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●電力自由化推進法案

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36


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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

文化政策情報システムの運用等


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公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

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再 生 可 能 エネルギー 等 導 入 推 進 基 金 事 業 計 画 書 ( 各 年 度 計 画 書 ) ( 事 業 計 画 の 概 要 ) 計 画 の 名 称 京 都 府 地 球 温 暖 化 対 策 等 推 進 基 金 計 画 の 期 間 交 付 対 象 京 都 府 府 内 市 町 村 民 間

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

弁護士報酬規定(抜粋)

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

m07 北見工業大学 様式①

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

スライド 1

0439 研究開発推進事業(防衛省所管計上)250614

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

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損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

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第 2 節 関 連 計 画 1. 国 の 方 針 計 画 国 が 示 している 一 般 廃 棄 物 の 減 量 化 等 に 関 する 目 標 値 を 以 下 に 示 します (1) 廃 棄 物 の 減 量 その 他 その 適 正 な 処 理 に 関 する 施 策 の 総 合 的 かつ 計 画 的 な

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

3 独 占 禁 止 法 違 反 事 件 の 概 要 (1) 価 格 カルテル 山 形 県 の 庄 内 地 区 に 所 在 する5 農 協 が, 特 定 主 食 用 米 の 販 売 手 数 料 について, 平 成 23 年 1 月 13 日 に 山 形 県 酒 田 市 所 在 の 全 国 農 業 協

16 日本学生支援機構

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入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

公表表紙

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平成24年度開設予定大学院等一覧(判定を「不可」とするもの)

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

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4 松 山 市 暴 力 団 排 除 条 の 一 部 風 俗 営 業 等 の 規 制 及 び 業 務 の 適 正 化 等 に 関 する 法 律 等 の 改 正 に 伴 い, 公 共 工 事 から 排 除 する 対 象 者 の 拡 大 等 を 図 るものです 第 30 号 H H28.1

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

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第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

注 記 事 項 (1) 四 半 期 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 無 (2) 会 計 方 針 の 変 更 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 修 正 再 表 示 1 会 計 基 準 等 の 改 正 に 伴 う 会 計 方 針 の 変 更 : 無 2 1

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

資料6 国の行政機関等における法曹有資格者の採用状況についての調査結果報告(平成27年10月実施分)(法務省提出資料)

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連結計算書

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第081号.doc

Microsoft Word 第1章 定款.doc

Microsoft PowerPoint 資料6 技術基準.ppt [互換モード]

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

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共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

(別紙3)保険会社向けの総合的な監督指針の一部を改正する(案)

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

学校安全の推進に関する計画の取組事例


Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

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資 料 年 オリンピック パラリンピック 東 京 大 会 における ホストシティ タウン 構 想 (イメージ) 1. 趣 旨 経 済 財 政 運 営 と 改 革 の 基 本 方 針 2014( 平 成 26 年 6 月 24 日 閣 議 決 定 )を 踏 まえ 2020 年 オリン

18 国立高等専門学校機構

通 知 カード と 個 人 番 号 カード の 違 い 2 通 知 カード ( 紙 )/H27.10 個 人 番 号 カード (ICカード)/H28.1 様 式 (おもて) (うら) 作 成 交 付 主 な 記 載 事 項 全 国 ( 外 国 人 含 む)に 郵 送 で 配 布 希 望 者 に 交

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6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

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4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

別紙3

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預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

Microsoft Word 行革PF法案-0概要

平成24年度 業務概況書

<重要な会計方針及び注記>

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

(2) 広 島 国 際 学 院 大 学 ( 以 下 大 学 という ) (3) 広 島 国 際 学 院 大 学 自 動 車 短 期 大 学 部 ( 以 下 短 大 という ) (4) 広 島 国 際 学 院 高 等 学 校 ( 以 下 高 校 という ) ( 学 納 金 の 種 類 ) 第 3 条

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

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1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

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(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 (H20.4.1) 96.7 (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.4.1), (H25.4.1) 参 考 値 98.3 (H25.7.1) (H20.4.1) (H25.4

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経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

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IEEJ NEWSLETTER No.149 2016.2.1 発 行 ( 月 1 回 発 行 ) 一 般 財 団 法 人 日 本 エネルギー 経 済 研 究 所 IEEJ NEWSLETTER 編 集 長 常 務 理 事 小 山 堅 104-0054 東 京 都 中 央 区 勝 どき 1-13-1 イヌイビル カチドキ TEL: 03-5547-0211 FAX: 03-5547-0223 目 次 0. 要 旨 今 月 号 のポイント <エネルギー 市 場 政 策 動 向 > 1. わが 国 の 短 期 エネルギー 需 給 経 済 見 通 し 2. 原 子 力 発 電 を 巡 る 動 向 3. 最 近 の 石 油 LNG 市 場 動 向 4. 温 暖 化 政 策 動 向 5. 系 統 対 策 を 支 える 再 エネ 発 電 予 測 技 術 の 動 向 < 地 域 ウォッチング> 6. 米 国 ウォッチング: 内 務 省 石 炭 開 発 改 革 案 を 発 表 7. EUウォッチング:エネルギー 分 野 のサイバーセキュリティ 問 題 8. 中 国 ウォッチング:2016 年 低 炭 素 エネルギー 総 合 政 策 目 標 9. 中 東 ウォッチング:イラン 制 裁 解 除 発 効 と 並 行 して 新 緊 張 関 係 も 10. ロシアウォッチング: 油 価 暴 落 で 進 む 経 済 苦 境 の 深 刻 化 1

