アジア 調 査 部 主 任 研 究 員 酒 向 浩 二 03-3591-1375 koji.sako@mizuho-ri.co.jp 当 レポートは 情 報 提 供 のみを 目 的 として 作 成 されたものであり 商 品 の 勧 誘 を 目 的 としたものではあり ません 本 資 料 は 当 社



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平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

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公表表紙

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

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Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

m07 北見工業大学 様式①

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

18 国立高等専門学校機構


私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

●電力自由化推進法案

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

●幼児教育振興法案

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スライド 1

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可


(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

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Taro-条文.jtd

16 日本学生支援機構

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容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

スライド 1

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

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Microsoft Word - 目次.doc

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

Microsoft Word 行革PF法案-0概要


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った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

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Taro-01 議案概要.jtd

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

Microsoft Word - H25年度の概要

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

第 40 回 中 央 近 代 化 基 金 補 完 融 資 推 薦 申 込 み 公 募 要 綱 1 公 募 推 薦 総 枠 30 億 円 一 般 物 流 効 率 化 促 進 中 小 企 業 高 度 化 資 金 貸 付 対 象 事 業 の 合 計 枠 2 公 募 期 間 平 成 28 年 6 月 20


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代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

市 町 村 税 の 概 況 市 町 村 税 の 概 況 は 平 成 25 年 度 地 方 財 政 状 況 調 査 平 成 26 年 度 市 町 村 税 の 課 税 状 況 等 の 調 及 び 平 成 26 年 度 固 定 資 産 の 価 格 等 の 概 要 調 書 等 報 告 書 等 の 資 料 に

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能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

Microsoft Word 第1章 定款.doc

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

は し が き

別紙3

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

文化政策情報システムの運用等

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

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連結計算書

Microsoft PowerPoint - 経営事項審査.ppt

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

小山市保育所整備計画

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(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

別 表 1 土 地 建 物 提 案 型 の 供 給 計 画 に 関 する 評 価 項 目 と 評 価 点 数 表 項 目 区 分 評 価 内 容 と 点 数 一 般 評 価 項 目 立 地 条 件 (1) 交 通 利 便 性 ( 徒 歩 =80m/1 分 ) 25 (2) 生 活 利 便

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

スライド 1

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弁護士報酬規定(抜粋)

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

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入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

消 費 ~ 軽 減 率 消 費 の 軽 減 率 制 度 が 消 費 率 10% 時 に 導 入 することとされています 平 成 26 年 4 月 1 日 平 成 27 年 10 月 1 日 ( 予 定 ) 消 費 率 5% 消 費 率 8% 消 費 率 10% 軽 減 率 の 導 入 平 成 26

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

(Microsoft Word - \220\340\226\276\217\221.doc)

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 26 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 法 人 の 長 副 理 事 長 A 理 事 16,638 10,332 4,446 1,

(Microsoft Word - \212\356\226{\225\373\220j _\217C\220\263\201j.doc)

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

Transcription:

みずほリポート 2013 年 7 月 31 日 新 興 国 に 矛 先 を 向 ける 中 国 の 輸 出 振 興 政 策 2012 年 度 商 務 部 研 究 院 受 託 調 査 中 国 政 府 は 近 年 先 進 国 向 けの 輸 出 が 伸 び 悩 むなか 第 12 次 五 カ 年 計 画 (2011~15 年 )において 積 極 的 に 新 興 市 場 を 開 拓 し 輸 出 市 場 の 多 角 化 を 推 進 する 基 本 方 針 を 打 ち 出 している 中 国 企 業 の 新 興 国 向 け 輸 出 を 政 府 機 関 が 一 体 となって 市 場 開 拓 金 融 面 から 支 援 し 手 続 きの 簡 素 化 新 興 国 とのFTA 推 進 貿 易 決 済 の 人 民 元 利 用 促 進 なども 支 援 策 に 盛 り 込 まれている 新 興 国 のなかでもまず 優 先 されているは 近 隣 諸 国 であり FTA や 国 境 付 近 の 交 易 会 を 通 じたアジアやロシア CIS 向 け 輸 出 拡 大 は 中 国 にとって 地 方 経 済 活 性 化 という 狙 いもある 中 国 は 先 進 国 との 競 合 が 少 ないという 認 識 の 下 アフリカな ども 重 点 市 場 と 据 えており 鉱 物 資 源 などの 輸 入 の 対 価 を 人 民 元 で 支 払 い アフリカ 諸 国 の 人 民 元 建 対 中 輸 入 を 促 進 している 中 国 と 新 興 国 との 間 には 貿 易 摩 擦 が 生 じているが 輸 入 拡 大 を 図 ると 共 に 輸 出 から 現 地 生 産 へのシフトによって 摩 擦 を 回 避 し 新 興 国 とのWin-Win 関 係 の 構 築 を 目 指 すとしている

アジア 調 査 部 主 任 研 究 員 酒 向 浩 二 03-3591-1375 koji.sako@mizuho-ri.co.jp 当 レポートは 情 報 提 供 のみを 目 的 として 作 成 されたものであり 商 品 の 勧 誘 を 目 的 としたものではあり ません 本 資 料 は 当 社 が 信 頼 できると 判 断 した 各 種 データに 基 づき 作 成 されておりますが その 正 確 性 確 実 性 を 保 証 するものではありません また 本 資 料 に 記 載 された 内 容 は 予 告 なしに 変 更 されることもあ ります

目 次 1.はじめに~ 輸 出 振 興 の 矛 先 を 先 進 国 から 新 興 国 にシフトする 中 国 ~ 1 2. 商 務 部 研 究 院 委 託 調 査 報 告 書 のポイント 3 (1) 中 国 の 通 商 政 策 の 概 要 3 (2) 地 域 別 の 通 商 政 策 6 (3) 対 新 興 国 輸 出 拡 大 のケーススタディ 9 (4) 新 興 国 との 通 商 摩 擦 回 避 策 11 3. 考 察 ~ 中 国 の 新 興 国 重 視 が 日 本 企 業 に 及 ぼす 影 響 ~ 15 (1) 日 中 協 調 の 可 能 性 16 (2) 日 中 競 合 の 可 能 性 16 資 料 編 ( 商 務 部 国 際 貿 易 経 済 合 作 研 究 院 ) 17 1. 中 国 の 通 商 政 策 の 概 要 17 (1) 輸 出 市 場 は 先 進 国 から 新 興 国 へと 転 換 17 (2) 新 興 国 とのFTA 交 渉 を 推 進 20 (3) 対 外 貿 易 での 人 民 元 決 済 を 推 進 23 2. 地 域 別 の 貿 易 政 策 26 (1)アジア 26 (2) 中 東 アフリカ 31 (3) 中 南 米 33 (4)ロシア CIS 38 3. 対 新 興 国 輸 出 拡 大 のケーススタディ 40 (1)ASEAN 40 (2)アフリカ 41 (3) 中 南 米 43 (4)ロシア CIS 45 4. 新 興 国 との 通 商 摩 擦 回 避 策 47 (1) 中 国 の 輸 入 促 進 策 47 (2) 中 国 の 新 興 国 に 対 する 直 接 投 資 拡 大 策 50

1.はじめに~ 輸 出 振 興 の 矛 先 を 先 進 国 から 新 興 国 にシフトする 中 国 ~ 近 年 中 国 経 済 の 成 長 鈍 化 が 続 いているが 2 桁 成 長 から 1 桁 成 長 に 陥 った 一 因 は 先 進 国 経 済 の 低 迷 に 伴 う 輸 出 の 減 速 にある 2008 年 の 世 界 金 融 危 機 後 の 中 国 のGDP を 需 要 項 目 別 にみると 純 輸 出 ( 輸 出 - 輸 入 )の 寄 与 度 は 2009 年 にマイナスに 陥 り その 後 2010 年 に 一 旦 プラスに 転 じたものの 欧 米 の 債 務 問 題 が 深 刻 化 した 2011 年 以 降 再 度 マイナスに 陥 っている( 図 表 1) こうした 状 況 下 中 国 は 内 需 主 導 の 持 続 的 な 経 済 成 長 を 目 指 している しかし 内 需 の 成 長 をけん 引 してきた 投 資 についてみると 開 発 が 沿 海 部 の 中 核 都 市 から 内 陸 部 の 地 方 都 市 へと 進 むと 共 に 投 資 効 率 ( 投 資 資 金 に 対 するリターンの 成 長 寄 与 )の 低 下 が 指 摘 されるようになっている 1 一 方 個 人 消 費 は 社 会 保 障 などのセーフティネットが 整 備 途 上 であることもあって 力 強 い 成 長 を 期 待 するのは 容 易 ではないように 思 われる そのため 内 需 拡 大 と 共 に 輸 出 戦 略 の 見 直 しを 図 ることも 不 可 欠 というのが 中 国 政 府 の 真 意 である 具 体 的 には 中 長 期 的 な 成 長 余 地 の 大 きい 新 興 国 (アジア 東 欧 ロシア CIS 中 東 アフリカ 中 南 米 など) 向 けの 輸 出 を 着 実 に 強 化 しようとしているようだ 実 際 輸 出 に 占 める 新 興 国 向 け 輸 出 の 比 率 は 徐 々に 高 まっており 既 に 輸 出 の 3 割 超 を 占 めるに 至 っている( 図 表 2) 中 国 にとって 輸 出 市 場 としての 新 興 国 の 重 みが 増 していることは 間 違 いない 新 興 国 向 け 輸 出 の 仕 向 け 先 内 訳 をみると( 図 表 3) 近 隣 のアジア 向 けの 急 増 ぶりが 目 を 見 張 るが 地 理 的 に 遠 く 離 れた 中 南 米 やアフリカ 向 けも 着 実 に 伸 長 しており 中 国 の 輸 出 が 広 範 に 拡 大 している 様 子 が 窺 える 2013 年 3 月 に 国 家 主 席 に 就 任 した 習 近 平 氏 が 6 月 の 訪 米 に 先 駆 けて ロシア アフ リカ インド パキスタン 中 南 米 などの 新 興 国 地 域 を 歴 訪 したことは 米 国 を 筆 頭 とする 先 進 国 市 場 の 重 要 性 を 十 分 に 認 識 しつつも 中 国 が 輸 出 振 興 を 含 む 通 商 関 係 強 化 の 矛 先 を 先 進 国 から 新 興 国 へと 徐 々にシフトしつつあることの 証 左 であろう 図 表 1 中 国 の 実 質 GDP 成 長 率 ( 需 要 項 目 別 寄 与 度 ) (%) 16.0 14.0 12.0 10.0 8.0 6.0 0.6 0.1 2.6 6.3 5.5 4.3 2.2 5.5 2.7 6.0 0.9 4.5 8.1 0.4 5.5 4.5 純 輸 出 総 資 本 形 成 最 終 消 費 支 出 実 質 GDP 成 長 率 3.9 4.0 2.0 3.6 4.0 4.4 5.1 5.6 4.2 4.6 4.5 5.2 4.1 0.0 2.0 0.4 0.2 4.0 6.0 2003 04 05 06 07 08 09 10 11 12 3.5 ( 年 ) ( 資 料 )CEIC 1 筆 者 が 2013 年 6 月 に 実 施 した 香 港 における IMF などの 国 際 機 関 からのヒアリングに 拠 る 1

翻 って 日 本 政 府 も 成 長 戦 略 において 新 興 国 向 けの 輸 出 促 進 (2020 年 には 2011 年 比 輸 出 倍 増 )および 市 場 開 拓 強 化 (2020 年 には 2011 年 比 現 地 法 人 数 倍 増 )を 打 ち 出 している 成 長 市 場 であ るアジアなどの 新 興 国 市 場 の 取 り 込 みを 図 ることは 世 界 的 な 潮 流 とはいえ 日 本 と 中 国 の 政 策 の 方 向 性 が 重 複 している 点 は 気 掛 かりである それでは 中 国 政 府 は 具 体 的 にどのようなアプローチを 通 じて 新 興 国 向 けの 貿 易 拡 大 を 図 ってい るのだろうか トップ 外 交 の 舞 台 裏 で 中 国 と 新 興 国 間 で 具 体 的 にはどのような 通 商 交 渉 が 行 われて いるのだろうか 中 国 には 2 万 社 超 2 の 日 本 企 業 が 進 出 しており 中 国 の 通 商 戦 略 の 変 化 は 中 国 に 輸 出 拠 点 を 構 える 企 業 にとって 重 要 テーマになると 考 えられる そこで みずほ 総 合 研 究 所 は 業 務 提 携 先 の 中 国 商 務 部 国 際 貿 易 経 済 合 作 研 究 院 ( 北 京 に 本 部 を 置 く 商 務 部 傘 下 のシンクタンク 以 下 商 務 部 研 究 院 )に 対 して 中 国 の 新 興 国 向 け 輸 出 振 興 策 調 査 を 2012 年 末 ~2013 年 初 にかけて 委 託 した 委 託 調 査 報 告 書 は 第 1 章 中 国 の 通 商 政 策 の 概 要 第 2 章 地 域 別 の 通 商 政 策 第 3 章 対 新 興 国 輸 出 拡 大 のケーススタディ 第 4 章 新 興 国 との 通 商 摩 擦 回 避 策 の 4 章 構 成 で 本 稿 は 同 報 告 書 の 解 説 をみずほ 総 合 研 究 所 が 行 ったものである( 報 告 書 本 文 は 資 料 編 として 添 付 ) 次 章 以 降 報 告 書 各 章 の 概 要 を 詳 しくみていくことにする 図 表 2 中 国 の 輸 出 の 対 先 進 国 新 興 国 シェア 推 移 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 新 興 国 向 け 先 進 国 向 け 2003 04 05 06 07 08 09 10 11 12 ( 年 ) ( 注 ) 先 進 国 新 興 国 の 定 義 は IMF に 拠 る ( 資 料 )CEIC ( 億 ドル) 3,000 図 表 3 中 国 の 対 新 興 国 ( 地 域 別 ) 輸 出 推 移 2,500 アジア 2,000 1,500 1,000 500 0 2003 中 南 米 東 欧 アフリカ ロシア CIS 04 05 06 07 08 09 10 11 12 ( 年 ) 中 東 2 中 国 商 務 部 の 発 表 に 拠 る ( 資 料 )CEIC 2

