アジア 中 東 諸 国 の 海 外 石 油 下 流 等 事 業 提 携 の 動 向 と 我 が 国 へのインプリケーション に 関 する 調 査 一 般 財 団 法 人 石 油 エネルギー 技 術 センター 調 査 情 報 部 半 澤 彰 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティング( 株 ) 環 境 エネルギー 部 織 田 博 嗣 1. 調 査 の 概 要 1.1 調 査 の 背 景 と 目 的 我 が 国 石 油 精 製 業 の 新 たな 展 開 として 海 外 石 油 会 社 との 事 業 提 携 による 下 流 部 門 への 進 出 可 能 性 が 模 索 されている 本 調 査 は アジア 中 東 諸 国 における 石 油 下 流 等 事 業 提 携 の 動 向 を 文 献 資 料 調 査 国 内 外 におけるインタビュー 調 査 等 を 通 じて 調 査 分 析 するとともに 我 が 国 石 油 企 業 の 今 後 のビジネス 展 開 に 関 するインプリケーションを 提 示 することを 目 的 としている 1.2 調 査 の 全 体 像 アジア 中 東 諸 国 における 主 要 な 石 油 下 流 事 業 提 携 を 調 査 分 析 すると 以 下 のような 大 きな 流 れが 基 底 にあることがわかる - 主 に 中 国 の 石 油 下 流 市 場 ( 特 に 石 化 市 場 )の 将 来 性 に 期 待 し 同 市 場 を 主 要 な 販 売 先 に することを 念 頭 に 中 東 中 国 シンガポール 等 に 製 油 所 石 化 プラントが 建 設 運 営 されている - 主 に 中 国 の 石 油 下 流 市 場 ( 特 に 石 化 市 場 )の 成 長 に 対 応 するという 共 通 の 目 的 の 下 中 東 及 び 中 国 における 国 営 石 油 企 業 と 欧 米 石 油 資 本 あるいは 欧 米 石 油 化 学 企 業 との 間 で 提 携 関 係 が 強 化 されている - 一 方 で ベトナム インドネシアにおける 石 油 下 流 市 場 ( 精 製 販 売 石 化 全 て)は 今 後 大 きく 成 長 することが 見 込 まれており 中 国 に 続 く 市 場 として 注 目 されている 石 化 製 品 プロジェクト 中 東 中 国 国 際 石 油 資 本 等 シンガポール 精 製 石 化 ベトナム インドネシア 石 化 製 品 の 流 れ 中 東 国 営 石 油 企 業 の 進 出 先 国 際 石 油 資 本 の 進 出 先 日 本 石 油 精 製 企 業 の 進 出 先 日 本 ( 石 油 精 製 企 業 ) < 特 徴 > 国 際 石 油 資 本 と 中 東 及 び 中 国 国 営 石 油 企 業 の 石 化 戦 略 が 一 致 東 南 アジア 市 場 ( 精 製 石 化 )が 開 拓 先 として 有 望 図 1 アジア 中 東 諸 国 における 主 要 な 石 油 下 流 事 業 提 携 の 全 体 像 -15-
こうした 問 題 意 識 の 下 本 報 告 書 は 下 図 のように 各 章 を 構 成 することとする 即 ち 第 2 章 ~ 第 4 章 の 調 査 結 果 を 踏 まえ 第 5 章 において 我 が 国 石 油 企 業 の 今 後 の 海 外 石 油 下 流 等 事 業 提 携 の 方 向 性 に 関 するインプリケーションを 提 示 する なお 本 調 査 における 調 査 対 象 国 は 以 下 の 通 りである -アジア: 中 国 ベトナム インドネシア - 中 東 :サウジアラビア カタール クウェート UAE 2.アジア 諸 国 の 石 油 下 流 等 事 業 提 携 事 例 に 関 する 分 析 3. 中 東 諸 国 の 石 油 下 流 等 事 業 提 携 事 例 に 関 する 分 析 5. 我 が 国 へのインプリケーション 4. 主 要 提 携 先 ( 国 際 石 油 資 本 )の 事 業 提 携 政 策 戦 略 動 向 図 2 本 調 査 の 構 成 2.アジア 諸 国 の 石 油 下 流 事 業 提 携 事 例 に 関 する 分 析 2.1 中 国 石 油 下 流 事 業 分 野 において 中 国 国 営 石 油 企 業 による 外 資 との 提 携 事 例 の 推 移 を 見 ると 以 下 のように 特 徴 を 整 理 できる -1996~2000 年 : 製 油 所 建 設 における 提 携 -2001~2010 年 : 欧 米 石 油 資 本 との 大 型 合 弁 ( 主 に 石 化 分 野 ) -2011~2015 年 : 産 油 国 企 業 との 合 弁 ( 検 討 中 を 含 む) -16-
表 1 中 国 における 石 油 下 流 部 門 提 携 事 例 プロジェクト 名 CNPCとTotal, Shinochemによる 大 連 市 における 精 製 石 化 事 業 SinopecとBASFによる 南 京 市 における 石 化 事 業 SinopecとBPによる 上 海 市 における 石 化 事 業 CNOOCとShellによる 広 東 省 における 精 製 石 化 事 業 SinopecとExxonMobil, Saudi Aramcoによ る 福 建 省 における 精 製 石 化 事 業 SinopecとSABICによる 天 津 市 における 石 化 事 業 場 所 遼 寧 省 大 連 市 事 業 主 体 CNPC (PetroChina) Shinochem 事 業 形 態 事 業 概 要 提 携 会 社 欧 米 石 油 会 社 国 営 石 油 会 社 出 資 比 率 投 資 額 開 始 年 Total( 仏 ) - Total 22.4% 30~40 億 ドル 1997 年 8 月 CNPC 系 16% Sinochem 27.5% 他 中 国 