0. 要 旨 今 月 号 のポイント 1. わが 国 の 短 期 エネルギー 需 給 経 済 見 通 し 弊 所 の 最 新 の 2016 年 度 わが 国 経 済 エネルギー 需 給 見 通 しでは 一 次 エネルギー 微 減 の 中 原 子 力 再 稼 働 等 で 発 電 用 天 然 ガス 石 油 の 大 幅 減 少 電 力 需 要 の 増 加 等 を 予 測 している 2. 原 子 力 発 電 を 巡 る 動 向 高 浜 3 号 機 が 再 稼 働 し 他 プラントの 審 査 にも 進 捗 が 見 られる 審 査 の 順 調 な 進 展 による 早 期 の 再 稼 働 がどのプラントについても 期 待 される もんじゅ 管 理 体 制 に 関 する 議 論 が 始 まった 3. 最 近 の 石 油 LNG 市 場 動 向 中 国 経 済 不 振 と 対 イラン 経 済 制 裁 解 除 によって 原 油 先 物 市 場 における 弱 気 心 理 がさらに 強 まっ ている 非 OPEC 生 産 減 など 需 給 改 善 の 兆 しもあるが 弱 気 心 理 一 掃 にはまだ 不 十 分 である 4. 温 暖 化 政 策 動 向 パリ 協 定 が 採 択 されたことを 踏 まえ 地 球 温 暖 化 対 策 計 画 イノベーション 戦 略 など 日 本 に おける 地 球 温 暖 化 対 策 の 取 組 についての 検 討 が 開 始 された 5. 系 統 対 策 を 支 える 再 エネ 発 電 予 測 技 術 の 動 向 出 力 制 御 などの 系 統 対 策 にとって 再 エネ 発 電 予 測 をよりきめ 細 かく 向 上 することが 重 要 であ る 本 分 野 でのサービス 技 術 の 商 業 化 も 見 られ 今 後 の 予 測 精 度 の 向 上 が 期 待 される 6. 米 国 ウォッチング: 内 務 省 石 炭 開 発 改 革 案 を 発 表 内 務 省 が 石 炭 開 発 改 革 案 を 発 表 した 石 炭 価 格 が 石 炭 開 発 利 用 に 関 する 環 境 コスト 等 を 反 映 するような 開 発 プログラムを 目 指 す としており 今 後 の 石 炭 利 用 への 影 響 が 注 目 される 7. EUウォッチング:エネルギー 分 野 のサイバーセキュリティ 問 題 EU ではネットワークと 情 報 セキュリティ 指 令 の 策 定 が 進 んでいる 今 年 の G7 エネルギー 大 臣 会 合 でもこの 問 題 が 注 目 されると 考 えられ 日 本 が 具 体 的 議 論 をリードすることが 期 待 される 8. 中 国 ウォッチング:2016 年 低 炭 素 エネルギー 総 合 政 策 目 標 国 家 能 源 局 は 新 常 態 定 着 と パリ 協 定 遵 守 を 目 指 して 新 5 カ 年 計 画 の 初 年 度 にエネル ギー 構 造 の 低 炭 素 化 や 消 費 抑 制 等 4 分 野 の 数 値 目 標 を 設 定 した 今 後 の 取 組 みが 注 目 される 9. 中 東 ウォッチング:イラン 制 裁 解 除 発 効 と 並 行 して 新 緊 張 関 係 も イラン 制 裁 解 除 が 発 効 し 米 国 との 懸 案 事 項 も 解 消 されたが 緊 張 は 残 る サウジはそのイラ ンと 断 交 し 外 交 圧 力 を 強 める 新 年 から 各 地 でテロの 脅 威 が 続 いている 10. ロシアウォッチング: 油 価 暴 落 で 進 む 経 済 苦 境 の 深 刻 化 原 油 価 格 の 暴 落 がロシアの 財 政 事 情 や 国 民 生 活 を 直 撃 している ロシア 国 内 に IS の 脅 威 が 広 がる 可 能 性 も 懸 念 される 中 プーチン 大 統 領 が 高 い 国 民 支 持 を 維 持 できるのか 注 目 される 2

1. わが 国 の 短 期 エネルギー 需 給 経 済 見 通 し 弊 所 は 2015 年 12 月 18 日 に 2016 年 度 の 日 本 の 経 済 エネルギー 需 給 見 通 しを 発 表 した その 基 準 シナリオの 概 要 を 中 心 に 2016 年 度 を 展 望 する 日 本 経 済 は 民 需 主 導 で 拡 大 が 継 続 し 1.5% 成 長 と 予 測 する 個 人 消 費 が 失 業 率 低 下 賃 金 上 昇 などにより 回 復 し 設 備 投 資 も 原 油 安 などに 伴 う 企 業 の 高 収 益 に 支 えら れ 改 善 輸 出 も 円 安 継 続 が 追 い 風 になると 見 た ただし 年 初 来 の 株 安 その 背 景 に ある 中 国 経 済 の 減 速 等 の 状 況 が 懸 念 されるところとなっている 上 述 の 経 済 前 提 の 下 一 次 エネルギー 国 内 供 給 は 省 エネルギーが 進 む 一 方 で 景 気 回 復 電 力 需 要 の 戻 りで 減 少 幅 が 縮 小 微 減 にとどまる 原 子 力 再 稼 動 に 伴 い 発 電 用 の 天 然 ガス 石 油 が 大 幅 に 減 少 (-10% -19%) 最 終 エネルギー 消 費 は 民 生 部 門 は 景 気 回 復 や 気 温 影 響 で 0.4% 増 産 業 部 門 は 継 続 的 な 省 エネルギーやエネルギー 多 消 費 な 石 油 化 学 での 減 産 で 運 輸 部 門 も 燃 費 改 善 や 閏 年 影 響 の 反 動 などにより 減 少 全 体 では 6 年 連 続 の 減 少 となる エネルギー 源 別 には 電 力 販 売 量 は 家 庭 用 等 は 気 温 要 因 や 節 電 意 識 の 緩 和 などに より 東 日 本 大 震 災 後 初 の 増 加 産 業 用 等 は 経 済 活 動 の 回 復 などにより 増 加 後 述 する 4 月 からの 小 売 全 面 自 由 化 による 電 力 料 金 の 低 下 の 影 響 に 関 心 が 集 まるが 電 力 需 要 総 量 には 大 きな 影 響 は 及 ばないものと 予 測 する 都 市 ガス 販 売 量 は 一 般 工 業 用 が 生 産 活 動 の 回 復 に 燃 料 転 換 もあり 増 加 するなど 電 気 事 業 者 用 以 外 のすべての 用 途 で 増 気 温 要 因 もプラスに 働 く 全 体 では 5 年 ぶりに 過 去 最 高 を 更 新 燃 料 油 販 売 量 は 燃 料 転 換 の 進 捗 などを 背 景 に 重 油 が 減 少 エチレン 減 産 に 伴 うナフサの 減 少 などもあり 全 体 では 47 年 ぶりに 1.8 億 kl を 下 回 る FIT 認 定 設 備 量 の 極 端 な 急 増 は 抑 制 されつつあるが 2016 年 度 末 時 点 の 再 生 可 能 エネルギー 発 電 ( 大 規 模 水 力 を 除 く)の 累 積 導 入 量 は 60 GW に 達 する 2015 年 7 月 末 時 点 で 認 定 済 みの 87.7 GW (うち 太 陽 光 : 82.1 GW)すべてが 稼 動 すると 20 年 間 の 消 費 者 負 担 額 は 累 積 55 兆 円 これは 電 力 料 金 では 3.2/kWh FIT 開 始 前 の 家 庭 用 の 14% 産 業 用 などの 19% に 相 当 する 以 上 のエネルギー 需 給 状 況 の 下 エネルギー 起 源 CO2 排 出 量 は 省 エネルギー 原 子 力 発 電 所 の 再 稼 動 再 生 可 能 エネルギー 利 用 増 に 伴 い 石 油 天 然 ガス 消 費 が 減 少 する 効 果 で 1,131 Mt に 減 少 2013 年 度 比 8.5% 減 となり 震 災 前 の 2010 年 度 も 0.7% 下 回 る 先 に 述 べた 通 り 4 月 からの 電 力 小 売 自 由 化 に 向 けて 電 力 会 社 新 電 力 等 が 新 たな 料 金 メニュー 等 を 発 表 し 始 めており 電 力 消 費 量 の 比 較 的 大 きな 顧 客 獲 得 を 目 指 す 競 争 を 中 心 に 新 たな 動 きが 繰 り 広 げられており 今 後 の 動 向 が 注 目 される ( 計 量 分 析 ユニット 需 給 分 析 予 測 グループ 研 究 主 幹 マネージャー 栁 澤 明 ) 3

