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女 性 専 用 車 からみる 平 等 の 感 覚 はじめに 近 年 女 尊 男 卑 という 言 葉 をしばしば 見 聞 きする 機 会 が 増 えはじめたように 思 われる かつて 日 本 は 男 尊 女 卑 という 言 葉 のもと 女 性 の 権 利 拡 大 や 公 平 な 社 会 の 形 成 を 目 標 に 掲 げてきた しかし 女 尊 男 卑 という 言 葉 が 台 頭 しはじめた 今 日 では もはや 女 性 の 主 張 は 過 剰 要 求 ではないかという 男 性 の 本 音 が 垣 間 見 えるのではないだろ うか 今 回 はそうした 現 状 を 踏 まえて 真 の 平 等 のあり 方 について 考 察 したい 男 女 のちがいに 言 及 することは 非 常 に 困 難 な 作 業 となるため 今 回 は 女 性 専 用 車 にまつわる 論 争 を 取 り 上 げ 双 方 の 主 張 を 分 析 した 後 われわれの 平 等 の 感 覚 について 私 の 考 えを 述 べる 第 一 章 では 女 性 専 用 車 はそもそも 誰 のために 存 在 しているのかというテーマを 立 て 世 論 からいくつかの 主 要 な 考 えを 抜 粋 し 私 なりに 解 釈 したのち 三 つの 論 点 に 分 けた その 後 それぞれの 論 点 に 即 して 現 状 の 認 識 と 私 自 身 の 問 題 意 識 を 合 わせて 平 等 観 を 考 察 すると 共 に 新 たな 男 女 観 の 形 成 および 信 頼 関 係 を 構 築 しなければ ならないと 考 える 根 拠 を 探 った 第 二 章 では 第 一 章 の 議 論 を 踏 まえてそれぞれの 論 点 を 統 合 し 両 性 ともに 平 等 だと 考 えられる 制 度 はどのよ うにして 確 立 されるべきかについての 考 察 を 行 った 両 性 が 共 に 平 等 を 感 じることが 出 来 ない 根 本 原 因 は 第 一 章 で 述 べた 点 だけではないはずである 少 なくとも 両 性 が 異 なった 視 点 から 平 等 を 求 めても 成 り 立 たないことは 明 らかであるため 第 二 章 では 視 点 を 統 一 する 意 義 を 述 べることに 力 点 を 置 きたい 1. 女 性 専 用 車 は 誰 のためのものか 女 性 専 用 車 は 誰 のためのものだろうか おそらく 大 部 分 の 人 は 女 性 のためと 答 えるはずである しかし 実 際 は どちらのものでもない 男 性 の 乗 車 を 禁 止 する 法 的 根 拠 はなく 男 性 利 用 客 の 協 力 のもとに 成 り 立 っているのが 女 性 専 用 車 なのである しかし 現 実 は 異 なっており 男 性 が 女 性 専 用 車 に 乗 り 込 むことは 実 質 的 に 不 可 能 に 近 い こうした 実 態 を 受 けて 様 々な 論 争 が 巻 き 起 こっているが 私 なりにそうした 論 争 を 整 理 し 論 点 を 以 下 の 三 つに 整 理 した 1. 女 性 専 用 車 は 平 等 か 2. 女 性 専 用 車 は 本 当 に 痴 漢 対 策 に 成 りうるのか 3. 女 性 専 用 車 は 撤 廃 するべきか (1) 女 性 専 用 車 は 平 等 か 女 性 専 用 車 が 平 等 であるか 否 かは われわれの 平 等 の 感 覚 を 理 解 する 上 で 必 ず 問 わねばならない 問 題 であろう そもそも 女 性 専 用 車 という 存 在 を 作 ることそのものが 男 性 差 別 なのではないかという 意 見 は 非 常 に 多 いからで ある 加 えて 女 性 専 用 車 は 階 段 前 に 設 置 されている 場 合 が 多 く 急 いでいるラッシュ 時 に 男 性 に 非 常 に 不 便 な 状 況 を 強 いることになるという 点 を 踏 まえれば 確 かに 女 性 専 用 車 は 一 見 不 平 等 であり 男 性 差 別 に 思 える し かし 女 性 専 用 車 にまつわる 論 争 に 目 を 通 すと 意 