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平 成 25 年 6 月 4 日 新 防 衛 計 画 の 大 綱 策 定 に 係 る 提 言 ( 防 衛 を 取 り 戻 す ) 自 由 民 主 党 一 はじめに 平 成 23 年 度 以 降 に 係 る 防 衛 計 画 の 大 綱 が 策 定 されて 以 降 わが 国 周 辺 にお いては 北 朝 鮮 が 弾 道 ミサイル 発 射 や 核 実 験 を 強 行 し また 中 国 がわが 国 周 辺 海 空 域 において 活 動 を 活 発 化 するなど わが 国 を 取 り 巻 く 安 全 保 障 環 境 が 次 第 に 悪 化 しつつある また わが 国 においては 広 域 にわたり 大 規 模 かつ 激 甚 な 被 害 をもたらし 未 曾 有 の 大 震 災 となった 一 昨 年 の 東 日 本 大 震 災 に 際 して 自 衛 隊 は10 万 人 を 超 える 態 勢 で 大 規 模 な 活 動 を 行 い 貴 重 な 教 訓 を 得 た 一 方 わが 国 の 同 盟 国 である 米 国 は 財 政 難 に 直 面 しつつもアジア 太 平 洋 地 域 へ の 軍 事 リバランスを 指 向 し 同 盟 国 等 との 連 携 の 強 化 を 図 っている 政 治 の 要 諦 は 国 民 の 生 命 と 安 全 を 守 り 国 家 の 独 立 と 平 和 を 堅 守 することにある 国 家 の 主 権 国 民 の 生 命 財 産 領 土 領 海 領 空 を 断 固 として 守 り 抜 くため 我 々 は わが 国 自 身 の 防 衛 力 を 今 後 想 定 される 内 外 のあらゆる 事 態 に 迅 速 かつ 機 動 的 に 対 応 することができるものとする 必 要 がある 同 時 に 日 米 同 盟 を 一 層 強 固 なもの にし 同 盟 の 枠 組 みにおけるわが 国 の 果 たすべき 役 割 や 任 務 を 今 まで 以 上 に 拡 大 し ていかねばならない その 上 で わが 国 の 安 全 保 障 政 策 を 諸 外 国 に 丁 寧 に 説 明 する ことにより アジア 太 平 洋 地 域 の 相 互 理 解 を 推 進 し もって 地 域 の 平 和 と 安 定 に 資 するよう 対 応 していくことが 重 要 である わが 党 は 先 の 政 権 公 約 において 防 衛 費 を 増 額 して 防 衛 力 を 質 量 ともに 充 実 強 化 させていくと 同 時 に 現 下 の 安 全 保 障 環 境 に 即 応 できる 強 固 な 防 衛 態 勢 を 構 築 していくため 現 行 の 防 衛 大 綱 の 抜 本 的 見 直 しを 行 うことを 国 民 に 約 束 し た 昨 年 暮 れの 総 選 挙 の 結 果 を 受 けて 誕 生 した 安 倍 政 権 は 目 下 新 たな 大 綱 策 定 へ 向 けての 検 討 を 開 始 しているところであり 廃 止 した 中 期 防 も 含 め 本 年 中 に 結 論 を 得 るとされている そこで わが 党 においても 新 大 綱 策 定 に 向 けて 必 要 な 提 言 を 行 うために これまで 精 力 的 に 検 討 と 議 論 を 重 ね わが 党 の 安 全 保 障 に 対 する 考 え 方 を 取 りまとめた 次 第 である 二 わが 国 を 取 り 巻 く 安 全 保 障 環 境 1. 国 際 情 勢 現 在 国 際 的 な 安 全 保 障 環 境 は 多 極 化 の 時 代 を 迎 えている 中 国 インド ロシア 並 びに 東 南 アジア 諸 国 など わが 国 にとって 重 要 な 国 々の 国 力 が 増 大 したことに 伴 い 経 済 及 び 安 全 保 障 面 で 多 くの 変 化 がみられる 特 に 軍 事 面 では 中 国 などが 経 済 発 展 に 伴 って 急 速 に 軍 事 力 の 増 強 と 装 備 の 近 代 化 を 図 っている 1

一 方 リーマンショックに 端 を 発 した 金 融 危 機 以 降 米 国 や 欧 州 諸 国 では 財 政 事 情 の 悪 化 から 国 防 費 の 削 減 を 迫 られており 結 果 としてグローバルな 軍 事 バランス に 大 きな 変 化 が 生 じ 潜 在 的 な 不 安 定 要 因 を 抱 える 多 極 化 した 安 全 保 障 環 境 が 生 じ つつある また 経 済 面 を 中 心 とする 国 家 間 の 相 互 依 存 関 係 が 進 展 した 結 果 主 要 国 間 の 本 格 的 武 力 紛 争 が 生 起 する 可 能 性 は 低 下 しているものの グレーゾーン の 紛 争 は 増 し 特 に 経 済 権 益 として 潜 在 的 利 用 価 値 の 高 い 海 洋 において 各 国 の 主 権 が 対 立 す る 状 況 が 増 えている 国 際 テロ 大 量 破 壊 兵 器 やその 運 搬 手 段 である 弾 道 ミサイル の 拡 散 海 賊 行 為 パンデミック 気 候 変 動 がもたらす 様 々な 安 全 保 障 上 の 課 題 な どのトランスナショナルな 脅 威 も 引 き 続 き 継 続 している さらに 海 洋 宇 宙 サ イバー 空 間 など 新 たな 領 域 におけるリスクが 年 々 顕 在 化 しつつある このように 21 世 紀 初 頭 におけるグローバルな 安 全 保 障 環 境 は 多 様 性 複 雑 性 の 度 合 いを 増 している 2.わが 国 周 辺 の 情 勢 わが 国 周 辺 においても 重 大 な 不 安 定 要 因 が 継 続 している 北 朝 鮮 は 権 力 継 承 後 においても 引 き 続 き 弾 道 ミサイルや 核 兵 器 の 開 発 に 全 力 を 挙 げ 軍 事 外 交 上 の 様 々な 挑 発 行 為 を 継 続 するなど 地 域 における 最 大 の 不 安 定 要 因 となっている 中 国 は 不 透 明 な 形 で 国 防 予 算 を20 年 以 上 にわたり 大 幅 に 増 大 させており 新 型 水 上 艦 艇 潜 水 艦 の 拡 充 や 空 母 の 就 役 ステルス 戦 闘 機 の 開 発 など 急 速 な 装 備 の 近 代 化 を 図 っている また 東 シナ 海 や 南 シナ 海 などでの 活 動 の 活 発 化 が 顕 著 であり 自 国 の 主 張 を 高 圧 的 な 姿 勢 で 推 し 進 めるなど わが 国 を 含 む 周 辺 諸 国 にとって 大 きな 懸 念 要 因 となっている ロシアも 近 年 極 東 方 面 での 軍 事 活 動 を 引 き 続 き 活 発 化 させているなど 東 アジア 地 域 には 重 大 な 不 安 定 要 因 が 継 続 して 存 在 しており わが 国 を 取 り 巻 く 安 全 保 障 環 境 は 以 前 に 比 べ むしろ 悪 化 しつつある こうした 状 況 下 国 内 における 大 規 模 震 災 を 含 め 複 数 の 事 態 が 同 時 に 生 起 す るいわゆる 複 合 事 態 発 生 の 可 能 性 についても 十 分 認 識 しておかねばならない 3. 