2. 商 務 部 研 究 院 委 託 調 査 報 告 書 のポイント (1) 中 国 の 通 商 政 策 の 概 要 a. 基 本 政 策 中 国 政 府 は 国 家 の 中 期 経 済 運 営 目 標 を 5 年 毎 に 策 定 しており 原 則 として 五 カ 年 計 画 に 基 づい て 国 家 の 経 済 運 営 を 行 っている 現 行 の 第 12 次 五 カ 年 計 画 (2011~15 年 )の 通 商 関 連 部 分 を 抽 出 し てみると 積 極 的 に 新 興 市 場 を 開 拓 し 輸 出 市 場 の 多 角 化 を 推 進 する と 輸 出 振 興 の 軸 足 を 新 興 国 にシフトしていく 方 針 が 明 示 されている( 図 表 4) この 基 本 方 針 に 基 づいて 政 府 機 関 による 新 興 国 市 場 開 拓 支 援 や 政 府 系 金 融 機 関 による 金 融 支 援 な ど 政 府 による 中 国 企 業 の 新 興 国 向 け 輸 出 サポート 強 化 策 が 相 次 いで 打 ち 出 されているといえよう 図 表 4 通 商 政 策 政 策 関 連 政 府 機 関 内 容 第 12 次 五 カ 年 計 画 (2011~15 年 ) 対 外 貿 易 の 安 定 成 長 の 促 進 に 関 する 若 干 の 意 見 (2012 年 ) 対 外 貿 易 発 展 方 式 の 転 換 を 加 速 する 指 導 意 見 (2012 年 ) 発 展 改 革 委 員 会 ( 五 カ 年 計 画 を 策 定 し 経 済 運 営 の 方 向 性 を 示 す) 国 務 院 ( 日 本 の 内 閣 に 相 当 ) 弁 公 室 商 務 部 ( 日 本 の 経 済 産 業 省 に 相 当 ) 財 政 部 ( 日 本 の 財 務 省 に 相 当 ) 人 民 銀 行 ( 中 央 銀 行 ) 税 関 総 署 ( 日 本 の 税 関 に 相 当 ) 外 貨 管 理 局 など 積 極 的 に 新 興 市 場 を 開 拓 し 輸 出 市 場 の 多 角 化 を 推 進 する 中 国 企 業 がアフリカ 中 南 米 アジア 東 欧 な どの 新 興 市 場 を 開 拓 するのをサポートする a. 国 際 市 場 の 配 置 の 最 適 化 を 図 る( 輸 出 先 の 新 興 国 シフト) b. 国 内 地 域 の 配 置 の 最 適 化 を 図 る( 中 国 国 内 輸 出 拠 点 の 沿 海 部 から 内 陸 部 へのシフト) c. 対 外 貿 易 転 換 拠 点 ( 輸 出 製 品 の 高 度 化 を 図 るための 輸 出 基 地 ) の 建 設 d. 貿 易 プラットフォーム( 海 外 における 中 国 企 業 専 用 の 工 業 団 地 など) の 建 設 e. 国 際 販 売 ネットワーク ( 海 外 における 中 国 製 品 販 売 ネットワーク)の 建 設 ( 資 料 ) 商 務 部 研 究 院 報 告 書 を 基 にみずほ 総 合 研 究 所 作 成 3

b. 新 興 国 との 自 由 貿 易 協 定 (FTA)を 推 進 中 国 政 府 は 新 興 国 との 通 商 関 係 強 化 にあたって トップ 外 交 を 機 軸 として 二 国 間 の 自 由 貿 易 協 定 (FTA) 交 渉 も 加 速 させている( 図 表 5) FTA 交 渉 の 優 先 順 位 としては 新 興 国 の 中 でも 近 隣 のアジアやロシア CIS 地 域 との 交 渉 が 優 先 され ている 感 がある これは 新 興 国 の 中 では 近 隣 諸 国 との 貿 易 ウエイトが 高 いことに 加 えて 地 の 利 を 活 かした 国 境 貿 易 の 促 進 は 広 大 な 国 土 を 擁 する 大 陸 国 家 である 中 国 にとっては 近 隣 諸 国 との 安 全 保 障 の 確 保 や 国 境 地 区 の 地 域 経 済 の 活 性 化 という 地 域 振 興 の 側 面 も 内 包 しているようである 図 表 5 FTA 政 策 政 策 関 連 政 府 機 関 内 容 第 12 次 五 カ 年 計 画 (2011~15 年 ) 対 外 貿 易 の 安 定 成 長 の 促 進 に 関 する 若 干 の 意 見 (2012 年 ) 対 外 貿 易 発 展 方 式 の 転 換 を 加 速 する 指 導 意 見 (2012 年 ) 発 展 改 革 委 員 会 新 興 国 との 協 力 を 強 化 し 伝 統 的 友 好 を 深 め 共 同 の 利 益 を 守 る 国 務 院 弁 公 室 ハイレベル 対 話 (トップ 外 交 )と 二 国 間 経 済 貿 易 連 合 委 員 会 などのプラットフォームを 十 分 に 利 用 し 主 な 貿 易 パートナーとの 経 済 貿 易 協 力 を 強 化 する 関 係 する 国 との FTA 交 渉 の 推 進 を 加 速 する 商 務 部 財 政 部 国 境 地 区 の 対 外 開 放 の 拡 大 を 通 し 国 境 沿 いの 人 民 銀 行 税 関 総 署 開 放 レベルを 向 上 し 地 域 振 興 を 図 り 民 を 豊 外 貨 管 理 局 など かにする 目 標 を 実 現 する ( 資 料 ) 商 務 部 研 究 院 報 告 書 を 基 にみずほ 総 合 研 究 所 作 成 4

c. 対 外 貿 易 での 人 民 元 決 済 を 推 進 FTA 交 渉 に 加 えて 対 新 興 国 貿 易 決 済 時 の 人 民 元 利 用 を 促 進 することで 輸 出 振 興 を 図 ろうという 取 り 組 みも 行 われている( 図 表 6) 第 12 次 五 カ 年 計 画 がスタートした 2011 年 以 降 中 国 と 二 国 間 通 貨 スワップ 協 定 ( 中 央 銀 行 間 で 一 定 のレートで 協 定 相 手 国 の 通 貨 を 融 通 しあうことを 定 める 協 定 2 国 間 通 貨 の 直 接 取 引 を 促 す 効 果 がある)を 締 結 する 新 興 国 は 増 加 しており ドル 中 心 の 貿 易 決 済 から 脱 却 しようという 取 り 組 みは 実 行 段 階 に 入 っている 中 国 の 貿 易 相 手 国 にとって 産 業 企 業 レベルでは 中 国 との 貿 易 が 拡 大 する 局 面 において 為 替 変 動 リスクを 低 減 させる 狙 いがあることに 加 え 国 家 レベルとしても 外 貨 準 備 の 一 部 に 人 民 元 を 組 み 入 れることで 保 有 資 産 価 値 の 減 価 を 防 ぐという 狙 いがあるようだ 図 表 6 人 民 元 国 際 化 政 策 政 策 関 連 政 府 機 関 内 容 第 12 次 五 カ 年 計 画 (2011~15 年 ) 二 国 間 通 貨 スワップ 協 定 (2008 年 ~) 輸 出 貨 物 貿 易 の 人 民 元 決 済 における 企 業 管 理 に 関 する 問 題 についての 通 知 (2012 年 ) 発 展 改 革 委 員 会 人 民 銀 行 人 民 銀 行 財 政 部 商 務 部 税 関 総 署 など 人 民 元 のクロスボーダー( 対 外 貿 易 投 資 ) 使 用 を 拡 大 し 人 民 元 の 資 本 項 目 における 兌 換 を 徐 々に 実 現 する 韓 国 マレーシア ベラルーシ アルゼンチン など 14 カ 国 地 域 の 中 央 銀 行 および 通 貨 当 局 と 総 額 1.3 兆 人 民 元 の 二 国 間 通 貨 スワップ 協 定 を 締 結 輸 出 貨 物 貿 易 における 人 民 元 決 済 の 正 常 展 開 を 促 進 し リスクを 予 防 し 監 督 管 理 の 有 効 性 と 方 向 性 を 向 上 させる ( 注 )2013 年 6 月 時 点 二 国 間 通 貨 スワップ 協 定 締 結 は 20 カ 国 地 域 に 拡 大 ( 資 料 ) 商 務 部 研 究 院 報 告 書 を 基 にみずほ 総 合 研 究 所 作 成 5

(2) 地 域 別 の 通 商 政 策 a.アジア 地 域 毎 の 通 商 政 策 をみてみると まずアジアにおいては 2004 年 から 中 国 政 府 が 東 南 アジア(ASEAN) を 主 対 象 とした 貿 易 投 資 商 談 会 中 国 -ASEAN 博 覧 会 を ASEAN のベトナムと 隣 接 する 中 国 東 南 部 の 広 西 壮 族 自 治 区 の 南 寧 市 で 開 催 している 2010 年 に 中 国 は ASEAN との 広 域 FTA を 発 効 し 貿 易 決 済 時 の 人 民 元 利 用 も 促 進 するなど 積 極 的 な 姿 勢 が 窺 える( 図 表 7) 人 民 元 決 済 に 関 してタイのバンコク 銀 行 は シンガポールと 中 国 香 港 における 貿 易 は 約 30%が 既 に 人 民 元 決 済 になっており タイにおいてもより 多 くの 企 業 が 人 民 元 決 済 を 行 うようになっている との 見 解 を 示 しており 商 務 部 研 究 院 も 決 済 通 貨 は 中 国 と ASEAN 双 方 間 の 重 要 なプラットフォーム と 述 べるなど ASEAN において 人 民 元 の 国 際 化 が 急 速 に 進 んできている 様 子 が 窺 える( 資 料 編 26 ペー ジ 参 照 ) なお 2013 年 からは インド パキスタン バングラデシュなど 南 アジアを 主 対 象 とした 貿 易 投 資 商 談 会 中 国 - 南 アジア 博 覧 会 も 新 たにスタートしている こちらは 南 アジアに 比 較 的 近 い 中 国 南 部 の 雲 南 省 の 昆 明 市 で 開 催 されており ASEAN に 続 いて 南 アジアでも 輸 出 促 進 が 推 進 されている 様 子 が 窺 える ただし 中 国 と 南 アジア とりわけインドの 間 には 同 国 における 中 国 製 工 業 製 品 の 輸 入 急 増 によっ て 貿 易 摩 擦 が 顕 在 化 している 商 務 部 研 究 院 によると 2012 年 に 対 中 アンチダンピング( 中 国 国 内 に 比 べて 不 当 に 安 価 な 価 格 で 輸 出 された 疑 いのある 品 目 を 国 際 機 関 へ 提 訴 )を 最 も 多 発 したのはインド であったとのことである 中 印 両 国 首 脳 間 で 相 互 に 貿 易 投 資 を 拡 大 させることが 合 意 され 2 国 間 FTA の 共 同 研 究 も 始 まっているが 摩 擦 の 火 種 が 燻 っていることは 事 実 である 図 表 7 対 アジア 通 商 政 策 地 域 定 例 商 談 会 など 二 国 ( 地 域 ) 間 協 定 その 他 a. 東 南 アジア(ASEAN) 中 国 -ASEAN 博 覧 会 (2004 年 から 毎 年 ベ トナムと 国 境 に 接 する 広 西 壮 族 自 治 区 の 南 寧 で 開 催 ) b. 南 アジア 中 国 - 南 アジア 博 覧 会 (2013 年 から ラオス と 国 境 を 接 する 雲 南 省 昆 明 で 開 催 ) ( 資 料 ) 商 務 部 研 究 院 報 告 書 を 基 にみずほ 総 合 研 究 所 作 成 中 国 -ASEAN FTA( 発 行 済 2015 年 までに 関 税 撤 廃 ) 中 国 -パキスタン FTA( 発 効 済 ) 中 国 -インド FTA( 研 究 段 階 ) シンガポール タイな どの 間 で 人 民 元 の 貿 易 決 済 を 促 進 - 6

b. 中 東 アフリカ 中 国 には アジアやロシア CIS といった 近 隣 諸 国 との 国 境 貿 易 を 拡 大 させていくという 意 向 が 窺 えたが 地 理 的 に 離 れているアフリカ 諸 国 でも 中 国 の 存 在 感 が 高 まっている 2000 年 に 政 府 間 の 枠 組 みとして 中 国 -アフリカ 協 力 フォーラム を 発 足 3 年 毎 に 中 国 とアフリカで 交 互 に 政 府 および 民 間 のビジネス 交 流 会 を 開 催 している( 図 表 8) 中 国 は 2005 年 以 降 アフリカ 諸 国 からの 輸 入 関 税 を 段 階 的 に 引 き 下 げてアフリカ 製 品 とりわけ 鉱 物 資 源 以 外 の 一 次 産 品 の 輸 入 を 促 進 しつつ 貿 易 決 済 の 人 民 元 利 用 を 促 進 してアフリカ 諸 国 に 人 民 元 を 還 流 させることで 対 アフリカ 輸 出 (アフリカ 諸 国 の 対 中 輸 入 )を 拡 大 しようとしている 南 アフリカのスタンダード 銀 行 は アフリカは 人 民 元 の 国 際 化 プロセスが 最 も 早 い 地 域 で 2015 年 までには 中 国 アフリカ 間 の 貿 易 の 人 民 元 決 済 額 は 約 1,000 億 ドルを 上 回 るだろう との 見 通 しを 示 しており 商 務 部 研 究 院 も 人 民 元 はドルに 取 って 代 わって 中 国 とアフリカの 主 要 貿 易 決 済 通 貨 に なるとみられ アフリカ 諸 国 は 人 民 元 決 済 にシフトすることで 貿 易 取 引 コスト( 決 済 送 金 などの 諸 コスト)を 軽 減 できる との 見 解 を 示 している( 資 料 編 23 ページ 参 照 ) また 中 国 国 内 の 需 要 が 急 増 している 資 源 エネルギー 調 達 の 観 点 から 重 要 性 の 高 い 湾 岸 諸 国 とは FTA 締 結 に 向 けた 交 渉 を 進 めており 中 国 は 湾 岸 諸 国 におけるインフラ 建 設 協 力 を 深 化 させ 同 地 域 における 電 力 交 通 医 療 などの 建 設 プロジェクトに 積 極 的 に 参 加 する 方 針 を 示 している 図 表 8 対 中 東 アフリカ 通 商 政 策 地 域 定 例 商 談 会 など 二 国 ( 地 域 ) 間 協 定 その 他 a.アフリカ 中 国 -アフリカ 協 力 フ ォーラム(2000 年 以 降 中 国 とアフリカで 交 互 に 3 年 毎 に 開 催 ) b. 中 東 中 国 -サウジアラビア 経 済 貿 易 委 員 会 ( 資 料 ) 商 務 部 研 究 院 報 告 書 を 基 にみずほ 総 合 研 究 所 作 成 2005 年 以 降 中 国 はア フリカ 諸 国 に 対 し 輸 入 関 税 免 除 待 遇 の 実 施 を 開 始 2012 年 以 降 中 国 と 国 交 のある 30 のアフリ カ 諸 国 に 対 し 品 目 の 60% 輸 入 関 税 を 免 除 中 国 - 湾 岸 協 力 会 議 (サウジアラビア ア ラブ 首 長 国 連 邦 オマ ーン クウェート カ タール バーレーン) FTA( 交 渉 中 ) 南 アフリカなどとの 間 で 人 民 元 の 貿 易 決 済 を 促 進 - 7