2. 原 子 力 発 電 を 巡 る 動 向 再 稼 働 に 向 けて 関 西 電 力 高 浜 3 号 機 では 1 月 11 日 から 13 日 にかけて 重 大 事 故 を 想 定 した 訓 練 が 規 制 庁 職 員 の 立 ち 会 いのもと 行 われた 同 機 は 1 月 29 日 頃 の 起 動 操 作 開 始 に 向 け 各 ステップを 慎 重 に 進 めている 他 プラントの 審 査 の 一 部 にも 進 捗 が 見 られる 1 月 15 日 の 第 318 回 審 査 会 合 で 中 国 電 力 島 根 原 子 力 発 電 所 の 敷 地 内 断 層 が 取 り 上 げられ 原 子 力 規 制 委 員 会 (NRA)は 敷 地 内 に 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断 層 等 は 存 在 しない という 中 国 電 力 の 説 明 を 了 承 した 島 根 2 号 機 の 適 合 性 審 査 ではこの 了 承 を 受 け 基 準 地 震 動 策 定 及 び 施 設 の 審 査 を 進 めていくこととなる 審 査 の 順 調 な 進 展 による 早 期 の 再 稼 働 が 島 根 2 号 機 の みならずどのプラントについても 期 待 される 昨 年 NRA から 運 営 体 制 の 問 題 を 指 摘 された 高 速 増 殖 原 型 炉 もんじゅ の 安 全 管 理 のあり 方 について 議 論 が 始 まった 12 月 28 日 の 文 部 科 学 省 の 有 識 者 検 討 会 の 第 1 回 会 合 では 有 馬 朗 人 座 長 が 何 が 問 題 だったのか 徹 底 的 な 検 証 が 必 要 と 述 べ 運 転 管 理 に 必 要 な 技 術 的 能 力 とは 何 か 品 質 管 理 体 制 や 組 織 運 営 はどうあるべきか 等 多 様 な 視 点 から 検 討 する 姿 勢 を 示 した 1 月 28 日 の 第 2 回 会 合 では 運 営 主 体 が 持 つ べき 技 術 的 能 力 について もんじゅの 役 割 を 踏 まえた 議 論 が 予 定 されている 日 本 原 子 力 研 究 開 発 機 構 に 代 わる 運 営 主 体 を 探 すことだけに 焦 点 を 当 てるような 議 論 では なく 技 術 実 証 を 目 的 とした 開 発 段 階 の 炉 が 備 えるべき 安 全 確 保 の 要 件 とは 何 かを 明 確 にすることが 第 一 に 求 められよう 海 外 では 中 国 の 国 内 外 における 積 極 的 な 開 発 拡 大 姿 勢 がやはり 顕 著 である 2015 年 12 月 26 日 に 昌 江 1 号 機 が 2016 年 1 月 1 日 に 防 城 港 1 号 機 と 陽 江 3 号 機 がそれ ぞれ 営 業 運 転 に 入 り これで 中 国 の 運 転 中 原 子 炉 は 世 界 第 4 位 の 30 基 約 28GW と なった 国 内 での 着 実 な 経 験 蓄 積 をバネに 国 際 展 開 にも 一 層 注 力 するため 12 月 30 日 中 国 核 工 業 集 団 公 司 (CNNC)と 中 国 広 核 集 団 有 限 公 司 (CGN)は 合 弁 事 業 体 華 龍 国 際 核 電 技 術 有 限 公 司 ( 華 龍 公 司 ) を 折 半 出 資 で 設 立 すると 発 表 した 両 社 の 技 術 を 統 合 したプラント 概 念 華 龍 1 号 は 既 にパキスタンで 着 工 している 他 数 カ 国 で 導 入 交 渉 中 であり 同 程 度 の 出 力 のプラント 概 念 を 有 する 日 本 他 の 先 進 国 と は 新 興 国 で 競 合 関 係 にある 1 月 19 日 に 日 立 製 作 所 は 英 国 新 設 プロジェクトにおいて ベクテル 及 び 日 揮 と 供 給 コンソーシアムを 形 成 することを 発 表 した 主 要 供 給 事 業 者 の 選 定 は 重 要 なマイル ストーンである かつて 日 本 が 最 初 に 原 子 炉 技 術 を 輸 入 した 英 国 へ 今 度 は 日 本 から 最 新 型 の ABWR を 輸 出 する 記 念 すべき 第 1 号 として 同 プロジェクトには 今 後 とも 着 実 な 進 展 が 期 待 される ( 戦 略 研 究 ユニット 原 子 力 グループマネージャー 村 上 朋 子 ) 4

3. 最 近 の 石 油 LNG 市 場 動 向 原 油 価 格 の 下 落 が 止 まらない 1 月 15 日 に Brent WTI 価 格 の 双 方 が 30 ドル/バ レルを 割 り 込 み 国 際 原 油 市 場 は 実 に 13 年 ぶりに 20 ドル/バレル 台 に 突 入 した 過 去 の 価 格 のトレンドなどから 今 後 の 価 格 動 向 を 予 想 するテクニカル 分 析 によると 当 面 は WTI 価 格 で 28 ドル/バレル 前 後 での 商 いが 続 くと 予 想 されているが これとて も 今 の 弱 気 一 辺 倒 の 市 場 ではどの 程 度 の 妥 当 性 を 有 するかは 疑 問 である 年 初 以 降 改 めて 油 価 下 落 に 拍 車 をかけているのが 中 国 経 済 の 不 調 とイランに 対 する 経 済 制 裁 の 解 除 であり この 双 方 が 実 需 給 に 対 してというよりも 市 場 参 加 者 の 弱 気 心 理 に 働 き 掛 けることで 足 元 の 油 価 下 落 を 引 き 起 こしている 中 国 経 済 に 関 し ては 年 初 からの 中 国 株 式 市 場 不 安 定 化 と 人 民 元 切 り 下 げ 圧 力 の 発 生 によって 世 界 の 株 式 市 場 や 金 融 市 場 にリスク 回 避 の 動 きが 強 まってきている その 流 れを 受 けて 原 油 先 物 市 場 においても NYMEX 市 場 においては 資 産 運 用 者 の 買 い 持 ちポジショ ンは 年 初 の 2 週 間 で 一 気 に 半 減 している 本 来 であれば 世 界 第 二 位 の 石 油 輸 入 国 である 中 国 の 経 済 にとって 原 油 価 格 の 下 落 はプラスの 効 果 をもたらすはずであるが 今 は 経 済 構 造 の 本 質 的 な 問 題 の 方 に 多 くの 注 目 が 集 まっているということであろう 1 月 16 日 に 経 済 制 裁 が 解 除 されたイランの 動 向 も 今 後 のさらなる 需 給 緩 和 観 測 から 市 場 の 弱 気 心 理 をさらに 強 めている しかし 実 際 には イランが 言 う 制 裁 解 除 直 後 に 50 万 バレル/ 日 の 輸 出 は 困 難 であろう 制 裁 解 除 後 即 座 に 出 荷 されうる とみられていた 洋 上 に 備 蓄 されているコンデンセートは その 高 い 硫 黄 分 がネックと なり 販 売 先 がなかなか 見 つからない 模 様 である 当 初 イランの 追 加 供 給 の 最 大 の 吸 収 先 と 目 されたアジア 市 場 においても 特 にイラクによる 新 油 種 (Basrah Heavy) の 導 入 とその 積 極 的 な 増 販 戦 略 により 中 東 産 の 中 質 ~ 重 質 原 油 の 供 給 が 飽 和 状 態 に ある このため 今 後 のイラン 増 産 は 欧 州 市 場 に 対 する 輸 出 の 再 開 が 大 きなカギを 握 るが 石 油 需 要 の 縮 小 が 続 く 欧 州 市 場 において イランがロシア 産 原 油 などの 競 合 油 種 に 対 し どの 程 度 のディスカウントを 提 示 できるのかは 不 透 明 である 結 果 とし て イランの 増 版 の 取 り 組 みはアジアでも 欧 州 でも 市 場 下 押 し 作 用 を 強 めよう 1 月 19 日 発 表 の 国 際 エネルギー 機 関 の 石 油 市 場 月 報 によれば 油 価 下 落 の 効 果 も あり 非 OPEC の 生 産 量 が 2012 年 以 降 初 めて 前 年 同 月 比 でマイナスになった 世 界 の 石 油 需 要 も 堅 調 に 増 加 を 続 けており 低 価 格 による 市 場 の 調 整 は 進 みつつあるが 現 在 の 市 場 における 弱 気 心 理 を 一 変 させるには まだ 不 十 分 と 言 ったところであろう LNG 市 場 も 依 然 として 供 給 過 剰 の 状 態 が 続 いており アジアのスポット 価 格 も 6 ドル/MMBtu を 下 回 るなど 価 格 の 低 迷 が 続 いている そうした 中 1 月 11 日 には 豪 州 の CBM-LNG プロジェクトとしては 三 番 目 となる APLNG プロジェクトが 第 一 船 目 のカーゴを 出 荷 した このように さらなる 新 規 LNG 供 給 が 登 場 しており 市 場 の 供 給 過 剰 は 当 面 続 きそうである ( 化 石 エネルギー 電 力 ユニット 石 油 グループマネージャー 小 林 良 和 ) 5

