2007 年 12 月 20 日 海 事 記 者 会 各 位 社 団 法 人 日 本 船 主 協 会 2007 年 海 運 界 10 大 ニュースについて 当 協 会 は 本 年 の 海 運 界 10 大 ニュースを 別 紙 のとおり 選 定 いたしましたので お 知 らせいたします 以 上 本 件 に 関 する 問 い 合 わせ 先 ( 社 ) 日 本 船 主 協 会 総 務 部 (TEL:03-3264-7181 FAX:03-5226-9166) 石 川 尚 ( 総 務 部 副 部 長 )
2007.12.20 2007 年 海 運 界 10 大 ニュース 1.トン 数 標 準 税 制 の 創 設 が 与 党 税 制 改 正 大 綱 に 盛 り 込 まれる 平 成 20 年 度 与 党 税 制 改 正 大 綱 に 外 航 海 運 業 界 念 願 の トン 数 標 準 税 制 の 創 設 が 盛 り 込 まれ 平 成 20 年 度 から 導 入 される 見 通 しとなった これにより 海 外 の 海 運 主 要 国 との 税 制 上 のイコールフッティングの 実 現 に 向 けて 前 進 することと なり わが 国 外 航 海 運 の 国 際 競 争 力 が 大 きく 改 善 することが 期 待 される また 同 大 綱 において 平 成 20 年 3 月 末 をもって 適 用 期 限 を 迎 える 国 際 船 舶 に 係 る 登 録 免 許 税 の 特 例 措 置 外 航 用 コンテナに 係 る 固 定 資 産 税 の 軽 減 措 置 等 についてもほぼ 要 望 どおりの 内 容 で 延 長 が 認 められた 2. 水 先 制 度 改 革 / 改 正 水 先 法 が 施 行 改 正 水 先 法 が 2007 年 4 月 1 日 に 施 行 され 等 級 別 の 免 許 制 度 の 導 入 水 先 人 会 の 法 人 化 および 日 本 水 先 人 会 連 合 会 の 設 立 三 大 湾 水 先 区 の 統 合 など 水 先 制 度 改 革 の 諸 施 策 が 実 施 された 水 先 料 金 はこれまでの 省 令 料 金 から 1 年 間 の 猶 予 期 間 を 経 て 上 限 認 可 制 へと 移 行 するとともに 特 別 会 費 制 度 が 廃 止 され 海 事 関 係 公 益 事 業 およびその 支 援 体 制 に ついても 新 たな 枠 組 みが 構 築 された また 水 先 人 養 成 制 度 の 創 設 に 合 わせ 海 技 振 興 センターによる 支 援 事 業 がスタートした 3.IMO で 環 境 安 全 に 関 する 条 約 改 定 作 業 が 進 展 近 年 環 境 安 全 への 関 心 が 高 まるなか IMO( 国 際 海 事 機 関 )においても 環 境 保 護 航 行 安 全 に 関 する 検 討 が 活 発 に 行 われている 船 舶 からの 大 気 汚 染 防 止 に 関 する 海 洋 汚 染 防 止 条 約 (MARPOL 条 約 ) 附 属 書 Ⅵ に 規 定 される NOx および SOx などの 排 出 基 準 の 改 正 作 業 が 2008 年 の 最 終 化 に 向 け て 進 められたほか 現 在 国 / 船 級 ごとに 異 なる 船 体 の 構 造 基 準 について 国 際 的 に 合 意 された 一 定 の 要 件 を 設 定 する 目 標 指 向 型 の 新 造 船 構 造 基 準 に 関 する 検 討 など が 進 められた 国 土 交 通 省 は IMO における 規 制 強 化 の 動 きに 対 応 するため 国 内 で 戦 略 的 技 術 的 検 討 ができる 体 制 を 整 備 しており 当 協 会 としても IMO 対 応 の 強 化 のため 欧 州 地