c. 中 南 米 一 方 で 商 務 部 研 究 院 によると 中 南 米 諸 国 との 関 係 は 必 ずしも 芳 しくない とりわけ 同 地 域 の 大 国 であるブラジル メキシコとの 通 商 摩 擦 が 顕 在 化 しているとのことである( 図 表 9) まず 中 国 とブラジルの 貿 易 では ブラジルに 豊 富 な 鉄 鉱 石 などの 鉱 物 資 源 を 含 めた 一 次 産 品 では 中 国 とブラジルは 補 完 関 係 にあるといえるが 工 業 製 品 では 両 国 で 競 合 するケースが 多 いようである 1989~2009 年 までに ブラジルは 中 国 製 品 に 対 して 計 46 件 のアンチダンピング 案 件 を 国 際 機 関 に 提 訴 しており 2012 年 も 複 数 の 中 国 製 品 ( 圧 延 鋼 板 シームレス 鋼 管 など)に 対 して アンチダンピン グ 調 査 ( 提 訴 に 向 けた 調 査 )を 行 っている 商 務 部 研 究 院 は 中 国 とブラジルの 貿 易 摩 擦 は 今 後 も 一 定 期 間 持 続 するという 見 方 を 示 しており その 行 方 を 楽 観 はしていないようである メキシコにおいては 主 に 軽 工 業 品 において 貿 易 摩 擦 が 激 化 している 様 子 が 窺 える ただし 中 国 の 軽 工 業 商 工 会 議 所 が 対 メキシコ 輸 出 価 格 を 自 主 的 に 規 定 するなど 二 国 間 で 貿 易 摩 擦 を 回 避 しよう という 試 みも 行 われており 工 業 製 品 における 貿 易 摩 擦 が 顕 在 化 するブラジルと 状 況 は 異 なっている ようだ その 他 ブラジルやメキシコほど 工 業 化 が 進 んでいない 中 南 米 諸 国 に 対 して 中 国 は 積 極 的 に FTA を 締 結 して 貿 易 を 拡 大 しようとしている 様 子 が 窺 える d.ロシア CIS ロシア CIS においては 安 全 保 障 の 枠 組 みとして 上 海 協 力 機 構 が 12 年 前 の 2001 年 に 発 足 済 であ るが この 枠 組 みを 経 済 分 野 にまで 拡 大 しようという 動 きがみられる(9 ページ 図 表 10) 特 に 4 千 キロもの 遠 大 な 国 境 を 接 するロシアとの 間 では 2001 年 に 中 露 善 隣 友 好 条 約 を 締 結 3 している 両 国 は 2011 年 に 対 外 貿 易 自 国 通 貨 協 定 を 締 結 しており 為 替 変 動 リスクを 軽 減 しつ つ 国 境 に 近 い 最 北 部 の 黒 竜 江 省 ハルピン 市 において 開 催 している 中 露 商 談 会 も 活 用 しながら 二 国 間 貿 易 額 を 2020 年 までに 2011 年 比 倍 増 させる 方 針 を 打 ち 出 している 図 表 9 対 中 南 米 通 商 政 策 地 域 二 国 ( 地 域 ) 間 協 定 その 他 a.ブラジル - 中 国 ブラジル 間 の 貿 易 摩 擦 が 激 化 b.メキシコ 2012 年 に 貿 易 監 督 管 理 を 行 う 協 定 ( 靴 類 アパレル)を 締 結 中 国 メキシコ 間 の 貿 易 摩 擦 が 激 化 c.チリ ペルー コスタリカな FTA( 締 結 済 ) - ど d. コロンビア FTA( 交 渉 中 ) - ( 資 料 ) 商 務 部 研 究 院 報 告 書 を 基 にみずほ 総 合 研 究 所 作 成 3 2008 年 に 中 露 両 国 の 国 境 が 確 定 して 長 年 の 中 露 間 の 国 境 紛 争 は 解 決 済 8

(3) 対 新 興 国 輸 出 拡 大 のケーススタディ 商 務 部 研 究 院 は 1ASEAN 2アフリカ 3 中 南 米 4ロシア CIS の 各 地 域 における 輸 出 拡 大 につ いて 主 要 品 目 を 取 り 上 げてケーススタディを 行 っている( 図 表 11) これらのケースを 通 じていえるのは 繊 維 などの 軽 工 業 品 から 自 動 車 などの 工 業 製 品 まで 中 国 製 品 が 新 興 国 で 幅 広 く 浸 透 し 始 めているという 事 実 であろう 中 国 製 品 の 品 質 が 向 上 し 低 価 格 だが 低 品 質 という 従 来 の 中 国 製 品 のイメージから 低 価 格 だが 品 質 は 十 分 という 高 コストパフォーマ ンス 製 品 のイメージへと 切 り 替 わってきたこともその 一 因 になっている 可 能 性 がありそうだ また ASEAN においては 2010 年 の 中 国 -ASEAN FTA 発 効 に 伴 う 関 税 撤 廃 が 対 ASEAN 繊 維 製 品 輸 出 を 促 しており 政 府 主 導 の 中 国 -ASEAN 博 覧 会 を 通 じた 大 型 商 談 の 増 加 さらには 中 国 の 軽 工 業 企 業 が ASEAN(カンボジアなど)にシフトするなど 輸 出 から 現 地 生 産 への 漸 進 的 な 移 行 も 進 みつつある 様 子 も 窺 える 注 目 すべきは 最 後 のフロンティアとの 呼 び 声 も 高 いアフリカにおける 通 信 機 器 の 市 場 開 拓 や 中 南 米 における 建 設 機 械 や 自 動 車 市 場 の 開 拓 など 比 較 的 日 本 企 業 の 出 遅 れが 指 摘 されることが 多 い 地 域 で 中 国 企 業 が 着 実 にシェアを 高 めているとみられる 点 である 中 国 は とりわけアフリカを 先 進 国 企 業 との 競 合 が 少 ない 有 望 市 場 と 捉 え 1995 年 からアフリカ 諸 国 に 次 々と 中 国 企 業 のアフリカ 市 場 開 拓 の 拠 点 となる 中 国 投 資 開 発 貿 易 促 進 センター を 設 立 して 中 国 企 業 の 対 アフリカ 貿 易 投 資 促 進 を 全 面 的 にバックアップしてきた 経 緯 がある 中 国 の 金 融 機 関 も 金 融 支 援 を 行 うなど 中 国 が 総 力 を 挙 げて アフリカ 市 場 開 拓 に 取 り 組 んでいる 様 子 が 窺 える 図 表 10 対 ロシア CIS 通 商 政 策 地 域 定 例 商 談 会 など 二 国 ( 地 域 ) 間 協 定 その 他 a.ロシア ハルピン( 黒 竜 江 省 ) 国 際 経 済 貿 易 商 談 会 (1990 年 から 毎 年 開 催 ) b.cis ( 資 料 ) 商 務 部 研 究 院 報 告 書 を 基 にみずほ 総 合 研 究 所 作 成 上 海 協 力 機 構 ( 将 来 的 な FTA への 拡 大 視 野 ) 中 露 善 隣 友 好 協 力 条 約 (2001 年 ) 上 海 協 力 機 構 ( 将 来 的 な FTA への 拡 大 視 野 ) 2011 年 以 降 中 露 間 で 対 外 貿 易 自 国 通 貨 決 済 協 定 を 締 結 - 9

図 表 11 対 新 興 国 輸 出 拡 大 の 地 域 別 ケーススタディ 概 要 地 域 製 品 成 果 市 場 開 拓 の 成 功 要 因 1ASEAN 2アフリカ 3 中 南 米 4ロシア CIS 繊 維 製 品 2005~11 年 の 間 に 中 国 の 対 ASEAN 向 け 繊 維 製 品 輸 出 は 年 平 均 23.1% 増 通 信 機 器 アフリカ 諸 国 (ナイジェリ ア エジプト 南 アフリカ エチオピアなど)において 欧 米 企 業 (エリクソン シー メンスなど)を 押 さえて 華 為 Huawei や 中 興 ZTE が 上 位 シェア 建 設 機 械 自 動 車 2009 年 以 降 対 中 南 米 向 けの 建 設 機 械 (クレーン 道 路 機 械 地 ならし 機 パワーショ ベルなど) 輸 出 が 急 増 自 動 車 メーカーのシェアも 向 上 ( 例 チリでは 中 国 車 のシェアが 2007 年 の 2.3% から 2010 年 に 8.0%に 上 昇 ) 機 械 設 備 電 子 部 品 2007~11 年 の 間 に 中 国 の 対 ロシア 輸 出 は 年 平 均 17.0% 増 特 に 機 械 設 備 と 電 子 部 品 がけん 引 役 となっている a. 中 国 -ASEAN FTA 発 効 b. 中 国 -ASEAN 博 覧 会 開 催 c. 中 国 製 品 の 高 いコストパフォーマンス d. 中 国 企 業 の ASEAN における 直 接 投 資 環 境 の 整 備 ( 中 国 企 業 向 け 工 業 団 地 建 設 ) a. 成 熟 した 先 進 国 市 場 に 比 べて 中 国 企 業 の 優 位 性 が 発 揮 しやすい b. 1995 年 から 対 アフリカ 経 済 貿 易 発 展 の 専 門 的 研 究 機 構 中 国 投 資 開 発 貿 易 促 進 セン ター をアフリカの 11 カ 国 に 設 立 し アフ リカに 的 を 絞 った 指 導 コンサルティング の 実 施 c. 中 国 企 業 進 出 時 の 金 融 機 関 の 協 力 d. 対 アフリカ 直 接 投 資 拡 大 が 中 国 製 品 の 輸 出 を 誘 発 a. 中 南 米 における 中 国 企 業 の 建 設 プロジェク ト 受 注 の 増 加 b. 輸 出 から 現 地 生 産 への 漸 進 的 な 移 行 ( 例 徐 光 集 団 は ブラジルに 生 産 拠 点 および R&D センター 開 設 ) c. 中 国 - 中 南 米 諸 国 (チリ ペルーな ど)FTA の 進 展 a. 中 国 とロシア CIS の 貿 易 補 完 性 ( 中 国 か らは 機 械 製 品 ロシア CIS からは 鉱 物 資 源 を 輸 出 ) b. ロシアの WTO 加 盟 による 同 国 の 国 内 市 場 開 放 c. 地 理 的 な 優 位 性 (ロシア CIS とは 15 の 国 境 ポート) ( 資 料 ) 商 務 部 研 究 院 報 告 書 を 基 にみずほ 総 合 研 究 所 作 成 10

(4) 新 興 国 との 通 商 摩 擦 回 避 策 a. 今 後 激 化 が 予 想 される 新 興 国 との 貿 易 摩 擦 中 国 の 対 新 興 国 輸 出 促 進 は 他 方 で 新 興 国 との 貿 易 摩 擦 の 拡 大 に 繋 がるリスクを 内 包 しているとい える 既 に 中 国 側 の 貿 易 黒 字 の 拡 大 が 長 らく 続 いている 欧 米 など 先 進 国 との 貿 易 摩 擦 が 続 き 人 民 元 切 り 上 げなどの 圧 力 が 恒 常 化 していることは 周 知 の 事 実 である 現 時 点 で 中 国 の 新 興 国 向 けの 貿 易 黒 字 は 先 進 国 向 けに 比 べると 小 額 だが( 図 表 12) 地 域 別 にみ ると その 様 相 は 大 きく 異 なってくる( 図 表 13) まず 中 東 アフリカでは 中 国 の 資 源 輸 入 が 急 増 していることから 貿 易 赤 字 が 拡 大 している 中 国 国 内 の 化 石 燃 料 鉱 物 資 源 需 要 の 拡 大 で 貿 易 赤 字 が 拡 大 している 中 東 アフリカに 対 して 中 国 は 貿 易 決 済 の 人 民 元 化 を 進 めたい 考 えのようである 化 石 燃 料 や 鉱 物 資 源 の 輸 入 代 金 を 人 民 元 で 支 払 い 中 東 アフリカ 諸 国 がその 人 民 元 を 原 資 に 中 国 製 の 設 備 や 工 業 製 品 軽 工 業 品 を 為 替 変 動 リスクを 抑 制 して 購 入 することで 中 国 の 輸 出 が 促 進 されると 期 待 されるためである ここでは 中 国 と 新 興 国 の Win-Win 関 係 は 比 較 的 構 築 しやすい 一 方 アジア 東 欧 中 南 米 との 貿 易 で 中 国 側 の 貿 易 黒 字 が 急 拡 大 している 点 は 懸 念 される 前 述 した 通 り 製 造 業 の 基 盤 を 有 するインドやブラジルなどの 産 業 界 では 耐 久 消 費 財 や 素 材 などの 業 種 で 中 国 製 品 の 輸 入 急 増 に 対 する 警 戒 感 が 高 まっており 中 国 が 輸 出 振 興 の 軸 足 を 新 興 国 にシフトすれば 貿 易 摩 擦 が 更 に 激 化 するのではないかという 懸 念 は 拭 えない そこで 中 国 は 次 のような 方 法 で 貿 易 摩 擦 の 回 避 を 試 みようとしているようだ 図 表 12 中 国 の 対 先 進 国 および 対 新 興 国 貿 易 収 支 ( 億 ドル) 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 500 対 新 興 国 貿 易 収 支 対 先 進 国 貿 易 収 支 2003 04 05 06 07 08 09 10 11 12 ( 年 ) ( 資 料 )CEIC 図 表 13 中 国 の 対 新 興 国 ( 地 域 別 ) 貿 易 収 支 ( 億 ドル) 800 600 400 200 0 200 400 ロシア CIS アジア 東 欧 中 南 米 中 東 600 アフリカ 800 2003 04 05 06 07 08 09 10 11 12 ( 年 ) ( 資 料 )CEIC 11

b. 対 新 興 国 輸 入 促 進 策 中 国 政 府 の 貿 易 摩 擦 回 避 策 は まずは 貿 易 収 支 の 改 善 を 図 るための 輸 入 拡 大 となっている 輸 入 促 進 策 は 国 境 地 帯 の 通 関 などのインフラ 整 備 輸 入 企 業 向 けの 財 政 金 融 支 援 といった 形 で 直 接 的 に 輸 入 を 促 進 する 政 策 に 加 え 輸 入 手 続 きの 簡 素 化 や 電 子 化 など 利 便 性 やサービス 向 上 も 図 ることで 間 接 的 に 輸 入 促 進 を 図 る 内 容 となっている( 図 表 14) 中 国 政 府 が 先 進 国 との 貿 易 摩 擦 激 化 の 経 験 も 踏 まえて 輸 出 振 興 と 並 行 して 輸 入 拡 大 も 推 進 しよ うとしている 点 は 評 価 できよう 新 興 国 にとっても GDP 世 界 第 2 位 人 口 世 界 最 大 の 中 国 のさらな る 市 場 開 放 は 魅 力 的 な 政 策 に 映 っている 可 能 性 が 高 い 中 国 と 先 進 国 間 の 貿 易 摩 擦 が 長 期 化 の 様 相 を 呈 するなか 中 国 が 新 興 国 との Win-Win 関 係 の 構 築 を 試 みようという 取 組 姿 勢 の 変 化 は 注 目 される 図 表 14 輸 入 促 進 策 政 策 概 要 a. 財 政 支 援 (a) 一 部 の 商 品 関 税 の 引 き 下 げ( 後 発 途 上 国 からの 輸 入 関 税 を 優 遇 ) (b) 輸 入 促 進 支 援 資 金 を 増 額 b. 金 融 支 援 (a) 融 資 の 多 元 化 ( 商 業 銀 行 政 策 銀 行 の 輸 入 金 融 の 積 極 化 ) (b) 輸 入 信 用 保 険 体 系 ( 貿 易 保 険 の 活 用 など)と 貿 易 決 済 制 度 ( 人 民 元 決 済 な ど)の 整 備 c. 管 理 体 制 構 築 (a) 輸 入 管 理 体 制 を 整 備 (b) 輸 入 と 国 内 流 通 のリンクを 推 進 (c) 加 工 貿 易 のグレードアップ( 輸 入 増 加 に 伴 う 輸 出 の 高 度 化 )を 推 進 (d) 産 業 会 への 影 響 と 輸 入 商 品 の 品 質 安 全 警 報 メカニズムを 整 備 d. 利 便 性 向 上 (a) 税 関 品 質 検 査 外 国 為 替 などの 面 の 監 督 管 理 とサービスを 改 善 ( 輸 入 段 階 での 取 引 コストを 低 減 ) (b) 電 子 行 政 事 務 の 推 進 (c) 国 境 貿 易 のインフラ 建 設 ( 集 荷 物 資 の 輸 送 保 管 加 工 を 一 体 にした 近 代 的 な 物 流 システムを 構 築 )を 加 速 e.サービス 向 上 (a) 輸 入 公 共 サービスを 整 備 ( 輸 入 促 進 の 専 門 ウェブサイトの 開 設 など) (b) 業 界 仲 介 組 織 の 役 割 を 発 揮 する( 輸 入 コンサルティングや 研 修 サービスの 開 催 を 奨 励 ) ( 資 料 ) 商 務 部 研 究 院 報 告 書 を 基 にみずほ 総 合 研 究 所 作 成 12

