jh150026-na16 熱 中 症 リスク 評 価 シミュレータの 開 発 と 応 用 平 田 晃 正 ( 名 古 屋 工 業 大 学 ) 概 要 外 部 の 物 理 的 熱 負 荷 ( 外 気 温 太 陽 光 )に 対 し ヒトの 体 温 は 上 昇 し 熱 調 整 反 応 が 生 じる 熱 中 症 を 発 症 する 際 には 体 内 において 過 度 の 体 温 上 昇 または 発 汗 が 生 じた 状 況 になっている このことから 複 合 物 理 およびシステムバイオロジーを 連 成 さ せた 解 析 を 用 い 様 々な 条 件 において 成 人 ( 若 者 )と 高 リスク 群 における 相 違 を 理 解 す る 必 要 がある そこで シミュレータの 高 速 化 を 行 うとともに 様 々な 人 体 モデルに 対 する 基 礎 データを 取 得 データベース 化 する 1. 共 同 研 究 に 関 する 情 報 (1) 共 同 研 究 を 実 施 した 拠 点 名 東 北 大 学 (2) 共 同 研 究 分 野 超 大 規 模 数 値 計 算 系 応 用 分 野 ν 超 大 規 模 データ 処 理 系 応 用 分 野 ν 超 大 容 量 ネットワーク 技 術 分 野 ν 超 大 規 模 情 報 システム 関 連 研 究 分 野 (3) 参 加 研 究 者 の 役 割 分 担 ( 代 表 ) 平 田 晃 正 名 古 屋 工 業 大 学 熱 中 症 シミュレーション ソースコードの 改 良 と 研 究 統 括 ( 副 ) 江 川 隆 輔 東 北 大 学 サイバーサイ エンスセンター ソースコードの 最 適 化 チューニング 担 当 ( 副 ) 田 中 悟 志 浜 松 医 科 大 学 医 学 部 生 理 学 的 モデル 化 浅 野 陽 平 名 古 屋 工 業 大 学 太 陽 光 ばく 露 解 析 の 実 施 とデータ 処 理 西 尾 渉 名 古 屋 工 業 大 学 熱 ばく 露 解 析 の 実 施 とデータ 処 理 2. 研 究 の 目 的 と 意 義 2.1. 目 的 外 部 の 物 理 的 熱 負 荷 ( 外 気 温 太 陽 光 )が 存 在 す ると ヒトの 体 内 温 度 が 上 昇 し それに 伴 い 生 体 の 熱 調 整 反 応 が 生 じる 熱 中 症 を 発 症 する 際 には 体 内 において 過 度 の 体 温 上 昇 または 発 汗 が 生 じ た 状 況 になっている このことから 複 合 物 理 お よびシステムバイオロジーを 連 成 させた 解 析 を 開 発 すれば 様 々な 条 件 において 成 人 ( 若 者 )と 高 リスク 群 における 相 違 を 解 明 し 普 及 啓 発 活 動 へ の 応 用 が 期 待 できる 特 に 熱 中 症 の 発 症 する 周 辺 環 境 は 高 温 多 湿 などの 共 通 のパラメータもあ るものの 服 装 労 働 あるいはスポーツ 環 境 など 個 人 差 が 大 きく かつ 周 辺 環 境 は 時 々 刻 々と 変 化 する これらの 要 因 を 考 慮 し 生 体 内 における 各 種 パラメータ 変 化 を 時 間 的 に 追 跡 普 及 啓 発 活 動 に 用 いるデータの 取 得 を 目 的 する 特 に シミュ レータの 高 速 化 および 様 々な 人 体 モデルに 対 する 基 礎 データの 取 得 (データベース 化 )を 行 うもの とする 2.2. 意 義 地 球 温 暖 化 に 加 え 2011 年 の 大 震 災 以 降 節 電 が 叫 ばれる 中 熱 中 症 への 取 り 組 みが 社 会 的 関 心 事 となっている また 欧 米 でも 熱 波 による 熱 中 症 による 死 者 数 が 増 加 傾 向 にある 熱 中 症 患 者 の 中 でも 高 リスク 群 である 小 児 および 高 齢 者 に 対 して 関 心 が 持 たれている 子 供 については 車 内 放 置 が 社 会 問 題 となっており 2011 年 7 月 警 察 庁 はパチンコホール 団 体 へ 再 発 防 止 対 策 の 徹 底 を 要 請 している 一 方 熱 中 症 で 救 急 搬 送 された 患 者 の 40%が 高 齢 者 であり 啓 発 活 動 が 行 われている ものの 高 い 水 準 に 変 化 はない これらのハイリス ク 群 の 人 々が 熱 中 症 にかかる 要 因 として 熱 中 症 に 関 する 知 見 は 生 理 学 の 考 察 あるいは 救 急 医 療 に 1
