理 数 系 のキャリアパス ~ 高 校 大 学 そして 社 会 へ~ 科 学 安 全 政 策 研 究 本 部 科 学 技 術 研 究 グループ 研 究 員 山 野 宏 太 郎 2009 年 12 月 7 日
目 次 人 材 育 成 に 関 わる 政 策 動 向 注 目 される 多 様 な 人 材 像 理 数 教 育 に 対 する 提 言 大 学 大 学 院 進 学 の 現 状 大 学 入 学 者 の 全 体 的 動 向 大 学 院 入 学 者 の 全 体 的 動 向 大 学 進 学 後 のキャリアパス 就 職 先 の 産 業 分 布 学 部 修 士 博 士 の 進 学 / 就 職 状 況 入 学 就 職 の 経 年 変 化 ポスドク 問 題 と 理 数 系 の キャリアパス 理 数 系 博 士 の 進 路 ( 職 種 ) ポスドク 問 題 とは 何 か? ポスドク 問 題 は 何 故 問 題 か? ポスドク 問 題 はどこで 起 こっているのか? 理 数 系 ポスドクのキャリアパス 理 数 系 学 生 のキャリア 意 識 民 間 企 業 への 就 職 活 動 経 験 他 分 野 進 出 への 関 心 キャリア 意 識 の 転 機 きっかけ 理 数 系 キャリアパスの 課 題 解 決 策 理 数 系 キャリアパスの 現 状 理 数 系 キャリアの 課 題 に 対 する 解 決 策 1
自 己 紹 介 主 な 調 査 実 績 教 育 人 材 育 成 に 関 する 調 査 大 学 大 学 院 の 教 育 に 関 する 調 査 文 部 科 学 省 大 学 活 動 評 価 手 法 開 発 調 査 経 済 産 業 省 課 題 解 決 型 授 業 における 社 会 人 基 礎 力 の 育 成 評 価 に 関 する 調 査 経 済 産 業 省 研 究 活 動 などに 関 する 調 査 日 本 と 主 要 国 のインプット アウトプット 比 較 分 析 文 部 科 学 省 日 本 の 大 学 に 関 するシステム 分 析 文 部 科 学 省 独 立 行 政 法 人 国 立 大 学 法 人 及 び 大 学 共 同 利 用 機 関 法 人 の 科 学 技 術 関 係 業 務 の 把 握 に 関 連 した 調 査 内 閣 府 個 別 大 学 へのコンサルティングなど 国 際 大 学 ベンチマーキング 国 立 大 学 研 究 および 特 許 技 術 動 向 からみた 大 学 のポテンシャル 評 価 私 立 大 学 2
人 材 育 成 に 関 わる 政 策 動 向
注 目 される 多 様 な 人 材 像 研 究 者 以 外 の 多 様 なキャリアパスが 注 目 されている 新 時 代 の 大 学 院 教 育 (2005 年 9 月 中 央 教 育 審 議 会 答 申 ) 今 後 の 大 学 院 が 担 うべき 人 材 養 成 機 能 は, 創 造 性 豊 かな 優 れた 研 究 開 発 能 力 を 持 つ 研 究 者 等 の 養 成, 高 度 な 専 門 的 知 識 能 力 を 持 つ 高 度 専 門 職 業 人 の 養 成, 確 かな 教 育 能 力 と 研 究 能 力 を 兼 ね 備 えた 大 学 教 員 の 養 成, 知 識 基 盤 社 会 を 多 様 に 支 える 高 度 で 知 的 な 素 養 のある 人 材 の 養 成 の 四 つに 整 理 される 第 3 期 科 学 技 術 基 本 計 画 (2006 年 3 月 閣 議 決 定 ) 知 的 財 産 技 術 経 営 等 に 係 る 人 材 の 養 成 科 学 技 術 コミュニケーターの 養 成 新 たなニーズに 対 応 した 人 材 養 成 情 報 通 信 安 全 安 心 文 理 融 合 バイオインフォマティクス ナノテクなど 技 術 者 の 養 成 製 造 中 核 技 術 を 維 持 確 保 していくための 技 術 者 の 養 成 4
