 があります ( 図 表 2) 腺 細 胞 ( 子 宮 内 膜 を 潤 す 粘 液 を 分 泌 する)に 発 生 する 腺 がん がほとんどで そのうち8 割 以 上 が 治 りのよい 類 内 膜 腺 がん です 女 性 ホルモンのエストロゲンが 関 与 し ているかどうかによっても がんのタイプが 分 けられます( 図 表 3) 図 表 2 子 宮 体 がんの 種 類 子 宮 体 がん 腺 がん 類 内 膜 腺 がん( 子 宮 体 がんの8 割 以 上 治 りがよい) 子 宮 体 部 子 宮 腔 卵 管 漿 液 性 腺 がん 明 細 胞 腺 がん 子 宮 頸 部 卵 巣 子 宮 内 膜 粘 液 性 腺 がん など 扁 平 上 皮 がん 腟 子 宮 筋 層 その 他 ( 混 合 タイプなど) * 子 宮 体 部 の 筋 層 に 発 生 するがんは 子 宮 肉 腫 といい 子 宮 体 が んとは 区 別 される 図 表 3 子 宮 体 がんのタイプ 女 性 ホルモン(エストロゲン)が 関 与 するタイプ1 女 性 ホルモン(エストロゲン)が 関 与 しないタイプ2 年 齢 若 い 人 閉 経 前 後 に 多 い 閉 経 後 に 多 い が 組 織 型 類 内 膜 腺 がんが 多 い 漿 液 性 腺 がん 明 細 胞 腺 がんなどが 多 い ん 細 胞 の 分 化 度 ( 成 熟 度 )*1 高 分 化 が 多 い( 高 分 化 型 ) 低 分 化 が 多 い( 低 分 化 型 ) の 特 がんの 内 膜 から 奥 への 進 展 ( 浸 潤 ) 内 膜 の 表 層 にとどまり 浸 潤 は 少 ない 内 膜 の 深 層 に 進 み 浸 潤 することが 多 い 徴 転 移 少 ない 多 い 進 行 度 緩 やか 速 い 前 がん 病 変 ( 子 宮 内 膜 異 型 増 殖 症 )*2 みられることがある あまりみられない 予 後 良 好 不 良 *1 がん 細 胞 は 分 化 の 程 度 ( 成 熟 度 )によって 高 分 化 型 中 分 化 型 低 分 化 型 に 分 けられる 正 常 細 胞 と 同 じくらいに 成 熟 した 細 胞 ががん 化 した 高 分 化 型 は 悪 性 度 が 低 く 細 胞 の 成 熟 度 が 低 い( 分 裂 して 間 もない) 細 胞 ががん 化 した 低 分 化 型 は 増 殖 や 転 移 が 速 く 治 療 が 難 しい *2 子 宮 内 膜 異 型 増 殖 症 (p.7)は 子 宮 体 がんの 前 がん 状 態 として 注 意 が 必 要 患 者 さんとご 家 族 のための 子 宮 頸 がん 子 宮 体 がん 卵 巣 がん 治 療 ガイドラインの 解 説 日 本 婦 人 科 腫 瘍 学 会 編 金 原 出 版 を 参 考 に 作 成 4

2 Q どのような 検 査 が 行 われ 子 宮 体 がんだと 確 定 されるのですか A. 内 診 や 触 診 のほか 経 腟 超 音 波 検 査 子 宮 内 膜 の 細 胞 診 の 後 確 定 診 断 のために 組 織 診 などが 行 われます がんの 広 がりをみる 骨 盤 のMRI 検 査 やCT 検 査 などの 画 像 検 査 も 必 須 です 子 宮 体 がんが 疑 われるのは 1 初 期 の 症 状 ( 月 経 時 ではない 不 正 出 血 月 経 の 周 期 や 期 間 の 乱 れ 月 経 量 の 増 加 閉 経 後 の 出 血 水 っぽいおりものなど)がみ られるとき 2 内 診 や 触 診 で 子 宮 や 周 囲 の 腫 れ 粘 膜 の 異 常 などがみられるとき 3 腟 から 器 具 を 入 れる 経 腟 超 音 波 検 査 で 子 宮 内 膜 が 異 常 に 厚 くなっている 様 子 がみら れるとき 4 子 宮 内 膜 の 細 胞 の 検 査 ( 細 胞 診 )で 異 常 な 細 胞 がみつかったとき などです 細 胞 診 は 特 殊 な 器 具 で 子 宮 内 膜 を こすって 細 胞 を 採 取 し 顕 微 鏡 で 細 胞 の 形 状 をみる 検 査 で 外 来 で 行 われます 結 果 が 出 るまで1 週 間 ほどかかるのが 普 通 です さらに 組 織 検 査 や 画 像 検 査 も 行 われる 子 宮 体 がんと 確 定 診 断 するには 子 宮 内 膜 の 組 織 検 査 ( 組 織 診 )が 必 須 です がんが 疑 われる 部 位 や 広 がりを 特 定 するた めに 前 述 の 経 腟 超 音 波 検 査 とともに 腹 部 超 音 波 検 査 骨 盤 MRI( 磁 気 共 鳴 画 像 ) 検 査 CT(コンピュータ 断 層 撮 影 ) 検 査 などの 画 像 検 査 も 行 われます 組 織 診 では 子 宮 頸 管 を 広 げる 器 具 を 腟 か ら 入 れ 匙 (さじ) 型 の 金 属 の 器 具 で 子 宮 内 膜 組 織 をこすり 取 り 顕 微 鏡 で 調 べます 原 則 として 経 腟 超 音 波 検 査 や 骨 盤 MRI 検 査 で 組 織 をこすり 取 る 位 置 をおおよそ 特 定 してから 行 われます 子 宮 内 膜 の 一 部 ではなく 子 宮 内 膜 を 全 面 的 に 取 って 顕 微 鏡 でみる 検 査 軟 らかく 細 い 内 視 鏡 ( 子 宮 鏡 )を 使 って 子 宮 をみる 検 査 子 宮 内 に 生 理 食 塩 水 を 入 れて 流 れ 出 た 水 の 中 に 含 まれる 子 宮 内 膜 細 胞 を 調 べる 検 査 など が 行 われるケースもあり 場 合 によっては 検 査 を 行 うときに 麻 酔 をかけます このような 検 査 で 子 宮 体 がんと 診 断 され た 後 がんの 広 がりの 程 度 を 確 認 するために さらに 血 液 検 査 で 腫 瘍 マーカー( 腫 瘍 細 胞 が 作 る 物 質 を 測 定 する 子 宮 体 がんではCEA CA125とCA19-9)を 調 べたり 肝 機 能 検 査 胸 部 X 線 検 査 直 腸 診 なども 行 われます セカンドオピニオンとは? 担 当 医 から 説 明 された 診 断 や 治 療 方 針 に 納 得 がいかないと きや さらに 情 報 がほしい 場 合 は 別 の 医 師 に 意 見 を 求 める 方 法 があります これを セカンドオピニオン といいます 納 得 のいく 治 療 を 選 択 するために 別 の 医 師 の 意 見 も 参 考 にす るものなので セカンドオピニオンの 結 果 は 担 当 医 に 必 ず 報 告 し もう 一 度 治 療 方 針 についてよく 話 し 合 いましょう セカンドオピニオンを 受 けたいときは 担 当 医 に 紹 介 状 や 検 査 記 録 を 用 意 してもらう 必 要 があります また 各 地 のがん 診 療 連 携 拠 点 病 院 に 設 置 されている 相 談 支 援 センターに 問 い 合 わせると セカンドオピニオン 外 来 を 実 施 する 病 院 の 情 報 が 得 られます なお セカンドオピニオン 外 来 の 費 用 は 全 額 自 己 負 担 になります 5