基 づく 対 症 療 法 がほとんどである 換 言 すれば ナにいた 状 態 の 体 温 変 化 を 概 ね 模 擬 できることを 年 齢 による 体 温 上 昇 発 汗 の 相 違 など 工 学 物 理 確 認 している 見 地 からのリスク 評 価 を 行 い かつその 成 果 に 基 生 体 を 用 いた 実 験 が 倫 理 的 側 面 から 限 定 される づく 普 及 啓 発 が 十 分 ではなかったことが 挙 げられ 本 問 題 に 関 し 社 会 的 ニーズとして 熱 中 症 データ る 本 研 究 は 高 精 度 かつ 視 覚 化 したリスク 評 価 の 蓄 積 に 加 え 準 リアルシミュレータを 構 築 でき データに 基 づき 普 及 啓 発 に 有 意 な 資 料 を 提 供 す れば 特 殊 環 境 における リスク 評 価 も 実 施 でき るものである 例 えば 以 下 のような 意 義 が 挙 げ る 現 在 代 表 者 が 開 発 したコードを 市 販 のワーク られる ステーションで 解 析 した 場 合 は 16 時 間 程 度 の 解 (1) 高 齢 化 社 会 の 到 来 に 伴 って 肉 体 労 働 者 が 高 齢 析 時 間 を 要 するため 本 研 究 目 的 である1 高 速 化 化 しており 職 業 環 境 (プラント 建 設 現 場 など) 2データの 蓄 積 ともに 不 適 である そこで 現 における 熱 中 症 対 策 が 急 務 である 例 えば 同 じ 在 共 同 研 究 者 ( 東 北 大 学 サイバーサイエンスセ 職 場 においても 日 時 によって 熱 負 荷 は 異 なり ンター)と SX-9 における 動 作 確 認 さらには 新 体 温 生 理 反 応 は 異 なり それを 事 前 に 視 覚 的 に たに 導 入 されるスーパーコンピュータシステム 示 すことは 対 策 につながる [SX-ACE]への 移 植 について 検 討 を 行 っている こ (2) 職 業 環 境 下 あるいは 猛 暑 環 境 におけるスポー のコードの 特 徴 は ミリメートル 程 度 の 分 解 能 を ツ(2020 年 7 月 ~8 月 東 京 オリンピックなど)の 考 慮 した 電 磁 界 熱 の 物 理 計 算 (4500 万 格 子 点 ) 実 施 および 観 戦 においてリスク 情 報 を 提 供 でき に 加 え (ベクトル 化 並 列 化 に 工 夫 を 要 する)ヒ 対 策 を 促 すことが 期 待 できる トのシステムバイオロジーを 定 式 化 し 高 速 に 複 (3) 熱 中 症 に 関 する 教 育 は 現 在 中 学 生 を 対 象 と 合 解 析 を 実 施 することを 目 指 す しかし 高 速 化 した 技 術 家 庭 の 時 間 で 実 施 されており 一 部 の 教 を 行 う 上 でベクトル 化 効 率 の 向 上 が 必 要 不 可 欠 と 科 書 では 申 請 代 表 者 らの 成 果 を 採 用 今 後 更 な なるため 専 門 的 知 識 が 必 要 となる る 高 信 頼 性 化 による 若 年 者 を 中 心 とした 国 民 教 育 へ 一 層 の 貢 献 ができる 4. 前 年 度 までに 得 られた 研 究 成 果 の 概 要 本 年 度 がJHPCN 制 度 を 使 った 初 年 度 である 3. 