ていくのである 販 売 手 数 料 の 削 減 に 務 め 収 益 の 悪 化 に 対 応 した 一 連 の 業 界 の 動 きは 従 来 の 旅 行 代 理 店 販 売 手 数 料 が 10% 15%に 対 して web サイト であれば5 8%と 半 減 することも 関 係 して いる 企 画



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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

2

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平 成 27 年 度 第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 の 運 用 資 産 額 は 2 兆 4,339 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +2.05%となりました 実 現 収 益 率 は +1.19%です

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タイトル

業 種 別 業 況 は 製 造 業 が 46.2 で 前 期 より 12.3 ポイント 低 下 ( 前 期 33.9) し 建 設 業 が 48.1 で 13.1 ポイントの 低 下 商 業 サービス 業 が 65.1 で 3.4 ポイントの 低 下 となりました 製 造 業 のポイントの 低 下

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住 宅 融 資 の 仕 組 み 住 宅 融 資 は 独 政 法 住 宅 融 援 機 構 ( 以 下 機 構 といいます )が う 融 機 関 の 住 宅 ローン 貸 出 に 対 する 公 的 な 信 用 です 住 宅 融 資 は 融 機 関 の う 住 宅 ローン 貸 出 の 損 害 を 填 補 す

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(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

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小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

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3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

Q IFRSの特徴について教えてください

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130117_『高齢社会をむかえた東京23区の将来 人口と建物の関係から見て

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Transcription:

訪 日 外 客 増 加 に 伴 う 宿 泊 市 場 とホテルの 競 争 優 位 の 関 連 性 一 尾 敏 正 はじめに 観 光 立 国 を 目 指 す 我 国 は 2015 年 に 多 くの 外 国 人 観 光 客 の 訪 日 で 観 光 地 の 賑 わいを 取 り 戻 した 特 に 中 国 人 観 光 客 がお 土 産 を 大 量 に 購 入 する 爆 買 がニュースで 頻 繁 に 報 じ られる 永 らく 景 気 低 迷 のために 業 績 が 上 向 かない 観 光 業 とりわけホテル 業 界 は V 字 回 復 である 市 場 における 