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Transcription:

タイトル: 男 性 解 放 ドラマ アットホーム ダッド - 悩 める 現 代 日 本 男 性 に 救 済 を- 小 林 めぐみ 序 論 I 研 究 目 的 II 対 象 の 選 定 III 構 成 と 分 析 方 法 私 は アットホーム ダッド を 見 て 男 性 も 主 夫 になりたい と 思 うのだろうか 男 性 も 男 性 中 心 の 社 会 で 苦 しんでいるのだろうか と 男 性 側 の 視 点 でジェンダーを 考 えるようになった それまで 女 性 側 の 視 点 でしかジェンダー 問 題 を 考 えられなかった 私 がこういう 視 点 に 気 付 けたのは このドラマがきっかけ だった そもそもなぜこのドラマはこうまで 私 に 衝 撃 を 与 え 影 響 を 与 えたのだろうか このドラマを 見 た 人 は 何 を 考 え 何 を 学 んだのだろう 分 析 作 品 は アットホーム ダッド に クレイマー クレイマー 僕 と 彼 女 と 彼 女 の 生 きる 道 父 親 が 家 事 育 児 に 励 む 様 子 を 描 いたこれら3 作 品 における 主 人 公 の 姿 を 分 析 することで 家 事 育 児 をする 男 性 の 描 かれ 方 の 変 化 を 読 み 解 く 第 1 章 では ドラマがいかに 視 聴 者 に 影 響 を 与 えるかを 述 べる 第 2 章 では 第 1 章 のメディア 世 界 か ら 現 実 に 移 り 現 代 日 本 の 男 性 がいかに 悩 める 状 況 かを 述 べる 以 上 より ドラマが 人 々に 及 ぼす 影 響 と 男 性 中 心 社 会 であるがゆえに 苦 しむ 男 性 の 状 況 を 前 提 として 理 解 した 上 で ドラマ 分 析 に 移 る 第 3 章 では クレイマー クレイマー と 僕 と 彼 女 と 彼 女 の 生 きる 道 を 分 析 する 男 性 がどうしよう もない 状 況 の 中 で 主 夫 をすることに 対 するイメージを 捉 える 第 4 章 では アットホーム ダッド を 分 析 する ストーリー 分 析 役 割 分 析 表 象 分 析 を 通 して ドラマの 構 造 と 視 聴 者 との 関 係 性 二 人 の 主 夫 の 描 かれ 方 を 捉 える 第 5 章 では 全 てを 踏 まえた 考 察 を 行 なう 3 作 品 の 関 係 性 を 明 らかにし そこから 読 み 取 れることをまと める そして ドラマという 媒 体 を 用 いることと 現 代 日 本 男 性 の 状 況 とを 併 せて このドラマがいかに 視 聴 者 に 新 しい 価 値 観 の 提 供 という 影 響 を 与 えたかを 述 べる 第 1 章 テレビドラマが 人 々に 与 える 影 響 Ⅰ テレビがもたらす 社 会 への 影 響 II ドラマという 形 式 が 人 々に 及 ぼす 影 響 - イメージ の 持 つ 影 響 力 - III ドラマが 表 現 してきた 社 会 i ドラマ 界 のトレンドの 移 行 ii ドラマが 与 える 社 会 のイメージとその 影 響 力 人 々はテレビから 様 々な 情 報 を 得 ることで これが 今 の 社 会 なのだ と 理 解 し それに 応 えるような 形 で 1

行 動 し 実 際 に 社 会 はそうなっていく これを 社 会 学 や 社 会 心 理 学 では 予 言 の 自 己 成 就 という 1 つまり テレビは 現 実 社 会 を 映 し 出 すだけではなく まだそうなってはいないものをさもそうなっているかのように 演 出 することで 現 実 に 社 会 をコントロールし 得 る ということだ そして 今 回 私 が 研 究 対 象 にした ドラマ であるが ドラマは 人 々に 様 々な 価 値 観 を 提 供 する それは 現 在 流 行 っていることから 新 たな 現 象 の 提 示 まで 様 々だ しかし 重 ね 重 ねになるが ドラマを 通 して 発 信 される 情 報 は 私 たち 視 聴 者 に 新 たな 価 値 観 の 提 供 や それまでぼやけていた 価 値 観 をよりはっきりと 強 化 する という 働 きをもっている そして 一 番 の 働 きは 憧 れを 持 たせる 効 果 だ こんな 生 き 方 をしてみたい と 思 わせる 力 がドラマにはある そして 憧 れは 次 の 行 動 を 決 定 する 重 要 な 因 子 だ これこそがドラマの 先 取 りを 結 果 として 先 取 