当 拠 点 公 募 型 共 同 研 究 として 実 施 した 意 義 なお 前 年 度 までの 制 度 を 利 用 しない 条 件 で 得 ら 当 研 究 グループでは これまで 時 間 領 域 差 分 法 に れた 成 果 は 以 下 のとおりである よる 生 体 に 関 わる 電 磁 界 および 熱 シミュレーショ [1] 75 歳 以 上 ( 後 期 高 齢 者 )における 熱 中 症 リス ンコードの 開 発 を 行 ってきた 計 算 解 剖 人 体 モデ クが 高 まる 理 由 が 体 内 深 部 温 度 センサーの 劣 化 ルは 情 報 通 信 研 究 機 構 が 開 発 したものであり によるものであることを 立 証 得 られた 知 見 に 基 組 織 数 51 を 考 慮 し 解 像 度 は 2mm 4500 万 点 づき 我 が 国 の 猛 暑 日 の 環 境 下 における 若 者 との において 物 理 計 算 を 行 う その 際 人 体 を 構 成 す 相 違 を 提 示 した るそれぞれの 組 織 に 太 陽 光 ばく 露 に 対 しては 電 [2] 妊 娠 女 性 における 熱 中 症 リスクが 高 まる 理 由 気 定 数 を 外 気 温 に 伴 う 温 度 上 昇 には 熱 定 数 を 割 が 胎 児 の 高 い 代 謝 量 によるものであることを 解 り 当 てて 解 析 する 特 に 熱 負 荷 に 対 する 体 温 変 明 化 の 解 析 では 皮 膚 あるいは 体 内 深 部 に 存 在 する [3] 65-75 歳 ( 前 期 高 齢 者 )における 熱 中 症 リスク 温 度 センサーにより 温 度 上 昇 を 軽 減 する 作 用 が 高 まる 理 由 が 体 表 面 ( 皮 膚 に 存 在 ) 温 度 セン いわゆる 体 温 調 整 機 能 ( 血 流 および 発 汗 率 )が 変 サーの 劣 化 によるものであることを 立 証 化 する また 湿 度 あるいは 発 汗 量 により 体 表 面 の 状 況 は 時 々 刻 々と 変 化 し 冷 却 効 果 などを 含 めた 精 緻 な 計 算 がある この 解 析 手 法 は サウ 2
Start the program Initialize calculation to obtain thermoneutral state at 28 C Input parameters Input model data Calculate temperature, Eqs. (1), (2) Thermal conductivity, Specific Heat Blood perfusion rate Loop through Time No Update thermoregulatory response Sweating rate, Eqs. (5) (11) Blood perfusion, Eq. (12) If Time = Simulation time T B,m Eqs. (3), (4) Yes End simulation (Store results) temperature distribution, total sweating Input sweating model High, Normal, Low Setup ambient condition Temperature, Humidity 図 1. 体 温 上 昇 解 析 のフローチャート [4] 小 児 と 成 人 の 生 理 学 的 相 違 は 大 きくないこと を 示 す 太 陽 光 および 暑 熱 の 同 時 ばく 露 により 子 供 のリスクが 高 まる 理 由 は 体 形 差 のみで 説 明 できること また 脱 水 症 状 になりやすい 理 由 を 説 明 した 上 記 の 成 果 を マスメディアなどを 通 じて 広 く 普 及 啓 発 活 動 を 行 ってきた 5 度 の 報 道 発 表 に 対 し 国 内 主 要 新 聞 一 般 紙 すべてを 含 む 延 べ 150 紙 以 上 人 民 日 報 新 華 社 通 信 など 中 国 における 数 百 紙 に 掲 載 されるとともに 国 内 テレビ 出 演 50 件 以 上 (おはよう 日 本 報 道 ステーションなど) 企 画 協 力 ( 世 界 一 受 