2012 年 度 卒 業 論 文 近 傍 銀 河 群 の 3D 地 図 明 星 大 学 理 工 学 部 物 理 学 科 天 文 学 研 究 室 09S-051 若 佐 菜 摘 2012 年 2 月 8 日 1
目 次 1. 序... 3 1.1 要 旨... 3 1.2 はじめに... 4 1.3 目 的... 5 2. 準 備... 6 2.1 対 象 となる 銀 河... 6 2.1.1 局 部 銀 河 群... 6 2.1.2 局 部 銀 河 群 以 外 での 明 るい 銀 河... 7 2.1.3 対 象 設 定 の 理 由... 8 2.1.4 銀 河 の 分 類... 9 2.2 方 法... 10 2.2.1 位 置... 10 2.2.2 大 きさ... 12 2.2.3 傾 き... 13 2.3 データ... 15 2.3.1 局 部 銀 河 群 のデータ... 15 2.3.2 近 距 離 銀 河 群 のデータ... 17 2.3.3 スケール... 19 2.3.4 素 材... 20 3. 完 成 模 型... 21 3.1 局 部 銀 河 群 の 模 型... 21 3.2 近 距 離 銀 河 群 の 模 型... 23 4. 考 察... 25 4.1 考 察... 25 4.2 改 善 点... 26 5. 謝 辞... 27 6. 参 考 文 献... 28 6.1 参 考 文 献... 28 6.2 引 用 元... 28 2
1. 序 1.1 要 旨 ここでは 主 に 近 傍 の 銀 河 の 形 状 や 位 置 を 表 した 3D( 立 体 ) 地 図 の 詳 細 を 記 す 立 体 的 な 地 図 を 実 際 に 作 ることで より 感 覚 的 に 捉 え 客 観 視 できることを 目 的 とし 銀 河 の 位 置 大 きさ 傾 きの 計 算 方 法 と 具 体 的 なデータを 記 し 完 成 した 模 型 から 考 察 する 3
1.2 はじめに 宇 宙 の 様 子 は PC のプログラムや 映 像 などで 観 察 ができる しかし いくら 立 体 的 に 表 示 しているとはいえ ディスプレイはつまるところ の 2 次 元 世 界 なのである ここにひとつの 例 を 挙 げる 図 1 立 方 体?or 四 角 形? 上 に 描 いたひとつの 図 は 大 抵 の 人 がやや 上 方 から 見 下 ろす 立 方 体 に 見 えるだ ろう しかし 見 方 によっては 下 方 から 見 上 げた 立 方 体 にも 見 える また 見 る 人 によっては 四 角 形 と 菱 形 が 交 叉 しただけの 図 にしか 見 えない 可 能 性 もある つまり 2 次 元 世 界 での 3 次 元 の 表 示 には 見 る 人 の 感 覚 に 依 存 してしまう また 銀 河 は 全 て 地 球 から 観 察 した 恰 好 でしか 知 ることができない 横 に 並 ぶ 銀 河 は 側 面 しか 見 ることができないし 地 球 より 上 下 に 位 置 する 渦 巻 銀 河 は 例 え 渦 の 向 きが 同 じでも 表 と 裏 で 逆 の 渦 の 向 きに 見 えてしまう そこで 立 体 地 図 を 作 れば これらの 問 題 は 解 決 する 3 次 元 世 界 での 3 次 元 の 表 示 には 誰 が 見 ようと 同 じ 感 覚 で 観 察 ができ また 地 図 を 作 ることで 宇 宙 の 外 から 眺 める 恰 好 となり 客 観 的 に 銀 河 の 様 相 を 知 るこ とができる 立 体 的 な 表 現 は 既 に 先 人 たちの 手 によって 為 されてはいるものの 形 や 渦 の 向 きなどの 再 現 までは 未 だ 為 されていないため 私 は 銀 河 の 形 などを 再 現 した 3D 地 図 なるものを 作 ろうと 本 研 究 に 取 り 組 んだ 4
1.3 目 的 主 な 目 的 はふたつある ひとつ 近 傍 銀 河 の 様 相 をプログラムや 映 像 などのような 2 次 元 的 な 表 示 ではなく 立 体 で 表 現 することによって 誰 にでもわかるような 感 覚 的 で 正 しい 捉 え 方 を 可 能 にすること ひとつ 銀 河 の 大 きさや 渦 の 向 きなどを 忠 実 に 再 現 することによって 客 観 的 な 視 点 か ら 分 布 や 形 などの 特 徴 を 探 しだすこと である 5