従 来 の 競 争 優 位 の 戦 略 は こ の 状 況 の 中 でどこまで 有 効 なのか 稼 働 率 や ADR 1 をもとに 現 状 を 分 析 することでホテ ル 業 界 の 特 性 を 明 確 にすることを 試 みること にする 本 研 究 は 筆 者 が 特 に 実 績 を 正 確 に 把 握 し うる 関 西 エリアを 分 析 対 象 とすることで 考 察 を 確 かなものとする 始 めに 関 西 圏 における 観 光 客 の 動 向 を 三 都 ( 大 阪 京 都 神 戸 )に 分 類 し 比 較 する 次 に エリア 内 のホテルの 実 績 比 較 である 稼 働 率 平 均 客 室 販 売 価 格 を 三 都 で 比 較 検 討 する その 結 果 を 踏 まえ 業 界 の 競 争 優 位 は 差 別 化 戦 略 集 中 戦 略 コストリーダーシッ プ 戦 略 1などの 有 効 性 が 発 揮 できているのか を 考 察 する 1. 背 景 と 先 行 研 究 長 引 くデフレの 影 響 で 国 内 のホテル 業 界 の 業 績 は 落 ち 込 んでいた 特 に 2011 年 3 月 11 日 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 および 福 島 原 発 事 故 による 観 光 への 影 響 は 甚 大 であった 前 年 に 漸 く 訪 日 外 国 人 客 が 800 万 人 の 目 標 に 達 しようとしていた 為 ホテル 業 界 は 一 転 し て 苦 境 に 陥 った 業 界 の 市 場 特 性 において ホテル 業 は 経 済 的 政 治 的 な 影 響 を 受 けやすい 業 種 である その 為 マーケティングにおける 業 界 の 特 性 について M.E.ポーターが 唱 える 市 場 の5つ の 脅 威 以 上 に マクロ 環 境 の 影 響 が 業 績 に 反 映 されてくる 本 研 究 の 研 究 対 象 であるホテル 業 界 におい はて 市 場 の 脅 威 が 各 ホテルの 優 劣 を 決 定 す る 要 因 である 反 面 市 場 が 好 転 した 時 には 脅 威 は 分 散 されてしまう 本 研 究 は 市 場 の 脅 威 と 現 実 の 実 績 を 比 較 し 現 状 を 分 析 する その 結 果 を 踏 まえ ホ テル 業 の 競 争 優 位 を 保 つものは 何 かを 分 析 し たいと 考 える 2. ホテル 業 の 現 状 ホテル 業 が 先 の 見 えない 不 況 に 陥 ったのは まさに 日 本 経 済 の 低 迷 が 要 因 である 1991 年 ( 3 年 ) 以 降 の 景 気 低 迷 は ホ テル 業 において 倒 産 や 外 資 による M&A をま ねいた ホテル 各 社 は 苦 難 の 時 代 であった ホテル 企 業 は 市 場 からの 撤 退 リストラク チャリングなど 行 った 競 合 他 社 との 少 ない 顧 客 の 争 奪 のために 価 格 競 争 へと 展 開 した ラグジュアリーホテルの 販 売 価 格 とビジネス ホテルの 販 売 価 格 に 差 が 無 くなる 状 況 に 陥 っ た また 従 来 のマーケティング 仲 介 業 者 で ある 旅 行 代 理 店 から IT を 利 用 した web に 移 行 している 時 代 でもあった 特 に 2003 年 旅 の 窓 を M&A で 取 得 し 楽 天 トラベルや 高 級 ホテル 専 門 に 扱 う 一 休.com など 新 興 勢 力 は 市 場 内 で 大 きな 威 力 を 持 ちシェアを 拡 大 した 一 方 で 施 設 側 のホテルも IT を 活 用 し イ ンターネット 予 約 に 流 通 チャネルをシフトし 1 Average Daily Rate 平 均 客 室 単 価 - 1 - -71-