Q 3 子 宮 体 がんの 進 行 期 (ステージ)に ついて 教 えてください A. 進 行 期 (ステージ)は 子 宮 体 がんの 広 がりを 評 価 し 治 療 方 針 を 決 定 するため の 目 安 です 子 宮 体 がんでは 臨 床 進 行 期 分 類 と 手 術 進 行 期 分 類 の2つの 分 類 があり 原 則 として 手 術 後 に 分 類 し 直 す 手 術 進 行 期 分 類 を 用 います 子 宮 体 がんは 子 宮 内 膜 で 発 生 し 進 行 する と 子 宮 筋 層 にも 入 っていきます( 筋 層 浸 潤 ) さらに 進 むと 1 子 宮 頸 部 や 腟 の 側 に 広 がり 直 腸 や 膀 胱 に 浸 潤 する 2 卵 巣 や 卵 管 に 広 が り 腹 腔 に 進 展 して 腹 水 がたまったり 大 網 ( 胃 と 横 行 結 腸 の 間 )に 転 移 したりする 3がん 細 胞 がリンパ 管 や 血 管 を 通 じて リン パ 節 肝 臓 肺 などに 遠 隔 転 移 する という 経 過 をたどります( 図 表 4) このように がんがどこまで 広 がっている かを 評 価 し 治 療 方 針 を 決 めるために 使 われ る 指 標 が 進 行 期 (ステージ)です 子 宮 体 が んでは 進 行 期 の 決 定 には 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 が 作 成 した 臨 床 進 行 期 分 類 ( 図 表 5)と 手 術 進 行 期 分 類 ( 図 表 6)の2つの 分 類 が 用 いられています これらは 元 になる 国 際 産 科 婦 人 科 連 合 (FIGO)の 分 類 が2008 年 に 改 訂 されたのを 受 け 2011 年 に 改 訂 され 図 表 4 子 宮 体 がんの 進 行 期 別 の 広 がり 方 子 宮 内 膜 子 宮 筋 層 Ⅱ 期 子 宮 頸 部 の 間 質 まで 広 がる 筋 層 の1/2 筋 層 の1/2 Ⅰ 期 Ⅰa 期 腟 子 宮 筋 層 の 1/2 未 満 にとどまる Ⅰb 期 子 宮 筋 層 の 1/2 以 上 Ⅱ 期 子 宮 頸 部 Ⅲa 期 卵 巣 卵 管 に 広 がる 卵 管 Ⅲc 期 骨 盤 リンパ 節 や 傍 大 動 脈 リンパ 節 に 転 移 膀 胱 子 宮 内 膜 子 宮 筋 層 Ⅳb 期 鼠 径 リンパ 節 や 肝 臓 肺 などに 転 移 ( 遠 隔 転 移 ) 卵 巣 子 宮 壁 を 超 える Ⅲ 期 Ⅲb 期 腟 壁 に 広 がる 子 宮 傍 組 織 に 広 がる Ⅳ 期 腟 Ⅳa 期 膀 胱 に 広 がる 腸 粘 膜 に 広 がる 直 腸 子 宮 体 がん 治 療 ガイドライン2013 年 版 日 本 婦 人 科 腫 瘍 学 会 編 金 原 出 版 などを 参 考 に 作 成 6

図 表 5 子 宮 体 がんの 臨 床 進 行 期 分 類 ( 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 1983 年 FIGO1982 年 ) Ⅰ 期 Ⅱ 期 Ⅲ 期 Ⅳ 期 がんが 子 宮 体 部 に 限 局 している( 子 宮 頸 部 との 境 目 = 子 宮 峡 部 も 含 む) Ⅰa 期 子 宮 腔 の 長 さが8cm 以 下 Ⅰb 期 子 宮 腔 の 長 さが8cm 超 がんが 頸 部 の 間 質 に 及 ぶ がんが 子 宮 外 に 広 がるが 小 骨 盤 腔 を 越 えていない がんが 小 骨 盤 腔 を 越 えるか 明 らかに 膀 胱 または 直 腸 の 粘 膜 に 広 がっている Ⅳa 期 膀 胱 直 腸 S 状 結 腸 または 小 腸 などの 隣 接 臓 器 に 広 がっている Ⅳb 期 遠 隔 転 移 している 子 宮 体 がん 治 療 ガイドライン2013 年 版 日 本 婦 人 科 腫 瘍 学 会 編 金 原 出 版 などを 参 考 に 作 成 図 表 6 子 宮 体 がんの 手 術 進 行 期 分 類 ( 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 2011 年 FIGO2008 年 ) Ⅰ 期 Ⅱ 期 Ⅲ 期 Ⅳ 期 がんが 子 宮 体 部 に 限 局 している(とどまっている) Ⅰa 期 がんが 子 宮 筋 層 の1/2 未 満 Ⅰb 期 がんが 子 宮 筋 層 の1/2 以 上 がんが 頸 部 の 間 質 に 及 ぶ がんが 子 宮 外 に 広 がるが 小 骨 盤 腔 を 越 えていない または 所 属 リンパ 節 に 広 がる Ⅲ a 期 子 宮 漿 膜 や 卵 巣 卵 管 に 広 がる Ⅲ b 期 腟 や 子 宮 傍 結 合 織 へ 広 がる Ⅲc1 期 骨 盤 リンパ 節 に 転 移 Ⅲc2 期 傍 大 動 脈 リンパ 節 に 転 移 がんが 小 骨 盤 腔 を 越 えるか 明 らかに 膀 胱 や 腸 粘 膜 に 広 がる 遠 隔 転 移 がある Ⅳa 期 膀 胱 や 腸 粘 膜 に 広 がる Ⅳb 期 腹 腔 内 や 鼠 径 リンパ 節 を 含 む 遠 隔 転 移 がある 子 宮 体 がん 治 療 ガイドライン2013 年 版 日 本 婦 人 科 腫 瘍 学 会 編 金 原 出 版 などを 参 考 に 作 成 ました 手 術 後 に 手 術 進 行 期 分 類 で 分 類 し 直 す 臨 床 進 行 期 分 類 は 触 診 や 内 診 細 胞 診 や 組 織 診 画 像 検 査 の 結 果 などから 推 定 さ れる 進 行 期 で 最 初 に 治 療 方 針 を 決 定 するた めの 基 準 となります ただし 子 宮 体 がんは 子 宮 の 奥 で 発 生 する ため 当 初 の 診 療 や 検 査 だけでは 正 確 に 進 行 期 を 決 めるのが 難 しいという 側 面 があります また 子 宮 体 がんの 多 くは 手 術 が 第 1 選 択 であることから 手 術 後 に 得 られた 病 理 標 本 などでさらに 進 行 期 を 検 討 し 直 します この ときに 使 われるのが 手 術 進 行 期 分 類 です 手 術 進 行 期 分 類 は 臨 床 進 行 期 分 類 よりも 分 類 が 細 かく 5 年 生 存 率 ( 診 断 や 治 療 開 始 から5 年 経 過 したときに 生 存 している 患 者 さんの 割 合 )など 治 療 後 の 見 込 み( 予 後 ) もより 正 確 に 反 映 するとされており 手 術 を 受 けた 患 者 さんの 進 行 期 を 決 めるときには 原 則 として 手 術 進 行 期 分 類 が 使 われます な お 病 理 標 本 は 手 術 後 の 再 発 リ ス ク (p.11)の 評 価 にも 用 いられます 自 分 の 進 行 期 を 知 っておくことは 納 得 し て 治 療 法 を 選 ぶために 大 切 です なお いっ たん 決 められた 進 行 期 は 治 療 が 進 んで が んの 状 態 が 変 わっても 原 則 として 変 わりま せん 子 宮 内 膜 異 型 増 殖 症 子 宮 内 膜 が 異 常 に 増 え 厚 みを 増 す 子 宮 内 膜 増 殖 症 には 正 常 細 胞 が 増 えている 場 合 と 形 態 の 異 なる 異 型 細 胞 が 増 えている 場 合 ( 子 宮 内 膜 異 型 増 殖 症 )があります 子 宮 内 膜 異 型 増 殖 症 の 約 2 割 は 子 宮 体 がんに 移 行 するため 前 がん 状 態 として 経 過 をみていく 必 要 が あります 子 宮 体 がんとの 区 別 が 難 しく 手 術 後 に 子 宮 体 がんと 子 宮 内 膜 異 型 増 殖 症 が 同 時 に 存 在 していたことがわかったケースもあ ります 子 宮 内 膜 症 とは 異 なる 病 気 です 7

Q 4 子 宮 体 がんでは どのような 治 療 が 行 われますか A. 子 宮 体 がんの 治 療 では まず 手 術 が 行 われ 薬 物 療 法 ( 化 学 療 法 )や 放 射 線 療 法 は 手 術 ができない 場 合 や 手 術 後 の 選 択 肢 となります 手 術 前 に 推 定 の 診 断 で 手 術 方 法 が 決 まり 手 術 後 にあらためて 確 定 診 断 が 行 われます まず 手 術 が 行 われるのが 標 準 子 宮 体 がんの 治 療 は 日 本 婦 人 科 腫 瘍 学 会 によって 標 準 化 されており 子 宮 体 がん 治 療 ガイドライン として 発 表 されています( 学 会 ホームページで 誰 でもみられます 掲 載 され ている 内 容 が 最 新 の 情 報 かどうかは 担 当 医 に ご 確 認 ください http://jsgo.or.jp/guidelin e/taigan.html) それによると 子 宮 体 がんの 治 療 では 臨 床 進 行 期 分 類 による 進 行 期 (ステージ)に かかわらず まず 手 術 が 選 択 され 手 術 後 の がん 組 織 の 検 査 などから あらためて 手 術 進 行 期 分 類 による 正 確 な 診 断 が 行 われます (p.6~7) 高 齢 重 篤 な 糖 尿 病 や 心 臓 病 などの 持 病 が ある 重 度 の 肥 満 症 などの 理 由 で 手 術 のリス クが 大 きい 場 合 や すでにがんが 