系 34.1% 29 億 ドル 2005 年 5 月 江 蘇 省 南 京 市 SINOPEC BASF( 独 ) Sinopec 50% BASF 50% 上 海 市 SINOPEC BP( 英 ) - BP 50% Sinopec 30% 上 海 石 化 20% 広 東 省 恵 州 市 CNOOC Shell( 英 ) - CNOOC50% Shell50% 福 建 省 泉 州 市 SINOPEC ExxonMobil( 米 ) Saudi Aramco (サウジアラビア) 天 津 市 SINOPEC - SABIC (サウジアラビア) Sinopec 福 建 省 50% ExxonMobil 25% Saudi Aramco 25% Sinopec 50% SABIC 50% 27 億 ドル 2005 年 6 月 43 億 ドル 2006 年 3 月 35 億 ドル 2009 年 12 月 340 億 元 2010 年 8 月 SinopecとSaudi Aramcoによる 山 東 省 における 精 製 石 化 事 業 山 東 省 青 島 市 SINOPEC - Saudi Aramco (サウジアラビア) 未 定 未 定 未 定 CNPCとRosneftによる 天 津 市 における 精 製 事 業 天 津 市 CNPC (PetroChina) - Rosneft( 露 ) CNPC 51% Rosneft 49% 50 億 ドル 未 定 PetroChinaとShell, QPIによる 浙 江 省 における 精 製 石 化 事 業 SinochemとTotal, KPCによる 福 建 省 における 精 製 石 化 事 業 浙 江 省 台 州 市 CNPC (PetroChina) Shell( 英 ) QPI(カタール) PetroChina 51% Shell 24.5% QPI 24.5% 福 建 省 泉 州 市 Sinochem Total( 仏 ) KPC(クウェート) Shinochem 51% KPC 及 びTotal 49% 約 1 兆 円 不 明 未 定 2012 年 予 定 SinopecとKPCによる 広 東 省 における 精 製 石 化 事 業 広 東 省 湛 江 市 SINOPEC - KPC(クウェート) Sinopec 50% KPC 50% 90 億 ドル 2013 年 ~14 年 予 定 このように 製 油 所 建 設 における 提 携 ニーズは 主 に 1990 年 代 に 石 化 ( 汎 用 ) 分 野 に おける 提 携 ニーズは 主 に 2000 年 代 に 高 まっていたが 現 在 は それほど 強 くなく むしろ 産 油 国 との 関 係 強 化 に 対 するニーズが 強 まっていると 考 えられる これは 製 油 所 や 石 化 (エチレン)プラントの 建 設 運 用 に 関 するノウハウ 技 術 は 中 国 国 営 石 油 企 業 が 経 験 を 深 めたことから 自 主 技 術 として 習 得 しており あえて 外 資 系 企 業 と 提 携 する 必 要 性 がなくなったためと 考 えられる 一 方 原 油 調 達 に 関 しては 今 後 もますます 必 要 となってくるため 産 油 国 と 関 係 強 化 することの 重 要 性 が 相 対 的 に 高 まりつつあると 言 うことができよう 現 在 中 国 国 営 石 油 企 業 が 石 油 下 流 事 業 において 原 油 調 達 以 外 に 外 資 系 企 業 との 提 携 ニーズがあると 考 えられる 分 野 は 以 下 の 通 りである 1 石 化 下 流 分 野 への 展 開 中 国 国 営 石 油 企 業 は 多 くの 石 化 (エチレン)プラントを 建 設 運 営 しており この 分 野 において あえて 外 資 系 企 業 と 提 携 しなければならないという 必 然 性 はなくなってき ている しかしながら 石 化 製 品 でも より 下 流 分 野 ( 高 機 能 化 学 品 等 )においては 中 国 国 営 石 油 企 業 も まだ 自 主 技 術 として 習 得 しておらず 外 資 系 企 業 の 技 術 が 必 要 とされてい る 部 分 が 多 い また これらの 製 品 群 は 付 加 価 値 が 高 く 中 国 が 今 後 注 力 していきたい 分 野 の 1 つである -17-
2 精 製 設 備 の 高 度 化 中 国 国 営 石 油 企 業 は 多 くの 製 油 所 を 建 設 運 営 しており 石 化 ( 汎 用 ) 分 野 と 同 様 この 分 野 において あえて 外 資 系 企 業 と 提 携 する 必 要 性 はなくなってきている 省 エネ 技 術 等 の 高 度 な 技 術 に 関 しても 中 国 国 営 石 油 企 業 は 自 主 技 術 として 習 得 して いる しかしながら 今 後 よりハイレベルの 品 質 基 準 ( 日 本 レベル)が 要 求 されるよ うになった 場 合 それに 対 応 し 得 る 技 術 を 中 国 側 はまだ 十 分 に 有 しているとは 言 えない 従 って 将 来 品 質 環 境 基 準 がより 厳 格 化 された 際 には 省 エネや 高 硫 黄 原 油 処 理 等 の ための 高 度 な 技 術 の 導 入 が 必 要 となり 外 資 系 企 業 と 提 携 する 可 能 性 が 高 くなると 考 え られる 2.2 ベトナム (1) 石 油 産 業 の 現 状 第 1 製 油 所 (Dung Quat)が 建 設 されたのに 続 き 第 2 製 油 所 (Nghi Son)も 2013 年 稼 動 に 向 けた 計 画 が 進 展 している さらに 第 3 製 油 所 (Long Son)も 実 現 可 能 性 が 高 い と 言 われており 2016~2020 年 の 稼 動 を 目 指 している 但 し その 他 の 