注 目 される 多 様 な 人 材 像 専 門 知 識 以 外 のスキル 育 成 に 注 目 が 集 まっている 社 会 人 基 礎 力 ( 経 済 産 業 省 ) 前 に 踏 み 出 す 力 (アクション) 主 体 性 働 きかけ 力 実 行 力 考 え 抜 く 力 (シンキング) 課 題 発 見 力 計 画 力 想 像 力 チームで 働 く 力 (チームワーク) 発 信 力 傾 聴 力 柔 軟 性 状 況 把 握 力 規 律 性 ストレスコントロール 力 学 士 力 ( 文 部 科 学 省 ) 1. 知 識 理 解 多 文 化 異 文 化 に 関 する 知 識 の 理 解 人 類 の 文 化 社 会 と 自 然 に 関 する 知 識 の 理 解 2. 汎 用 的 技 能 コミュニケーション スキル 数 量 的 スキル 情 報 リテラシー 論 理 的 思 考 力 問 題 解 決 力 3. 態 度 志 向 性 自 己 管 理 力 チームワーク リーダーシップ 倫 理 観 市 民 としての 社 会 的 責 任 生 涯 学 習 力 4. 統 合 的 な 学 習 経 験 と 創 造 的 思 考 力 5
参 考 人 材 ニーズの 変 化 第 3 次 産 業 への 労 働 力 移 動 は 先 進 国 共 通 の 現 象 今 後 は 製 造 業 だけでなく サービス 業 などへの 人 材 輩 出 が 必 須 主 要 5カ 国 の 産 業 別 従 業 者 割 合 の 推 移 第 3 次 産 業 従 業 者 の 割 合 各 国 共 に 第 2 次 産 業 の 従 業 者 割 合 が 低 下 し 第 3 次 産 業 の 従 業 者 割 合 が 上 昇 第 2 次 産 業 従 業 者 の 割 合 出 典 NISTEP REPORT No.73 科 学 技 術 指 標 - 日 本 の 科 学 技 術 の 体 系 的 分 析 - 平 成 16 年 版 図 3-1-6 6
理 数 教 育 に 対 する 提 言 各 所 から 理 数 教 育 強 化 が 提 言 されている イノベーション25 (2007 年 6 月 閣 議 決 定 ) 高 度 で 先 進 的 な 理 数 学 習 の 機 会 の 提 供 科 学 技 術 コンテスト SSH SSH 国 際 交 流 卓 越 した 意 欲 能 力 の 児 童 生 徒 に 高 度 な 学 習 機 会 提 供 など 理 数 教 育 の 充 実 外 部 理 工 系 人 材 の 教 員 としての 登 用 理 科 支 援 員 理 科 教 育 等 設 備 教 科 書 の 質 量 の 充 実 強 化 企 業 技 術 者 の 経 験 能 力 による 理 科 授 業 実 験 観 察 実 習 等 体 験 活 動 を 充 実 させるための 教 員 研 修 科 学 技 術 によるイノベーション 創 出 に 向 けて (2007 年 3 月 総 合 科 学 技 術 会 議 決 定 ) 平 成 22 年 度 の 科 学 技 術 に 関 する 予 算 等 の 資 源 配 分 の 方 針 (2009 年 6 月 総 合 科 学 技 術 会 議 決 定 ) 経 済 成 長 戦 略 大 綱 (2007 年 6 月 経 済 財 政 諮 問 会 議 改 訂 ) 7
理 数 教 育 に 対 する 提 言 出 典 科 学 技 術 学 術 審 議 会 人 材 委 員 会 ( 第 39 回 ) 配 付 資 料 1-1 8
大 学 大 学 院 進 学 の 現 状
