1.1. 新 政 権 国 際 ハブ 化 発 言 の 波 紋 民 主 党 前 原 国 土 交 通 大 臣 の 羽 田 ハブ 化 発 言 は 大 臣 就 任 2 週 間 後 の2009 年 10 月 12 日 橋 下 徹 大 阪 府 知 事 と 会 談 中 に 発 言 が 飛 び 出 し 翌 13 日

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

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平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

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入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

の 提 供 状 況 等 を 総 合 的 に 勘 案 し 土 地 及 び 家 屋 に 係 る 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 減 額 せずに 平 成 24 年 度 分 の 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 課 税 することが 適 当 と 市 町 村 長 が 認 め

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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

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別 表 1 土 地 建 物 提 案 型 の 供 給 計 画 に 関 する 評 価 項 目 と 評 価 点 数 表 項 目 区 分 評 価 内 容 と 点 数 一 般 評 価 項 目 立 地 条 件 (1) 交 通 利 便 性 ( 徒 歩 =80m/1 分 ) 25 (2) 生 活 利 便

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預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可


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(2) 単 身 者 向 け 以 外 の 賃 貸 共 同 住 宅 等 当 該 建 物 に 対 して 新 たに 固 定 資 産 税 等 が 課 税 される 年 から 起 算 して5 年 間 とする ( 交 付 申 請 及 び 決 定 ) 第 5 条 補 助 金 の 交 付 を 受 けようとする 者 は

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変 容 する 世 界 の 航 空 界 (その3) 羽 田 ハブ 構 想 経 済 学 部 観 光 経 営 学 科 酒 井 正 子 はじめに 2009 年 8 月 30 日 衆 議 院 議 員 総 選 挙 の 結 果 日 本 の 政 権 が 自 由 民 主 党 から 民 主 党 に 代 わった 9 月 26 日 発 足 した 鳩 山 由 紀 夫 内 閣 で 国 土 交 通 大 臣 に 就 任 した 前 原 誠 司 氏 は 選 挙 中 に 掲 げた 民 主 党 マニフェストを 踏 まえて 八 ツ 場 (やんば)ダ ム 建 設 中 止 の 姿 勢 を 貫 き 世 間 の 注 目 を 浴 び そ の 興 奮 も 覚 めやらぬ10 月 12 日 羽 田 ハブ 化 発 言 をした 羽 田 と 成 田 の 内 際 分 離 原 則 を 取 り 払 い 羽 田 を24 時 間 運 用 の 国 際 ハブ 空 港 化 した い という 趣 旨 である これは 各 界 に 少 なから ず 反 応 をもたらした 成 田 空 港 開 港 を 巡 って 人 命 が 失 われるという 過 去 の 歴 史 を 重 く 引 きずっ てきた 自 民 党 政 権 のもとで 成 田 空 港 の 地 元 と 千 葉 県 に 配 慮 がなされ 表 立 った 議 論 を 避 けら れてきた 首 都 2 空 港 問 題 を 新 政 権 がこのくび きをいとも 簡 単 に 断 ち 切 って 見 せたからであ る 政 権 が 代 わるとはこういうことか と 知 ら しめた 瞬 間 でもあった 新 政 権 発 足 と 時 を 同 じ くして 明 るみに 出 た 日 本 航 空 の 経 営 危 機 も 重 なって 新 大 臣 の 言 動 は 世 間 の 耳 目 を 集 めた 前 原 発 言 は 閉 塞 気 味 にあったわが 国 の 空 港 問 題 に 鮮 やかなアドバルーンとなった それは 首 都 空 港 の 基 本 的 骨 格 としての 将 来 図 だ 首 都 の 空 港 問 題 は 利 水 治 水 という 国 内 インフラに 留 まる 問 題 とは 異 なり 対 外 的 に 大 きな 影 響 を 与 える 首 都 の 国 際 空 港 政 策 は 国 家 戦 略 に 関 わ る 事 項 であり 望 ましい 首 都 2 空 港 の 姿 に 至 る 今 後 の 対 応 とスピード 如 何 によってはわが 国 経 済 力 成 長 の 将 来 を 左 右 する 事 項 と 言 っても 過 言 ではない 問 題 はこの 目 標 にどう 到 達 するかである 羽 田 国 際 ハブ 構 想 に 絡 んで 近 隣 自 治 体 間 にかなり の 温 度 差 がある( 第 1 節 )ことは 周 知 のとおりで あるが 成 田 と 羽 田 との 関 連 で 一 筋 縄 ではいか ない 歴 史 的 経 緯 があり( 第 2 節 ) 日 本 を 取 り 巻 く 国 際 環 境 が 航 空 自 由 化 (オープンスカイ)の 世 界 的 進 展 とともにアジアでも 激 しい 変 化 を 起 こ している( 第 3 節 )なか これに 対 応 するために 羽 田 が 乗 り 越 えるべき 諸 問 題 が 多 く 横 たわって いる( 第 4 節 ) そうした 現 実 と 歴 史 的 経 緯 を 踏 まえたうえで 羽 田 が 緊 急 に 対 応 すべき 課 題 を 提 言 したい( 第 5 節 ) その 結 果 本 稿 から 目 標 到 達 への 工 程 表 がみえてくれば 望 外 の 幸 せであ る なお 成 田 空 港 の 記 述 については 羽 田 空 港 との 関 連 で 必 要 最 小 限 に 留 めており いずれ 改 めて 稿 をおこしたい 1. 羽 田 ハブ 構 想 の 意 図 するもの 羽 田 では 本 年 2010 年 10 月 21 日 4 本 目 のD 滑 走 路 2500mが 供 用 開 始 となって 空 港 容 量 がこ れまでより10 万 回 程 度 増 加 する この 昼 間 時 間 帯 のうち まず3 万 回 が 国 際 線 に 充 当 され そ の 後 状 況 に 応 じて 拡 充 される 計 画 である 深 夜 早 朝 時 間 帯 では4 万 回 のうち3 万 回 が 国 際 線 枠 に 新 たに 充 てられることになっている この6 万 回 の 国 際 線 運 航 については 1.2. 節 で 詳 述 する ように2008 年 5 月 に 決 定 されている 7

1.1. 新 政 権 国 際 ハブ 化 発 言 の 波 紋 民 主 党 前 原 国 土 交 通 大 臣 の 羽 田 ハブ 化 発 言 は 大 臣 就 任 2 週 間 後 の2009 年 10 月 12 日 橋 下 徹 大 阪 府 知 事 と 会 談 中 に 発 言 が 飛 び 出 し 翌 13 日 記 者 会 見 で 今 日 本 にハブがない ハブにな り 得 るのはまず 羽 田 だ として 国 際 線 は 成 田 を 国 内 線 は 羽 田 をそれぞれ 中 心 とする 内 際 分 離 政 策 の 撤 廃 に 言 及 した これらの 発 言 に ついて 関 西 国 際 空 港 の 経 営 改 善 のため 伊 丹 空 港 の 廃 止 を 求 めてきた 橋 下 知 事 は 関 西 地 区 の 空 港 問 題 について 具 体 案 が 示 されなかったことに 不 満 を 表 明 した 成 田 空 港 の 地 元 千 葉 県 と 関 係 自 治 体 からは 成 田 空 港 の 地 盤 沈 下 を 警 戒 して 反 発 が 相 次 ぎ 森 田 健 作 千 葉 県 知 事 や 小 泉 一 成 成 田 市 長 は 怒 りの 記 者 会 見 を 行 った その 一 方 で 成 田 空 港 反 対 闘 争 を 続 けている 三 里 塚 芝 山 連 合 空 港 反 対 同 盟 の 北 原 鉱 治 事 務 局 長 は 成 田 廃 港 を 訴 えた これら 批 判 的 反 応 とは 対 照 的 に 神 奈 川 県 や 東 京 都 は 肯 定 的 反 応 をし 松 沢 成 文 神 奈 川 県 知 事 石 原 慎 太 郎 東 京 都 知 事 や 猪 瀬 直 樹 副 知 事 は 羽 田 の 国 際 化 を 推 進 してきた 従 来 の 路 線 に 沿 うものとして 歓 迎 した 東 京 都 や 神 奈 川 県 はかねてより 羽 田 の 国 際 化 を 進 めるに 当 たり 国 内 線 の 一 部 を 成 田 に 移 す 提 案 をしてきた が かたや 地 方 自 治 体 からは 羽 田 = 地 方 路 線 の 利 便 性 を 損 なうものと 強 い 非 難 の 声 があがっ た このように 前 原 発 言 について 日 本 国 内 は 大 きく 賛 否 に 割 れた その 後 前 原 大 臣 は 森 田 千 葉 県 知 事 と 会 談 成 田 は 従 来 どおり 国 際 線 中 心 の 空 港 として 重 視 し 成 田 と 羽 田 を 一 体 的 に 活 用 していくとして 事 態 はひとまず 沈 静 化 した 橋 下 大 阪 府 知 事 と は 1 兆 1 千 億 円 の 負 債 をかかえている 関 空 につ いて 関 空 はハブ 空 港 ではない 自 民 党 の 従 来 政 策 では 将 来 的 な 展 望 がなく 羽 田 にハブを しっかり 造 ってから 大 阪 3 空 港 のあり 方 を 検 討 していきたい と 発 言 して 橋 下 知 事 の 不 満 を 募 らせ 大 阪 府 がこれまで 出 してきた 毎 年 8 億 円 の 関 西 空 港 関 連 施 策 費 を2010 年 度 以 降 凍 結 するなどの 対 抗 措 置 に 遭 った 一 方 国 は 関 空 に 毎 年 出 してきた90 億 円 の 補 給 金 を8 月 末 の 次 年 度 予 算 編 成 で160 億 円 に 増 額 したが 11 月 行 政 刷 新 会 議 の 事 業 仕 分 け 作 業 でゼロ 査 定 にさ れ 年 末 の 政 府 案 において75 億 円 で 落 着 した 八 ツ 場 ダムが 一 地 方 の 国 内 問 題 に 終 始 して 利 根 川 水 系 に 関 わる 関 東 圏 の 自 治 体 が 反 応 した にすぎなかったのに 対 して 羽 田 ハブ 化 発 言 は より 広 範 囲 の 自 治 体 首 長 が 反 応 した 四 方 を 海 に 囲 まれた 日 本 において 空 港 は 国 外 との 往 来 にとって 国 家 基 盤 インフラであり 地 方 にとっ ても 羽 田 は 首 都 と 便 利 に 結 ぶ 一 大 拠 点 空 港 であ る したがって わが 国 の 国 内 および 国 際 経 済 競 争 力 と 密 接 に 絡 む 問 題 であることから 広 く 国 民 の 間 にも 関 心 が 集 まり 議 論 は 広 がりをみ せている 本 稿 執 筆 の2010 年 3 月 末 現 在 羽 田 ハブ 化 に 関 する 具 体 的 政 策 やそこへ 至 る 工 程 表 などは 未 だ 開 示 されてはいない 羽 田 にどこまで 国 際 線 を 増 やして ハブ 空 港 に 相 応 しい 形 に 仕 上 げていこうとしているのか その 際 に 国 内 線 ハ ブとしての 現 機 能 をどうするのか 成 田 と 機 能 分 担 をどう 再 編 するのか すでに 輻 輳 している 羽 田 と 成 田 の 空 域 管 制 をどうするのか 新 た に 発 生 すると 考 えられる 羽 田 深 夜 時 間 帯 におけ る 長 距 離 便 に 関 する 騒 音 問 題 を 千 葉 県 と 東 京 都 とでどう 分 担 するか 等 々の 議 論 が 待 たれる 1.2. 羽 田 国 際 線 再 開 の 経 緯 1978 年 成 田 空 港 が 開 港 して 羽 田 から 国 際 線 が 成 田 に 移 った 以 後 羽 田 空 港 は2004 年 4 月 成 田 に 移 った 中 華 航 空 ( 台 湾 )を 唯 一 の 例 外 とし て 長 く 国 内 線 専 用 空 港 として 機 能 してきた 2001 年 2 月 羽 田 空 港 では 航 空 会 社 の 要 請 に よって 深 夜 早 朝 時 間 帯 にホノルルやサイパ ン グ ア ム 行 き チ ャ ー タ ー 便 運 航 が 始 ま り 2003 年 11 月 からは 昼 間 時 間 帯 に 羽 田 =ソウル 金 浦 間 の 定 期 的 チャーター 便 運 航 が 始 められ た 2006 年 9 月 安 倍 晋 三 政 権 発 足 と 同 時 に 民 間 8