っていた とさせる 要 因 なのではないだろうか 第 2 章 男 性 性 について - 男 性 学 を 参 考 に- I 男 性 学 から 学 ぶ i 男 性 学 についての 基 本 的 知 識 ii 現 代 男 性 が 抱 える 悩 み iii 男 らしさ から 解 放 されるために - 多 様 な 性 のあり 方 を 認 める- II 変 わる 役 割 分 業 観 i 変 化 を 求 められる 性 別 役 割 分 業 への 意 識 ii 主 夫 という 選 択 をした 男 たち 男 性 学 は この 男 性 社 会 を 男 性 の 目 で 読 み 直 すための 学 問 だ 男 性 中 心 社 会 のジレンマ( 冬 彦 さん 現 象 や 結 婚 したくてもできない 独 身 男 性 中 高 年 男 性 の 自 殺 増 加 に ぬれ 落 ち 葉 族 など)が 表 面 化 している 今 こそ 男 性 もまた 今 の 社 会 を 見 直 さなければならない 肩 書 きや 妻 から 自 立 できず 自 分 の 存 在 意 義 を 見 出 せない 男 たちの 悩 み その 根 底 には 男 らしさ に 縛 られてきた 社 会 の 存 在 があるのではないか 男 性 もまた 自 分 らしさではない 男 らしさ に 圧 迫 されてきたのだ そんな 男 性 達 が 自 分 を 救 う 方 法 は 他 人 の 庇 護 や 進 歩 を 恐 れず 自 分 の 感 情 を 認 め 自 分 の 中 の 多 様 さを 認 めることだ 重 要 なのは 男 であること 女 であることではなく 自 分 という 一 人 の 人 間 が 人 生 に 何 を 求 めているのかなのだ それこそが 男 らしさ からの 解 放 であり 自 分 という 一 人 の 人 間 の 本 当 の 意 味 での 自 由 な 生 き 方 に 繋 がる この 議 論 は 机 上 の 空 論 ではない 現 実 に 既 存 の 性 別 観 は 変 化 してきている 男 女 の 本 当 の 意 味 での 平 等 は 今 では 国 際 的 に 重 要 視 される 問 題 だ また 産 業 構 造 の 変 化 により 労 働 の 形 態 そのものが 変 化 し 性 別 役 割 分 業 を 生 み 出 した 近 代 産 業 社 会 の 原 則 男 は 外 女 は 内 には 限 界 がある そんな 国 際 社 会 の 動 きと 産 業 構 造 の 変 化 による 社 会 のジェンダーレス 化 にいち 早 く 反 応 し その 答 えを 行 動 で 示 した 男 性 それが 主 夫 だと 私 は 思 う 彼 らは 肩 肘 を 張 らずに そうすることが 一 番 自 然 だったか らというだけの 理 由 で 主 夫 になっている そんな 彼 らだからこそ 過 剰 なほどに 男 らしさ に 縛 られて 身 動 きがとれないでいる 男 性 達 に 比 べ とても 自 然 で 無 理 の 無 い 生 活 を 送 ることができているのだろう 1 ジェンダーの 語 られ 方 メディアのつくられ 方 諸 橋 泰 樹 2002 年 現 代 書 館 2

第 3 章 ドラマ 分 析 (1) - クレイマー クレイマー 僕 と 彼 女 と 彼 女 の 生 きる 道 - I クレイマー クレイマー 分 析 i 描 かれ 方 の 分 析 ii 作 品 の 発 するメッセージと 観 衆 の 評 価 II 僕 と 彼 女 と 彼 女 の 生 きる 道 分 析 i 描 かれ 方 の 分 析 ii 仕 事 中 心 主 義 の 人 間 の 描 き 方 iii 北 島 ゆらの 存 在 iv 作 品 の 発 するメッセージと 視 聴 者 の 評 価 III 2 作 品 をみて 2 作 品 の 共 通 点 と 相 違 点 は 以 下 共 通 している 部 分 おおまかなストーリーの 展 開 テーマ( 仕 事 だけしか 生 きがいの 無 かった 父 親 が 子 どもとの 生 活 を 通 して 本 当 に 大 切 なものを 見 つ ける) 異 なった 部 分 登 場 人 物 ( 北 島 ゆら 小 柳 義 郎 井 上 部 長 可 奈 子 の 母 など) 結 論 ( クレイマー クレイマー では 親 権 は 父 親 へ 僕 と 彼 女 と 彼 女 の 生 きる 道 では 母 親 へ ) 共 通 している 部 分 については なぜ 70 年 代 のアメリカで 取 り 上 げられたテーマが 今 の 日 本 で 再 度 取 り 上 げられたか ということだ 日 本 のブームの 遅 さに 驚 く 登 場 人 物 の 違 いについては 特 に 北 島 ゆらという 強 力 なアドバイザーを 必 要 とした 理 