全 身 に 広 が っていて 手 術 をしても 効 果 が 見 込 めない 場 合 は 化 学 療 法 や 放 射 線 療 法 緩 和 ケアなど 手 術 とは 別 の 治 療 法 が 選 択 されますが それ 以 外 はまずは 手 術 をするのが 標 準 治 療 となり ます ただし どのような 手 術 が 行 われるかは 進 行 期 によって 異 なります(p.10) 手 術 の 結 果 から 再 度 進 行 期 を 判 定 手 術 後 手 術 進 行 期 分 類 によって 進 行 期 があらためて 診 断 され さらにがんの 広 が りやタイプ 腹 腔 細 胞 診 リンパ 節 転 移 の 有 無 なども 加 味 して 術 後 再 発 リスク 分 類 (p.11)で 分 類 したうえで その 後 の 治 療 が 決 まります 手 術 進 行 期 Ⅰa 期 低 リスク 群 では 追 加 の 治 療 をせずに 様 子 をみる 経 過 観 察 になり 手 術 進 行 期 Ⅰb 期 以 降 中 リスク 群 と 高 リスク 群 では 手 術 後 に 化 学 療 法 や 放 射 線 療 法 が 行 われるのが 標 準 的 です( 化 学 療 法 や 放 射 線 療 法 についてはp.12) なお 手 術 前 に 化 学 療 法 や 放 射 線 療 法 を 行 って がんを 小 さくしてから 手 術 をする 術 前 化 学 療 法 や 術 前 放 射 線 療 法 は 子 宮 体 がんではほとんど 行 われていません 科 学 的 に 効 果 があるのかどうかを 検 討 するに 足 る 症 例 数 もないのが 実 情 です Patient's Voice 1 悪 いところはすべて 取 り 除 いたよ と 担 当 医 に 言 われ ホッとしました ある 朝 トイレに 行 ったら 大 量 の 出 血 があり ました それまでも 不 正 出 血 は 何 度 かありました が 元 気 だったので 気 にしていなくて でも これは 普 通 ではないと 思 って すぐに 病 院 に 行 ったところ その 日 のうちに 子 宮 体 がんと 告 知 されました 進 行 した 状 態 で 急 ぎ 手 術 しました 迷 ったり 考 えたりする 時 間 はありませんでした 手 術 が 終 わって 担 当 医 から 悪 いところはす べて 取 り 除 いたよ と 聞 いたときは 本 当 にホッ としました 当 時 一 人 息 子 が 大 学 受 験 を 控 えていて 夫 が 家 事 をこなしてくれましたが とにかく 元 の 生 活 に 戻 らなくてはという 思 いが 強 かったですね 術 後 担 当 医 から とにかく 歩 きなさい! と 言 われて 7 本 ぐらい 管 をつけたまま 院 内 をず っと 歩 いていました 早 く 家 に 帰 りたいという 強 い 思 いがあったので 回 復 が 早 かったのだと 思 い ます (54 歳 診 断 から3 年 目 ) 8

図 表 7 子 宮 体 がんの 治 療 の 標 準 的 な 流 れ 診 察 や 検 査 などの 結 果 から 臨 床 進 行 期 分 類 によって 進 行 期 (ステージ)を 推 定 手 術 手 術 しない 臨 床 進 行 期 Ⅰ 期 単 純 子 宮 全 摘 出 術 ( 子 宮 全 体 を 摘 出 ) あるいは 準 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 ( 子 宮 を 支 える 靱 帯 組 織 腟 壁 やその 周 囲 も 一 部 摘 出 ) + 両 側 付 属 器 切 除 術 ( 両 側 の 卵 巣 卵 管 を 切 除 ) + 子 宮 筋 層 の 半 分 以 上 に がんが 浸 潤 していれば 骨 盤 リンパ 節 と 傍 大 動 脈 リンパ 節 を 切 除 臨 床 進 行 期 Ⅱ 期 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 ( 子 宮 を 支 える 靱 帯 組 織 腟 壁 やその 周 囲 も 摘 出 ) あるいは 準 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 + 両 側 付 属 器 切 除 術 + 骨 盤 リンパ 節 と 傍 大 動 脈 リンパ 節 を 切 除 臨 床 進 行 期 Ⅲ 期 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 あるいは 準 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 + 両 側 付 属 器 切 除 術 + 浸 潤 転 移 した 部 分 の 腫 瘍 減 量 術 臨 床 進 行 期 Ⅳ 期 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 あるいは 準 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 + 両 側 付 属 器 切 除 術 + 浸 潤 転 移 した 部 分 の 腫 瘍 減 量 術 高 齢 ほかの 病 気 がある 重 度 の 肥 満 などで 手 術 のリスクが 高 い 場 合 すでにがんが 全 身 に 広 がっている 場 合 *1 など 手 術 中 や 手 術 後 に がんの 広 がりや 悪 性 度 を 確 認 し 手 術 後 に 手 術 進 行 期 分 類 によって 進 行 期 を 決 定 (p.6~7) + 術 後 再 発 リスク の 評 価 (p.11) 化 学 療 法 放 射 線 療 法 緩 和 ケアなど*2 手 術 進 行 期 Ⅰa 期 低 リスク 群 経 過 観 察 手 術 進 行 期 Ⅰb~Ⅳ 期 中 リスク 群 術 後 化 学 療 法 *2 術 後 放 射 線 療 法 *2 手 術 進 行 期 Ⅰb~Ⅳ 期 高 リスク 群 術 後 化 学 療 法 *2 術 後 放 射 線 療 法 *2 再 発 進 行 した 場 合 には 手 術 化 学 療 法 放 射 線 療 法 緩 和 ケア *1 すでにがんが 全 身 に 広 がっている 場 合 でも 最 近 はできるだけ 手 術 でがんを 取 り 除 く 腫 瘍 減 量 術 が 行 われるよう になっているが 標 準 治 療 にはなっていない *2 いずれもまだ 標 準 治 療 にはなっていない 患 者 さんとご 家 族 のための 子 宮 頚 がん 子 宮 体 がん 卵 巣 がん 治 療 ガイドラインの 解 説 日 本 婦 人 科 腫 瘍 学 会 編 金 原 出 版 などを 参 考 に 作 成 Patient's Voice 2 術 後 のリンパ 浮 腫 が 心 配 で 担 当 医 とよく 相 談 5 年 前 初 期 の 子 宮 体 がんがみつかりました もともと 子 宮 筋 腫 があるうえ 13 年 前 には 乳 が んになりました 治 療 はホルモン 療 法 ではなく 子 宮 がんのリスクは 高 くなかったのですが 不 安 なので 定 期 的 に 検 診 を 受 けていました 子 宮 体 がんがわかったとき 私 はなにより 乳 が ん 治 療 で 経 験 したリンパ 浮 腫 が 心 配 になり 担 当 医 と 治 療 法 をよく 話 し 合 いました 私 のステージ では リンパ 節 の 切 除 は 必 要 ないということで 治 療 にのぞみ 3 週 間 で 職 場 復 帰 しました 振 り 返 ってみると がん 告 知 を2 度 受 けた のはつらかったけれど 病 気 や 自 分 の 体 について よく 知 ることができたし それが 大 切 だったと 実 感 しています そして 今 は 担 当 医 が 最 大 のパ ートナー だと 思 って 自 分 の 病 気 をみつめてい ます (46 歳 診 断 から5 年 目 ) 9

