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公表表紙

Transcription:

2012 年 12 月 26 日 学 校 法 人 南 山 学 園 理 事 長 ハンス ユーゲン マルクス 殿 資 産 運 用 問 題 総 括 委 員 会 委 員 長 久 世 表 士 資 産 運 用 問 題 総 括 委 員 会 報 告 書 Ⅰ. 資 産 運 用 問 題 総 括 委 員 会 の 設 置 1. 設 置 と 経 緯 2. 職 責 と 任 期 等 3. 委 員 構 成 Ⅱ. 資 産 運 用 問 題 総 括 委 員 会 による 調 査 経 過 Ⅲ. 南 山 学 園 のデリバティブ 取 引 の 開 始 から 解 約 までの 事 実 の 概 要 Ⅳ.デリバティブ 取 引 開 始 から 損 失 発 生 までの 責 任 の 所 在 1.デリバティブ 取 引 についての 本 委 員 会 の 基 本 的 認 識 2. 今 回 の 損 失 を 招 くに 至 った 原 因 の 分 析 と 責 任 (1) 前 財 務 担 当 理 事 の 認 識 と 責 任 (a)デリバティブ 取 引 に 対 するリスク 認 識 (b) 指 針 の 不 遵 守 (2) 前 財 務 事 務 室 長 の 認 識 と 責 任 (3) 常 務 理 事 会 の 認 識 と 責 任 (4) 前 常 任 監 事 の 認 識 と 責 任 (5) 責 任 についての 総 括 Ⅴ.デリバティブ 損 失 発 生 後 の 処 理 方 法 とその 妥 当 性 1. 基 本 的 な 方 向 の 妥 当 性 2. 危 機 管 理 ワーキンググループおよび 資 産 運 用 チームの 設 置 の 妥 当 性 3. 全 デリバティブ 取 引 の 解 約 の 妥 当 性 4. 具 体 的 な 処 理 の 妥 当 性 1

Ⅰ. 資 産 運 用 問 題 総 括 委 員 会 の 設 置 1. 設 置 と 経 緯 大 幅 な 損 失 を 出 した 南 山 学 園 のデリバティブ 取 引 については 評 議 員 会 の 下 に 検 証 委 員 会 を 設 置 し 2009 年 7 月 29 日 に 資 産 運 用 問 題 に 関 する 報 告 書 が 理 事 長 宛 に 提 出 さ れ これを 受 けて 理 事 会 のガバナンス 機 能 の 再 点 検 再 構 築 を 行 うとともに デリバティ ブ 取 引 を 2009 年 度 から 2017 年 度 までの 9 ヵ 年 で 解 約 する 計 画 を 立 てて 解 約 を 進 めること としたが その 後 1 年 前 倒 して 2016 年 度 までにはすべての 解 約 を 終 える 見 通 しとなった そこで 一 定 の 収 束 の 見 通 しが 立 ったことを 踏 まえ 今 後 このような 問 題 を 繰 り 返 さない ために この 資 産 運 用 問 題 を 総 括 するため 評 議 員 会 のもとに 資 産 運 用 問 題 総 括 委 員 会 ( 以 下 本 委 員 会 という )が 設 置 されることになったが 本 委 員 会 で 資 産 運 用 問 題 を 検 討 中 の 2012 年 11 月 に 南 山 学 園 は 継 続 中 のすべてのデリバティブ 取 引 を 当 初 の 予 定 を 更 に 前 倒 しして 解 約 し その 処 理 を 終 えた 2. 職 責 と 任 期 等 本 委 員 会 の 職 責 は デリバティブ 取 引 開 始 からその 処 理 までを 総 括 するため 下 記 の 事 項 について 関 係 者 から 事 情 を 聴 取 し その 結 果 をまとめて 評 議 員 会 に 報 告 する 1 デリバティブ 取 引 開 始 から 損 失 発 生 までの 責 任 の 所 在 2 デリバティブ 損 失 発 生 後 の 処 理 方 法 とその 妥 当 性 3 その 他 委 員 会 が 必 要 と 認 めた 事 項 任 期 は 2012 年 7 月 3 日 から 評 議 員 会 に 報 告 書 を 提 出 するまでとする 留 意 事 項 事 情 聴 取 者 から 希 望 があった 場 合 は 立 会 人 を 同 席 させることができる 3. 委 員 構 成 委 員 の 構 成 は 以 下 のとおりで 青 木 清 久 世 表 士 品 田 豊 の 3 名 は 学 園 関 係 者 である が 齋 藤 勉 後 藤 昌 弘 の 2 名 は 学 園 外 の 弁 護 士 とし 透 明 性 中 立 性 を 保 つような 委 員 構 成 となっている 委 員 齋 藤 勉 弁 護 士 ( 愛 知 県 弁 護 士 会 元 会 長 ) 委 員 後 藤 昌 弘 弁 護 士 ( 愛 知 県 弁 護 士 会 元 副 会 長 ) 委 員 青 木 清 検 証 委 員 会 委 員 長 評 議 員 南 山 大 学 副 学 長 2