10 人 によるメンバーでスタートした アジア ゲートウェイ 戦 略 会 議 は 世 界 で 進 行 する 航 空 自 由 化 に 対 する 基 本 方 針 を2007 年 5 月 アジ ア ゲ ー ト ウ ェ イ 構 想 と し て と り ま と め 2010 年 の 新 D 滑 走 路 の 完 成 前 であっても 国 際 化 の 推 進 を 求 めて 発 着 枠 に 余 裕 のある 午 前 6 時 から8 時 半 の 到 着 午 後 8 時 半 から11 時 の 出 発 と いう 特 定 時 間 帯 活 用 を 提 言 した このアジア ゲートウェイ 構 想 に 基 づき 2007 年 9 月 羽 田 = 上 海 虹 橋 間 に1 日 4 便 が 運 航 開 始 され 2008 年 4 月 全 日 空 が 羽 田 = 香 港 間 の 運 航 を 開 始 した この 香 港 便 の 運 航 距 離 は それまで 羽 田 に 課 されていた 国 際 線 運 航 可 能 距 離 の 範 囲 を 国 内 最 長 距 離 にあたる 羽 田 = 石 垣 間 の1947km 以 内 と するペリメータ ルールを 超 えており ここに ペリメータ ルールは 事 実 上 無 効 となった ま た チャーター 便 制 約 も 少 しずつ 緩 和 されてい く 2007 年 にこれまでの 同 じ 曜 日 の 運 航 を 連 続 3 週 までという 制 限 が 撤 廃 され 定 期 便 と 競 合 しない 路 線 に 限 り 自 由 な 運 航 が 可 能 となった 深 夜 早 朝 時 間 帯 のチャーター 便 については 全 座 席 の 半 分 までを 航 空 会 社 が 個 人 客 に 直 接 販 売 することも 可 能 となった 2008 年 5 月 福 田 康 夫 政 権 の 冬 柴 鐵 三 国 土 交 通 大 臣 は いわゆる 冬 柴 プランにおいて 羽 田 4 本 目 滑 走 路 が 供 用 開 始 されると 深 夜 早 朝 時 間 帯 の 運 航 も 含 めて 国 際 定 期 便 枠 を 合 計 6 万 回 に 倍 増 すると 発 表 し 特 定 時 間 帯 というコンセプ トを 拡 大 したリレー 時 間 帯 を 設 けて 成 田 と 羽 田 の 一 体 運 用 24 時 間 体 制 をとる 方 針 を 示 した 2009 年 10 月 羽 田 = 北 京 首 都 空 港 便 が 開 設 され た これら 定 期 的 チャーター 路 線 は 2010 年 10 月 羽 田 発 着 枠 が 広 がる 際 に そのまま 国 際 定 期 便 に 移 行 していく 残 る 国 際 線 枠 については 現 在 諸 外 国 と 二 国 間 航 空 協 定 の 締 結 が 進 められ ている 2009 年 12 月 日 米 間 で 航 空 自 由 化 が 合 意 され 深 夜 早 朝 時 間 帯 に 日 米 双 方 がそれぞれ1 日 4 便 を 就 航 させるニュースは 記 憶 に 新 しい 新 政 権 の 羽 田 ハブ 構 想 がマスコミや 航 空 業 界 に 八 ツ 場 ダムのような 意 外 性 という 衝 撃 を 国 民 にもたらさなかったのは 以 上 のようにすでに 数 年 前 から 国 際 化 と 空 港 容 量 拡 張 事 業 が 進 めら れており その 完 成 が2010 年 中 という 指 呼 の 間 であるからであろう 羽 田 空 港 とならぶ 成 田 空 港 でも 空 港 容 量 の 拡 大 事 業 が 進 められてきた すでに2009 年 10 月 22 日 B 滑 走 路 を 従 来 の 暫 定 2180mから2500m 滑 走 路 として 供 用 開 始 し これまで 短 くて 離 着 陸 できなかったB747 型 機 が 近 距 離 路 線 に 使 用 できるようになった このことで これまでの 年 間 20 万 回 発 着 が2010 年 3 月 28 日 から22 万 回 に 増 えた 羽 田 に 比 べて 都 心 から 時 間 がかかりす ぎて 不 便 と 酷 評 されてきたアクセスも 2010 年 7 月 17 日 成 田 高 速 鉄 道 スカイアクセス が 開 業 して 都 心 部 ( 日 暮 里 )からの 所 要 時 間 が36 分 と なり 時 間 距 離 は 大 幅 に 短 縮 される 成 田 空 港 の 地 元 自 治 体 では 羽 田 ハブ 化 の 動 きに 成 田 が 置 いてきぼりを 食 うかもしれない という 危 機 意 識 が 高 まり 昨 年 末 より 年 間 8 万 回 を 上 乗 せして30 万 回 とする 計 画 が 以 前 より 積 極 的 に 進 められている 地 元 との 調 整 がこのま ま 順 調 にいけば 環 境 対 策 も 含 めて 最 速 で2014 図 1 羽 田 再 沖 合 展 開 事 業 の 完 成 図 (2010 年 10 月 ) 新 滑 走 路 2500 9

年 ごろに30 万 回 が 実 現 され 羽 田 国 際 化 との 相 乗 効 果 が 期 待 できそうである 成 田 地 元 関 係 者 からはさらに 羽 田 の 24 時 間 運 用 に 対 応 し て 現 代 飛 べない 深 夜 帯 の 発 着 制 約 見 直 しの 声 も 出 始 めたという( 朝 日 新 聞 2010.3.25) 新 政 権 誕 生 がもたらした 嬉 しい 誤 算 と 言 えようか 政 権 交 代 がもたらしたもう 一 つの 効 果 は 国 民 全 体 が 首 都 圏 空 港 問 題 への 危 機 感 を 共 有 し わが 国 の 空 港 のあり 方 をゼロベースから 議 論 す る 環 境 が 整 ったことであろう 1.3. 羽 田 と 成 田 のどちらがハブか 国 内 線 ネットワークに 限 定 すれば 羽 田 空 港 は すでに 立 派 な ハブ 空 港 である 羽 田 は 旅 客 数 でみても 世 界 第 4 位 の 大 空 港 である( 表 1) 前 原 大 臣 の 発 言 に 当 初 マスコミ 報 道 では 成 田 に 代 わって 羽 田 を 国 際 ハブ 空 港 にするとい う 論 調 が 目 立 った しかし この 問 題 は 単 純 に 羽 田 と 成 田 とどちらが 利 用 者 に 便 利 か どち らが 空 港 拡 張 の 可 能 性 をもっているかを 比 較 し て 2つの 空 港 から 一 つを 選 択 し 残 りを 廃 港 に するという 次 元 で 議 論 されるべき 性 質 のもので はない 世 界 レベルでみれば 東 京 は2つの 空 港 を 合 わせてようやく 一 つなのである たとえば 2008 年 度 の 発 着 回 数 をみると 成 田 19 万 回 羽 田 34 万 回 あわせて53 万 回 であるのに 対 して ニューヨーク JFケネディ 空 港 とロンドン ヒースロー 空 港 は 単 独 でそれぞれ44 万 回 と48 万 回 を 数 える( 表 2) 近 隣 アジア 諸 国 をみると 上 海 とソウルの 発 着 回 数 は 東 京 に 比 べてまだ 後 発 のイメージがあるものの 浦 東 空 港 も 仁 川 空 港 も 発 着 回 数 を 増 やす 国 家 将 来 計 画 をもって 進 められていることを 忘 れてはならない 羽 田 は 2013 年 4 月 に4 本 の 滑 走 路 がフル 稼 働 表 1 取 扱 旅 客 数 上 位 20 空 港 (2008 年 ) ランキング 空 港 取 扱 旅 客 数 ( 千 人 ) 1 アトランタ 90,039 2 シカゴ(オヘア) 69,354 3 ロンドン(ヒースロー) 67,056 4 東 京 ( 羽 田 ) 66,755 5 パリ(シャルル ド ゴール) 60,852 6 ロサンゼルス 59,542 7 ダラス フォートワース 57,069 8 北 京 ( 首 都 国 際 ) 55,662 9 フランクフルト 53,467 10 デンバー 51,436 11 マドリード 50,823 12 香 港 47,898 13 ニューヨーク(JFケネディ) 47,790 14 アムステルダム 47,430 15 ラスベガス 44,075 16 ヒューストン 41,699 17 フェニックス 39,891 18 バンコク(スワナプーム) 38,604 19 シンガポール(チャンギ) 37,695 20 ドバイ 37,441 成 田 33,531 関 西 16,009 中 部 11,236 出 典 : 世 界 空 港 評 議 会 (ACI) 10

表 2 世 界 主 要 都 市 の 空 港 発 着 回 数 比 較 (2008) ( 単 位 : 千 回 ) 東 京 ニューヨーク ロンドン* 上 海 ソウル 成 田 羽 田 194.4 339.6 JFケネディ ラガーディア ニューアーク 441.4 379.4 434.3 ヒースロー ガトウイック スタンステッド 478.5 263.7 193.3 浦 東 虹 橋 265.7 185.3 仁 川 金 浦 212.6 122.1 534.0 1,255.1 1,148.2 451.0 334.7 注 :ロンドンの 合 計 にルートン(117.9) ロンドンシティ(94.8)の 実 績 を 含 めている 発 着 回 数 にはゼネラル 航 空 を 含 む 上 海 ( 浦 東 )とソウル( 仁 川 )には 滑 走 路 拡 張 計 画 あり 出 典 : 日 本 航 空 協 会 航 空 統 計 要 覧 して 昼 間 41 万 回 となる この 時 点 で 羽 田 を 本 格 的 な 国 際 ハブ 空 港 とするために 成 田 の 国 際 線 を 最 大 限 羽 田 に 移 すと 仮 定 してみよう 航 空 需 要 の 伸 びが2008 年 のままだと 仮 定 して 2013 年 に 羽 田 が 受 け 入 れられるのは 成 田 19 万 回 のう ち7 万 回 である 羽 田 の 深 夜 早 朝 時 間 帯 におけ る 国 際 線 4 万 回 を 加 えても11 万 回 に 過 ぎない これで 羽 田 が 本 格 的 な 国 際 ハブ 空 港 だと 言 える であろうか また 羽 田 の 国 際 線 を 増 やすため に 国 内 線 を 成 田 に 移 せばよいとの 意 見 もあ る 成 田 と 羽 田 で 国 際 線 への 乗 り 継 ぎを 主 目 的 にした 一 部 の 便 は 可 能 だが それ 以 外 の 便 では 利 用 者 や 地 方 の 猛 反 発 を 受 けることは 必 至 であ ろう 成 田 の 国 際 線 を 羽 田 に 移 すか 羽 田 の 国 内 線 の 一 部 を 成 田 に 移 すかのいずれにせよ 成 田 も 羽 田 もともに 中 途 半 端 な 規 模 の 国 際 空 港 に しかなり 得 ない 当 然 成 田 空 港 を 経 営 する 成 田 国 際 空 港 株 式 会 社 から 強 い 不 満 があがった 羽 田 をさらに 拡 張 し 5 本 目 さらには6 本 目 の 滑 走 路 をつくり 新 たな 発 着 枠 をすべて 国 際 線 にすれば 羽 田 の 国 際 ハブ 空 港 化 は 可 能 との 意 見 もある 羽 田 の 国 内 線 需 要 は すでに 市 場 が 飽 和 状 態 にあることから 需 要 は 現 在 で 頭 打 ち であることはなるほど 確 かではあり 新 たに 増 える 発 着 枠 をすべて 国 際 線 需 要 に 充 てることは 現 実 的 な 対 応 である しかし 問 題 は5 本 目 さら には6 本 目 の 滑 走 路 が 一 般 に 考 えられている ほど 簡 単 に 早 期 に 実 現 するとは 考 えにくい 東 京 港 の 航 路 への 影 響 東 京 湾 岸 住 民 への 漁 業 補 償 と 騒 音 被 害 の 同 意 取 り 付 けなど 建 設 に 先 立 つ 地 域 調 整 に 要 する 労 苦 と 年 数 に 大 いなる 不 安 があるばかりか 膨 大 な 建 設 費 の 捻 出 方 法 にも 不 安 が 尽 きない 現 に 建 設 中 の4 本 目 2500m 滑 走 路 一 本 の 投 資 額 は1 兆 円 に 達 する そもそも 羽 田 は 後 節 で 触 れるが その 成 立 の 歴 史 的 経 緯 と 地 理 的 条 件 から 陸 側 に 向 かっては 離 陸 でき ないし 陸 側 からの 着 陸 も 出 来 ない 空 港 であ る 現 行 の 滑 走 路 運 用 方 式 が 解 決 されないこと には 羽 田 には 投 資 した 額 に 見 合 うだけの 容 量 拡 大 を 必 ずしも 得 られないという 弱 点 があるの だ つまり 滑 走 路 4 本 を 前 提 とした 場 合 羽 田 は 現 在 持 っている 最 大 の 強 み すなわち 国 内 線 のハブという 機 能 に 国 際 線 を 順 次 拡 大 してい くことが 最 善 の 道 なのである 一 方 の 成 田 であるが 2010 年 3 月 時 点 で 世 界 42カ 国 99 都 市 からの 国 際 線 が 乗 り 入 れており その 国 際 旅 客 のうち5 人 に1 人 は 乗 継 客 である とくに 米 国 航 空 会 社 では 旅 客 の 約 半 数 が 成 田 で 乗 り 継 いでアジア 各 地 を 最 終 目 的 地 とする 成 田 はアジアの 拠 点 空 港 であり 世 界 の 国 際 ハ ブ 空 港 のひとつである 成 田 がこの 国 際 = 国 際 ( 際 際 )という 乗 継 機 能 に 加 えて 国 内 = 国 際 ( 内 際 )という 機 能 の 両 方 を 持 つことができれば 言 うことはないのだが 年 間 離 着 陸 回 数 が2010 年 3 月 にようやく22 万 回 であるから よしんば30 万 回 にしても 名 ばかりの 国 内 線 機 能 をつけ 足 して 中 途 半 端 な 内 際 空 港 とするより 現 行 の 機 11