Q 5 どんな 手 術 が 行 われ 体 にはどのような 変 化 が 現 れますか A. 早 期 の 子 宮 体 がんでは 子 宮 全 体 と 卵 巣 卵 管 を 切 除 し さらに 子 宮 を 支 える 靱 帯 や 腟 およびその 周 囲 も 取 ることがあります 進 行 している 場 合 には 病 状 に 応 じて 切 除 する 範 囲 を 決 めます 臨 床 進 行 期 によって 手 術 の 範 囲 が 変 わる 子 宮 体 がんの 手 術 で 切 除 する 範 囲 は 臨 床 進 行 期 分 類 に 基 づいて 診 断 された 臨 床 進 行 期 によって 異 なります 臨 床 進 行 期 Ⅰ 期 がんが 子 宮 体 部 のみにとどまっていると 推 測 される 臨 床 進 行 期 Ⅰ 期 では 子 宮 全 体 を 摘 出 する 単 純 子 宮 全 摘 出 術 と 両 側 の 卵 巣 卵 管 を 切 除 する 両 側 付 属 器 切 除 術 を 同 時 に 行 うのが 標 準 です( 図 表 81) 子 宮 体 が んは 卵 巣 に 転 移 しやすく また 卵 巣 がんを 併 発 することも 多 いために 閉 経 後 の 患 者 さん では 卵 巣 や 卵 管 を 切 除 します 妊 娠 を 希 望 す る 患 者 さんの 場 合 Ⅰa 期 のうち 子 宮 内 膜 に 限 局 する 高 分 化 型 の 類 内 膜 腺 がんであれば 卵 巣 と 卵 管 を 残 して 黄 体 ホルモン 療 法 を 行 える 可 能 性 があります(p.13) 子 宮 を 支 える 靱 帯 組 織 を 骨 盤 との 境 目 で 切 断 し 腟 壁 や 腟 の 周 囲 の 結 合 組 織 も 摘 出 す る 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 ( 図 表 83)が 行 わ れることはまずありませんが 単 純 子 宮 全 摘 出 術 と 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 の 中 間 にあ たる 準 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 ( 図 表 82)が 行 われることもあります 高 分 化 型 の 類 内 膜 がんと 推 測 され 手 術 中 に 肉 眼 でみたときに 子 宮 筋 層 に 浸 潤 していな ければ 再 発 の 可 能 性 が 低 いので リンパ 節 は 切 除 しません しかし 手 術 中 あるいは 手 術 後 に 悪 性 度 の 高 いタイプ( 漿 液 性 腺 がん 明 細 胞 腺 がんなど または 低 分 化 型 がん)と 診 断 された 場 合 には 骨 盤 リンパ 節 ( 図 表 9) を 切 除 することがほとんどです さらに 筋 層 浸 潤 の 深 さにかかわらず 傍 大 動 脈 リンパ 節 ( 図 表 9)は 切 除 します ま 図 表 8 子 宮 体 がんの 手 術 の 方 法 1 単 純 子 宮 全 摘 出 術 + 両 側 付 属 器 切 除 術 2 準 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 + 両 側 付 属 器 切 除 術 3 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 + 両 側 付 属 器 切 除 術 卵 管 卵 巣 子 宮 腔 腟 骨 盤 基 靱 帯 切 除 範 囲 患 者 さんとご 家 族 のための 子 宮 頸 がん 子 宮 体 がん 卵 巣 がん 治 療 ガイドラインの 解 説 日 本 婦 人 科 腫 瘍 学 会 編 金 原 出 版 を 参 考 に 作 成 10

た 類 内 膜 腺 がんの 高 分 化 型 あるいは 中 分 化 型 で 手 術 中 に 肉 眼 でみたときに 子 宮 筋 層 へ の 浸 潤 が 筋 層 の2 分 の1 以 上 のときには 切 除 するのが 標 準 とされています 臨 床 進 行 期 Ⅱ 期 がんが 子 宮 頸 部 や 子 宮 筋 層 にまで 進 んでい ると 推 測 される 臨 床 進 行 期 Ⅱ 期 では Ⅰ 期 に 比 べ 誰 もが 認 める 科 学 的 根 拠 のある 手 術 方 法 が 決 まっていません 医 療 機 関 によって 単 純 子 宮 全 摘 出 術 準 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 のいずれかを 選 択 する ことになり 骨 盤 リンパ 節 切 除 の 有 無 も 異 な ります 臨 床 進 行 期 Ⅱ 期 では 手 術 後 に 確 定 診 断 される 手 術 進 行 期 とのぶれも 大 きいことが 知 られています 臨 床 進 行 期 Ⅲ 期 臨 床 進 行 期 Ⅳ 期 がんが 子 宮 外 にも 広 がっている 臨 床 進 行 期 Ⅲ 期 さらにほかの 臓 器 への 浸 潤 転 移 があ る 臨 床 進 行 期 Ⅳ 期 では 子 宮 や 卵 巣 卵 管 と 骨 盤 リンパ 節 だけでなく がんができている 部 位 や 広 がりによって 膀 胱 や 大 腸 などの 臓 器 や 結 合 組 織 なども 切 除 します 個 人 差 が 大 きいため それぞれの 患 者 さんに 応 じて 手 術 する 範 囲 が 決 められます 手 術 後 に 更 年 期 様 症 状 が 現 れることも 子 宮 体 がんの 手 術 後 には 卵 巣 の 切 除 によ って 女 性 ホルモンの 分 泌 がなくなり ほてり 発 汗 頭 痛 動 悸 だるさ イライラ 骨 粗 鬆 症 脂 質 異 常 症 腟 からの 分 泌 物 の 減 少 に よるかゆみや 性 交 痛 といった 更 年 期 のよう な 症 状 ( 卵 巣 欠 落 症 状 )が 現 れることがあり ます リンパ 節 を 切 除 した 場 合 には 脚 や 足 のむくみ(リンパ 浮 腫 )に 注 意 しなければな りません また 広 汎 子 宮 全 摘 出 術 を 行 った 後 の 合 併 症 として 排 尿 障 害 排 便 障 害 など が 現 れる 場 合 もあります このような 症 状 に 気 づいたら 早 めに 担 当 医 や 看 護 師 に 伝 えて 薬 物 治 療 などを 行 います なお 手 術 直 後 は 静 脈 血 栓 塞 栓 症 のリスク が 高 くなります 弾 性 ストッキングの 着 用 脚 を 空 気 圧 で 圧 迫 する 軽 い 運 動 をするなど の 対 策 を 手 術 前 に 担 当 医 や 看 護 師 と 相 談 して おきたいものです 図 表 9 子 宮 体 がんの 治 療 に 関 係 するリンパ 節 1 傍 大 動 脈 リンパ 節 ( 腹 部 大 動 脈 リンパ 節 大 動 脈 周 囲 リンパ 節 ともいう) 骨 盤 リンパ 節 (2 総 腸 骨 リンパ 節 3 外 腸 骨 リンパ 節 4 鼠 径 上 リンパ 節 5 内 腸 骨 リンパ 節 6 閉 鎖 リンパ 節 7 仙 骨 リンパ 節 8 基 靱 帯 リンパ 節 ) 9 鼠 径 リンパ 節 *リンパ 節 は 実 際 にはほぼ 左 右 対 称 になっている 患 者 さんとご 家 族 のための 子 宮 頸 がん 子 宮 体 がん 卵 巣 がん 治 療 ガイドラインの 解 説 日 本 婦 人 科 腫 瘍 学 会 編 金 原 出 版 を 参 考 に 作 成 図 表 10 低 リ ス ク 群 中 リ ス ク 群 高 リ ス ク 群 4 3 9 6 5 8 7 子 宮 体 がんの 術 後 再 発 リスク 分 類 尿 管 閉 鎖 神 経 類 内 膜 腺 がん(グレード1あるいは2)で 筋 層 浸 潤 が 2 分 の1 未 満 子 宮 頸 部 間 質 への 浸 潤 なし 脈 管 侵 襲 なし 遠 隔 転 移 なし 類 内 膜 腺 がん(グレード1あるいは2)で 筋 層 浸 潤 が 2 分 の1 以 上 類 内 膜 腺 がん(グレード3)で 筋 層 浸 潤 が2 分 の1 未 満 漿 液 性 腺 がん 明 細 胞 腺 がんで 筋 層 浸 潤 なし 子 宮 頸 部 間 質 への 浸 潤 なし 脈 管 侵 襲 あり 遠 隔 転 移 なし 類 内 膜 腺 がん(グレード3)で 筋 層 浸 潤 が2 分 の1 以 上 漿 液 性 腺 がん 明 細 胞 腺 がんで 筋 層 浸 潤 あり 子 宮 付 属 器 漿 膜 基 靱 帯 への 進 展 あり 子 宮 頸 部 間 質 への 浸 潤 あり 腟 壁 への 浸 潤 あり 骨 盤 あるいは 傍 大 動 脈 リンパ 節 への 転 移 あり 膀 胱 直 腸 への 浸 潤 あり 腹 腔 内 播 種 あり 遠 隔 転 移 あり 腹 腔 細 胞 診 陽 性 例 について 予 後 不 良 因 子 との 意 見 もあります 子 宮 体 がん 治 療 ガイドライン2013 年 版 日 本 婦 人 科 腫 瘍 学 会 編 金 原 出 版 などを 参 考 に 作 成 1 2 11