2. 準 備 2.1 対 象 となる 銀 河 立 体 地 図 製 作 の 対 象 となる 銀 河 群 を 2 つ 定 めた 設 定 理 由 は 2.1.3 で 記 す 2.1.1 局 部 銀 河 群 局 部 銀 河 群 とは 我 々の 住 む 天 の 川 銀 河 から 半 径 300 万 光 年 程 度 の 範 囲 に 存 在 している 銀 河 群 である その 中 でも 天 の 川 銀 河 を 除 く 主 なメンバーに 絞 った その 主 なメンバーを 以 下 に 記 す 1. NGC147 2. NGC185 3. NGC205 4. NGC221=M32 5. NGC224=M31 6. SMC 7. Sculptor 8. IC1613 9. NGC598=M33 10.Fornax 11.LMC 12.Carina 13.Leo I 14.Leo II 15.Ursa Minor 16.Draco 17.NGC6822 計 17 個 6
2.1.2 局 部 銀 河 群 以 外 での 明 るい 銀 河 これらの 銀 河 群 は 約 700 万 光 年 ~ 約 2200 万 光 年 の 範 囲 にある 複 数 の 銀 河 群 の 中 から 特 に 明 るい 銀 河 に 絞 られている その 銀 河 を 以 下 に 記 す 1. NGC55 2. NGC247 3. NGC253 4. NGC300 5. NGC1313 6. IC342 7. NGC2403 8. NGC2903 9. NGC3031=M81 10. NGC3034=M82 11. NGC4236 12. NGC4258=M106 13. NGC4449 14. NGC4736=M94 15. NGC4826=M64 16. NGC4945 17. NGC5055=M63 18. NGC5128 19. NGC5194=M51 20. NGC5236=M83 21. NGC5457=M101 22. NGC6946 23. NGC7793 計 23 個 以 上 の 合 計 40 個 の 銀 河 を 対 象 とする 7
2.1.3 対 象 設 定 の 理 由 対 象 設 定 の 理 由 は 主 に 3 つある その 壱 これら 近 傍 の 銀 河 は 形 や 距 離 など 比 較 的 正 確 なデータがある そのため 3D 地 図 で 表 現 しても 比 較 的 正 しいものができあがると 考 えた その 弐 天 の 川 銀 河 を 中 心 とした 3D 地 図 にするため 近 傍 の 銀 河 に 絞 れば 詳 細 がわか りやすい 縮 尺 で 製 作 することができる その 参 あまりに 大 きいスケールで 製 作 すると 高 さが 数 m におよぶことや 近 しい 銀 河 同 士 が 重 なる 恐 れがある 基 本 的 に 一 人 で 製 作 することと 物 理 的 に 無 理 の ない 範 囲 を 考 えたとき 近 傍 銀 河 群 が 最 適 であった また 局 部 銀 河 群 と 近 距 離 銀 河 群 で 分 けた 理 由 は 局 部 銀 河 群 を 充 分 表 現 でき るスケールでは 近 距 離 銀 河 群 が 大 きく 離 れてしまうためである 8
2.1.4 銀 河 の 分 類 銀 河 の 形 は ハッブル 分 類 を 元 に 以 下 の 3 種 に 分 類 し 再 現 する 図 2 銀 河 のハッブル 分 類 1. 渦 巻 銀 河 S ハッブル 分 類 では Sa~Sc SBa~SBc に 分 類 される 渦 を 巻 いている 形 状 の 銀 河 棒 の 有 無 はわけない また 腕 の 本 数 も 再 現 しない なお 渦 は 持 たないが 円 盤 のある S0 に 分 類 されるレンズ 状 銀 河 も 便 宜 上 こ ちらに 分 類 する 2. 楕 円 銀 河 E ハッブル 分 類 では E0~E7 に 分 類 される 円 または 楕 円 の 形 状 の 銀 河 3. 不 規 則 銀 河 I ハッブル 分 類 では Irr に 分 類 される その 他 の 形 状 の 銀 河 9
