FinTechをめぐる金融規制の動向



Similar documents
為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

(別紙3)保険会社向けの総合的な監督指針の一部を改正する(案)

加 し 同 法 に 規 定 される 以 下 の 義 務 等 を 課 す 本 人 確 認 義 務 ( 口 座 開 設 時 等 ) 本 人 確 認 記 録 及 び 取 引 記 録 の 作 成 保 存 疑 わしい 取 引 の 当 局 への 届 出 体 制 整 備 ( 社 内 規 則 の 整 備 研 修 の

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

2 II. 法 律 案 の 骨 子 仮 想 通 貨 に 関 する 法 律 案 の 骨 子 は 以 下 の 通 りである ( 資 金 決 済 法 関 連 ) 1 仮 想 通 貨 の 定 義 2 仮 想 通 貨 交 換 業 に 係 る 登 録 制 の 導 入 3 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 業

FinTech、仮想通貨などを巡る銀行法等改正法案の概要

弁護士報酬規定(抜粋)

●電力自由化推進法案

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

1

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

<4D F736F F D2091E F18CB48D C481698E7B90DD8F9590AC89DB816A2E646F63>

Taro-別紙1 パブコメ質問意見とその回答

2. 個 人 情 報 の 利 用 目 的 (1) 本 投 資 法 人 による 物 件 ( 信 託 受 益 権 に 係 る 不 動 産 を 含 みます 以 下 同 様 )の 取 得 取 得 に 先 立 つ 調 査 及 び 取 得 の 検 討 並 びに 事 後 管 理 業 務 を 行 うため (2) 本

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>


入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

疑わしい取引の参考事例

2. 個 人 情 報 の 利 用 目 的 (1) 本 投 資 法 人 による 物 件 ( 信 託 受 益 権 に 係 る 不 動 産 を 含 みます 以 下 同 様 )の 取 得 取 得 に 先 立 つ 調 査 及 び 取 得 の 検 討 並 びに 事 後 管 理 業 務 を 行 うため (2) 本

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

建設特別・資産運用の基本方針

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

「経営者保証に関するガイドライン」に基づく保証債務の整理に係る課税関係の整理

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等


2. 会 計 規 程 の 業 務 (1) 規 程 と 実 際 の 業 務 の 調 査 規 程 や 運 用 方 針 に 規 定 されている 業 務 ( 帳 票 )が 実 際 に 行 われているか( 作 成 されている か)どうかについて 調 べてみた 以 下 の 表 は 規 程 の 条 項 とそこに

就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

Taro-データ公安委員会相互協力事

4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

Microsoft Word - 不正アクセス行為の禁止等に関する法律等に基づく公安

通 知 カード と 個 人 番 号 カード の 違 い 2 通 知 カード ( 紙 )/H27.10 個 人 番 号 カード (ICカード)/H28.1 様 式 (おもて) (うら) 作 成 交 付 主 な 記 載 事 項 全 国 ( 外 国 人 含 む)に 郵 送 で 配 布 希 望 者 に 交

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

定款

公共債のご案内

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

< F2D E633368D86816A89EF8C768E9696B18EE688B5>

連結計算書

<4D F736F F D20D8BDB8CFC8BCDED2DDC482A882E682D1BADDCCDFD7B2B1DDBD8B4B92F E646F63>

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

<4D F736F F D A94BD837D836C B4B92F62E646F6378>

< F2D8AC493C CC81698EF3928D8ED2816A2E6A7464>

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

●労働基準法等の一部を改正する法律案

二 資本金の管理

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

< F2D D D837C815B B8EC08E7B97768D80>

 三郷市市街化調整区域の整備及び保全の方針(案)

福 山 市 では, 福 山 市 民 の 安 全 に 関 する 条 例 ( 平 成 10 年 条 例 第 12 号 )に 基 づき, 安 全 で 住 みよい 地 域 社 会 の 形 成 を 推 進 しています また, 各 地 域 では, 防 犯 を 始 め 様 々な 安 心 安 全 活 動 に 熱 心

法 人 等 に 対 する 課 税 際 課 税 原 則 の 帰 属 主 義 への 見 直 しのポイント 総 合 主 義 から 帰 属 主 義 への 移 行 法 人 及 び 非 居 住 者 ( 法 人 等 )に 対 する 課 税 原 則 について 従 来 のいわゆる 総 合 主 義 を 改 め OECD