国 内 状 況 等 わが 国 は 周 囲 を 海 洋 で 囲 まれている 海 洋 国 家 であり 食 料 エネルギーを 始 め とする 多 くの 物 資 を 海 上 輸 送 に 依 っていることから 海 上 交 通 路 及 びわが 国 周 辺 海 域 の 安 全 を 確 保 することがわが 国 の 安 全 保 障 上 必 要 不 可 欠 である また わが 国 は 世 界 有 数 の 地 震 大 国 であるなど その 地 理 的 特 性 として 自 然 災 害 が 多 く 都 市 部 に 人 口 産 業 情 報 基 盤 等 が 集 中 し 沿 岸 部 に 重 要 施 設 を 多 数 有 するという 脆 弱 性 を 抱 えている 東 日 本 大 震 災 における 自 衛 隊 の 活 動 は 国 民 の 間 で 極 めて 高 く 評 価 されているが 引 き 続 き 大 規 模 自 然 災 害 などへの 対 応 にも 万 全 の 体 制 を 持 って 備 える 必 要 がある わが 国 の 国 家 財 政 は 依 然 として 厳 しい 状 況 にあるが 国 防 はわが 国 の 独 立 と 平 和 の 基 盤 をなすものであり また 近 年 の 安 全 保 障 環 境 の 悪 化 を 受 けて 国 民 の 自 衛 隊 に 対 する 期 待 はかつてなく 高 まっていることから 厳 しい 財 政 事 情 の 下 であっても 防 衛 関 係 費 については 所 要 額 を 継 続 的 に 確 保 していく 必 要 がある 2

4. 安 全 保 障 政 策 の 基 盤 となる 重 要 課 題 今 後 のわが 国 の 安 全 保 障 政 策 策 定 の 基 盤 となる 重 要 課 題 は 広 範 多 岐 にわたって いる 具 体 的 には 国 防 軍 の 設 置 を 始 め わが 国 における 国 防 の 基 本 理 念 を 明 確 にするための 憲 法 改 正 や 国 家 安 全 保 障 基 本 法 の 制 定 総 理 の 強 いリー ダーシップの 下 で 外 交 防 衛 政 策 を 推 進 するための 官 邸 の 司 令 塔 機 能 としての 国 家 安 全 保 障 会 議 ( 日 本 版 NSC)の 設 置 日 米 同 盟 の 抜 本 的 強 化 の 観 点 からの 集 団 的 自 衛 権 などの 法 的 基 盤 の 整 備 や 日 米 ガイドラインの 見 直 しなどへの 早 急 な 取 り 組 みが 求 められている このように 防 衛 力 の 構 築 に 際 しては 現 下 の 周 辺 安 全 保 障 環 境 への 対 応 だけ ではなく さらに 中 長 期 的 視 点 に 立 脚 した 本 質 的 かつ 総 合 的 な 施 策 の 検 討 が 必 要 とされている 三 具 体 的 な 提 言 1. 基 本 的 安 全 保 障 政 策 (1) 憲 法 改 正 と 国 防 軍 の 設 置 わが 党 は 既 に 策 定 した 憲 法 改 正 草 案 において 第 9 条 の 第 一 項 を 基 本 的 に 維 持 するとともに 第 二 項 において 前 項 の 規 定 は 自 衛 権 の 発 動 を 妨 げない と したところである その 意 味 するところは 今 後 とも 国 際 紛 争 を 解 決 する 手 段 としての 武 力 による 威 嚇 ならびに 武 力 の 行 使 を 行 わない ことを 明 確 にした 上 で 国 連 憲 章 に 認 める 個 別 的 ならびに 集 団 的 自 衛 権 についてはわが 国 防 衛 のためにその 発 動 を 妨 げない とした 点 にある また 草 案 では 新 たに 国 防 軍 の 条 項 を 設 け 内 閣 総 理 大 臣 を 最 高 指 揮 官 として 定 めることとした その 理 由 は 今 や 世 界 有 数 の 規 模 と 実 力 を 有 す るに 至 った 自 衛 隊 が 最 高 法 規 の 上 に 明 確 に 規 定 されていない 異 常 な 状 態 を 解 消 するためであり シビリアンコントロール の 原 則 を 最 高 法 規 の 上 に 明 確 に 規 定 するためである 国 民 の 幅 広 い 理 解 と 支 持 を 得 てできるだけ 早 期 に 憲 法 改 正 が 行 われることが 望 ましく 我 々としてもその 環 境 を 醸 成 していくために 不 断 の 努 力 を 行 ってい く 決 意 である (2) 国 家 安 全 保 障 基 本 法 の 制 定 安 全 保 障 政 策 を 具 体 的 かつ 総 合 的 に 推 進 するため 政 府 の 安 全 保 障 の 法 的 基 盤 の 再 構 築 に 関 する 懇 談 会 の 議 論 の 成 果 を 踏 まえつつ わが 国 の 安 全 を 確 保 するに 足 る 必 要 最 小 限 度 の 自 衛 権 行 使 ( 集 団 的 自 衛 権 を 含 む)の 範 囲 を 明 確 化 し 国 家 安 全 保 障 の 基 本 方 針 文 民 統 制 のルール 防 衛 産 業 の 維 持 育 成 の 指 針 武 器 輸 出 に 係 る 基 本 方 針 等 を 規 定 した 国 家 安 全 保 障 基 本 法 を 制 定 する (3) 国 家 安 全 保 障 会 議 ( 日 本 版 NSC)の 設 立 外 交 と 安 全 保 障 に 関 する 官 邸 の 司 令 塔 機 能 を 強 化 するため 官 邸 に 国 家 安 全 保 障 会 議 ( 日 本 版 NSC)を 設 置 し 総 理 のリーダーシップの 下 機 動 的 かつ 定 期 的 に 会 議 を 開 催 する 国 家 安 全 保 障 会 議 はわが 国 の 安 全 保 障 戦 略 ならびにそ 3