委 員 久 世 表 士 弁 護 士 ( 南 山 学 園 顧 問 ) 委 員 品 田 豊 カトリック 神 言 修 道 会 事 務 局 長 Ⅱ. 資 産 運 用 問 題 総 括 委 員 会 による 調 査 経 過 検 証 委 員 会 の 資 産 運 用 問 題 に 関 する 報 告 書 を 踏 まえて デリバティブ 取 引 に 関 する 問 題 点 を 再 度 洗 い 出 す 作 業 を 行 ったうえ 前 理 事 長 前 財 務 担 当 理 事 常 務 理 事 副 学 長 に 対 して 事 情 聴 取 を 行 い 本 報 告 書 を 作 成 した 第 1 回 委 員 会 2012 年 8 月 3 日 ( 金 ) 午 後 6 時 から 委 員 長 を 互 選 し 久 世 表 士 を 委 員 長 とした 調 査 を 進 めるにあたっての 資 料 を 確 認 し た 第 2 回 委 員 会 2012 年 8 月 30 日 ( 木 ) 午 後 7 時 から 資 料 をもとに 問 題 点 について 議 論 を 行 った 第 3 回 委 員 会 2012 年 9 月 27 日 ( 木 ) 午 後 7 時 から 資 料 をもとに 問 題 点 について 議 論 を 行 った 第 4 回 委 員 会 2012 年 10 月 23 日 ( 火 ) 午 後 7 時 から 資 料 をもとに 問 題 点 についての 議 論 を 整 理 し 1 前 財 務 担 当 理 事 2 前 理 事 長 3 副 学 長 ( 危 機 管 理 ワーキンググループ 委 員 資 産 運 用 チーム 委 員 ) 4 常 務 理 事 から 事 情 聴 取 を 行 うことを 決 定 した 第 5 回 委 員 会 2012 年 11 月 19 日 ( 月 ) 午 後 2 時 から 前 理 事 長 常 務 理 事 副 学 長 からそれぞれ 事 情 聴 取 を 行 った 第 6 回 委 員 会 2012 年 11 月 29 日 ( 木 ) 午 前 9 時 30 分 から 前 財 務 担 当 理 事 から 事 情 聴 取 を 行 った 第 7 回 委 員 会 2012 年 12 月 13 日 ( 木 ) 午 後 6 時 から 事 前 配 付 した 報 告 書 案 に 基 づき 報 告 書 の 作 成 作 業 を 行 った Ⅲ. 南 山 学 園 のデリバティブ 取 引 の 開 始 から 解 約 までの 事 実 の 概 要 南 山 学 園 は 2005 年 8 月 30 日 のA 証 券 との 有 価 証 券 店 頭 指 数 等 スワップ 取 引 のデリバ ティブ 取 引 を 初 回 として 2008 年 6 月 までの 間 にA 証 券 B 証 券 C 証 券 D 證 券 E 証 券 F 証 券 の 6 社 と 有 価 証 券 店 頭 指 数 等 スワップ 取 引 通 貨 スワップ 為 替 レート 連 動 金 利 スワップ プットオプション 日 経 平 均 トリガー 型 CMS 連 動 スワップ 日 経 平 均 及 び 3

FX トリガー 型 金 利 スワップ 2 通 貨 為 替 連 動 スワップ 長 期 為 替 取 引 シンセティク CDO などのデリバティブ 取 引 を 36 契 約 締 結 した ところが 2008 年 9 月 に 発 生 したリーマン ブラザーズの 経 営 破 綻 を 契 機 に 多 額 の 損 失 が 発 生 する 事 態 となった 南 山 学 園 ではこの 危 機 に 対 処 するため 危 機 管 理 ワーキンググループを 設 置 して 2009 年 1 月 10 日 から 2009 年 3 月 19 日 までの 間 に 6 回 の 会 議 を 開 催 して 当 面 の 南 山 学 園 の 経 営 危 機 を 回 避 するた めの 対 策 を 検 討 し その 後 資 産 運 用 チームを 設 置 して 2009 年 5 月 26 日 から 現 在 までの 間 に 27 回 の 会 議 を 開 催 して 資 産 運 用 を 総 合 的 に 検 討 する 中 で デリバティブ 契 約 の 解 約 を 順 次 検 討 し その 検 討 結 果 を 踏 まえて 常 務 理 事 会 において 解 約 を 進 めた また これと 並 行 して 評 議 員 会 の 下 に 検 証 委 員 会 を 設 置 し 2009 年 7 月 29 日 に 検 証 委 員 会 の 資 産 運 用 問 題 に 関 する 報 告 書 を 受 けつつ 2009 年 度 から 2017 年 度 までの 9 ヵ 年 で 解 約 する 計 画 を 立 てて 解 約 を 進 めることとしたが その 後 計 画 より 1 年 早 い 2016 年 度 までに 前 倒 ししてすべての 解 約 を 終 える 見 通 しを 立 て さらに 本 委 員 会 設 置 後 の 2012 年 11 月 には 解 約 に 要 する 資 金 の 目 途 がついたことから すべてのデリバティブ 契 約 の 解 約 を 行 いその 処 理 を 終 えた その 結 果 一 連 のデリバティブ 取 引 による 損 失 総 額 は 約 259 億 7775 万 円 利 益 総 額 は 約 30 億 7935 万 円 となり 結 局 のところ 差 引 約 228 億 9840 万 円 の 損 失 を 計 上 してその 処 理 を 終 えた Ⅳ.デリバティブ 取 引 開 始 から 損 失 発 生 までの 責 任 の 所 在 1.デリバティブ 取 引 についての 本 委 員 会 の 基 本 的 認 識 本 委 員 会 は 次 に 指 摘 する2つの 観 点 から 南 山 学 園 はデリバティブ 取 引 を 行 ってはな らなかったと 考 える まず デリバティブ 取 引 は その 仕 組 みや 取 引 の 方 法 が 複 雑 であり かつ 通 常 の 株 式 の 運 用 などとは 異 なって 最 大 損 失 の 特 定 ができないことから 膨 大 なリスクを 伴 う 取 引 で ある 為 替 のデリバティブ 取 引 は 外 国 と 取 引 をする 企 業 が 為 替 の 変 動 による 損 失 をヘ ッジするために 行 うことには 経 済 的 合 理 性 があるが 学 校 法 人 は 学 納 金 により 運 営 経 費 を 賄 うことを 基 本 とするのであるから 為 替 変 動 による 損 失 をヘッジする 必 要 など 全 くな いことから 学 校 法 人 である 南 山 学 園 が 為 替 のデリバティブ 取 引 をはじめとするデリバ ティブ 取 引 を 敢 えて 行 う 合 理 的 な 理 由 は 全 くなかった デリバティブ 取 引 によって 利 益 が 出 ようが 損 が 出 ようが いずれにせよ デリバティブ 取 引 は 学 校 法 人 たる 南 山 学 園 が 行 ってはならない 取 引 であったと 考 える デリバティブ 取 引 により 約 30 億 7935 万 円 の 利 4