図 的 であれ 無 意 識 的 であれ やはり 男 性 優 位 の 考 え 方 を 色 濃 く 残 している 意 見 に 出 会 うのである その 最 たる 例 が 女 性 専 用 があるにも 関 わらず どうして 使 わない のか? という 批 判 である この 批 判 の 背 景 には もはや 女 性 専 用 車 が 完 全 に 女 性 専 用 であり 女 性 は 全 8 車 両 から 自 由 に 選 べるのに 対 し 男 性 は 全 ての 車 両 を 選 べないという 不 平 等 感 差 別 されているという 感 覚 が 強 くあると 考 えられる したがって そうした 感 覚 を 紛 らわせるために 私 たちは 差 別 されているのではなく お 互 いに 区 別 し 合 っているのだ という 自 己 解 釈 が 必 要 となる その 結 果 先 に 挙 げたように 世 の 女 性 は 全 て 女 性 専 用 車 に 乗 るべきだという 考 え 方 が 生 まれることになるのである 平 等 が 文 字 通 り 等 しい 状 態 をさすのであ

れば 男 性 が 女 性 専 用 車 を 使 ってはならないという 制 度 は 間 違 っている ならばわれわれが 行 っている 女 性 専 用 車 制 度 はお 互 いの 利 益 を 守 るための 区 別 であろう では 女 性 が 女 性 専 用 車 に 乗 るのはもはや 義 務 ではない か というわけである こうしたロジックの 一 番 の 問 題 点 は 先 にも 述 べたように 男 性 優 位 の 考 えが 非 常 に 色 濃 く 残 されているとい う 点 である つまり 自 らが 決 定 の 主 導 権 を 握 りたいという 意 識 である 公 的 には 女 性 専 用 車 は 区 別 のための ものでも 差 別 のためのものでもない ましてやその 設 置 の 根 拠 となっているのは 世 の 男 性 による 痴 漢 犯 罪 対 策 なのである(この 妥 当 性 は 後 ほど 考 察 する) したがって 本 来 女 性 専 用 車 は 痴 漢 を 恐 れて 電 車 に 乗 るこ とが 困 難 である 女 性 が 心 おきなく 電 車 に 乗 れるようにと 配 慮 した 結 果 設 置 されたのであり 区 別 や 差 別 という 意 識 はわれわれが 自 己 解 釈 した 結 果 持 ち 合 わせることになった 認 識 にすぎないのである 当 然 こうした 配 慮 ですらも 女 性 差 別 的 だという 批 判 もあるが そうした 批 判 はもはや 新 たな 平 等 観 男 女 観 を 構 築 する 上 でほとんど 価 値 を 見 出 すことが 出 来 ない なぜなら 配 慮 を 拒 否 するということは 当 然 レ ディファースト 的 女 性 配 慮 を 拒 否 するということであり こうした 女 性 として 扱 われること 自 体 を 拒 否 す る 批 判 の 根 底 には 男 性 と 女 性 を 同 質 なものとして 扱 うべきだという 主 張 が 見 て 取 れるからである 実 際 アメリ カではこうした 男 性 と 女 性 を 区 別 するべきではないという 主 張 が 通 り ニューヨークのセントラルパーク 内 で 女 性 のトップレス が 認 められることとなった しかし こうした 主 張 は 異 常 であると 言 わざるを 得 ない 男 性 と 女 性 はそもそも 別 の 生 命 体 としてこの 世 に 生 を 受 けた 以 上 犬 とライオンが 同 じ 環 境 で 生 きるのが 困 難 であ るように 男 性 と 女 性 も お 互 いが 生 きるべき 環 境 は 異 なるのである 当 然 人 間 は 環 境 内 に 社 会 を 含 むため 社 会 での 立 ち 振 る 舞 い 方 も 当 然 異 なる これは 差 別 でも 区 別 でもなく 生 物 として 生 まれた 以 上 必 然 的 に 起 こりう ることである したがって 先 にあげたような 男 女 同 質 化 の 動 きには 大 きな 矛 盾 が 存 在 する その 一 例 が 産 休 や 育 児 休 暇 である 産 休 や 育 児 休 暇 制 度 は 世 の 女 性 