ていくのである 販 売 手 数 料 の 削 減 に 務 め 収 益 の 悪 化 に 対 応 した 一 連 の 業 界 の 動 きは 従 来 の 旅 行 代 理 店 販 売 手 数 料 が 10% 15%に 対 して web サイト であれば5 8%と 半 減 することも 関 係 して いる 企 画 商 品 参 画 に 伴 う 初 期 費 用 も 不 要 で あり 中 小 の 宿 泊 施 設 では 宿 泊 予 約 サイトに 自 社 の 予 約 システムを 連 動 させ 利 用 すること で 業 務 の 効 率 化 を 図 った ホテル 業 は 不 況 に 対 応 する 為 に 製 品 差 別 化 やニッチマーケットへのシフトなど 懸 命 に 努 力 してきた しかし 低 価 格 の 製 品 を 提 供 するバジェットホテルが 地 価 の 下 落 ととも に 全 国 への 進 出 で 知 名 度 を 上 げた それに 引 き 換 え 大 型 の 都 市 ホテルは 稼 働 率 の 低 迷 は 顧 客 を 奪 い 合 う 価 格 競 争 に 展 開 していく 唯 一 売 上 高 を 確 保 できていたブライダル 部 門 も ハウスウエディングの 新 規 参 入 により 顧 客 を 奪 われ 業 績 を 落 としていくのである 売 上 げの 確 保 の 為 宿 泊 マーケットをアジアの 団 体 旅 行 主 に 中 国 台 湾 香 港 韓 国 に 活 路 を 見 つけようとした 客 室 の 低 価 格 販 売 に よる 争 奪 戦 である ホテル 各 社 はデフレ 経 済 の 中 で 差 別 化 戦 略 ニッチ 戦 略 コストリ ーダーシップ 戦 略 などでマーケットに 挑 んだ 3. 競 争 優 位 性 の 努 力 M.E.ポーターは 市 場 における5つの 脅 威 を 唱 えている 2 代 替 品 供 給 業 者 顧 客 新 規 参 入 者 競 合 他 社 である この 中 で 供 給 業 者 である 仲 介 業 者 ここでは 旅 行 代 理 店 であるが 競 争 に 拍 車 をかけてくる ホテル 業 における 業 界 特 性 は 需 要 と 供 給 の バランスにおいて 脅 威 は 異 なってくると 考 え られる 供 給 が 多 く 需 要 が 少 ない 場 合 にお ける 脅 威 に 反 応 するのが 顧 客 と 競 合 他 社 で ある 例 えば 市 場 で 需 要 が 供 給 を 下 回 っている ときには 競 合 他 社 は 少 しでも 受 注 に 結 び 着 けたいと 考 える つまり 市 場 でのマーケッ トシェアの 拡 大 を 狙 う 戦 略 言 い 換 えれば 稼 働 率 を 上 げようとするのである では 供 給 が 多 く 需 要 が 少 ない 市 場 で 多 くの 顧 客 に 訴 求 するにはいかなる 方 策 があるかと 言 えば 単 純 に 価 格 を 下 げて 販 売 するコストリーダーシ ップ 戦 略 か 価 格 競 争 を 避 ける 差 別 化 戦 略 も しくは 特 定 の 分 野 にセグメントを 絞 るニッチ 戦 略 である ホテル 業 界 において 価 格 を 下 げることで ブランド 価 値 に 影 響 を 与 えかなえない この 戦 略 は 一 部 のエリアだけの 影 響 に 収 まらな い グローバル 化 する 市 場 では ブランド 毎 に 戦 略 が 組 まれている 為 に 表 立 って 価 格 を 下 げればブランド 価 値 を 下 げる その 為 マ ーケティング 手 法 としては 団 体 や 特 定 法 人 に 対 してのみプライスダウンを 図 るのである いわゆるクローズマーケットである 例 えば 関 西 の 事 例 で 見 ると 外 資 系 H ホテルは 自 社 の 従 業 員 に 対 して 家 族 優 待 の 名 目 でディスカ ウントチケットを 市 場 に 提 供 したのである 外 資 系 R ホテルは 空 港 リムジンバスの 車 内 に 乗 車 客 に 対 して 50%ディスカウントチケッ トを 配 布 している M ホテルでは 従 業 員 にノ ルマを 課 し 宿 泊 券 を 販 売 させるなどがあり 事 実 上 従 業 員 への 販 売 である それ 以 外 に 実 施 された 戦 術 とすれば 航 空 会 社 のクルー の 宿 泊 獲 得 に 対 してラック 料 金 の 75% 前 後 のディスカウント 料 金 で 提 供 されている 現 実 のホテル 業 界 は 価 格 を 下 げることで 需 要 を 喚 起 しよとする 場 合 が 多 いのである 価 格 コントロールで 稼 働 率 を 上 げる 戦 術 が 実 践 されている 多 くのマネジメントが 稼 働 率 を 評 価 の 基 準 と 考 えるからである その 為 市 場 は 価 格 競 争 となり 収 益 率 が 悪 化 するの である 結 果 業 界 の 低 迷 に 拍 車 をかけてい る 4. 訪 日 外 国 人 の 急 激 な 増 加 と 動 向 2011 年 訪 日 外 国 人 数 は 800 万 人 を 下 回 っ ていた その 後 急 激 な 為 替 変 動 による 円 安 2-72-