大 学 入 学 者 の 全 体 的 動 向 大 学 入 学 者 は 頭 打 ちの 一 方 で 進 学 率 は 着 実 に 上 昇 大 学 入 学 者 頭 打 ち 18 歳 人 口 減 少 = 進 学 率 上 昇 2005 年 度 には 大 学 進 学 率 は44.2は 44.2%に 到 達 ( マス 段 階 から ユニバーサル 段 階 への 移 行 期 ) 大 学 院 入 学 者 も 近 年 頭 打 ち~ 減 少 傾 向 大 学 院 重 点 化 施 策 によって 90 年 代 には 急 拡 大 2003 年 前 後 に 頭 打 ちとなり 特 に 博 士 では 減 少 に 転 じている 景 気 回 復 による 修 士 修 了 者 の 就 職 環 境 の 好 転? ポスドク 問 題 などの 浸 透 によって 博 士 課 程 進 学 を 敬 遠? 18 歳 人 口 はさらに 減 少 今 後 約 10 年 間 は 横 ばいだが その 後 さらに 減 少 する 見 込 み 10
大 学 入 学 者 の 全 体 的 動 向 入 学 者 頭 打 ち 18 歳 人 口 減 少 = 進 学 率 上 昇 10 年 程 度 横 ばいの 後 さらに 減 少 の 見 込 み 出 典 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/005/001.pdf 11
大 学 院 入 学 者 の 全 体 的 動 向 博 士 課 程 入 学 者 は 減 少 に 転 じている 1990 年 代 を 中 心 に 修 士 博 士 共 に 入 学 者 が 急 増 出 典 NISTEP REPORT No. 125 理 工 系 大 学 院 の 教 育 に 関 する 国 際 比 較 調 査 12
参 考 理 工 系 離 れ は 本 当 か? 少 なくとも 理 学 離 れ は 起 きていない 理 学 部 : 男 女 共 に2% に % 前 後 でほぼ 一 定 工 学 部 : 男 子 は 変 動 の 繰 り 返 し 近 年 は 男 女 とも 低 下 傾 向 入 学 志 願 者 全 体 に 占 める 各 学 部 の 入 学 志 願 者 割 合 25% 5% 志 願 者 者 全 体 に 占 める 割 合 ( 男 子 ) 20% 15% 10% 5% 4% 3% 2% 1% 志 願 者 者 全 体 に 占 める 割 合 ( 女 子 ) 理 学 部 ( 男 子 ) 理 工 学 部 ( 男 子 ) 工 学 部 ( 男 子 ) 理 学 部 ( 女 子 ) 理 工 学 部 ( 女 子 ) 工 学 部 ( 女 子 ) 0% 1980 1985 1990 1995 2000 2005 0% 出 典 学 校 基 本 調 査 13
大 学 進 学 後 のキャリアパス
就 職 先 の 産 業 分 布 就 職 先 の 産 業 分 布 は 学 位 分 野 毎 に 大 きく 異 なる 理 学 から 主 な 就 職 先 : 学 部 情 報 通 信 業 修 士 製 造 業 博 士 学 術 研 究 等 就 職 者 の 就 職 先 産 業 分 布 ( 学 位 分 野 別 ) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 社 会 科 学 理 学 工 学 学 部 修 士 博 士 学 部 修 士 博 士 学 部 修 士 博 士 建 設 業 製 造 業 情 報 通 信 業 金 融 保 険 不 動 産 業 等 学 術 研 究, 専 門 技 術 サービス 業 教 育, 学 習 支 援 業 公 務 その 他 出 典 平 成 20 年 学 校 基 本 調 査 15