益 があったことは 認 められるが 利 益 損 失 の 有 無 にかかわらず デリバティブ 取 引 は 行 ってはならなかった 次 に デリバティブ 取 引 は 元 本 すなわち 資 産 というものがないから 資 産 の 運 用 では ない デリバティブ 取 引 を 開 始 した 2005 年 8 月 30 日 時 点 において 資 産 運 用 の 規 範 とな るのは 資 産 運 用 方 針 及 び 運 用 指 針 (2003 年 5 月 23 日 に 学 園 理 事 会 で 審 議 承 認 )と 2005 年 度 資 産 運 用 方 針 (2005 年 5 月 20 日 に 学 園 理 事 会 報 告 )であったが デリバテ ィブ 取 引 は そこに 定 められた 流 動 性 資 産 安 定 性 資 産 収 益 性 資 産 のいずれにも 該 当 し ない すなわち そこには 流 動 性 資 産 ( 安 全 性 や 流 動 性 が 高 いが 利 息 収 入 は 低 い 資 産 ) 安 定 性 資 産 ( 安 全 性 は 高 いが 流 動 性 は 低 く 利 息 収 入 は 流 動 性 資 産 より 高 い 資 産 ) 収 益 性 資 産 ( 元 本 割 れの 危 険 性 が 伴 うもので その 分 キャピタルゲインや 利 息 収 入 が 高 い 資 産 ) の3つの 資 産 が 規 定 されているが デリバティブ 取 引 においては 元 本 がないから いずれ の 資 産 にも 該 当 しない そうだとすると 南 山 学 園 において 2005 年 8 月 30 日 にデリバ ティブ 取 引 を 開 始 することは その 当 時 における 資 産 運 用 方 針 と 資 産 運 用 方 針 及 び 資 産 運 用 指 針 ( 以 下 双 方 を 合 わせて 指 針 という )の 規 制 の 枠 外 の 取 引 を 開 始 する ことを 意 味 する 言 い 換 えれば 指 針 に 反 する 取 引 を 開 始 したと 言 わざるを 得 ない 2006 年 に 指 針 の 収 益 性 資 産 に 金 融 派 生 商 品 が 加 えられているが デリバティブ 取 引 に はそもそも 資 産 がないことから 字 句 を 加 えてみてもそれによりデリバティブ 取 引 が 可 能 になったとは 言 えないと 考 える 2. 今 回 の 損 失 を 招 くに 至 った 原 因 の 分 析 と 責 任 今 回 の 損 失 を 招 くに 至 った 原 因 は デリバティブ 取 引 に 対 するリスクの 認 識 の 欠 如 と 指 針 の 不 遵 守 にあったと 考 えられる 関 係 者 の 当 時 の 認 識 とその 責 任 を 考 えてみたい (1) 前 財 務 担 当 理 事 の 認 識 と 責 任 (a)デリバティブ 取 引 に 対 するリスク 認 識 前 財 務 担 当 理 事 ( 以 下 財 務 担 当 理 事 という )は ゼロ 金 利 ペイオフの 問 題 が 浮 上 した 中 で 南 山 学 園 の 財 務 体 質 を 強 化 するため 運 用 益 を 上 げることを 目 的 として 私 心 なくデリバティブ 取 引 を 行 ったことが 認 められる 自 己 または 第 三 者 の 利 益 を 図 っ たり 南 山 学 園 に 損 失 を 与 える 目 的 など 背 任 を 疑 わせるような 事 実 は 全 く 認 められない しかし 財 務 担 当 理 事 には デリバティブ 取 引 に 関 するリスクの 認 識 すなわち デリ バティブ 取 引 は 最 大 損 失 を 特 定 することができず 膨 大 な 損 失 を 被 る 恐 れがあるという 5

デリバティブ 取 引 に 内 在 する 潜 在 的 リスクについての 認 識 がなかった 事 情 聴 取 におい ても 財 務 担 当 理 事 は デリバティブ 取 引 に 底 なしのリスクがあると 認 識 したのは 2008 年 9 月 にリーマンショックが 起 こったときであると 述 べている また 後 に 改 めて 検 討 するが デリバティブ 取 引 の 開 始 継 続 が 指 針 の 不 遵 守 に 該 当 する 行 為 であること についても 認 識 が 希 薄 であったことを 指 摘 せざるをえない 財 務 担 当 理 事 は この2つ の 誤 った 認 識 のもとにデリバティブ 取 引 を 開 始 継 続 してしまった 財 務 担 当 理 事 の 専 攻 がオペレーションズ リサーチであるとしても デリバティブ 取 引 の 実 務 的 な 知 識 や 取 引 経 験 はなかった 財 務 担 当 理 事 は 南 山 学 園 の 資 産 管 理 についての 実 務 責 任 者 であ って 南 山 学 園 の 資 産 を 善 良 なる 管 理 者 の 注 意 義 務 をもって 管 理 運 用 しなければならな い 立 場 にあったのであるから デリバティブ 取 引 を 開 始 するにあたり その 商 品 特 性 と リスクを 十 分 に 検 討 する 必 要 があった 財 務 担 当 理 事 には デリバティブ 取 引 の 実 務 的 な 知 識 や 取 引 経 験 がなかったとしても デリバティブ 取 引 の 商 品 特 性 やリスクについて 調 査 検 討 する 能 力 を 有 していたと 考 えられる しかし 現 実 には 業 者 と 応 対 した 前 財 務 事 務 室 長 ( 以 下 財 務 事 務 室 長 という )からの 報 告 説 明 を 受 けてデリバティブ 取 引 契 約 の 締 結 を 判 断 することをもって 良 しとし 自 ら 契 約 書 等 を 検 討 するなどしてデリ バティブ 取 引 の 商 品 特 性 やリスクについて 十 分 検 討 することなく デリバティブ 取 引 の 開 始 継 続 を 了 承 していった 膨 大 なリスク 発 生 の 可 能 性 があるにもかかわらず その リスクについての 認 識 を 欠 いたまま 証 券 会 社 等 の 勧 誘 説 明 を 受 けた 財 務 事 務 室 長 の 報 告 説 明 に 従 って デリバティブ 取 引 を 開 始 し それを 継 続 したことは 財 務 担 当 理 事 が 大 学 教 育 職 員 として 当 時 3つのキャンパスで 教 鞭 をとり 多 忙 であったとしても そ の 職 責 の 重 要 さからみて やはり 責 任 があると 言 わざるをえない さらに 2007 年 4 月 18 日 の 常 務 理 事 会 において A 証 券 との 有 価 証 券 店 頭 指 数 等 ス ワップ 取 引 において 約 4 億 4000 万 円 程 の 損 失 が 発 生 した 際 に 前 常 任 監 事 ( 以 下 常 任 監 事 という ) 常 務 理 事 から デリバティブ 取 引 のリスクについて 注 意 喚 起 の 発 言 があった 際 には 有 価 証 券 店 頭 指 数 等 スワップ 取 引 に 関 するデリバティブ 取 引 のリスク を 認 識 したにもかかわらず 為 替 のデリバティブのリスクについては 具 体 的 な 円 高 リ スクを 想 定 せず 為 替 がゼロになることはないとの 楽 観 的 な 認 識 のもとに 米 ドルだけ ではリスクがあるので ユーロ 豪 ドルなどでもデリバティブ 取 引 を 行 ってリスクを 分 散 すれば リスクはヘッジできると 考 え その 後 も 15 のデリバティブ 契 約 を 次 々と 締 結 して 取 引 を 継 続 したことは 財 務 担 当 理 事 としてやはり 楽 観 に 過 ぎ 責 任 があると 言 わ 6

