メディカルフィットネス Q&A 発刊にあたって メディカルフィットネス Q&A 発刊にあたり 近年 国内外を問わず 健康増進 体力つくり 疾病予防 疾病改善 運動療法 リハビリテーションなどを目的として医療機関が運営する運動療法施設 メディカルフィットネスクラブ が新たに誕生し その波は全国各地に広がりつつあります その一方で この形態の施設は誕生したばかりで 指導経験の浅いケースも少なくありません テクノジム社は設立以来 社是である ウェルネス という概念を柱に据え置き さまざまな角度から追求してきました ウェルネスに必要不可欠な要素が 適度な運動 であり 運動は各種疾患の予防 改善に有益であるとの研究成果に基づき メディカルフィットネスを推進して参りました そこで メディカルフィットネスへの理解をさらに深め 医療現場やフィットネス現場等において 安全で効果的な健康支援ができるよう 本書 メディカルフィットネス Q&A を発行することといたしました フィットネスクラブやスポーツジムをはじめ 病院 クリニック 診療所 保健センター 介護施設などで働く専門職の方々 そして健康増進や体力つくりに勤しむ一般健常者や患者さんにも愛読していただけることを願っております 余談になりますが 運動療法 (exercise therapy) からメディカルフィットネス (medical fitness) へ呼称を統一するのがよいのでは というのが個人的な見解です 本書は 医師 保健師 看護師 ( スポーツナース = 健康運動看護師 ) 理学療法士 作業療法士 そしてフリーの健康運動実践指導者や健康運動指導士 高齢者体力つくり支援士の方々に有益な Q&Aが満載されています ぜひ あなたの仕事にお役立ていただければ幸いです 日本メディカルフィットネス研究会会長 田中喜代次 メディカルフィットネスとは 1990 年代後半から提唱され始めた概念で 定期健診やスポーツ競技に参加する前におこなうメディカルチェックの際には 通常の内服薬処方と同じように 医師を中心としたコメディカル ( メディカルスタッフ ) による適切な 運動推奨 が望ましいと言えます メディカルフィットネスは医学的要素を包含しながらも 通常の民間クラブが提供できる概念であり 専門医との協業のもと 未病対策から特定の疾病予防 をサポートするという大きな社会的意義を有しているのです テクノジム社はメディカルフィットネスのリーディングカンパニーとして 未病対策 から 疾病予防 スポーツリハビリテ ションからアクティブエイジング ( 元気長寿 ) やサクセスフルエイジング ( 健幸華齢 ) まで 多様なニーズに応えるソリューションを提供いたします ウェルネスは万人が享受すべきもので 取り組み方次第で十分入手できると 私どもは信じています 国民負担である医療費の増大を抑制するための貢献 企業における従業員の労働モチベーションの維持 労働生産性の向上 そして日常生活の質向上に繋がるウェルネス概念は 社会にとって非常に大切なものであると確信しております テクノジム株式会社創業者兼社長ネリオ アレサンドリ 2 メディカルフィットネス Q&A 3 メディカルフィットネス Q&A
目メディカルフィットネス Q A & Q20 ノルディックウォーキングとウォーキングの違い 46 Q21 ダンベル体操の効果 48 Q22 水中ウォーキングとウォーキングの違い 50 Q23 水中ウォーキングの効果 52 Q24 Power Plate の特長 54 目次日本メディカルフィットネス研究会会長田中喜代次 メディカルフィットネスQ&A 5 C O N T E N T S Q25 KINESISの活用法 56 Q26 コアヌードルでの姿勢の効果 58 4 メディカルフィットネスQ&A Q27 TRXトレーニングの効果 60 Q28 中高年によるTRXトレーニング次発刊にあたって 62 Q29 産後の運動器のケア 64 2 Q30 転ばないトレーニング法 66 発刊にあたりテクノジム株式会社創業者兼社長ネリオ アレサンドリ 3 Q31 リラクセーションや美容サービス 68 目次 4 肥満 