のための 基 本 計 画 を 策 定 すると 同 時 に より 強 化 された 情 報 集 約 機 能 ならびに 分 析 能 力 を 有 する 組 織 とする そのために 国 家 安 全 保 障 会 議 の 事 務 局 体 制 を 充 実 させるとともに 総 理 大 臣 の 軍 事 面 における 補 佐 機 能 を 強 化 するため 官 邸 に 防 衛 政 策 軍 事 に 関 する 専 門 家 を 配 置 する (4) 政 府 としての 情 報 機 能 の 強 化 国 家 安 全 保 障 会 議 の 設 置 に 伴 い 政 府 全 体 として 人 的 情 報 (ヒューミント) を 含 めた 情 報 収 集 機 能 を 強 化 するとともに 各 省 の 情 報 を 迅 速 に 官 邸 に 一 元 化 し 総 理 大 臣 へ 適 宜 適 切 に 報 告 を 行 うことのできる 体 制 を 確 立 する また 政 府 内 での 情 報 共 有 の 促 進 ならびに 情 報 保 全 のために 国 民 の 知 る 権 利 との 関 係 も 考 慮 しつつ 秘 密 保 護 法 を 制 定 する さらに 事 態 の 早 期 察 知 によりわが 国 の 安 全 保 障 に 万 全 を 期 すため 現 在 の 情 報 収 集 衛 星 及 びその 運 用 体 制 を 質 量 ともに 拡 充 し その 能 力 の 一 層 の 向 上 を 図 る (5) 国 防 の 基 本 方 針 の 見 直 し 昭 和 32 年 に 決 定 された 国 防 の 基 本 方 針 については 現 在 の 周 辺 安 全 保 障 環 境 や 近 年 の 軍 事 技 術 の 進 展 状 況 なども 踏 まえ 国 家 安 全 保 障 会 議 において 検 討 を 加 え より 現 実 的 かつ 適 切 なものに 見 直 すとともに 国 家 安 全 保 障 会 議 が 策 定 する 安 全 保 障 戦 略 等 への 一 本 化 を 検 討 する (6) 防 衛 省 改 革 わが 党 は これまで 防 衛 省 改 革 について 内 部 部 局 ( 文 官 )と 各 幕 僚 監 部 ( 制 服 )の 関 係 を 見 直 すとともに 内 部 部 局 を U( 制 服 ) C( 文 官 ) 混 合 組 織 とし 運 用 面 における 大 臣 の 補 佐 機 能 を 強 化 するため 運 用 企 画 局 を 廃 止 し 統 合 幕 僚 監 部 の 下 に 部 隊 運 用 に 係 る 機 能 を 統 合 し 迅 速 な 対 応 が 行 い 得 る 体 制 を 確 立 する 等 との 提 言 をまとめてきた 防 衛 省 改 革 については これを 踏 まえ 東 日 本 大 震 災 などの 近 年 の 事 案 への 対 応 や 防 衛 力 の 在 り 方 等 に 関 する 検 討 も 勘 案 しながら 隊 員 の 意 識 改 革 を 進 め U と C がより 一 体 的 に 機 能 するものとしつつ 監 察 体 制 の 強 化 を 含 む 公 正 効 率 的 な 調 達 業 務 態 勢 を 構 築 する 同 時 に 運 用 部 門 や 防 衛 力 整 備 部 門 等 において 内 局 と 各 幕 僚 監 部 が 一 体 的 に 機 能 する 態 勢 を 構 築 するための 所 要 の 法 改 正 を 行 い その 後 も これらの 実 施 状 況 を 踏 まえ 不 断 の 見 直 しを 行 う 2. 防 衛 大 綱 の 基 本 的 考 え 方 新 たな 防 衛 力 の 構 築 ~ 強 靱 な 機 動 的 防 衛 力 ~ 平 成 23 年 度 以 降 に 係 る 防 衛 計 画 の 大 綱 において 示 された 動 的 防 衛 力 の 概 念 は 運 用 に 焦 点 をあてた 概 念 であるが 運 用 の 実 効 性 を 担 保 するためには そ の 前 提 となる 十 分 な 質 と 量 を 確 保 し 防 衛 力 を 強 靱 なものとすることが 不 可 欠 である このような 観 点 から 新 たな 防 衛 力 の 構 築 にあたっては 事 態 において 迅 速 かつ 的 確 に 対 応 できるよう 機 動 運 用 性 統 合 指 揮 運 用 能 力 輸 送 力 等 の 機 能 拡 充 を 図 4

りつつ 防 衛 力 の 強 靱 性 柔 軟 性 持 続 性 や 基 地 の 抗 堪 性 の 確 保 戦 力 の 維 持 回 復 力 の 強 化 などを 重 視 する その 際 高 烈 度 下 においても 着 実 にわが 国 防 衛 の 任 務 を 全 うできる 能 力 を 確 保 するとともに 大 規 模 災 害 対 処 や 国 民 保 護 も 含 め 国 民 の 生 命 財 産 領 土 領 海 領 空 を 断 固 として 守 り 抜 くための 強 靭 な 機 動 的 防 衛 力 の 構 築 を 目 指 す 3. 国 民 の 生 命 財 産 領 土 領 海 領 空 を 断 固 として 守 り 抜 く 態 勢 の 強 化 (1) 隙 間 のない(シームレスな) 事 態 対 応 あらゆる 脅 威 に 対 して 隙 間 のない 事 態 対 応 を 行 うため 防 衛 省 自 衛 隊 警 察 及 び 海 保 等 の 関 係 省 庁 間 の 連 携 を 強 化 し 政 府 全 体 として わが 国 の 領 土 領 海 領 空 をシームレスな 体 制 で 守 り 抜 く また 関 係 省 庁 相 互 の 連 携 によっ て 緊 張 感 を 伴 った 実 戦 的 な 訓 練 を 実 施 するとともに 不 足 事 項 を 真 摯 に 検 証 して 改 善 を 加 える その 上 で 武 力 攻 撃 と 評 価 するには 至 らない 侵 害 行 為 への 対 処 ( 例 : 領 域 警 備 )など わが 国 の 領 域 を 確 実 に 警 備 するために 必 要 な 法 的 課 題 について 不 断 の 検 討 を 行 い 実 効 的 な 措 置 を 講 じる (2) 統 合 運 用 の 強 化 複 雑 化 する 運 用 業 務 に 適 切 に 対 応 するため より 効 果 的 な 統 合 運 用 実 現 の 観 点 から 指 揮 統 制 情 報 通 信 や 後 方 補 給 について 装 備 の 充 実 を 含 むより 実 戦 的 なネットワークシステムを 構 築 するとともに 中 央 における 統 合 幕 僚 監 部 の 機 能 と 権 限 を 強 化 する また 真 に 機 能 する 統 合 運 用 体 制 の 確 立 に 不 可 欠 な 統 合 マインドを 備 えた 人 材 の 育 成 を 促 進 するため 将 官 ポストへの 昇 進 に 当 っては 統 合 幕 僚 監 部 や 関 係 省 庁 等 での 勤 務 経 験 など 新 たな 自 衛 官 の 教 育 システム 及 びキャリアパスを 創 設 する さらに 統 合 運 用 の 観 点 から 陸 上 総 隊 を 創 設 することを 含 め 方 面 総 監 部 を 始 めとする 各 自 衛 隊 の 主 要 部 隊 等 の 在 り 方 について 総 合 的 に 検 討 し 必 要 な 改 編 を 行 う (3) 警 戒 監 視 情 報 収 集 分 析 機 能 の 強 化 統 合 運 用 をより 効 果 的 に 支 えるため 警 戒 監 視 情 報 収 集 分 