能 を 拡 充 して 国 際 = 国 際 乗 継 の 国 際 ハブ 機 能 に 特 化 するのが 正 道 であろう 2. 羽 田 空 港 の 歴 史 日 本 の 空 港 はどこも 例 外 なく 空 港 敷 地 選 定 と 建 設 にあたって 空 港 周 辺 地 域 と 過 去 にさまざ まな 歴 史 を 引 きずっている これらを 無 視 して は 空 港 として 運 用 機 能 していかない 羽 田 に ついても 例 外 ではない 羽 田 の 歴 史 を 後 知 恵 で 表 現 すれば 旺 盛 な 航 空 需 要 を 前 にして 拡 張 整 備 と 容 量 満 杯 を 繰 り 返 す 歴 史 であり 空 港 制 約 解 消 の 歴 史 である 戦 後 一 貫 して 東 京 の 一 極 集 中 が 進 むなか かつて 東 京 ( 羽 田 空 港 )と 大 阪 ( 伊 丹 空 港 )という 空 港 二 眼 レフと 称 された 時 代 も 含 めて 東 京 首 都 圏 の 空 港 制 約 の 解 消 は 常 にわが 国 の 空 港 政 策 の 重 点 事 業 であった 行 政 は 問 題 が 顕 在 化 する 前 に 対 策 を 講 じる 準 備 に 入 ってはいたものの 結 果 的 に 時 宜 に 適 わず 延 命 に 苦 心 してきた 歴 史 であっ たと 言 うこともできよう 羽 田 が 歩 んできた 歴 史 をふり 返 ると その 拡 張 計 画 には 戦 後 大 きな 節 目 が4 回 あった 2.1.GHQの 接 収 と 返 還 羽 田 拡 張 の 第 1 回 節 目 は 1945 年 9 月 米 軍 によ る 住 民 の 強 制 排 除 を 伴 った 空 港 の 大 幅 な 拡 張 が 行 われた 時 期 である これがなかったら 今 日 の 羽 田 空 港 はなかったと 断 言 してよい [ 経 緯 ] 1931 年 逓 信 省 によって 民 間 専 用 飛 行 場 東 京 飛 行 場 が 開 設 した 滑 走 路 は300m 15m 一 本 であり それまで 立 川 にあった 東 京 飛 行 場 を 羽 田 へ 移 転 したもので 開 港 後 最 初 のフライ トは8 月 25 日 当 時 の 国 策 会 社 である 日 本 航 空 輸 送 株 式 会 社 が 運 航 する 大 連 行 きフォッカー 型 機 で 乗 っ て い た の は 鈴 虫 6,000 匹 や が て 朝 日 報 知 東 京 日 々 新 聞 社 や 東 京 飛 行 機 製 作 所 が 利 用 するようになって 賑 わいを 見 せるもの の 中 国 大 陸 における 戦 争 が 拡 大 するにつれて 軍 事 利 用 が 中 心 になっていった 1945 年 終 戦 を 迎 え 羽 田 にもGHQが 進 駐 す るが GHQは 空 港 を 拡 張 するため 9 月 12 日 羽 田 飛 行 場 の 引 渡 命 令 を 出 し 翌 13 日 からは 飛 行 場 の 拡 張 工 事 を 始 める 当 時 空 港 には 穴 守 稲 荷 神 社 に 加 え 羽 田 鈴 木 町 羽 田 穴 守 町 羽 田 江 戸 見 町 の3 町 があり 約 3,000 人 からの 住 民 が いた これらの 住 民 はその 後 9 月 21 日 から48 時 間 以 内 に 空 港 島 から 強 制 退 去 させられること になるが 強 制 退 去 させられた 住 民 の 一 部 は 海 老 取 川 を 渡 った 空 港 島 対 岸 に 移 り 住 んだ GHQ により 拡 張 された 東 京 飛 行 場 は 総 面 積 257.4ha に 2100m 45mのA 滑 走 路 1650m 45mのB 滑 走 路 と2 本 の 滑 走 路 を 有 す る こ と と な り GHQが 利 用 するとともに アメリカのNWAが 利 用 した このように 羽 田 空 港 にも 旧 羽 田 島 住 民 の 苦 難 の 歴 史 が 刻 まれている 1952 年 サンフランシスコ 講 和 条 約 が 発 効 し 空 港 施 設 の 大 部 分 がGHQから 日 本 に 返 還 され た 運 輸 省 の 所 管 となり 民 有 地 買 上 げ 交 渉 も 無 事 済 み 7 月 1 日 東 京 国 際 空 港 と 改 称 戦 後 日 本 の 経 済 復 興 とともに 羽 田 空 港 の 新 たな 歴 史 が 始 まった 再 発 足 後 の 羽 田 空 港 では 旅 客 数 の 伸 びが 著 し かった この 当 時 羽 田 で 使 用 されていた 旅 客 ターミナルビルは 戦 後 米 軍 が 改 築 したもの で 狭 隘 かつ 設 備 も 悪 く 旅 客 に 大 変 不 便 を 強 いるものであった このような 状 況 において 新 しい 旅 客 ターミナルビルの 必 要 性 が 内 外 から 強 く 要 望 されるようになり 政 府 もその 建 設 を 計 画 したが 戦 後 の 国 家 財 政 窮 乏 のため 国 費 及 び 地 方 自 治 体 ( 東 京 都 )の 支 出 によって 建 設 す ることが 不 可 能 であった 政 府 は 民 間 資 本 によ りターミナルビルを 建 設 することを 閣 議 了 解 し 財 界 主 要 企 業 の 協 力 を 得 て 1953 年 日 本 空 港 ビルデング 株 式 会 社 が 設 立 され ターミナル ビルの 建 設 に 着 手 した このような 民 間 資 本 によるターミナルビルの 12

建 設 と 運 営 は その 後 日 本 の 大 半 の 空 港 におい て 踏 襲 されていく 滑 走 路 (エアサイド)と 空 港 ターミナルビル(ランドサイド)を 別 々に 運 営 す るという 世 界 でも 珍 しい 空 港 運 営 形 態 は 空 港 会 計 を 不 透 明 にしていき 今 日 その 公 開 性 と 改 善 が 問 われるようになっているが その 起 源 は 戦 後 直 後 の 羽 田 空 港 に 始 まる 2.2.ジェット 化 と 騒 音 問 題 羽 田 拡 張 の 第 2 回 目 の 節 目 は1958 年 9 月 に 始 ま るジェット 化 時 代 の 到 来 であり 羽 田 がその 拠 点 を 目 指 して 本 格 的 空 港 整 備 に 入 っていく 時 期 に 始 まる 漁 業 補 償 に 苦 労 しながらも 結 果 的 には1964 年 の 東 京 オリンピック 開 催 に 間 に 合 う のだが 東 京 港 港 湾 区 域 内 の 拡 張 に 目 処 が 立 な い 羽 田 の 容 量 不 足 問 題 は 次 第 に 深 刻 化 してい き その 抜 本 的 解 決 策 として 成 田 空 港 計 画 が 策 定 され 内 際 分 離 方 式 で 解 決 が 図 られる 成 田 は 政 争 の 具 となり 土 地 買 収 の 困 難 さから さ したる 熟 慮 もなく 当 初 計 画 から2 分 の1の 規 模 に 圧 縮 してしまった 日 本 はここで 成 田 が 世 界 的 国 際 空 港 となり 得 るチャンスを 自 ら 失 う その 一 方 で 成 田 開 港 の 遅 れは 羽 田 における1969 年 小 型 機 乗 入 規 制 へと 繋 がっていく そうした 苦 い 時 期 である なお この 規 制 は2010 年 D 滑 走 路 の 供 用 開 始 とともに 撤 廃 される [ 経 緯 ] もはや 戦 後 ではない と 経 済 白 書 が 宣 言 し 平 和 と 経 済 成 長 が 全 土 に 浸 透 していくなか 航 空 需 要 は 著 しく 伸 びた 羽 田 では1961 年 にA 滑 走 路 を3000mに 延 長 1964 年 にC 滑 走 路 3150m 60mを 新 設 1971 年 にB 滑 走 路 が2500mに 延 長 されていく これにあわせるように 羽 田 に 乗 り 入 れる 航 空 機 はジェット 化 され 路 線 数 も 便 数 も 増 えていった 日 本 は 高 度 経 済 成 長 期 を 謳 歌 し 航 空 需 要 はさらに 伸 びていった 急 速 な 航 空 需 要 に 対 応 すべく 航 空 会 社 は 相 次 いでB727やDC-8に 代 表 される 航 空 機 を 投 入 してジェット 化 大 型 化 多 頻 度 化 していった この 進 行 は 他 方 で 航 空 機 騒 音 を 拡 大 させ 空 港 周 辺 地 域 における 社 会 問 題 を 引 き 起 こして いった 1970 年 には 羽 田 空 港 周 辺 航 空 機 爆 音 被 害 防 止 対 策 協 議 会 が 地 元 で 結 成 され 国 も 入 った 東 京 国 際 空 港 騒 音 対 策 協 議 会 が 開 催 され 空 港 の 運 用 について 管 理 者 と 地 元 とが 協 議 を 開 始 する 1963 年 にすでに 深 夜 早 朝 時 間 帯 (23 時 6 時 )におけるジェット 機 発 着 禁 止 が 行 われていたが この 夜 間 発 着 禁 止 は 34 年 後 の 1997 年 東 京 湾 沖 合 埋 立 地 にそれまでより 約 2km 沖 合 に 建 設 された 新 C 滑 走 路 が 供 用 開 始 さ れると 解 除 されることになり 今 日 の 実 質 24 時 間 運 用 が 再 開 されることになっていく 時 代 を 元 に 戻 すと 1967 年 には 公 共 用 飛 行 場 周 辺 における 航 空 機 騒 音 による 障 害 の 防 止 等 に 関 する 法 律 が 施 行 され 空 港 周 辺 地 域 にお ける 移 転 補 償 や 学 校 住 宅 の 防 音 工 事 といっ た 周 辺 環 境 対 策 が 開 始 された この 時 期 に 限 らないが 羽 田 空 港 の 歴 史 は 需 要 後 追 いの 拡 張 の 歴 史 であるとともに 出 来 上 がった 施 設 を 活 用 し 延 命 運 用 し 続 けていくた めの 環 境 対 策 の 歴 史 でもある 2.3. 成 田 開 港 と 羽 田 沖 合 展 開 事 業 羽 田 拡 張 の 第 3 回 の 節 目 は 1970 年 代 に 羽 田 空 港 の 輻 輳 緩 和 対 策 として 始 められた 大 々 的 空 港 拡 張 計 画 調 査 であったが 世 を 挙 げての 革 新 知 事 時 代 に 遭 遇 した 時 期 に 始 まる 1971 年 沖 合 展 開 事 業 計 画 の 策 定 作 業 が 始 まり 環 境 問 題 や 美 濃 部 亮 吉 革 新 都 政 に 揉 まれながら 1983 年 東 京 都 の 了 解 を 得 て 東 京 都 の 土 砂 処 分 場 の 有 効 利 用 を 兼 ねて 計 画 決 定 され ようやく 日 の 目 をみ て 翌 年 の 工 事 着 工 を 経 て 今 日 の 羽 田 空 港 の 原 型 が 出 来 上 がる しかし 騒 音 環 境 問 題 が 深 刻 の 度 合 いを 高 めていく 時 期 でもある この 間 羽 田 の 容 量 不 足 に 対 応 するため 航 空 会 社 は B747やL1011 DC-10などのワイドボディと 称 される 大 型 化 に 走 り 一 方 で 地 方 空 港 では 軒 並 み 分 不 相 応 の 滑 走 路 延 長 を 重 ねていく 13