で 訪 日 観 光 の 環 境 が 整 ったと 言 える 合 わ せて 観 光 施 策 として 査 証 の 発 給 条 件 緩 和 によ る 影 響 が 大 きい JNTO 2 の 統 計 によると 2013 年 訪 日 外 客 数 は 1,036 万 人 に 達 し 前 年 7,962 万 人 から 30% 増 となっている( 図 1) 3 2014 年 には 前 年 比 29.4% 増 の 1,341 万 人 に 達 している 政 府 の 観 光 戦 略 は 円 安 の 影 響 と 中 国 での 査 証 の 緩 和 により 一 挙 に 増 加 したことがわかる 市 場 での 需 要 供 給 のバランスは 供 給 を 需 要 が 上 回 り 稼 働 率 を 引 き 上 げるだけではなく 販 売 価 格 の 上 昇 となった 人 数 14,000 13,000 12,000 11,000 10,000 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 2012 年 2013 年 2014 年 訪 日 外 客 数 7,962 10,363 13,413 ( 図 1) 訪 日 外 客 数 訪 日 外 客 数 出 所 :JNTO 単 位 : 千 人 三 都 とは 大 阪 京 都 神 戸 を 示 す 関 西 圏 で 大 都 市 として 常 に 比 較 される 隣 接 する 三 都 は 互 いに 影 響 し 合 う 春 秋 の 観 光 シーズ ンでは 京 都 地 区 に 観 光 客 が 集 中 するため ホテルも 高 い 稼 働 率 を 示 す 次 に 溢 れた 観 光 客 は 大 阪 地 区 に 宿 泊 する その 後 大 阪 地 区 に 宿 泊 できない 観 光 客 が 神 戸 地 区 に 宿 泊 先 を 探 す 多 くの 観 光 客 は 京 都 を 起 点 に 連 動 す る 形 で 隣 接 地 区 の 影 響 を 受 ける 図 3は 三 都 における 訪 日 外 客 の 入 り 込 み 数 である 延 べ 宿 泊 数 三 都 訪 日 外 客 宿 泊 比 較 単 位 : 百 人 出 所 : 観 光 庁 16500 14500 12500 10500 8500 6500 4500 2500 500 神 戸 訪 日 客 ( 図 3) 三 都 訪 日 外 客 宿 泊 数 大 阪 訪 日 客 京 都 訪 日 客 26 1536.56 11891.58 5792.51 27 2516.3 15295.8 7603.5 次 に この 急 激 な 増 加 を 国 別 で 見 てみる 中 国 が 2013 年 と 2014 年 を 比 べると 前 年 比 83.3% 増 と 驚 異 的 な 伸 びであり 国 別 ではト ップである 続 いてベトナムが 同 比 47.2% 増 タイ 国 45.0% 増 台 湾 28.0% 増 と 続 く ( 図 2) 人 数 国 別 訪 日 外 客 数 出 所 :JNTO 単 位 : 万 人 300 250 200 150 100 50 0 韓 国 中 国 台 湾 香 港 タイ 2013 245 131 221 74 45 2014 275 240 282 92 65 ( 図 2) 国 別 訪 日 外 客 数 三 都 の 訪 日 外 客 宿 泊 数 を 26 年 と 27 年 で 比 較 する 三 都 では 26 年 192.19 万 人 から 27 年 254.14 万 人 になり 対 前 年 比 132%と 大 きく 数 値 を 伸 ばしている 一 番 大 きく 伸 ばしたのは 三 都 での 訪 日 外 客 数 の 最 も 少 ない 神 戸 地 区 が 26 年 153.65 万 人 か ら 27 年 251.63 万 人 と 163%の 大 幅 に 増 やしている 続 いて 京 都 地 区 が 26 年 579.2 万 人 から 27 年 760.3 万 人 の 131% であった 大 阪 地 区 は 三 都 の 中 で 訪 日 外 客 数 は 最 多 の 訪 問 地 である 訪 日 外 客 数 は 日 本 を 代 表 する 観 光 地 京 都 地 区 の2 倍 であり 神 戸 地 区 の7 倍 である 宿 泊 数 で 見 ると 26 年 1189.1 万 人 から 27 年 1529.58 万 人 の 128%である 国 内 全 体 の 伸 びが 26 2 Japan National Tourism Organization 3-73-