c. 対 新 興 国 直 接 投 資 拡 大 輸 入 拡 大 に 次 ぐ 貿 易 摩 擦 回 避 策 は 対 新 興 国 直 接 投 資 拡 大 を 通 じた 輸 出 から 現 地 生 産 への 段 階 的 な シフトである 対 外 投 資 拡 大 策 は 中 国 語 では 走 出 去 政 策 といわれ 第 12 次 五 カ 年 計 画 においても 強 化 する 方 針 が 明 示 されている その 内 容 は 中 国 企 業 の 対 外 投 資 認 可 を 緩 和 すると 同 時 に 財 政 支 援 金 融 支 援 なども 積 極 的 に 行 い 進 出 先 では 中 国 企 業 を 集 積 させて 産 業 クラスターを 形 成 させ さ らに 商 工 会 も 発 足 させることで 一 定 の 統 制 を 図 って 中 国 企 業 同 士 の 過 当 競 争 を 避 けるという 包 括 的 な 内 容 となっている( 図 表 15) 中 国 は 3 兆 4 千 億 ドル(2013 年 3 月 )と 世 界 最 大 の 外 貨 準 備 高 を 有 している この 豊 富 な 外 貨 準 備 を 活 用 した 中 国 の 対 外 投 資 は 現 在 は 中 国 自 身 の 内 需 の 拡 大 に 不 可 欠 な 天 然 資 源 の 確 保 が 最 優 先 とな っているが 今 後 海 外 の 成 長 市 場 を 取 り 込 むために 非 資 源 分 野 に 向 けられる 可 能 性 が 徐 々に 高 ま るとみられる 実 際 中 国 政 府 は 既 に 中 国 国 内 で 競 争 力 を 高 めた 中 国 企 業 ( 建 設 機 械 自 動 車 通 信 機 械 など)が 新 たに 海 外 展 開 に 乗 り 出 すことを 推 奨 している さらに 中 国 における 人 件 費 の 上 昇 に 伴 って 産 業 の 労 働 集 約 型 から 資 本 集 約 型 へのシフトが 漸 進 的 に 進 むと 考 えられるなか 中 国 で 事 業 採 算 が 合 わなくなった 軽 工 業 企 業 が 新 興 国 へと 移 転 することも 推 奨 していくと 考 えられる 産 業 輸 出 振 興 によって 貿 易 赤 字 解 消 と 雇 用 の 拡 大 を 図 りたい 新 興 国 にとって 中 国 からの 投 資 拡 大 は 自 国 の 利 益 にも 繋 がるものと 受 け 止 められ 貿 易 摩 擦 は 徐 々に 解 消 に 向 かう 可 能 性 があるだろう 図 表 15 対 外 投 資 拡 大 策 政 策 a.マクロ 政 策 概 要 対 外 投 資 管 理 制 度 を 整 備 し 対 外 投 資 の 利 便 化 を 推 進 し 政 府 の 許 可 範 囲 と 階 層 を 少 な くし 事 後 監 督 管 理 を 強 化 する b. 促 進 政 策 (a) 対 外 投 資 計 画 と 産 業 指 導 政 策 の 重 点 プロジェクトが 条 件 に 符 合 するものについては 支 援 する (b) 企 業 の 海 外 活 動 の 税 収 管 理 とサービスを 強 化 し 税 の 国 内 外 の 二 重 徴 収 を 回 避 する (c) 金 融 支 援 を 強 化 し 条 件 に 合 致 する 企 業 の 海 外 投 資 プロジェクトに 対 して 必 要 な 融 資 サポートを 積 極 的 に 活 用 する (d) 海 外 の 保 険 サポート 機 能 を 強 化 し リスク 抵 抗 力 を 強 化 する (e) 中 小 企 業 の 海 外 での 産 業 クラスター 形 成 を 支 持 する c.サービス 措 置 企 業 の 対 外 投 資 プロジェクト 受 注 における 連 携 協 力 強 化 を 誘 導 し 業 界 団 体 および 団 体 の 中 国 資 本 企 業 商 工 会 議 所 の 役 割 を 発 揮 し 無 秩 序 な 競 争 を 避 ける d. 重 点 業 界 (a) 資 源 分 野 (b) 国 内 の 産 業 構 造 の 最 適 化 に 資 する 分 野 ( 軽 工 業 紡 績 アパレル 機 械 家 電 電 子 情 報 など) (c)ハイテク 分 野 e. 民 間 企 業 民 間 企 業 の 対 外 投 資 における 重 要 な 役 割 を 十 分 発 揮 させる ( 資 料 ) 商 務 部 研 究 院 報 告 書 を 基 にみずほ 総 合 研 究 所 作 成 13

d. 貿 易 摩 擦 解 消 に 向 けたケーススタディ~インドとの 紛 争 解 決 に 向 けた 動 き~ 実 際 に 中 国 と 貿 易 摩 擦 が 激 化 している 新 興 国 の 一 つには 前 述 の 通 りインドが 挙 げられ 2012 年 の 対 中 アンチダンピングの 提 訴 事 例 は 最 多 となっている そのため 中 国 とインド 間 の 協 調 は 中 国 と 新 興 国 間 の 貿 易 摩 擦 の 行 方 を 占 う 試 金 石 になり 得 ると 考 えられる 2013 年 5 月 李 克 強 首 相 は 就 任 後 の 初 の 訪 問 先 にインドを 選 び 早 々に 同 国 のシン 首 相 と 会 談 した これは 貿 易 摩 擦 が 二 国 間 関 係 の 亀 裂 となることを 懸 念 したためとも 受 け 取 れる 双 方 が 合 意 した 中 印 共 同 声 明 をみると( 図 表 16) まず 相 互 を 互 恵 のパートナーとみなし 競 争 相 手 とみなさない という 点 で 合 意 している 点 が 注 目 される 摩 擦 激 化 という 現 状 はあるものの 協 力 できる 分 野 をより 深 化 させようという 基 本 的 な 姿 勢 の 変 化 は 窺 える さらに 双 方 の 貿 易 を 拡 大 させる 計 画 に 加 え 中 国 企 業 の 対 インド 投 資 を 中 印 両 国 が 揃 って 奨 励 し ている 点 がポイントといえよう インドにとっての 喫 緊 の 政 策 課 題 はインフラ 整 備 と 製 造 業 振 興 によ る 雇 用 拡 大 である その 課 題 に 中 国 企 業 が 貢 献 することで 互 恵 関 係 を 深 めようという 外 交 戦 略 であり 今 後 の 具 体 的 な 進 展 が 注 目 される 図 表 16 中 印 共 同 声 明 (2013 年 5 月 19 日 ) a. 基 本 姿 勢 相 手 を 互 恵 のパートナーとみなし 競 争 相 手 とはみなさない 首 脳 の 相 互 訪 問 を 定 期 的 に 行 う 省 エネルギー 環 境 保 護 新 エネルギー ハイテクなどの 分 野 で 協 力 を 強 化 する b. 貿 易 拡 大 2015 年 に 二 国 間 貿 易 を 1,000 億 ドルに 到 達 させる(2012 年 実 績 は 665 億 ドル) 重 量 物 輸 送 および 駅 を 含 む 鉄 道 協 力 を 強 化 する c. 投 資 拡 大 産 業 園 区 ( 工 業 団 地 ) 建 設 について 協 力 する 中 国 企 業 のインドへの 投 資 とインフラ 建 設 への 参 画 をインドは 歓 迎 する 第 3 国 における 双 方 が 関 心 を 持 つ 開 発 プロジェクトの 展 開 を 検 討 する ( 資 料 ) 中 国 外 交 部 資 料 を 基 にみずほ 総 合 研 究 所 作 成 14

3. 考 察 ~ 中 国 の 新 興 国 重 視 が 日 本 企 業 に 及 ぼす 影 響 ~ ここで 改 めて 中 国 の 新 興 国 市 場 重 視 戦 略 を 振 り 返 っておこう 第 1 章 中 国 の 貿 易 政 策 の 概 要 では まず 中 国 政 府 の 輸 出 促 進 政 策 が 明 らかになった 中 国 政 府 は 国 家 の 中 期 的 な 経 済 政 策 の 指 針 となる 第 12 次 五 カ 年 計 画 (2011~15 年 )において 重 視 する 輸 出 市 場 を 先 進 国 から 新 興 国 へとシフトする 方 針 を 明 確 に 打 ち 出 している この 基 本 方 針 に 基 づいて 関 連 政 府 機 関 が 一 体 となって 中 国 企 業 の 海 外 進 出 を 市 場 開 拓 金 融 制 度 面 から 全 面 的 に 支 援 してい る さらに 新 興 国 との FTA 交 渉 を 促 進 し 貿 易 決 済 通 貨 として 人 民 元 を 戦 略 的 に 用 いるなど 国 家 戦 略 として 対 新 興 国 輸 出 を 促 進 している 様 子 が 窺 えた 第 2 章 国 別 貿 易 政 策 では 新 興 国 から (1)アジア (2) 中 東 アフリカ (3) 中 南 米 (4) ロシア CIS の 4 つの 地 域 を 抽 出 し 地 域 毎 の 貿 易 政 策 を 明 らかにした 中 国 は 近 隣 のアジアやロ シア CIS をまず 重 視 している 大 陸 国 家 である 中 国 にとって 近 隣 国 との 貿 易 拡 大 は 安 全 保 障 や 国 内 の 地 域 経 済 のボトムアップにも 繋 がるなどのメリットが 得 られるためである 東 南 部 広 西 壮 族 自 治 区 の 南 寧 市 南 部 雲 南 省 の 昆 明 市 北 部 黒 龍 江 省 のハルピン 市 など 国 境 付 近 の 中 核 都 市 では 既 に 政 府 主 導 の 大 規 模 な 貿 易 投 資 博 覧 会 が 定 例 的 に 開 催 されている また 地 理 的 に 離 れたアフリカや 中 南 米 も 有 望 市 場 とみて 戦 略 的 に 重 視 しており 中 国 -アフリカ 協 力 フォーラム などの 枠 組 みを 通 じて 市 場 開 拓 に 国 家 ぐるみで 取 り 組 んでいる 様 子 が 窺 える 第 3 章 対 新 興 国 輸 出 拡 大 のケーススタディ では 中 国 政 府 と 中 国 企 業 が どのような 連 携 の 下 に 輸 出 振 興 を 図 っているかを 明 らかにした 中 国 製 品 は 世 界 中 に 浸 透 しているが その 背 景 には FTA 締 結 による 関 税 撤 廃 や 貿 易 投 資 博 覧 会 の 定 期 的 な 開 催 さらに 先 進 国 企 業 との 競 合 が 避 けやす いアフリカや 中 南 米 などの 地 域 を 市 場 開 拓 上 重 視 するなどの 特 徴 がみられる アフリカ 向 けの 通 信 機 器 や 中 南 米 向 けの 建 設 機 械 自 動 車 などの 輸 出 振 興 の 成 功 事 例 は 中 国 製 品 が 低 価 格 だが 低 品 質 という 従 来 のイメージから 徐 々に 脱 却 し 低 価 格 だが 品 質 は 十 分 というコストパフォーマンスに 優 れた 製 品 として 新 興 国 で 高 く 評 価 されていることの 証 左 ともいえそうだ 第 4 章 新 興 国 との 貿 易 摩 擦 回 避 策 では 新 興 国 の 中 で 圧 倒 的 な 経 済 規 模 と 生 産 能 力 を 持 つ 中 国 と 新 興 国 間 の 貿 易 摩 擦 に 注 目 した 特 に 中 国 とインドやブラジルなどの 地 域 大 国 との 間 で 製 造 業 を 巡 る 貿 易 摩 擦 が 顕 在 化 している 点 は 気 掛 かりである それでも 中 国 は 意 識 的 に 新 興 国 からの 輸 入 を 拡 大 することで 摩 擦 解 消 を 図 り 輸 出 から 現 地 生 産 へと 移 行 することで 摩 擦 を 回 避 しようとしてい る 姿 勢 は 窺 える 例 えば 貿 易 摩 擦 が 激 化 している 中 国 インド 間 では 首 脳 外 交 を 通 じて 貿 易 から 投 資 に 移 行 することで Win-Win 関 係 を 構 築 しようとしている 点 は 注 目 されよう このように 中 国 の 新 興 国 重 視 の 方 針 は 戦 略 的 かつ 包 括 的 で 揺 るがないようにみえる そのため 中 国 の 対 新 興 国 輸 出 は 拡 大 し 新 興 国 の 対 中 輸 出 もまた 拡 大 する 余 地 が 十 分 あると 考 えられる 15