析 態 勢 を 強 化 す る 事 態 の 兆 候 を 早 期 に 察 知 し 迅 速 かつ 隙 間 のない 対 応 を 確 保 するため 広 域 における 総 合 的 かつ 常 時 継 続 的 な 警 戒 監 視 情 報 収 集 に 適 した 無 人 機 等 の 新 たな 装 備 品 を 導 入 するとともに そのために 必 要 な 質 の 高 い 情 報 収 集 分 析 要 員 を 確 保 育 成 するなど 情 報 収 集 分 析 機 能 の 拡 充 強 化 を 図 る また 海 外 にお ける 情 報 収 集 に 資 する 防 衛 駐 在 官 の 在 り 方 を 抜 本 的 に 見 直 し 必 要 な 人 員 態 勢 予 算 権 能 の 充 実 強 化 を 図 る (4) 島 嶼 防 衛 の 強 化 先 島 諸 島 などの 部 隊 配 備 の 空 白 が 存 在 する 島 嶼 部 において 隙 間 の 無 い 警 戒 監 視 初 動 対 処 能 力 を 強 化 する また 航 空 優 勢 の 確 保 事 態 対 処 時 に 増 援 部 隊 が 当 該 地 域 へ 展 開 する 際 の 活 動 補 給 拠 点 の 設 置 など 作 戦 遂 行 のための 基 盤 5

を 強 化 する 併 せて 先 島 諸 島 周 辺 空 域 の 防 空 能 力 を 強 化 するため 先 島 諸 島 における 航 空 部 隊 の 運 用 基 盤 を 整 備 する また 島 嶼 防 衛 に 不 可 欠 な 海 空 優 勢 を 確 保 するため 対 空 対 艦 対 潜 能 力 を 強 化 する さらに 島 嶼 防 衛 を 念 頭 に 緊 急 事 態 における 初 動 対 処 事 態 の 推 移 に 応 じた 迅 速 な 増 援 海 洋 からの 強 襲 着 上 陸 による 島 嶼 奪 回 等 を 可 能 とす るため 自 衛 隊 に 海 兵 隊 的 機 能 を 付 与 する 具 体 的 には 高 い 防 護 性 能 を 有 する 水 陸 両 用 車 や 長 距 離 を 迅 速 に 移 動 する 機 動 性 能 を 有 するティルトローター 機 (オスプレイ 等 )を 装 備 する 水 陸 両 用 部 隊 を 新 編 するとともに 洋 上 の 拠 点 司 令 部 となり 得 る 艦 艇 とともに 運 用 が 可 能 となる 体 制 を 整 える なお 戦 車 火 砲 を 含 む 高 練 度 部 隊 を 大 規 模 かつ 迅 速 に 展 開 させるため 既 存 部 隊 の 編 成 運 用 を 機 動 性 の 観 点 から 抜 本 的 に 見 直 すとともに 島 嶼 防 衛 に 資 する 装 備 の 整 備 を 推 進 する (5) 輸 送 能 力 の 強 化 島 嶼 防 衛 や 大 規 模 災 害 対 処 においては 駐 屯 地 基 地 等 から 活 動 地 域 への 必 要 な 人 員 や 装 備 の 迅 速 な 展 開 が 活 動 の 成 否 を 決 するため 陸 海 空 路 における 自 衛 隊 の 輸 送 能 力 を 大 幅 に 拡 充 する 特 に 訓 練 環 境 等 に 優 れた 北 海 道 における 部 隊 の 配 備 と 練 成 を 重 視 し 事 態 に 応 じて それらの 部 隊 を 迅 速 に 展 開 させる 方 策 を 確 保 する また 実 際 の 活 動 においては 各 種 活 動 を 支 える 装 備 機 材 等 も 含 め 膨 大 な 輸 送 所 要 が 予 想 され これらを 短 時 間 で 輸 送 するためには 自 衛 隊 の 輸 送 能 力 の 拡 充 のみならず 陸 海 空 の 民 間 輸 送 力 を 安 定 的 かつ 確 実 に 活 用 し 得 る 有 効 な 仕 組 みを 構 築 する (6) 核 弾 道 ミサイル 攻 撃 への 対 応 能 力 の 強 化 日 本 全 国 の 重 要 施 設 等 の 防 護 に 対 応 が 可 能 となるよう BMD 機 能 搭 載 イージ ス 艦 や 地 上 配 備 のミサイル 防 衛 部 隊 装 備 の 拡 充 を 行 い 効 率 的 かつ 効 果 的 な 部 隊 配 備 と 運 用 態 勢 の 構 築 を 図 る その 際 日 米 で 共 同 開 発 中 の 能 力 向 上 型 迎 撃 ミサイルについて 共 同 開 発 の 成 果 を 踏 まえつつ 可 能 な 限 り 早 期 に 導 入 する また 弾 道 ミサイル 等 が 実 際 に 発 射 された 場 合 に 備 え 政 府 地 方 自 治 体 国 民 との 間 で 迅 速 かつ 確 実 な 情 報 の 共 有 が 可 能 となるよう Jアラート 等 の 情 報 伝 達 体 制 を 強 化 するとともに 国 民 保 護 に 万 全 を 期 す さらに 同 盟 国 による 拡 大 抑 止 の 信 頼 性 を 一 層 強 固 にする 観 点 から 従 前 から 法 理 上 は 可 能 とされてきた 自 衛 隊 による 策 源 地 攻 撃 能 力 の 保 持 につ いて 周 辺 国 の 核 兵 器 弾 道 ミサイル 等 の 開 発 配 備 状 況 も 踏 まえつつ 検 討 を 開 始 し 速 やかに 結 論 を 得 る (7)テロ ゲリコマへの 実 効 的 な 対 処 ゲリラや 特 殊 部 隊 による 原 子 力 発 電 所 などの 重 要 施 設 への 攻 撃 に 実 効 的 に 対 応 し 得 るよう 自 衛 隊 警 察 海 上 保 安 庁 及 び 入 国 管 理 局 等 との 間 で 情 報 共 有 を 含 む 連 携 強 化 を 図 るとともに 実 戦 的 な 共 同 訓 練 を 定 期 的 に 行 う また これ 6

ら 訓 練 の 成 果 を 踏 まえつつ ゲリラや 特 殊 部 隊 の 攻 撃 に 対 する 自 衛 隊 の 対 処 能 力 を 強 化 するため 部 隊 の 更 なる 機 動 性 の 向 上 や 重 要 施 設 の 防 護 に 適 した 装 備 の 充 実 を 図 るとともに これら 施 設 への 防 衛 に 必 要 な 自 衛 隊 の 権 限 部 隊 配 置 を 適 切 に 見 直 す (8) 邦 人 保 護 在 外 邦 人 輸 送 能 力 の 強 化 邦 人 保 護 の 観 点 から 在 外 邦 人 に 対 する 自 衛 隊 による 陸 上 輸 送 を 可 能 とする ための 法 改 正 を 速 やかに 実 現 する また 派 遣 国 までの 輸 送 を 始 め 迅 速 な 部 隊 派 遣 に 即 応 し 得 る 態 勢 を 確 保 する さらに 陸 上 輸 送 中 の 邦 人 の 安 全 を 確 実 に 担 保 し 得 るよう 必 要 な 機 材 装 備 の 充 実 を 図 るとともに 任 務 遂 行 のため