年 796.25 万 人 から 27 年 1,036.39 万 人 の 130%であり 同 様 の 伸 び 率 である 地 域 別 の 占 有 比 率 は 26 年 神 戸 8% 大 阪 62% 京 都 30%である 27 年 は 神 戸 地 区 が 少 し 改 善 し 10% 大 阪 60% 京 都 30% である 大 阪 地 区 の 取 り 込 みが 大 きいのはそ れなりの 理 由 がある 都 市 型 の 市 場 では 週 末 に 大 きく 稼 働 が 落 ち 込 む その 対 策 として 大 阪 地 区 のホテル 各 社 はマーケットをアジア に 求 めた 低 価 格 の 販 売 での 取 り 込 みは 知 名 度 と 言 う 形 でリターンを 呼 んだのである 5. 三 都 における 宿 泊 施 設 の 稼 働 率 次 に 実 際 の 宿 泊 施 設 を 三 都 で 比 較 してみ る 比 較 する 三 都 の 数 値 は 以 下 のホテルのデ ータをもとにサンプルとして 検 証 する 期 間 は 国 内 旅 行 シーズンがオフとなる 1 月 ~3 月 のデータで 比 較 する また この 時 期 は 訪 日 外 客 の 主 な 地 区 であるアジアの 国 々が 旧 正 月 である その 為 訪 日 がピークを 迎 える 時 期 でもある 比 較 に 選 定 したホテルは 1ラグジュアリ ークラスに 属 している 2200 室 以 上 の 客 室 3ターミナルホテルでなない この 3 つの 条 件 を 満 たし エリアで 中 心 的 なホテルである ことが 選 定 の 基 準 とした ターミナルホテル を 除 外 した 理 由 は 競 争 が 激 しい 市 場 におい ても 立 地 の 良 さで 競 争 優 位 であり 不 況 下 に おいても 高 稼 働 を 維 持 しているためである 表 1 は 神 戸 地 区 から 選 定 したホテルである ホテルオークラ 神 戸 ポートピアホテル 神 戸 ベイシェラトンホテル&タワーズ 神 戸 メ リケンパークオリエンタルホテルの 4 軒 計 1,815 室 をサンプルとする 表 2は 大 阪 地 区 である ホテル 日 航 大 阪 帝 国 ホテル 大 阪 リーガロイヤルホテル シ ェラトン 都 ホテル 大 阪 の 4 軒 計 2,566 室 を サンプルとする 表 3は 京 都 地 区 である ウェスティン 都 ホ テル 京 都 リーガロイヤルホテル 京 都 ANA クラウンプラザ 京 都 京 都 ホテルオークラの 4 軒 計 1,598 室 をサンプルとする ( 表 1) 神 戸 地 区 神 戸 客 室 数 ( 室 ) ホテルオークラ 475 オートピアホテル 745 神 戸 ベイシェラトン 276 メリケンパークオリエンタル 319 合 計 客 室 数 1,815 ( 表 2) 大 阪 地 区 大 阪 客 室 数 ( 室 ) ホテル 日 航 635 帝 国 ホテル 381 リーガロイヤル 971 シェラトン 579 合 計 客 室 数 2,566 ( 表 3) 京 都 地 区 京 都 客 室 数 ( 室 ) ウェスティン 499 リーガロイヤル 482 ANA クラウンプラザ 295 京 都 ホテルオークラ 322 合 計 客 室 数 1,598 三 都 の 26 年 と 27 年 における 稼 働 率 ( 図 4)は 神 戸 地 区 26 年 69.7%から 27 年 77.5%と 7.8 ポイントプラス 大 阪 地 区 は 26 年 77.5%から 27 年 84.0%の 6.5 ポイントプラス 京 都 地 区 では 26 年 75.3%から 27 年 80.8%の 5.5 ポイントプラスである ポイントプラスであ 4-74-