最 後 に このような 中 国 の 本 格 的 な 新 興 国 重 視 が 日 本 企 業 に 及 ぼす 影 響 に 言 及 して 結 びとしたい (1) 日 中 協 調 の 可 能 性 中 国 政 府 が 想 定 している 輸 出 主 体 は 国 内 産 業 振 興 の 観 点 から 中 国 国 内 企 業 がメインターゲットと 推 察 され あくまで 中 国 国 内 企 業 の 海 外 販 路 を 開 拓 することが 主 たる 狙 いと 考 えられる それでも 中 国 に 進 出 する 多 くの 日 本 企 業 は 中 国 と 第 3 国 との FTA 締 結 通 関 手 続 きの 簡 素 化 など 対 新 興 国 向 けの 貿 易 が 行 い 易 くなることから 中 国 拠 点 の 輸 出 機 能 を 高 めるメリットは 得 られると 考 えられる さらに 中 国 のパートナー 企 業 を 通 じた 新 興 国 における 販 路 確 保 も 期 待 し 得 るだろう なお 中 国 と 新 興 国 の 貿 易 品 は 技 術 水 準 の 近 似 性 などの 観 点 から 先 進 国 との 貿 易 以 上 に 貿 易 摩 擦 が 激 化 するリスクも 内 包 している 中 国 政 府 もその 懸 念 は 十 分 に 認 識 しており 1 輸 入 拡 大 2 輸 出 から 現 地 生 産 への 移 行 といった 対 策 が 採 られつつある ただし 新 興 国 側 では 消 費 者 にはコス トパフォーマンスの 高 い 中 国 製 品 が 歓 迎 されている 一 方 で 地 場 の 産 業 界 からは 中 国 からの 輸 入 急 増 に 対 する 反 発 も 根 強 い そこで 中 国 が 目 指 しているのは 輸 出 製 品 の 高 度 化 により 新 興 国 製 品 との 競 合 度 を 低 めることである この 中 国 側 の 高 度 化 のニーズに 応 えることが 日 本 企 業 にとっての 新 たな 商 機 に 繋 がるだろう 日 本 企 業 が 技 術 料 など 対 価 を 得 ながら 拠 点 の 高 度 化 を 図 ることができれば 合 弁 先 や 取 引 先 中 国 企 業 の 技 術 水 準 は 引 き 上 がり 結 果 的 に 中 国 の 対 新 興 国 輸 出 も 拡 大 するという 日 中 Win-Win 関 係 構 築 に 繋 がると 考 えられるためである (2) 日 中 競 合 の 可 能 性 一 方 で 日 本 政 府 は 2013 年 6 月 に 公 表 した 成 長 戦 略 において 海 外 市 場 獲 得 のための 戦 略 的 取 り 組 みとして 新 興 国 向 けの 輸 出 促 進 および 市 場 開 拓 を 打 ち 出 しており アジア( 中 国 含 む) 中 東 ロシア CIS 中 南 米 などにおいては 輸 出 額 および 現 地 法 人 売 上 高 を 2020 年 までに 2011 年 比 倍 増 アフリカにおいては 同 3 倍 増 とする 目 標 を 掲 げている こうした 成 長 戦 略 の 推 進 は 通 商 戦 略 におけ る 明 確 な 新 興 国 シフトを 図 る 中 国 との 競 合 を 生 む 可 能 性 がある 例 えば 内 乱 が 続 いたことによる 政 情 不 安 などから 日 本 企 業 の 出 遅 れが 指 摘 されるアフリカは 現 在 は 資 源 開 発 などをけん 引 役 とした 成 長 が 続 いて 最 後 のフロンティアとして 脚 光 を 浴 びつつある 中 国 は 従 来 からアフリカは 成 熟 した 先 進 国 市 場 に 比 べて 中 国 企 業 の 優 位 性 が 発 揮 しやすい 市 場 と いう 認 識 を 持 っており 積 極 的 な 市 場 開 拓 を 続 けてきたようである トップ 外 交 FTA 推 進 商 談 会 開 催 貿 易 決 済 の 人 民 元 化 ( 中 国 はアフリカ 諸 国 から 輸 入 した 対 価 を 人 民 元 で 支 払 い アフリカ 諸 国 は 中 国 からの 工 業 製 品 軽 工 業 品 の 輸 入 を 人 民 元 で 支 払 う)など 国 家 を 挙 げてアフリカ 市 場 開 拓 に 注 力 している 商 務 部 研 究 院 によると 例 えば 通 信 機 器 では 中 国 企 業 がトップシェアを 握 るアフリカ 諸 国 は 多 いとのことである 今 後 日 本 企 業 がアフリカ 向 け 輸 出 投 資 を 拡 大 しようとすれば 中 国 企 業 は 特 定 分 野 では 手 強 い 競 合 相 手 となり 得 るだろう このように 中 国 の 新 興 国 重 視 は 日 本 企 業 にとって 協 調 と 競 合 の 両 面 を 持 っている 今 後 特 定 分 野 で 競 合 が 激 化 することは 不 可 避 と 思 われるが 日 本 の 競 争 力 を 十 分 活 かせる 分 野 では 協 調 の 余 地 もまた 十 分 に 大 きいと 考 えられる 16

資 料 編 ( 商 務 部 国 際 貿 易 経 済 合 作 研 究 院 ) 中 国 の 対 新 興 国 向 け 輸 出 振 興 政 策 1. 中 国 の 通 商 政 策 の 概 要 世 界 経 済 危 機 後 世 界 経 済 の 下 振 れ 圧 力 が 中 国 の 対 外 貿 易 に 与 える 影 響 はますます 顕 著 になってい る 中 国 の 先 進 国 に 対 する 輸 出 と 比 べて 中 国 の 新 興 国 市 場 に 対 する 輸 出 の 増 加 は 急 速 で 新 興 国 市 場 は 既 に 中 国 の 対 外 貿 易 の 新 しい 目 玉 となっている このため 中 国 は 国 民 経 済 と 社 会 発 展 の 第 十 二 次 五 カ 年 計 画 要 綱 (2011 年 3 月 採 択 )のな かで 新 興 国 市 場 への 輸 出 入 を 奨 励 する 一 連 の 政 策 措 置 を 公 布 した (1) 輸 出 市 場 は 先 進 国 から 新 興 国 へと 転 換 第 十 一 次 五 カ 年 計 画 ( 以 下 十 一 五 ) 期 間 中 国 の EU 米 国 日 本 香 港 の 4 つの 従 来 市 場 に 対 する 輸 出 入 の 全 体 に 占 める 割 合 は 第 十 次 五 カ 年 計 画 ( 以 下 第 十 次 五 カ 年 計 画 ) 末 の 52.7% から 46.9%に 減 少 した 一 方 新 興 国 市 場 に 対 する 輸 出 入 は 急 速 に 増 加 し シェアも 向 上 した 新 興 国 市 場 に 対 する 輸 出 入 シェアを 地 域 別 にみると 第 十 次 五 カ 年 計 画 末 と 比 べ ASEAN に 対 しては 9.2%から 9.8%へと 向 上 し BRICsは 4.9%から 6.9%へと 中 南 米 は 3.5%から 6.2%へと アフリカは 2.8%から 4.3%へと 向 上 した 2012 年 中 国 の 新 興 国 に 対 する 輸 出 は 全 体 に 急 成 長 の 勢 いを 保 ち そのうち ASEAN ロシア 南 アフリカに 対 する 輸 出 額 は ASEAN が 1,447 億 ドル ロシアが 325.8 億 ドル 南 アフリカが 107.2 億 ドルであった 中 国 政 府 は 政 策 面 で 輸 出 市 場 の 新 興 国 への 転 換 を 引 き 続 き 推 進 するであろう a. 国 民 経 済 と 社 会 発 展 の 第 十 二 次 五 カ 年 計 画 要 綱 国 民 経 済 と 社 会 発 展 の 第 十 二 次 五 カ 年 計 画 要 綱 第 51 章 対 外 貿 易 構 造 の 最 適 化 中 の 第 1 節 輸 出 競 争 の 新 たな 優 位 を 育 成 は 積 極 的 に 新 興 国 市 場 を 開 拓 し 輸 出 市 場 の 多 元 化 を 推 進 する と 明 確 に 打 ち 出 している 長 期 に 亘 り 中 国 の 輸 出 市 場 は 先 進 国 に 集 中 していた 2008 年 の 世 界 経 済 危 機 後 先 進 国 の 衰 退 及 び 保 護 貿 易 主 義 は 直 接 的 に 中 国 の 対 外 貿 易 情 勢 を 悪 化 させた 一 方 新 興 国 経 済 の 成 長 は 急 速 で こ こ 10 年 来 年 平 均 8% 以 上 の 成 長 を 遂 げ 世 界 経 済 の 平 均 成 長 率 より 2 ポイント 高 く 着 実 に 世 界 経 済 成 長 の 原 動 力 となり かつ 世 界 貿 易 での 地 位 も 急 速 に 上 昇 した 新 興 国 と 中 国 との 間 には 既 に 代 替 性 と 同 時 に 補 完 性 もあり 大 きな 貿 易 の 発 展 余 地 を 備 えている このため 中 国 政 府 は 対 外 貿 易 政 策 の 重 点 を 新 興 国 市 場 に 徐 々に 移 している 前 述 の 第 十 二 次 五 カ 年 計 画 要 綱 ( 以 下 十 二 五 計 画 )は 積 極 的 に 新 興 国 市 場 を 開 拓 し 輸 出 市 場 の 多 元 化 を 推 進 する 指 導 思 想 を 打 ち 出 した この 指 導 思 想 に 基 づき 政 府 は 絶 えず 関 連 政 策 を 公 布 し 外 貨 準 備 や 生 産 能 力 上 の 優 位 を 十 分 利 用 し 貿 易 需 要 を 創 り 出 し 輸 出 を 拡 大 している 目 下 中 国 の 輸 出 先 は 徐 々に 多 元 化 の 傾 向 を 示 している 2008 年 以 来 輸 出 の 伸 びの 高 い 国 はロシア アルゼンチン ブルガリア チェコ スロバキア アイルランド エストニア 等 の 国 で 中 国 のこれらの 国 に 対 する 17

輸 出 の 伸 び 率 は 世 界 全 体 に 対 する 輸 出 の 伸 び 率 の 2 倍 以 上 である b. 国 務 院 弁 公 庁 の 対 外 貿 易 の 安 定 成 長 の 促 進 に 関 する 若 干 の 意 見 国 務 院 弁 公 庁 は 2012 年 9 月 18 日 対 外 貿 易 の 安 定 成 長 の 促 進 に 関 する 若 干 の 意 見 ( 以 下 若 干 の 意 見 )を 公 布 し 輸 出 税 還 付 及 び 金 融 サービス 貿 易 の 利 便 性 レベルの 向 上 貿 易 環 境 の 改 善 貿 易 構 造 の 最 適 化 組 織 指 導 の 強 化 を 行 う 上 での 意 見 を 提 起 した 若 干 の 意 見 は 対 外 貿 易 の 国 際 市 場 配 置 と 国 内 の 地 域 配 置 を 最 適 化 しなければならない 企 業 がアフリカ 中 南 米 東 南 ア ジア 中 欧 東 欧 等 の 新 興 市 場 を 開 拓 するのをサポートしなければならない 地 方 業 界 企 業 が 新 興 国 に 赴 き 展 示 会 に 参 加 主 宰 し 貿 易 促 進 活 動 を 行 うのを 奨 励 しなければならない と 強 調 している 若 干 の 意 見 を 貫 徹 実 施 するために 商 務 部 は 直 ちに 関 連 政 策 を 公 布 し 新 興 国 市 場 開 拓 を 明 確 に 奨 励 している 商 務 部 の 政 策 は 対 外 貿 易 の 安 定 成 長 は 就 業 の 拡 大 民 生 の 改 善 につながり 国 民 経 済 の 安 定 成 長 目 標 の 実 現 に 資 するため 対 外 貿 易 発 展 方 式 転 換 の 加 速 を 主 要 路 線 に 構 造 調 整 を 重 点 に 2 つの 配 置 3 つの 建 設 業 務 の 推 進 を 速 め 貿 易 大 国 の 地 位 を 固 め 貿 易 強 国 の 歩 みを 推 進 しなければならないと 強 調 している そのうち 2 つの 配 置 とは 国 際 市 場 の 配 置 の 最 適 化 つまりは 新 興 国 市 場 開 拓 と 国 内 地 域 の 配 置 の 最 適 化 つまりは 東 部 地 区 沿 海 10 省 市 の 対 外 貿 易 を 率 先 してグレードアップし 中 西 部 地 区 の 対 外 貿 易 を 急 速 に 発 展 させることを 指 す 3 つの 建 設 とは 対 外 貿 易 転 換 拠 点 貿 易 プラットフォ ーム 国 際 販 売 ネットワーク 建 設 の 推 進 を 指 す 財 政 部 国 家 質 量 監 督 検 査 総 局 国 家 税 務 総 局 等 の 部 門 も 同 時 に 若 干 の 意 見 を 実 施 するための 関 連 政 策 を 公 布 した これらの 政 策 は 新 興 国 市 場 を 明 確 にターゲットにしたものではないが その 中 の 各 サポート 措 置 はいずれも 新 興 国 への 輸 出 促 進 にも 繋 がっている 財 政 部 は 中 小 対 外 貿 易 企 業 融 資 担 保 特 別 資 金 管 理 暫 定 弁 法 を 発 表 し 担 保 機 関 が 中 小 貿 易 企 業 の 融 資 面 の 困 難 を 緩 和 するため 融 資 担 保 業 務 を 拡 大 させるのを 支 持 した 同 時 に 財 政 部 は 国 家 発 展 改 革 委 員 会 と 合 同 で 輸 出 入 段 階 での 関 連 行 政 事 業 性 費 用 徴 収 の 取 消 免 除 に 関 する 通 知 を 制 定 し 2012 年 10 月 1 日 より 税 関 の 監 督 管 理 手 続 費 用 を 撤 廃 した 国 家 質 量 監 督 検 査 総 局 は 若 干 の 意 見 及 び 国 税 総 局 の 通 知 に 依 拠 し 法 定 出 入 国 検 査 検 疫 費 用 の 徴 収 免 除 の 具 体 的 措 置 と 関 連 要 求 を 公 布 し 全 ての 出 入 国 貨 物 輸 送 工 具 コンテナ その 他 法 定 検 査 検 疫 物 に 対 し 出 入 国 検 査 検 疫 費 を 免 除 するとした また 直 通 通 関 グリーンチャネル 制 度 を 引 き 続 き 整 備 し AA レベルの 与 信 管 理 企 業 及 び 1 類 工 業 品 生 産 企 業 の 敷 居 を 適 度 に 合 理 的 に 引 き 下 げた 国 家 税 務 局 は 若 干 の 意 見 の 要 求 に 基 づき 財 税 [2012]39 号 国 家 税 務 総 局 公 告 2012 年 第 24 号 国 税 函 [2010]89 号 等 の 文 書 を 公 布 し 輸 出 税 還 付 措 置 を 積 極 的 に 採 用 し 対 外 貿 易 の 増 加 をサポートするとした 国 家 税 務 総 局 の 政 策 には 輸 出 税 還 付 ( 免 除 ) 企 業 貨 物 及 び 貿 易 方 式 の 範 囲 の 拡 大 一 部 の 輸 出 貨 物 を 税 徴 収 から 免 税 へと 変 更 積 出 港 及 び 融 資 リース 輸 出 貨 物 の 事 前 税 還 付 政 策 を 制 定 輸 出 税 還 付 ( 免 除 ) 申 告 証 明 書 の 簡 素 化 輸 出 税 還 付 ( 免 除 ) 申 告 期 限 の 延 長 輸 出 税 還 付 ( 免 除 )のフローの 最 適 化 等 がある 18