製 油 所 計 画 ( 第 4~ 第 7 製 油 所 計 画 )は Petrovietnam( 国 営 石 油 企 業 )が 事 業 主 体 ではなく 実 現 性 は 乏 しいと 言 われている 第 3 製 油 所 の 隣 接 地 域 に ベトナム 初 となる 石 化 コンビナートが 建 設 される 予 定 である 同 コンビナートの 成 否 が 今 後 のベトナムの 石 化 プロジェクトの 行 方 を 左 右 すると 考 えら れる ( 第 1~ 第 2 製 油 所 において 石 化 コンプレックスが 建 設 計 画 されているが あく までも 製 油 所 建 設 が 主 体 であり 石 化 への 展 開 は 比 較 的 小 規 模 である ) ベトナムの 石 油 製 品 及 び 石 化 製 品 の 需 給 ギャップは 当 分 解 消 されそうになく 精 製 能 力 拡 大 へのニーズは 大 きいと 考 えられる プロジェクト 名 PetroVietnamによる タインホア 省 Nghi Son 製 油 所 石 化 コンプレックス 建 設 Nghi Son 経 済 区 計 画 PetroVietnamによる Long Son 第 3 製 油 所 建 設 計 画 PetroVietnamによる Long Son 石 化 コンビナート 建 設 計 画 表 2 ベトナムにおける 石 油 下 流 部 門 提 携 事 例 場 所 Ba Ria-Vung Tau 省 Long Son Ba Ria-Vung Tau 省 Long Son 事 業 主 体 PetroVietnam 事 業 形 態 国 営 石 油 会 社 日 本 その 他 出 資 比 率 KPI(クウェート) 出 光 興 産 - KPI 35.1% 出 光 興 産 35.1% PetroVietnam 25.1% 三 井 化 学 4.7% Petronas - Trafigura PVN (29%まで) (マレーシア) IPIC GS Group - - Vina Chem SCG (タイ) TPC(タイ) PVN 18% Vina Chem 11% SCG 53% TPC 18% (2) 国 営 石 油 企 業 の 提 携 ニーズ Petrovietnam によれば 製 油 所 や 石 化 コンビナート 建 設 プロジェクトにおける 提 携 ニー ズを 優 先 順 位 が 高 い 順 に 挙 げれば 以 下 の 通 りとなる 特 に 原 油 の 長 期 的 安 定 的 提 供 という 役 割 を 果 たしてもらうことを 提 携 相 手 に 対 して 求 めている 1) 原 油 の 長 期 的 安 定 的 提 供 2) 資 金 の 長 期 的 安 定 的 提 供 -18-
3) 工 場 運 営 経 験 技 術 コンサル 能 力 に 基 づくノウハウ 提 供 4) 市 場 ( 販 売 先 )の 確 保 2.3 インドネシア (1) 石 油 産 業 の 現 状 1 製 油 所 石 油 製 品 の 国 内 供 給 量 は 約 110 万 bpd( 年 間 58,380 千 t)であるが そのうち 輸 入 量 は 約 39 万 bpd( 年 間 20,515 千 t)であり 35% 程 度 を 占 めている このため 政 府 及 び Pertamina は 精 製 能 力 を 増 強 し 国 内 生 産 量 を 増 大 させようとしている Pertamina は 現 在 約 114 万 bpd の 精 製 能 力 を 有 しているが 同 社 は 精 製 能 力 70% 増 強 計 画 を 推 進 しようとしており その 一 貫 として 3 つの 製 油 所 拡 張 新 設 計 画 を 検 討 している この 3 つの 計 画 とも 原 油 供 給 を 主 軸 とした 提 携 を 模 索 しており クウェート イラン サウジアラビアからの 原 油 調 達 計 画 が 進 行 中 である (Banten Bay 製 油 所 は 現 在 計 画 が 中 断 されている ) 原 油 は 100% 輸 入 ( 低 価 格 の 高 硫 黄 原 油 )することを 想 定 している また 製 品 の 販 売 先 は 全 て インドネシアの 国 内 市 場 である プ ル タ ミ ナ KPI (クウェート) NIODC (イラン) 等 Saudi Aramco (サウジ) 1Balongan 製 油 所 拡 張 計 画 ( 西 ジャワ 州 ) 2Banten Bay 製 油 所 新 設 計 画 ( 西 ジャワ 州 ) 3Tuban 製 油 所 新 設 計 画 ( 東 ジャワ 州 ) 国 内 市 場 へ 販 売 図 3 Pertamina の 製 油 所 合 弁 計 画 2 石 化 設 備 インドネシアでは エチレン ポリエチレン ポリプロピレンの 需 要 は それぞれ 97 万 トン 80 万 トン 93 万 トンであり 国 内 生 産 の 割 合 は それぞれ 58% 62% 46% で 残 りは 輸 入 している また ポリオレフィン 製 品 (ポリエチレン プロピレン ポ リプロピレン 等 )の 需 要 は GDP の 成 長 とともに 年 率 6-7%の 割 合 で 増 加 している もし 国 内 生 産 量 がこのまま 拡 大 しなければ 今 後 3 年 間 で 輸 入 量 が 大 幅 に 増 加 する (2) 国 営 石 油 企 業 の 提 携 ニーズ Pertamina が 提 携 相 手 に 求 める 役 割 を 優 先 順 位 別 に 挙 げれば 原 油 資 金 技 術 という 順 になる インドネシアは 自 国 の 低 硫 黄 原 油 を 輸 出 する 一 方 より 単 価 の 低 い 原 油 を 輸 入 し 国 内 市 場 向 けに 精 製 販 売 している 従 って 原 油 供 給 が 提 携 先 に 求 める 最 も 重 要 な 要 素 で ある -19-