る 稼 働 率 90.0% 85.0% 80.0% 75.0% 70.0% 65.0% 60.0% 23 ( 図 4) 三 都 稼 働 率 比 較 三 都 客 室 稼 働 率 比 較 出 所 : 筆 者 調 査 24 26 27 神 戸 61.9% 61.8% 69.7% 77.5% 大 阪 69.2% 67.2% 77.5% 84.0% 京 都 67.2% 68.4% 75.3% 80.8% どの 地 区 も 訪 日 外 客 数 の 増 加 に 伴 い 稼 働 率 が 向 上 している 23 年 と 27 年 の 比 較 において 神 戸 地 区 は 15.6 ポイント 増 大 阪 地 区 は 14.8 ポイント 増 京 都 地 区 は 13.6 ポイントとなり 三 都 全 ての 地 区 で 二 桁 の 大 きな 伸 びを 示 している 前 項 の 地 区 別 訪 日 外 客 数 との 比 較 でも 神 戸 地 区 宿 泊 数 で 27 年 前 年 対 比 163%に 対 して 稼 働 率 7.8 ポイン ト 増 大 阪 地 区 宿 泊 数 対 同 年 比 128%に 対 し て 6.5 ポイント 増 京 都 地 区 宿 泊 数 対 同 年 比 131%に 対 して 5.5 ポイント 増 である 訪 日 外 客 数 の 増 加 は 三 都 に 影 響 し 稼 働 率 向 上 に 寄 与 している 特 に 神 戸 地 区 の 4 ホテル に 大 きく 影 響 している 次 いで 京 都 大 阪 の 順 となる 大 阪 が 他 都 市 との 比 較 で 若 干 少 な いのは 施 設 数 の 違 いと 言 えよう 宿 泊 予 約 サ イト 大 手 である 楽 天 トラベル 4 にて 2015 年 ( 27 年 ) 現 在 登 録 されている 施 設 数 で は 神 戸 有 馬 地 区 142 軒 ( 内 有 馬 39 件 ) 大 阪 市 内 364 軒 京 都 547 軒 である 京 都 地 区 の 施 設 数 は 多 いものの 1 施 設 当 たりの 客 室 数 は 少 ない それに 対 して 大 阪 地 区 は 大 型 施 設 が 多 い 為 と 見 られる それは 次 に 挙 げる RevPAR 5 に 表 れている 6. RevPAR による 比 較 ( 図 5)は 三 都 の RevPAR である 価 格 三 都 RevPAR 出 所 : 筆 者 調 査 単 位 : 円 13000 12000 11000 10000 9000 8000 7000 6000 5000 23 ( 図 5) 三 都 RevPAR 比 較 24 26 27 神 戸 RevPAR 7717 7210 8161 9591 大 阪 RevPAR 7535 7460 8907 11043 京 都 RevPAR 9563 9410 10958 12145 ホテルの 業 績 を 比 較 するときに 注 意 すべき 点 は 規 模 である 客 室 数 が 異 なるホテルを 同 じ 物 差 しで 測 ることは 困 難 である その 為 に 用 いられるのが RevPAR である 高 い 稼 働 を 訴 求 する 為 に 安 売 りをしていたのでは 収 益 は 上 がらない 逆 に 高 い 販 売 単 価 を 維 持 する 為 に 価 格 コントロールをせずに 販 売 チャン スを 逃 がすこともある ホテルの 商 品 は 在 庫 がきかない 特 性 を 持 っている 即 ち 製 品 に 消 滅 性 があるということである 売 れ 残 り を 少 しでも 少 なくする 為 に 価 格 のコントロ ールが 必 要 になってくる これらの 数 字 を 正 確 に 比 較 するために RevPAR 用 いて 考 察 す る RevPAR は 販 売 可 能 な 客 室 数 を 分 母 に 計 算 する この 数 字 を 比 較 することで ホテルの 収 益 性 が 明 確 になる RevPAR が 高 ければ 収 益 が 良 い 反 対 に 低 ければ 収 益 が 悪 いとなる ADR と 稼 働 率 の 関 係 をまとめたものが RevPAR と 言 えよう 5-75-