由 は 現 代 日 本 の 男 性 の 弱 さが 起 因 しているのではないだろうか ドラマで 描 かれる 現 代 日 本 男 性 は 自 分 の 力 だけでは 立 ち 上 がれないれず 結 果 として 敗 北 し それでもなおその 助 けを 支 えに 生 きていく そういう 姿 が 描 かれている のではないだろうか しかし このことについてはまだまだ 熟 考 の 余 地 があり 現 段 階 では 結 論 に 至 ってい ない 共 通 点 と 相 違 点 を 確 認 した 上 で この2 作 品 を 見 たとき 私 たち 視 聴 者 が 感 じること それは クレイマ ー クレイマー では 稼 ぐだけの 存 在 だった 父 親 が 本 当 の 意 味 での 養 育 者 となる 過 程 とその 意 味 そしてそ こから 得 られる 何 物 にも 換 えがたい 絆 の 大 切 さを 僕 と 彼 女 と 彼 女 の 生 きる 道 ではその 絆 に 加 え て 仕 事 仕 事 にだけ 生 きることの 虚 しさと 現 代 男 性 が 生 き 悩 む 姿 をより 強 烈 に 勉 強 させられる 第 4 章 ドラマ 分 析 (2) - アットホーム ダッド - I 構 造 分 析 i ストーリー 分 析 ii 第 1 話 と 最 終 話 のストーリー 展 開 の 比 較 ( 補 足 ) 挿 入 歌 の 使 われ 方 II 描 かれ 方 の 分 析 i 役 割 分 析 3

ii 表 象 分 析 ii-1 ビジュアル 面 での 描 かれ 方 ii-2 その 他 の 部 分 の 描 かれ 方 III 隠 れたメッセージ IV 作 品 の 発 するメッセージと 視 聴 者 の 評 価 ストーリーの 構 造 自 体 は 毎 回 同 じ 展 開 が 繰 り 返 されるもので 全 体 を 通 した 構 造 も 主 人 公 が 新 しい 環 境 において 悪 戦 苦 闘 の 末 物 事 を 習 得 していくという ありがちなものだった やはり 主 夫 という 題 材 が 鮮 烈 な 印 象 を 与 えているのだ このドラマにおいて 作 中 の 登 場 人 物 と 視 聴 者 はどのような 関 係 性 を 持 っているのかというと 和 之 = 視 聴 者 ( 現 代 男 性 ) 優 介 = 異 文 化 の 象 徴 先 駆 者 現 代 男 性 の 発 展 型 と 捉 えることができる つまり 和 之 の 行 動 や 和 之 の 考 えは 現 代 の 男 性 そのものであり 優 介 はジェンダーフリーを 体 現 した 発 展 的 な 男 性 と 考 え られる ということだ そんな 二 人 は 作 中 において 実 に 分 かりやすくそのイメージを 描 かれている 和 之 は 最 初 は 親 しみやすさのかけらもない スタイリッシュだけれどもどこか 冷 たい 印 象 の 着 こなしから 徐 々に 角 の 取 れた 親 しみやすいスタイルに 変 化 していく 優 介 は むしろ 今 時 こんな 人 いるのか!?とい うくらいださめの でも 清 潔 感 のあるスタイルで やたらとエプロンを 着 けている つまりこれが 主 夫 のイ メージである その 他 の 部 分 の 描 かれ 方 役 割 でもない ビジュアルでもない しかし 作 中 で 確 実 に 発 せられているメッ セージがこの 部 分 だと 私 は 考 える この 部 分 は 何 となく 視 聴 者 の 意 識 に 入 り 込 み シリーズを 見 続 ける ことで 確 実 に 視 聴 者 に 理 解 され 自 己 投 影 同 一 化 されていく 部 分 だ 視 聴 者 の 成 り 代 わりで それまで 男 性 中 心 社 会 で 生 き そのことに 疑 問 すら 感 じてこなかった 和 之 が 主 夫 となることでその 行 動 の 一 つ 一 つに 変 化 は 現 れ 彼 は 大 きく 成 長 した 主 夫 という 経 験 が 彼 を 変 えたの だ 男 性 中 心 社 会 に 疑 問 を 投 げかけるこの 専 業 主 夫 というテーマにおいて 二 人 の 主 夫 は 最 終 的 に 幸 せ だ 家 族 のスタイルは 一 つではない 男 がどう 女 がどうという 問 題 ではなく その 家 族 内 において 今 一 番 ベストなあり 方 はどういう 形 なのか それを 大 事 にすればいい そういうイメージが 二 人 の 主 夫 を 通 して ありありと 伝 わってくる しかしこれらの 分 析 を 通 して 得 られるのは あくまでも 表 層 の 描 かれ 方 でありメッセージだが 岩 崎 真 理 江 と 山 村 美 紀 の 描 き 方 を 分 析 することによって 深 層 のメッセージを 解 き 明 かすことができる 主 婦 代 表 岩 崎 真 理 江 彼 女 の 主 夫 差 別 働 く 女 性 差 別 の 発 言 にはムッとするところが 多 く ま た 彼 女 のビジュアルイメージは 胸 焼 けがするほどのピンクピンク!