技 術 においては 重 質 油 処 理 によって より 多 くのガソリンを 生 産 することを 重 視 して いる 国 内 製 品 販 売 市 場 は 自 由 化 されており すでに 外 資 系 企 業 (Shell, Petronas, Total) が 参 入 している Balongan 製 油 所 拡 張 計 画 において 参 画 を 予 定 している Pertamina KPI(クウェート) 両 社 とも 第 3 番 目 の 出 資 者 が 必 要 と 考 えている 想 定 している 会 社 は 国 際 石 油 会 社 ( 例 えば Shell)で 主 に 販 売 面 の 強 化 を 考 えている 但 し 日 本 の 石 油 会 社 の 品 質 サービス 面 の 優 位 性 を 強 調 証 明 すれば 参 入 は 十 分 可 能 である 3. 中 東 諸 国 の 石 油 下 流 事 業 提 携 等 事 例 に 関 する 分 析 3.1 中 東 諸 国 における 石 油 下 流 事 業 提 携 事 例 の 特 徴 中 東 諸 国 における 石 油 下 流 事 業 提 携 事 例 の 特 徴 としては まず アジア 市 場 への 原 油 石 化 製 品 販 売 を 意 識 した 提 携 が 主 流 であることが 指 摘 できる このことは 以 下 の 現 象 に 現 れている 1 石 化 需 要 ( 主 にアジア)の 高 まりによる 石 化 プロジェクトの 進 行 アジアにおける 石 化 製 品 需 要 ( 石 油 製 品 需 要 もあるが 主 に 石 化 製 品 )の 増 大 という 状 況 を 受 けて アジア 市 場 を 主 なターゲットと 想 定 した 上 で どの 国 (サウジアラビア カタール クウェート UAE)も 石 化 プロジェクトを 拡 充 している 2 外 資 系 企 業 との 提 携 の 進 展 石 化 プロジェクトの 拡 充 の 際 には 欧 米 石 油 資 本 あるいは 欧 米 化 学 企 業 と 提 携 すること が 多 い 特 に サウジアラビアとカタールは 石 化 プロジェクトを 中 心 に 欧 米 石 油 資 本 等 との 提 携 事 業 が 活 発 に 行 われている クウェートに 関 しては 民 族 主 義 的 な 傾 向 が 強 く 外 資 系 企 業 との 提 携 は 全 体 として 活 発 とは 言 えないが 石 化 分 野 において Dow Chemical との 提 携 プロジェクトが 複 数 進 行 中 である UAE においては IPIC(アブダビの 政 府 系 ファンド)とオーストリアの OMV が 株 主 とな っている Borealis 社 の 出 資 する 石 化 合 弁 事 業 (Borouge)が 外 資 との 提 携 事 例 として 注 目 される Borouge は 中 国 にも 製 造 販 売 拠 点 を 置 いている -20-
表 3 中 東 国 営 石 油 企 業 の 石 油 下 流 部 門 提 携 事 例 (サウジアラビアの 例 ) 製 油 所 石 化 事 業 形 態 プロジェクト 名 場 所 サウジ 国 営 石 提 携 会 社 油 会 社 欧 米 石 油 会 社 日 本 出 資 比 率 Petromin Shell (SASREF) Jubail Saudi Aramco Shell Saudi Aramco 50% Shell 50% Petromin ExxonMobil Yanbu ExxonMobil Saudi Aramco 50% ExxonMobil 50% Saudi Aramco/ConocoPhillips Yanbu ConocoPhillips ( 撤 退 ) SATORP (Saudi Aramco Total Refining and Petrochemical Company) Saudi Aramco/Dow Chemical PetroRabigh/PetroRabigh2 (Rabigh Refining & Petrochemical) SADAF (Saudi Petrochemical) KEMYA (Al-Jubail Petrochemical) YANPET (Saudi Yanbu Petrochemical) YanSab (Yanbu National Petrochemical) SHARQ (Eastern Petrochemical) - Saudi Aramco 50% ConocoPhillips 50% Jubail Total - Saudi Aramco 37.5% Total 37.5% IPO 25% Ras Tanura Jubail Dow Chemical - Saudi Aramco 50% Dow Chemical 50% Rabigh 住 友 化 学 Saudi Aramco 37.5% Sumitomo 37.5% IPO 25% Jubail SABIC Shell SABIC 50% Shell 50% Jubail ExxonMobil SABIC 50% ExxonMobil 50% Yanbu ExxonMobil SABIC 50% ExxonMobil 50% Yanbu SABIC 55% IBN RUSHD/TAYF etc. 10% IPO 35% Jubail SPDC SABIC 50% SPDC 50% 1985 年 1984 年 開 始 年 等 Sinopecが 提 携 相 手 となる 予 定 2013 年 (ハ ラキシレン ヘ ンセ ン 等 も 生 産 ) 検 討 段 階 2009 年 4 月 / 2014 年 1985/97 年 2000/2006 年 1985/2000/ 2005 年 4 月 2009 年 8 月 1987/95/2000/ 2009 年 末 3 精 製 石 化 一 体 化 事 業 の 進 展 製 油 所 と 石 