23 年 において 神 戸 地 区 と 大 阪 地 区 を 比 較 すると 大 阪 地 区 は 神 戸 地 区 より 稼 働 率 が 7.3 ポイント 高 ( 神 戸 61.9% 大 阪 69.2% 図 4) RevPAR が 182 円 ( 神 戸 7,717 円 大 阪 7,535 円 図 5)ある 大 阪 地 区 は 稼 働 率 が 高 いにも 関 わらず RevPAR が 低 い これは 23 年 において 大 阪 は 販 売 単 価 が 低 かっ たことを 意 味 している 24 年 の 大 阪 地 区 は 稼 働 率 で 前 年 より 2 ポイント 減 ( 図 4)であるが RevPAR は 神 戸 地 区 より 250 円 高 ( 図 5)である 神 戸 地 区 が 大 きく 販 売 価 格 を 下 げたことを 意 味 する 大 阪 が 良 い 訳 ではない これは 京 都 地 区 が 稼 働 率 を 1.2 ポイント 高 ( 図 4)にもかかわ らず RevPAR で 153 円 減 ( 図 5)であること から 関 西 エリア 全 体 の 需 要 が 冷 え 込 んでいる 23 年 および 24 年 の 数 値 から 客 数 が 伸 び ず 低 調 である 京 都 地 区 は 神 戸 大 阪 地 区 に 比 べ 販 売 価 格 を 維 持 した 為 稼 働 率 が 上 がらない 状 況 であ ることが 数 値 から 読 み 取 れる また 神 戸 大 阪 地 区 より 数 ポイント 低 いにもかかわらず RevPAR で 2,000 円 高 い 水 準 で 維 持 できてい る 京 都 地 区 が 高 い 販 売 価 格 であることを 示 すものである 26 から 27 年 になると 状 況 は 大 き く 変 わっている ホテルの 採 算 ラインとされ る 稼 働 率 は 70%を 超 えてくる これは 訪 日 外 客 の 増 加 に 伴 う 効 果 である 大 阪 地 区 に 明 確 に 数 値 に 表 れている 稼 働 率 は 23~24 年 の 60% 台 から 80%を 超 える 水 準 に 達 してい る 26 27 年 になると 三 都 の 稼 働 率 が 高 くなり RevPAR は 総 じて 引 き 上 げられ 大 阪 地 区 の 27 年 RevPAR は 11,043 を 達 成 する 23 年 比 較 で 26 年 には 1,372 増 になり 27 年 には 3,508 増 の 146%に 達 し 大 幅 に 収 益 が 改 善 しているこ とがわかる 京 都 地 区 は 23 年 稼 働 率 67.2%に 対 し て RevPAR は 9,563 である 神 戸 地 区 大 阪 地 区 に 比 較 し 高 い 販 売 価 格 を 維 持 してい たことを 示 す 27 年 には 三 都 の 中 では 神 戸 大 阪 地 区 より 圧 倒 的 に 高 い RevPAR 12,145( 23 年 比 126%)になり 収 益 性 の 良 さを 示 している 三 都 の 中 では 神 戸 地 区 が 訪 日 外 客 の 取 り 込 みが 弱 いといえる 23 年 の 稼 働 率 61.9% から 27 年 の 77.5%と 70%を 超 えるが RevPAR は 23 年 7,717 から 27 年 9,591 の 124%と 三 都 の 中 では 一 番 低 い 伸 びである 7. まとめ 23 年 から 27 年 の 数 字 を 三 都 で 訪 日 外 客 の 影 響 度 合 いを 比 較 してみると 歴 史 文 化 的 観 光 資 源 が 少 ない 大 阪 地 区 が 訪 日 外 客 の 取 り 込 みに 成 功 していることが 判 明 し た 訪 日 外 客 の 地 区 別 入 込 での 数 値 で 明 確 なよ うに 訪 日 外 客 の 圧 倒 的 な 宿 泊 先 は 大 阪 地 区 である 主 たる 訪 日 外 客 は 中 国 韓 国 台 湾 などアジア 諸 国 が 多 いことから これらの 国 々からの 支 持 が 高 いと 言 えよう 大 阪 地 区 は 23 24 年 RevPAR が 7,000 台 と 低 迷 している 客 室 料 金 は 抽 出 したリーガロイ ヤルホテルで 見 ると 17,000( 税 サービス 料 別 ) 6 が 公 示 販 売 価 格 である 帝 国 ホテル 大 阪 は 41,000( 税 サービス 料 別 )が 最 低 料 金 である このように 公 示 価 格 と 実 勢 価 格 と の 開 きが 大 きいことが 明 確 である 販 売 価 格 は 個 人 客 には 需 要 に 合 わせて web サイトでの 柔 軟 な 価 格 設 定 で 対 応 し 団 体 や 法 人 への 優 待 価 格 を 提 供 することが 必 要 である その 上 で 稼 働 率 を 上 げ RevPAR 改 善 に 寄 与 したのが 訪 日 外 客 である 急 激 な 需 要 の 増 大 は 市 場 の 競 争 原 理 を 無 くしたと も 言 えよう 本 研 究 で 結 論 として 言 えること は 市 場 競 争 はホテル 競 争 よりエリア 間 の 競 6-76-