学 部 修 士 博 士 の 進 学 / 就 職 状 況 理 学 系 学 生 は 修 士 民 間 博 士 アカデミア が 多 い 学 部 進 学 者 修 士 民 間 博 士 アカデミアが 最 も 多 い 民 間 企 業 推 計 値 約 400 人 ( 約 26%) 約 4,300 人 ( 約 69%) 約 8,000 人 ( 約 42%) 博 士 卒 業 者 ( 約 1,600 人 ) 進 学 者 約 1,100 人 ( 約 18%) 修 士 卒 業 者 ( 約 6,300 人 ) 進 学 者 約 8,100 人 ( 約 43%) 非 就 職 者 約 200 人 その 他 約 420 人 推 計 値 非 就 職 者 約 300 人 その 他 約 520 人 推 計 値 学 部 卒 業 者 ( 約 1.9 万 人 ) 非 就 職 者 約 1,600 人 その 他 約 1,400 人 推 計 値 アカデミア 大 学 教 員 123 人 ポスドク 等 447 人 進 学 者 27 人 大 学 教 員 大 学 教 員 6 人 4 人 出 典 中 央 教 育 審 議 会 大 学 分 科 会 大 学 院 部 会 ( 第 47 回 ) 参 考 資 料 2の 図 より 再 構 成 16
学 部 修 士 博 士 の 進 学 / 就 職 状 況 工 学 系 学 生 は 大 部 分 が 民 間 へ 一 貫 して 民 間 企 業 への 就 職 が 多 く 特 に 修 士 では 多 数 民 間 企 業 推 計 値 約 1,500 人 ( 約 42%) 約 2.7 万 人 ( 約 87%) 約 5.5 万 人 ( 約 58%) 博 士 卒 業 者 ( 約 3,600 人 ) 進 学 者 約 1,800 人 ( 約 6%) 修 士 卒 業 者 ( 約 3.1 万 人 ) 進 学 者 約 3.1 万 人 ( 約 33%) 非 就 職 者 約 500 人 その 他 約 750 人 推 計 値 非 就 職 者 約 900 人 その 他 約 1,140 人 推 計 値 学 部 卒 業 者 ( 約 9.5 万 人 ) 非 就 職 者 約 4,800 人 その 他 約 3,800 人 推 計 値 アカデミア 大 学 教 員 354 人 ポスドク 等 516 人 進 学 者 19 人 大 学 教 員 大 学 教 員 50 人 12 人 出 典 中 央 教 育 審 議 会 大 学 分 科 会 大 学 院 部 会 ( 第 47 回 ) 参 考 資 料 2の 図 より 再 構 成 17
学 部 修 士 博 士 の 進 学 / 就 職 状 況 理 学 系 学 生 は アカデミック キャリア 志 向 が 強 い 理 工 農 系 の 中 では 非 就 職 率 がやや 高 い 博 士 修 了 率 アカデミックキャリア 選 択 率 が 共 に 高 い 就 職 者 の 中 で ポスドクへ 進 む 割 合 が 高 い ポスドク 問 題 理 学 工 学 農 学 社 会 人 文 学 部 卒 業 者 数 19,000 95,000 16,000 206,000 91,000 博 士 修 了 率 博 士 修 了 者 / 学 部 卒 業 者 民 間 キャリア 選 択 率 民 間 就 職 者 ( 学 部 修 士 博 士 合 計 )/ 学 部 卒 業 者 アカデミックキャリア 選 択 率 大 学 教 員 ポスドク 等 ( 学 部 修 士 博 士 合 計 )/ 学 部 卒 業 者 非 就 職 者 率 非 就 職 者 ( 学 部 修 士 博 士 合 計 )/ 学 部 卒 業 者 8.4% 3.8% 6.9% 0.6% 1.5% 66.8% 87.9% 70.0% 74.8% 70.1% 3.1% 1.0% 2.7% 0.2% 0.5% 11.1% 6.5% 10.6% 15.6% 18.5% 出 典 中 央 教 育 審 議 会 大 学 分 科 会 大 学 院 部 会 ( 第 47 回 ) 参 考 資 料 2の 図 より 再 構 成 18