化 プラントの 一 体 化 事 業 が 進 展 する 傾 向 が 見 られる 例 えば サウジアラビアにおけるプロジェクト(Saudi Aramco と 住 友 化 学 が 共 同 出 資 す る Rabigh プロジェクトにおける 製 油 所 と 石 化 プラントとの 連 携 等 )や UAE における Rewais 製 油 所 拡 張 計 画 と 石 化 事 業 (Borouge)との 連 携 等 が 例 として 挙 げられる 4アジアにおける 垂 直 統 合 の 進 展 ( 下 流 部 門 への 進 出 ) 中 東 産 油 国 の 国 営 石 油 企 業 は 自 国 で 生 産 した 原 油 や 製 品 の 供 給 進 出 国 における 国 内 販 売 のため アジア 諸 国 の 石 油 会 社 と 積 極 的 に 提 携 関 係 を 強 化 している 表 4 アジア 下 流 部 門 への 進 出 ( 先 ) 例 中 国 ベトナム インドネシア サウジアラビア Saudi Aramco Sinopec ( 福 建 山 東 ) Pertamina (Tuban) カタール Qatar Petroleum CNPC ( 浙 江 ) Petrovietnam (Long Son) クウェート KPC KPI Sinopec ( 広 東 ) Sinochem ( 福 建 ) Petrolimex Petrovietnam (Nghi Son) Pertamina (Balongan) UAE IPIC Petrovietnam (Long Song) 3.2 中 東 国 営 石 油 企 業 の 提 携 ニーズ 中 東 国 営 石 油 企 業 は 石 油 下 流 事 業 分 野 において これまで 外 資 系 企 業 と 様 々なプロジ ェクトを 実 施 してきたことから 精 製 石 化 汎 用 分 野 の 独 自 技 術 がすでに 育 成 されてお り 外 資 系 企 業 と 提 携 しなければならない 必 要 性 は 減 少 してきていると 考 えられる 但 し 中 東 国 営 石 油 企 業 は 下 流 事 業 に 関 しては 外 資 に 対 して 比 較 的 開 放 的 であるた -21-
め プロジェクトを 新 しく 計 画 する 際 には 新 たな 外 資 の 参 入 を 歓 迎 する 可 能 性 もある さらに 中 東 国 営 石 油 企 業 は 独 自 技 術 を 有 しているものの 絶 えず 技 術 の 向 上 を 目 指 していることから 常 に 提 携 ニーズは 存 在 する 例 えば 技 術 交 流 を 続 けつつ 技 術 コンサル 等 のビジネスチャンスを 狙 うことが 可 能 と 考 えられる 中 東 国 営 石 油 企 業 は 石 化 下 流 ( 高 機 能 化 学 品 分 野 等 )の 技 術 に 関 しては まだ 独 自 技 術 にしておらず 提 携 ニーズが 強 い 精 製 石 化 一 体 化 プロジェクトも 今 後 進 展 していく 傾 向 にあるため こうした 技 術 を 有 する 外 資 系 石 油 企 業 との 提 携 ニーズもあると 考 えられる 一 方 中 東 国 営 石 油 企 業 は アジア 市 場 への 進 出 に 強 い 関 心 を 示 しているため アジア 市 場 において 販 売 ネットワーク 等 を 有 している 企 業 との 提 携 ニーズはかなり 高 い 4. 主 要 提 携 先 ( 国 際 石 油 資 本 )の 事 業 提 携 政 策 戦 略 動 向 4.1 ExxonMobil ExxonMobil による サウジアラビア カタール 中 国 シンガポールのプラントは ア ジア 地 域 ( 特 に 中 国 )における 石 化 需 要 を 主 要 なターゲットとして 構 築 されたと 見 る ことができる 上 記 のサウジアラビアの 石 化 プラントとは Al Jubail 及 び Yanbu に 建 設 された 石 化 コ ンプレックスを 指 し カタールの 新 規 プロジェクトとは Las Raffan における 石 化 コン ビナート 計 画 を 意 味 する ExxonMobil 等 は これら 中 東 諸 国 においてエタン 等 の 低 コス ト 原 料 を 調 達 し コスト 競 争 力 を 高 めるため 中 東 の 国 営 石 油 企 業 と 提 携 するのである 中 国 のプラントとは Sinopec と Saudi Aramco との 提 携 による 福 建 省 泉 州 市 プロジェ クトを 指 すが これは 言 うまでもなく 中 国 の 巨 大 石 化 市 場 に 直 接 アクセスすること を 企 図 した 提 携 事 業 である シンガポールにある 既 存 の 石 化 プラントも 増 設 計 画 が 進 展 中 であり 完 成 すれば 同 社 最 大 の 生 産 拠 点 となる 見 込 みである 4.2 Shell Shell は 中 東 (サウジアラビア カタール) 及 びアジア( 中 国 シンガポール)にお ける 石 化 プラントを アジア 太 平 洋 地 域 ( 特 に 中 国 )において 増 大 する 石 化 製 品 需 要 を 満 たすための 生 産 拠 点 として 位 置 づけている 中 東 の 場 合 は 安 価 な 原 料 を 調 達 しコスト 競 争 力 を 高 めるため 中 国 のプラントは 最 も 成 長 している 市 場 に 直 接 アクセスするため 国 営 石 油 企 業 と 提 携 するのである シンガポールの 石 化 プラントも 成 長 するアジア 太 平 洋 地 域 の 市 場 への 近 接 性 を 念 頭 にお いて 建 設 されたと 言 える 4.3 BP BP は 中 国 の 石 化 市 場 の 成 長 性 に 期 待 し 早 くから 中 国 市 場 に 進 出 している 中 国 の 石 化 製 品 需 要 が 今 後 増 加 することに 関 する 評 価 は ExxonMobil や Shell と 変 わら -22-