たちの 女 性 らしさ を 確 保 しつつ 社 会 復 帰 の 機 会 が 得 られる 非 常 によい 制 度 であると 私 は 考 えている しかし 男 女 同 質 化 が 進 んでいくとこうした 制 度 を 選 択 しにく くなるのである 実 際 日 本 では 一 部 の 女 性 が 同 質 化 を 叫 んでいる 影 響 を 受 けて 世 の 女 性 が 逆 接 的 に 差 別 を 受 けているような 印 象 を 受 ける つまり 大 多 数 の 女 性 は 女 性 として 扱 われることを 望 んでおり 産 休 や 育 児 休 暇 を 取 りたいと 考 えているが 一 部 の 同 質 化 運 動 を 行 う 女 性 が 世 の 女 性 の 考 え 方 であると 男 性 に 誤 解 されることに よって 女 性 らしく 扱 われることが 嫌 なら 取 らなければいいし 産 まなければいいと 考 えられてしまっているの ではないかということである これは 間 違 いなく 差 別 であろう こうした 女 性 らしさ の 損 失 は 非 常 に 問 題 だ と 私 は 考 えている したがって 近 年 の 女 性 の 権 利 拡 大 運 動 には 些 か 否 定 的 である 確 かに 適 切 な 主 張 も 存 在 す るが 大 部 分 はもはや 自 分 たちの 首 を 絞 めることになるのではないかと 危 惧 させるような 主 張 ばかりだからであ る かつての 女 性 の 権 利 回 復 運 動 は 女 性 が 人 間 として 扱 われていない ことが 問 題 であった しかし 今 日 の 主 張 はその 質 の 向 上 にあり この 段 階 まで 来 ると 女 性 らしさ を 引 き 換 えに 獲 得 しなければならない 権 利 も 多 々 存 在 するのではないだろうか さて 話 を 女 性 専 用 車 に 戻 そう 私 が 同 質 化 の 例 を 挙 げたのは 女 性 専 用 車 問 題 の 解 決 を 試 みた 際 男 性 だっ て 痴 漢 冤 罪 の 危 険 があるのだから 女 性 も 痴 漢 の 危 険 ぐらいは 容 認 すべきだ という 考 えを 否 定 するためである こうした 一 部 のラディカルな 女 性 の 主 張 を 真 に 受 けて 新 たな 対 策 を 講 じることは 大 多 数 一 般 の 平 等 の 成 立 とは かけ 離 れていると 言 える 現 状 でも 女 性 専 用 車 に 乗 りたくない 女 性 は 乗 らなくてもいいようになっているのだか ら シェルターが 必 要 だと 考 える 女 性 の 視 点 に 即 して 考 えねばなるまい そこで 次 節 では 現 状 の 女 性 専 用 車 が 本 当 に 痴 漢 被 害 を 防 ぐことが 出 来 ているのか また 男 性 の 冤 罪 問 題 はどのように 扱 うべきかについて 考 察 したい (2) 女 性 専 用 車 は 本 当 に 痴 漢 対 策 になりうるのか 現 代 の 男 性 は 冤 罪 問 題 などに 非 常 に 敏 感 であり 私 自 身 一 男 性 として 意 見 するならば 確 かに 女 性 には 極 力 同 じ 車 両 に 乗 ってほしくないし 近 くに 若 い 女 性 が 来 れば 無 理 をしてでもそこから 離 れる 努 力 をしている しかし こうした 感 覚 と 平 等 は 基 本 的 に 共 存 し 得 ないものである どちらか 一 方 の 意 見 を 立 てれば それは 不 平 等 への 契

機 となりうるからである 第 二 節 ではこうした 男 性 の 冤 罪 を 恐 れる 視 点 も 踏 まえつつ 現 状 の 女 性 専 用 車 の 痴 漢 対 策 効 果 を 考 察 していきたい 女 性 専 用 車 導 入 以 降 鉄 道 会 社 は 痴 漢 発 生 件 数 を 非 公 開 にする 鉄 道 会 社 が 増 えたため 現 状 では 正 確 に 把 握 す ることは 出 来 ない しかし 単 純 に 考 えてみれば 対 策 としての 効 果 はかなり 薄 いと 言 わざるを 得 ないだろう なぜなら 女 性 専 用 車 に 乗 ることが 義 務 ではない 以 上 別 の 車 両 にも 