入 学 就 職 の 経 年 変 化 理 学 系 の 入 学 就 職 状 況 は 博 士 課 程 で 顕 在 化 深 刻 化 博 士 課 程 への 入 学 者 充 足 率 は 共 に 減 少 が 続 いている 博 士 課 程 は 修 士 課 程 よりも10 10ポイント 以 上 就 職 率 が 低 い 修 士 修 了 後 の 進 学 率 と 就 職 率 の 合 計 は 90 90% % 前 後 でほぼ 一 定 理 学 系 の 修 士 博 士 課 程 における 入 学 進 学 就 職 状 況 入 学 者 数 ( 人 ) 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 1999 2001 2003 2005 140% 120% 100% 80% 60% 40% 20% 0% 定 員 充 足 率 (%) 割 合 (%) 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 就 職 + 進 学 率 は ほぼ 一 定 1998 2000 2002 2004 2006 2008 入 学 者 数 ( 修 士 ) 入 学 者 数 ( 博 士 ) 入 学 充 足 率 ( 修 士 ) 入 学 充 足 率 ( 博 士 ) 就 職 率 ( 修 士 ) 進 学 率 ( 修 士 ) 就 職 率 ( 博 士 ) 進 学 + 就 職 率 ( 修 士 ) 出 典 中 央 教 育 審 議 会 大 学 分 科 会 大 学 院 部 会 ( 第 47 回 ) 参 考 資 料 2の 図 表 より 再 構 成 19
ポスドク 問 題 と 理 数 系 のキャリアパス
理 数 系 博 士 の 進 路 ( 職 種 ) 博 士 課 程 修 了 者 のキャリアは 分 野 によって 大 きく 異 なる 他 分 野 よりも 理 学 特 に 物 理 生 物 はポスドクの 割 合 が 高 い い 理 学 系 の 中 でも 化 学 は 民 間 企 業 等 へ 進 む 割 合 が 高 い 同 じ 分 野 でも 理 論 / 実 験 で 状 況 が 全 く 違 う 可 能 性 がある 2002~2006 年 博 士 課 程 修 了 者 における 修 了 直 後 の 職 業 ( 分 野 別 ) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% ポスドク 理 学 ( 数 学 ) 理 学 ( 物 理 ) 理 学 ( 化 学 ) 理 学 ( 生 物 ) 理 学 ( 地 学 ) 工 学 農 学 人 文 社 会 大 学 教 員 等 その 他 研 究 開 発 関 連 職 教 育 関 係 職 医 師 等 その 他 の 専 門 知 識 を 要 する 職 その 他 職 業 その 他 ( 学 生 無 職 不 明 等 ) 出 典 NISTEP REPORT No. 126 我 が 国 の 博 士 課 程 修 了 者 の 進 路 動 向 調 査 資 料 編 データより 作 成 21
ポスドク 問 題 とは 何 か? ポスドクが 急 激 に 増 加 した(できた)こと プロジェクト 型 雇 用 などによる 任 期 付 き 研 究 職 の 拡 大 ポスドクの 職 業 的 地 位 が 不 安 定 ( 任 期 付 )であること 任 期 期 限 後 の 職 を 常 に 意 識 せざるを 得 ない ポスドク 以 降 のキャリアが 不 透 明 であること 任 期 なしのアカデミック ポストが 大 幅 に 増 えるとは 考 えにくい 産 業 構 造 との 量 的 質 的 ミスマッチが 生 じている ポストドクター 後 のキャリアパスが 確 定 していないこと ポストド クターが 多 く 存 在 する 専 門 分 野 構 成 と 産 業 構 造 から 専 門 性 が 要 請 される 分 野 構 成 との 間 にミスマッチが 生 じていること 出 典 人 材 委 員 会 ( 第 50 回 ) 資 料 1 審 議 テーマ 博 士 号 取 得 者 の 社 会 の 多 様 な 場 における 活 躍 促 進 のための 方 策 審 議 資 料 22