ないが BP は 中 東 やシンガポールには 石 化 プラントを 建 設 せず 中 国 国 内 に 数 ヶ 所 石 化 プラントを 設 置 する 戦 略 を 採 っている 5. 我 が 国 へのインプリケーション 5.1 各 地 域 の 特 徴 の 比 較 上 記 調 査 結 果 を 基 に 各 地 域 ( 中 国 東 南 アジア 中 東 )の 特 徴 を 比 較 すると 以 下 の ように 整 理 できる - 中 国 中 東 は 精 製 石 化 分 野 に 関 し 過 去 のプロジェクトの 経 験 から 一 定 の 技 術 をす でに 習 得 している ( 中 東 の 方 が 中 国 よりも 外 資 の 技 術 の 導 入 意 欲 が 強 い ) - 中 国 中 東 は 資 金 力 も 十 分 備 わっている - 東 南 アジアは 精 製 石 化 分 野 の 技 術 は まだ 十 分 に 備 わっておらず 外 資 技 術 の 導 入 意 欲 が 強 い また 資 金 ニーズも 強 い - 中 国 東 南 アジアは 原 油 調 達 先 確 保 に 対 するニーズが 特 に 強 い - 中 東 国 営 石 油 企 業 は 垂 直 統 合 への 意 欲 が 強 い 従 って 中 国 東 南 アジアの 原 油 調 達 先 確 保 ニーズと 中 東 国 営 石 油 企 業 の 垂 直 統 合 ニーズを 結 びつけることにより 生 まれる ビジネスチャンスもあると 考 えられる 資 金 の 充 足 度 中 東 中 国 東 南 アジア 精 製 石 化 技 術 の 習 得 度 図 4 地 域 別 資 金 充 足 度 及 び 技 術 習 得 度 の 発 展 段 階 -23-
提 携 ニーズ 主 要 な 提 携 先 提 携 可 能 分 野 総 括 表 5 各 地 域 の 提 携 関 係 の 比 較 中 東 中 国 東 南 アジア 原 油 処 理 販 売 原 油 調 達 石 化 技 術 原 油 調 達 資 金 石 化 技 術 製 品 販 売 技 術 全 般 国 際 石 油 資 本 欧 米 化 学 国 際 石 油 資 本 欧 米 化 学 中 東 国 営 石 油 企 業 会 社 会 社 中 東 国 営 石 油 企 業 アジア 化 学 会 社 石 油 精 製 設 備 高 度 化 石 油 精 製 設 備 高 度 化 石 油 精 製 石 化 全 般 石 化 下 流 石 化 下 流 国 内 製 品 販 売 提 携 余 地 は 随 時 発 生 す 提 携 余 地 はあまり 残 って 提 携 余 地 は 十 分 にある る 可 能 性 あり いない 5.2 提 携 戦 略 (1) ローエンド( 精 製 販 売 石 化 汎 用 ) と ハイエンド( 高 付 加 価 値 分 野 ) 東 南 アジアの 精 製 販 売 石 化 ( 汎 用 ) 市 場 は 今 後 成 長 が 期 待 でき 参 入 障 壁 も 低 い 一 方 中 国 中 東 においては 精 製 設 備 の 高 度 化 石 化 製 品 の 高 機 能 化 に 関 する 技 術 ニ ーズが 今 後 とも 存 在 する 前 者 の 市 場 は 特 に 高 度 な 技 術 を 必 要 としないが 後 者 においては かなり 高 度 な 技 術 の 活 用 が 要 請 されることから 前 者 をローエンド 市 場 後 者 をハイエンド 市 場 と 位 置 づ けることができる 例 えば 前 者 は 製 油 所 の 建 設 運 営 石 油 製 品 の 販 売 基 礎 化 学 品 (エチレン 等 )の 製 造 販 売 といった 古 くからの 既 存 技 術 で 対 応 できる 市 場 である 一 方 後 者 は 最 新 の 省 エネ 対 応 設 備 の 建 設 運 営 最 先 端 の 高 機 能 化 学 品 の 製 造 販 売 といった 最 新 技 術 の 適 用 を 必 要 とする 市 場 である また 後 者 が 主 に 最 新 技 術 の 提 供 を 主 目 的 とした 提 携 が 想 定 されるのに 対 し 前 者 に 関 連 するビジネスには 製 油 所 SS や 石 化 プラントの 建 設 操 業 といった 大 規 模 事 業 を 共 同 で 実 施 することが 含 まれる このため 後 者 の 事 業 は 専 門 に 特 化 した 比 較 的 小 規 模 なプロジェクトとなる 傾 向 があるのに 対 し 前 者 の 事 業 は 大 規 模 施 設 の 建 設 運 営 あるいは 一 般 消 費 者 を 対 象 とした 石 油 製 品 の 販 売 といった 大 型 プロジェクトとなること が 想 定 される 従 って 後 者 に 比 較 し 前 者 の 市 場 規 模 が 膨 大 であることから 前 者 の 市 場 への 進 出 計 画 を 策 定 することを ボリュームゾーン 戦 略 と 呼 ぶことが 可 能 である このように 日 本 の 石 油 企 業 は これら 双 方 の 市 場 を 有 望 と 捉 え ローエンド( 精 製 販 売 石 化 汎 用 )の 分 野 において 東 南 アジアの 石 油 関 連 企 業 との 提 携 等 によりビジネ スチャンスを 開 拓 していくとともに 他 方 で 中 国 や 中 東 地 域 において ハイエンド( 高 付 加 価 値 ) 分 野 の 市 場 に 参 入 していくことが 可 能 と 考 えられる 要 約 すると 前 者 に 関 しては 市 場 規 模 の 大 きさから 1 つのプロジェクトで 多 大 な 収 益 を 得 ることが 期 待 できる 一 方 後 者 においては 1 つ 1 つの 市 場 あるいはプロジェク トは 小 規 模 であるかもしれないが 高 付 加 価 値 分 野 であるため 効 率 的 に 収 益 を 獲 得 していくことが 可 能 となる 日 本 の 石 油 企 業 は ボリュームゾーン 戦 略 と 高 付 加 価 値 化 の2 正 面 作 戦 あるいは こ -24-