4. 温 暖 化 政 策 動 向 パリ 協 定 が 採 択 されたことを 踏 まえ 日 本 における 地 球 温 暖 化 対 策 の 取 組 について の 検 討 が 開 始 された 2015 年 12 月 22 日 地 球 温 暖 化 対 策 推 進 本 部 において パリ 協 定 を 踏 まえた 我 が 国 の 地 球 温 暖 化 対 策 の 取 組 方 針 について が 決 定 され 日 本 の 約 束 草 案 で 示 された 2030 年 度 の 削 減 目 標 の 達 成 に 向 けて 2016 年 春 までに 地 球 温 暖 化 対 策 計 画 が 策 定 さ れることとなった また パリ 協 定 においては 2 目 標 が 世 界 の 共 通 目 標 となり この 長 期 目 標 を 達 成 するため 今 世 紀 後 半 に 温 暖 化 ガスの 排 出 と 吸 収 のバランス(ネ ットで 排 出 ゼロ)を 実 現 することを 目 指 すとされた これらを 踏 まえ 日 本 として 世 界 規 模 での 排 出 削 減 に 向 けて 長 期 的 戦 略 的 に 貢 献 する 必 要 がある このため 革 新 技 術 の 開 発 について 集 中 すべき 有 望 分 野 を 特 定 し 研 究 開 発 の 強 化 に 向 け エネ ルギー 環 境 イノベーション 戦 略 が 策 定 されることとなった 当 該 決 定 に 先 立 って 内 閣 府 の 総 合 科 学 技 術 イノベーション 会 議 の 下 にエネルギ ー 環 境 イノベーション 戦 略 策 定 WG が 設 置 され その 第 1 回 会 合 が 2015 年 12 月 15 日 に 開 かれた 長 期 的 視 野 に 立 った 抜 本 的 な 排 出 削 減 の 技 術 戦 略 策 定 の 必 要 性 が 示 され 対 象 となる 革 新 的 技 術 候 補 の 例 として 次 世 代 太 陽 光 発 電 水 素 ( 製 造 貯 蔵 輸 送 利 用 ) 超 電 導 CCU(CO2 回 収 利 用 )など 9 技 術 があげられた 2016 年 3 月 までに 対 象 技 術 の 絞 り 込 み 戦 略 の 具 体 化 等 が 行 われる また 2015 年 12 月 22 日 中 央 環 境 審 議 会 地 球 環 境 部 会 産 業 構 造 審 議 会 地 球 環 境 小 委 員 会 合 同 会 合 が 開 かれ 地 球 温 暖 化 対 策 計 画 ( 骨 子 案 )が 示 された 国 内 排 出 量 取 引 制 度 については 我 が 国 産 業 に 対 する 負 担 やこれに 伴 う 雇 用 への 影 響 海 外 に おける 排 出 量 取 引 制 度 の 動 向 とその 効 果 国 内 において 先 行 する 主 な 地 球 温 暖 化 対 策 ( 産 業 界 の 自 主 的 な 取 組 など)の 運 用 評 価 等 を 見 極 め 慎 重 に 検 討 を 行 うとされた これに 対 して 弊 所 の 豊 田 理 事 長 からは 排 出 量 取 引 制 度 について 骨 子 に 含 める べきではない これまでこの 制 度 を 導 入 して 成 功 した 事 例 はないと 認 識 している GHG が 削 減 された 事 例 でも 要 因 は 制 度 ではなく 不 況 のためと 言 われている また 欧 州 委 員 会 の 委 託 調 査 によれば インタビューを 受 けた 関 係 者 の 大 半 が 排 出 量 取 引 制 度 は 排 出 削 減 ドライバーとして 機 能 していないとの 厳 しい 評 価 をしている と 意 見 を 述 べた 日 本 が 約 束 草 案 で 示 した 2030 年 度 の 削 減 目 標 の 達 成 に 向 けては まずもって 2030 年 のエネルギーミックス 実 現 のため 各 種 施 策 を 着 実 に 進 めていくことが 重 要 である その 一 方 で より 長 期 的 観 点 から 今 世 紀 中 の 早 い 段 階 で 排 出 量 を 大 幅 に 削 減 できる よう 人 工 光 合 成 や CCU といった 革 新 的 な 技 術 開 発 への 投 資 を 強 化 し 世 界 の 排 出 削 減 に 貢 献 していくことが 重 要 である ( 地 球 環 境 ユニット 地 球 温 暖 化 政 策 グループマネージャー 田 上 貴 彦 ) 6