女 性 は 乗 り 込 むからである その 結 果 女 性 専 用 車 だけが 空 いていて 残 りの 車 両 は 軒 並 み 寿 司 詰 め 状 態 という 状 態 がよくみられる こうした 寿 司 詰 め 状 態 こそが 痴 漢 犯 罪 の 温 床 であり 原 因 であろう かつてであれば 均 等 に 分 散 されていた 乗 客 が 女 性 専 用 車 の 登 場 によって 片 寄 るようになり 結 果 として 以 前 よりもより 寿 司 詰 め 状 態 が 悪 化 しているのである 加 えて 第 一 節 で 上 げた 女 性 専 用 があるにも 関 わらず どうして 使 わないのか? といいう 疑 問 は 容 易 に わざわざ 男 性 の 多 い 車 両 に 乗 ってくるということは 痴 漢 されたいのではないか? という 認 識 へと 転 化 する こうした 実 に 男 性 的 な 解 釈 はわれわれの 平 等 観 を 考 察 する 上 で 欠 かせない 要 素 であると 言 えるだろう 露 骨 な 表 現 となるが 男 性 は 魅 力 的 な 女 性 であれば 初 対 面 でも 性 交 をしたいと 考 える 生 き 物 である 一 方 女 性 はそうではない 日 本 で はこうした 性 にまつわる 議 論 は 回 避 されてきたように 思 われるが われわれが 今 後 女 性 専 用 車 問 題 で 真 の 平 等 を 形 成 しようと 考 えるならば こうした 性 欲 を 感 じるメカニズムの 差 も 考 慮 に 入 れなければならないと 私 は 考 える なぜなら そもそも 女 性 専 用 車 という 概 念 が 生 み 出 された 原 因 は 男 性 の 性 欲 のメカニズムに 不 信 感 を 抱 か ざるを 得 ない 現 状 にあると 言 えるからである したがって 女 性 専 用 車 が 生 み 出 された 原 因 は 必 ずしも 痴 漢 犯 罪 を 行 う 人 間 のみに 依 拠 されるべきではない むしろ 男 性 という 存 在 そのものへの 不 信 感 であり 拒 否 反 応 で あると 捉 えるべきである 女 性 専 用 車 問 題 は 痴 漢 を 行 う 男 性 と 世 の 中 の 女 性 の 間 で 発 生 している 問 題 で その 他 大 勢 の 男 性 はただの 傍 観 者 にすぎないという 視 点 は 早 急 に 捨 てなければならない 自 分 も 原 因 の 一 部 であるとい う 意 識 は 今 後 男 性 全 てに 共 有 されなければならないのである こうした 意 識 を 持 ちえないからこそ 女 性 専 用 車 の 存 在 に 対 して 差 別 感 や 不 平 等 感 を 感 じると 言 えるだろう では 痴 漢 冤 罪 はどう 考 えるべきだろうか 残 念 ながら 世 の 中 には 示 談 金 目 当 てで 痴 漢 冤 罪 を 試 みる 女 性 や 車 内 で 注 意 してきた 気 に 入 らない 男 性 を 社 会 的 に 抹 殺 しようと 試 みる 女 性 が 一 部 いることも 事 実 である しかし 大 多 数 の 女 性 は 純 粋 に 痴 漢 の 恐 怖 におびえているし 不 快 感 を 持 っているであろう したがって 基 本 的 にわれ われは 何 もしないという 選 択 だけで 問 題 がないと 言 える つまり 怪 しまれる 行 為 を 行 わないということが 大 前 提 だということである それでも 満 員 電 車 のようにどうしようもできない 状 況 は 存 在 する こうした 状 況 をわれ われはどのように 考 えるべきなのだろうか 最 も 効 果 的 な 対 策 は 満 員 電 車 に 乗 らないことだが これは 現 実 的 で はない 加 えて 痴 漢 犯 罪 が 減 少 しない 原 因 が 一 般 車 両 に 乗 り 込 む 女 性 が 存 在 するからだと 指 摘 したが これは 痴 漢 冤 罪 にも 当 てはまる 解 釈 である つまり 痴 漢 冤 罪 を 目 論 む 女 性 は 女 性 専 用 車 に 乗 らず 一 般 車 両 に 乗 り 込 むということである この 点 から 考 えれば 女 性 は 最 悪 女 