のどちらかの 戦 略 を 追 及 することで 海 外 事 業 において 活 路 を 求 めることができると 考 えられる 日 本 石 油 企 業 との 提 携 可 能 分 野 下 流 上 流 石 油 精 製 販 売 石 油 化 学 ( 汎 用 ) 石 油 精 製 ( 高 度 化 ) 石 油 化 学 ( 高 機 能 化 ) 中 国 中 東 中 東 ハイエンド 東 南 アジア ローエンド (ホ リュームソ ーン 戦 略 ) 図 5 日 本 企 業 との 提 携 可 能 分 野 1 (2) 最 上 流 ( 中 東 産 油 国 との 提 携 ) と 最 下 流 ( 高 機 能 化 学 品 分 野 等 での 提 携 ) 中 東 産 油 国 には 原 油 及 び 精 製 石 化 製 品 の 販 売 先 を 確 保 するため アジア 地 域 の 石 油 企 業 と 提 携 したいというニーズがあり また 東 南 アジア 諸 国 には 原 油 を 安 定 的 長 期 的 に 確 保 したいというニーズがあるという 状 況 を 踏 まえると 中 東 国 営 石 油 企 業 とあ らかじめ アジアにおいて 共 同 で 事 業 を 行 う 旨 の 提 携 をした 上 で(MOU 締 結 等 ) 東 南 ア ジア 市 場 ( 石 油 精 製 事 業 販 売 事 業 )へ 参 入 するという 方 法 が 有 効 と 考 えられる これに 関 連 して 中 東 産 油 国 による 原 油 等 のアジア 地 域 での 販 売 を 円 滑 化 するために アジアにおける 備 蓄 センターとしての 役 割 を 担 うこと あるいは アジアにおける 販 売 ネットワークを 活 用 し 共 同 販 売 することも 関 係 者 のニーズに 対 応 した 有 望 な 事 業 につ ながると 考 えられる 日 本 の 石 油 企 業 は こうした 事 業 を 中 東 国 営 石 油 企 業 と 共 同 で 実 施 することにより 中 東 産 油 国 との 関 係 を 強 化 していくことができる さらにこのことは 日 本 の 石 油 企 業 が 上 流 事 業 に 進 出 する 機 会 を 拡 大 させていくことにつながると 考 えられる 前 述 したように 中 国 中 東 においては 石 化 製 品 の 高 機 能 化 に 関 する 技 術 ニーズが 存 在 するが これは 石 油 関 連 事 業 における 最 下 流 部 門 へのニーズが 高 いと 言 い 換 えるこ とができる 即 ち 日 本 の 石 油 企 業 は 石 油 化 学 分 野 においても 最 下 流 にある 事 業 ( 高 機 能 化 学 品 特 殊 化 学 品 等 )に 参 入 していくことが 期 待 されていると 言 える 中 東 国 営 石 油 企 業 との 関 係 強 化 を 最 上 流 部 門 における 提 携 石 油 化 学 下 流 分 野 への 参 入 を 最 下 流 部 門 における 提 携 と 表 現 するならば 日 本 の 石 油 精 製 企 業 は この 石 油 関 連 事 業 の 両 端 に 位 置 する 部 門 における 提 携 即 ち 日 本 の 石 油 精 製 企 業 がこれまで 主 -25-
要 な 事 業 分 野 とは 位 置 づけていなかった 分 野 における 提 携 に 注 力 していくことが 将 来 のビジネスチャンスの 発 掘 につながっていくと 考 えられる 日 本 石 油 企 業 との 提 携 可 能 分 野 上 流 下 流 石 油 精 製 販 売 石 油 化 学 ( 汎 用 ) 石 油 精 製 ( 高 度 化 ) 石 油 化 学 ( 高 機 能 化 ) 最 上 流 中 国 中 東 ( 精 製 販 売 市 場 へ 共 同 参 入 ) 中 東 東 南 アジア 最 下 流 ( 備 蓄 事 業 ) 図 6 日 本 企 業 との 提 携 可 能 分 野 2 5.3 各 地 域 別 戦 略 (1) 中 東 1 精 製 石 化 精 製 石 化 ( 汎 用 )の 独 自 技 術 はすでに 有 しており また すでに 国 際 石 油 資 本 や 化 学 会 社 が 相 当 程 度 参 入 しているため 大 々 的 な 提 携 チャンスは 見 つけにくい しかしながら これまでの 調 査 結 果 を 整 理 すると 中 東 国 営 石 油 企 業 の 石 油 下 流 部 門 に おける 主 なニーズは 以 下 の 分 野 にあると 推 察 できる - 精 製 設 備 高 度 化 : 製 油 所 のアップグレード 高 硫 黄 原 油 処 理 省 エネ - 石 化 下 流 への 展 開 - 精 製 石 化 一 体 化 - 垂 直 統 合 ( 下 記 2 参 照 ) 2アジア 市 場 への 共 同 参 入 中 東 国 営 石 油 企 業 には 垂 直 統 合 への 意 向 が 強 いことから 以 下 の 分 野 における 提 携 が 考 えられる - 中 東 国 営 石 油 企 業 と 提 携 し 東 南 アジア 等 における 石 油 下 流 事 業 に 共 同 参 加 ( 中 東 は 原 油 を 日 本 は 技 術 を 提 供 する 役 割 を 担 い 東 南 アジアのニーズに 対 応 する) - 中 東 国 営 石 油 企 業 に 対 し アジアにおける 石 油 の 備 蓄 センターとしての 役 割 を 提 供 -アジアにおける 販 売 ネットワークを 活 用 し 石 油 製 品 等 を 共 同 で 販 売 -26-