争 である これを 証 明 するのが 地 区 毎 に 明 ら かになった RevPAR に 現 れている 三 都 の 観 光 政 策 は 地 区 ごとの 行 政 が 主 導 権 を 持 って 誘 致 活 動 を 行 ってきたことは 確 か である 各 市 間 での 競 合 もあるが 今 後 とも 三 都 での 合 同 での 誘 致 を 行 うことで 他 地 区 と の 競 争 優 位 が 保 たれるのであろう 業 界 の 競 争 優 位 を 築 くための 差 別 化 戦 略 集 戦 略 コストリーダーシップ 戦 略 などは 企 業 レベルではなく 地 区 戦 略 として 有 効 性 を 発 揮 するものが 必 要 であると 考 える より 一 層 都 市 の 観 光 戦 略 として 新 たな 観 光 資 源 の 開 発 や 発 見 を 誘 致 戦 略 の 武 器 とすべきである ホテル 業 界 と 行 政 が 魅 力 ある 都 市 を 築 く 為 に 協 力 が 今 後 とも 欠 かせないのであろう 参 考 文 献 引 用 文 献 1 Michael E.Porter, COMPETITIVE STRATEGY, The Free Press, 1980( 土 岐 坤 他 訳 競 争 の 戦 略 ダイヤモンド 社 2012 年 ) 2 Michael E. Porter COMPETITIVE ADVANTAGE A Division of Macmillan 1985 ( 土 岐 坤 他 訳 競 争 優 位 の 戦 略 ダイ ヤモンド 社 2014 年 ) 3 出 所 : 観 光 庁 宿 泊 旅 行 統 計 調 査 http://www.mlit.go.jp/2015.6.28 アクセス 4http://travel.rakuten.co.jp/ 5 RevPAR とは Revenue Par Available Rooms の 略 ホテル 全 部 屋 数 に 対 する 1 部 屋 当 たりの 販 売 価 格 を 言 う その 為 売 れ 残 っ た 客 室 も 分 母 に 含 まれるためにホテルの 実 質 の 平 均 販 売 価 格 が 測 れる 6リーガロイヤル http://www.rihgadata.com/ssw/osaka/data/f actsheet_jp.pdf#page=4 2015.7.23 アクセス 7-77-