2.2 方 法 製 作 方 法 は 主 に 位 置 大 きさ 傾 きの 3 点 を 忠 実 に 再 現 する 2.2.1 位 置 銀 河 座 標 系 の 銀 経 銀 緯 から 太 陽 を 原 点 とした 3 方 向 の 直 交 座 標 系 で 表 す 銀 河 座 標 系 とは 銀 河 中 心 方 向 と 銀 河 面 を 基 準 とした 天 球 座 標 系 の 一 主 に 銀 経 l と 銀 緯 b で 表 す 図 3 銀 河 座 標 系 銀 経 l 銀 河 中 心 を 0 の 位 置 として 反 時 計 回 りを 正 の 方 向 とする 360 で 一 周 する 銀 緯 b 銀 河 面 を 0 の 位 置 としてこれに 垂 直 な 方 向 をそれぞれ±90 の 範 囲 で 表 す 10
銀 河 座 標 系 を 太 陽 を 原 点 (0,0,0)とした 3 次 元 の 直 交 座 標 に 変 換 する まず 各 軸 の 定 義 をする x 軸 銀 河 中 心 方 向 を 正 の 方 向 とする y 軸 銀 経 0~180 の 範 囲 を 正 の 方 向 とする z 軸 銀 緯 の 正 の 方 向 を 正 の 方 向 とする 図 4 直 交 座 標 銀 経 l 銀 緯 b 距 離 L の 位 置 にある 天 体 の 3 次 元 座 標 での 表 示 は (x,y,z)= (Lcos sin,lsin sin,lsin ) (1) となる 11
2.2.2 大 きさ 大 きさは 視 直 径 から 求 めることができる 視 直 径 天 体 の 形 を 正 円 と 仮 定 したとき みかけの 直 径 から 求 めた 角 度 のことである また s t のように 長 軸 と 短 軸 の 両 者 を 表 記 している 図 5 視 直 径 距 離 L が 充 分 に 大 きいとき sinα α[rad] となる また 視 直 径 θは 分 角 であるため ラジアンに 直 す 必 要 がある α= θ (2) よって 視 直 径 から 直 径 を 求 める 式 は 以 下 の 通 り r= θ (3) 12
2.2.3 傾 き 傾 きは 渦 巻 銀 河 のみ 求 める これも 視 直 径 を 使 って 求 めることができる (4) (5) 図 6 銀 河 の 傾 きと 角 度 を 側 面 から 見 た 図 青 い 線 は 銀 河 の 側 面 を 表 している s はみかけの 銀 河 の 長 軸 t は 短 軸 になる また 長 軸 を 表 す 視 直 径 をθs 短 軸 を 表 す 視 直 径 をθt とすると s = t = θs θt 図 と(4),(5) 式 より cos ψ = = (6) 角 度 の 決 定 は 真 数 表 を 用 いる 13
手 前 と 奥 どちらに 傾 いているかは Velocity Field( 速 度 場 )と 渦 の 回 転 方 向 を 併 せて 判 別 する 速 度 場 は 論 文 から 引 用 する まず 銀 河 の 中 心 部 の 速 度 と 腕 部 の 速 度 を 比 べる (A) 腕 部 の 速 度 が 中 心 部 より 大 きければ 遠 のき 小 さければ 近 づいている 次 に 銀 河 の 渦 の 回 転 方 向 を 銀 河 の 形 状 から 判 断 する (B) A と B ふたつの 情 報 から 傾 いている 方 向 を 判 別 する S 字 型 銀 河 ( 反 時 計 回 り)の 場 合 図 7 手 前 に 傾 いているときの S 字 型 図 8 奥 に 傾 いているときの S 字 型 Z 字 型 銀 河 ( 時 計 回 り)の 場 合 図 9 手 前 に 傾 いているときの Z 字 型 図 10 奥 に 傾 いているときの Z 字 型 14
2.3 データ 2.3.1 局 部 銀 河 群 のデータ 以 下 は 理 科 年 表 から 引 用 した 局 部 銀 河 群 のデータである 銀 経 [ ] 銀 緯 [ ] 視 直 径 ( 大 ) [ ] 視 直 径 ( 小 ) [ ] 距 離 [ 万 光 年 ] NGC147 119.8-14.3 13 8 230 E NGC185 120.8-14.5 11 10 230 E NGC205 120.7-21.1 17 10 230 E NGC221=M32 121.2 22.0 8 6 230 E NGC224=M31 121.2-21.6 180 63 230 S SMC 302.8-44.3 280 160 20 S Sculptor 287.8-83.2 20 20 30 E IC1613 129.7-60.6 12 11 220 I NGC598=M33 133.6-31.3 62 39 250 S Fornax 237.3-65.7 20 14 60 E LMC 280.5-32.9 650 550 16 S Carina 260.1-22.2 24 16 40 E LeoI 226.0 49.1 11 8 60 E LeoII 220.2 67.2 14 13 60 E Ursa Minor 105.0 44.8 32 21 25 E Draco 86.4 34.8 40 25 25 E NGC6822 25.3-18.4 10 10 170 I 表 1 局 部 銀 河 群 の 銀 経 銀 緯 視 直 径 距 離 分 類 型 15