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に


<4D F736F F D C689D789B582B581698AAE90AC92CA926D816A2E646F63>

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

競 争 参 加 資 格 審 査 等 事 務 取 扱 要 領 ( 抜 粋 ) ( 有 資 格 者 としない 者 ) 第 6 条 契 約 事 務 責 任 者 は 契 約 を 締 結 する 能 力 を 有 しない 者 破 産 者 で 復 権 を 得 ない 者 及 び 暴 力 団 等 の 反 社 会 的 勢

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

Taro13-公示.jtd

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

Microsoft Word - 実施について.doc

<4D F736F F D F5A91EE8BC F368C8E3393FA8DC48D F C8E323893FA916493C B95AA8D CE3816A>

(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同


03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

資 料 年 オリンピック パラリンピック 東 京 大 会 における ホストシティ タウン 構 想 (イメージ) 1. 趣 旨 経 済 財 政 運 営 と 改 革 の 基 本 方 針 2014( 平 成 26 年 6 月 24 日 閣 議 決 定 )を 踏 まえ 2020 年 オリン

独立行政法人国立病院機構呉医療センター医療機器安全管理規程

定款  変更

一 般 社 団 法 人 全 国 銀 行 協 会 御 中 依 頼 人 氏 名 平 成 年 月 日 印 登 録 支 援 専 門 家 委 嘱 ( 初 回 委 嘱 )の 依 頼 について(GL5 項 (2)) 私 は 自 然 災 害 による 被 災 者 の 債 務 整 理 に 関 するガイドライン 第 5

18 国立高等専門学校機構

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

Microsoft Word 第1章 定款.doc

工 事 名 能 代 南 中 学 校 体 育 館 非 構 造 部 材 耐 震 改 修 工 事 ( 建 築 主 体 工 事 ) 入 札 スケジュール 手 続 等 期 間 期 日 期 限 等 手 続 きの 方 法 等 1 設 計 図 書 等 の 閲 覧 貸 出 平 成 28 年 5 月 24 日 ( 火

5 民 間 事 業 者 における 取 扱 いについて( 概 要 資 料 P.17~19) 6 法 人 番 号 について( 概 要 資 料 P.4) (3) 社 会 保 障 税 番 号 制 度 のスケジュールについて( 概 要 資 料 P.20) 1 平 成 27 年 10 月 から( 施 行 日 は

Taro-契約条項(全部)

Microsoft Word 利子補給金交付要綱

スライド 1

一般競争入札について

第4回税制調査会 総4-1

3 独 占 禁 止 法 違 反 事 件 の 概 要 (1) 価 格 カルテル 山 形 県 の 庄 内 地 区 に 所 在 する5 農 協 が, 特 定 主 食 用 米 の 販 売 手 数 料 について, 平 成 23 年 1 月 13 日 に 山 形 県 酒 田 市 所 在 の 全 国 農 業 協

2. 前 項 の 規 定 にかかわらず 証 券 会 社 等 又 は 機 構 を 通 じた 届 出 の 対 象 となっていない 事 項 については 当 会 社 の 定 める 書 式 により 株 主 名 簿 管 理 人 宛 に 届 け 出 るものとす る ( 法 人 株 主 等 の 代 表 者 ) 第

Ⅴ Ⅵ 目 予 算 編 成 のフローチャートと 決 算 書 類 19 図 表 6 予 算 編 成 のフローチャート 20 図 表 7 収 支 報 告 書 貸 借 対 照 表 財 産 目 録 備 品 台 帳 モデル 21 滞 納 金 回 収 に 関 する 管 理 会 社 の 業 務 と 役 割 25

内 において 管 理 されている 上 場 株 式 等 のうち 非 課 税 管 理 勘 定 に 係 るもの( 新 規 投 資 額 で 毎 年 80 万 円 を 上 限 とします )に 係 る 配 当 等 で 未 成 年 者 口 座 に 非 課 税 管 理 勘 定 を 設 けた 日 から 同 日 の 属

人 に 使 用 される 者 としての 勤 続 期 間 を 当 該 職 員 となつた 者 の 職 員 としての 勤 続 期 間 に 通 算 することと 定 められている 法 人 に 限 る )をいう 3 第 一 項 の 退 職 手 当 通 算 予 定 職 員 とは 任 命 権 者 又 はその 委 任

第316回取締役会議案

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第081号.doc

<4D F736F F F696E74202D2082C882E982D982C DD8ED88EE688F882CC82B582AD82DD C668DDA9770>

Transcription:

FinTechをめぐる 金 融 規 制 の 動 向 銀 行 法 等 の 改 正 の 概 要 とその 対 策 について 2016 年 7 月 19 日 EY Japan FSO Thought Leadership 新 日 本 有 限 責 任 監 査 法 人 金 融 アドバイザリー 部 シニアマネージャー 安 達 知 可 良 Summary 2015 年 12 月 22 日 に 金 融 庁 のワーキング グループが 公 表 した 報 告 書 に 基 づき 銀 行 法 等 改 正 案 が 通 常 国 会 に 提 出 され 2016 年 5 月 25 日 に 成 立 しました 改 正 法 により 銀 行 によるFinTechベンチャー 企 業 への 出 資 の 容 易 化 や 仮 想 通 貨 交 換 業 者 への 規 制 の 適 用 など FinTechに 係 る 法 制 の 環 境 整 備 が 一 歩 前 進 することとなります 改 正 法 は2017 年 4 月 の 施 行 が 見 込 まれており ベンチャー 企 業 を 活 用 した 金 融 機 関 のイノベーション 促 進 により サービス 品 質 および 利 用 者 の 利 便 性 の 向 上 に 寄 与 することが 期 待 されています Ⅰ. はじめに 金 融 とITを 融 合 させた 新 しいサービス いわゆる FinTech が 世 界 的 に 注 目 されて います FinTechを 提 供 するITベンチャー 企 業 が これまでになかった 新 しい サービスを 提 供 することにより 利 用 者 の 利 便 性 が 向 上 するなどの 成 果 が 世 界 各 国 から 聞 かれるようになりました 日 本 においても 1~2 年 のうちにその 動 きが 活 発 化 していますが 一 方 で 銀 行 が ベンチャー 企 業 を 活 用 する 場 合 の 制 約 が 存 在 するなど FinTechを 十 分 に 活 用 できる 環 境 ではないことが 指 摘 されていました これを 受 け 金 融 庁 はそのギャップの 解 消 に 向 けた 対 応 を 進 めてきた 経 緯 があります 本 稿 では 日 本 におけるFinTechベンチャーの 状 況 を 整 理 した 上 今 年 5 月 25 日 に 成 立 した 改 正 法 の 概 要 の 説 明 に 加 え その 留 意 点 についても 触 れたいと 思 います 改 正 法 の 施 行 に 先 立 ち 検 討 の 一 助 になれば 幸 甚 です