5. 系 統 対 策 を 支 える 再 エネ 発 電 予 測 技 術 の 動 向 再 生 可 能 エネルギーの 導 入 拡 大 に 伴 い 系 統 制 約 の 解 消 に 向 けた 取 組 みの 具 体 化 が 求 められている 経 済 産 業 省 の 補 助 事 業 では 円 滑 な 出 力 制 御 を 目 指 した 次 世 代 双 方 向 通 信 出 力 制 御 緊 急 実 証 事 業 や 余 剰 電 力 や 出 力 変 動 の 吸 収 を 目 的 とした 再 生 可 能 エネルギー 発 電 事 業 者 のための 蓄 電 システム 導 入 支 援 事 業 が 実 施 されている 他 方 これらの 系 統 対 策 を 効 果 的 に 行 うためには 再 エネの 発 電 出 力 を ある 一 定 時 間 前 もって 把 握 することが 重 要 になる 以 下 では 再 エネ 発 電 出 力 予 測 技 術 に 関 す る 動 きについて 紹 介 する 太 陽 光 発 電 の 発 電 量 予 測 は 事 業 性 評 価 のために 以 前 から 活 用 されているが これ は 年 間 の 発 電 電 力 量 が 概 ね 把 握 できれば 十 分 であることから 例 えば AMeDAS ( 地 域 気 象 観 測 システム)の 過 去 の 日 射 量 データ 等 からおおよその 推 計 が 可 能 である 一 方 系 統 対 策 をより 効 率 的 に 行 うために 毎 日 や 毎 時 などのよりきめ 細 かい 発 電 出 力 の 予 測 の 必 要 性 が 高 まっている 翌 日 の 発 電 電 力 量 や 毎 時 の 出 力 を 予 測 すること ができれば バックアップ 電 源 としての 火 力 発 電 の 運 転 計 画 や 太 陽 光 発 電 の 出 力 抑 制 計 画 など 含 めた 系 統 運 用 計 画 が 立 てやすくなるからである 一 般 電 気 事 業 者 にとって 大 きな 意 味 を 持 つ このきめ 細 かい 予 測 の 技 術 向 上 を 目 的 として 2011 年 度 から 3 年 にわたり 経 済 産 業 省 が 実 施 してきた 太 陽 光 発 電 出 力 予 測 技 術 開 発 実 証 事 業 の 事 後 評 価 検 討 会 が 昨 年 9 月 に 開 催 され 日 射 量 の 推 定 誤 差 は 年 ベースでは 5% 以 下 の 精 度 を 達 成 したことが 確 認 されている 予 測 技 術 の 更 なる 向 上 が 引 き 続 き 求 められていく 中 で 予 測 サービスや 予 測 技 術 を 組 み 込 んだシステムが 一 部 で 既 に 商 業 化 される 動 きも 進 んでいる 例 えば 昨 年 3 月 には 日 本 気 象 協 会 が 日 射 量 や 太 陽 光 発 電 出 力 の 予 測 データを 発 電 事 業 者 などに 提 供 するサービス(SOLASAT-Nowcast)を 開 始 した 気 象 衛 星 ひまわり の 画 像 デー タに 基 づき 全 国 を 1km 格 子 間 隔 で 区 分 し 6 時 間 先 までの 予 測 を 行 う 予 測 は 30 分 ごとに 更 新 される これまでの AMeDAS の 日 照 時 間 データからの 予 測 と 比 べて 精 度 が 最 大 30% 向 上 されるという また 昨 年 秋 には 一 部 の 企 業 が 気 象 予 報 か ら 翌 日 の 太 陽 光 発 電 量 を 予 測 し 蓄 電 システムを 自 動 制 御 する HEMS の 販 売 を 開 始 し ている 現 在 の 出 力 予 測 の 誤 差 は 翌 日 予 測 の 場 合 太 陽 光 発 電 が 15%~20% 風 力 発 電 が 10%~15%と 言 われており 電 力 需 要 の 予 測 誤 差 2%~3%と 比 べれば まだまだ 改 良 の 余 地 が 大 きい 予 測 サービスの 商 業 化 の 広 がりに 伴 い 気 象 及 び 発 電 量 のビッ グデータが 蓄 積 され 更 に 予 測 精 度 が 向 上 されることに 期 待 したい ( 新 エネルギー 国 際 協 力 支 援 ユニット 新 エネルギーグループマネージャー 柴 田 善 朗 ) 7

6. 米 国 ウォッチング: 内 務 省 石 炭 開 発 改 革 案 を 発 表 オバマ 大 統 領 は 最 後 の 一 般 教 書 演 説 で 石 油 石 炭 資 源 利 用 の 改 革 を 宣 言 した それを 受 け 1 月 16 日 内 務 省 は 連 邦 領 内 の 石 炭 開 発 改 革 案 を 発 表 した 改 革 の 主 眼 は 今 後 3 年 間 連 邦 領 における 新 規 石 炭 開 発 鉱 区 リースを 停 止 し その 間 に 石 炭 開 発 に 伴 う 大 気 水 質 汚 染 や 森 林 破 壊 等 の 環 境 健 康 面 の 影 響 と 環 境 対 策 コストを 反 映 し 内 外 エネルギー 需 給 構 造 に 関 わる 問 題 も 加 味 した 上 で 適 正 な 石 炭 価 格 が 形 成 されるよう 鉱 区 リース 手 続 及 びロイヤリティ 額 を 策 定 する というものであ る 内 務 省 の 鉱 区 リースの 際 の 環 境 影 響 評 価 実 施 は 1983-84 年 が 最 後 で 以 降 は 環 境 影 響 評 価 なしのまま 鉱 区 リースが 実 施 されており 見 直 しが 必 要 と 指 摘 している 改 革 案 の 青 写 真 を 作 った 研 究 機 関 は 石 炭 の 隠 れコスト を 扱 った 報 告 書 で 炭 鉱 のメタン 排 出 石 炭 輸 送 段 階 の 温 室 効 果 ガス 及 び 大 気 汚 染 物 質 排 出 と 輸 送 混 雑 騒 音 事 故 等 の 社 会 的 コストを 加 味 すると 約 70%のロイヤリティ 引 上 げが 必 要 であり 電 力 会 社 の 石 炭 調 達 コストは 約 21%の 上 昇 が 見 込 まれる と 推 計 している あくま で 一 研 究 機 関 の 試 案 であり 新 たな 石 炭 開 発 プログラムは 関 連 業 界 や 専 門 家 の 意 見 を 取 り 入 れて 内 務 省 が 改 革 案 を 取 り 纏 め パブリックコメントを 経 て 決 定 されることに なる しかし 米 国 電 力 会 社 の 石 炭 調 達 コストが 大 幅 に 上 昇 すれば 公 布 済 みの 発 電 所 CO2 排 出 規 制 と 相 俟 って 米 国 の 電 源 構 成 に 大 きな 影 響 を 与 えることとなるだろう オバマ 政 権 のこの 動 きは 政 権 の 最 後 の 1 年 間 でより 多 くの 政 策 アジェンダを 実 現 するために 議 会 の 承 認 を 必 要 としない 行 政 権 限 を 行 使 するアプローチの 1 つである 議 会 軽 視 産 業 界 に 対 して 敵 対 的 憲 法 を 無 視 した 大 統 領 権 限 の 拡 張 である 等 の 非 難 を 浴 びており 今 年 11 月 に 行 われる 選 挙 や 連 邦 議 会 での 立 法 及 び 訴 訟 を 通 じて 州 政 府 や 企 業 業 界 団 体 公 共 利 益 団 体 等 からのチャレンジに 遭 うことになるだろう このように 一 方 的 な 行 政 権 限 の 行 使 が 目 立 つオバマ 政 権 だが 他 方 でエネルギー 環 境 分 野 において 協 調 的 な 規 則 制 定 のアプローチが 採 られていることも 見 逃 せない 1 月 21 日 に 1975 年 エネルギー 政 策 節 約 法 に 基 づきエネルギー 省 が 策 定 する 家 庭 用 エアコンのエネルギー 効 率 基 準 について 機 器 メーカー 販 売 会 社 や 電 力 会 社 等 の 産 業 界 と 公 共 利 益 団 体 州 政 府 等 の 代 表 から 構 成 される 作 業 グループが 2023 年 以 降 に 発 売 される 家 庭 用 エアコンに 7%の 効 率 改 善 を 義 務 付 けることで 合 意 に 達 したこ とが 発 表 された これは 規 制 交 渉 と 呼 ばれる 規 則 制 定 の 手 法 であり 被 規 制 産 業 を 含 む 利 害 関 係 者 の 代 表 が 一 堂 に 会 して 規 則 内 容 を 検 討 し 合 意 成 立 の 場 合 には 行 政 機 関 はその 合 意 内 容 を 規 則 案 として 採 用 する 被 規 制 者 から 情 報 提 供 を 得 て 技 術 的 経 済 的 に 達 成 可 能 な 規 則 を 制 定 するとともに 予 め 利 害 関 係 者 間 で 合 意 形 成 する ことで 訴 訟 を 回 避 し 政 策 の 実 を 挙 げることを 目 的 として 1980 年 代 初 頭 に 導 入 され た 規 則 制 定 手 法 である 米 国 の 硬 軟 併 せた 政 策 実 現 手 段 の 多 様 性 もまた 興 味 深 い ( 化 石 エネルギー 電 力 ユニット ガスグループ 主 任 研 究 員 杉 野 綾 子 ) 8