以 下 は 表 1 のデータを 元 に 局 部 銀 河 群 の 3 次 元 空 間 の 座 標 と 大 きさ 傾 き および 傾 きの 方 向 を 計 算 したものである x [ 万 光 年 ] y [ 万 光 年 ] z [ 万 光 年 ] s [ 万 光 年 ] t [ 万 光 年 ] t ψ [ ] 傾 方 向 NGC147 28.2-49.3-56.8 0.9 0.5 0.615 NGC185 29.5-49.5-57.6 0.7 0.7 0.909 NGC205 42.3-71.2-82.8 1.1 0.7 0.588 NGC221=M32-44.6 73.7 86.2 0.5 0.4 0.750 NGC224=M31 43.9-72.4-84.7 12.0 4.2 0.350 70 奥 SMC -7.6 11.7-14.0 1.6 0.9 0.571 55 手 前 Sculptor -9.1 28.4-29.8 0.2 0.2 1.000 IC1613 122.4-147.5-191.7 0.8 0.7 0.917 NGC598=M33 89.6-94.1-129.9 4.5 2.8 0.629 51 手 前 Fornax 29.5 46.0-54.7 0.3 0.2 0.700 LMC -1.6 8.5-8.7 3.0 2.6 0.846 32 手 前 Carina 2.6 14.9-15.1 0.3 0.2 0.667 LeoI -31.5-32.6 45.4 0.2 0.1 0.727 LeoII -42.2-35.7 55.3 0.2 0.2 0.929 Ursa Minor -4.6 17.0 17.6 0.2 0.2 0.656 Draco 0.9 14.2 14.3 0.3 0.2 0.625 NGC6822-48.5-22.9-53.7 0.5 0.5 1.000 表 2 局 部 銀 河 群 の 3 次 元 空 間 の 座 標 と 直 径 と 傾 き 16
2.3.2 近 距 離 銀 河 群 のデータ 以 下 の 表 は 理 科 年 表 から 引 用 した 近 距 離 銀 河 群 のデータである 銀 経 [ ] 銀 緯 [ ] 視 直 径 ( 大 ) [ ] 視 直 径 ( 小 ) [ ] 距 離 [ 万 光 年 ] NGC55 333-76 32 6 690 S NGC247 114-84 20 7 780 S NGC253 98-88 25 7 880 S NGC300 299-79 20 15 690 S NGC1313 283-45 9 7 1400 S IC342 138 11 18 17 1800 S NGC2403 151 29 18 11 980 S NGC2903 209 45 13 7 2400 S NGC3031=M81 142 41 26 14 1200 S NGC3034=M82 141 41 11 5 1200 I NGC4236 127 47 19 7 1200 S NGC4258=M106 138 69 18 8 2100 S NGC4449 137 72 5 4 1300 I NGC4736=M94 123 76 11 9 1600 S NGC4826=M64 316 84 9 5 1600 S NGC4945 305 13 20 4 1500 S NGC5055=M63 106 74 12 8 2400 S NGC5128 310 19 18 14 1400 S NGC5194=M51 105 69 11 8 2100 S NGC5236=M83 315 32 11 10 1600 S NGC5457=M101 102 60 27 26 1900 S NGC6946 96 12 11 10 1900 S NGC7793 5-77 9 7 980 S 表 3 近 距 離 銀 河 群 の 銀 経 銀 緯 視 直 径 距 離 分 類 型 17