ざるをえない (b) 指 針 の 不 遵 守 前 記 したとおり 2005 年 8 月 30 日 の 初 回 のデリバティブ 取 引 は 運 用 する 資 産 がそ もそも 存 在 しないことから 当 時 の 指 針 によって 規 律 できない 枠 外 の 取 引 であるか ら そのような 取 引 を 指 針 を 変 更 することなく 行 うことは 指 針 の 違 反 となる しかも この 初 回 取 引 は 検 証 委 員 会 の 報 告 書 にあるように 本 来 は 常 務 理 事 会 に 事 前 に 諮 るべきであるのに 諮 らず 事 務 ラインで 起 案 決 裁 書 に 財 務 担 当 理 事 事 務 局 長 が 承 認 するかたちで 進 められた そして 2006 年 春 以 降 の 取 引 は 財 務 担 当 理 事 の 口 頭 了 解 のもとに 契 約 締 結 をし 起 案 決 裁 が 事 後 的 に 処 理 されていくというスタイルが 定 着 してしまった まず 指 針 では 規 律 されないデリバティブ 取 引 を 指 針 を 変 更 することなく 行 った 点 である 初 回 取 引 の 起 案 書 には デリバティブ 取 引 については 別 途 資 産 運 用 方 針 に 項 目 を 追 加 する 予 定 です と 記 されているので 財 務 担 当 理 事 はデリバティブ 取 引 が 指 針 にない 取 引 であることを 認 識 していたと 考 えられる 財 務 担 当 理 事 がデ リバティブ 取 引 開 始 後 初 めて 開 かれた 2005 年 10 月 19 日 の 常 務 理 事 会 で 指 針 への 追 加 予 定 の 必 要 性 についてどのような 説 明 をしたのかは 事 情 聴 取 の 結 果 によっても 判 然 しなかったが 指 針 の 変 更 が 必 要 な 取 引 を 指 針 を 変 更 することなく 開 始 した ことは 事 実 であり 問 題 である もっとも 2006 年 4 月 14 日 学 内 理 事 会 において 資 産 運 用 指 針 及 び 運 用 指 針 を 変 更 して 金 融 派 生 商 品 との 字 句 を 加 えて 指 針 との 関 係 を 形 式 的 に 整 えたが デリバティブ 取 引 には 資 産 に 当 たるものがないので 収 益 性 資 産 にはそもそも 当 てはまらないから 金 融 派 生 商 品 の 字 句 を 指 針 に 加 筆 しただけ では 問 題 の 解 決 にならないことは 明 らかである 財 務 担 当 理 事 の 処 理 は 結 果 として 指 針 の 骨 抜 きを 意 味 する 新 たにデリバティブ 取 引 を 行 うには 少 なくとも 新 しい4 番 目 のカテゴリーを 作 る 必 要 性 があった 財 務 担 当 理 事 は 2009 年 9 月 1 日 付 の 意 見 書 において デリバティブ 取 引 は 資 産 運 用 方 針 の 運 用 比 率 に 含 まれないからこそ 2007 年 度 (2008 年 度 の 誤 記 )の 資 産 運 用 方 針 にはロスカットのルールが 追 加 され デリバティブ 取 引 の 時 価 総 額 が 金 融 資 産 総 額 の 35%を 超 えないようにキャップを かぶせる 方 針 を 担 当 理 事 は 常 務 理 事 会 に 提 案 し 承 認 を 得 ている として 上 記 の ような 指 針 の 変 更 であっても 35%の 上 限 ルールにより デリバティブ 取 引 の 7