性 専 用 車 に 乗 ればほぼ 確 実 に 痴 漢 犯 罪 から 逃 れられる が 男 性 は 常 に 痴 漢 冤 罪 の 危 険 性 を 伴 うと 言 えるだろう こうした 現 状 を 踏 まえると われわれはどうしても 世 の 中 の 女 性 全 てに 女 性 専 用 車 に 乗 ってほしいと 思 いがちである あるいは 男 性 専 用 車 の 導 入 も 検 討 するべきだと の 意 見 も 出 ることになるだろう 第 三 節 では こうした 男 性 視 点 の 欲 求 を 踏 まえて 女 性 専 用 車 は 廃 止 するべき かという 問 題 について 考 察 を 行 いたい (3) 女 性 専 用 車 は 撤 廃 するべきか われわれの 究 極 的 な 目 標 として 女 性 専 用 車 制 度 は 廃 止 されるべきである これは 私 の 基 本 的 立 場 として 表 明 しておきたい 女 性 専 用 車 制 度 が 撤 廃 されるということは 女 性 が 世 の 男 性 に 対 する 不 信 感 を 持 つことなく ま た 男 性 も 冤 罪 の 恐 怖 におびえる 必 要 がないという 相 互 の 信 頼 関 係 が 成 り 立 ったということを 意 味 するからであ る しかし 私 が 第 一 節 末 で 同 質 化 の 例 を 挙 げて 批 判 したような 男 性 優 位 の 価 値 観 から 女 性 専 用 車 は 撤 廃 しな ければならないという 意 見 も 根 強 い しかし 男 性 だって 痴 漢 冤 罪 の 危 険 があるのだから 女 性 も 痴 漢 の 危 険 ぐらいは 容 認 すべきだ という 考 えの 結 論 として 女 性 専 用 車 が 撤 廃 されてはならない なぜなら これは 一 見 平

等 であるように 思 われるが 依 然 として 女 性 の 男 性 に 対 する 不 信 感 は 残 されているし 男 性 もまた 女 性 に 対 す る 不 信 感 をぬぐい 切 れていないからである 信 頼 関 係 を 欠 如 した 状 態 で 女 性 専 用 車 制 度 を 撤 廃 すれば その 先 に 待 っている 未 来 は 車 両 の 完 全 分 離 であろう 女 性 専 用 車 を 撤 廃 したとしても 結 局 両 性 からの 不 満 や 不 安 が 収 束 することなく 女 性 専 用 車 男 性 専 用 車 双 方 への 希 求 が 高 まったのち 分 離 に 至 るのである 一 見 分 離 すれば 全 て 解 決 するように 思 われるだろう しかし こうした 考 えは 人 間 存 在 の 持 続 可 能 性 の 観 点 を 踏 まえれば 非 常 に 危 機 的 な 状 態 であると 言 わざるを 得 ない なぜなら 両 性 が 個 人 としての 存 在 を 求 めれば 求 めるほど 両 者 の 性 にまつわる 問 題 に 対 する 嫌 悪 感 はましていき 結 果 的 にヒトとしての 生 存 が 危 うくなるだけでなく 伝 承 再 生 産 という 観 点 が 完 全 に 失 われるからである 今 後 医 療 技 術 の 発 達 により 同 性 同 士 の 遺 伝 子 を 掛 け 合 わせて 子 を 成 すことが 出 来 るようになる 時 代 がすぐに 到 来 するだろう そうなったとき 男 性 同 士 女 性 同 士 が 親 であるという 状 況 は 伝 承 という 観 点 から 見 れば 歪 にならざるを 得 ないと 私 は 考 える 現 状 では 同 性 婚 を 個 人 の 権 利 として 認 める 国 家 が 多 くみられるが 将 来 的 に 男 女 間 の 信 頼 が 完 全 に 崩 壊 し 男 性 は 男 性 と 女 性 は 女 性 と 暮 らす 社 会 や あるいは 両 性 を 持 つニュートラルな 人 間 の 誕 生 が 望 まれる 危 険 性 を 考 えれば 同 性 婚 は 安 易 に 認 めるべきではなかったのではないだろうか 一 世 紀 前 であれば 同 性 婚 は 何 の 問 題 もなかっただろう しか し われわれはもはや 先 ほど 私 があげた 未 来 がすぐそこまで 迫 ってきているほどに 科 学 技 術 が 進 歩 した 時 