以 下 は 表 3 のデータを 元 に 近 距 離 銀 河 群 の 3 次 元 空 間 の 座 標 と 大 きさ 傾 きおよび 傾 きの 方 向 を 計 算 したものである t 傾 方 向 x [ 万 光 年 ] y [ 万 光 年 ] z [ 万 光 年 ] s [ 万 光 年 ] t [ 万 光 年 ] NGC55-596.5 303.9-669.5 6.4 1.2 0.188 79 奥 NGC247 315.5-708.7-775.7 4.5 1.6 0.350 70 不 明 NGC253 122.4-870.9-879.5 6.4 1.8 0.280 74 奥 NGC300-328.4 592.4-677.3 4.0 3.0 0.750 41 奥 NGC1313-222.7 964.6-989.9 3.7 2.9 0.778 39 不 明 IC342-255.2 229.8 343.5 9.4 8.9 0.944 19 手 前 NGC2403-415.5 230.3 475.1 5.1 3.1 0.611 52 奥 NGC2903-1484.3-822.7 1697.1 9.1 4.9 0.538 57 奥 NGC3031=M81-620.4 484.7 787.3 9.1 4.9 0.538 57 手 前 NGC3034=M82-611.8 495.4 787.3 3.8 1.7 0.455 NGC4236-528.2 700.9 877.6 6.6 2.4 0.368 68 奥 NGC4258=M106-1456.9 1311.8 1960.5 11.0 4.9 0.444 手 前 NGC4449-904.2 843.2 1236.4 1.9 1.5 0.800 37 NGC4736=M94-845.5 1302.0 1552.5 5.1 4.2 0.818 35 手 前 NGC4826=M64 1144.6-1105.4 1591.2 4.2 2.3 0.556 56 手 前 NGC4945 193.5-276.4 337.4 8.7 1.7 0.200 78 手 前 NGC5055=M63-635.9 2217.7 2307.0 8.4 5.6 0.667 49 手 前 NGC5128 293.0-349.2 455.8 7.3 5.7 0.778 39 手 前 NGC5194=M51-507.4 1893.7 1960.5 6.7 4.9 0.727 43 奥 NGC5236=M83 599.5-599.5 847.9 5.1 4.7 0.909 25 奥 NGC5457=M101-342.1 1609.5 1645.4 14.9 14.4 0.963 16 奥 NGC6946-41.3 392.9 395.0 6.1 5.5 0.909 25 奥 NGC7793-951.2-83.2-954.9 2.6 2.0 0.778 39 手 前 表 4 近 距 離 銀 河 群 の 3 次 元 空 間 の 座 標 と 直 径 と 傾 き ψ [ ] 18
2.3.3 スケール 各 軸 と 大 きさの 縮 尺 を 局 部 銀 河 群 (Ⅰ)と 近 距 離 銀 河 群 (Ⅱ)でそれぞれ 定 める Ⅰ. 局 部 銀 河 群 x 軸 1 万 光 年 = 1 mm y 軸 1 万 光 年 = 1 mm z 軸 1 万 光 年 = 1 mm 大 きさ 1 万 光 年 = 20 mm 1 mm = 0.05 万 光 年 300(x) 300(y) 300(z) [mm 3 ] の 範 囲 に 収 めることができる 制 作 時 一 番 大 きい 銀 河 は M31 で 半 径 120 mm 制 作 時 一 番 小 さい 銀 河 は Leo I で 半 径 2.0 mm Ⅱ. 近 距 離 銀 河 群 x 軸 1 万 光 年 = 0.2 mm 1 mm = 5 万 光 年 y 軸 1 万 光 年 = 0.2 mm 1 mm = 5 万 光 年 z 軸 1 万 光 年 = 0.1 mm 1 mm = 10 万 光 年 大 きさ 1 万 光 年 = 10 mm 1 mm = 0.1 万 光 年 600(x) 900(y) 500(z) [mm 3 ]の 範 囲 に 収 めることができる 制 作 時 一 番 大 きい 銀 河 は M101 で 半 径 7.5 mm 制 作 時 一 番 小 さい 銀 河 は NGC4449 で 半 径 0.9 mm 19