の 武 器 使 用 権 限 付 与 についての 検 討 を 加 速 し 検 討 結 果 を 踏 まえ 必 要 な 対 応 を とる (9) 東 日 本 大 震 災 への 対 応 を 踏 まえた 災 害 対 処 能 力 の 強 化 大 規 模 災 害 に 際 しては 事 態 発 生 後 72 時 間 が 人 命 救 助 の 限 界 となるとされて いることから 予 測 される 南 海 トラフ 巨 大 地 震 や 首 都 直 下 型 地 震 等 に 迅 速 に 対 応 し 得 るよう マンパワー( 人 員 )を 確 保 するとともに ヘリなどの 輸 送 力 機 動 力 を 充 実 強 化 する 自 衛 隊 の 駐 屯 地 基 地 は 災 害 発 生 時 に 部 隊 の 各 種 活 動 ( 指 揮 運 用 後 方 支 援 )のための 重 要 な 拠 点 になることも 踏 まえ 適 切 な 配 置 に 努 めるとともに 駐 屯 地 基 地 の 運 営 維 持 に 必 要 となる 事 務 官 等 を 含 む 人 員 の 確 保 に 努 める ま た 駐 屯 地 基 地 の 津 波 対 策 や 放 射 線 防 護 対 策 ならびに 老 朽 化 した 庁 舎 隊 舎 等 施 設 の 耐 震 化 と 自 家 発 電 能 力 整 備 を 早 急 に 進 める さらに 緊 急 時 に 自 衛 隊 が 展 開 する 際 の 拠 点 の 確 保 など 地 方 自 治 体 や 地 域 社 会 との 連 携 強 化 を 図 る この 点 平 素 より 関 係 省 庁 及 び 地 方 自 治 体 が 連 携 し て 実 践 的 な 訓 練 を 実 施 し 事 態 に 適 切 に 対 処 できるよう 万 全 を 期 す (10)サイバー 攻 撃 に 係 る 国 際 協 力 の 推 進 対 処 能 力 の 強 化 法 的 基 盤 の 整 備 サイバー 攻 撃 は 重 要 な 情 報 通 信 ネットワークに 障 害 を 与 えれば 甚 大 な 被 害 や 影 響 を 生 じさせるものであり 安 全 保 障 上 の 重 大 な 脅 威 である こうしたサ イバー 攻 撃 への 対 処 能 力 を 強 化 するため 専 門 的 技 能 を 有 する 人 材 の 登 用 を 含 め 高 度 な 対 処 能 力 を 備 えた 人 材 の 育 成 を 強 化 する また サイバー 空 間 における 脅 威 情 報 の 収 集 体 制 及 び 対 処 能 力 の 強 化 を 図 る とともに サイバー 攻 撃 に 対 処 するための 国 際 法 国 内 法 上 の 法 的 基 盤 を 急 ぎ 整 備 する (11) 安 全 保 障 分 野 での 宇 宙 開 発 利 用 の 推 進 増 大 する 情 報 通 信 所 要 に 対 応 するため 通 信 衛 星 など 指 揮 通 信 分 野 での 宇 宙 利 用 を 促 進 するとともに 情 報 収 集 警 戒 監 視 分 野 における 宇 宙 空 間 の 利 用 を 推 進 する また SSA( 宇 宙 状 況 監 視 ) 等 の 宇 宙 分 野 における 日 米 協 力 を 積 極 的 に 進 め 監 視 能 力 の 強 化 を 図 る 7

(12) 無 人 機 ロボット 等 の 研 究 開 発 の 推 進 最 新 技 術 に 基 づく 高 性 能 兵 器 及 び 大 量 破 壊 兵 器 等 が 使 用 される 可 能 性 が 否 定 できない 近 年 の 安 全 保 障 環 境 や 原 子 力 災 害 を 含 む 大 規 模 災 害 に 対 応 する 有 効 な 手 段 として わが 国 が 誇 るものづくり 技 術 を 生 かし 無 人 機 ロボット 関 連 するソフトウェア 等 の 研 究 開 発 を 推 進 する (13) 装 備 品 の 高 可 動 率 の 確 保 事 態 対 処 において 自 衛 隊 がシームレスに 対 応 するためには 即 応 かつ 継 続 的 に 活 動 できる 運 用 基 盤 が 極 めて 重 要 である このため 平 素 より 十 分 な 維 持 修 理 費 を 確 保 する また 予 算 の 確 保 に 加 え より 効 率 的 な 整 備 補 給 態 勢 の 確 立 も 可 動 率 向 上 の 方 策 として 有 効 であるため 新 たな 調 達 方 式 の 導 入 を 推 進 する 等 総 合 的 な 観 点 から 装 備 品 の 可 動 率 向 上 に 努 める 4. 日 米 安 全 保 障 体 制 (1) 日 米 安 全 保 障 体 制 の 強 化 わが 国 の 防 衛 は 自 らの 手 で 行 うことは 当 然 であるが わが 国 周 辺 の 現 下 の 厳 しい 安 全 保 障 環 境 を 踏 まえれば 日 米 安 全 保 障 体 制 の 抑 止 力 を 一 層 向 上 させ る 必 要 がある それと 同 時 に 日 米 安 全 保 障 体 制 をアジア 太 平 洋 地 域 及 び グローバルな 平 和 と 安 全 を 確 保 するための 公 共 財 と 位 置 づけ 幅 広 い 分 野 での 連 携 協 力 を 推 進 する (2) 日 米 防 衛 協 力 強 化 のためのガイドラインの 見 直 し 現 行 ガイドラインについては 前 回 の 改 定 時 から 既 に15 年 が 経 過 している ことから 今 日 の 安 全 保 障 環 境 に 適 応 したものに 改 める 必 要 がある その 際 現 在 及 び 将 来 のアジア 太 平 洋 地 域 の 安 全 保 障 環 境 を 踏 まえた 戦 略 的 な 議 論 を 行 い 日 米 間 の 役 割 任 務 能 力 の 分 担 を 包 括 的 に 再 検 討 した 上 で わが 国 の 役 割 任 務 を 拡 大 する また 安 全 保 障 の 法 的 基 盤 の 再 構 築 に 関 する 懇 談 会 等 における 議 論 の 成 果 を 踏 まえ 集 団 的 自 衛 権 に 関 する 検 討 を 加 速 させる (3) 日 米 の 適 切 な 役 割 分 担 の 下 での 策 源 地 攻 撃 能 力 の 保 有 現 在 打 撃 力 については 米 国 に 依 存 している 状 態 にあるが このような 役 割 分 担 については 現 在 の 安 全 保 障 環 境 に 照 らしてその 適 否 を 再 検 討 し ガイド ライン 協 議 等 を 通 じ 整 理 する 必 要 がある とりわけ ミサイルの 脅 威 に 対 する 抑 止 力 を 強 化 する 観 点 から わが 国 独 自 の 打 撃 力 ( 策 源 地 攻 撃 能 力 )の 保 持 について 検 討 を 開 始 し 速 やかに 結 論 を 得 る (4) 平 素 から 緊 急 事 態 に 至 るまでの 隙 間 のない 協 力 の 更 なる 強 化 事 態 の 発 生 を 抑 止 し かつ 事 態 発 生 後 に 迅 速 かつシームレスに 対 応 するため 日 米 間 において 平 素 からの 協 力 を 強 化 することとし 共 同 警 戒 監 視 共 同 訓 練 基 地 の 共 同 使 用 指 揮 統 制 機 能 の 連 携 強 化 を 推 進 する このため グアム 等 に おける 日 米 共 同 訓 練 場 の 整 備 を 検 討 する また 米 国 との 更 なる 円 滑 な 情 報 共 8