代 に 生 きているのである 私 の 危 機 感 が 空 想 でも 妄 想 でもなく 現 実 に 起 こりうる 事 象 としてわれわれの 目 の 前 に 現 れ たとき 現 状 の 制 度 は 簡 単 に 男 女 間 さらに 言 えば 人 間 観 の 崩 壊 を 導 くことになるだろう 科 学 技 術 の 到 来 はい つも 突 然 である 気 づいたときにはわれわれの 社 会 構 造 を 組 み 替 えていて さも 自 らが 常 識 であるように 振 る 舞 う 大 多 数 の 人 間 がこうした 状 況 にすら 気 づくことが 出 来 ない 以 上 男 女 間 人 間 関 係 における 強 固 な 信 頼 の 構 築 は 今 や 早 急 に 求 められるべきではないだろうか 2.どのようにすれば 平 等 が 達 成 されるのか 私 は 第 一 章 で 女 性 専 用 車 が 設 置 された 根 本 には 男 性 の 性 欲 に 対 する 不 信 感 があると 述 べた これこそが 女 性 の 基 本 的 な 視 点 であると 言 える したがって 女 性 はこの 男 性 に 対 する 不 信 感 から 逃 れるための 女 性 専 用 車 である と 認 識 しているため 非 は 男 性 側 にあり 専 用 車 設 置 によって 平 等 が 確 立 されていると 考 えるわけである 一 方 男 性 は 痴 漢 犯 罪 を 行 う 人 間 はごく 少 数 であり そんな 一 部 の 人 間 のために 大 多 数 の 男 性 がラッシュ 時 により 寿 司 詰 めになる 不 便 になるといった 不 利 益 を 被 ることは 不 平 等 だと 考 えるのであった こうした 考 えに 対 する 批 判 補 強 は 前 章 で 行 ってきたため 第 二 章 ではそうした 批 判 補 強 も 含 めて 両 性 共 に 共 通 の 視 点 から 平 等 を 考 える 必 要 性 について 考 察 すると 共 に 具 体 的 な 視 点 を 確 立 するための 方 法 について 考 えていきたい 私 自 身 の 考 えは 何 度 も 述 べているように 女 性 専 用 車 制 度 の 完 全 廃 止 が 両 性 相 互 の 信 頼 関 係 の 成 立 によってな されるべきだというものである 当 然 こうした 信 頼 関 係 が 維 持 されるためには 両 性 が 共 に 納 得 できるような 平 等 が 成 立 していなければならない こうした 議 論 を 行 う 際 はじめに 問 わねばならないことは 信 頼 関 係 の 回 復 が 先 か 平 等 の 設 立 が 先 かという 点 であろう 非 常 に 難 しい 問 題 だが 私 は 平 等 の 成 立 が 先 であるべきだと 考 えて いる なぜなら 信 頼 関 係 というものは お 互 いがお 互 いを 尊 重 し 合 う 過 程 の 中 でしか 生 まれないと 思 われるか らである 特 に 男 女 間 において 約 束 事 の 履 行 は 大 きな 効 果 をもたらすと 言 えるだろう したがって 私 の 最 終 的 な 目 標 は 相 互 の 信 頼 関 係 の 構 築 にあるが そのための 足 掛 かりとして 両 者 の 平 等 を 確 立 することは 必 要 不 可 欠 だと 考 えている ではより 具 体 的 にそのプロセスを 見 ていくことにしよう 第 一 に 両 性 の 本 質 的 な 主 張 を 論 理 的 にまとめなければならない 加 齢 臭 が 嫌 だ ケバイ 化 粧 をする 人 は 嫌 だ という 意 見 は 一 定 数 みられるが こうした 意 見 は 一 端 排 除 しておくべきだろう これらはマナーの 問 題 に 属 する 類 であり 根 幹 をなすものではないと 思 われるからである 第 二 に 両 性 の 主 張 を 肯 定 否 定 に 分 類 し その 特 徴 を 考 察 しなければならない おそらく 同 じ 肯 定 でも 男 性 女 性 ではその 根 拠 は 異 なるだろうし 同 時 に 否 定 でも 同