Q 6 手 術 以 外 に どのような 治 療 が 行 われますか A. 子 宮 体 がんでは 薬 物 療 法 ( 化 学 療 法 )や 放 射 線 療 法 は 手 術 後 の 補 助 療 法 として 行 われています 抗 がん 剤 の 選 択 や 放 射 線 照 射 の 方 法 など よりよい 治 療 法 の 研 究 が 続 いています 再 発 リスクの 高 い 患 者 さんのための 治 療 これまで 述 べてきたように 子 宮 体 がんの 治 療 の 第 1 選 択 は 臨 床 進 行 期 にかかわらず 手 術 です 高 齢 や 持 病 などのために 手 術 を 受 けられない 患 者 さんや 手 術 後 に 術 後 再 発 リスク 分 類 で 中 リスク 群 高 リスク 群 に 入 ると 診 断 された 患 者 さんは 薬 物 療 法 ( 化 学 療 法 ) 放 射 線 療 法 が 単 独 あるいは 組 み 合 わ せて 行 われます(p.9 図 表 7) 妊 娠 出 産 を 希 望 する 患 者 さんには 黄 体 ホルモン 療 法 とい う 選 択 肢 もあります(p.13) Patient's Voice 子 どもがほしくて 手 術 は なかなか 決 断 できませんでした 結 婚 前 28 歳 のときに 病 気 がわかりました 私 はすごく 子 どもがほしくて すぐに 黄 体 ホル モン 療 法 を 始 めました 通 常 は6か 月 で 効 果 を 判 断 するのですが 私 は2 年 半 続 けました 治 療 中 に 結 婚 をし 相 手 も 協 力 的 でした で も 子 宮 を 摘 出 するしかない 状 態 になり 担 当 医 から 山 で 迷 ったら 元 に 戻 るのが 普 通 で 今 そういうところにいます と 言 われまし た それがまっとうな 考 え 方 だとはわかるので すが 自 分 の 価 値 観 はまた 違 っていて なか なか 納 得 できず ずいぶん 迷 いました 担 当 医 にはうるさいぐらい いろいろ 質 問 しました でも 今 考 えると 自 分 の 価 値 観 を 伝 えてア ドバイスを 受 けることまではできていなかった なと 思 います そうすれば 担 当 医 がより 強 い 味 方 になってくださったのではないかと 思 う のですけれども 結 局 進 行 するリスクを 負 う ことはできないと 自 分 で 決 めました 夫 にも よ く 決 めたね 間 違 っていないよ って 言 っても らえました 今 は 病 気 前 とほとんど 変 わらな い 生 活 です (37 歳 診 断 から10 年 目 ) 3 化 学 療 法 ( 抗 がん 剤 ) 化 学 療 法 は 単 独 では 子 宮 体 がんの 治 療 法 にはならず 術 後 再 発 リスク 分 類 で 中 リ スク 群 高 リスク 群 と 診 断 された 患 者 さんの 術 後 補 助 療 法 として あるいは 再 発 した 患 者 さんの 治 療 として 行 われます これまで 手 術 に 続 く 治 療 の 選 択 肢 としては 主 に 放 射 線 療 法 が 行 われてきましたが 近 年 は 化 学 療 法 が 中 心 になりつつあります 現 在 世 界 で 標 準 的 に 用 いられているのが アドリアマイシンとシスプラチンを 組 み 合 わ せるAP 療 法 です また パクリタキセルや ドセタキセルがそれぞれ 単 独 で 用 いられたり パクリタキセルとカルボプラチンのTC 療 法 パクリタキセルとシスプラチンのTP 療 法 パクリタキセルとアドリアマイシンとシスプ ラチンのTAP 療 法 が 行 われたりしています 日 本 では 特 定 非 営 利 活 動 法 人 婦 人 科 悪 性 腫 瘍 研 究 機 構 (JGOG)がAP 療 法 とTC 療 法 DP 療 法 (ドセタキセルとシスプラチン)を 比 較 する 臨 床 試 験 を 行 っており その 結 果 が 出 るのを 世 界 が 注 目 しています 抗 がん 剤 の 副 作 用 には 使 用 後 短 時 間 で 現 れる 過 敏 性 反 応 ( 皮 膚 の 赤 みやかゆみ じ んましん 腹 痛 息 苦 しさ 咳 胸 痛 背 部 痛 腰 痛 動 悸 不 整 脈 血 圧 の 変 化 意 識 低 下 など) 使 用 直 後 から1 週 間 くらいの 間 に 現 れる 吐 き 気 嘔 吐 1 週 間 から 数 週 間 で 現 れる 骨 髄 抑 制 ( 白 血 球 赤 血 球 血 小 板 減 少 ) 発 熱 腎 機 能 や 肝 機 能 の 低 下 脱 毛 な どがあります いずれもあらかじめ 知 識 を 持 ち 予 防 薬 を 用 意 しておくことで つらさを 抑 えたり 和 ら げたりできるので 医 師 や 看 護 師 薬 剤 師 と よく 話 し 合 っておきましょう(p.14) 12

放 射 線 療 法 放 射 線 照 射 の 方 法 としては 骨 盤 全 体 ある いは 傍 大 動 脈 まで 外 部 の 照 射 と 腟 に 器 具 を 入 れて 行 う 腔 内 照 射 があります 日 本 放 射 線 科 専 門 医 会 医 会 日 本 放 射 線 腫 瘍 学 会 日 本 医 学 放 射 線 学 会 が 作 成 した 放 射 線 治 療 計 画 ガイドライン 2012 によると 早 期 がん では 腔 内 照 射 が 子 宮 外 に 進 行 している 場 合 では 外 部 照 射 が 主 体 となります 腔 内 照 射 も 外 部 照 射 も 術 後 放 射 線 療 法 として 行 ったとき に 骨 盤 内 再 発 率 が 低 くなりますが 生 存 期 間 を 延 長 するかどうかははっきりしていません 術 後 再 発 リスク 分 類 で 中 リスク 群 高 リスク 群 となり 放 射 線 療 法 を 行 う 場 合 は 手 術 後 1~2か 月 ほどの 通 院 で 治 療 を 始 める のが 一 般 的 です 放 射 線 療 法 の 主 な 副 作 用 としては 疲 労 感 だるさ 皮 膚 のかゆみや 赤 み 下 痢 などが 挙 げられます 照 射 から 数 年 から 数 十 年 後 に 胃 腸 障 害 や 排 尿 障 害 腟 の 狭 窄 などの 晩 期 の 副 作 用 が 出 る 場 合 もあります 黄 体 ホルモン 療 法 子 宮 体 がんには 女 性 ホルモンのエストロゲ ンが 関 係 するため エストロゲンの 働 きを 抑 える 黄 体 ホルモン(プロゲステロン)を 飲 む ことで がんの 再 発 や 進 行 を 抑 える 治 療 を 行 うことがあります 対 象 となるのは がんが 子 宮 外 に 広 がって いない 高 分 化 型 のがんで かつ 手 術 で 取 ったがんの 組 織 を 調 べて 黄 体 ホルモン 受 容 体 が 陽 性 という 場 合 です 高 用 量 (1 回 に 飲 む 量 が200~600mg)のMPA(メドロ Patient's Voice キシプロゲステロン 酢 酸 エステル)を 飲 み 続 けるのが 一 般 的 です 黄 体 ホルモン 療 法 を 行 うと 血 栓 症 が 起 こり やすくなるので 脳 梗 塞 や 心 筋 梗 塞 肺 塞 栓 症 の 経 験 がある 場 合 や 肥 満 症 ほかのホル モン 剤 を 飲 んでいる 場 合 には 行 えません 妊 娠 を 望 む 患 者 さんに 試 み られる 黄 体 ホルモン 療 法 妊 娠 を 強 く 希 望 する 患 者 さんのために 最 初 は 手 術 をしないで 黄 体 ホルモンを 服 用 してがんを 小 さくし 子 宮 や 卵 巣 を 残 す 治 療 法 が 試 みられています( 標 準 的 な 治 療 ではありません) 対 象 となるのは 臨 床 進 行 期 Ⅰa 期 の 高 分 化 型 の 類 内 膜 腺 が んで 40 歳 以 下 全 身 の 健 康 状 態 がよ い 人 