c. 対 外 貿 易 発 展 の 十 二 五 計 画 2012 年 4 月 商 務 部 は 対 外 貿 易 発 展 の 十 二 五 計 画 を 発 行 した これは 対 外 貿 易 専 門 の 初 めての 5 カ 年 計 画 である 対 外 貿 易 発 展 の 十 二 五 計 画 は 2011~15 年 の 我 が 国 の 対 外 貿 易 発 展 戦 略 を 述 べており 今 後 5 年 の 我 が 国 の 対 外 貿 易 発 展 における 行 動 計 画 である 輸 出 市 場 では 計 画 内 に 今 後 5 年 の 発 展 目 標 は 輸 出 の 発 展 空 間 の 配 置 を 更 に 整 備 する 欧 州 米 国 日 本 香 港 等 の 従 来 市 場 に 対 する 輸 出 入 を 安 定 成 長 させ 比 重 を 緩 やかに 下 げる 新 興 国 途 上 国 等 の 他 の 市 場 に 対 しては 輸 出 入 を 比 較 的 速 く 成 長 させ 2015 年 には 全 国 の 対 外 貿 易 における 割 合 を 5 ポイント 前 後 向 上 させ 58%を 目 指 し 努 力 する と 明 確 に 提 起 している 計 画 は 更 に 国 際 市 場 配 置 の 最 適 化 は 今 後 5 年 の 対 外 貿 易 発 展 の 重 要 任 務 の 一 つになると 言 及 している 政 策 の 誘 導 市 場 の 主 導 協 力 推 進 重 点 突 破 の 原 則 に 従 い 従 来 市 場 を 固 めると 同 時 に 新 興 市 場 を 大 いに 開 拓 し 周 辺 市 場 を 養 成 する 資 源 備 蓄 量 人 口 規 模 市 場 シェア 戦 略 地 位 等 の 要 素 を 総 合 的 に 考 慮 し 途 上 国 市 場 を 選 定 し 重 点 開 拓 する 計 画 の 精 神 にのっとり 中 国 は 既 に 関 連 政 策 を 制 定 した 一 方 では 中 国 は 既 に 30 カ 国 を 選 定 し 今 後 数 年 の 対 外 貿 易 多 元 化 戦 略 の 重 点 突 破 市 場 としている 既 に 選 んだ 新 興 国 はアジア ヨーロ ッパ アフリカ 米 国 に 広 範 囲 に 分 布 しており インド アフリカ 一 部 のアラブ 国 家 及 びその 他 の 資 源 が 豊 富 で 戦 略 的 に 重 要 な 国 も 含 まれている もう 一 方 では 政 府 は 政 策 資 金 サポートを 強 化 し 輸 出 入 銀 行 信 用 保 険 等 の 政 策 性 金 融 機 関 による 重 点 市 場 の 開 拓 に 対 するサポートを 強 化 し 中 小 企 業 への 市 場 開 拓 資 金 のサポートを 調 整 し 中 小 企 業 の 国 際 市 場 開 拓 の 補 助 基 準 を 20% 向 上 させるとし ている d. 対 外 貿 易 発 展 方 式 の 転 換 を 加 速 する 指 導 意 見 商 務 部 発 展 改 革 委 員 会 財 政 部 人 民 銀 行 税 関 総 署 税 務 総 局 質 量 監 督 検 疫 検 査 総 局 銀 行 業 監 督 管 理 委 員 会 保 険 業 監 督 管 理 委 員 会 外 貨 管 理 局 は 連 合 で 2012 年 2 月 に 対 外 貿 易 発 展 方 式 の 転 換 を 加 速 する 指 導 意 見 を 公 布 し 対 外 貿 易 の 発 展 方 式 を 転 換 する 指 導 思 想 全 体 原 則 発 展 目 標 主 要 任 務 政 策 措 置 体 制 メカニズム 保 障 を 提 起 した なかでも 国 際 市 場 の 配 置 を 最 適 化 し 新 興 国 市 場 を 開 拓 しなければならないと 明 確 に 提 示 した 指 導 意 見 は 対 外 貿 易 の 発 展 方 式 の 転 換 の 加 速 における 主 要 な 任 務 は 対 外 貿 易 国 際 市 場 と 国 内 地 域 の 2 つの 配 置 を 最 適 化 し 対 外 貿 易 転 換 拠 点 貿 易 プラットフォーム 国 際 販 売 ネットワーク の 3 つの 建 設 を 速 め 輸 出 商 品 の 品 質 を 高 め 加 工 貿 易 をレベルアップし 対 外 進 出 による 貿 易 の 牽 引 を 加 速 し 国 境 貿 易 とサービス 貿 易 を 発 展 させ 貿 易 均 衡 を 促 進 し 貿 易 の 利 便 性 レベルを 向 上 させることである このため 指 導 意 見 は 同 時 に 財 務 税 制 政 策 の 完 備 金 融 サービスの 強 化 貿 易 及 び 関 連 政 策 の 完 備 体 制 メカニズム 保 障 管 理 体 制 の 改 革 貿 易 摩 擦 対 応 メカニズムの 完 備 業 務 メカニズムの 健 全 化 等 の 一 連 の 政 策 措 置 を 含 む 多 くの 支 援 政 策 を 提 起 した 19

(2) 新 興 国 との FTA 交 渉 を 推 進 2012 年 中 国 国 務 院 の 李 克 強 副 総 理 ( 当 時 )は 第 3 回 中 国 アラブ 貿 易 フォーラムの 開 幕 式 のスピー チで 中 国 は 3 つの 面 で 新 興 国 及 び 途 上 国 との 提 携 を 強 化 する 1 点 目 は 戦 略 的 提 携 を 強 化 する 2 点 目 は 相 互 協 力 を 拡 大 する 3 点 目 は 持 続 的 な 提 携 を 実 現 すると 表 明 した 李 克 強 副 総 理 は 新 興 国 との 貿 易 自 由 化 を 更 に 推 進 し 提 携 を 深 化 させて 比 較 優 位 を 経 済 的 利 益 に 転 換 すると 強 調 した この 指 導 思 想 の 下 で 中 国 は 近 年 多 くの 新 興 国 との 貿 易 提 携 を 推 進 する 政 策 を 発 表 している a. 中 国 共 産 党 第 十 八 回 全 国 人 民 代 表 大 会 報 告 2012 年 11 月 胡 錦 涛 総 書 記 は 中 国 共 産 党 第 十 八 回 全 国 人 民 代 表 大 会 で 中 国 色 のある 社 会 主 義 の 道 に 沿 って 確 固 としてゆるぎなく 前 進 し 小 康 社 会 を 全 面 的 に 建 設 するため 奮 闘 する 報 告 ( 以 下 十 八 大 報 告 )を 行 い 報 告 は 過 去 の 活 動 経 験 の 総 括 を 踏 まえ 今 後 の 活 動 の 目 標 を 提 示 した 十 八 大 報 告 は 社 会 主 義 市 場 経 済 体 制 の 整 備 を 加 速 し 経 済 成 長 モデルの 転 換 を 加 速 することを 示 し 開 放 型 経 済 のレベルを 全 面 的 に 引 き 上 げ 2 国 間 多 国 間 の 開 放 協 力 を 統 一 的 に 計 画 し 自 由 貿 易 協 定 戦 略 の 実 施 を 加 速 し 周 辺 国 との 相 互 運 用 性 の 達 成 を 推 進 する ことを 強 調 している 自 由 貿 易 協 定 の 推 進 は 中 国 が 新 興 国 との 貿 易 提 携 を 推 進 する 主 な 方 式 の 一 つである 現 在 中 国 は 世 界 29 カ 国 地 域 との 間 に 16 の 自 由 貿 易 協 定 を 締 結 している そのうち 既 に 10 の 自 由 貿 易 協 定 を 発 効 している それぞれ 中 国 と ASEAN シンガポール パキスタン ニュージーランド チリ ペル ー コスタリカ 自 由 貿 易 協 定 中 国 大 陸 と 香 港 マカオの 更 に 緊 密 な 経 済 貿 易 関 係 の 調 整 及 び 台 湾 との 両 岸 経 済 協 力 枠 組 協 定 である 現 在 交 渉 している 自 由 貿 易 協 定 は 6 つあり 中 国 と 湾 岸 協 力 会 議 オーストラリア ノルウェー スイス アイスランド 韓 国 との 自 由 貿 易 協 定 である b. 国 民 経 済 と 社 会 発 展 の 第 12 次 五 カ 年 計 画 要 綱 十 八 大 報 告 の 精 神 にのっとり 中 国 政 府 は 二 国 間 多 国 間 の 地 域 開 放 協 力 特 に 自 由 貿 易 協 定 等 の 方 法 を 通 じ 更 に 新 興 国 との 発 展 協 力 を 推 進 していくことを 明 確 にした 十 二 五 計 画 第 53 章 世 界 経 済 のガバナンスと 地 域 協 力 に 積 極 的 に 参 与 は 我 が 国 と 新 興 国 との 更 なる 貿 易 協 力 に 対 し 明 確 な 行 動 要 綱 を 制 定 している 行 動 要 綱 は 近 隣 諸 国 との 善 隣 友 好 及 び 実 務 協 力 を 深 め 地 区 の 平 和 安 定 を 維 持 し 共 同 発 展 と 繁 栄 を 促 す 途 上 国 との 団 結 協 力 を 強 化 し 伝 統 的 友 好 を 深 め 共 同 の 利 益 を 守 る 多 国 間 協 力 を 積 極 的 に 展 開 する 国 際 経 済 体 制 改 革 を 推 進 し 国 際 経 済 秩 序 の 更 なる 公 正 で 合 理 的 な 発 展 を 促 進 する G20 等 とのグローバル 経 済 ガバナンスメカニズム 協 力 に 積 極 的 に 参 与 し バラン スのとれた 皆 が 恩 恵 を 受 ける Win-Win の 多 国 間 貿 易 体 制 構 築 を 推 進 し 様 々な 形 の 保 護 主 義 に 反 対 する 国 際 金 融 体 制 改 革 を 積 極 的 に 推 進 し 国 際 通 貨 体 制 の 合 理 化 を 推 進 する 主 要 経 済 体 とのマクロ 経 済 の 政 策 協 調 を 強 化 する 国 際 ルール 及 び 規 格 の 修 正 制 定 に 積 極 的 に 参 与 し 国 際 経 済 金 融 組 織 において 更 に 大 きな 役 割 を 発 揮 する としている 20

行 動 要 綱 は 更 に 自 由 貿 易 協 定 戦 略 の 実 施 を 加 速 し 主 な 貿 易 パートナーとの 経 済 連 携 を 更 に 強 化 し 新 興 国 及 び 途 上 国 との 実 務 協 力 を 深 める としている APEC 等 の 各 種 国 際 地 域 及 び 準 地 域 との 協 力 メカニズムを 利 用 し 他 の 国 地 域 協 力 を 強 化 し 南 南 協 力 を 強 化 する c. 国 務 院 弁 公 庁 の 対 外 貿 易 の 安 定 成 長 の 促 進 に 関 する 若 干 の 意 見 国 務 院 の 若 干 の 意 見 中 の 第 3 条 貿 易 環 境 の 改 善 中 に 多 国 間 二 国 間 関 係 を 深 化 させる G20 上 海 協 力 機 構 等 の 多 国 間 及 び 地 域 準 地 域 との 提 携 メカニズム 等 に 深 く 参 与 し 企 業 の 地 域 準 地 域 提 携 メカニズム 及 び 既 に 発 効 した 自 由 貿 易 協 定 の 有 効 利 用 を 奨 励 する ハイレベル 対 話 と 二 国 間 経 済 貿 易 連 合 委 員 会 等 のプラットフォームを 充 分 に 利 用 し 主 な 貿 易 パートナーとの 経 済 貿 易 協 力 を 強 化 する 関 係 する 国 地 域 の 自 由 貿 易 協 定 交 渉 の 推 進 を 加 速 する とされている 長 期 に 亘 り 中 国 は 一 貫 して G20 上 海 協 力 機 構 等 のプラットフォームを 通 し 新 興 国 と 提 携 する 立 場 を 堅 守 し 新 興 国 及 び 途 上 国 の 世 界 経 済 に 対 する 役 割 を 客 観 的 に 認 識 し G20 等 の 経 済 協 力 プラ ットフォームでの 新 興 国 の 発 言 権 を 高 めることを 希 望 している 十 八 大 報 告 の 精 神 にのっとり 国 務 院 は 若 干 の 意 見 を 発 表 し 新 興 国 との 経 済 貿 易 協 力 を 強 調 し かつ 協 力 の 主 な 方 式 は 地 域 協 力 メカニズム 及 び 自 由 貿 易 協 定 であると 言 及 した 若 干 の 意 見 公 布 後 中 国 は 地 域 協 力 推 進 の 歩 みを 強 め 幾 つかの 新 興 国 との 自 由 貿 易 協 定 交 渉 を 展 開 した d. 対 外 貿 易 発 展 方 式 転 換 の 加 速 に 関 する 指 導 意 見 10 の 部 と 委 員 会 が 連 合 で 公 布 した 指 導 意 見 の 中 で 対 外 貿 易 発 展 方 式 の 転 換 の 加 速 における 主 要 な 任 務 は 対 外 経 済 貿 易 協 力 区 建 設 と 国 境 地 区 の 経 済 協 力 を 推 進 することである と 指 摘 して いる すなわち 国 境 地 区 の 対 外 開 放 の 拡 大 を 通 し 国 境 沿 いの 開 放 レベルを 向 上 し 国 境 地 域 を 振 興 し 民 を 豊 かにする 目 標 を 実 現 する 国 境 地 区 に 関 する 財 政 の 移 転 支 出 を 整 備 する 国 境 地 区 に 対 し 産 業 移 転 のための 技 術 資 金 とクレジットサポートを 強 化 する 国 境 地 区 の 地 の 利 資 源 の 優 位 性 と 特 殊 経 済 化 開 発 区 等 の 政 策 優 位 性 を 総 合 的 に 利 用 し 国 境 経 済 協 力 区 税 関 特 殊 監 督 管 理 区 を 国 境 貿 易 発 展 のキャリア 機 能 とし 国 境 地 区 の 産 業 集 積 と 構 造 の 最 適 化 を 促 進 し 国 境 地 区 の 発 展 に 比 較 優 位 を 持 つ 特 色 ある 産 業 を 奨 励 し 国 際 競 争 力 を 向 上 させ 国 境 貿 易 の 安 定 した 比 較 的 速 い 発 展 を 推 進 する 前 述 の 幾 つかの 政 策 文 書 と 同 様 に 指 導 意 見 は 貿 易 の 地 域 協 力 を 推 進 する 角 度 から 政 府 や 企 業 に 発 展 方 向 を 明 示 した 中 国 にとっては ベトナム インド 等 の 周 辺 新 興 国 との 協 力 は 今 後 数 年 間 の 活 動 の 重 点 である 21