[ 経 緯 ] 紆 余 曲 折 の 末 に1978 年 成 田 が 開 港 すると 羽 田 の 国 際 線 は 中 華 航 空 を 除 き 全 て 成 田 に 移 っ た その 結 果 羽 田 の 発 着 枠 には 当 然 余 裕 が 出 る それも 間 もなく 国 内 線 で 再 び 満 杯 になっ た 産 業 界 が 著 しく 成 長 し 航 空 もそれ 以 上 に 伸 びたからである たとえば 成 田 移 転 の 前 年 1977 年 羽 田 における 国 内 線 旅 客 数 と 貨 物 取 扱 量 をみると それぞれ1,650 万 人 13 万 トンだっ たものが 10 年 後 の1985 年 にはともに 倍 増 して いる 年 平 均 7%の 成 長 率 である 高 成 長 の 背 景 には 航 空 各 社 が 大 型 低 騒 音 の 新 機 材 を 幹 線 からローカル 線 へと 導 入 したことがあるが 加 えて1967 年 に 始 まる 空 港 整 備 五 箇 年 計 画 と 1970 年 に 設 置 された 空 港 整 備 特 別 会 計 のもと 地 方 空 港 の 大 型 化 およびジェット 化 対 応 の 滑 走 路 延 伸 が 一 層 進 められたことがあった 羽 田 は 再 び 拡 張 を 必 要 とするようになった 同 時 に 騒 音 問 題 の 抜 本 的 な 解 決 にも 迫 られてい く 運 輸 省 は 約 10 年 にわたる 東 京 都 大 田 区 品 川 区 との 協 議 を 経 て 1983 年 沖 合 展 開 事 業 計 画 を 決 定 した 沖 合 展 開 事 業 計 画 の 全 体 事 業 費 は 非 常 に 大 きく 1986 年 度 予 算 編 成 において 沖 合 展 開 事 業 を 対 象 として 空 港 整 備 特 別 会 計 に 財 政 投 融 資 資 金 の 導 入 が 認 められて 資 金 調 達 の 裏 付 けが 出 来 た 以 後 羽 田 は 国 の 直 轄 方 式 で 進 むことになった 余 談 になるが 後 の 海 上 埋 立 空 港 である 関 空 中 部 では 株 式 会 社 方 式 が 採 られ これら 民 間 会 社 は 開 業 と 同 時 に 土 地 造 成 の 厖 大 な 借 入 金 を 背 負 わされる 東 京 湾 沖 合 展 開 は3 期 に 分 けて 進 められた( 図 2) 第 1 期 の 供 用 開 始 は1988 年 B 滑 走 路 とC 滑 走 路 の2 本 運 用 に 加 えて 海 側 に 新 A 滑 走 路 を 建 設 し 空 港 の 処 理 能 力 を18 万 回 まで 拡 大 し た 第 2 期 は1993 年 西 側 ターミナルビル 地 区 の 整 備 ならびに 湾 岸 高 速 道 路 の 乗 入 れおよびモ ノレール 延 伸 によってアクセスが 充 実 され 空 港 全 体 としての 処 理 能 力 は 年 間 21 万 回 にまで 拡 大 した 第 3 期 は 1997 年 新 C 滑 走 路 の 供 用 開 始 2000 年 新 B 滑 走 路 供 用 開 始 2004 年 東 側 ターミ ナルビル 供 用 開 始 そして 2007 年 東 側 ターミ ナルビル 南 ピア 供 用 これで 沖 合 展 開 事 業 は 完 了 空 港 用 地 は1,271haとなった 新 Cと 新 A 滑 走 路 ( と も に 現 CとA 滑 走 路 ) 3000mと が 1700mの 間 隔 をおいて 沖 合 に 配 置 された 結 果 わが 国 で 初 めての 同 時 離 着 陸 が 可 図 2 沖 合 展 開 事 業 計 画 図 事 業 沖 合 展 開 事 業 事 業 出 典 : 国 土 交 通 省 航 空 局 資 料 14

能 なオープンパラレル 配 置 の 空 港 となった カ テゴリー(CAT)-Ⅱが 導 入 され 霧 などの 低 視 程 時 においても 運 用 が 可 能 となった 前 項 で 触 れたように 騒 音 問 題 を 引 き 起 こす 恐 れもなく なり 空 港 の24 時 間 運 用 が 可 能 となった 新 B ( 現 B) 滑 走 路 2500mは 旧 B 滑 走 路 から380m 沖 側 に 平 行 移 動 された これらにより 2008 年 度 実 績 はゼネラル アビエーション 航 空 も 含 めて 年 間 34 万 回 にまで 拡 大 している 2.4. 羽 田 空 港 再 拡 張 事 業 と 再 国 際 化 羽 田 拡 張 の 第 4 回 目 の 節 目 は 沖 合 展 開 事 業 完 成 後 を 視 野 に 入 れた 東 京 首 都 圏 の 空 港 容 量 の 拡 大 計 画 調 査 1990 年 代 のいわゆる 首 都 圏 第 三 空 港 調 査 に 始 まり 再 沖 合 展 開 に 至 る 時 期 である 2000 年 前 後 関 東 圏 域 に 優 に10を 超 す 空 港 建 設 候 補 地 が 自 薦 他 薦 で 名 乗 りをあげたも のの 最 終 的 にはかつて 建 設 技 術 とコストから 見 て 論 外 と 考 えられていたD 滑 走 路 の 実 現 と なった( 図 1) D 滑 走 路 の 増 設 が 決 まると 羽 田 の 再 国 際 化 構 想 が 浮 上 し 現 実 となっていった その 国 際 線 枠 への 期 待 は 拡 大 する 一 方 である [ 経 緯 ] 羽 田 沖 合 展 開 が1990 年 代 から2000 年 代 にかけ て 進 められたものの 期 中 より 航 空 需 要 は 空 港 容 量 の 拡 大 度 合 いを 凌 いで 増 大 し 再 び 空 港 容 量 満 杯 の 様 相 を 呈 したため 首 都 圏 空 港 問 題 の 抜 本 的 な 解 決 が 急 がれるようになった 2000 年 9 月 に 首 都 圏 第 三 空 港 調 査 検 討 会 が 設 置 さ れ 2001 年 7 月 に 多 数 の 候 補 地 から 羽 田 空 港 再 拡 張 に 軍 配 があげられた そして 2002 年 6 月 に 閣 議 決 定 された 経 済 財 政 運 営 と 構 造 改 革 に 関 す る 基 本 方 針 2002 で 2000 年 代 後 半 までに 国 際 定 期 便 の 就 航 を 図 る と 提 言 された 再 拡 張 事 業 で は 4 本 目 のD 滑 走 路 2500mを 空 港 島 の 南 側 海 上 多 摩 川 の 河 口 に 近 いところ に 建 設 することとなり 2006 年 12 月 東 京 都 と 千 葉 県 が 東 京 湾 埋 立 を 承 認 したのを 受 けて 2007 年 3 月 に 工 事 が 着 工 された 同 滑 走 路 は 河 口 附 近 に 位 置 することから 世 界 に 例 のない 桟 橋 部 と 埋 立 部 から 成 るハイブリッド 方 式 である この 事 業 が 完 了 すると 羽 田 は 昼 夜 1 日 1200 回 年 間 約 45 万 回 の 容 量 となる 発 着 容 量 の 拡 大 にあわせて 新 管 制 塔 の 建 設 や 関 東 空 域 の 再 編 も 進 められた ここで 留 意 しなければならないことがある 2010 年 1 月 に 行 われた 関 東 空 域 の 再 編 第 一 段 は 羽 田 45 万 回 成 田 22 万 回 の 交 通 量 を 前 提 として いるという 点 だ 4 節 で 触 れる 3. 航 空 自 由 化 政 策 におけるハブ 空 港 の 役 割 2009 年 12 月 11 日 ワシントンで 開 かれていた 日 米 両 政 府 間 の 航 空 協 議 が 合 意 に 達 した( 日 本 時 間 12 日 昼 ) 日 米 の 航 空 会 社 が 両 国 間 の 路 線 や 便 数 を 自 由 に 設 定 できる 今 回 の 日 米 航 空 自 由 化 協 定 は 2010 年 10 月 までに 発 効 する 世 界 では 航 空 機 が 国 境 を 越 えて 運 航 する 場 合 路 線 を 結 ぶ 国 同 士 が 交 渉 し 使 用 する 空 港 や 運 賃 路 線 を 運 航 する 航 空 会 社 などを 決 める 二 国 間 交 渉 が 一 般 的 だった 1990 年 代 以 降 こ の 仕 組 みに 代 わって 航 空 会 社 が 自 由 に 相 手 の 空 港 を 選 んで 航 空 機 を 運 航 できるようにする 航 空 自 由 化 協 定 が 締 結 されるようになってきてい る 世 界 を 見 渡 しても 二 国 間 あるいは 地 域 間 で 航 空 自 由 化 が 広 く 進 展 している 今 回 日 米 間 で 合 意 に 至 った 航 空 自 由 化 では 空 港 容 量 が 満 杯 である 羽 田 と 成 田 は 対 象 空 港 から 外 されて 協 議 項 目 となる 航 空 会 社 については 1998 年 に 締 結 された 日 米 間 の 航 空 協 定 以 降 路 線 や 便 数 を 自 由 に 設 定 できるのは 日 米 双 方 3 社 ずつに 限 ら れていたが 協 定 発 効 後 は 日 米 すべての 航 空 会 社 が 対 象 となり 米 側 航 空 会 社 の 新 規 乗 入 が 出 てくることも 考 えられる 今 回 の 合 意 でとくに 注 目 されるのは 羽 田 と 米 国 を 結 ぶ 定 期 便 の 就 航 である 2010 年 10 月 に 15

拡 大 される 羽 田 の 深 夜 早 朝 時 間 帯 (23 時 6 時 ) に 日 米 両 国 航 空 会 社 が 国 際 線 発 着 枠 を1 日 4 便 ず つ 運 航 できる( 後 出 表 6)ようになり 羽 田 利 用 者 の 利 便 性 が 大 きく 高 まる 本 邦 航 空 会 社 間 の 競 争 激 化 あるいは 世 界 的 アライアンス 間 の 競 争 激 化 で 太 平 洋 における 多 頻 度 化 と 運 賃 低 下 が 実 現 される 期 待 が 大 きいからだ 米 国 は1992 年 のオランダを 手 始 めに 現 在 90 以 上 の 国 地 域 と 航 空 自 由 化 協 定 を 結 んでいる ( 図 3)が 米 運 輸 省 (DOT)によると 航 空 自 由 化 締 結 後 の 航 空 運 賃 は 平 均 20.1% 下 落 旅 客 輸 送 量 は12 35% 増 加 しているという 米 国 とカ ナダ 英 国 間 では 利 用 者 が2 倍 以 上 になった 路 線 も 報 告 されている 図 3 世 界 の 航 空 自 由 化 の 流 れと 主 なハブ 空 港 ーー 英 ロンドン 6807 域 内 1993 年 結 シンガポール 3670 国 2015 年 に 域 内 自 由 化 出 典 : 朝 日 新 聞 2009.12.13 記 事 ルル ール 米 (2001 年 ) パリ 5992 ール(2008 年 ) 仁 川 米 (1998 年 ) 韓 国 ソウル 3142 日 本 日 米 合 意 2010 年 に 発 羽 田 6682 ール オランダ アムステルダム 4779 成 田 3548 米 (2007 年 ) 米 (1992 年 ) 米 ール (1997 年 ) 3.1. 航 空 自 由 化 とハブ 空 港 との 関 係 航 空 自 由 化 (オープンスカイ) 政 策 とハブ 空 港 の 定 義 については 本 研 究 誌 41 巻 2 号 変 容 す る 世 界 の 航 空 界 (その1) 空 港 p119-122(2008 年 3 月 )に 詳 述 しているが 両 者 の 関 係 すなわ ち 航 空 自 由 化 の 進 展 が 大 容 量 の 空 港 を 必 要 とす る 背 景 について 3.3. 国 家 戦 略 としての 大 容 量 空 港 の 必 要 性 から 以 下 抜 粋 再 掲 載 する 世 界 的 に 進 行 する 航 空 自 由 化 の 潮 流 と 競 争 激 化 が 世 界 の 大 都 市 主 要 空 港 にもたらしている 変 化 をみると 3つのことを 挙 げることができ よう その 第 一 は 空 港 の 最 大 顧 客 である 航 空 企 業 は そこを 自 社 ハブとして 選 択 した 空 港 に 十 分 なスペースと 設 備 があることを 必 要 条 件 とす るようになっている 適 切 な 空 港 インフラがな ければ 航 空 企 業 は 有 効 な 路 線 ネットワークを 構 築 し 維 持 していくことができない 路 線 ネッ トワークを 市 場 特 性 に 合 わせてきめ 細 かく 設 定 し 運 用 していくことが 経 営 効 率 化 のためにも 顧 客 満 足 度 向 上 のためにも 厳 しく 求 められてい る すなわち 路 線 需 要 路 線 特 性 季 節 特 性 などに 合 わせて 異 なる 供 給 座 席 数 の 航 空 機 が 多 数 必 要 となることから その 保 管 と 保 守 整 備 とが 必 要 となり 旅 客 と 貨 物 のための 広 大 な 施 設 も 必 要 となる 当 該 空 港 には 外 国 の 航 空 企 業 も 加 わるから 空 港 の 規 模 は 必 然 的 に 大 きい ものが 要 求 され 敷 地 も 大 きくならざるをえな い 航 空 新 興 地 域 のアジア 各 国 で 空 港 規 模 が 3,000haから5,000haで 建 設 されているのはそん な 理 由 からである その 第 二 は 現 代 において 航 空 は 貨 物 運 送 の 手 段 として 重 要 になっていることに 関 連 す る 航 空 貨 物 運 送 は 大 型 旅 客 機 のベリー( 旅 客 スペースの 階 下 部 分 )によって 相 当 部 分 が 賄 わ れているものの 世 界 の 工 場 アジアでとく に 進 展 している 国 際 水 平 分 業 を 支 える 航 空 貨 物 は 昼 間 の 移 動 を 好 む 航 空 旅 客 とは 異 なって 深 夜 帯 に 動 く 必 要 な 時 に 必 要 な 量 だけ 必 要 な 16