参 考 職 階 別 大 学 教 員 数 若 手 教 員 ポスト( 助 手 助 教 )の 割 合 は 一 貫 して 低 下 教 員 数 は 増 加 しているが 助 手 助 教 の 人 数 は 頭 打 ち 90 年 代 における 博 士 課 程 学 生 の 急 増 に 対 応 できていない 18 総 数 は 着 実 に 増 加 しているが 若 手 ポストは 頭 打 ち 16 14 100% 80% 若 手 ポストの 割 合 は 低 下 し 逆 ピラミッド 構 造 に 変 化 人 数 ( 万 人 ) 12 10 8 6 4 2 0 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 助 手 助 教 講 師 助 教 授 教 授 割 合 60% 40% 20% 0% 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 助 手 助 教 講 師 助 教 授 教 授 出 典 学 校 基 本 調 査 データは 広 島 大 学 高 等 教 育 研 究 開 発 センターウェブサイトよりダウンロード (http://rihe.hiroshima-u.ac.jp/data list.php?dataname id=43#36) 23
ポスドク 問 題 は 何 故 問 題 か? 労 働 政 策 として 不 安 定 な 職 ( 任 期 付 研 究 者 など)に 人 材 が 滞 留 高 等 教 育 政 策 として 将 来 的 な 教 育 者 の 不 足 教 育 成 果 としてのポスドクの 活 用 不 足 科 学 技 術 政 策 として 過 度 の 流 動 性 による 研 究 活 動 への 影 響 ( 腰 を 据 えた 研 究 ができない) アカデミックキャリアパスからの 過 度 な 人 材 流 出 研 究 人 材 の 高 齢 化 年 齢 構 造 の 変 化 24
ポスドク 問 題 はどこで 起 こっているのか? ポスドク 問 題 の 状 況 は 専 門 分 野 などで 大 きく 異 なる 数 学 物 理 バイオ 系 理 論 系 の 分 野 で 状 況 は 深 刻 新 しい 理 工 系 大 学 院 博 士 後 期 課 程 の 構 築 に 向 けて (2008 年 日 本 学 術 会 議 ) 理 工 系 博 士 ( 後 期 ) 課 程 の 課 題 への 対 処 解 決 策 の 方 向 性 を 提 言 数 理 科 学 分 野 欧 米 に 比 べて, 日 本 では 数 理 科 学 数 学 などの 高 度 な 教 育 を 受 けたものが,そこで 活 躍 することがまだ 少 ない. 考 えられる 理 由 a. 社 会 で 数 理 科 学 専 攻 の 出 身 者 を 受 け 入 れることがまだ 確 立 されていない. b. 数 理 科 学 関 係 の 専 攻 の 出 身 者 の 社 会 で 活 躍 する 準 備 が 不 足 している. 出 典 新 しい 理 工 系 大 学 院 博 士 後 期 課 程 の 構 築 に 向 けて (2008 年 日 本 学 術 会 議 ) 25
物 理 学 分 野 博 士 号 を 取 得 した 上 で 常 勤 職 が 得 られずポスドクなどの 非 常 勤 職 にとどまったまま30 歳 代 後 半 から40 歳 代 を 迎 える 人 材 が 増 大 している その 状 況 は 物 理 分 野 の 中 でも 領 域 によって 異 な り, 素 粒 子 や 高 エネルギー 物 理 などの 基 礎 領 域 の 特 に 理 論 分 野 で 顕 著 である 機 械 工 学 分 野 機 械 技 術 者 研 究 者 は 異 なる 技 術 課 題 に 対 応 できる 可 塑 性 ある 技 術 者 ( ( つぶしのきく 技 術 者 ) あるいは 多 分 野 の 科 学 技 術 のとりまとめのできる 技 術 者 としても 社 会 で 活 躍 し ている 博 士 人 材 の 求 人 も 豊 富 で いわゆる ポスドク 問 題 は は 現 在 のところ 深 刻 ではない 出 典 新 しい 理 工 系 大 学 院 博 士 後 期 課 程 の 構 築 に 向 けて (2008 年 日 本 学 術 会 議 ) 26