Ⅱ. 日 本 における FinTech の 動 向 金 融 (Finance)と 技 術 (Technology)を 掛 け 合 わせた 造 語 である FinTech この 動 きは 欧 米 を 中 心 とした 海 外 から 広 がり 今 日 では 日 本 でも 広 く 知 られるところと なりました 主 にITベンチャー 企 業 によって 提 供 されるIT 技 術 を 駆 使 した 新 しい サービスを 指 す 場 合 が 多 く この 結 果 として 新 たな 市 場 や 顧 客 層 の 創 出 といった イノベーションを 起 こしている 事 例 も 多 く 見 受 けられます 一 方 で 伝 統 的 金 融 機 関 にとっては 既 存 業 務 を 脅 かしかねないとの 危 惧 から こうしたベンチャー 企 業 を Disrupter ( 破 壊 者 )と 呼 び 警 戒 するケースも 少 なくありません 日 本 においても 近 年 その 動 きが 活 発 化 してきており 例 えばPFMソフト( 個 人 資 産 管 理 いわゆる 家 計 簿 ソフト)を 銀 行 口 座 と 連 携 させ 統 合 的 に 残 高 管 理 できる サービスや クラウドファンディングなどの 小 口 融 資 ロボアドバイザーを 活 用 した 投 資 助 言 サービスなど 新 たな 市 場 を 開 拓 したベンチャー 企 業 も 登 場 しています また ビットコインなどの 仮 想 通 貨 取 引 所 を 運 営 するベンチャー 企 業 も 日 本 国 内 には 多 数 存 在 していることに 加 え 今 年 4 月 には 仮 想 通 貨 の 技 術 要 素 であるブロック チェーンに 関 する 二 つのコンソーシアム 1 が 組 織 されるなど 日 本 独 自 の 動 きも 見 られる 状 況 となっています 一 方 銀 行 における 他 業 禁 止 規 制 がITベンチャー 企 業 の 技 術 を 取 り 込 む 制 約 と なっている 点 などについて 現 行 法 の 改 正 を 望 む 声 も 多 くなっていました こうした 動 きを 受 け 金 融 庁 では 各 方 面 の 利 害 関 係 者 や 有 識 者 との 討 議 を 重 ね 銀 行 法 をはじめとする 一 部 の 法 令 などを 改 正 することとなりました Ⅲ. 銀 行 法 等 の 改 正 までの 経 緯 金 融 庁 は 2014 年 10 月 に 決 済 業 務 等 の 高 度 化 に 関 するスタディ グループ ( 以 下 決 済 高 度 化 SG )を 立 ち 上 げて ITの 急 速 な 発 展 などによる 決 済 高 度 化 の 要 請 への 対 応 の 検 討 を 始 めました 2015 年 4 月 28 日 には 決 済 高 度 化 SGの 中 間 整 理 を 公 表 し その 後 次 の 二 つのワーキング グループ(WG)を 立 ち 上 げて 個 別 に 課 題 を 検 討 していくことになります 1. 決 済 業 務 等 の 高 度 化 に 関 するWG 決 済 高 度 化 SGの 中 間 整 理 で 整 理 された 課 題 2 に 加 え 仮 想 通 貨 も 含 め 今 後 の 具 体 的 な 行 動 計 画 と 将 来 的 な 方 向 性 などを 審 議 2. 金 融 グループを 巡 る 制 度 の 在 り 方 に 関 するWG ITイノベーションの 促 進 に 向 けた 取 組 み 強 化 のほか グローバル ローカルな 経 済 金 融 環 境 の 変 化 への 対 応 などを 踏 まえ 金 融 グループの 制 度 の 在 り 方 について 審 議 両 WGとも 同 年 12 月 22 日 までに 報 告 書 が 取 りまとめられ これに 基 づく 形 で 銀 行 法 等 の 改 正 案 ( 情 報 通 信 技 術 の 進 展 等 の 環 境 変 化 に 対 応 するための 銀 行 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 )の 作 成 が 進 められました 翌 年 3 月 4 日 には 通 常 国 会 に 提 出 され 5 月 25 日 に 可 決 に 至 りました 改 正 法 は2017 年 4 月 に 施 行 される 見 込 みです 1 日 本 ブロックチェーン 協 会 (JBA) および ブロックチェーン 推 進 協 会 (BCCC) の2 組 織 2 主 に リテール 分 野 を 中 心 としたイノベーションの 進 展 企 業 の 成 長 を 支 える 決 済 サービスの 高 度 化 決 済 インフラの 改 革 の3つの 分 野 を 中 心 に 横 断 的 事 項 である 決 済 システムの 安 定 性 と 情 報 セキュリティ イノベーションの 促 進 と 利 用 者 保 護 の 確 保 の 観 点 も 含 め 今 後 さらに 検 討 を 進 めていく 必 要 のある 課 題 ( 決 済 業 務 等 の 高 度 化 に 関 するワーキング グループ 報 告 の はじめに より 抜 粋 ) 2 FinTech をめぐる 金 融 規 制 の 動 向 : 銀 行 法 等 の 改 正 の 概 要 とその 対 策 について