区 事 務 局 に 技 術 顧 問 を 配 置 した 一 方 ポスト 京 都 議 定 書 の 枠 組 みが 2009 年 の 具 体 化 を 目 途 に 審 議 されているなか IMO においても 船 舶 からの 温 室 効 果 ガス 削 減 に 向 けた 議 論 が 活 発 化 している 当 協 会 は この 議 論 に 資 するため 実 船 におけるデータの 提 供 に 積 極 的 に 協 力 した また 当 協 会 が 自 主 的 に 取 り 組 んでいる 環 境 自 主 行 動 計 画 において 外 航 海 運 からの 2008 ~2012 年 度 における 輸 送 トン 当 たりの CO2 排 出 量 の 削 減 目 標 を 1990 年 度 比 10%か ら 15%に 引 き 上 げ さらなる 削 減 に 努 めることとした 4.マラッカ シンガポール 海 峡 において 世 界 で 初 めて 航 行 安 全 環 境 保 全 に 関 する 国 際 的 な 協 力 の 枠 組 みが 設 置 国 際 的 に 重 要 な 海 上 輸 送 路 であるマラッカ シンガポール 海 峡 の 航 行 安 全 環 境 保 全 に 関 して IMO も 参 画 し 沿 岸 国 海 峡 利 用 国 等 の 関 係 者 による 国 際 協 力 体 制 の 構 築 に 向 けた 議 論 が 行 われてきた 2007 年 9 月 シンガポールにおいて 開 催 された 国 際 会 議 において 世 界 で 初 めて 国 連 海 洋 法 条 約 の 規 定 に 則 り 国 際 海 峡 における 沿 岸 国 と 多 数 の 利 用 国 等 による 航 行 安 全 環 境 保 全 に 関 する 国 際 的 な 協 力 の 枠 組 みが 設 立 された さらに 同 枠 組 み の 下 に 推 進 される 具 体 的 なプロジェクトが 沿 岸 国 より 提 案 され 多 くの 国 から 支 援 が 表 明 された 同 海 峡 の 航 行 安 全 環 境 保 全 を 促 進 する 取 り 組 みにおいて 当 協 会 をはじめわが 国 のみが 約 40 年 に 亘 り 支 援 を 行 ってきたが 今 後 この 枠 組 みに 基 づき 支 援 体 制 が 具 体 化 されていくこととなる 5. 旺 盛 な 荷 動 きを 背 景 に 外 航 海 運 各 社 は 増 収 増 益 外 航 海 運 各 社 の 2008 年 3 月 期 の 業 績 は 燃 料 油 価 格 の 高 止 まりなどの 収 益 圧 迫 要 因 はあるものの 旺 盛 な 荷 動 きを 背 景 に 軒 並 み 増 収 増 益 となる 見 通 し このようななか 海 運 各 社 は 急 増 する 輸 送 需 要 に 応 えるため 積 極 的 に 船 隊 増 強 を 進 めており 造 船 業 はじめ 海 事 関 連 産 業 も 活 況 を 呈 する 状 況 となっている 6. 燃 料 油 高 騰 の 影 響 深 刻 化 原 油 価 格 の 指 標 である WTI は 4 年 で 約 3 倍 に 高 騰 し 2007 年 11 月 には$90 ド ル/バレル 台 後 半 と 過 去 最 高 を 更 新 している 原 油 価 格 高 騰 に 伴 い バンカー 価 格 国 内 A C 重 油 価 格 は 継 続 的 に 高 騰 し とりわけ 国 内 C 重 油 においては 3 年 前 のレ
ベルと 比 較 し 約 9 割 の 上 昇 となり 内 航 業 界 全 体 の 燃 料 油 費 用 負 担 額 は 年 間 約 710 億 円 (2005 年 度 比 )の 増 加 となった 内 航 海 運 業 界 では 運 航 コストの 過 半 を 占 める 燃 料 油 の 負 担 増 により 大 多 数 を 占 める 中 小 企 業 事 業 者 の 企 業 体 力 を 脆 弱 化 させ 死 活 問 題 となるなど 影 響 は 深 刻 なものとなっている 11 月 には 当 協 会 日 本 内 航 海 運 組 合 総 連 合 会 日 本 長 距 離 フェリー 協 会 の 連 名 で 陳 情 書 を 国 土 交 通 大 臣 に 手 交 し これら 事 業 者 の 窮 状 を 訴 えた これを 受 け 同 省 は 日 本 経 済 団 体 連 合 会 などに 対 し 運 賃 等 への 転 嫁 など 燃 料 費 コスト 負 担 へ 理 解 を 求 めた 7. 国 際 船 舶 の 船 機 長 配 乗 要 件 の 撤 廃 および 外 航 日 本 人 船 員 ( 海 技 者 ) 確 保 育 成 のための 新 たなスキームの 開 始 2007 年 6 月 国 際 船 舶 における 外 国 人 承 認 船 員 の 就 業 範 囲 を 船 機 長 まで 拡 大 す る 通 達 が 発 出 されるとともに 1 回 目 の 外 国 人 船 機 長 の 承 認 試 験 が 実 施 され 国 際 船 舶 の 日 本 人 船 機 長 配 乗 要 件 が 撤 廃 された 一 方 外 航 日 本 人 船 員 ( 海 技 者 ) 確 保 育 成 スキームについては 2007 年 10 月 第 1 期 生 10 名 ( 航 海 士 8 名 / 機 関 士 2 名 )の 育 成 が 開 始 された 8. 