です 子 宮 や 卵 巣 を 残 すかどうかは 問 診 や 触 診 ていねいな 説 明 の 後 に ま ず 子 宮 内 膜 を 採 取 して 顕 微 鏡 で 調 べる 病 理 学 的 な 検 査 MRIやCTのような 画 像 検 査 などで 子 宮 体 がんの 状 態 や 全 身 の 健 康 度 を 詳 しく 調 べてから 決 めることになり ます この 場 合 の 黄 体 ホルモン 療 法 は 手 術 を 行 わないために 薬 剤 を 服 用 する 期 間 (4~6か 月 )に 数 回 子 宮 内 膜 をかき 取 る 病 理 学 的 検 査 を 受 け 子 宮 体 がんの 様 子 を 観 察 します 治 療 終 了 後 も 数 年 間 3か 月 に 一 度 くらいのペースで 経 腟 超 音 波 検 査 子 宮 内 膜 の 病 理 学 的 検 査 などを 続 けていく 必 要 があります 黄 体 ホルモ ン 剤 の 副 作 用 である 血 栓 症 や 肝 臓 障 害 な どを 調 べるための 血 液 検 査 も 行 われます 4 治 療 する 薬 があるのはありがたいことよ の 言 葉 に 考 えが 一 変 17 年 前 に 乳 がんを 患 い 最 初 の 治 療 を 受 け てから8 年 後 に 突 然 腫 瘍 マーカーの 数 値 が 上 がり ホルモン 療 法 を 始 めることになりました 以 後 子 宮 がんの 検 診 も 受 けるようになり 3 年 前 には 子 宮 体 がんがみつかりました 手 術 をして 化 学 療 法 を 受 けることに 何 もわからないまま 初 回 の 抗 がん 剤 治 療 を 受 けましたが 吐 き 気 や 胸 やけがつ らく 2クール 目 以 降 止 めたくなりました でも 同 じ 病 室 の 患 者 さんに 治 療 する 薬 があ るのはありがたいことよ と 言 われた 言 葉 で 抗 が ん 剤 に 対 する 考 えが 一 変 生 きるために 受 ける んだ! と6クールを 乗 り 越 えました 入 院 中 に 知 り 合 った 患 者 さんは 同 志 のような 存 在 です 病 室 はときどき 女 子 校 のようになります 仲 間 がいたから 乗 り 越 えられたこともたくさんあ りました (52 歳 診 断 から3 年 目 ) 13

Q 8 薬 物 療 法 ではどのような 副 作 用 がいつごろ 現 れますか A. 薬 の 種 類 によって さまざまな 副 作 用 が 出 ます 自 分 でわかる 症 状 と 検 査 をしないとわからない 副 作 用 があり 個 人 差 が 大 きいことも 知 っておきましょう 子 宮 体 がんの 薬 物 療 法 には 化 学 療 法 ( 抗 がん 剤 )と 黄 体 ホルモン 療 法 があります 乳 がんなどの 一 部 のがんでは がんに 特 有 のタ ンパク 質 を 阻 害 する 分 子 標 的 薬 が 開 発 されて いますが 子 宮 体 がんでは 現 在 治 療 に 使 われている 分 子 標 的 薬 はありません ここで は 抗 がん 剤 の 副 作 用 について 述 べます ( 黄 体 ホルモン 療 法 については p.13を 参 照 ) 抗 がん 剤 は 同 じような 化 合 物 でも 薬 の 種 類 によって 副 作 用 は 異 なり 個 人 差 も 大 きい ことが 知 られています また 図 表 11のよ うに 自 覚 できる 副 作 用 と 検 査 しなければわ からない 副 作 用 があり 抗 がん 剤 を 使 ってす ぐに 現 れる 副 作 用 と 数 か 月 以 上 経 って 現 れる ものがあります 自 覚 できる 代 表 的 な 副 作 用 である 吐 き 気 や 嘔 吐 は 制 吐 剤 ( 吐 き 気 止 め)の 開 発 が 進 み 使 い 方 のガイドラインも 整 備 されています 気 にすると 起 こりやすい 面 もあるので あら かじめ 制 吐 剤 を 使 うといいでしょう また 抗 がん 剤 を 使 い 始 めて 数 か 月 後 に 手 足 がピリピリしたり 痛 んだり 腫 れたり 水 疱 が 出 たりした 場 合 は 末 梢 神 経 症 状 の 可 能 性 があります そのままにしておくと 悪 化 するので 診 察 を 受 けましょう 検 査 をしないとわからない 副 作 用 としては 骨 髄 抑 制 が 重 要 です 白 血 球 好 中 球 血 小 板 ヘモグロビンなどが 減 少 し 感 染 や 出 血 貧 血 などが 起 こりやすくなります 抗 がん 剤 を 使 い 始 めて1~2 週 間 後 から 出 現 します 体 調 の 急 変 に 備 えて 対 処 法 や 緊 急 連 絡 先 をあらかじめ 確 認 しておきましょう なお 副 作 用 が 重 い 場 合 は 治 療 を 中 断 した り 薬 の 量 を 減 らしたりして 対 応 します 図 表 11 どんな 副 作 用 がいつごろ 現 れるのか 知 っておきましょう 自 分 で わ か る 副 作 用 急 性 の 吐 き 気 嘔 吐 アレルギー 反 応 ( 血 圧 低 下 呼 吸 困 難 ) 便 秘 下 痢 遅 延 性 の 吐 き 気 嘔 吐 食 欲 低 下 全 身 倦 怠 感 便 秘 下 痢 皮 膚 障 害 口 内 炎 下 痢 全 身 倦 怠 感 手 足 のしびれ 感 味 覚 障 害 脱 毛 頻 度 高 投 与 日 8 日 目 15 日 目 22 日 目 29 日 目 数 か 月 検 査 で わ か る 副 作 用 骨 髄 抑 制 肝 機 能 障 害 腎 機 能 障 害 心 機 能 障 害 貧 血 間 質 性 肺 炎 副 作 用 の 発 現 頻 度 や 程 度 現 れる 時 期 は 治 療 薬 の 種 類 や 個 人 によって 差 があります この 図 表 はあくまでも 目 安 です 白 血 球 血 小 板 赤 血 球 好 中 球 減 少 は 骨 髄 抑 制 に 統 一 しています 高 頻 度 14

図 表 12 子 宮 体 がんの 治 療 に 使 う 抗 がん 剤 と 主 な 副 作 用 発 症 頻 度 が 比 較 的 高 い 副 作 用 を 中 心 に 患 者 さんやご 家 族 が 知 っておきたい 症 状 を 掲 載 しています 薬 剤 名 シスプラチン カルボプラチン アドリアマイシン (ドキソルビシン) エピルビシン パクリタキセル ドセタキセル フルオロウラシル (5-FU) 主 な 副 作 用 吐 き 気 嘔 吐 食 欲 不 振 脱 毛 聴 力 低 下 難 聴 耳 鳴 り 心 筋 梗 塞 肝 障 害 肝 機 能 異 常 末 梢 神 経 症 状 ( 手 足 などのしびれ 痛 み 感 覚 減 退 ) 急 性 腎 不 全 骨 髄 抑 制 ショック アナフィラキシー 吐 き 気 嘔 吐 食 欲 不 振 じんましん 脱 毛 倦 怠 感 悪 寒 体 重 減 少 呼 吸 困 難 口 内 炎 末 梢 神 経 症 状 骨 髄 抑 制 間 質 性 肺 炎 急 性 腎 不 全 ショック アナフィラキシー 食 欲 不 振 吐 き 気 嘔 吐 口 内 炎 脱 毛 発 熱 頭 痛 肝 障 害 倦 怠 感 頻 脈 不 整 脈 胸 痛 腎 障 害 発 疹 肝 障 害 食 欲 不 振 吐 き 気 嘔 吐 脱 毛 倦 怠 感 発 熱 心 筋 障 害 過 敏 症 腎 障 害 心 筋 障 害 骨 髄 抑 制 末 梢 神 経 症 状 吐 き 気 嘔 吐 脱 毛 筋 肉 痛 関 節 痛 ショック アナフィラキシー 麻 痺 間 質 性 肺 炎 肺 塞 栓 血 栓 性 静 脈 炎 難 聴 耳 鳴 り 潰 瘍 腸 の 障 害 肝 障 害 急 性 腎 不 全 発 疹 低 血 圧 下 痢 食 欲 不 振 腹 痛 頭 痛 発 熱 食 欲 不 振 脱 毛 倦 怠 感 ショック アナフィラキシー 間 質 性 肺 炎 胃 腸 からの 出 血 大 腸 炎 浮 腫 感 染 症 吐 き 気 嘔 吐 下 痢 口 内 炎 しびれ 肝 機 能 障 害 発 熱 食 欲 不 振 下 痢 口 内 炎 吐 き 気 嘔 吐 倦 怠 感 脱 毛 色 素 沈 着 浮 腫 過 敏 症 状 脱 水 症 状 骨 髄 抑 制 今 日 の 治 療 薬 (2014 年 版 ) 南 江 堂 などを 参 考 に 作 成 図 表 13 子 宮 体 がんの 