7. EUウォッチング:エネルギー 分 野 のサイバーセキュリティ 問 題 エネルギー 分 野 におけるサイバーセキュリティ 対 策 は 新 たな 課 題 であり 各 国 で 取 り 組 みが 進 められている EU は 欧 州 連 合 のサイバーセキュリティ 戦 略 や セキ ュリティに 関 する 欧 州 のアジェンダ を 策 定 し EU としての 包 括 的 な 戦 略 的 枠 組 み を 示 されている 2013 年 には 欧 州 委 員 会 が ネットワークや 情 報 セキュリティ 確 保 に 向 けた 指 令 案 を 提 出 し 2015 年 12 月 に 欧 州 議 会 と 閣 僚 理 事 会 が ネットワー クと 情 報 セキュリティ 指 令 (Network and Information Security:NIS 指 令 ) 草 案 に 合 意 した 次 いで 2016 年 1 月 NIS 指 令 草 案 は 欧 州 議 会 の 域 内 市 場 委 員 会 によっ て 承 認 され 今 後 閣 僚 理 事 会 と 欧 州 議 会 本 会 議 の 承 認 を 経 ることになる NIS 指 令 草 案 では 1 加 盟 国 のサイバーセキュリティ 能 力 を 高 めること 2 加 盟 国 間 のサイバーセキュリティに 関 する 協 力 を 強 化 すること 3エネルギーや 運 輸 銀 行 や 保 健 といった 分 野 における 重 要 部 門 のオペレーターや サーチエンジン クラウ ド コンピューティングといったデジタルサービスのプロバイダーに 対 して 適 切 な セキュリティ 対 策 をとり 国 内 当 局 に 発 生 したセキュリティ 上 の 問 題 を 報 告 するよう 要 求 すること が 盛 り 込 まれている エネルギー 分 野 での 対 象 は 電 力 石 油 ガス のオペレーターである 指 令 に 基 づき EU 加 盟 国 は 各 国 の NIS 戦 略 を 採 択 し 指 令 の 履 行 や 執 行 のための 機 関 やシーサート(CSIRT:Computer Security Incident Response Team)と 称 される 問 題 対 応 チームを 指 定 することが 求 められる また EU 大 の 協 力 として 加 盟 国 間 の 協 力 グループ(Cooperation Group) が 創 設 され シーサートネットワークの 事 務 局 を EU ネットワーク 情 報 セキュリティ 機 関 (ENISA)が 提 供 する 予 定 だ EU は サイバーセキュリティ 対 策 が 進 むアメリカとの 協 力 にも 熱 心 である EU とアメリカは サイバーセキュリティとサイバー 犯 罪 に 関 する EU-US ワーキンググ ループを 2010 年 11 月 に 立 ち 上 げている 2014 年 11 月 には アメリカのサイバー セキュリティ 枠 組 みと EU の NIS プラットフォームアプローチを 比 較 するワークシ ョップも 開 催 された また EU は 域 内 のサイバーセキュリティ 産 業 強 化 にも 注 力 しており 官 民 連 携 を 進 めていく 予 定 としている 2015 年 5 月 に 開 催 された G7 エネルギー 担 当 大 臣 会 合 で 発 表 された 持 続 可 能 なエネルギー 安 全 保 障 のための G7 ハンブルク イニシアティブ では エネルギー 分 野 のサイバーセキュリティ 対 策 の 強 化 に 協 調 して 取 り 組 むことで 各 国 が 一 致 した 今 年 北 九 州 市 で 開 催 予 定 の G7 エネルギー 担 当 大 臣 会 合 でも サイバーセキュリテ ィが 重 要 議 題 になると 考 えられる 議 長 国 である 日 本 には 複 雑 化 巧 妙 化 するエネ ルギーシステムへのサイバー 脅 威 に 対 応 するための 具 体 的 な 議 論 をリードすること が 期 待 される ( 戦 略 研 究 ユニット 原 子 力 グループ 研 究 員 下 郡 けい) 9