(2) 中 国 1 精 製 販 売 中 国 は 精 製 分 野 において 十 分 な 技 術 ノウハウを 習 得 している また 石 油 製 品 価 格 統 制 制 度 のためマージンがとりにくい 状 況 がある 等 の 理 由 から 中 国 国 営 石 油 企 業 と 大 々 的 に 提 携 することは 考 えにくい 但 し 今 後 省 エネニーズ 等 が 増 大 することが 考 えられることから 精 製 設 備 高 度 化 の 技 術 に 対 するニーズはあると 考 えられる 中 東 と 同 様 技 術 交 流 を 続 けつつ 技 術 コン サル 等 のビジネスチャンスを 狙 うことが 可 能 である 2 石 化 中 国 国 営 石 油 企 業 は 原 油 調 達 に 関 する 提 携 ニーズは 依 然 として 強 いものの 石 化 ( 汎 用 ) 分 野 における 提 携 ニーズは 弱 まっている 但 し 中 国 国 営 石 油 企 業 は 石 化 下 流 ( 高 機 能 化 学 品 特 殊 化 学 品 等 )の 技 術 は まだ 自 主 技 術 として 育 成 しておらず 提 携 ニーズが 強 い (3) 東 南 アジア:ベトナム インドネシア 1 精 製 販 売 石 油 製 品 需 要 と 供 給 能 力 のギャップから 製 油 所 の 建 設 計 画 が 複 数 あり 今 後 も 新 た な 計 画 が 立 案 される 可 能 性 が 高 い 原 油 調 達 先 確 保 に 関 する 提 携 ニーズが 最 も 大 きいが 製 油 所 建 設 のための 資 金 技 術 に 対 するニーズも 大 きい 中 東 産 油 国 の 国 営 石 油 企 業 と 提 携 した 上 で(MOU 締 結 等 ) 精 製 事 業 等 に 参 入 するように すると かなりのニーズを 満 たすことになる なお このことは ベトナム インドネ シアに 限 らず 他 の 東 南 アジア 諸 国 においても 同 様 と 考 えられる 国 内 販 売 市 場 は 今 後 の 成 長 が 期 待 でき 有 望 と 考 えられる また 精 製 事 業 に 参 加 す れば 国 内 販 売 事 業 にも 参 入 しやすい ベトナム インドネシアとも 国 際 石 油 資 本 の 参 入 を 求 めているが 国 際 石 油 資 本 から の 参 入 意 向 は 現 在 のところそれほど 強 くないと 見 受 けられる 日 本 の 石 油 元 売 会 社 の 販 売 サービスノウハウへの 期 待 も 高 いことから 現 在 (あるいは 近 い 将 来 )は 同 市 場 へ 参 入 するチャンスであると 考 えられる 2 石 化 石 化 プラントは すでに 多 く 建 設 され 計 画 も 複 数 あるものの 石 油 化 学 コンビナート や 精 製 石 化 一 体 化 のプロジェクトは ほとんど 存 在 しない 石 化 汎 用 品 の 国 内 市 場 も 成 長 を 続 けていることから 同 地 域 における 石 化 事 業 への 参 入 は 将 来 的 に 有 望 なビジネスと 考 えられる さらに 石 化 汎 用 精 製 石 化 一 体 化 に 関 するノウハウも 確 立 していないことから 日 本 企 業 に 十 分 な 参 入 チャンスがあると 考 えられる -27-
5.4 結 語 (1) 中 東 及 び 中 国 への 対 応 中 国 を 中 心 としたアジア 地 域 における 石 油 下 流 市 場 ( 特 に 石 化 市 場 )の 成 長 に 期 待 し 中 東 中 国 において 多 くの 石 油 下 流 分 野 における 事 業 提 携 が 進 展 している これらの 提 携 は 各 国 の 国 営 石 油 企 業 と 欧 米 石 油 資 本 との 間 で 進 展 する 場 合 が 多 いが これは 欧 米 石 油 資 本 のアジア 重 視 の 戦 略 と 各 国 の 国 営 石 油 企 業 の 発 展 戦 略 が 一 致 しているため である 中 東 及 び 中 国 の 国 営 石 油 企 業 は すでに 製 油 所 や 石 化 施 設 の 建 設 運 営 に 関 する 技 術 ノウハウをかなりの 程 度 習 得 しつつある このため 今 後 の 外 資 との 提 携 ニーズは 精 製 設 備 の 高 度 化 石 化 下 流 に 関 する 事 業 において 高 まる 可 能 性 が 高 い このように 中 東 及 び 中 国 においては 日 本 の 石 油 企 業 は 精 製 設 備 の 高 度 化 石 化 下 流 に 関 する 事 業 といった 付 加 価 値 の 高 い 分 野 で 各 国 国 営 石 油 企 業 と 提 携 しつつ 新 た なビジネスチャンスを 見 出 していくことが 可 能 である (2) 東 南 アジアへの 対 応 ベトナム インドネシアといった 東 南 アジアにおける 石 油 下 流 市 場 は 製 油 所 やエチレ ンプラントの 建 設 もこれから 開 始 されるといった 状 況 であり 各 国 の 国 営 石 油 企 業 も 製 油 所 石 化 施 設 さらには SS の 建 設 運 営 に 関 する 技 術 ノウハウをまだ 十 分 に 有 して いない また 東 南 アジア 市 場 への 参 入 に 当 たっては 中 東 国 営 石 油 企 業 とあらかじめ 提 携 する ことが1つの 方 策 として 考 えられる 即 ち これにより 東 南 アジア 市 場 への 参 入 自 体 が 円 滑 化 されるばかりでなく 将 来 的 に 中 東 産 油 国 との 関 係 が 強 化 され 上 流 事 業 への 進 出 機 会 が 拡 大 していくことが 期 待 できるようになる 東 南 アジア(ベトナム インドネシア)においては 日 本 の 石 油 企 業 は 製 油 所 石 化 施 設 SS の 建 設 運 営 といったプロジェクト 規 模 が 大 きい 分 野 で 各 国 国 営 石 油 企 業 と 提 携 しつつ 新 たなビジネスを 展 開 していくことが 可 能 である 以 上 -28-