そんな 彼 女 は 毎 回 必 ず 和 之 に 敗 北 する あくまでもコメディタッチでその 醜 態 を 描 かれている 岩 崎 だが 彼 女 は 確 実 に 滑 稽 で 哀 れ な 存 在 と して 描 かれている これは 製 作 者 側 の 根 元 にある 捨 てきれない 主 婦 に 対 する 悪 いイメージなのか も しくはこのような 主 婦 を 面 白 おかしく 描 き 上 げることが 今 はもうそんな 時 代 ではないと 言 っていることに なるのかは 判 断 が 難 しいところである 和 之 の 妻 美 紀 その 美 紀 が 働 く 様 子 には 疑 問 が 残 る 美 紀 の 上 司 は 編 集 長 の 上 田 という 男 だ この 上 田 と 絡 むときに 必 ず いやらしいというか 艶 っぽいというか そのような 音 楽 が 流 れるのだ もちろん 最 後 まで 美 紀 と 上 田 との 間 には 何 事 も 起 こらないのだが だがむしろそうなると では 一 体 何 の 為 のあの 演 出 だったのかと 言 いたくなる これらについて 考 えると どうにもこのドラマには 複 雑 な 構 造 が 潜 んでいるよ うに 思 う 4

だが どちらにしろ ドラマという 影 響 力 の 強 い 媒 体 を 使 っての 主 夫 の 起 用 は 多 かれ 少 なかれ 視 聴 者 に 影 響 を 与 えたようだ すくなくともその 存 在 を 知 らしめたという 点 では 異 論 はない 第 5 章 考 察 I 3 作 品 の 関 係 性 の 考 察 II ドラマ 上 で 描 かれる 男 性 の 姿 から 学 べること 3 作 品 全 ての 分 析 を 終 えたところで 関 係 性 を 明 らかにする クレイマー クレイマー と 僕 と 彼 女 と 彼 女 の 生 きる 道 における どうしようもない 理 由 で 兼 業 主 夫 化 した 男 性 から アットホーム ダッド の 妻 ( 母 親 )がいる 標 準 家 庭 (と 表 現 したら 問 題 があるかもしれないが)であるにも 関 わらず 専 業 主 夫 とい う 選 択 をする 男 性 へと 同 じ 主 夫 でもその 動 機 に 変 化 が 起 きている 更 に アットホーム ダッド の 中 でも いずれは 働 き 兼 業 化 するが さし 当 たっては 専 業 主 夫 で という 男 性 と この 先 もずっと 専 業 主 夫 でいく という 男 性 とで 描 き 分 けられている この 心 象 の 違 いから いかに 性 別 という 無 意 識 に 植 え 込 まれた 括 りから 自 由 に 動 けるかを 推 測 できる 全 ての 作 品 を 見 て 感 じること それは 性 別 の 括 りに 囚 われていることに 疑 問 も 感 じない 男 の 愚 かさだ 現 代 日 本 男 性 の 悩 める 姿 が 彼 らの 描 かれ 方 によって 間 接 的 に 浮 き 彫 りになったともいえる そんな 彼 ら が 自 分 の 生 き 方 を 見 つめなおし 結 果 幸 福 になったということから 今 の 日 本 社 会 に 生 きる 仕 事 にしかその 存 在 価 値 を 見 出 せないでいる 男 性 たちへの 強 烈 な 皮 肉 も 感 じられる ドラマは 視 聴 者 の 意 識 に 直 球 ではなく 変 化 球 で 問 い 掛 けるもの それは 直 球 の 真 っ 向 勝 負 でないだけに 反 論 しようとする 意 識 もあまり 起 こらないから スルリと 脳 裏 に 入 り 込 んでくる しかも 時 代 はかつての 男 性 中 心 社 会 に 限 界 を 感 じている それを 一 番 痛 感 しているのは 他 でもない 男 性 自 身 だ 特 に 救 いを 求 めたくても 求 められない 悩 める 日 本 男 性 であるお 父 さんの 意 識 には 深 く 入 り 込 むことができたのではな いだろうか そしてこれは 何 も 主 夫 という 選 択 に 限 ってではない そうせざるを 得 なかった 主 人 公 の 姿 から そうすることが 一 番 自 然 で 合 理 的 だからその 選 択 をした 主 人 公 の 姿 へ 変 化 したことで その 発 想 の 柔 軟 性 と 合 理 性 の 自 然 さ 良 さを 学 ぶことができる 5