8. 中 国 ウォッチング:2016 年 低 炭 素 エネルギー 総 合 政 策 目 標 国 家 統 計 局 は 本 年 初 に 2015 年 の GDP 成 長 率 が 6.9%であったと 発 表 した 2016 年 も 安 定 成 長 との 見 通 しを 示 しているが 年 初 からの 株 安 等 の 波 乱 の 動 きが 顕 在 化 し 先 行 きが 注 目 されている 一 方 国 家 能 源 局 は 2015 年 12 月 29 日 全 国 エネルギー 工 作 会 議 を 開 き エネルギー 需 給 の 動 向 分 析 と 計 画 目 標 達 成 状 況 の 点 検 を 行 った 上 で 2016 年 の 政 策 目 標 を 明 らかにした 2015 年 の 一 次 エネルギー 消 費 は 0.9% 増 の 43 億 tce( 石 炭 換 算 トン 1tce=7 10 6 kcal)と 見 込 まれ 増 加 率 は 1998 年 以 来 の 低 さである 石 炭 消 費 量 は 1.5% 減 の 27.7 億 tce 17 年 振 りに 減 少 した 一 次 エネルギー 生 産 量 は 0.5% 減 の 35.8 億 tce 石 炭 生 産 量 は 1.8% 減 の 25.8 億 tce 生 産 量 の 減 少 は 全 体 では 17 年 振 り 石 炭 は 2 年 連 続 である 電 力 消 費 量 は 0.5% 増 の 5.55 兆 kwh 発 電 設 備 容 量 は 10.5% 増 の 15.1 億 kw 平 均 稼 働 時 間 数 は 349 時 間 減 の 3,969 時 間 で 能 力 過 剰 が 顕 著 となった 1 低 炭 素 化 の 面 では 一 次 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 比 率 は 1.6 ポイント 減 の 64.4% 非 化 石 エネルギー 比 率 は 0.8 ポイント 増 の 12% エネルギー 消 費 の GDP 原 単 位 は 5.6% 減 2010 年 比 18.2% 減 となった 拘 束 力 のある 第 12 次 5カ 年 計 画 目 標 ( 非 化 石 エネルギー 消 費 比 率 を 11.4%へ 高 め エネルギー 消 費 の GDP 原 単 位 と GDP 当 た り CO2 排 出 量 をそれぞれ 16% 17% 削 減 )は 何 れも 超 過 達 成 の 見 込 みである 第 13 次 5 カ 年 計 画 における 低 炭 素 エネルギー 総 合 対 策 の 基 本 方 針 は クリーン で 低 炭 素 かつ 安 全 で 高 効 率 の 近 代 的 エネルギー 体 系 を 構 築 し 新 常 態 定 着 と パ リ 協 定 遵 守 を 目 指 すことである 2016 年 には 4 分 野 の 政 策 目 標 が 打 ち 出 された (1)エネルギー 構 造 の 低 炭 素 化 : 一 次 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 比 率 を 62.6% 以 下 に 引 き 下 げ 天 然 ガス 比 率 を 6.2%へ 非 化 石 エネルギー 比 率 を 13.2%へ 高 める 電 源 構 成 では 風 力 と 太 陽 光 発 電 の 設 備 容 量 をそれぞれ 2,000 万 kw 以 上 1,500 万 kw 以 上 に 拡 大 する 等 を 通 じて 非 化 石 電 源 設 備 容 量 の 比 率 を 35.7%へ 高 める (2) エネルギー 消 費 の 効 果 的 抑 制 : 一 次 エネルギー 消 費 量 を 約 43.6 億 tce(1.4% 増 ) 石 炭 消 費 量 を 27.3 億 tce ( 1.4% 減 ) 石 油 と 天 然 ガス 消 費 量 ( 生 産 量 + 純 輸 入 量 )をそ れぞれ 約 5.5 億 トン(1.9% 増 ) 約 2,050 億 m 3 (4.6% 増 ) 電 力 消 費 量 を 約 5.7 兆 kwh (2.7% 増 )とする (3)エネルギー 供 給 能 力 の 確 保 : 一 次 エネルギー 生 産 量 を 約 36 億 tce(0.6% 増 ) 石 炭 生 産 量 を 約 25.5 億 tce(0.35 億 tce 減 ) 石 油 生 産 量 を 約 2.2 億 トン(1,000 万 トン 増 ) 天 然 ガス 生 産 量 を 約 1,400 億 m3(40 億 m3 増 ) 非 化 石 電 源 発 電 量 を 約 1.7 兆 kwh とする (4)エネルギー 利 用 効 率 の 向 上 : 火 力 発 電 kwh 当 たりの 送 電 端 燃 料 消 費 量 を 1gce 減 の 315gce へ 削 減 し( 熱 効 率 を 0.12 ポイント 高 い 39%へ 引 き 上 げ) 送 電 網 不 足 等 によって 廃 棄 される 風 力 と 太 陽 光 発 電 の 比 率 を 顕 著 に 低 下 させる 目 標 を 詳 細 に 数 字 化 すれば 達 成 したかどうかが 明 確 になる 達 成 時 の 評 価 は 高 いが 未 達 成 時 の 責 任 を 問 われるリスクも 高 い 国 家 能 源 局 の 手 腕 と 取 組 みを 注 視 したい ( 客 員 研 究 員 長 岡 技 術 科 学 大 学 大 学 院 教 授 李 志 東 ) 1 電 力 需 給 は 見 込 みではなく 国 家 能 源 局 が 1 月 15 日 公 表 の 年 間 実 績 である 10

9. 中 東 ウォッチング:イラン 制 裁 解 除 発 効 と 並 行 して 新 緊 張 関 係 も 1 月 16 日 国 際 原 子 力 機 関 (IAEA)は 核 合 意 でイランが 約 束 した 核 関 連 措 置 に 関 する 報 告 を 実 施 し これをもって 対 イラン 経 済 制 裁 の 解 除 停 止 措 置 が 発 効 した 国 連 安 保 理 決 議 に 基 づく 制 裁 の 他 米 欧 日 などが 個 別 的 に 科 してきた 核 開 発 に 関 する 制 裁 が 解 除 停 止 されたことで 原 油 輸 出 に 対 する 制 約 も 取 り 除 かれ 国 外 に 滞 留 し ていた 資 産 の 還 流 も 動 き 出 した 同 時 に イランと 米 国 の 間 で 35 年 間 にわたって 係 争 中 であった イスラーム 革 命 期 に 遡 る 在 米 凍 結 資 産 の 返 還 も 行 われ 両 国 間 の 綿 密 な 連 係 の 存 在 が 明 らかになった こうした 調 整 の 跡 は 両 国 で 留 め 置 かれていた 囚 人 の 相 互 釈 放 が 同 時 に 成 立 した ことにも 表 れている 一 方 昨 年 末 にホルムズ 海 峡 において 生 じた 航 行 中 の 米 空 母 ハリー トルーマン の 至 近 距 離 へのイラン 軍 のロケット 弾 撃 込 みや ペルシア 湾 内 のイラン 領 海 に 米 軍 艦 船 2 隻 が 侵 入 して 拿 捕 された 事 件 (1 月 12 日 )などは ひとつ 間 違 えれば 軍 事 衝 突 に 至 ることが 危 惧 されるものである また 昨 年 10 月 にイランが 中 距 離 弾 道 ミサイ ルの 発 射 実 験 を 行 ったことに 関 して 米 政 府 は 追 加 制 裁 を 発 動 し 改 めて イラン の 反 発 を 受 けている さらに 米 議 会 がイランやイラクなどへ 過 去 5 年 間 に 渡 航 した 欧 州 や 日 本 国 籍 保 有 者 に 対 して ビザ 免 除 プログラムの 適 用 停 止 を 法 制 化 したことへ の 批 判 も 不 利 益 を 被 るイラン 及 び 関 係 国 の 間 で 募 っている サウジアラビアによるシーア 派 反 体 制 指 導 者 の 処 刑 への 反 発 から 発 生 した イラン 国 内 のサウジ 外 交 施 設 への 襲 撃 を 受 けて サウジは バハレーンなどを 従 えて 対 イラ ン 断 交 に 踏 み 切 った さらに イランの 国 際 社 会 復 帰 に 警 鐘 を 鳴 らしてきた 同 国 は イランによるアラブ 諸 国 への 内 政 干 渉 に 批 判 の 対 象 を 広 げた 外 交 攻 勢 を 先 鋭 化 させ ている そのあおりで 25 日 に 開 催 が 予 定 されていた 国 連 主 催 のシリア 和 平 協 議 は 参 加 者 の 顔 ぶれを 決 めることができないことから 延 期 されたほか イエメン 和 平 協 議 も 開 催 不 能 となった サウジアラビア イランの 関 係 緊 張 は 中 東 情 勢 の 流 動 化 を 一 層 加 速 化 する 要 因 となりかねない また サルマーン 国 王 体 制 下 での 最 近 のサウジアラ ビアの 内 外 政 策 も 中 東 情 勢 を 展 望 する 際 の 重 要 な 要 因 となっている パリ 同 時 テロ 事 件 後 国 際 社 会 は イスラーム 国 (IS ISIS/ISIL)への 警 戒 を 強 めてきたものの イスタンブールやジャカルタで 爆 発 や 襲 撃 事 件 が 相 次 いだ ISIS/ISIL は リビアで 貯 油 設 備 に 対 する 爆 破 攻 撃 を 積 極 的 にしかけており エネル ギー インフラへの 脅 威 が 増 していると 考 える 必 要 がある チュニジア 中 部 では 5 年 前 の アラブの 春 を 想 起 させる 若 者 の 暴 動 が 起 きており 政 府 は 夜 間 外 出 禁 止 令 を 発 動 した 中 国 の 習 近 平 主 席 は サウジアラビア エジプト イランを 歴 訪 し 各 国 との 間 で 一 帯 一 路 構 想 に 基 づく 協 力 に 関 する 覚 書 を 締 結 している 高 木 経 済 産 業 副 大 臣 は UAE とサウジアラビアを 訪 問 し エネルギーや 産 業 分 野 における 協 力 関 係 について 当 該 国 の 要 人 と 協 議 した ( 中 東 研 究 センター 長 常 務 理 事 田 中 浩 一 郎 ) 11