運 用 は 制 限 されていたと 説 明 している しかし デリバティブ 取 引 には 時 価 総 額 と いうものはなく デリバティブ 取 引 は 最 大 損 失 が 特 定 できない 取 引 であるから 解 約 損 を 時 価 総 額 に 見 立 て その 時 価 総 額 に 運 用 資 産 全 体 の 35%のキャップをかぶせ る 制 約 の 方 法 は 指 針 の 趣 旨 を 正 しく 理 解 したものではないと 言 わざるを 得 ない 仮 に 第 4 番 目 のカテゴリーとして 元 本 のないデリバティブ 取 引 を 指 針 に 加 える ことが 提 案 されたなら デリバティブ 取 引 が 資 産 の 運 用 ではないことが 自 明 となり 常 務 理 事 会 学 内 理 事 会 において デリバティブ 取 引 のリスクに 気 付 く 契 機 になり 得 たと 考 えられる しかし 単 に 金 融 派 生 商 品 の 字 句 を 加 える 形 で 処 理 されてしまったた め そのようなことに 気 付 くことなくデリバティブ 取 引 が 継 続 されて 行 くところとなっ てしまった いずれにしても デリバティブ 取 引 には 元 本 がなく 従 って 元 本 の 運 用 で はないという 基 本 的 な 理 解 を 欠 いた 指 針 の 変 更 は デリバティブ 取 引 のリスクに 対 する 常 務 理 事 会 学 内 理 事 会 の 認 識 を 大 きく 誤 らせるところとなった このような 誤 り を 導 いた 点 において 財 務 担 当 理 事 には 責 任 があると 言 わざるをえない 以 上 の 指 摘 した 点 において 財 務 担 当 理 事 の 責 任 は 重 いと 言 わざるをえない (2) 前 財 務 事 務 室 長 の 認 識 とその 責 任 財 務 事 務 室 長 は 日 常 的 な 資 産 管 理 の 実 務 担 当 責 任 者 であり 証 券 会 社 等 との 取 引 の 窓 口 になる 役 職 にあるから 資 産 運 用 にあたって 金 融 商 品 の 商 品 性 やそのリスクにつ いて 調 査 検 討 し リスク 等 があれば 財 務 担 当 理 事 や 上 長 に 注 意 を 喚 起 すべき 役 職 である ところ 検 証 委 員 会 の 事 情 聴 取 によると 証 券 会 社 担 当 者 の 元 手 が 不 要 でリスクはそれ ほど 大 きくなく リターンが 見 込 めるとの 説 明 をそのまま 信 じ デリバティブ 取 引 につ いて 調 査 検 討 していないことが 認 められる 財 務 事 務 室 長 は 財 務 担 当 理 事 への 事 実 の 報 告 と 決 裁 を 得 ることを 専 らとしていたように 見 受 けられる これらの 業 務 遂 行 は 財 務 担 当 理 事 の 指 示 のもとで 業 務 を 行 っていたとしても 財 務 事 務 室 長 として 期 待 される 職 務 を 果 たしたとはやはり 言 い 難 い また 前 記 した 財 務 担 当 理 事 の 認 識 と 責 任 において 指 摘 したように デリバティブ 取 引 は 指 針 の 枠 外 の 取 引 であり 検 証 委 員 会 の 事 情 聴 取 の 結 果 によると 財 務 事 務 室 長 はそのことについての 認 識 もあったのであるから 内 部 規 律 である 指 針 に 違 反 してデリバティブ 取 引 を 行 ったことについては 財 務 担 当 理 事 と 同 様 の 内 部 規 律 違 反 の 責 任 があると 考 える 8

(3) 常 務 理 事 会 の 認 識 と 責 任 常 務 理 事 会 は 理 事 長 ほか 常 務 理 事 で 構 成 される 財 務 担 当 理 事 を 除 けば 金 融 派 生 商 品 特 にデリバティブ 取 引 に 関 しては 知 識 経 験 を 有 していたとは 言 えない 財 務 担 当 理 事 は 常 務 理 事 会 の 構 成 員 であったが 事 情 聴 取 の 結 果 によると デリバティブ 取 引 が 最 大 損 失 が 特 定 できない 取 引 であって 巨 額 の 損 失 を 招 来 するリスクを 有 すること を 認 識 したのは 2008 年 9 月 のリーマンショックのときであるとのことであるから 理 事 長 をはじめ 常 務 理 事 会 構 成 員 は 常 務 理 事 会 において 財 務 担 当 理 事 からデリバティ ブ 取 引 のリスクについて 十 分 な 説 明 を 受 けていなかったと 認 められる 従 って 金 融 派 生 商 品 やデリバティブ 取 引 について 詳 しくない 理 事 長 および 他 の 常 務 理 事 に 対 し デ リバティブ 取 引 の 取 引 開 始 時 におけるリスク 認 識 を 期 待 することは 難 しいと 考 えられ る しかしながら 次 の 点 において 理 事 長 および 常 務 理 事 会 の 対 応 には 問 題 があった と 考 える まず 初 回 のデリバティブ 取 引 に 関 して 常 務 理 事 会 の 事 後 承 認 を 前 提 に 理 事 長 が 財 務 担 当 理 事 から 求 められたデリバティブ 契 約 締 結 に 特 に 疑 問 を 持 つことなく 署 名 し また デリバティブ 取 引 契 約 を 常 務 理 事 会 が 承 認 する 前 に 締 結 したことを 問 題 視 するこ となく 容 認 してしまったことである 事 情 聴 取 の 結 果 によると 理 事 長 も 他 の 常 務 理 事 もデリバティブ 取 引 がハイリスク ハイリターンの 取 引 であることは 理 解 していたもの の 最 大 損 失 が 特 定 できない 大 きなリスクがある 取 引 であること デリバティブ 取 引 は 元 本 のある 収 益 性 資 産 の 運 用 であると 認 識 し 元 本 のない 取 引 であるとの 認 識 はなかっ たことが 認 められる このような 認 識 は 財 務 担 当 理 事 自 身 にリスク 認 識 が 乏 しく か つ デリバティブ 取 引 は 収 益 性 資 産 に 含 まれる 取 引 であるとの 説 明 のもとでは デリバ ティブ 取 引 は 株 と 同 様 に 通 常 の 収 益 性 資 産 の 運 用 の1つであり 常 務 理 事 会 の 事 後 承 認 があれば 何 ら 問 題 がないと 考 えたのも 無 理 からぬところがある また 2006 年 の 指 針 における 収 益 性 資 産 に 金 融 派 生 商 品 を 加 えたことに 関 しても デリバティブ 取 引 に は 資 産 がない 簿 外 取 引 であることの 認 識 がない 以 上 特 段 疑 問 を 持 たなかったことも 自 然 の 成 り 行 きであり 常 務 理 事 会 にこれに 対 して 疑 義 を 呈 することを 期 待 するのは 困 難 であると 考 えられる もっとも 前 記 のとおり 2006 年 4 月 24 日 に 締 結 したA 証 券 との 有 価 証 券 店 頭 指 数 等 スワップ 取 引 に 関 して 約 4 億 4000 万 円 程 の 損 失 が 発 生 し 財 務 担 当 理 事 から 常 務 理 事 会 に 報 告 がなされ 常 任 監 事 常 務 理 事 から 注 意 喚 起 があったが ここでは 株 に 関 9