外 国 人 船 員 問 題 への 取 り 組 みの 強 化 FOC 船 の 外 国 人 船 員 労 働 条 件 に 関 する 2008 年 /2009 年 IBF* 協 約 改 定 交 渉 が 数 次 の 交 渉 を 経 て 妥 結 した 近 年 の 世 界 海 上 荷 動 量 の 増 大 に 伴 い 世 界 的 に 船 員 の 需 給 関 係 が 逼 迫 する 中 で 職 員 と 部 員 の 賃 金 の 分 配 や 先 進 国 出 身 部 員 の 雇 用 を 促 進 する 基 金 (DER 基 金 )の 創 設 等 を 巡 り 交 渉 が 難 航 したが TCC(23 人 乗 組 み 標 準 船 の 総 賃 金 )の 8% 引 き 上 げと 上 級 職 員 への 重 点 的 配 分 および DER 基 金 の 2008 年 より 2 年 間 の 導 入 等 を 主 な 内 容 として 11 月 に 一 連 の 交 渉 が 終 了 した 本 交 渉 に 際 して 当 協 会 は 交 渉 に 直 接 携 わった 国 際 船 員 労 務 協 会 と 密 接 な 連 携 を 保 ちバックアップに 務 めた さらに 当 協 会 は 国 土 交 通 省 が 主 催 したアジア 地 域 における 船 員 の 資 質 向 上 に 関 する 専 門 家 会 合 への 参 画 や 国 際 船 員 労 務 協 会 と 共 同 して 取 り 進 めたフィ リピン 人 キャデットへの 航 海 訓 練 所 練 習 船 での 訓 練 のトライアル 実 施 等 外 国 人 船 員 問 題 への 取 り 組 みを 深 めた *IBF: International Bargaining Forum(FOC 船 に 乗 組 む 船 員 の 労 働 条 件 の 交 渉 を 行 う 場 )
9. 船 社 間 協 定 に 対 する 独 禁 法 適 用 除 外 制 度 問 題 につき 日 欧 で 今 後 のあり 方 を 模 索 2007 年 9 月 欧 州 委 員 会 は 定 期 船 同 盟 に 対 する EU 競 争 法 適 用 除 外 制 度 が 廃 止 される 2008 年 10 月 以 降 に 同 競 争 法 を 海 運 に 適 用 する 際 のガイドライン 案 を 発 表 一 定 条 件 の 下 での 船 社 間 の 情 報 交 換 を 認 めるとともに 不 定 期 船 プール 協 定 は 本 質 的 には 同 競 争 法 に 抵 触 しないものとした 正 式 なガイドラインは 2008 年 10 月 までに 発 表 される 国 内 では 交 通 政 策 審 議 会 海 事 分 科 会 国 際 海 上 輸 送 部 会 においてわが 国 適 用 除 外 制 度 について 審 議 され 現 在 のところ 船 社 間 協 定 について 利 用 者 からの 大 きな 不 満 は 見 られず 今 後 のあり 方 は 関 係 者 の 意 見 等 を 踏 まえつつさらに 専 門 的 な 検 討 を 行 うとする 答 申 が 取 りまとめられる 予 定 (12 月 20 日 ) なお アジアでは 中 国 の 競 争 法 制 定 (8 月 ) 及 びインドの 競 争 当 局 執 行 権 限 付 与 (9 月 )など 競 争 法 制 整 備 の 動 きがあった 10. 海 洋 基 本 法 が 施 行 海 洋 の 諸 問 題 に 総 合 的 計 画 的 に 対 処 して 新 たな 海 洋 立 国 を 目 指 す 海 洋 基 本 法 が2007 年 4 月 に 超 党 派 の 議 員 立 法 にて 成 立 し 同 年 7 月 20 日 より 施 行 された 初 代 海 洋 政 策 担 当 大 臣 に 冬 柴 鐵 三 国 土 交 通 大 臣 が 就 任 し 内 閣 に 内 閣 総 理 大 臣 を 本 部 長 とする 総 合 海 洋 政 策 本 部 が 設 置 された 外 航 海 運 業 に 関 連 しては 海 洋 産 業 の 健 全 な 発 展 が 第 5 条 で 規 定 されているほ か 基 本 的 施 策 として 第 20 条 で 効 率 的 かつ 安 定 的 な 海 上 輸 送 の 確 保 および 第 24 条 で 海 洋 産 業 の 振 興 及 び 国 際 競 争 力 の 強 化 が 規 定 されている 以 上