けたい 授 業 など)を 行 った また 遊 戯 事 業 および 小 売 業 における 業 界 誌 あるいは 社 員 教 育 用 資 料 などの 協 力 を 行 った なお 2014 年 に 実 施 した 後 期 高 齢 者 に 関 する 熱 中 症 リスク 上 昇 解 明 の 報 道 発 表 では 東 北 大 学 のスーパーコンピ ューターを 利 用 した 成 果 を 含 んでいたが その 成 果 は 中 日 新 聞 / 東 京 新 聞 では 夕 刊 1 面 に また 共 同 通 信 が 発 信 した 情 報 をもとに 20 社 以 上 中 国 紙 ( 人 民 日 報 など)100 以 上 が スーパーコンピ ューター の 利 用 であることを 明 記 し スーパー コンピュータシステムによる 解 析 の 重 要 性 を 国 民 に 知 らせた 定 量 化 がしやすい 子 供 の 車 内 放 置 による 死 者 数 は 2000 年 から 2010 年 まで 約 0.4 名 / 月 (5-10 月 期 ) であったのに 対 し 2011 年 8 月 の 報 道 発 表 以 降 は 0.11 名 / 月 と 大 幅 に 減 少 したことは 啓 発 活 動 の 有 効 性 を 示 すものである 5. 今 年 度 の 研 究 成 果 の 詳 細 5.1. 解 析 の 手 順 体 温 上 昇 解 析 のフローチャートを 図 1 に 示 す 図 より 解 析 を 実 行 すると 始 めに 28 o C 環 境 下 における 熱 定 常 状 態 の 初 期 温 度 分 布 を 読 み 込 む 次 に 人 体 モデルや 発 汗 モデルの 設 定 また 外 気 温 などの 環 境 設 定 を 入 力 する それから 生 体 熱 輸 送 方 程 式 による 温 度 上 昇 を 計 算 またその 計 算 を 行 う 際 発 汗 率 の 変 化 や 血 流 量 の 変 化 など 熱 調 整 機 能 を 組 み 込 んだ 計 算 を 行 う このフローチ ャートに 従 って 解 析 を 行 う 特 に 物 理 計 算 と 異 なり 温 熱 生 理 (システムバイオロジー)の 部 分 は 条 件 文 などを 含 み 高 速 化 には 適 していな いアルゴリズムである そのようなアルゴリズム に 対 して maskなどを 生 成 させることにより で 3
MODELX=160 MODELY=320 MODELZ=866 DO K = 1,MODELZ DO J = 1, MODELY DO I = 1, MODELX TEMP(I,J,K) きるだけベクトル 化 および 並 列 化 が 適 した 形 に 変 更 を 加 えた 以 下 の 節 では その 概 略 を 述 べる 5.2. ベクトル 化 東 北 大 学 が 有 するスーパーコンピューター SX-ACEはベクトル 処 理 を 活 用 すると 高 い 性 能 を 得 ることができる このことから ベクトル 計 算 に 適 したコードを 作 成 する 必 要 がある ベクトル 計 算 に 適 したループの 例 を 図 2 に 示 す 言 語 は fortran90 にて 記 載 する 図 より 最 内 側 のルー プ 長 を 最 長 にすることで ノード 当 たりの 計 算 要 素 数 を 増 加 させることが 可 能 となる このように さまざまなループレベル 最 適 化 [12]を 施 すことで ベクトル 化 率 とノードあたりの 性 能 を 向 上 させた 5.3. 