メタボリックシンドローム メディカルフィットネスとは Q32 有疾患者への運動処方 70 Q1 フィットネスを和訳すると 8 Q33 腹囲は内臓脂肪の状態を表すか 72 Q2 メディカルフィットネスとは 10 Q34 運動による内臓脂肪の減少効果 74 Q3 メディカルフィットネスのチーム体制 12 Q35 メタボリックシンドロームに及ぼす運動効果 76 Q4 メディカルフィットネス施設とは 14 Q36 減量による除脂肪量や骨量 78 Q5 メディカルフィットネス施設のサービス 16 Q37 高度の肥満者の安全な運動 80 Q6 メディカルフィットネス施設の運営母体 18 Q7 メディカルフィットネス施設の地方での経営 20 糖尿病 Q8 医療系スタッフとの連携 22 Q38 糖尿病の1 型と2 型とは 82 Q39 糖尿病診断における血糖値とヘモグロビン A1c 84 運動指導の基本 Q40 糖尿病の運動療法 86 Q9 運動教室での心拍数 24 Q41 運動時の低血糖の防止法 88 Q10 健常者と心疾患者の運動強度 26 Q42 糖尿病の薬の飲み忘れ 90 Q11 運動強度の上限の設定 28 Q43 透析患者への運動療法 92 Q12 レジスタンストレーニングマシンの特徴 30 Q44 フィットネスと動脈硬化疾患 寿命との関係 94 Q13 関節運動の範囲 32 Q14 加齢による体力の低下 34 高血圧症 Q15 体脂肪が減って筋肉が増えた場合の基礎代謝 36 Q45 運動中の血圧の上昇 98 Q16 スポーツ活動での熱中症対策 38 Q46 運動後の血圧の低下 100 Q17 スポーツ選手の骨密度 40 Q47 有酸素性運動による心拍数の低下 102 Q48 高血圧者の運動効果 104 運動メニュー Q49 高血圧の改善に及ぼす運動効果 106 Q18 slow joggingとfast walkingの違い 42 Q50 生活習慣を改善しても血圧が下がらない理由 108 Q19 トレッドミルと陸上運動の違い 44 Q51 降圧剤の飲み忘れ 110
目目次次メディカルフィットネスQ&A Q56 COPDのメディカルフィットネス 122 Q86 高齢者教室での心拍数の配慮 186 脂質異常症 Q81 認知症予防に役立つシナプソロジー 178 Q52 HDLコレステロールを高める運動 112 Q82 認知症を治す運動とは 180 Q53 運動によるLDLコレステロール低下効果 116 Q83 服薬以外の認知症治療 182 Q54 中性脂肪の高い人への運動 118 高齢者の運動 COPD Q84 自宅で行う中高齢者の体力測定 184 6 メディカルフィットネスQ&A 7 Q55 COPDの運動療法 120 Q85 高齢者の体力測定の注意点 185 Q87 体力低位の有疾患者に対する運動指導 188 循環器疾患 Q88 有所見者が全身持久性体力を高めるには 190 Q57 不整脈を有する人のメディカルフィットネス 124 Q89 よろめき ふらつきの予防のための運動 192 Q58 運動時に不整脈が起こった場合 126 Q90 骨量を高い状態に維持するための運動 194 Q59 有所見者による高強度インターバル運動 127 Q91 高齢期になって骨量を維持 増加する方法 196 Q60 心電図異常を有する人のメディカルフィットネス 130 Q92 運動指導を通じての高齢者の生活満足度の向上 198 Q61 心筋梗塞や狭心症の人のメディカルフィットネス 132 Q93 高齢者の熱中症対策 200 Q62 脳卒中の人のメディカルフィットネス 134 Q94 高齢者の脳への運動の効果 202 Q63 空間への注意障害がある人への配慮 136 Q64 ペースメーカーをした人のメディカルフィットネス 138 行動変容 Q65 ペースメーカーをした人の心拍数の管理 140 Q95 運動のやる気を出す方法 204 Q96 運動意欲のない有所見者へのアドバイス 206 運動器 Q97 準備期の対象者への対応 208 Q66 ロコモティブシンドローム予防の筋トレ 141 Q98 コミュニケーションを深める方法 210 