e. 国 家 級 経 済 技 術 開 発 区 及 び 国 境 経 済 協 力 区 の 十 二 五 発 展 計 画 (2011~15 年 ) 2012 年 11 月 商 務 部 は 国 家 級 経 済 技 術 開 発 区 及 び 国 境 経 済 協 力 区 の 十 二 五 発 展 計 画 (2011 ~15 年 ) を 公 布 した 計 画 は 先 ず 20 年 来 の 国 家 級 開 発 区 国 境 経 済 協 力 区 の 開 発 建 設 の 発 展 成 果 及 び 現 段 階 の 国 際 国 内 情 勢 を 総 括 した 世 界 金 融 危 機 の 影 響 を 受 け 世 界 の 経 済 成 長 は 減 速 し 世 界 的 な 需 要 構 造 にも 変 化 が 起 きた 計 画 は 主 要 先 進 国 が 回 復 力 に 欠 ける 一 方 で 新 興 国 の 回 復 の 勢 いは 高 く 実 力 も 高 まり 市 場 需 要 が 拡 大 し 地 域 協 力 の 歩 みが 加 速 し 地 域 貿 易 障 壁 も 低 くなった 国 家 級 開 発 区 および 国 境 協 力 区 は 世 界 経 済 の 情 勢 変 化 に 常 に 関 心 を 注 ぎ 対 外 貿 易 の 発 展 方 式 を 刷 新 し 輸 出 入 構 造 を 最 適 化 し 先 進 国 における 市 場 シェアを 固 めると 同 時 に 積 極 的 に 新 興 国 市 場 を 開 拓 しなければならないと 指 摘 して いる 計 画 は 国 境 協 力 区 の 全 体 目 標 を 地 区 の 域 内 総 生 産 を 年 平 均 20% 成 長 させ 2015 年 末 には 980 億 元 に 到 達 させる 外 国 投 資 の 実 際 利 用 を 年 平 均 14% 増 加 させ 8 億 ドルに 到 達 させる 税 収 を 年 平 均 17% 増 加 させ 90 億 元 に 到 達 させる 一 人 当 たり 域 内 総 生 産 を 33 万 元 に 到 達 させる として いる 同 時 に 計 画 は 開 放 経 済 の 枠 組 みを 最 適 化 する 必 要 性 を 明 確 にしている 国 境 協 力 区 はポートのインフラを 更 に 整 備 し 通 関 及 び 総 合 関 連 能 力 を 向 上 し 都 市 建 設 の 管 理 レベルを 引 き 上 げ 対 外 交 流 窓 口 プラットフォームの 役 割 を 発 揮 しなければならない 国 境 貿 易 及 び 特 色 のある 産 業 加 工 を 大 いに 発 展 させ 輸 出 入 規 模 を 拡 大 し 国 境 地 区 の 対 外 貿 易 が 全 国 の 対 外 貿 易 に 占 める 割 合 を 向 上 させなければならない 国 境 ポートに 依 拠 し 一 定 規 模 の 商 品 集 散 市 場 及 び 多 機 能 物 流 センターを 複 数 建 設 する 資 源 輸 入 を 奨 励 し 特 色 のある 良 質 な 高 付 加 価 値 の 商 品 を 輸 出 する 国 境 沿 いの 地 の 利 を 発 揮 し 近 隣 諸 国 地 域 自 由 貿 易 協 定 経 済 協 力 協 定 その 他 の 多 国 間 二 国 間 組 織 の 経 済 協 力 の 枠 組 みを 利 用 し 国 境 に 跨 る 経 済 協 力 区 モデルを 積 極 的 に 探 り 慎 重 に 推 進 する としている 計 画 は 十 八 大 報 告 の 精 神 及 び 国 の 十 二 五 計 画 要 綱 の 中 国 国 家 地 域 発 展 面 における 具 体 化 であり 今 後 国 家 級 経 済 技 術 開 発 区 および 国 境 経 済 協 力 区 が 経 済 活 動 の 重 点 になるであろう ことを 表 明 している 中 国 の 周 辺 経 済 協 力 の 現 状 からみて 国 家 級 経 済 技 術 開 発 区 および 国 境 経 済 協 力 区 を 通 じた 中 国 と 周 辺 新 興 国 の 間 の 新 技 術 新 エネルギー 等 の 分 野 での 経 済 貿 易 協 力 は 今 後 大 い に 向 上 するであろう 22

(3) 対 外 貿 易 での 人 民 元 決 済 を 推 進 中 国 の 国 力 増 強 に 伴 い 人 民 元 為 替 レートはゆっくりと 上 昇 している 中 国 の 経 済 的 プレゼンスの 高 まりを 踏 まえれば 人 民 元 が 世 界 主 要 通 貨 となることは 不 可 避 であり 中 国 と 新 興 国 の 密 接 な 経 済 貿 易 協 力 の 下 で 人 民 元 を 貿 易 決 済 通 貨 とすることは ドルのみに 依 拠 し 貿 易 決 算 を 行 って 生 じる 為 替 リスクを 軽 減 でき 双 方 にとって Win-Win である 実 際 中 国 と 新 興 国 の 貿 易 投 資 人 員 往 来 が 急 速 に 発 展 するに 伴 って 人 民 元 は 事 実 上 ある 程 度 必 要 な 支 払 い 手 段 となっている 中 国 は 既 にベトナム モンゴル ラオス ネパール ロシア キル ギス 韓 国 カザフスタンの 8 カ 国 の 中 央 銀 行 と 国 境 貿 易 の 人 民 元 決 済 の 協 定 を 締 結 した 南 アフリ カのスタンダードバンクの 研 究 報 告 の 中 で アフリカは 人 民 元 の 国 際 化 プロセスが 最 も 速 い 地 域 で 2015 年 までに 中 国 とアフリカの 貿 易 額 で 少 なくとも 1,000 億 ドルは 人 民 元 を 使 用 し 決 済 し その 規 模 は 2010 年 の 中 国 とアフリカ 間 の 貿 易 額 を 超 えるであろうと 指 摘 している その 際 人 民 元 はドル に 取 って 代 わり 中 国 とアフリカの 貿 易 の 主 要 決 済 通 貨 となるとみられ 同 時 にアフリカ 諸 国 の 経 済 貿 易 往 来 における 取 引 コストを 効 率 よく 軽 減 すると 見 られる 新 興 国 との 間 の 協 力 を 強 化 し 人 民 元 の 国 際 決 済 通 貨 化 を 推 進 するために 中 国 政 府 は 多 くの 政 策 を 公 布 した a. クロスボーダー 貿 易 人 民 元 決 済 試 行 管 理 弁 法 2009 年 7 月 1 日 中 国 人 民 銀 行 財 政 部 商 務 部 税 関 総 署 国 家 税 務 総 局 中 国 銀 行 業 監 督 管 理 委 員 会 は 連 合 で クロスボーダー 貿 易 人 民 元 決 済 試 行 管 理 弁 法 ( 公 告 2009 第 10 号 )を 公 布 した 弁 法 は 指 定 された 条 件 の 整 った 企 業 が 人 民 元 でクロスボーダー 決 済 を 行 うことを 許 可 し 商 業 銀 行 の 企 業 に 対 するクロスボーダーの 人 民 元 決 済 サービス 提 供 をサポートする と 指 摘 した 企 業 と 国 外 企 業 が 人 民 元 で 決 済 する 輸 出 入 取 引 は 香 港 マカオ 地 区 の 国 内 商 業 銀 行 の 代 理 国 外 商 業 銀 行 を 通 じ 人 民 元 資 金 のクロスボーダー 決 済 を 行 える 人 民 元 を 用 いて 決 済 する 輸 出 貿 易 は 関 連 規 定 に 従 い 輸 出 貨 物 の 税 還 付 (あるいは 免 税 ) 政 策 を 享 受 できる 同 年 7 月 3 日 中 国 人 民 銀 行 はま た クロスボーダー 人 民 元 決 済 試 行 管 理 弁 法 実 施 細 則 ( 銀 発 [2009]212 号 )を 公 布 した クロスボーダー 貿 易 人 民 元 決 済 試 行 管 理 弁 法 及 びその 実 施 細 則 公 布 後 関 連 部 門 は 関 連 する 政 策 措 置 を 発 表 した 7 月 6 日 国 家 外 為 管 理 局 は クロスボーダー 人 民 元 決 済 の 国 際 収 支 統 計 申 告 の 関 連 事 項 に 関 する 通 知 ( 匯 総 発 [2009]90 号 )を 発 表 した 8 月 25 日, 国 家 税 務 総 局 は クロスボー ダー 人 民 元 決 済 の 輸 出 貨 物 税 還 付 (あるいは 免 税 )の 関 連 事 項 に 関 する 通 知 ( 国 税 函 [2009]470 号 ) を 発 表 した 8 月 27 日 税 関 総 署 は クロスボーダー 人 民 元 決 済 試 行 の 関 連 問 題 に 関 する 通 知 ( 監 管 函 [2009]255 号 )を 発 表 した 2010 年 3 月 8 日 中 国 人 民 銀 行 は 人 民 元 のクロスボーダー 支 払 受 取 情 報 管 理 システム(RCPMIS) 管 理 暫 定 弁 法 ( 銀 発 [2010]79 号 )を 発 表 した これらの 措 置 は 人 民 元 が 国 際 市 場 特 に 新 興 国 間 の 貿 易 決 済 通 貨 に 向 かう 第 1 歩 であることを 示 している 23

b. クロスボーダー 貿 易 の 人 民 元 決 済 の 試 行 拡 大 の 関 連 問 題 に 関 する 通 知 企 業 のクロスボーダー 貿 易 の 人 民 元 決 済 の 実 際 の 需 要 を 満 たし 人 民 元 決 済 の 貿 易 及 び 投 資 の 利 便 化 に 対 する 促 進 作 用 を 更 に 発 揮 させるため 2010 年 6 月 22 日 中 国 人 民 銀 行 財 政 部 商 務 部 税 関 総 署 国 家 税 務 総 局 中 国 銀 行 業 監 督 管 理 委 員 会 は 再 び 連 合 で クロスボーダー 貿 易 の 人 民 元 決 済 の 試 行 拡 大 の 関 連 問 題 に 関 する 通 知 を 発 表 した 通 知 はクロスボーダー 貿 易 の 人 民 元 決 済 の 国 外 地 域 は 香 港 マカオ ASEAN 地 区 から 全 ての 国 と 地 域 に 拡 大 する 北 京 天 津 内 蒙 古 遼 寧 吉 林 黒 竜 江 江 蘇 浙 江 福 建 山 東 湖 北 広 西 海 南 重 慶 四 川 雲 南 チベット 新 疆 等 の 18 の 省 ( 自 治 区 直 轄 市 )を 試 行 地 区 に 増 やし 広 東 省 の 試 行 範 囲 は 4 都 市 から 全 省 に 拡 大 し 上 海 市 と 広 東 省 の 輸 出 貨 物 貿 易 の 人 民 元 決 済 試 行 企 業 の 数 を 増 やす この 措 置 は 人 民 元 の 周 辺 新 興 国 間 での 決 済 機 能 を 直 接 推 進 する と 指 摘 した c. 国 民 経 済 と 社 会 発 展 の 第 十 二 次 五 カ 年 計 画 要 綱 2011 年 3 月 十 二 五 計 画 要 綱 は 金 融 体 制 改 革 を 深 化 する の 第 48 章 で 人 民 元 のク ロスボーダー 使 用 を 拡 大 し 人 民 元 の 資 本 項 目 における 兌 換 を 徐 々に 実 現 する と 明 確 に 打 ち 出 して いる 初 期 の 試 行 を 経 て 試 行 業 務 の 拡 大 に 到 り 既 に 多 様 な 業 務 をカバーするクロスボーダー 業 務 体 系 が 徐 々に 形 成 され 国 内 企 業 の 輸 出 入 業 務 の 為 替 リスクを 効 率 よく 低 下 させ 貿 易 と 投 資 の 利 便 化 が 促 進 された 十 二 五 計 画 精 神 にのっとり 中 国 は 新 興 国 の 中 央 銀 行 との 提 携 に 注 力 し 2011 年 末 までに 中 国 人 民 銀 行 と 韓 国 マレーシア ベラルーシ アルゼンチン 等 の 14 カ 国 地 域 の 中 央 銀 行 及 び 通 貨 当 局 と 総 額 1.3 兆 人 民 元 の 二 国 間 通 貨 スワップ 協 定 を 結 び 一 部 の 協 定 は 実 質 的 に 実 用 段 階 に 入 り これら 国 地 域 との 二 国 間 貿 易 及 び 投 資 の 発 展 を 大 いに 推 進 した d. 国 外 直 接 投 資 の 人 民 元 決 済 試 行 管 理 弁 法 クロスボーダー 貿 易 の 人 民 元 決 済 試 行 と 組 み 合 わせ 国 内 機 関 の 人 民 元 での 国 外 直 接 投 資 展 開 を 便 利 にし 金 融 機 関 の 国 外 直 接 投 資 の 人 民 元 決 済 業 務 を 規 範 化 するため 人 民 銀 行 は 外 貨 管 理 局 と 合 同 で 国 外 直 接 投 資 の 人 民 元 決 済 試 行 管 理 弁 法 を 制 定 した 管 理 弁 法 は 銀 行 は 国 外 直 接 投 資 主 管 部 門 の 許 可 証 あるいは 文 書 を 国 外 直 接 投 資 における 人 民 元 決 済 の 主 な 依 拠 とし 銀 行 のリスク 予 防 の 責 任 を 強 化 し 監 督 管 理 部 門 間 の 情 報 共 有 と 監 督 管 理 協 力 を 最 優 先 し 有 効 なリスク 予 防 の 基 礎 の 上 に 銀 行 と 企 業 の 業 務 展 開 への 利 便 性 を 提 供 する と 明 確 に 指 摘 している e. クロスボーダー 貿 易 の 人 民 元 決 済 地 区 の 拡 大 に 関 する 通 知 2011 年 8 月 人 民 銀 行 財 政 部 商 務 部 税 関 総 署 税 務 総 局 銀 行 業 監 督 管 理 委 員 会 は 連 合 で ク ロスボーダー 貿 易 の 人 民 元 決 済 地 区 の 拡 大 に 関 する 通 知 を 公 布 した 通 知 は クロスボーダー 貿 易 の 人 民 元 決 済 の 国 内 地 域 範 囲 を 全 国 に 拡 大 し 更 に 貿 易 と 投 資 の 利 便 化 を 促 進 する と 説 明 して 24

いる これをもって 中 国 の 各 地 域 の 企 業 はいずれもクロスボーダー 人 民 元 決 済 業 務 を 行 うことが 可 能 と なった これは 国 の 十 二 五 計 画 要 綱 の 人 民 元 のクロスボーダー 使 用 の 拡 大 を 実 現 する 重 要 な 措 置 であり 企 業 ニーズをより 満 足 させ 中 国 と 新 興 国 間 の 貿 易 と 投 資 の 利 便 化 をさらに 促 進 する ものである f. 輸 出 貨 物 貿 易 の 人 民 元 決 済 における 企 業 管 理 に 関 する 問 題 についての 通 知 2012 年 2 月 中 国 人 民 銀 行 財 政 部 商 務 部 税 関 総 署 国 家 税 務 総 局 中 国 銀 行 業 監 督 管 理 委 員 会 は 連 合 で 輸 出 貨 物 貿 易 の 人 民 元 決 済 における 企 業 管 理 に 関 する 問 題 についての 通 知 を 公 布 した 通 知 は 輸 出 貨 物 貿 易 の 人 民 元 決 済 に 参 与 する 主 体 は 試 行 リストに 入 っている 企 業 に 限 らず 輸 出 入 経 営 資 格 を 有 する 全 ての 企 業 が 輸 出 貨 物 貿 易 の 人 民 元 決 済 業 務 を 行 うことができる と 明 確 に 指 摘 している 同 時 に 輸 出 貨 物 貿 易 における 人 民 元 決 済 の 正 常 展 開 を 促 進 し リスクを 予 防 し 監 督 管 理 の 有 効 性 と 方 向 性 を 向 上 させるため 関 連 部 門 はここ 2 年 で 税 務 税 関 金 融 面 で 比 較 的 深 刻 な 違 法 行 為 が あった 企 業 に 対 し 重 点 監 督 管 理 を 行 い 法 とコンプライアンスにのっとり 業 務 を 行 うことを 促 すとし ている また 重 点 監 督 管 理 範 囲 については 動 態 管 理 を 行 い 毎 年 調 整 を 行 う としている 本 通 知 公 布 後 我 が 国 の 輸 出 入 貨 物 貿 易 サービス 貿 易 その 他 の 経 常 項 目 に 従 事 する 企 業 は いずれも 人 民 元 で 見 積 もり 決 済 及 び 受 取 と 支 払 を 行 うことを 選 択 できる これは 人 民 元 が 新 興 国 間 の 貿 易 決 済 通 貨 となることを 更 に 推 進 するのに 重 大 な 意 義 をもっている 政 策 の 奨 励 と 誘 導 を 通 じ 国 際 貿 易 での 運 用 が 僅 か 3 年 にもかかわらず 人 民 元 は 既 に 新 興 国 間 の 決 済 通 貨 となった 2012 年 の 最 初 の 4 ヶ 月 間 全 世 界 の 人 民 元 決 済 の 信 用 状 の 下 での 貿 易 額 は 全 信 用 状 の 貿 易 額 の 4%を 占 め これはドルとユーロに 次 ぐもので 顕 著 な 成 果 を 収 めた 25