薬 物 療 法 で 現 れる 主 な 副 作 用 と 対 処 法 症 状 副 作 用 対 処 法 吐 き 気 嘔 吐 食 欲 不 振 下 痢 倦 怠 感 末 梢 神 経 症 状 手 足 症 候 群 脱 毛 骨 髄 抑 制 間 質 性 肺 炎 口 内 炎 あらかじめ 制 吐 剤 ( 吐 き 気 止 め)を 服 用 し 治 療 当 日 は 乳 製 品 や 脂 っこいものを 避 ける 吐 き 気 を 感 じたら 冷 たい 水 など でうがいするとよい 食 欲 が 少 しあれば 少 量 ずつ 何 回 かに 分 けて 食 べる 食 べられないときにも 水 分 をとる ただし 冷 たい 飲 み 物 は 避 ける 香 りの 強 い 食 べ 物 や 環 境 は 避 ける おなかの 周 囲 がきつくない 服 装 をする 整 腸 剤 を 服 用 する 水 のような 下 痢 が 続 くときには 下 痢 止 めを 使 う 温 かい 飲 み 物 をこまめに 飲 み アルコールやカフェイン 香 辛 料 繊 維 の 多 い 食 品 を 避 けるようにする 肛 門 部 を 清 潔 に 保 つ ただし 洗 いすぎに 注 意 する 疲 れを 感 じたら 休 息 を 取 る 車 の 運 転 は 避 ける 軽 い 運 動 や 家 事 によって 倦 怠 感 が 緩 和 されることもある 手 足 や 唇 のピリピリした 感 じ しびれがあれば 担 当 医 に 冷 たい 物 を 触 らず 温 かい 飲 み 物 食 べ 物 をとる スリッパ 靴 下 手 袋 で 手 足 を 温 める ビタミン 剤 や 漢 方 薬 が 効 く 場 合 もある けがややけどをしても 気 づきにくいので 気 をつける 皮 膚 を 清 潔 に 保 ち クリームなどで 保 湿 する 手 袋 や 軍 手 厚 手 の 靴 下 で 手 足 を 保 護 する きつい 靴 や 硬 い 靴 密 着 する 下 着 や 洋 服 長 い 時 間 の 歩 行 立 位 ジョギングやエアロビクスのような 足 への 衝 撃 ねじ 回 し 包 丁 ナイフ シャベルで の 作 業 紫 外 線 熱 いお 風 呂 やシャワーを 避 ける 治 療 前 に 髪 を 短 く 切 っておく 治 療 が 始 まったら 帽 子 やシャワーキャップ ナイトキャップで 髪 の 毛 の 散 らばりを 防 ぐ 必 要 であれば バンダナやかつらを 使 う 洗 髪 時 に 頭 皮 を 傷 つけないように 爪 を 切 る 血 液 検 査 でわかる 感 染 しやすくなるため こまめなうがい( 冷 たい 水 は 避 ける) 手 洗 い シャワーや 入 浴 起 床 時 食 後 就 寝 前 の 歯 磨 きで 予 防 する 人 混 みを 避 け 外 出 時 はマスクを 着 用 する けがややけどに 注 意 する 発 熱 や 悪 寒 排 尿 痛 があれば 診 察 を 受 ける 鼻 血 や 歯 肉 からの 出 血 があれば 診 察 を 受 ける 発 熱 や 息 苦 しさ 空 咳 が 続 く 場 合 には 受 診 する 原 因 となった 薬 の 使 用 を 中 止 し ステロイド 薬 などで 治 療 する 治 療 前 に 歯 科 で 口 腔 ケアを 受 けておくと 悪 化 しにくい 歯 磨 きやうがいで 口 の 中 を 清 潔 にし 保 湿 を 心 がける 香 辛 料 の 強 い 食 べ 物 や 熱 いもの 硬 いものを 避 ける 国 立 がん 研 究 センターがん 対 策 情 報 センターがん 情 報 サービス 化 学 療 法 全 般 について などを 参 考 に 作 成 こんな 症 状 が 出 たときには すぐ 病 院 へ 連 絡 を! 下 記 のような 症 状 が 出 たときには 命 に 関 わる 危 険 性 があります 治 療 を 受 けている 医 療 機 関 へ 連 絡 しましょう 38 度 以 上 の 発 熱 悪 寒 呼 吸 困 難 動 悸 や 息 苦 しさ 空 咳 が 続 く 嘔 吐 下 痢 がひどく 水 分 もとれない 夜 間 休 日 の 緊 急 時 の 連 絡 先 と 連 絡 方 法 を 担 当 医 看 護 師 薬 剤 師 に 確 認 しておき 電 話 の 横 などすぐわかる 場 所 に 電 話 番 号 などをメモして 貼 っておくと 安 心 です 15

Q 8 再 発 転 移 とは どのような 状 態 になることですか A.なくなったようにみえたがんが 再 び 肉 眼 でみえる 大 きさになるのが 再 発 血 液 やリンパ 液 とともにがん 細 胞 が 流 れて 離 れた 部 位 で 増 えていくのが 転 移 です いずれも 定 期 的 な 診 察 で 早 期 発 見 したいものです 少 なくとも5 年 は 定 期 的 に 診 察 を 受 ける 手 術 や 放 射 線 療 法 の 後 には 画 像 検 査 や 腫 瘍 マーカーなどでがんがなくなったり 小 さくな ったりしているかどうかを 調 べます ただ 肉 眼 や 数 値 でがんがなくなったようにみえて も 手 術 で 切 除 した 子 宮 や 卵 巣 卵 管 の 近 く の 臓 器 や 腹 腔 に 再 発 したり 離 れた 臓 器 に 遠 隔 転 移 したりする 可 能 性 があります 再 発 は 2 年 以 内 に 起 こることが 多 いのですが 5 年 以 上 経 ってから 再 発 した 例 もあるため 経 過 観 察 の 期 間 を 担 当 医 と 相 談 し 少 なくとも5 年 は 定 期 的 な 診 察 を 受 けましょう 3 年 目 ま では1~3か 月 ごと 4~5 年 目 までは 半 年 に 1 回 6 年 目 以 降 は1 年 に1 回 が 目 安 です こ のような 経 過 観 察 中 には 問 診 や 内 診 直 腸 診 腟 の 細 胞 診 画 像 検 査 血 液 検 査 などが 行 われます( 図 表 14) これらは 子 宮 体 がんの 診 断 時 とほぼ 共 通 する 検 査 になります(p.5) 再 発 転 移 がみつかった 場 合 治 療 は 子 宮 体 がんを 完 全 に 治 すというよりも がんとつきあ いながら 生 活 の 質 を 保 つことが 重 視 されるよ うになります 手 術 でがんを 取 り 除 き がんに よる 症 状 を 和 らげる 腫 瘍 減 量 術 のほか 化 学 療 法 や 放 射 線 療 法 が 行 われ 積 極 的 な 治 療 に よる 効 果 が 望 めない 場 合 でも 痛 みやつらさを Patient's Voice 性 生 活 について 話 し 合 うことは 難 しい 49 歳 のときに 子 宮 体 がんで 子 宮 と 卵 巣 を 切 除 しました 私 は 更 年 期 でもあり 喪 失 感 はなかったのですが 多 くの 患 者 さんが 月 経 や 出 産 など 女 性 の 機 能 が 失 われたことに 対 する 差 別 的 な 言 動 に 傷 ついていました また 性 生 活 の 不 安 について 話 すのはとても 難 しい 私 も 夫 と 話 し 合 いの 末 夫 にあきらめてもらったことが 今 でも 心 のしこりとなっています (60 歳 診 断 から11 年 目 ) 5 コントロールする 緩 和 ケアなどが 行 われます 臨 床 試 験 に 参 加 できる 場 合 もあるので 担 当 医 に 臨 床 試 験 の 有 無 や 参 加 できるかどうか を 聞 いてみましょう 図 表 14 診 察 病 理 学 的 検 査 血 液 検 査 画 像 検 査 子 宮 体 がんの 再 発 転 移 を 早 期 に 発 見 するための 検 査 血 算 生 化 学 腫 瘍 マーカー 問 診 内 診 直 腸 診 表 在 リン パ 節 の 触 診 腟 細 胞 診 子 宮 が 残 っていると きには 子 宮 内 膜 細 胞 診 白 血 球 数 赤 血 球 数 血 小 板 数 ヘモグロビン 量 CRP 尿 素 窒 素 クレアチニン AST ALT LDHなど CEA CA125 CA19-9など 胸 部 X 線 経 腟 超 音 波 CT MRI PET-CT ガリウムシンチグラフ ィー 骨 シンチグラフィー 患 者 さんとご 家 族 のための 子 宮 頸 がん 子 宮 体 がん 卵 巣 がん 治 療 ガイドラインの 解 説 日 本 婦 人 科 腫 瘍 学 会 編 金 原 出 版 を 参 考 に 作 成 臨 床 試 験 とは? 新 薬 や 治 療 法 を 開 発 する 過 程 において 人 間 ( 患 者 )を 対 象 に 有 効 性 と 安 全 性 を 科 学 的 に 調 べるのが 臨 床 試 験 です 臨 床 試 験 には 第 1 相 : 安 全 性 の 確 認 第 2 相 : 有 効 性 安 全 性 の 確 認 第 3 相 : 標 準 治 療 との 比 較 による 有 効 性 安 全 性 の 総 合 評 価 の3 段 階 があります 現 在 標 準 治 療 として 確 立 されている 薬 剤 や 治 療 法 もかつて 臨 床 試 験 が 行 われ 有 効 性 や 安 全 性 が 認 められたものです 臨 床 試 験 への 参 加 は 未 来 の 患 者 さんに 貢 献 するこ とにもつながっています 16