並 列 化 コードを 並 列 化 する 際 MPI(Message Passing Interface)を 用 いて 並 列 化 を 行 った MPI とは 分 散 メモリ 間 のデータ 処 理 分 割 やデータ 転 送 を 担 うメッセージパッシングの 標 準 規 格 であり コー ドから 呼 び 出 すサブプログラムのライブラリであ る MPI を 用 いて 並 列 化 を 行 った 理 由 として 並 列 化 手 法 には タスク 並 列 用 の 自 動 並 列 化 や OpenMP(Open Multi-Processing) データ 並 列 用 の MPI などがある 今 回 解 析 コードを 並 列 化 する 上 で タスク 並 列 と MPI を 併 用 したハイブリッド MPI MPI のみを 用 いたフラット MPI をそれぞれ 実 装 して 実 行 時 間 を 比 較 した その 結 果 フラッ ト MPI の 方 が 効 率 よく 計 算 を 高 速 化 できたため フラットMPI を 用 いた MODELX=866 MODELY=320 MODELZ=160 DO I = 1,MODELZ DO J = 1, MODELY DO K = 1, MODELX TEMP(K,J,I) 図 2. ベクトル 化 に 適 したループ 4 70 60 Speed Up Theoretical Value 50 Approxiamte Curve p U40 e d p 30 S 20 10 0 0 16 32 48 64 Number of Process 図 3. 並 列 プロセス 数 の 増 加 に 対 する 計 算 時 間 の 加 速 率 具 体 的 に 行 った 並 列 化 処 理 としては 人 体 モデ ルを Z 軸 方 向 各 平 面 に 分 割 し それぞれの 1 平 面 を1プロセスとして 割 り 当 てた 異 なる 並 列 プロセス 数 に 対 し プロセス 数 の 増 加 に 対 する 計 算 時 間 の 加 速 率 を 図 3 に 示 す 図 よ り 並 列 プロセス 数 の 増 加 に 伴 って 並 列 処 理 効 率 が 顕 著 に 低 下 することはなく 加 速 率 は 上 昇 して いる しかしながら 理 論 値 64 倍 に 対 して 並 列 プロセス 数 が 64の 場 合 に 得 られた 加 速 率 は 34.6 倍 となった これは 主 に 演 算 量 のインバランスに よる 並 列 化 率 の 低 下 や ノード 間 通 信 時 のデータ 転 送 量 が 増 加 する 際 に 発 生 する 遅 延 によるものと 考 えられる 特 に インバランスの 原 因 が 温 熱 調 整 系 のコード 化 にあると 考 え その 並 列 化 に 取 り 掛 かっている 具 体 的 には 逐 次 計 算 部 分 である 条 件 文 (IF)を 配 列 化 し ベクトル 化 率 とノードあ たりの 性 能 を 向 上 させた これにより, 並 列 化 率 を 阻 害 していたインバランスを 解 消 しているとこ ろである ベクトル 化 並 列 化 を 行 ったコードを SX-ACE に 実 装 し 暑 熱 ばく 露 における 体 温 上 昇 を 解 析 した 例 を 図 4に 示 す 図 は3 時 間 の 暑 熱 ばく 露 (37 o C) を 行 った 際 の 体 表 面 温 度 を 表 している 左 から 3 歳 児 22 歳 相 当 の 成 人 男 性 65 歳 相 当 の 成 人 男 性 75 歳 相 当 の 成 人 男 性 成 人 女 性 となっている 図 より 他 のモデルに 比 べて 75 歳 相 当 の 成 人 男 性 の 体 表 面 温 度 が 最 も 大 きく 上 昇 していること が 確 認 できる これは 発 汗 機 能 の 相 違 によるも ので 高 齢 者 は 若 年 者 よりも 発 汗 量 が 少 なく 発
22 years old 65 years old 75 years old 22 years old (female) Body Surface Temperature[ o C] 39.0 3 years old 36.0 33.0 図 4. 暑 熱 ばく 露 における 表 面 温 度 上 昇 の 解 析 結 果 (a) (b) 図 5. 気 温 および 湿 度 を 変 化 させた 場 合 の WBGT 値 および 日 本 人 成 人 男 性 モデル 内 深 部 温 度 上 昇 汗 の 開 始 が 遅 れるためである 5.4. データベース 化 現 在 様 々な 暑 熱 環 境 下 において 体 温 変 化 の 計 算 を 行 っている 本 年 度 は 我 が 国 でも 頻 用 される 暑 さ 指 数 である WBGT と 体 内 深 部 温 度 上 昇 の 相 関 に 関 する 基 礎 検 討 を 行 った 対 象 としては 成 人 男 性 モデルで 平 均 的 な 発 汗 量 を 有 するものの 結 果 を 紹 介 する 図 5(a) (b)に それぞれ 気 温 およ び 湿 度 を 変 化 させた 場 合 の WBGT 値 および 体 内 深 5