じように 異 なるはずだからである 第 三 に 肯 定 と 否 定 それぞれの 共 通 項 をあぶりださねばならない 仮 に 男 性 肯 定 派 の 考 えが 冤 罪 の 回 避 であったとしよう そして 女 性 肯 定 派 の 考 えが 痴 漢 からの 回 避 であるとしよう そ の 妥 当 性 の 是 非 は 別 として 少 なくとも 犯 罪 に 巻 き 込 まれることから 逃 れることが 出 来 るという 視 点 は 共 通 し ているはずである このように 肯 定 と 否 定 それぞれの 論 点 を 練 り 上 げ 共 通 の 価 値 観 を 見 つけ 出 していく 必 要 があるだろう 第 四 に こうして 練 り 上 げられた 共 通 項 を 基 準 として そこから 外 れる 価 値 観 を 再 考 しなければ ならない(ここで 先 ほどあげた 臭 いなどの 具 体 的 な 問 題 を 導 入 する) 共 通 項 から 外 れた 意 見 は 大 きく 二 つに 分 けることが 出 来 ると 言 えるだろう 一 つは 両 性 の 本 質 的 な 部 分 を 踏 まえていながらも 共 通 項 からはみ 出 てし まった 価 値 観 である もう 一 つは 両 性 の 本 質 を 踏 まえてはおらず 具 体 的 な 対 策 法 で 解 決 できると 思 われる 価 値 観 である こうしたプロセスを 経 ながら 共 通 の 視 点 を 練 り 上 げることで 見 えてくる 問 題 点 は 私 が 本 文 で 指 摘 した 以 上 の ものになることは 間 違 いない おそらく 気 づくことが 出 来 なかった 多 くのものがまた 現 れてくるだろう ここで 大 切 なことは そうした 価 値 観 を 早 急 に 解 決 することではなく 順 序 立 てて 考 えることである つまり どうし ても 解 決 しなければならない 問 題 から 個 人 のちょっとした 心 がけで 修 正 できる 問 題 まで 幅 広 く 存 在 する 以 上 それら 全 てを 同 系 列 の 問 題 として 扱 うのではなく 本 質 に 近 い 部 分 から 順 序 立 てて 解 決 していき その 観 点 にお いて 平 等 が 成 されたというコンセンサスがとれたとき 初 めて 次 の 問 題 の 解 決 に 向 かうべきだということである こうして 順 序 立 てて 解 決 していく 過 程 で 信 頼 が 徐 々に 構 築 されていくのではないだろうか おそらく 私 のこの 考 えに 対 して なぜ 逆 のプロセスではないのかという 疑 問 が 投 げかけられるだろう すなわ ち 簡 単 な 部 分 から 信 頼 関 係 を 構 築 していき 徐 々に 難 しい 問 題 に 対 峙 すればいいのではないかという 疑 問 であ る 確 かに 簡 単 な 部 分 から 徐 々に 成 長 しながら 解 決 していくという 方 法 は 個 人 が 問 題 を 乗 り 越 えていく 上 では 非 常 に 効 果 的 な 方 法 と 言 えるだろう しかし 相 手 が 存 在 し 両 者 の 間 で 信 頼 関 係 を 構 築 しなければならないとす るとき 最 も 大 切 なことは 本 質 的 な 部 分 で 繋 がることなのである これは 国 家 間 の 問 題 を 見 れば 一 目 瞭 然 であろ う 結 局 国 家 は 根 本 的 な 部 分 で 信 頼 し 合 うことが 出 来 ないから 条 約 などが 口 約 束 程 度 のものにまでなり 下 がる のである 最 終 的 に 行 き 着 く 先 が 同 じであるなら はじめに 根 本 的 な 部 分 で 同 意 を 得 る 方 がその 後 の 展 開 もより 確 実 ではないだろうか なぜなら お 互 いに 納 得 している 土 台 が 大 きければ 大 きいほど 些 細 な 問 題 に 対 して 柔 軟 に 対 応 できると 思 われるからである 加 齢 臭 の 対 策 を 例 に 挙 げて 考 えてみよう 加 齢 臭 は 加 齢 に 伴 い 必 然 的 に 伴 うものであり 個 人 の 努 力 も 当 然 必 要 だが 男 性 も 女 性 の 化 粧 や 香 水 に 対 して 不 快 な 思 いをする 場 合 があるのだから 全 車 両 にいい 香 りを 充 満 させ れば 解 