体 の 痛 みや 心 のつらさを 我 慢 しないで! 苦 痛 を 和 らげてくれる 専 門 家 がいます 体 の 痛 みに 対 するケア がんの 痛 みには 治 療 に 伴 う 急 性 痛 とがんの 進 行 に 伴 って 現 れる 慢 性 痛 があ ります これらの 痛 みに 対 して WHO( 世 界 保 健 機 関 )は 1986 年 に が ん 疼 痛 治 療 指 針 を 発 表 し 痛 みの 段 階 に 応 じた 治 療 を 示 しています がんの 痛 みの 治 療 を 専 門 とする 医 師 看 護 師 薬 剤 師 も 増 えていますので いつでも 必 要 なときに 遠 慮 せずに 相 談 したいものです まずは 担 当 医 や 病 棟 看 護 師 に 痛 みの 強 さや 性 質 をできるだけ 具 体 的 に 伝 えてみましょう 緩 和 ケアチーム 一 般 病 棟 の 入 院 患 者 に 対 して 担 当 医 や 病 棟 看 護 師 と 協 力 しながらチームで 痛 みの 治 療 やケアを 行 います 厚 生 労 働 省 が 定 めた 基 本 的 な 構 成 員 は 身 体 的 苦 痛 精 神 的 苦 痛 に 対 応 する 医 師 各 1 人 ずつ 看 護 師 の 合 計 3 人 です 精 神 腫 瘍 医 経 済 的 に 困 ったときの 対 策 は? がんの 治 療 費 について 困 ったときは 一 人 で 抱 え 込 まず かかっている 病 院 のソ ーシャルワーカー または 近 くのがん 診 療 連 携 拠 点 病 院 に 設 置 されている 相 談 支 援 センターに 相 談 しましょう 相 談 支 援 セ ンターでは 地 域 のがん 患 者 さんからの 緩 和 ケア 病 棟 (ホスピス) いわゆる 終 末 期 の 患 者 さんを 対 象 に した 病 棟 で 体 の 苦 痛 だけでなく 心 の つらさや 苦 しさも 和 らげることを 重 要 な 支 援 として 位 置 づけています ときに はボランティアもチームに 加 わり 患 者 さんと 家 族 をサポートします 心 のつらさに 対 するケア がんの 疑 いがある といわれた 時 点 から 患 者 さんは 動 揺 したり 不 安 にな ったり 落 ち 込 んだり 怒 りがこみ 上 げてきたりと さまざまな 心 の 葛 藤 に 襲 われます 多 くの 患 者 さんは 家 族 や 友 人 医 師 や 看 護 師 などにつらい 気 持 ち を 打 ち 明 けることで 徐 々に 落 ち 着 きを 取 り 戻 しますが 2~3 割 の 患 者 さんは 心 の 専 門 家 ( 下 欄 )による 治 療 が 必 要 になるといわれています 不 安 や 落 ち 込 みで 眠 れない 日 が 続 くようなら 心 の 専 門 家 に 相 談 してみましょう がん 患 者 さんとその 家 族 の 精 神 的 症 状 の 治 療 を 専 門 とする 精 神 科 医 また は 心 療 内 科 医 のことです 厚 生 労 働 省 や 日 本 サイコ オンコロジー 学 会 を 中 心 に 精 神 腫 瘍 医 の 育 成 や 研 修 が 行 われています リエゾンナース 患 者 さんの 心 のケアを 直 接 行 ったり 病 棟 看 護 師 に 心 のケアの 助 言 をし たりする 精 神 看 護 の 専 門 ナースです 日 本 看 護 協 会 が 認 定 する 精 神 看 護 専 門 看 護 師 もリエゾンナー スとして 活 動 しています 臨 床 心 理 士 臨 床 心 理 学 にもとづく 知 識 や 技 術 を 使 って 心 の 問 題 にアプローチする 専 門 家 のことです がん 専 門 病 院 を 中 心 に 精 神 腫 瘍 医 やリエゾンナースとと もに 患 者 さんや 家 族 の 心 のケアを 行 っています 相 談 も 受 け 付 けています 治 療 費 の 大 半 は 公 的 医 療 保 険 が 適 用 と なり 患 者 さんの 自 己 負 担 は 治 療 費 の1 ~3 割 です さらに 高 額 療 養 費 制 度 を 利 用 すると 一 定 限 度 額 を 超 えた 自 己 負 担 分 の 払 い 戻 しが 受 けられます 知 っておきたい 子 宮 体 がん 医 学 用 語 集 腫 瘍 組 織 のかたまり 良 性 と 悪 性 があ る 良 性 腫 瘍 がんではない 腫 瘍 のこと 無 限 に 増 殖 したり ほかの 臓 器 に 転 移 し たりすることはない 悪 性 腫 瘍 がん 化 した 腫 瘍 のこと 無 限 に 増 殖 し ほかの 臓 器 に 転 移 して 生 命 に 著 しい 影 響 を 及 ぼす 組 織 型 細 胞 組 織 のどの 部 分 ががん 化 し どのような 形 ( 顔 つき)なのかを 顕 微 鏡 で 調 べてタイプ 分 けしたもの 転 移 がん 細 胞 がリンパ 液 や 血 液 の 流 れに 乗 って 他 の 臓 器 に 移 動 し そ こで 広 がること リンパ 節 病 原 菌 や 異 物 による 感 染 と 闘 うた めの 小 さな 豆 状 の 器 官 で 免 疫 を 担 うリンパ 球 が 集 まっている 体 中 にあり リンパ 管 でつながっ ている 生 検 (バイオプシー) 組 織 を 採 取 して がん 細 胞 がある かどうかを 顕 微 鏡 で 調 べる 検 査 腫 瘍 マーカー 体 内 にがんができると そのがん に 特 有 なタンパク 質 が 大 量 につく られ 血 液 中 に 出 現 するため 診 断 に 有 効 とされる 子 宮 体 がんでは CEA CA125などが 腫 瘍 マーカ ーとして 調 べられる 子 宮 摘 出 術 子 宮 を 切 除 して 摘 出 する 手 術 化 学 療 法 薬 剤 ( 抗 がん 剤 )を 使 って がん 細 胞 を 攻 撃 する 治 療 法 放 射 線 療 法 高 いエネルギーの 放 射 線 を 使 って がん 細 胞 を 攻 撃 する 治 療 法 予 後 病 状 (またはがんの 状 態 )がどの ような 経 過 をたどるのかという 見 込 みや 予 測 17

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ピーチリボンとは? 米 国 をはじめとする 海 外 では 子 宮 体 がん 啓 発 のシンボルとしてピーチリボンが 使 われています この 冊 子 は 日 本 イーライリリー 株 式 会 社 株 式 会 社 毎 日 放 送 医 療 サイト アピタル セコム 損 害 保 険 株 式 会 社 の 支 援 で 作 成 しました リリーがん 情 報 タウン http://www.lillyganjohotown.jp/ JUMP OVER CANCER http://www.mbs.jp/joc/ 朝 日 新 聞 の 医 療 サイト http://apital.asahi.com 保 険 もセコム http://www.secom-sonpo.co.jp/ 制 作 :NPO 法 人 キャンサーネットジャパン 本 冊 子 の 無 断 転 載 複 写 は 禁 じられています 内 容 を 引 用 する 際 には 出 典 を 明 記 してください 2015 年 3 月 作 成 子 宮 体 がんの 治 療 や 情 報 についてさらに 詳 しく 知 りたい 方 は http://www.cancernet.jp/taigan