有 の 観 点 から 十 分 な 情 報 保 全 体 制 の 確 立 に 努 める (5) 在 沖 縄 米 軍 基 地 に 関 する 抑 止 力 の 維 持 と 地 元 負 担 軽 減 在 日 米 軍 の 駐 留 は わが 国 における 抑 止 力 の 重 要 な 一 翼 を 担 うものである 一 方 沖 縄 を 始 めとする 基 地 周 辺 地 域 に 大 きな 負 担 が 生 じていることも 事 実 であ る 在 日 米 軍 再 編 事 業 については 抑 止 力 の 維 持 と 地 元 負 担 の 軽 減 を 両 立 させる 観 点 から 普 天 間 飛 行 場 移 設 を 日 米 合 意 に 基 づいて 着 実 に 前 進 させ その 危 険 性 を 一 刻 も 早 く 除 去 するとともに 既 に 合 意 された 在 日 米 軍 基 地 の 返 還 計 画 を 含 む 在 日 米 軍 再 編 を 着 実 に 進 展 させる 5. 国 際 及 び 日 本 周 辺 の 環 境 安 定 化 活 動 の 強 化 (1) 豪 韓 印 ASEAN 諸 国 等 との 戦 略 的 安 保 協 力 国 際 協 力 活 動 の 推 進 等 アジア 太 平 洋 地 域 の 安 定 化 を 図 るため 戦 略 的 利 益 を 共 有 する 豪 韓 印 ASEAN 諸 国 との 防 衛 協 力 を 更 に 推 進 する 具 体 的 には 2プラス2 などの 首 脳 間 協 議 の 定 期 開 催 や ACSA( 物 品 役 務 相 互 提 供 協 定 ) GSOMIA( 情 報 保 護 協 定 ) の 締 結 定 期 的 な 共 同 訓 練 の 実 施 等 を 推 進 する (2) 中 国 ロシアとの 安 全 保 障 関 係 の 推 進 地 域 の 安 全 保 障 に 強 い 影 響 力 を 持 ち 隣 国 である 中 国 との 防 衛 交 流 について は 戦 略 的 互 恵 関 係 構 築 の 一 環 として 安 全 保 障 の 面 からも 建 設 的 な 協 力 関 係 を 構 築 して 信 頼 醸 成 を 図 ることが 重 要 である また 中 国 の 軍 事 や 安 全 保 障 に 関 する 不 透 明 性 については 大 局 的 観 点 から 防 衛 交 流 を 積 極 的 に 推 進 することで 中 国 に 透 明 性 の 向 上 を 働 きかけるととも に 防 衛 当 局 の 相 互 理 解 と 信 頼 醸 成 を 強 化 していくことが 必 要 である この 一 環 として 近 年 の 中 国 の 東 シナ 海 における 活 動 の 活 発 化 を 踏 まえ 不 測 の 事 態 を 回 避 する 観 点 から 日 中 防 衛 当 局 間 の 海 上 連 絡 メカニズム の 構 築 を 推 進 する ロシアは アジア 太 平 洋 地 域 の 安 全 保 障 に 大 きな 影 響 力 を 持 ち かつ わが 国 の 隣 国 でもあることから 日 露 の 防 衛 交 流 を 深 め 信 頼 協 力 関 係 を 増 進 さ せることが 重 要 である 先 の 日 露 首 脳 会 談 で 合 意 された 外 務 防 衛 閣 僚 による 2+2 会 合 の 立 ち 上 げを 含 め 積 極 的 に 各 種 レベルでの 防 衛 交 流 を 推 進 す る (3) 国 際 平 和 協 力 のための 一 般 法 の 制 定 派 遣 先 での 宿 営 地 の 共 同 防 衛 や 緊 急 時 の 文 民 保 護 といった これまでの 活 動 の 経 験 から 得 られた 現 場 が 抱 える 課 題 を 解 決 するため PKO 法 の 改 正 を 速 やかに 実 現 する その 上 で 自 衛 隊 の 海 外 派 遣 をより 迅 速 かつ 効 果 的 に 行 うことを 可 能 とするため 自 衛 隊 の 派 遣 に 応 じて その 都 度 特 別 措 置 法 を 制 定 するので はなく 一 般 法 としての 国 際 平 和 協 力 法 を 制 定 する (4) 国 際 平 和 協 力 活 動 の 取 組 の 強 化 国 際 社 会 における 相 互 依 存 関 係 が 一 層 進 展 していることから 自 衛 隊 が 国 際 9

社 会 の 平 和 と 安 定 のために 積 極 的 に 貢 献 することの 意 義 はますます 増 してお り わが 国 は 引 き 続 き 積 極 的 に 国 際 平 和 協 力 活 動 に 参 画 していく 今 後 は 国 際 平 和 協 力 活 動 への 取 組 の 更 なる 強 化 の 一 環 として PKO 派 遣 司 令 部 の 上 級 ポストへの 自 衛 官 の 派 遣 や 国 際 連 合 のPKO 局 などの 企 画 立 案 部 門 への 要 員 派 遣 を 推 進 する また PKO 法 の 改 正 に 際 し 武 器 使 用 権 限 の 拡 充 を 検 討 し 必 要 な 措 置 をとる (5) 多 様 化 する 国 際 平 和 協 力 任 務 に 対 応 できる 人 材 育 成 能 力 構 築 支 援 PKO 派 遣 司 令 部 や 国 連 PKO 局 への 派 遣 も 含 め 多 様 化 する 国 際 平 和 協 力 任 務 に 的 確 に 対 応 するためには これらを 適 切 に 担 い 得 る 人 材 の 確 保 育 成 が 極 めて 重 要 であり 語 学 はもとより 地 域 の 再 構 築 支 援 に 必 要 な 各 種 の 能 力 を 備 えた 人 材 の 育 成 を 中 長 期 的 な 視 点 で 推 進 する また アジア 太 平 洋 地 域 の 途 上 国 に 対 し 人 道 支 援 災 害 救 援 等 の 非 伝 統 的 安 全 保 障 分 野 における 人 材 育 成 や 技 術 支 援 などの 能 力 構 築 支 援 (キャパシティ ー ビルディング)に 積 極 的 に 取 り 組 む このため これまでの 派 遣 実 績 と 経 験 をもとに 派 遣 要 員 の 教 育 と 訓 練 を 行 う 機 関 としての 国 際 平 和 協 力 センター を 拡 充 し 