決 ではないかという 具 体 例 が 出 され それで 解 決 したとする ではそこから 次 の 段 階 へ 進 むとき この 程 度 の 同 意 が 信 頼 関 係 を 構 築 していると 言 えるだろうか むしろ 各 人 の 努 力 なしに 安 易 な 解 決 法 を 出 したという 批 判 が 後 に 出 されはしないだろうか こうした 簡 単 な 問 題 に 関 しては どうしても 熟 考 なしに 決 断 してしまいが ちである その 結 果 平 等 ではあれども 信 頼 関 係 が 構 築 されていないという 状 況 が 起 こりうる これは 本 来 の 目 的 とは 大 きくかけ 離 れていると 言 えるだろう 最 悪 のケースはこうした 簡 単 な 問 題 すらも 解 決 出 来 ず 泥 沼 には まることである それならば 本 質 的 な 議 論 において 拘 泥 する 方 がよりよい 結 果 が 得 られることは 明 白 であろう 以 上 の 理 由 をもって 私 は 本 質 的 な 問 題 から 解 決 していくべきだと 考 えている 本 章 では どのようにして 平 等 がなされるのか またなされるべきかという 観 点 から その 意 義 と 具 体 的 な 方 法 についての 考 察 を 行 った 当 然 私 の 考 えは 社 会 全 体 で 取 り 組 む 際 にはただの 一 意 見 に 過 ぎない 大 切 なことは 私 が 今 回 ここで 述 べたように 最 終 的 な 目 標 を 明 確 に 定 めて そこに 向 かって 両 性 各 自 が 努 力 していくことであ る ただ 漠 然 と 廃 止 を 訴 えたり 女 性 専 用 車 に 監 視 カメラの 設 立 や 女 性 専 用 車 の 出 入 り 口 に 警 備 員 を 立 てるよ うに 要 求 したりすることは 明 らかに 両 性 の 溝 をより 深 めることになるだろう こうした 現 状 を 踏 まえても や はりわれわれの 平 等 を 考 える 視 点 を 統 一 する 努 力 をすることは 意 義 あるものだと 思 われるのである

3.おわりに 本 文 を 通 して 私 は 女 性 専 用 車 の 現 状 を 極 力 両 性 の 観 点 から 考 察 するよう 努 力 してきたつもりである しかし 私 自 身 男 性 という 立 場 に 生 きざるを 得 ない 以 上 先 入 観 が 伴 っている 可 能 性 は 否 定 できない したがって 今 後 是 非 とも 両 性 の 立 場 から 信 頼 関 係 を 構 築 するための 議 論 をする 機 会 を 設 けるべきである 双 方 が 自 分 の 利 益 のみを 主 張 し 続 ける 限 り 真 の 男 女 平 等 はなしえないどころか むしろ 両 者 の 溝 を 深 めるという 結 果 を 導 くだけ であろう お 互 いを 配 慮 し 合 う 感 情 は 当 然 必 要 だが ただ 配 慮 し 合 うだけではなく 両 性 の 考 える 平 等 の 感 覚 が 異 なっているということを 理 解 しなければならない 私 が 第 二 章 で 暗 に 示 したかったものはこれである われ われの 平 等 の 視 点 を 統 一 するためには われわれの 考 え 方 や 見 ている 方 向 が 異 なっているということを 自 覚 しな ければならない 以 上 ただ 自 らの 考 える 平 等 を 相 手 に 押 し 付 けるのではなく 共 に 作 り 上 げていくという 意 識 が 欠 かせないのである 今 回 は 女 性 専 用 車 という 問 題 を 通 して 見 られた 両 性 の 差 から いかに 異 なった 平 等 の 感 覚 を 持 ち 合 わせている かを 探 ったが 世 界 規 模 で 平 等 を 考 えていく 際 には 男 女 の 違 いだけでなく 文 化 の 違 いも 考 慮 に 入 れなければな らないため 多 大 な 労 力 が 必 要 となることは 想 像 に 難 くない しかし 今 後 グローバル 化 の 影 響 をより 受 ける 次 世 代 のためにも われわれが 成 さねばならないことは 多 く 残 っているのである 2014/01/27