場 所 から 必 要 な 場 所 へ 迅 速 的 確 に 運 送 するた めに 貨 物 専 用 便 は 小 型 機 を 用 いて 少 量 多 頻 度 で 運 航 されるようになっている 貨 物 専 用 便 は また 小 口 貨 物 とくにエクスプレス 便 にとって もグローバルな 物 通 手 段 となった 宅 配 業 務 を 兼 業 するインテグレータにとって 物 流 にかか る 時 間 を 最 少 に 抑 えるために 空 港 内 で 貨 物 を 移 転 する 専 用 の 駐 機 場 所 や 地 上 運 送 を 受 け 持 つ トラック 駐 車 場 所 が 必 須 であり 屋 内 自 動 仕 分 け 作 業 にも 相 当 スペースを 要 する 勢 い 空 港 には 航 空 貨 物 用 のための 広 大 なスペースをもつ ことが 空 港 間 競 争 に 勝 ち 残 るための 重 要 な 条 件 になっているのである 中 国 の 上 海 と 広 州 の 新 空 港 では 大 スペースの 独 占 的 使 用 を 謳 い 文 句 に 2007 年 ま で にFedEx DHL UPSと い う 世 界 3 大 インテグレータを 引 き 付 けた 以 上 2つに 付 随 することとして 空 港 はその 使 用 料 の 高 が 空 港 競 争 力 を 決 定 する 重 要 な 要 件 となっている したがって 空 港 が 見 舞 われて いる 変 化 の 第 三 は 航 空 自 由 化 によって 空 港 が 航 空 企 業 間 の 競 争 にもろに 組 み 込 まれてしまっ たことである 空 港 の 最 大 顧 客 は 航 空 企 業 であ り どの 空 港 を 自 社 ハブ 空 港 として 使 用 する か その 空 港 に 乗 入 れるかどうかは 航 空 企 業 に よって 選 択 されるから 空 港 は 廉 価 で 良 質 な サービスを 提 供 しない 限 り 航 空 企 業 に 対 する 魅 力 を 失 ってしまう アジア 各 国 が 主 要 空 港 の 使 用 料 を 競 って 低 く 抑 さえているのはそのためと いえよう その 一 方 で そこを 自 社 のハブ 空 港 として 路 線 ネットワークを 展 開 する 航 空 企 業 に とっては 当 該 空 港 の 使 用 料 が 高 くては コス ト 的 に 使 用 料 の 安 い 空 港 をハブ 空 港 とする 航 空 企 業 に 太 刀 打 ちできない 日 本 の 航 空 企 業 が 苦 戦 している 背 景 には 日 本 の 高 い 空 港 使 用 料 が 災 いしているのである ( 引 用 終 わり) 3.2. 米 欧 アジアのハブ 空 港 ハブ 空 港 のハブとは 自 転 車 の 車 輪 の 軸 を 指 す 国 際 線 あるいは 国 内 線 の 乗 り 換 えが 便 利 な 空 港 から 各 地 に 放 射 状 に 路 線 が 広 がってい る 様 子 が 車 輪 のスポークに 似 ていることから 中 心 にある 空 港 をハブと 呼 ぶ 語 源 は 米 国 にお いて1978 年 に 航 空 規 制 が 撤 廃 された 結 果 メ ジャー 会 社 が 自 社 路 線 を 効 率 的 に 運 航 するため に 国 内 で 作 り 上 げた 路 線 網 の 形 状 に 由 来 する ここからわかるように マスコミは 路 線 が 図 面 上 で 集 中 している 空 港 を ハブ であるよう に 伝 えているのは それは 結 果 であって 本 来 意 味 するものとは 違 う 空 港 を ハブ と 決 定 す るのは 航 空 会 社 なのであって 設 置 管 理 者 が ハブ と 決 めればハブとなるものではない たとえば 米 国 ではデルタ 航 空 アメリカン 航 空 ユナイテッド 航 空 というビッグ3はそれぞ れ 自 社 ハブを アトランタ ハーツフィールド 空 港 ダラス フォートワース 空 港 シカゴ オヘア 空 港 においている( 表 3 1) 欧 州 では かつてのナショナル フラッグキャリアが 世 界 3 大 アライアンスにそれぞれ 分 かれて 自 国 の 首 都 空 港 を 舞 台 にハブ 空 港 の 生 残 り 競 争 をして いる 具 体 的 には 英 国 航 空 ルフトハンザ エールフランスとKLM( 最 後 の2 社 はAF-KL 連 合 体 )である( 表 3 2) このように 先 進 諸 国 の 空 港 はハブに 指 定 してもらうべく 航 空 会 社 に 多 様 なインセンティブを 提 供 し ハブ 誘 致 に 努 力 している 誘 致 策 の 最 大 のものは 廉 価 な 空 港 使 用 料 であり 余 裕 ある 発 着 枠 を 有 している ことである 貨 物 航 空 会 社 の 誘 致 にはさらに 広 大 な 敷 地 も 必 要 である 空 港 側 は 航 空 会 社 にとって 空 港 を 使 い 易 く する 投 資 を 不 断 に 行 わなければならない それ もこれも 航 空 会 社 が 多 くの 旅 客 と 貨 物 を 集 め れば 空 港 自 体 の 旅 客 数 と 貨 物 量 が 増 加 し 空 港 の 売 上 げも 増 えるという 共 存 共 栄 の 関 係 にある からだ 欧 米 の 空 港 は 日 本 と 違 って 滑 走 路 などの 基 本 施 設 (エアサイド)とターミナルビル などの 地 上 施 設 (ランドサイド)が 同 一 の 組 織 で 一 括 運 営 されていることに 留 意 したい アジアに 目 を 転 じる 1990 年 代 後 半 以 降 の 東 17

アジアでは 韓 国 中 国 香 港 シンガポール バンコクにみる( 表 3 3)ように 将 来 潜 在 航 空 需 要 の 大 きさを 睨 んだ 国 を 挙 げての 巨 大 容 量 空 港 整 備 を 敢 行 している 3.3. 日 本 の 地 方 空 港 のハブは 成 田 か 仁 川 か 2009 年 10 月 大 臣 就 任 間 も な い 前 原 大 臣 は 日 本 の 地 方 空 港 にとって ハブ 空 港 は 事 実 上 仁 川 ( 韓 国 ソウル) 空 港 になっている と 発 言 している このことから 昨 今 マスコミで 報 道 されている ハブ 空 港 とは 国 際 線 を 中 心 と した 拠 点 空 港 の 意 味 ととるのが 現 実 的 であろ う すでに 述 べたように マスコミが 言 う ハ ブ 空 港 は 今 ひとつ 定 義 が 明 瞭 でない 大 臣 は また 日 本 人 旅 客 が 仁 川 空 港 で 国 際 線 に 乗 り 継 いでいるのは わが 国 に 本 格 的 な 国 際 ハブ 空 港 が 無 いからだ とも 発 言 している 日 本 各 地 と 仁 川 を 結 ぶ 航 空 路 線 図 ( 図 4)をみれば 誰 しも そう 思 うであろう 大 臣 のその 後 の 発 言 は 微 妙 に 変 化 しているものの 最 終 的 には 羽 田 を 国 内 表 3 1 米 国 の3 大 航 空 会 社 ハブ(2008 年 ) アトランタ ハーツフィールド シカゴ オヘア ダラス フォートワース 年 間 発 着 回 数 ( 千 回 ) 978.8 881.6 656.3 年 間 旅 客 数 ( 千 人 ) 90,039 69,354 57,093 1 発 着 当 たり 平 均 搭 乗 者 数 ( 人 ) 92.0 78.7 87.0 滑 走 路 本 数 ( 本 ) 5 6 7 表 3-2 欧 州 の 航 空 会 社 ハブ(2008 年 ) ロンドン ヒースロー フランクフルト パリ シャルル ドゴール アムステルダム スキポール 年 間 発 着 回 数 ( 千 回 ) 478.5 485.8 559.8 446.6 年 間 旅 客 数 ( 千 人 ) 67,056 53,467 60,875 47,430 1 発 着 当 たり 平 均 搭 乗 者 数 ( 人 ) 140.1 110.1 108.7 106.2 滑 走 路 本 数 ( 本 ) 2 3 4 6 表 3-3 アジアの 巨 大 容 量 ハブ(2008 年 ) 上 海 浦 東 北 京 首 都 ソウル 仁 川 成 田 年 間 発 着 回 数 ( 千 回 ) 265.7 431.7 212.6 194.4 年 間 旅 客 数 ( 千 人 ) 28,236 55,937 30,167 33,466 1 発 着 当 たり 平 均 搭 乗 者 数 ( 人 ) 106.3 129.6 141.9 172.2 滑 走 路 本 数 ( 本 ) 3 3 3 2 バンコク スワンナプーム シンガポール チャンギ 年 間 発 着 回 数 ( 千 回 ) 249.4 234.8 309.7 339.6 年 間 旅 客 数 ( 千 人 ) 38,603 37,695 47,858 66,755 1 発 着 当 たり 平 均 搭 乗 者 数 ( 人 ) 154.8 160.5 154.5 196.6 滑 走 路 本 数 ( 本 ) 2 2 2 3+(1) 出 典 : 日 本 航 空 協 会 航 空 統 計 要 覧 香 港 羽 田 18

= 国 際 の 乗 り 継 ぎに 便 利 な 内 際 乗 継 空 港 として 整 備 するということのようである そこで 仁 川 で 乗 継 いで 海 外 渡 航 をする 航 空 旅 客 の 実 態 をみたい 国 土 交 通 省 が2007 年 8 9 月 (ピーク 時 )と11 月 (オフピーク 時 )に 実 施 した 国 際 航 空 旅 客 動 態 調 査 によると 日 本 の 空 港 か らソウル 仁 川 を 経 由 して 欧 米 など 韓 国 以 外 の 海 外 との 間 を 往 来 する 航 空 旅 客 は 年 間 42 万 人 と 図 4 日 本 の 空 港 と 結 ぶソウル 仁 川 と 上 海 浦 東 (2010 年 3 月 ) 出 典 : 時 刻 表 より 筆 者 作 成 推 計 される( 表 4) ちなみに 本 調 査 当 時 仁 川 と 日 本 との 間 には 成 田 関 空 中 部 および19 地 方 空 港 の 合 計 22の 空 港 に 国 際 路 線 が 運 航 してい た この42 万 人 のうち [19 地 方 空 港 = 仁 川 = 海 外 ]の 旅 客 は12.6 万 人 であるという この 数 字 は [ 日 本 国 内 空 港 = 日 本 の 拠 点 空 港 あるい はソウル 仁 川 = 海 外 ]の 全 旅 客 300 万 人 の5% 弱 に 当 たる 本 調 査 が 実 施 された2007 年 2 度 目 調 査 の11 月 日 本 は 羽 田 成 田 を 除 く 全 国 内 空 港 を 実 質 航 空 自 由 化 したのであるが 仁 川 と 路 線 がある 日 本 側 の 空 港 数 は2010 年 3 月 現 在 成 田 関 空 中 部 の 拠 点 空 港 に 茨 城 空 港 を 加 えた 28 空 港 に 増 えているから 5%という 数 字 は 多 少 増 えていると 思 われる ところで [ 日 本 の 空 港 = 成 田 = 海 外 ]の 旅 客 数 は191 万 人 で 先 の12.6 万 人 とは 約 15 倍 の 開 きがある 果 して 日 本 の 地 方 空 港 にとって ハブ 空 港 は 仁 川 にとられている と 断 定 できる かどうか その 判 断 は 読 者 に 任 せたい いずれ にせよ 仁 川 と 日 本 との 路 線 には 成 田 関 空 中 部 の3 拠 点 空 港 を 除 くと 現 在 本 邦 航 空 会 社 は 運 航 しておらず 本 邦 航 空 会 社 が 撤 退 した 後 を 担 っているのは 韓 国 航 空 会 社 だけである そう した 地 方 の 人 びとにとって 海 外 渡 航 の 際 の 航 空 会 社 と 乗 継 空 港 の 選 択 肢 は 極 めて 限 られている 表 4 日 本 各 地 と 海 外 との 乗 継 ぎ 国 際 旅 客 流 動 量 (2007 年 ) 日 本 の 空 港 = 仁 川 = 海 外 成 田 = 仁 川 = 海 外 関 空 = 仁 川 = 海 外 中 部 = 仁 川 = 海 外 その 他 19 空 港 = 仁 川 = 海 外 日 本 の 空 港 = 成 田 = 海 外 日 本 の 空 港 = 成 田 = 海 外 日 本 の 空 港 = 羽 田 成 田 = 海 外 日 本 の 空 港 = 羽 田 = 海 外 日 本 の 空 港 = 関 空 = 海 外 日 本 の 空 港 = 中 部 = 海 外 42 万 人 (13) (10.8) (5.4) (12.6) 191 万 人 (122) (69) 0.8 万 人 45 万 人 18 万 人 出 典 : 国 土 交 通 省 国 際 航 空 旅 客 動 態 調 査 (2007 年 度 ) 19