0.8 ] 0.7 C [ n 0.6 tio 0.5 v a ria 0.4 re tu 0.3 p e ra 0.2 e m T0.1 0 20 25 30 35 40 WBGT 図 6 WBGT 値 と 体 内 温 度 上 昇 の 関 係 部 温 度 上 昇 を 示 す また 図 6 に 両 者 の 関 係 をプ ロットしたものを 示 す 図 5より WBGTと 体 内 深 部 温 度 上 昇 は 同 様 の 傾 向 にあるものの 異 なる 傾 向 もある 図 6 より その 関 係 は 確 認 でき WBGT 値 が 同 じでも 最 大 で 3 倍 程 度 のばらつきがある ことが 確 認 できた 6. 今 年 度 の 進 捗 状 況 と 今 後 の 展 望 本 課 題 では マルチノード 利 用 によるペタフロ ップス 級 計 算 を 可 能 とする 熱 ソルバーのアルゴリ ズム 開 発 と 大 規 模 ベクトル 計 算 基 盤 における 高 効 率 計 算 を 可 能 にする 超 並 列 化 およびベクトル 化 技 術 の 研 究 開 発 に 取 り 組 み 実 用 的 な 大 規 模 解 析 手 法 の 構 築 を 目 指 した 現 在 直 交 格 子 の 課 題 で ある 体 表 面 の 解 像 度 を 補 うアルゴリズムの 改 良 また ヒトの 生 理 学 的 モデル 化 に 関 わるコードの ベクトル 化 およびその 評 価 を 行 い 副 代 表 である 東 北 大 学 サイバーサイエンスセンター 江 川 との 協 力 により 解 決 を 目 指 した 1SX-Aceへの 実 装 のためのプログラムチューニン グおよび 試 験 計 算 (2015 年 4 月 ~ 継 続 中 ) 年 度 最 終 目 標 であるデータベースの 構 築 に 加 え 気 象 データとの 連 携 を 視 野 に 準 リアルタイム 熱 中 症 リスクを 目 指 し 可 能 な 限 りの 高 速 化 を 行 う 主 担 当 は 副 代 表 者 の 江 川 を 中 心 に 代 表 者 平 田 および 大 学 院 生 が 補 佐 する 同 時 に 平 田 と 田 中 で 生 理 現 象 の 定 式 化 を 改 良 する 項 目 1 以 降 も 随 時 チューニングを 行 う 成 人 男 性 を 2mm の 解 像 度 で 実 施 した 場 合 1 条 件 に 対 し 約 1 分 で 解 6 析 が 可 能 となった 一 概 には 比 較 できないものの 一 般 的 なワークステーション(CPU :Intel Xeon W5590 @3.33GHz, 4 コア 2)において 7~16 時 間 程 度 ( 状 況 生 理 反 応 のモデル 化 による) 必 要 であったことを 付 記 する 2 成 人 男 性 モデルを 用 いた 熱 定 数 熱 生 理 機 能 の 個 体 差 の 体 温 変 化 に 与 える 影 響 の 試 算 (2015 年 7 月 ~9 月 ) 10 月 以 降 に 実 施 する 様 々な 状 況 下 における 解 析 の パラメータを 確 認 し これまで 報 告 されている 実 測 例 と 比 較 項 目 1の 有 効 性 を 確 認 する 特 に 発 汗 能 力 の 差 (5 パターン 程 度 )の 影 響 について 検 討 する 3 計 算 結 果 の 蓄 積 とインバランスの 解 消 (2015 年 10 月 ~3 月 ) 10 月 以 降 に 実 施 する 様 々な 状 況 下 における 解 析 の パラメータを 確 認 し これまで 