2.3.4 素 材 台 座 450 600 [mm 2 ] 2 mm 厚 の 塩 化 ビニール 板 を 計 3 枚 ( 局 部 銀 河 群 に 1 枚 近 距 離 銀 河 群 に 2 枚 ) 支 柱 丸 1.6mm 丸 角 2mm 角 3mm 丸 角 5mm それぞれ 高 さ 1 m 全 6 種 のアクリル 棒 これらを 銀 河 の 大 きさや 形 で 使 い 分 け 長 さごとに 切 断 し 使 用 する 銀 河 の 形 渦 巻 銀 河 S; 厚 紙 渦 の 形 は 赤 ペンで 向 きのみ 書 き 入 れる 傾 きはその 角 度 を 頂 点 とした 二 等 辺 三 角 形 を 作 り 支 柱 と 厚 紙 に 挟 んで 傾 きを 表 現 する 楕 円 銀 河 E; 紙 粘 土 乾 燥 後 青 色 塗 装 不 規 則 銀 河 I; 綿 写 真 1 素 材 ( 厚 紙 塩 ビ 板 (カットしたもの) 紙 粘 土 綿 アクリル 棒 ) 20
3. 完 成 模 型 データを 元 に 素 材 を 使 って 実 際 に 作 成 したものが 下 の 写 真 である 円 盤 渦 巻 銀 河 S 球 ( 青 色 塗 装 ) 楕 円 銀 河 E 綿 不 規 則 銀 河 I 3.1 局 部 銀 河 群 の 模 型 スケールの 都 合 上 天 の 川 銀 河 は 製 作 していないが 黒 線 の 交 点 に 太 陽 が 位 置 する 写 真 2 局 部 銀 河 群 の 模 型 (x 軸 に 平 行 な 視 点 ) 21
写 真 3 局 部 銀 河 群 の 模 型 (y 軸 に 平 行 な 視 点 ) 写 真 4 局 部 銀 河 群 の 模 型 ( 上 から 見 た 図 ) 22
3.2 近 距 離 銀 河 群 の 模 型 写 真 5 近 距 離 銀 河 群 の 模 型 (x 軸 に 平 行 な 視 点 ) 23
写 真 6 近 距 離 銀 河 群 の 模 型 (y 軸 に 平 行 な 視 点 ) 写 真 7 近 距 離 銀 河 群 の 模 型 ( 上 から 見 た 図 ) 24
4. 考 察 4.1 考 察 本 来 銀 河 群 とは 重 力 的 に 束 縛 されている 系 をもってみなされている 立 体 地 図 を 見 る 限 り 局 部 銀 河 群 は 特 にその 様 である 大 きい 天 の 川 銀 河 と M31 の 周 りに 多 く 集 中 していることがよくわかる 逆 に 言 えば 天 の 川 銀 河 と M31 は 同 じ 重 力 系 から 誕 生 した 訳 ではなさそうである また 局 部 銀 河 群 では 大 きい 銀 河 に 楕 円 銀 河 が 多 く 集 まっ ている これは 銀 河 の 形 成 と 関 連 していると 私 は 考 える 楕 円 銀 河 には 古 い 星 が 多 いことがわかっているが これは 早 い 段 階 で 爆 発 的 に 星 形 成 が 行 わ れ(スターバーストという) 星 の 元 となるガスを 使 い 切 ってしまったため という 説 がある ガスが 星 を 成 すには 自 身 の 重 力 によって 形 成 されるそうだが 天 の 川 銀 河 と M31 のまわ りに 存 在 する 星 たちは はたして 自 身 の 重 力 だけで 星 になったのだろうか 銀 河 群 が 大 きな 銀 河 の 重 力 の 束 縛 系 であるのなら 近 くにできる 星 の 形 成 にその 巨 大 重 力 が 影 響 していても 不 思 議 ではない つまり 大 きな 銀 河 の 重 力 も 影 響 して 特 にスターバース トが 起 こりやすくなり 楕 円 銀 河 ばかりが 形 成 されたのではないかと 私 は 考 える そして 巨 大 重 力 は 他 に 影 響 を 及 ぼしてくるほどの 重 力 がないために スターバーストが 起 きず ゆ っくりとした 星 形 成 からできる 渦 巻 銀 河 になったのではないだろうか 地 図 で 再 現 した 限 りだと 銀 河 の 集 団 とは 離 れたところに 存 在 するのは 決 まって 矮 小 銀 河 である これは 矮 小 銀 河 が 離 れた 位 置 に 存 在 すると 言 うよりは 巨 大 重 力 の 影 響 をさほど 受 けなかったために 渦 巻 銀 河 にも 楕 円 銀 河 にもならなかっただけという 可 能 性 も 考 えられる 近 しい 渦 巻 銀 河 同 士 の 渦 の 向 きは 全 てでは 無 いが 見 事 に 逆 を 向 いている また 傾 きも を 描 くかのようなクロスしているところがある この 理 由 には 銀 河 が 長 い 時 間 を 経 てなお 存 在 し 続 ける 理 由 そのものであると 考 える 何 故 なら 回 転 方 向 または 傾 きが 同 じであるよう な 似 た 者 同 士 の 銀 河 は いずれ 衝 突 合 体 してしまうからである 写 真 8 NGC4236( 左 )と M81( 右 ) 傾 きがクロスし 逆 回 転 している 25