ということは 間 違 いない つぎに 羽 田 空 港 についてみてみよう 羽 田 では 成 田 が 空 港 閉 鎖 している 深 夜 早 朝 時 間 帯 に 国 際 チャーター 便 が 運 航 されており 昼 間 時 間 帯 で は 羽 田 = ソ ウ ル 金 浦 の よ う な 定 期 的 チャーター 便 が 運 航 されている この 羽 田 国 際 線 を 利 用 した[ 日 本 の 空 港 = 羽 田 = 海 外 ]の 旅 客 は 表 4のとおり8000 人 程 度 であったと 推 定 さ れる 先 に 触 れた[19 地 方 空 港 = 仁 川 = 海 外 ] の 旅 客 12.6 万 人 と 比 較 できるような 数 字 ではな い 羽 田 では 現 在 成 田 が 定 期 便 を 運 航 してい る 昼 間 時 間 帯 (6 時 23 時 )で あ っ て も ソ ウ ル 金 浦 の 他 に 上 海 虹 橋 や 羽 田 = 香 港 北 京 などにそれぞれ 定 期 的 チャーター 便 が 運 航 さ れるようになっており 地 方 空 港 から 海 外 に 出 る 場 合 の 旅 客 利 便 性 は 調 査 の 年 より 改 善 されて いると 思 われる ここで 改 めて 日 本 と 韓 国 の 首 都 空 港 のネット ワークと 需 要 規 模 の 比 較 をしたい( 表 5) 羽 田 は 国 内 では 北 は 北 海 道 から 南 は 沖 縄 まで48の 都 市 と 結 ばれているが ソウル 仁 川 でも 日 本 の 28 都 市 と 結 ばれているのに 成 田 は8 都 市 と 結 ばれているにすぎない つまり 表 4における 日 本 の 空 港 = 成 田 = 海 外 191 万 人 の 旅 客 のうち 日 本 国 内 における 乗 継 ぎが 成 田 1 回 で 済 む 旅 客 は 札 幌 仙 台 小 松 中 部 関 空 広 島 福 岡 沖 縄 の 空 港 利 用 者 に 限 られているということで ある それが122 万 人 で 191 万 人 の3 分 の2を 占 めるが 残 る3 分 の1の69 万 人 は いったん 羽 田 に 出 て 地 上 アクセスで 成 田 に 向 かうという2 回 乗 り 換 えを 強 いられている つぎに 成 田 と 仁 川 のどちらが より 国 際 ハ ブ 機 能 を 果 しているかをみよう この2 空 港 に おける 国 際 線 から 国 際 線 への 通 過 客 を2007 年 と2008 年 で 比 較 すると 成 田 ではそれぞれ 619 万 人 600 万 人 のように 対 前 年 比 では2 年 連 続 3% 減 を 記 録 している これに 対 して 仁 川 ではこの 間 も359 万 人 から423 万 人 と 増 加 して おり 対 前 年 比 では18% 増 という2 桁 成 長 を 遂 げており 成 田 との 差 を 縮 めている 2004 年 の 統 計 では 成 田 の 通 過 客 664 万 人 に 対 して 仁 川 は276 万 人 と 大 きな 開 きがあったことを 考 え ると 成 田 は 仁 川 に 急 速 に 追 い 上 げられている と 言 えよう 成 田 と 仁 川 の 両 空 港 はともに 東 アジアのゲー トウェイ 空 港 であるが それぞれネットワーク に 特 徴 がある 成 田 には 米 欧 など 長 距 離 路 線 が 多 い( 欧 米 便 数 比 27%)のに 対 して 仁 川 ( 同 15 %)はアジア 域 内 路 線 とくに 中 国 の 奥 地 路 線 を 数 多 く 持 っている( 図 5) どちらの 空 港 がよ り 本 格 的 なハブ 空 港 であろうか 最 近 10 年 間 の 両 者 の 国 際 線 旅 客 数 の 推 移 をみても 成 田 では 成 長 ベクトルが 横 ばいから 下 向 きなのに 対 し て 仁 川 では 上 向 きであって 東 アジアにおけ るかつての 成 田 優 位 は 低 下 しつつある こうした 日 本 の 成 長 ベクトルを 上 向 きに 変 え 表 5 東 京 とソウルの 空 港 規 模 比 較 成 田 仁 川 羽 田 日 本 の 都 市 と 結 ぶ 路 線 数 海 外 の 都 市 と 結 ぶ 路 線 数 ( 日 本 を 除 く) 発 着 回 数 ( 千 回 ) 旅 客 数 ( 千 人 ) うち 国 際 線 旅 客 数 8 99 194.4 33,466 32,324 28 101 212.6 30,167 29,536 48 4 339.6 66,755 2,355 注 : 発 着 回 数 と 旅 客 数 は2008 年 実 績 他 は2010 年 3 月 時 点 ただし 仁 川 の 海 外 路 線 数 は 2009 年 12 月 時 点 20

図 5-1 成 田 空 港 の 国 際 線 ネットワーク(2010 年 3 月 ) 就 航 先 :42 ヶ 国 地 域 99 都 市 図 5-2 ソウルの 国 際 線 ネットワーク(2009 年 3 月 ) 就 航 先 :43 ヶ 国 124 都 市 出 典 : 国 土 交 通 省 資 料 21

る 航 空 空 港 政 策 のひとつが 羽 田 の 国 際 線 機 能 充 実 にあるのは 異 論 のないところだ 3.4. 貨 物 ハブと 日 本 での 取 組 み 事 例 羽 田 ハブ 化 は 通 常 旅 客 を 念 頭 において 語 られることが 多 いが ハブ 空 港 が 貨 物 に おいても 当 然 存 在 することは 言 うまでもない 貨 物 ハブ 空 港 は アジアには 世 界 を 制 して 香 港 ソウル 仁 川 成 田 が 上 位 3 位 の 地 位 を 固 めており これに 上 海 浦 東 台 北 桃 園 が 激 しく 追 い 上 げている 繰 り 返 しになるが ハブ 空 港 とは 航 空 会 社 がそこを 自 社 基 地 にすることで 決 定 されるも のである 日 本 では 全 日 空 が 沖 縄 那 覇 空 港 を 貨 物 ハブに 選 択 した 数 ある 地 方 空 港 のなかか ら 自 社 経 営 方 針 に 相 応 しい 空 港 とし 空 港 側 か ら 自 社 に 有 利 な 条 件 を 得 て 事 業 展 開 し 始 めてい る 以 下 その 実 例 をみていこう 2009 年 10 月 から 全 日 空 は 沖 縄 那 覇 空 港 に 設 置 した 国 際 貨 物 基 地 を 運 用 している 深 夜 に 那 覇 空 港 に 荷 物 を 集 積 して 積 み 替 え 早 朝 に 仕 向 地 に 向 けて 発 送 する 国 内 初 の 貨 物 ハブ である 同 社 は 東 アジアの 主 要 都 市 に4 時 間 以 内 で 飛 べ て かつ24 時 間 発 着 可 能 な 空 港 を 物 色 していた が 2007 年 那 覇 を 貨 物 拠 点 に 最 適 と 考 え 沖 縄 県 と 貨 物 ハブで 合 意 し3 年 をかけて 準 備 した アジア 域 内 の 旺 盛 な 経 済 成 長 を 背 景 に 那 覇 空 港 を 中 継 基 地 にして 日 本 =アジア ばかりで なく アジア=アジア という 域 内 間 の 輸 送 にも 進 出 することによって アジア 域 内 で 事 業 展 開 している 製 造 業 者 等 の 荷 主 のJIT(ジャス ト イン タイム)システムやSCM(サプライ チェーン マネジメント)への 高 度 なニーズに も 対 応 することを 狙 う 中 型 機 B767-300F 貨 物 専 用 機 ( 貨 物 搭 載 重 量 50トン)8 機 を 投 入 して 那 覇 空 港 を 拠 点 に 成 田 羽 田 関 空 ソウル( 仁 川 ) 上 海 香 港 台 北 バンコクのアジア 域 内 主 要 8 都 市 を 結 ぶ 路 線 数 は7 路 線 41 便 で 日 曜 日 を 除 く 週 6 日 体 制 東 アジアの 中 心 に 位 置 する 沖 縄 の 地 理 的 優 位 性 を 活 かし 大 きな 成 長 が 見 込 まれる 中 国 を 含 むアジアをターゲットに 将 来 的 に 新 たにエ クスプレス 商 品 にも 進 出 する 構 想 である 各 地 からの 便 がいずれも 那 覇 空 港 に 午 後 10 時 午 前 0 時 に 集 積 3 時 間 という 短 時 間 で 仕 分 けと 積 み 替 えを 行 い 同 空 港 から 午 前 5 時 7 時 30 分 まで の 間 に 各 地 に 飛 び 立 つ 各 地 からの 荷 物 を 那 覇 空 港 にいったん 集 め 仕 分 けした 上 で 輸 送 同 空 港 で 税 関 を 済 ませることなどにより 輸 送 時 間 短 縮 を 図 る 同 時 に 最 大 8 機 の 中 型 機 が 到 着 できるスポッ トの 前 に 新 たに 同 社 専 用 の 上 屋 が 建 設 され 面 積 は2 万 7,700m 2 40 万 トン 規 模 の 貨 物 扱 いが 可 能 となる これがフル 稼 働 すれば 同 空 港 の 貨 物 取 扱 量 は 22 万 トンの 中 部 国 際 空 港 を 抜 き 成 田 関 空 に 次 ぐ3 位 の 貨 物 拠 点 となるという 主 な 貨 物 は アジア 域 内 からの 到 着 便 では 主 に 半 導 体 部 品 日 本 発 では 半 導 体 部 品 や 生 鮮 食 料 品 などが 見 込 まれる この 那 覇 貨 物 ハブの 始 動 によって 全 日 空 は 貨 物 事 業 を 国 内 国 際 の 旅 客 事 業 に 加 えて 第 3のコアビジネスと 位 置 づけ 将 来 は 売 上 を 倍 増 させていく 計 画 だ すでに 中 国 に 拠 点 を 置 い ている 世 界 のインテグレータなどと 激 しい 競 争 が 予 想 されるものの 圧 倒 的 な 国 内 線 との 接 続 を 強 みに 独 自 のビジネスモデルを 確 立 し ス ピードと 内 際 接 続 で 差 別 化 する 戦 略 である 空 港 間 のハブ 競 争 とは 乗 継 ぎの 貨 物 や 旅 客 の 獲 得 競 争 であり 都 市 間 競 争 でもある ハブ 空 港 の 競 争 力 を 決 定 するのは 1 路 線 や 便 数 の 多 さ 2 自 由 な 国 際 航 空 政 策 3 経 営 努 力 4 需 要 に 見 合 った 空 港 容 量 と 施 設 の4 点 である 都 市 間 競 争 に 勝 つためには 地 元 の 経 済 力 の 向 上 と 協 力 が 欠 かせず 戦 略 的 な 地 域 計 画 に 立 った 社 会 資 本 整 備 が 大 切 になってくる その 点 で 那 覇 空 港 では 沖 縄 県 が 企 業 立 地 促 進 政 策 産 業 育 成 を 進 めていることが 優 位 性 や 有 望 性 を 持 ち 全 日 空 の 貨 物 基 地 開 設 によって 沖 縄 に 雇 22