Q67 ロコモティブシンドローム予防の運動指導の工夫点 142 Q99 顧客に喜ばれるコーチング手法 212 Q68 ひざ痛予防の筋トレ 144 Q100 運動継続のための指導上のポイント 214 Q69 変形性膝関節症の改善トレーニング 146 Q101 運動指導のマンネリ化の防止法 216 Q70 ひざ関節痛の人のメディカルフィットネス 148 Q102 教室での運動を日常生活につなげる方法 218 Q71 腰痛の人のメディカルフィットネス 155 Q72 腰椎椎間板ヘルニアの改善トレーニング 160 運動施設 Q73 肩痛の人の運動の注意点 162 Q103 体力つくりを目的としたスポーツクラブ選び 220 Q74 足底のタコのセルフケア 164 Q104 42 条施設とメディカルフィットネスの違い 222 Q105 42 条施設と一般的なスポーツクラブの違い 224 精神疾患 Q106 42 条施設とメディカルフィットネス 226 Q75 うつの人の介護予防教室 166 Q107 42 条施設の収益性を上げるには 228 Q76 メンタルヘルスの維持 改善のための運動指導 168 Q108 42 条施設のコストの削減方法 230 Q77 睡眠薬服用者の運動 170 Q109 生活習慣病管理料とは 232 Q78 もの忘れは運動で改善するか 172 Q110 生活習慣病管理料をメディカルフィットネスで使うには 234 Q79 運動による認知症予防 174 Q80 認知機能低下を防止する運動とは 176 執筆者一覧 238
メディカルフィットネスとはフィットネス (fitness) は メディカルフィットネスと8 メディカルフィットネスQ&A Q 1 トネス 水泳や水中運動を指す アクアフィットネス 精神面の強化を Q U E S T I O N 企図した メンタルフィットネス 高齢者に向けた シルバーフィットネ ス そして 女性フィットネス などを挙げることができます フィット ネス業界も生存競争に必死で どうしてもファンシー (fancy) な言葉で 日本語でどのように訳すのでしょうか 人々を魅了しようというねらいがあるようです 多種多様の名前が使われていますが 学術的に厳密な違いを定めているものではありません は広辞苑によると フィットネス (fitness) とは適性 など と説明されています 日本体育学会 日本体力医学会 日本教 1 育医学会 日本健康支援学会などの学術団体が開催する年次学 術集会では 一般的に 体力 ととらえられています 体育系の大学の講 義でも 体力ととらえる教授がほとんどです その一方で 新聞や雑誌 テレビなどのメディア関係者 ( 報道機関 ) は 全身を動かして汗をかくほどにエネルギーをたくさん消費する身体活動 と解釈する傾向にありましたが 最近になって エネルギー消費量がジョ ギングやエアロビックダンスほど大きくならなくても たくさん汗をかか なくても 健康に有益なことが証明されているヨガ ピラティス ストレッ たいきょくけん チ 体操 太極拳 ウォーキングなどもフィットネスとして報道されてい ます つまり 一般国民の多くは 成績を競うスポーツでない運動 ( 体力 つくり ) ととらえているように思われます こういった社会的背景を勘案 して 筆者は大学の講義で フィットネス=1 体力 2 体力つくり運動 ( 田中喜代次 ) 3 健康獲得行動 4 健康増進運動 と説明しています なお 体力は行動 体力と防衛体力 ( 抵抗力 ) 健康関連体力と技能関連体力に分けて論じられ ることがあります フィットネスといっても多様な使い方がなされてきており 代表的なも のとして有所見者の体力つくりを含む メディカルフィットネス 一般の 人の健康増進を企図した ヘルスフィットネス スポーツ競技者用の ア 参考文献 1) 田中喜代次, 阿久津智美 : フィットネス :Physical Fitness と Medical Fitness. スレティックフィットネス 子どもの体力つくりとしての キッズフィッ 体育の科学, 53:476-479, 2001. メディカルフィットネスQ&A 9