自 衛 官 その 他 の 要 員 の 育 成 を 促 進 する (6) 戦 略 的 対 応 の 強 化 わが 国 による 国 際 平 和 協 力 等 の 効 果 を 最 大 化 し もってわが 国 の 国 益 に 資 す るためには ODAを 始 めとする 外 交 活 動 等 の 自 衛 隊 以 外 が 主 体 となる 取 組 も 含 め わが 国 の 有 する 各 種 の 政 策 手 段 を 戦 略 的 に 組 み 合 わせて 効 果 的 に 対 応 す る 仕 組 みを 確 立 する (7) 国 際 平 和 協 力 活 動 の 展 開 基 盤 の 強 化 中 東 湾 岸 北 アフリカ 地 域 はわが 国 のエネルギー 供 給 源 としてだけではな く 今 後 経 済 連 携 の 進 展 が 望 める 重 要 な 地 域 であり これら 地 域 における 安 定 と 平 和 の 確 保 はわが 国 の 繁 栄 と 安 全 保 障 にとっても 必 要 不 可 欠 である このため 現 在 自 衛 隊 がジブチに 有 する 拠 点 を 海 賊 対 処 活 動 のみならず 当 該 地 域 の 国 際 平 和 協 力 活 動 等 の 拠 点 として 今 後 とも 引 き 続 き 活 用 すること を 検 討 する 6. 大 幅 な 防 衛 力 の 拡 充 (1) 自 衛 隊 の 人 員 装 備 予 算 の 大 幅 な 拡 充 厳 しさを 増 す 安 全 保 障 環 境 に 対 応 し 得 る 防 衛 力 の 量 的 質 的 増 強 を 図 るため 自 衛 隊 の 人 員 ( 充 足 率 の 向 上 を 含 む) 装 備 予 算 を 継 続 的 に 大 幅 に 拡 充 する 持 続 的 かつ 安 定 的 な 自 衛 隊 の 活 動 を 可 能 とするため 常 備 自 衛 官 と 予 備 自 衛 官 の 果 たす 役 割 を 十 分 に 勘 案 し 海 上 及 び 航 空 自 衛 隊 における 予 備 自 衛 官 の 制 度 の 見 直 しを 含 め 実 効 性 のある 予 備 自 衛 官 制 度 を 実 現 する (2) 中 長 期 的 な 財 源 確 保 防 衛 は 国 家 存 立 の 基 盤 であることから 大 綱 に 定 める 防 衛 力 整 備 を 着 実 10

に 実 現 するため 諸 外 国 並 の 必 要 な 防 衛 関 係 費 を 確 保 する また 米 軍 再 編 経 費 など 本 来 政 府 全 体 でまかなうべき 経 費 については 防 衛 関 係 費 の 枠 外 とす ることにより 安 定 的 な 防 衛 力 整 備 を 実 現 する (3) 統 合 運 用 ニーズを 踏 まえた 中 長 期 的 視 点 にたった 防 衛 力 整 備 今 日 の 国 内 外 の 状 況 を 踏 まえた 防 衛 力 整 備 を 行 うにあたっては 統 合 運 用 を 基 本 とする 防 衛 力 を 重 視 する そのために 各 種 の 統 合 オペレーションの 結 果 を 精 密 に 分 析 評 価 し 不 断 に 統 合 運 用 体 制 の 改 善 を 図 り より 実 効 的 な 防 衛 力 整 備 を 実 現 する 7. 防 衛 力 の 充 実 のための 基 盤 の 強 化 (1) 多 様 な 任 務 に 対 応 できる 人 材 の 確 保 育 成 自 衛 隊 員 の 階 級 年 齢 構 成 等 の 在 り 方 については 陸 海 空 自 衛 隊 の 各 部 隊 の 特 性 を 踏 まえて 検 討 すべきものであり かかる 観 点 から 階 級 制 度 や 隊 員 募 集 のあり 方 早 期 退 職 募 集 制 度 等 の 各 種 人 事 施 策 を 再 検 討 し 精 強 性 を 確 保 する ための 制 度 改 革 を 推 進 する また 優 れた 人 材 を 継 続 的 に 確 保 する 観 点 から 女 性 自 衛 官 の 更 なる 活 用 を 図 る 加 えて 募 集 広 報 におけるインターネットや 雑 誌 等 の 活 用 を 進 めるとと もに 魅 力 ある 自 衛 隊 のブランドイメージを 確 立 する 任 務 の 多 様 化 国 際 化 をうけ 各 種 の 任 務 を 適 切 に 遂 行 していくためには 各 部 隊 等 がそれぞれ 実 施 する 任 務 について 法 的 な 枠 組 みを 理 解 し 任 務 の 位 置 づけや 手 続 き 等 に 精 通 する 必 要 がある このため 各 自 衛 隊 において 防 衛 法 制 の 専 門 家 の 育 成 を 含 む 各 種 の 専 門 的 な 教 育 訓 練 プログラムを 策 定 し 実 行 す る (2) 人 的 資 源 の 効 果 的 な 活 用 制 度 上 早 期 に 退 職 しなければならない 自 衛 官 の 再 就 職 については 自 治 体 の 危 機 管 理 担 当 分 野 を 含 め 公 的 部 門 において 退 職 自 衛 官 を 積 極 的 に 活 用 するな ど 国 としての 支 援 体 制 を 確 立 する また 民 間 就 職 支 援 会 社 の 活 用 などを 含 む 再 就 職 支 援 の 強 化 受 入 企 業 に 対 する 税 制 優 遇 等 の 施 策 を 検 討 し 必 要 な 措 置 をとる 例 えば 第 一 線 を 退 いた 航 空 機 操 縦 士 等 の 高 度 な 技 能 知 見 を 航 空 会 社 等 の 民 間 企 業 において 計 画 的 に 活 用 する 方 策 を 講 じる (3) 衛 生 機 能 の 拡 充 各 種 事 態 において 自 衛 隊 が 継 続 して 戦 闘 能 力 を 維 持 するためには 真 に 機 能 する 衛 生 医 療 態 勢 を 確 立 する 必 要 がある このため 医 官 など 衛 生 職 種 の 人 材 確 保 をはじめ 自 衛 隊 における 衛 生 機 能 を 充 実 させるための 必 要 な 施 策 をと る (4) 自 衛 官 に 対 する 地 位 と 名 誉 の 付 与 わが 国 の 独 立 と 平 和 を 守 り 国 の 安 全 を 保 つことを 主 任 務 とする 自 衛 隊 にお ける 隊 務 の 最 高 の 専 門 的 助 言 者 である 幕 僚 長 の 職 務 の 重 要 性 に 鑑 み 特 命 全 権 11