する 有 価 証 券 店 頭 指 数 等 スワップ 取 引 のデリバティブのリスクを 認 識 しただけで 為 替 のデリバティブ 取 引 のリスクについては 議 論 されることはなかった ここでの 多 額 の 損 失 発 生 が 為 替 を 含 むデリバティブ 取 引 全 体 に 対 するリスクの 再 検 討 に 結 びつかなかっ た 為 替 のデリバティブ 取 引 を 行 う 必 要 性 やデリバティブ 取 引 のリスクの 大 きさ 等 に ついての 認 識 がなく 財 務 担 当 理 事 に 任 せて 利 益 が 出 ておれば それで 良 しとする 空 気 のなかでデリバティブ 取 引 が 継 続 されて 行 った やはり この 時 点 において 理 事 長 常 務 理 事 がデリバティブについては 専 門 外 であるとはいえ デリバティブ 取 引 について 自 ら 調 査 検 討 したり あるいは 財 務 担 当 理 事 に 改 めてリスクの 検 討 を 指 示 したりするこ となく 財 務 担 当 理 事 に 任 せてしまった 点 については 常 務 理 事 会 の 財 務 担 当 理 事 に 対 する 信 頼 があったとはいえ 常 務 理 事 会 の 財 務 担 当 理 事 に 対 する 監 督 機 能 が 働 いていな かったことは 否 めない 常 務 理 事 会 においては 財 務 担 当 理 事 に 対 する 監 督 が 十 分 でな かったことについて 責 任 があると 言 わざるをえない (4) 前 常 任 監 事 の 認 識 と 責 任 検 証 委 員 会 の 事 情 聴 取 の 結 果 によると 他 の 常 務 理 事 と 同 様 に デリバティブ 取 引 の 仕 組 みやリスクについて 財 務 担 当 理 事 から 詳 しい 説 明 を 受 けていないことから デ リバティブ 取 引 は 債 券 と 同 様 のものと 認 識 し また デリバティブ 取 引 が 信 用 取 引 と 同 じように 底 なしであるとの 認 識 もなかった デリバティブ 取 引 は 指 針 の 収 益 性 資 産 に 入 るものと 錯 覚 し 指 針 に 反 するという 認 識 もなかった しかし 2007 年 4 月 18 日 の 常 務 理 事 会 で A 証 券 との 有 価 証 券 店 頭 指 数 等 スワップ 取 引 に 関 して 約 4 億 4000 万 円 程 の 損 失 が 発 生 したときには 今 後 リスクが 大 きく 不 安 定 なものは 止 めるべ きである 学 習 したと 思 うし 警 告 と 理 解 して 今 後 はこのような 取 引 は 避 けるべきであ る と 指 摘 するなど 常 任 監 事 として 必 要 な 職 責 を 果 たしている その 後 のデリバテ ィブ 取 引 に 関 する 対 応 については 理 事 長 常 務 理 事 と 同 様 の 問 題 がないわけではない が 常 任 監 事 が 執 行 機 関 でないことに 鑑 みるとその 責 任 を 一 応 果 たしていると 考 える (5) 責 任 についての 総 括 財 務 担 当 理 事 財 務 事 務 室 長 常 務 理 事 会 および 常 任 監 事 の 責 任 については 以 上 に 述 べたとおりであるが 以 下 において 関 係 者 の 責 任 について 総 合 的 に 検 討 したい 財 務 担 当 理 事 はデリバティブ 取 引 に 内 在 する 潜 在 的 リスクについて 十 分 な 検 討 を 行 うことなく 10

業 者 からの 勧 誘 説 明 を 受 けた 財 務 事 務 室 長 の 報 告 等 を 受 けてデリバティブ 取 引 を 開 始 継 続 したこと デリバティブ 取 引 には 元 本 が 存 在 しないから 指 針 の 枠 外 の 取 引 であるに もかかわらず 収 益 性 資 産 として 扱 い デリバティブ 取 引 には 時 価 総 額 というものがな いことを 認 識 しながら 解 約 損 を 時 価 総 額 に 見 立 て その 時 価 総 額 が 金 融 資 産 総 額 の 35%を 超 えないようにすれば 規 制 がかかるという 指 針 が 本 来 考 える 規 制 とは 異 なる 運 用 をしたこと 2007 年 4 月 にA 証 券 との 有 価 証 券 店 頭 指 数 等 スワップ 取 引 におい て 約 4 億 4000 万 円 程 の 損 失 が 発 生 した 際 に 株 のデリバティブはリスクが 高 いとして 以 後 は 株 に 関 するデリバティブ 取 引 を 行 わなかったものの 為 替 のデリバティブのリスク については 為 替 がゼロになることはないとの 楽 観 的 な 認 識 のもとに 米 ドルだけではリ スクがあるので ユーロや 豪 ドルなどでもデリバティブ 取 引 を 行 ってリスクを 分 散 すれば ヘッジできるとして 具 体 的 な 円 高 リスクを 考 えなかったこと そして 以 上 の 点 につい て 財 務 担 当 理 事 が 常 務 理 事 会 で 十 分 な 説 明 を 行 わなかったことについては 財 務 担 当 理 事 の 重 い 職 責 を 考 えた 場 合 結 果 責 任 を 超 えた 責 任 があると 考 える 財 務 事 務 室 長 につい ては 財 務 担 当 理 事 に 従 属 的 ではあるが 内 部 規 律 ( 指 針 ) 違 反 があると 言 わざるをえ ない 理 事 長 常 務 理 事 については 財 務 担 当 理 事 にデリバティブ 取 引 に 関 するリスク 認 識 が 十 分 でなく また 財 務 担 当 理 事 からデリバティブ 取 引 について 十 分 な 説 明 を 受 けて いなかったことが 認 められるが デリバティブ 取 引 について 十 分 な 理 解 ができないまま また A 証 券 の 有 価 証 券 店 頭 指 数 等 スワップ 取 引 について 損 失 が 発 生 した 際 デリバティ ブ 取 引 についてリスクがあることについて 一 定 の 認 識 があったのに 財 務 担 当 理 事 に 任 せ てしまっていた 点 について 財 務 担 当 理 事 に 対 する 監 督 責 任 が 全 うされなかったと 言 わざ るをえないと 考 える 常 任 監 事 については 2007 年 4 月 のA 証 券 との 有 価 証 券 店 頭 指 数 等 スワップ 取 引 において 損 が 発 生 した 際 に デリバティブ 取 引 の 危 険 性 を 常 務 理 事 会 にお いて 指 摘 していることから その 後 の 対 応 については 理 事 長 常 務 理 事 と 同 様 の 問 題 がな いわけではないが 常 任 監 事 が 執 行 機 関 でないことに 鑑 みると 一 応 の 責 任 を 果 たしている と 考 える 以 上 を 基 に 関 係 者 の 法 的 な 責 任 を 考 えてみたい まず 財 務 担 当 理 事 理 事 長 およ び 常 務 理 事 には 南 山 学 園 に 対 して 損 害 を 与 える 意 図 は 全 くないので 刑 事 責 任 を 基 礎 付 けるような 事 実 は 全 く 認 められなかった 民 事 責 任 について 検 討 する 財 務 担 当 理 事 は 南 山 学 園 の 資 産 を 財 務 担 当 理 事 として 善 良 なる 管 理 者 の 注 意 義 務 を 負 う 立 場 にあり デリ バティブ 取 引 のリスクを 十 分 検 討 することなく しかも 南 山 学 園 の 資 産 運 用 を 規 律 する 11