理 数 系 ポスドクのキャリアパス ポスドクからのキャリアアップに 行 き 詰 っている 者 が 存 在 5 年 間 ポスドクに 留 まる 者 が 少 なくとも23 23% % 存 在 ポスドクからのキャリアアップ 先 は 主 にアカデミックポスト 修 了 直 後 にポスドク だった 者 の 現 在 の 職 業 ( 全 分 野 合 計 ) 出 典 NISTEP REPORT No. 126 我 が 国 の 博 士 課 程 修 了 者 の 進 路 動 向 調 査 27
理 数 系 学 生 のキャリア 意 識 以 下 の 議 論 は 理 系 高 学 歴 者 のキャリア 形 成 に 関 する 実 証 的 研 究 - 高 学 歴 無 業 者 問 題 を 考 える ( ( 国 立 教 育 政 策 研 究 所 ) の 調 査 分 析 結 果 を 中 心 にしている
民 間 企 業 への 就 職 活 動 経 験 博 士 課 程 学 生 等 の 民 間 企 業 への 就 職 は 決 して 閉 ざされてはいない 就 活 経 験 者 の 多 くは 自 身 の 主 導 権 を 保 ったまま 意 思 決 定 ができている 民 間 企 業 への 就 職 活 動 経 験 の 有 無 就 活 して いない, 894, 71% 博 士 課 程 中 に 就 活, 245, 19% PD 在 職 中 に 就 活, 83, 7% 博 士 PD いずれでも 就 活, 38, 3% 企 業 断 られて 就 活 が 終 了 したものは3 割 弱 博 士 課 程 在 籍 時 最 終 的 に1 社 に 就 職 した, 66, 26% どちらの ケースもある, 40, 16% 最 終 的 に1 社 に 就 職 した, 29, 30% どちらの ケースもある, 12, 12% 最 終 的 に 企 業 側 から 断 られた, 68, 27% 最 終 的 に 自 分 から 断 った, 76, 31% 最 終 的 に 企 業 側 から 断 られた, 27, 28% 最 終 的 に 自 分 から 断 った, 30, 30% 民 間 企 業 へ の 就 職 活 動 結 果 PD 在 職 時 出 典 ポストドクター 問 題 科 学 技 術 人 材 のキャリア 形 成 と 展 望 ( 国 立 教 育 政 策 研 究 所 日 本 物 理 学 会 キャリア 支 援 センター 編 ) 表 Ⅲ-3-3 のデータから 作 成 29
他 分 野 進 出 への 関 心 多 くの 学 生 若 手 研 究 者 は 他 分 野 進 出 に 関 心 を 持 って いる 若 手 の 日 本 物 理 学 会 会 員 を 対 象 としたアンケートでは 常 勤 学 術 職 以 外 の 就 職 を 考 えず 可 能 な 限 り 研 究 を 就 職 51.7% 常 勤 学 術 職 以 外 の 就 職 も 検 討 48.3% 関 心 を 持 っている 一 方 実 行 ( 就 職 活 動 )に 移 すものは あまり 多 くない 実 際 に 就 職 活 動 するものは 29 29% % 程 度 ( 前 頁 参 照 ) インタビューなどから 以 下 のような 要 因 が 指 摘 されている これまでのプライドと 挫 折 感 敗 北 感 就 職 活 動 に 関 する 極 端 な 情 報 不 足 コミュニティの 閉 鎖 性 経 済 的 支 援 ( 学 術 振 興 会 特 別 研 究 員 など)による 当 面 の 生 計 維 持 出 典 ポストドクター 問 題 科 学 技 術 人 材 のキャリア 形 成 と 展 望 ( 国 立 教 育 政 策 研 究 所 日 本 物 理 学 会 キャリア 支 援 センター 編 ) 30