2. 地 域 別 の 貿 易 政 策 前 述 の 政 策 指 導 思 想 に 従 い 中 国 は 各 新 興 国 の 間 の 経 済 貿 易 協 力 を 大 いに 推 進 し かつそれぞれの 国 の 基 本 情 況 の 違 いに 適 応 した 貿 易 政 策 を 制 定 した (1)アジア アジアは 一 貫 して 中 国 の 重 要 な 貿 易 パートナーである 2011 年 世 界 経 済 の 回 復 が 鈍 化 する 不 利 な 情 勢 の 下 で 中 国 とアジアの 貿 易 は 依 然 比 較 的 速 い 成 長 を 続 け 成 長 スピードは 輸 出 全 体 の 伸 びのス ピードを 上 回 った 目 下 中 国 の 対 新 興 国 貿 易 中 アジアの 国 と 地 域 は 5 割 を 占 めている このため 中 国 は 一 貫 してアジアとの 経 済 貿 易 協 力 を 非 常 に 重 視 している a. 東 南 アジア 諸 国 東 南 アジアには ブルネイ インドネシア マレーシア フィリピン シンガポール タイ カン ボジア ラオス ミャンマー ベトナムなどの 国 がある 1960 年 代 東 南 アジア 諸 国 は 東 南 アジア 諸 国 連 合 (ASEAN)を 設 立 した 2002 年 中 国 は ASEAN と 中 国 ASEAN 包 括 的 経 済 協 力 枠 組 み 協 定 を 締 結 し 双 方 間 経 済 貿 易 協 力 の 主 な 法 的 依 拠 となった 協 定 締 結 以 来 双 方 間 経 済 貿 易 協 力 は 大 いに 前 進 し 自 由 貿 易 協 定 は 絶 えず 深 化 し 双 方 間 貿 易 は 緩 やかに 成 長 し 農 業 エネルギー インフラ 施 設 製 造 と 加 工 業 等 の 分 野 の 協 力 は 更 に 強 化 された 2012 年 1~11 月 中 国 と ASEAN 間 の 輸 出 入 総 額 は 3,599.6 億 ドルで 前 年 同 期 比 9.3% 増 加 した な かでも 中 国 の ASEAN に 対 する 輸 出 は 1,831.3 億 ドルで 同 19.3% 増 加 輸 出 全 体 の 伸 びのスピード を 12 ポイント 上 回 った 対 して 輸 入 は 1,768.3 億 ドルで 同 0.6% 増 加 した 目 下 ASEAN は 中 国 の 3 番 目 の 貿 易 パートナー 4 番 目 の 輸 出 先 及 び 2 番 目 の 輸 入 元 である 同 時 に 通 貨 決 済 は 双 方 間 協 力 の 重 要 なプラットフォームである タイ 系 のバンコク 銀 行 ( 中 国 ) 有 限 公 司 の 洪 欽 雄 CEO はこのほどタイ 民 族 報 に 人 民 元 は 奮 起 し 続 ける と 言 うタイトルの 評 論 を 発 表 し 中 国 経 済 及 び 貿 易 との 連 携 が 密 接 であるため ASEAN 諸 国 の 国 際 貿 易 における 人 民 元 の 使 用 が 上 昇 し 続 けていることについて 非 常 に 関 心 を 示 していると 述 べている シンガポールで 中 国 の 内 地 と 香 港 に 対 し 行 われる 貿 易 代 金 支 払 いの 中 で 既 に 30%は 人 民 元 を 使 用 している 人 民 元 決 済 を 行 っ ているタイ 企 業 も 増 加 している 中 国 ASEAN 包 括 的 経 済 協 力 枠 組 み 協 定 自 由 貿 易 協 定 の 物 品 貿 易 協 定 サービス 貿 易 協 定 投 資 協 定 中 国 ASEAN 自 由 貿 易 協 定 の(サービス 貿 易 協 定 ) 第 2 回 の 具 体 的 コミット メントの 実 施 に 関 する 議 定 書 ( 中 国 ASEAN 包 括 的 経 済 協 力 枠 組 み 協 定 ) 修 正 に 関 する 第 3 議 定 書 中 国 ASEAN 包 括 的 経 済 協 力 枠 組 み 協 定 下 の 物 品 貿 易 協 定 中 の 技 術 的 貿 易 障 壁 及 び 衛 生 植 物 検 疫 措 置 を 組 込 む 章 節 に 関 する 議 定 書 等 の 文 書 にのっとり 中 国 は ASEAN 諸 国 に 対 し 特 恵 貿 易 政 策 を 実 施 する まず 中 国 は ASEAN に 対 し 全 面 的 な 関 税 引 き 下 げを 行 い 少 数 のセンシティブ 品 目 を 除 く 他 の 全 ての 製 品 の 関 税 及 び 貿 易 制 限 措 置 は 徐 々に 撤 廃 せねばならない 2015 年 までに 中 国 は ASEAN のほと 26

んどの 製 品 に 対 しゼロ 関 税 を 実 施 し 非 関 税 措 置 を 撤 廃 し 双 方 間 の 貿 易 自 由 化 を 実 現 する 目 下 中 国 の ASEAN に 対 する 平 均 関 税 率 は 5.8%で 2006 年 より 2.3 ポイント 下 がり 全 品 目 平 均 の 最 恵 国 関 税 率 より 4 ポイント 低 い 次 に 中 国 は 建 築 環 境 保 護 輸 送 等 の 5 つのサービス 部 門 の 26 のサブ セクターを ASEAN に 開 放 し サービス 市 場 の 参 入 条 件 を 改 善 した 同 時 に 協 議 により 各 企 業 が 遭 遇 する 技 術 的 貿 易 障 壁 を 解 決 し 実 業 界 が 更 に 優 れた 経 営 環 境 を 作 っていくことを 約 束 している 2012 年 8 月 中 国 商 務 部 の 陳 德 銘 部 長 ( 当 時 )は ASEAN 経 済 大 臣 級 の 一 連 の 会 議 機 関 で 今 後 中 国 と ASEAN 諸 国 との 間 の 経 済 貿 易 の 往 来 は 3 つの 面 から 着 手 することを 重 視 すると 述 べた 第 1 に より 高 レベルの 自 由 貿 易 協 定 を 締 結 し 同 時 に 双 方 間 貿 易 規 模 を 拡 大 する 第 2 に 投 資 拡 大 に 努 める 中 国 企 業 の ASEAN 諸 国 の 農 業 及 びインフラ 建 設 等 の 分 野 での 投 資 の 見 通 しは 明 るい 第 3 に 相 互 運 用 性 問 題 の 解 決 に 注 意 を 払 う 交 通 施 設 を 改 善 し 物 流 コストを 下 げ それにより 双 方 の 貿 易 利 便 性 を 真 に 実 現 する b. 南 アジア 諸 国 南 アジアに 属 する 国 としては バングラデシュ ブータン インド モルディブ ネパール アフ ガニスタン パキスタン スリランカがある 1985 年 南 アジア 地 域 協 力 連 合 (SAARC)が 成 立 した 2000 年 から 2011 年 まで 中 国 と SAARC の 貿 易 総 額 は 57 億 ドルから 974 億 ドルに 増 加 し 16 倍 増 加 した 2011 年 中 国 の SAARC に 対 する 輸 出 総 額 は 713 億 ドルに 達 し 2010 年 より 23.8% 増 加 し SAARC からの 輸 入 総 額 は 261 億 ドルで 2010 年 より 12.1% 増 加 した 2012 年 の 第 3 四 半 期 までの 双 方 間 貿 易 額 は 700 億 ドル 近 くで 9 月 現 在 中 国 が 南 アジア 諸 国 と 交 わした 工 事 請 負 契 約 は 累 計 1.024 億 ド ルに 達 し 完 成 した 工 事 請 負 売 上 高 は 664 億 ドルである 中 国 は 南 アジア 諸 国 との 貿 易 で 一 貫 して 輸 出 超 過 である 貿 易 不 均 衡 の 根 源 は 南 アジア 諸 国 の 工 業 化 が 後 れていることにある 中 国 は 主 に 南 アジアに 付 加 価 値 のやや 高 い 製 品 を 輸 出 する 一 方 南 アジアが 中 国 に 輸 出 するものは 付 加 価 値 の 低 い 一 次 加 工 品 である (a) パキスタン 近 年 中 国 政 府 は 相 次 ぎ 経 済 貿 易 フォーラム 中 国 - 南 アジア 博 覧 会 投 資 シンポジウム 等 の 多 くの 活 動 を 行 い 南 アジアとの 経 済 貿 易 協 力 を 推 進 し 続 けている 2006 年 1 月 より 中 国 は 既 にバン グラデシュを 原 産 とする 84 種 の 製 品 に 対 しゼロ 関 税 を 実 施 している また 既 に 中 国 -パキスタン 自 由 貿 易 協 定 が 発 効 している 中 パ FTA に 基 づき 2013 年 までに 両 国 の 税 目 総 数 に 占 める 85%の 製 品 を 異 なる 関 税 引 き 下 げ 幅 で 引 き 下 げる 次 のものがある 第 1 類 製 品 は 税 率 を 0 に 引 き 下 げる これは 両 国 の 税 目 総 数 のうちの 36%の 製 品 である 中 国 側 の 主 な 製 品 は 畜 産 品 野 菜 鉱 産 品 等 で パキスタン 側 は 牛 羊 肉 化 工 製 品 機 械 製 品 等 である この 種 の 製 品 が 貿 易 量 に 占 める 割 合 はそれぞれ 40%と 30%である 27

第 2 類 製 品 は 税 率 を 0-5%に 引 き 下 げる この 種 の 製 品 は 中 国 の 税 目 総 数 の 34%を 占 め 主 に 化 工 品 水 産 物 等 である パキスタンは 税 目 総 数 の 20%を 占 め 主 に 機 械 製 品 農 産 物 化 工 製 品 ガラス 等 である 第 3 類 製 品 は 関 税 を 50% 削 減 する この 種 の 製 品 は 中 国 の 税 目 総 数 の 約 8%を 占 め 主 に 野 菜 果 汁 アパレル 等 がある パキスタン 側 は 税 目 総 数 の 2%を 占 め 主 に 水 産 物 化 粧 品 陶 磁 器 等 が ある 第 4 類 製 品 は 関 税 を 20% 削 減 する この 種 の 製 品 は 中 国 の 税 目 総 数 の 約 7%を 占 め 主 に 水 産 物 家 電 紡 績 品 等 である パキスタン 側 は 税 目 総 数 の 26%を 占 め 主 に 野 菜 果 物 アパレル プラス ティック 綿 織 物 等 である 第 5 類 製 品 は 例 外 製 品 で 暫 時 関 税 の 引 き 下 げ 行 わない この 種 の 製 品 の 税 目 数 の 割 合 は 双 方 とも 15% 前 後 である 中 国 は 計 1,132 のタリフラインで 主 に 一 部 木 材 と 紙 製 品 関 税 割 当 製 品 食 用 植 物 油 等 である パキスタン 側 は 計 1,025 のタリフラインで 主 に 繊 維 製 品 自 動 車 及 び 部 品 一 部 家 電 製 品 等 である この 外 パキスタン 側 は 宗 教 及 びセキュリティ 等 の 理 由 で 輸 入 禁 止 の 一 部 製 品 がある 例 えば 豚 肉 酒 等 である 関 税 引 き 下 げをしない 製 品 は 計 92 のタリフラインで パキスタンの 税 目 総 数 の 約 1%である 今 後 中 パ 双 方 は 各 自 の 製 品 の 関 税 を 更 に 引 き 下 げる 目 標 は 近 い 将 来 に 双 方 のゼロ 関 税 製 品 が 関 税 コード 及 び 貿 易 量 に 占 める 割 合 を 90%にすることである この 外 中 パ 双 方 は 検 査 検 疫 の 実 施 証 明 書 の 発 行 手 続 き 管 理 と 加 工 プロセスの 検 証 検 証 結 果 等 の 情 報 交 流 を 強 化 し かつ 反 ダンピング 反 補 助 金 グローバルセーフガードの 面 で 二 国 間 セー フガード 条 項 を 作 成 する サービス 貿 易 面 で パキスタン 側 は 11 の 主 要 サービス 部 門 の 建 築 電 信 金 融 販 売 環 境 医 療 旅 行 運 輸 宅 配 便 研 究 開 発 コンピュータ 教 育 娯 楽 文 化 スポーツ 等 の 多 くのサービス 部 門 を 含 む 102 のサブセクターを 更 に 中 国 に 開 放 する そのうち 販 売 教 育 環 境 運 輸 娯 楽 文 化 スポーツ 等 の 主 要 サービス 部 門 のうち 56 のサブセク ターは 新 たに 開 放 する 部 門 である 中 国 は 6 つの 主 要 サービス 部 門 の 28 のサブセクターをパキスタン に 更 に 開 放 する 具 体 的 には 採 鉱 研 究 開 発 環 境 保 護 病 院 旅 行 スポーツ 交 通 翻 訳 不 動 産 コンピュータ 市 場 調 査 管 理 コンサルティング 印 刷 出 版 ビルクリーニング 人 材 提 供 と 手 配 サービス 等 がある (b)インド インドは 中 国 のアジアにおける 重 要 な 貿 易 パートナーで 2000 年 中 印 の 二 国 間 貿 易 額 は 29 億 ド ルで 2011 年 には 739 億 ドルに 達 し 25 倍 増 加 した そのうち 中 国 の 対 インド 輸 出 は 505.43 億 ド ルで 前 年 同 期 比 23.5% 増 加 し インドからの 輸 入 は 233.75 億 ドルで 前 年 同 期 比 12.1% 増 加 した 2012 年 1 月 から 10 月 までの 10 ヶ 月 間 中 印 貿 易 規 模 は 560 億 ドル 余 に 達 した しかし 中 国 は 長 期 に 亘 り 二 国 間 貿 易 で 輸 出 超 過 にあり 中 印 間 の 貿 易 摩 擦 は 頻 発 している 2012 年 インドは 中 国 に 対 しアンチダンピングを 最 も 多 く 提 起 した 国 である 二 国 間 貿 易 の 現 状 を 変 える 28