用 が 生 まれ 中 長 期 的 な 経 済 効 果 が 見 込 まれて いる 自 民 党 政 権 時 代 に 2010 年 の 羽 田 再 拡 張 事 業 完 了 によって 羽 田 では 将 来 従 来 の 国 内 貨 物 に 加 えて 国 際 貨 物 年 間 50 万 トンが 取 り 扱 われると する 予 測 が 発 表 されている 民 主 党 政 権 による 新 たな 羽 田 ハブ 化 羽 田 国 際 化 という 政 策 がこ れまで 以 上 に 積 極 的 に 進 められれば おそらく より 多 くの 国 際 貨 物 が 取 り 扱 われることになろ う 沖 縄 那 覇 空 港 の 事 例 にならって 羽 田 にお いても 地 元 である 首 都 圏 の 自 治 体 が 日 本 経 済 発 展 のエンジンにしてやろうという 意 気 込 みを もって 貨 物 ハブ 空 港 の 機 能 にもっと 注 目 をし 羽 田 空 港 の 活 性 化 に 繋 がる 施 設 整 備 への 協 力 が 期 待 される 5.3. 節 でもう 一 度 触 れる 4. 羽 田 の 抱 える 課 題 2008 年 9 月 羽 田 進 入 空 域 西 側 の 米 軍 が 管 理 する 横 田 空 域 において 一 部 空 域 削 限 が 実 現 し た これにより 羽 田 出 発 便 の 飛 行 時 間 短 縮 と 増 便 が 可 能 となった そして2010 年 1 月 12 日 羽 田 新 管 制 塔 が 運 用 を 開 始 して 本 年 10 月 からの 滑 走 路 4 本 の 管 制 体 制 が 整 うとともに 同 月 14 日 羽 田 と 成 田 両 空 港 の 空 域 を 統 合 し 航 空 管 制 を 羽 田 で 一 括 する 運 用 がスタートした これ により 関 東 空 域 の 再 編 がいよいよ 動 き 出 したこ とになる しかし この 関 東 空 域 再 編 は 羽 田 41 万 回 成 田 22 万 回 の 航 空 交 通 量 を 想 定 した 対 応 である 2010 年 に 入 る 頃 から 首 都 2 空 港 への 期 待 が 急 速 に 膨 らんで 成 田 では30 万 回 が 地 元 同 意 され 羽 田 については 2009 年 10 月 国 土 交 通 省 に 設 置 された 成 長 戦 略 会 議 が 国 際 線 の 昼 間 時 間 帯 3 万 回 を6 万 回 に 拡 大 する 方 向 を 検 討 している こ れら 新 しい 事 態 の 対 応 に さらに 一 段 の 空 域 再 編 が 進 められようが この 他 にも 羽 田 には 解 決 すべきもろもろの 課 題 がある 本 節 では そのうち 主 な2 点 を 考 える 4.1. 飛 行 経 路 と 滑 走 路 運 用 羽 田 を 離 着 陸 する 航 空 機 は 4 本 目 滑 走 路 が 供 用 開 始 される 前 と 後 では 飛 行 経 路 が 変 化 する ( 図 6) 図 のそれぞれ 上 段 が 北 風 時 下 段 が 南 風 時 の 運 用 を 示 している 航 空 機 は 通 常 風 に 正 対 して 離 着 陸 を 行 うが 羽 田 では 冬 場 は 北 風 が 夏 場 は 南 風 が 卓 越 するとともに 1 日 の なかでも 風 向 きが 変 化 することもある 北 風 時 の 現 在 の 運 用 は 海 側 に 近 いC 滑 走 路 を 専 ら 離 陸 用 に また 多 摩 川 に 面 したA 滑 走 路 をもっぱら 着 陸 用 に 使 用 している 北 側 に 離 陸 した 航 空 機 は そのまままっすぐ 進 むと 東 京 都 心 上 空 に 進 入 するため 離 陸 後 すぐに 右 旋 回 し その 後 東 京 湾 上 空 で 高 度 を 稼 ぎ 大 阪 九 州 方 面 への 航 空 機 は 再 度 右 に 旋 回 し 東 北 北 海 道 方 面 への 航 空 機 は 左 に 旋 回 して 飛 行 を 続 け る 到 着 機 は 北 からおよび 西 からの 航 空 機 が 房 総 半 島 上 で 整 流 され 木 更 津 上 空 を 通 過 後 まっすぐA 滑 走 路 に 着 陸 している A 滑 走 路 は 朝 7 時 台 の5 便 に 限 り 北 側 に 離 陸 後 左 旋 回 する これがハミングバードとよばれているルート で B737-800やA320といった 小 型 で 低 騒 音 型 機 に 限 定 し 途 中 大 田 区 の 市 街 地 の 上 空 を 通 過 する 2010 年 10 月 のD 滑 走 路 供 用 後 は 図 6 右 上 のように D 滑 走 路 が 離 陸 用 として 追 加 される 南 風 時 の 現 在 の 運 用 は 北 風 時 と 逆 で 海 側 に 近 いC 滑 走 路 を 専 ら 着 陸 用 に また 多 摩 川 に 面 したA 滑 走 路 を 専 ら 離 陸 用 に 使 用 している これが10 月 以 降 図 6 右 下 のように A 滑 走 路 とC 滑 走 路 の2 本 を 離 陸 用 B 滑 走 路 とD 滑 走 路 の2 本 を 着 陸 用 として 使 用 する つまり D 滑 走 路 が 供 用 になって 大 きく 変 わ る 第 一 は 現 在 は 基 本 的 には2 本 の 滑 走 路 を 使 用 していたのに 対 して 供 用 後 は 常 に3 本 から4 本 の 滑 走 路 を 同 時 に 使 用 することになる 点 であ る その 分 だけ 地 上 における 運 用 が 複 雑 になる 北 風 時 の 運 用 は 海 側 に 近 いC 滑 走 路 とD 滑 走 路 を 離 陸 用 に またA 滑 走 路 とC 滑 走 路 を 着 陸 用 に 使 用 することになるが この 場 合 D 滑 23

図 6 羽 田 の 飛 行 経 路 滑 走 路 用 時 時 時 時 出 典 : 国 土 交 通 省 走 路 からの 離 陸 機 は 目 の 前 を 通 過 するC 滑 走 路 への 着 陸 機 との 関 係 を 確 認 する 必 要 がある また 国 際 線 地 区 からの 出 発 機 のすべては 着 陸 で 使 用 しているA 滑 走 路 を 横 断 する 必 要 があ る 一 方 南 風 の 場 合 は A 滑 走 路 とC 滑 走 路 で 離 陸 が 行 われ B 滑 走 路 とD 滑 走 路 で 着 陸 が 行 われるが この 場 合 A 滑 走 路 とC 滑 走 路 か らの 離 陸 機 は D 滑 走 路 への 着 陸 機 との 関 係 を 確 認 する 必 要 がある 風 向 きとは 関 係 なく 滑 走 路 運 用 面 でもう 一 つ 問 題 がある C 滑 走 路 とD 滑 走 路 に 離 着 陸 する 国 際 線 の 航 空 機 はすべて A 滑 走 路 の 先 に 位 置 する 国 際 線 ターミナルビルとの 往 来 に 常 にA 滑 走 路 を 横 断 しなければならない すなわち A 滑 走 路 はそのたびに 離 着 陸 が 制 限 され 航 空 機 の 地 上 走 行 は 混 迷 する 点 である 南 風 時 には A 滑 走 路 は 北 側 の 先 端 でB 滑 走 路 と 交 差 している ため B 滑 走 路 着 陸 機 へのブラストの 関 係 から A 滑 走 路 北 端 を 使 用 できないという 問 題 がある A 滑 走 路 は3000mを 有 するが 実 際 の 有 効 滑 走 路 長 は2500m 程 度 し か な い こ と に な る 国 際 線 ターミナルビルは このA 滑 走 路 に 隣 接 し 国 際 線 の 航 空 機 離 陸 に 最 適 の 場 所 であるにも 拘 わ らず 長 距 離 国 際 線 はA 滑 走 路 を 使 えず ここ を 横 断 してC 滑 走 路 に 向 かわなければならない 4 本 滑 走 路 の 井 桁 構 造 は 管 制 官 にとっても パイロットにとっても 高 い 技 量 と 細 心 の 注 意 が 要 求 される 羽 田 管 制 官 や 本 邦 航 空 会 社 のパイ ロットは 時 間 をかけて 慣 熟 できるが 外 国 航 空 会 社 の 不 慣 れなパイロットとそれを 扱 う 管 制 官 にとっては 難 しい 対 応 になると 危 惧 される これら 諸 問 題 の 根 元 は 羽 田 が 長 年 にわたっ て 基 本 的 に 国 内 線 空 港 として 整 備 されてきてお り 国 際 線 就 航 を 前 提 として 設 計 されていな かった 歴 史 にある 4.2. 羽 田 上 空 の 空 域 羽 田 は2008 年 実 績 で 世 界 40 位 の 年 間 34 万 回 で 24

あるのに 対 して 表 3 2でみたように ロンド ン ヒースロー 空 港 は48 万 回 である しかしこ の2 空 港 の 滑 走 路 本 数 は 羽 田 の3 本 に 対 して ヒースローは2 本 でしかない 羽 田 より 少 ない 滑 走 路 本 数 で なぜ 年 間 離 着 陸 回 数 がかくも 多 いのか 前 項 4.1. 節 から 容 易 に 想 像 されるよ うに 羽 田 の 上 空 における 飛 行 制 約 は 厳 しい では ヒースローはどうか ヒースローには2 本 の 滑 走 路 を 十 分 に 有 効 に 使 用 できる 空 域 が 空 港 周 辺 に 確 保 されているこ とがひとつ そしてそれぞれの 滑 走 路 がその 延 長 線 上 に 飛 行 ルートを 複 数 有 しており 着 陸 機 の 順 番 待 ちを 可 能 とするホールディングエリア を2つの 滑 走 路 のそれぞれ 両 方 向 に つまり4 箇 所 確 保 していることを 挙 げることができる 羽 田 の 場 合 先 の 図 6のように 滑 走 路 の 延 長 線 にはそれぞれ1 本 の 飛 行 ルートしかなく 着 陸 機 の 順 番 待 ちを 可 能 とするようなホール ディングエリアは 設 定 されていない しかも 空 域 として 空 港 の 周 囲 の 約 半 分 しか 使 えない こ の3 点 が 羽 田 とヒースローの 大 きな 違 いである ヒースローは 発 着 能 力 のある 分 だけ 機 材 の 中 小 型 化 が 進 み そのことでさらに 空 港 発 着 能 力 を あげているのに 対 して 羽 田 は 前 述 のように 発 着 容 量 が 少 ない 分 世 界 の 空 港 に 例 のないほど に 大 型 化 が 進 展 し そのもたらす 後 方 乱 気 流 の 関 係 で 容 易 に 発 着 回 数 を 増 やせない 状 況 に 陥 っ ているのだ 羽 田 がヒースローなどとは 異 なって 空 港 周 辺 空 域 の 半 分 しか 使 えないでいる 背 景 には ひ とつには 大 田 区 品 川 区 川 崎 市 など 人 口 密 集 地 域 への 騒 音 問 題 があり ひとつには 横 田 空 域 が 東 京 上 空 の 西 側 部 分 に 壁 のように 立 ちはだ かっている 問 題 がある それらの 空 域 を 避 け て 羽 田 離 着 陸 の 航 空 機 は 結 果 として 空 域 の 東 側 南 側 北 側 の 半 分 を 航 行 せざるを 得 ない 滑 走 路 が1 本 増 えて4 本 となっても ヒース ローであれば 離 着 陸 ルートは 当 然 16 本 設 定 され るのに 羽 田 ではそのうち7 本 が 使 えない この 制 約 にも 歴 史 的 事 情 がある 沖 合 展 開 事 業 が 開 始 される 以 前 の1990 年 直 前 まで 羽 田 が 内 陸 部 に 非 常 に 近 く 位 置 しており 当 時 の 航 空 機 1 機 当 たりの 騒 音 が 現 在 の 何 倍 も 大 きかった ことから 環 境 基 準 を 満 足 しないエリアが 相 当 存 在 していた そこを 避 けて 飛 行 するという 当 時 の 地 域 との 約 束 事 の 遵 守 あるいは 自 主 規 制 に 由 来 する 沖 合 展 開 事 業 が2000 年 前 後 に 完 了 してA 滑 走 路 とC 滑 走 路 がそれぞれ1kmから3kmほど 東 京 湾 内 に 遠 ざかっており 離 着 陸 時 騒 音 もハイテ ク 機 に 切 り 替 えられて 格 段 に 小 さくなった 今 環 境 基 準 を 満 足 しない 地 域 はもはや 空 港 周 辺 に 残 っていないと 言 われている そうであれば 飛 行 制 限 空 域 の 見 直 しと 関 連 地 域 の 自 治 体 との 話 し 合 いを 開 始 して 理 解 を 深 め 早 い 機 会 に 不 自 由 な 制 約 の 解 除 が 望 まれる D 滑 走 路 についてみれば その 延 長 方 向 にあ る 川 崎 市 には 少 なくとも 居 住 地 域 が 無 く コ ンビナートも 縮 小 されていることから 当 該 地 域 についてだけでも 最 低 限 の 制 限 解 除 が 切 望 さ れる 現 在 のままの 不 自 由 な 使 い 方 を 続 けるな らば その 分 だけ 千 葉 県 に 過 重 な 騒 音 被 害 を 強 いることになり 発 着 回 数 増 に 障 害 となるのみ ならず 管 制 運 用 の 選 択 肢 を 狭 めてしまう ここにこそ 政 治 が 乗 り 出 して 地 域 調 整 を 担 当 して 欲 しいと 願 うのは 私 だけであろうか 5. 結 語 アジアを 見 据 えた 首 都 圏 2 空 港 の 再 構 築 を 5.1. 空 域 拡 大 に 政 治 的 努 力 を 2010 年 10 月 21 日 羽 田 4 本 目 の 滑 走 路 が 供 用 開 始 しても ロンドン ヒースローなど 世 界 の 主 要 空 港 で 通 常 想 定 されている16 本 の 離 着 陸 ルートのうち7 本 が 使 えないことを 述 べた こ れには 歴 史 的 な 経 緯 があり そして 当 時 の 状 況 が 航 空 機 技 術 の 進 歩 と 空 港 島 そのものが 沖 合 へ 移 転 した 後 も その 見 直 し 制 約 解 除 のための 25