キャリア 意 識 の 転 機 きっかけ 知 人 友 人 との 接 触 が キャリア が 意 識 の 転 機 となっている 若 手 の 日 本 物 理 学 会 会 員 を 対 象 としたアンケートでは 企 業 や 官 庁 に 勤 めている 研 究 室 の 先 輩 同 期 後 輩 とのコミュニケーションが 重 要 と 指 摘 されている 別 の 調 査 でも 企 業 情 報 へのチャネルは 知 人 友 人 などが 中 心 4 割 以 上 が 知 人 友 人 など から 企 業 情 報 を 入 手 出 典 文 部 科 学 省 科 学 技 術 学 術 審 議 会 人 材 委 員 会 ( 第 51 回 ) 参 考 資 料 1より 科 学 技 術 関 係 人 材 のキャリアパス 多 様 化 促 進 事 業 の 一 環 で 北 海 道 大 学 が 基 礎 科 学 領 域 の 博 士 研 究 員 (PD) 及 び 大 学 院 博 士 課 程 学 生 (DC)に 対 し 就 職 に 関 する 意 識 調 査 を 実 施 31
理 数 系 キャリアパスの 課 題 解 決 策
理 数 系 キャリアパスの 現 状 理 数 系 分 野 では ポスドク 問 題 が 顕 在 化 している ポスドクへ 進 む 割 合 の 高 さ アカデミック ポスト 頭 打 ち ノンアカデミック キャリアへの 進 出 はまだ 不 十 分 進 学 過 程 が 就 職 問 題 の 先 送 り という 側 面 しかし キャリア チェンジの 道 は 閉 ざされてはいない その 気 になれば 民 間 企 業 などへの 就 職 は 十 分 可 能 キャリア チェンジのための きっかけ を 必 要 としている 他 分 野 進 出 への 関 心 を 持 っても 次 の 一 歩 が 足 りない キャリア チェンジを 果 たした 者 は 周 囲 とのコミュニケーション コミュニケーションを 通 じて 新 たな 可 能 性 への 気 づき を を 得 ている 33
理 数 系 キャリアの 課 題 に 対 する 解 決 策 キャリアパスに 関 する 十 分 な 情 報 把 握 提 供 ポスドク 問 題 は ポスドク 支 援 だけでは 解 決 不 可 能 自 己 責 任 論 は 必 要 十 分 な 情 報 が 与 えられてこそ 成 り 立 つ 学 生 には リスク を 含 めた 十 分 な 情 報 提 供 が 不 可 欠 分 野 毎 に 必 要 な 情 報 を 把 握 することが 前 提 修 了 生 のキャリア 状 況 若 手 研 究 ポストの 数 競 争 率 など 34
理 数 系 キャリアの 課 題 に 対 する 解 決 策 適 性 能 力 を 考 慮 した 多 層 的 な 進 路 指 導 のシステム 化 キャリア チェンジを 含 めた 進 路 指 導 に 対 する 教 員 の 理 解 関 心 研 究 室 での 進 路 指 導 をバックアップする 組 織 的 システムの 構 築 厳 格 な 成 績 評 価 選 抜 ( 例 : 入 学 試 験 Qualifying exam など) キャリア チェンジを 円 滑 化 するための 基 礎 的 知 識 スキルの 育 成 キャリア 教 育 新 たなキャリアへの 気 づき を 生 む 研 究 室 環 境 の 整 備 自 身 のキャリアについて 気 軽 に 話 せる 雰 囲 気 作 り キャリア チェンジを 果 たした 者 との 継 続 的 な 関 係 維 持 民 間 や 官 公 庁 へ 進 んだ 修 了 生 と 現 役 学 生 とが 接 触 する 機 会 35
ご 清 聴 ありがとうございました