大 使 検 事 総 長 等 の 他 のいわゆる 認 証 官 との 関 係 を 整 理 し 統 合 及 び 陸 海 空 各 幕 僚 長 の 認 証 官 化 について 検 討 し 速 やかに 結 論 を 得 る また 自 衛 官 の 叙 勲 の 対 象 者 の 拡 大 を 図 る (5) 自 衛 隊 員 の 処 遇 改 善 隊 舎 宿 舎 の 整 備 や 老 朽 化 した 施 設 の 建 て 替 えなど 自 衛 隊 員 の 職 場 環 境 の 改 善 を 推 進 する また 国 内 外 で 厳 しい 任 務 を 遂 行 している 自 衛 隊 員 と 家 族 の 絆 の 維 持 を 支 援 するため 留 守 家 族 支 援 等 を 含 めた 自 衛 隊 員 の 処 遇 の 一 層 の 改 善 を 図 る さらに 即 応 態 勢 を 求 められる 自 衛 隊 員 の 職 務 の 特 性 に 鑑 み 宿 舎 料 につい ては 格 別 の 配 慮 を 行 うとともに 自 衛 隊 員 が 退 職 した 後 の 給 付 の 拡 充 等 の 検 討 を 推 進 し 各 種 任 務 に 対 する 献 身 的 な 働 きに 報 いる (6) 防 衛 生 産 技 術 基 盤 の 維 持 強 化 国 内 の 防 衛 産 業 基 盤 はわが 国 の 防 衛 力 の 一 環 を 成 すものであるが これまで の 間 の 防 衛 予 算 の 減 少 や 装 備 品 の 調 達 数 量 の 減 少 により その 基 盤 が 揺 らぎつ つある 防 衛 生 産 技 術 基 盤 の 維 持 強 化 については 国 家 安 全 保 障 基 本 法 に 示 される 防 衛 産 業 の 維 持 育 成 の 指 針 に 基 づいて 戦 略 を 策 定 し 産 学 官 の 連 携 を 図 り 防 衛 装 備 品 技 術 のスピンオンとオフ 民 間 転 用 の 積 極 的 な 推 進 そ のための 税 制 優 遇 等 の 各 種 施 策 を 実 施 する (7) 国 際 平 和 とわが 国 の 安 全 保 障 強 化 に 資 する 輸 出 管 理 政 策 の 構 築 装 備 品 の 開 発 生 産 コストの 高 騰 に 対 応 すると 同 時 に 技 術 水 準 の 維 持 向 上 の ため 強 みを 有 する 技 術 分 野 を 生 かしつつ 諸 外 国 との 共 同 開 発 生 産 を 積 極 的 に 進 める また 武 器 及 び 関 連 技 術 の 輸 出 に 関 しては わが 国 及 び 国 際 社 会 の 平 和 と 安 全 の 確 保 に 資 するため 一 定 の 制 限 の 下 に 個 別 に 輸 出 の 可 否 を 判 断 する 新 たな 仕 組 みを 構 築 するなど 改 定 された 武 器 輸 出 三 原 則 等 に 更 に 検 討 を 加 えつつ 近 年 の 安 全 保 障 環 境 と 戦 略 環 境 に 適 合 する 輸 出 管 理 政 策 を 策 定 する (8) 効 率 的 効 果 的 かつ 厳 正 な 調 達 制 度 の 確 立 装 備 品 の 高 性 能 化 複 雑 化 に 伴 う 単 価 の 上 昇 や 整 備 維 持 経 費 の 増 加 といった 現 下 の 装 備 品 調 達 環 境 を 踏 まえつつ 厳 しい 国 家 財 政 事 情 を 勘 案 し 装 備 品 の ライフサイクル 管 理 の 強 化 維 持 整 備 方 法 の 見 直 し 調 達 プロセスの 更 なる 透 明 化 契 約 制 度 の 適 正 化 など 効 率 的 効 果 的 かつ 厳 正 な 調 達 制 度 の 確 立 を 図 る (9) 中 長 期 的 な 視 点 に 立 った 最 先 端 の 防 衛 装 備 品 の 研 究 開 発 の 推 進 次 世 代 戦 闘 機 の 開 発 など 将 来 を 見 据 え 無 人 機 ロボット 技 術 やサイバー 宇 宙 関 連 技 術 などの 最 先 端 のわが 国 独 自 技 術 の 研 究 開 発 を 戦 略 的 に 推 進 すると ともに そのために 必 要 な 体 制 及 び 予 算 を 拡 充 する (10) 地 域 の 安 全 安 心 の 確 保 自 衛 隊 が 安 定 的 に 活 動 するためには 部 隊 が 所 在 する 地 域 の 自 治 体 や 住 民 の 12

理 解 及 び 支 援 が 必 要 不 可 欠 である 災 害 出 動 などを 通 じて 地 域 の 安 心 安 全 に 貢 献 している 自 衛 隊 の 役 割 に 着 目 し 地 域 コミュニティにおける 自 衛 隊 の 役 割 についての 重 要 性 に 十 分 配 慮 する また 地 元 企 業 からの 調 達 等 を 含 め 地 域 社 会 経 済 の 活 性 化 に 資 する 基 地 運 営 に 努 め 地 方 自 治 体 や 地 域 社 会 との 連 携 を 一 層 強 化 する さらに 駐 屯 地 基 地 等 に 関 する 地 元 対 策 機 能 を 拡 充 する 観 点 から 広 報 体 制 を 充 実 させるとともに 専 従 組 織 の 在 り 方 を 再 検 討 し 体 制 の 強 化 を 図 る (11) 広 報 等 の 情 報 発 信 機 能 の 充 実 強 化 等 安 全 保 障 政 策 に 対 する 国 際 社 会 や 国 民 の 広 範 な 理 解 と 支 持 を 得 る 観 点 から ソフトパワーの 重 要 性 を 認 識 し 各 種 ツールを 活 用 して 積 極 的 に 情 報 発 信 を 行 う 特 に グレーゾーン の 紛 争 が 増 加 する 今 日 においては 自 国 の 行 為 を 諸 外 国 に 丁 寧 に 説 明 し 国 際 社 会 の 理 解 と 支 持 を 得 ることが 重 要 である また 国 民 の 安 全 保 障 危 機 管 理 に 対 する 知 識 の 普 及 促 進 のため 安 全 保 障 に 関 する 大 学 講 座 社 会 講 座 を 設 置 するなどの 施 策 を 推 進 する 四 おわりに 以 上 記 してきたようにわが 国 を 取 り 巻 く 安 全 保 障 環 境 には 依 然 として 厳 しいもの があり 加 えて 国 際 的 なパワーバランスにも 重 大 な 変 化 が 生 じつつあり テロ サ イバー 攻 撃 などの 新 たな 脅 威 も 依 然 として 継 続 している わが 国 はかかる 環 境 の 下 国 民 の 生 命 財 産 領 土 領 海 領 空 を 断 固 として 守 り 抜 き さらに 国 際 社 会 の 平 和 と 安 定 の 構 築 へ 向 けてわが 国 にふさわしい 役 割 を 果 たしていかねばならない 政 府 はこれら 安 全 保 障 上 の 諸 課 題 を 決 して 先 送 りすることなく 防 衛 力 整 備 の 達 成 目 標 とそのスケジュールを 明 確 にした 上 で 着 実 に 実 行 に 移 していかなければならな い 政 府 に 対 し 本 提 言 を 参 考 にして わが 国 国 防 の 礎 となる 新 たな 防 衛 大 綱 なら びに 中 期 防 を 策 定 することを 強 く 要 望 するものである 13