地 元 地 域 との 調 整 が 必 ずしも 進 んでいないこと に 起 因 するようだ 当 事 者 でなければ 端 から 無 責 任 な 意 見 を 差 し 挟 むことは 控 えるべきであろ う いずれにしろ 長 い 歴 史 のあることでもあ り 容 易 には 解 決 に 至 らないかもしれないが 粘 り 強 く 地 元 と 話 し 合 いが 行 われ 調 整 が 図 ら れることを 期 待 したい とくに 羽 田 の24 時 間 国 際 化 を 主 張 している 東 京 都 と 神 奈 川 県 の 関 係 首 長 には 積 極 的 に 当 該 地 元 の 住 民 と 誠 意 を 尽 くした 対 話 に 入 って 欲 しいものである 羽 田 空 域 に 西 接 する 横 田 空 域 の 問 題 もある ( 図 7) 関 東 から 信 越 にかけて 広 大 な 空 域 の 利 用 を 制 限 する 同 空 域 の 削 減 は これまで 関 係 者 の 忍 耐 強 い 努 力 によって 2008 年 9 月 にさらな る 削 限 が 実 現 した 結 果 より 多 くの 離 陸 機 が 利 用 できるようになり 相 応 の 効 果 を 上 げている ものの 着 陸 機 が 利 用 出 来 るほどには 削 減 が 行 われていない このことから 全 ての 着 陸 機 は 房 総 半 島 を 回 るという 極 めて 不 自 由 な 飛 行 コー スとなっている 千 葉 県 への 騒 音 の 過 重 な 負 担 を 軽 減 し 処 理 容 量 拡 大 の 可 能 を 現 出 させ さ らに 安 全 円 滑 な 運 航 を 可 能 とするためにも 東 京 都 心 上 空 や 川 崎 市 上 空 を 低 高 度 飛 行 できる ことが 大 前 提 ではあるが 東 京 上 空 から 羽 田 へ の 着 陸 の 可 能 性 が 現 実 となるよう 同 空 域 の 一 段 の 削 減 取 組 が 期 待 される 5.2. 羽 田 は 内 際 成 田 は 際 際 で 機 能 充 実 を 成 田 空 港 では1 日 に560 便 の 国 際 線 が 離 着 陸 し ており 羽 田 でその 成 田 の 代 替 はできないこと を 述 べた 首 都 圏 の 航 空 需 要 を 満 たすには 一 方 の 空 港 が 持 つ 発 着 枠 だけでは 不 足 であり 成 田 と 羽 田 の 双 方 が 必 要 なのである しかも 近 隣 アジア 諸 国 との 国 際 線 需 要 の 着 実 な 増 加 を 考 慮 すると 今 後 双 方 の 空 港 がそれぞれに 発 着 容 量 を 増 やす 努 力 が 必 要 である したがって 羽 田 は 国 内 線 成 田 は 国 際 線 という 役 割 分 離 の 原 則 を 見 直 したうえで 首 都 2 空 港 を デュアル ハブ として 役 割 分 担 して それぞれのハブ 的 機 能 を 高 めていくのが 望 ましい 羽 田 はすでに 国 内 線 の 大 きなハブ 空 港 であ る 2010 年 10 月 31 日 冬 ダイヤ 以 降 の 本 格 国 際 化 で 昼 間 時 間 帯 (6 時 23 時 )と 深 夜 早 朝 時 間 帯 (23 時 6 時 )にそれぞれ 年 間 3 万 回 (1 日 80 便 40 往 復 )の 国 際 定 期 便 が 就 航 する この 半 分 を 本 邦 航 空 会 社 残 り 半 分 を 海 外 航 空 会 社 が 運 航 す る このための 二 国 間 航 空 交 渉 が 進 められてお り 昼 間 時 間 帯 にアジア 近 距 離 便 ( 表 6 1) 深 図 7 関 東 上 空 の 管 制 空 域 出 典 : 国 土 交 通 省 26

夜 早 朝 時 間 帯 には 米 欧 長 距 離 も 含 めて 就 航 する ( 表 6 2)ことが 決 まっている 羽 田 には 全 国 を 網 羅 する 国 内 線 ネットワークの 強 みを 生 かし て 国 際 をつなぐ 内 際 ハブ 機 能 を 拡 充 していって 欲 しい 一 方 成 田 は 2010 年 3 月 28 日 の 夏 ダイヤより 国 際 定 期 便 の 上 限 発 着 回 数 が 年 間 2 万 回 (1 日 50 便 25 往 復 ) 増 えている 日 本 でなじみの 薄 かっ た 中 東 の3 社 が 新 たに 就 航 したほか 北 欧 便 が 毎 日 運 航 になるなど 国 際 線 ネットワークが 拡 がっている 成 田 はすでに 太 平 洋 線 などからア ジアへ 乗 り 継 ぐ 大 きな 際 際 ハブ 空 港 であり 航 空 自 由 化 の 潮 流 が 一 層 進 展 するなか そのハブ 機 能 を 一 層 充 実 していって 欲 しいものだ 表 6 羽 田 の 容 量 拡 大 に 伴 う 各 国 との 合 意 に ついて(1 日 当 たり) 表 6 1 昼 間 時 間 帯 (6:00 23:00) ア ジ ア 中 国 ( 交 渉 中 ) 韓 国 香 港 台 湾 6 便 2 便 4 便 表 6 2 深 夜 早 朝 時 間 帯 (23:00 6:00) ア ジ ア 米 州 ヨ ー ロ ッ パ 中 国 ( 交 渉 中 ) 韓 国 香 港 タイ マレーシア シンガポール アメリカ カナダ ドイツ オランダ フランス イギリス 2 便 2 便 1 便 1 便 2 便 4 便 1 便 2 便 1 便 1 便 1 便 注 : 一 日 当 たりの 各 国 等 の 運 航 権 益 は わが 国 も 同 等 のものを 確 保 前 原 発 言 によって 首 都 圏 空 港 インフラが 人 び との 関 心 を 呼 び 起 こしたが これを 奇 貨 として 日 本 が 世 界 の 航 空 空 港 競 争 に 十 分 渡 り 合 える ものとなるよう 政 官 民 がしっかり 連 携 して 決 定 と 実 行 をスピードアップすべきである 5.3. 羽 田 に 将 来 空 港 用 地 拡 大 の 先 手 を 羽 田 空 港 島 では 沖 合 展 開 事 業 以 降 使 われな くなっていたかつての 整 備 場 とターミナル 地 区 約 200haを 地 域 に 譲 渡 し そこに 地 域 が 街 づく りを 行 うという 方 針 があった 幸 か 不 幸 か 自 治 体 側 が 対 応 せず 譲 渡 が 行 われなかったことも あって その 敷 地 にエプロンや 国 際 線 ターミナ ル 等 の 施 設 が 整 備 された この 他 にも 点 在 する 空 港 島 内 の 遊 休 地 は 第 一 義 的 には 空 港 用 に 使 わ れるべきであろう なぜならば 羽 田 の 将 来 展 開 を 考 えた 場 合 最 も 切 実 なのは 他 の 国 際 空 港 と 比 較 して 明 ら かに 空 港 用 地 が 狭 いからである 旅 客 施 設 容 量 もさることながら 貨 物 施 設 容 量 の 不 足 は 致 命 的 である 国 際 航 空 貨 物 が 将 来 想 定 どおりに 取 扱 量 が 増 えたときに 24 時 間 利 用 の 利 便 性 を 生 かした 大 きな 専 用 敷 地 と 道 路 インフラの 拡 充 が 必 要 になると 思 われるが その 場 合 の 用 地 が 全 く 不 足 しており その 手 当 をする 計 画 を 私 た ちは 未 だ 知 らない それへの 対 応 として 1 旧 整 備 場 地 区 を 空 港 用 地 として 活 用 し 小 型 機 格 納 庫 貨 物 ターミ ナル 駐 機 場 として 整 備 すること 2 多 摩 川 沿 い 三 角 地 区 の 埋 立 てあるいは 桟 橋 化 によって 誘 導 路 を 整 備 し 国 際 貨 物 ターミナル 用 地 を 拡 大 す ること 3 城 南 島 京 浜 島 に 横 幅 のある 架 橋 を し それら 空 港 島 対 岸 を 空 港 用 地 と 一 体 化 さ せ 駐 機 場 や 物 流 施 設 を 整 備 すること そして 4 現 在 の 道 路 容 量 を 拡 大 すること の 以 上 4 点 を 提 言 したい 日 本 と 東 京 の 活 性 化 に 行 政 と 密 接 に 連 携 した 政 治 の 役 割 がこれまで 以 上 に 大 きくなっている 政 治 の 出 番 を 期 待 したい 27

参 考 文 献 1. 日 本 航 空 史 昭 和 前 期 編 (1975)( 財 ) 日 本 航 空 協 会 2. 日 本 航 空 史 昭 和 後 期 編 (1992)( 財 ) 日 本 航 空 協 会 3. 運 輸 省 三 十 年 史 (1980) 運 輸 省 4. 運 輸 省 五 十 年 史 (1999) 運 輸 省 5. 東 京 国 際 空 港 ターミナルビル50 年 の 歩 み 1955-2005(2006) 日 本 空 港 ターミナルビル デング 株 式 会 社 6. 酒 井 正 子 (2005) 羽 田 日 本 を 担 う 拠 点 空 港 成 山 堂 書 店 7. 酒 井 正 子 (2006) 羽 田 の 国 際 化 神 奈 川 県 横 浜 川 崎 空 港 対 策 研 究 協 議 会 HP 8. 塩 見 英 治 (2006) 巨 大 空 港 の 必 要 性 と 設 置 に 向 けての 課 題 ( 財 ) 統 計 研 究 会 ECO FORUM Vol.124 No.4 9. 坂 本 昭 雄 (2006) 国 際 航 空 協 定 の 変 遷 と 空 港 現 代 化 の 要 件 ditto 10. 酒 井 正 子 (2006) データから 読 み 解 くアジ ア 主 要 空 港 の 伸 張 と 日 本 の シ ェ ア 低 下 ditto 11. 山 内 弘 隆 (2006) アジアを 見 据 えた 空 港 政 策 の 形 成 について ditto 12. 酒 井 正 子 (2008) 変 容 する 世 界 の 航 空 界 (そ の1) 空 港 帝 京 経 済 学 研 究 41 巻 2 号 13. 酒 井 正 子 (2008) 変 容 する 世 界 の 航 空 界 (そ の2) 航 空 物 流 帝 京 経 済 学 研 究 42 巻 1 号 14. 中 条 潮 山 内 弘 隆 泉 正 史 塩 見 英 治 (2008) 空 港 政 策 の 転 換 点 を 迎 えて ( 財 ) 運 輸 調 査 局 運 輸 と 経 済 Vol.68 No.8 15. 坂 本 昭 雄 (2008) 航 空 自 由 化 時 代 の 空 港 ditto 16. 石 井 伸 一 (2008) わが 国 空 港 整 備 の 今 日 的 課 題 ditto 17. 酒 井 正 子 (2008) 首 都 圏 空 港 と 地 方 空 港 の 現 状 と 課 題 ditto 18. 杉 浦 一 機 (2009) 生 まれる 変 わる 首 都 圏 の 空 港 交 通 新 聞 社 19. 長 谷 川 武 (2009) 東 京 国 際 空 港 ( 羽 田 )の 概 要 ( 財 ) 航 空 振 興 財 団 航 空 振 興 No.105 20. 森 功 (2009) 血 税 空 港 本 日 も 遠 く 高 く 不 便 な 空 の 便 幻 冬 社 21. 加 藤 一 誠 (2009) これからの 航 空 空 港 政 策 の 考 え 方 全 日 本 空 輸 て い く お ふ 2010 Winter No.129 22. 酒 井 正 子 (2009) 自 由 化 以 降 のわが 国 にお ける 航 空 ネットワークの 変 遷 と 地 方 空 港 ( 財 ) 運 輸 調 査 局 運 輸 と 経 済 Vol.69 No.8 23. 轟 木 一 博 (2009) 航 空 機 は 誰 が 飛 ばしてい るのか 日 本 経 済 新 聞 出 版 社 28