指 針 に 反 するデリバティブ 取 引 を 開 始 し 継 続 したのであるから 上 記 したように 結 果 責 任 を 超 えた 責 任 があると 言 わざるを 得 ない しかし 本 件 デリバティブ 取 引 は 財 務 担 当 理 事 が 独 断 専 行 して 行 ったものではなく デリバティブ 取 引 の 開 始 については 常 務 理 事 会 の 事 後 承 認 のもとに 始 められ その 後 の 取 引 の 開 始 継 続 についても 常 務 理 事 会 に 報 告 がなされていること 指 針 の 変 更 についても 前 記 したような 問 題 はあるものの 常 務 理 事 会 学 内 理 事 会 の 承 認 を 得 て 収 益 性 資 産 に 金 融 派 生 商 品 を 加 えていること リ ーマンショックを 契 機 に 始 まった 円 高 それに 伴 う 多 額 の 損 失 の 発 生 については 一 般 の 想 定 をはるかに 上 回 るものであったこと 証 券 会 社 等 の 勧 誘 においては リスクについて の 書 面 説 明 はあるものの 証 券 会 社 等 から 商 品 説 明 を 実 際 に 受 けた 財 務 事 務 室 長 にはその リスクが 伝 っていなかったこと 常 務 理 事 会 の 監 督 機 能 が 十 分 でなかったこと 公 認 会 計 士 から 財 務 事 務 室 長 に 対 してデリバティブ 取 引 のリスクの 指 摘 やデリバティブ 取 引 の 額 が 大 きすぎるとの 指 摘 はあったものの リスクに 対 するそれ 以 上 の 指 摘 はなかったこと さらには 財 務 担 当 理 事 の 主 観 的 側 面 すなわち 自 らは オペレーションズ リサーチ の 専 門 家 としてデリバティブ 取 引 について 十 分 理 解 をしているとの 自 負 はあったものの 2008 年 9 月 のリーマンショックに 至 るまでは デリバティブ 取 引 に 底 なしのリスクがあ るとの 認 識 がなかったこと それは 他 の 理 事 についても 同 様 であったことなどの 事 実 を 合 わせ 考 えると 本 委 員 会 としては 財 務 担 当 理 事 に 南 山 学 園 の 内 部 規 律 ( 指 針 ) 違 反 の 責 任 があることは 当 然 としても 損 害 賠 償 責 任 等 の 民 事 責 任 を 問 うに 足 りる 事 実 を 立 証 す ることには 困 難 を 伴 うという 結 論 に 達 した そのため 財 務 担 当 理 事 に 民 事 責 任 があると 断 定 する 結 論 付 けには 至 らなかった 理 事 長 常 務 理 事 の 民 事 責 任 については デリバテ ィブ 取 引 に 関 する 専 門 的 な 知 識 や 経 験 もなく 財 務 担 当 理 事 の 説 明 が 十 分 でなかった 事 実 に 鑑 みれば 財 務 担 当 理 事 に 殆 どを 任 せていた 事 実 をもって 民 事 責 任 を 問 うことには 無 理 があると 考 える 常 任 監 事 については 上 記 した 常 任 監 事 としての 職 責 は 果 たしているも のと 考 えられるので 責 任 はないと 考 える 財 務 事 務 室 長 には 内 部 規 律 ( 指 針 ) 違 反 の 責 任 はあるが 財 務 担 当 理 事 に 従 属 しており 法 的 な 責 任 はないと 考 える 最 後 に 南 山 学 園 のガバナンスの 問 題 について 触 れたい 検 証 委 員 会 の 報 告 書 にもある が 南 山 学 園 の 統 括 運 営 体 制 の 問 題 について 一 言 述 べることにする 南 山 学 園 では 本 件 デリバティブ 問 題 の 発 生 に 至 るまでは 資 産 運 用 に 関 して 大 きな 問 題 を 生 じることなく 順 調 に 推 移 してきたこともあって 資 産 の 運 用 体 制 についても 指 針 を 設 けることのほか には 特 に 資 産 運 用 体 制 を 見 直 すような 動 きはなかったことが 認 められる しかし 近 時 の 12