4.2 改 善 点 今 回 傾 きは 長 軸 と 短 軸 から 求 めたが そもそも 傾 きには 二 種 類 存 在 する ひとつは position angle( 長 軸 の 位 置 角 )というもので 一 般 的 に pa と 記 す これは 赤 緯 ±90 を 通 る 直 線 に 平 行 な 軸 から どのぐらい 傾 いているかを 示 している この position angle は 赤 経 赤 緯 が 基 準 であるため 銀 経 銀 緯 に 直 す 必 要 がある もうひとつは inclination( 傾 斜 角 )というもので 一 般 的 に i で 表 す これは 対 象 の 銀 河 が 我 々に 対 してどのぐらい 傾 いているかを 示 すものである i=0 のとき 銀 河 は 正 面 を 向 いており これを face-on という i=90 のとき 銀 河 の 側 面 縁 しか 見 えず これを edge-on という 今 回 求 めた 傾 きは 主 にこの 傾 斜 角 のみとなる また inclination は 我 々に 対 しての 傾 きのため 地 図 で 表 すときは 対 象 銀 河 の 銀 緯 分 の 傾 きも 考 慮 しなければならなくなってくる 今 回 は 銀 緯 分 の 傾 きを 考 慮 しなかったため 銀 緯 の 絶 対 値 が 大 きくなればなるほど 誤 差 も 大 きくなっている 次 は このふたつの 傾 きも 調 べ データに 入 れて 製 作 に 取 り 組 みたい 26
5. 謝 辞 なお 最 後 になりましたが 本 研 究 を 進 めるにあたりデータの 取 り 方 や 製 作 の 上 でのアドバイスなど 様 々なご 教 授 を 頂 いた 祖 父 江 義 明 教 授 小 野 寺 幸 子 教 授 製 作 に 関 する 素 材 や 参 考 写 真 などを 提 供 してくださった 日 比 野 由 美 さん また 工 具 の 使 い 方 や 作 業 場 所 発 表 会 の 段 取 りを 教 えて 下 さった 大 学 院 生 の 方 々 そして 1 年 間 共 に 切 磋 琢 磨 した 同 研 究 室 の 同 志 わたくしは 多 くの 方 々のご 協 力 によって 本 研 究 を 仕 上 げるに 至 りました こ の 場 を 借 りて 篤 く 御 礼 申 し 上 げます これから 社 会 人 になるにあたって この 1 年 間 本 研 究 室 で 学 び 得 たことを 糧 に 更 に 精 進 していく 所 存 です 27
6. 参 考 文 献 6.1 参 考 文 献 1. 理 科 年 表 平 成 25 年 自 然 科 学 研 究 機 構 国 立 天 文 台 観 山 正 見 [ 編 ] 丸 善 出 版 2. 銀 河 Ⅰ- 銀 河 と 宇 宙 の 階 層 構 造 シリーズ 現 代 の 天 文 学 谷 口 義 明 岡 村 定 矩 祖 父 江 義 明 [ 編 ] 日 本 評 論 社 3. 銀 河 Ⅱ- 銀 河 系 シリーズ 現 代 の 天 文 学 4. 理 科 年 表 オフィシャルサイト 5. NGC IC 天 体 写 真 総 カタログ 6. 長 崎 大 学 教 育 学 部 天 文 学 研 究 室 祖 父 江 義 明 有 本 信 雄 家 正 則 [ 編 ] 日 本 評 論 社 http://www.rikanenpyo.jp/ 沼 澤 茂 美 脇 屋 奈 々 代 [ 編 ] 誠 文 堂 新 光 社 http://astro.edu.nagasaki-u.ac.jp/ 6.2 引 用 元 図 2; 銀 河 のハッブル 分 類 とは - コトバンク 図 3; 図 解 入 門 よくわかる 宇 宙 の 基 本 と 仕 組 み p.145 http://kotobank.jp/ 半 田 利 弘 [ 著 ] 秀 和 システム 表 1, 表 3; 理 科 年 表 p. 天 58(134)~ 天 59(135) 図 1,4~10 表 2,4 全 写 真 は 自 作 28