報 告 されている 実 測 例 と 比 較 項 目 1の 有 効 性 を 確 認 する 特 に 発 汗 能 力 の 差 (5 パターン 程 度 )の 影 響 について 検 討 した また 熱 調 整 系 のモデル 化 に 伴 うイン バランスの 問 題 を 徐 々に 解 決 しているところであ る 今 後 の 課 題 として ベクトル 化 効 率 向 上 のため にロードインバランス 等 を 解 消 し それによる 並 列 化 効 率 向 上 が 必 要 である そのため 申 請 代 表 者 が 有 していない 専 門 的 知 識 が 重 要 であり 共 同 研 究 体 制 の 構 築 が 求 められる 特 に 中 間 報 告 の 審 査 員 でも 指 摘 され 今 年 度 も 取 り 掛 かっていた こ のさらなる 改 善 によって 気 象 データとの 連 携 に よる 準 リアルタイムでのリスク 評 価 技 術 を 構 築 さらには 今 後 の 地 球 温 暖 化 を 見 据 えた 新 規 シミュ レーション 基 盤 技 術 の 開 発 を 目 指 していきたい 7. 研 究 成 果 リスト (1) 学 術 論 文 a) 平 田 晃 正, 複 合 物 理 で 考 える 熱 中 症 リスク, 電 子 情 報 通 信 学 会 誌,vol.98, no.7, pp.604-606, 2015. (2) 国 際 会 議 プロシーディングス
該 当 なし (3) 国 際 会 議 発 表 a) A. Hirata, W. Nishio, D. Sasaki, T. Yamashita, R. Egawa, H. Kobayashi, Computation of Temperature Elevation in the Human Body for Ambient Heat Using Vector Supercomputer SX-ACE, The 23rd Workshop on Sustained Simulation Performance, Mar. 2016. (4) 国 内 会 議 発 表 a) 西 尾 渉, 浅 野 陽 平, 佐 々 木 大 輔, 山 下 毅, 平 田 晃 正, 江 川 隆 輔, ベクトルスーパーコンピュータ SX-ACE による 暑 熱 環 境 下 体 温 上 昇 の 高 速 解 析, 信 学 技 報,EST2015-61,Sep. 2015. b) 西 尾 渉, 浅 野 陽 平, 佐 々 木 大 輔, 山 下 毅, 平 田 晃 正, 江 川 隆 輔, ベクトルスーパーコンピュータ SX-ACE による 体 温 解 析 の 高 速 化, 信 学 ソ 大, C-15-12,Sep. 2015. (5) その 他 ( 特 許,プレス 発 表, 著 書 等 ) a) 中 日 新 聞,2015 年 7 月 23 日, 朝 1 面, 熱 中 症 リスク 短 時 間 で 算 出 b) 日 刊 工 業 新 聞,2015 年 7 月 23 日,9 面,3 時 間 後 の 熱 中 症 発 症 10 分 でリスク 評 価 c) 化 学 工 業 日 報,2015 年 7 月 24 日,4 面, 熱 中 症 リスク10 分 で 評 価 d) 日 経 産 業 新 聞,2015 年 8 月 7 日,8 面, 熱 中 症 リスク 解 析 10 分 人 体 モデル 3 時 間 予 測 東 北 大 など e) テレビ 朝 日 ( 報 道 ステーション SUNDAY)2015 年 7 月 12 日 ( 全 国 ) f) テレビ 朝 日 ( 報 道 ステーション)2015 年 7 月 13 日 ( 全 国 ) 当 日 の 熱 中 症 患 者 の 状 況 を 気 象 デー タと 連 携 し 解 析 データを 番 組 で 考 察 した 初 の 試 み(トップニュース) g) テレビ 朝 日 (ワイド!スクランブル)2015 年 7 月 14 日 ( 全 国 ) h) CBC(イッポウ) 高 齢 者 宅 における 環 境 と 熱 中 症 リスク( 特 集 ),2015 年 8 月 7 日 ( 東 海 地 区 ) 7