世 界 経 済 や 日 本 経 済 の 動 きはめまぐるしく 先 を 見 通 すことは 極 めて 困 難 な 経 済 状 況 にあ るなか デリバティブのような 新 しい 金 融 派 生 商 品 が 現 れるようになった しかし 南 山 学 園 の 資 産 運 用 体 制 は 経 済 情 勢 の 変 化 に 対 応 することはなかった すなわち これまで は 選 任 された 財 務 担 当 理 事 1 人 に 対 し 極 めて 強 い 人 的 信 頼 をおいて 資 産 運 用 を 任 せてい たと 言 える 今 回 のデリバティブ 問 題 に 関 しては 財 務 担 当 理 事 がオペレーションズ リ サーチの 専 門 家 で 経 済 経 営 に 詳 しいということから 資 産 の 運 用 管 理 を 任 せていた と 言 える これは 財 務 担 当 理 事 1 人 の 資 質 に 全 面 的 に 依 存 する 資 産 運 用 体 制 になっていた ことを 意 味 する このことは 反 面 財 務 担 当 理 事 に 対 する 常 務 理 事 会 学 内 理 事 会 の 監 督 機 能 を 弱 める 方 向 に 作 用 してしまったと 言 える 以 上 の 南 山 学 園 の 資 産 運 用 体 制 の 特 殊 性 による 弱 点 が デリバティブ 問 題 において 露 呈 してしまったと 言 える Ⅴ.デリバティブ 損 失 発 生 後 の 処 理 方 法 とその 妥 当 性 1. 基 本 的 な 方 向 の 妥 当 性 本 委 員 会 の 基 本 認 識 は 南 山 学 園 としてはそもそもデリバティブ 取 引 を 行 うべきではな かったというものであり その 観 点 からはできる 限 り 早 くデリバティブ 取 引 を 終 了 させる べきであることは 当 然 である しかし 問 題 発 生 の 当 時 は 直 ちに 契 約 を 終 了 させると 多 額 の 損 失 を 発 生 させ 教 育 研 究 に 影 響 を 及 ぼすことが 必 至 であったことから 公 正 かつ 慎 重 にデリバティブ 取 引 問 題 に 対 処 するため デリバティブ 取 引 損 失 発 生 後 の 2009 年 1 月 10 日 に 危 機 管 理 ワーキンググループを 同 年 4 月 に 資 産 運 用 チームを 設 置 して 検 討 が なされ それと 並 行 して 同 年 4 月 3 日 に 検 証 委 員 会 を 設 置 してデリバティブ 問 題 を 検 証 し た このような 措 置 は 時 機 にかなった 適 正 な 処 理 であったと 評 価 できる また 2009 年 4 月 1 日 からは 最 大 損 失 が 特 定 できない 資 産 運 用 は 行 わないものとする との 規 定 を 盛 り 込 んだ 南 山 学 園 資 産 運 用 規 程 を 制 定 したことも 適 正 なものと 評 価 できる 2. 危 機 管 理 ワーキンググループおよび 資 産 運 用 チームの 設 置 の 妥 当 性 危 機 管 理 ワーキンググループにおいては 2009 年 1 月 10 日 から 同 年 3 月 19 日 までの 間 に6 回 資 産 運 用 チームにおいては 2009 年 5 月 26 日 から 現 在 までの 間 に 27 回 の 会 議 を 開 催 してこの 問 題 の 処 理 方 法 を 検 討 し この 検 討 結 果 を 踏 まえて 常 務 理 事 会 において リスクの 高 いものから 順 次 解 約 を 行 うことを 決 定 してこれを 執 行 し 本 委 員 会 を 設 置 し た 時 点 において 2016 年 度 までにはすべての 解 約 を 終 える 見 通 しとなった ただ 損 失 に 13

ついて 重 い 責 任 のある 財 務 担 当 理 事 が 損 失 発 生 後 2009 年 1 月 10 日 の 会 議 から 2009 年 9 月 11 日 までの 会 議 には 財 務 担 当 理 事 として 2009 年 10 月 26 日 の 会 議 から 2010 年 6 月 7 日 までの 会 議 には 顧 問 として 危 機 管 理 ワーキンググループおよび 資 産 運 用 チームに 参 加 していることから 危 機 管 理 ワーキンググループおよび 資 産 運 用 チームにおいて デ リバティブ 取 引 については 損 失 が 出 たから 終 息 させるのか そもそもデリバティブ 取 引 を 南 山 学 園 が 行 うべきでなかったから 終 息 させるのか という 根 本 問 題 について 十 分 な 検 討 がないまま 処 理 がなされていった 嫌 いがある しかし 当 時 はソフトランディン グによる 収 束 に 全 力 を 尽 くすとの 方 針 であったこと 財 務 担 当 理 事 がデリバティブ 取 引 の 経 緯 について 詳 しかったことから 同 人 抜 きには 収 束 に 向 けての 対 応 が 難 しかったと 考 えられることに 鑑 みれば 危 機 管 理 ワーキンググループおよび 資 産 運 用 チームによる 対 応 に 特 に 大 きな 問 題 があるとは 言 えない 3. 全 デリバティブ 取 引 の 解 約 の 妥 当 性 本 委 員 会 においてデリバティブ 問 題 の 総 括 的 検 討 をしているなかの 2012 年 11 月 6 日 に その 時 点 で 残 っていたデリバティブ 契 約 の 全 部 について 契 約 を 終 了 させて 損 失 を 確 定 させたが 当 初 予 定 の 2016 年 を 前 倒 しして 処 理 したことは 本 委 員 会 の 南 山 学 園 はデ リバティブ 取 引 を 行 ってはならなかったとの 基 本 認 識 からすれば 継 続 するデリバティ ブは 可 能 な 限 り 早 く 終 了 するのが 妥 当 との 考 えに 一 致 する 処 理 であり かつ 将 来 に 問 題 を 先 送 りせずに 前 倒 しで 解 約 処 理 したことは 英 断 であると 評 価 する 4. 具 体 的 な 処 理 の 妥 当 性 本 委 員 会 は 危 機 管 理 ワーキンググループおよび 資 産 運 用 チームと 常 務 理 事 会 が 行 っ た 個 々のデリバティブ 契 約 の 解 約 の 順 序 や 時 期 などを 始 めとする 具 体 的 な 処 理 内 容 につ いての 適 否 は いずれもそれぞれの 裁 量 による 判 断 であって その 評 価 は 様 々になるこ とから 具 体 的 処 理 についての 適 否 を 判 断 することは 困 難 と 考 え 上 記 を 検 証 するに 留 めたことを 付 言 する 以 上 14