10. ロシアウォッチング: 油 価 暴 落 で 進 む 経 済 苦 境 の 深 刻 化 ロシア 経 済 の 悪 化 がますます 深 刻 度 を 増 している 1 月 25 日 ロシア 連 邦 国 家 統 計 委 員 会 は 2015 年 の 実 質 GDP 成 長 率 が 前 年 比 3.7% 減 と 発 表 した 世 界 銀 行 は 2016 年 もロシア 経 済 の 減 速 が 続 き 同 0.7% 減 になると 予 測 (2015 年 12 月 18 日 発 表 )する が ロシア 中 央 銀 行 の 試 算 ( 同 月 時 点 )によると 2016 年 の 原 油 の 年 間 平 均 価 格 が 35 ドル/バレルとなった 場 合 ロシアの 経 済 成 長 率 は 前 年 同 期 比 2~3% 減 まで 落 ち 込 む 可 能 性 がある 1 月 21 日 には ロシア 通 貨 ルーブルの 対 ドル 為 替 レートが 一 時 84 ルーブル 台 まで 下 落 ( 前 年 同 期 比 約 3 割 減 )し 史 上 最 安 値 を 更 新 した トルコ 軍 によるロシア 軍 機 撃 墜 事 件 への 報 復 措 置 として 2015 年 11 月 末 から 始 まった トルコに 対 する 経 済 制 裁 措 置 の 余 波 として 食 品 価 格 の 高 騰 が 生 じたのに 加 え ルーブルの 急 落 が 物 価 上 昇 をもた らし 庶 民 の 購 買 力 を 減 じ 台 所 事 情 を 直 撃 している 1 月 12 日 に 全 ロシア 世 論 研 究 センターが 発 表 した 調 査 ( 前 月 末 に 国 内 46 地 域 で 1,600 人 を 対 象 ) 結 果 によると 半 数 以 上 が 経 済 苦 境 の 底 はまだ 打 っていないと 回 答 している 原 油 価 格 の 急 落 に 直 面 し ロシアの 国 家 財 政 は 火 の 車 状 態 だ 2015 年 の Urals 原 油 (ロシアの 代 表 的 原 油 指 標 )の 平 均 価 格 は 51.23 ドル/バレルであったが 国 際 原 油 市 場 では 供 給 過 剰 状 態 が 続 いており 2016 年 に 入 り 原 油 先 物 市 場 は 12 年 ぶりに 30 ドル/バレルを 割 るところまで 下 落 している 1 月 13 日 シルアノフ 財 務 大 臣 は 国 際 経 済 会 議 の 席 上 ロシアの 財 政 収 支 を 均 衡 させる 原 油 価 格 は 82 ドル/バレルである 旨 明 らかにし 仮 に 通 年 の 原 油 価 格 が 40 ド ル/バレルとなった 場 合 ロシアは 徹 底 的 な 緊 縮 財 政 策 を 講 じない 限 り 1998~99 年 に 経 験 したような 壊 滅 的 な 財 政 危 機 に 陥 る 可 能 性 があると 警 鐘 を 鳴 らした ロシア 政 府 は 2016 年 に 2.2 兆 ルーブル(1 ドル=80 ルーブルで 計 算 すると 275 億 ドル)を 財 政 赤 字 補 填 に 費 やす 予 定 だが 2017 年 以 降 も 同 様 のペースが 続 いた 場 合 中 央 銀 行 によれば 油 価 下 落 に 備 えて 蓄 えてきた 政 府 の 基 金 が 2019 年 までに 底 を 突 く 見 込 みだ だが その 時 期 が 現 時 点 での 試 算 よりも 早 くなる 可 能 性 も 危 惧 されている 国 際 社 会 を 震 感 させている IS( イスラーム 国 )の 脅 威 がロシア 国 内 にも 及 び 始 め ている 2015 年 4 月 時 点 では プーチン 大 統 領 はその 可 能 性 に 懐 疑 的 な 見 方 を 公 言 していたが 同 年 12 月 ロシア 連 邦 保 安 局 と 同 内 務 省 は 共 同 で 既 に 2,800 人 以 上 のロシア 人 がシリアとイラクで IS の 活 動 に 参 加 していると 発 表 した IS の 影 響 浸 透 が 最 も 懸 念 される 北 コーカサス 地 域 は 従 来 中 央 政 府 の 優 先 的 な 予 算 配 分 の 対 象 であ ったが 上 記 のとおりモスクワの 財 政 事 情 は 厳 しくなる 一 方 だ 原 油 価 格 の 暴 落 と 国 際 テロの 脅 威 が 深 刻 化 する 中 プーチン 大 統 領 の 愛 国 主 義 に 訴 える 姿 勢 が 今 後 もどこまで 国 民 からの 高 支 持 率 を 維 持 できるのか 注 目 される ( 戦 略 研 究 ユニット 国 際 情 勢 分 析 第 2 グループマネージャー 伊 藤 庄 一 ) 12