Ⅳ. 主 な 銀 行 法 等 の 改 正 内 容 銀 行 法 等 の 改 正 は 金 融 グループを 巡 る 環 境 変 化 ITの 急 速 な 進 展 等 を 踏 まえた 制 度 面 での 手 当 てを 行 う ことを 目 的 として 下 表 にある 対 応 を 行 うこととしています 1 2 対 応 策 金 融 グループにおける 経 営 管 理 の 充 実 共 通 重 複 業 務 の 集 約 等 を 通 じた 金 融 仲 介 機 能 の 強 化 概 要 持 株 会 社 等 が 果 たすべき 機 能 の 明 確 化 グループ 内 の 共 通 重 複 業 務 の 集 約 等 を 容 易 化 3 ITの 進 展 に 伴 う 技 術 革 新 へ の 対 応 4 仮 想 通 貨 への 対 応 金 融 関 連 IT 企 業 等 への 出 資 の 容 易 化 および 決 済 関 連 事 務 などの 受 託 の 容 易 化 プリペイドカードの 表 示 義 務 履 行 方 法 の 合 理 化 および 発 行 者 の 苦 情 処 理 体 制 の 整 備 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 登 録 制 の 導 入 マネロン テロ 資 金 供 与 対 策 規 制 利 用 者 保 護 のためのルール 整 備 以 下 では 特 に FinTech と 直 接 的 に 関 連 のある ITの 進 展 に 伴 う 技 術 革 新 への 対 応 と 仮 想 通 貨 への 対 応 について 概 説 します 1. ITの 進 展 に 伴 う 技 術 革 新 への 対 応 今 回 の 改 正 では 金 融 機 関 によるIT 企 業 等 への 出 資 を 容 易 にすることが 一 つの 焦 点 となっています これを 実 現 させるため 以 下 のように 改 正 されています (1) 銀 行 による 他 業 禁 止 規 制 の 緩 和 金 融 機 関 によるIT 企 業 等 への 出 資 を 容 易 にするため 銀 行 (または 銀 行 持 株 会 社 )の 子 会 社 の 範 囲 等 を 定 める 条 項 に 次 の 条 文 が 追 加 されました ( 改 正 後 銀 行 法 [ 以 下 同 じ] 第 16 条 の2 第 1 項 第 12 号 の3 第 52 条 の23 第 1 項 第 11 号 の3) 前 各 号 に 掲 げる 会 社 のほか 情 報 通 信 技 術 その 他 の 技 術 を 活 用 した 当 該 銀 行 の 営 む 銀 行 業 の 高 度 化 若 しくは 当 該 銀 行 の 利 用 者 の 利 便 の 向 上 に 資 する 業 務 又 はこれに 資 すると 見 込 まれる 業 務 を 営 む 会 社 上 記 より 銀 行 業 の 高 度 化 または 銀 行 の 利 用 者 の 利 便 の 向 上 に 資 する 業 務 を 営 む 会 社 を 銀 行 や 銀 行 持 株 会 社 の 子 会 社 とすることが 可 能 となり ます また これに 資 すると 見 込 まれる 業 務 を 営 む とあり 出 資 が 成 功 した 際 には 金 融 関 連 業 務 を 行 っていることが 想 定 されるものの 出 資 段 階 では その 成 功 の 見 込 みが 不 明 確 な 場 合 でも 出 資 が 認 められる 可 能 性 がある ことが 読 み 取 れます また 子 会 社 化 する 際 には 下 記 の 通 り 内 閣 総 理 大 臣 の 認 可 を 受 けること を 前 提 としています( 銀 行 法 第 16 条 の2 第 10 項 第 52 条 の23 第 9 項 ) FinTech をめぐる 金 融 規 制 の 動 向 : 銀 行 法 等 の 改 正 の 概 要 とその 対 策 について 3

銀 行 は 当 該 銀 行 又 はその 子 会 社 が 合 算 してその 基 準 議 決 権 数 を 超 える 議 決 権 を 保 有 している 子 会 社 対 象 会 社 ( 当 該 銀 行 の 子 会 社 および 第 1 項 第 12 号 の3に 掲 げる 会 社 を 除 く )が 同 号 に 掲 げる 会 社 となったことを 知 ったときは 引 き 続 きその 基 準 議 決 権 数 を 超 える 議 決 権 を 保 有 すること について 内 閣 総 理 大 臣 の 認 可 を 受 けた 場 合 を 除 き これを 知 った 日 から 1 年 を 経 過 する 日 までに 当 該 同 号 に 掲 げる 会 社 が 当 該 銀 行 又 はその 子 会 社 が 合 算 してその 基 準 議 決 権 数 を 超 える 議 決 権 を 保 有 する 会 社 で なくなるよう 所 要 の 措 置 を 講 じなければならない 他 業 禁 止 の 規 制 により IT 企 業 等 への 出 資 は 銀 行 は5%まで 銀 行 持 株 会 社 は15%までに 制 限 されていますが 施 行 後 については 認 可 を 受 けた 場 合 に 限 りこの 上 限 がなくなります ただし 改 正 法 には 認 可 の 基 準 について の 明 確 な 記 載 はなく 今 後 改 正 される 施 行 規 則 や 監 督 指 針 等 に 具 体 的 な 指 針 が 定 められると 見 込 まれています なお 認 可 における 判 断 指 針 については 銀 行 業 との 親 近 性 の 程 度 に 留 意 しつつ 他 業 禁 止 の 趣 旨 等 に 照 らした 上 下 記 事 項 を 確 認 していく スタンスであることを 金 融 庁 は 示 しています 3 グループの 財 務 の 健 全 性 に 悪 影 響 を 与 えないか 銀 行 本 体 へのリスク 波 及 の 程 度 が 高 くないと 見 込 まれるかどうか 優 越 的 地 位 の 濫 用 や 利 益 相 反 の 弊 害 のおそれがないか 出 資 がグループの 金 融 サービスの 向 上 に 資 する 適 正 なものと 見 込 まれるか (2) 収 入 依 存 度 規 制 の 緩 和 決 済 関 連 事 務 等 の 受 託 を 容 易 にするために 今 回 の 改 正 により 下 記 の 修 正 が 加 えられています( 銀 行 法 第 16 条 の2 第 11 項 第 52 条 の23 第 10 項 )... 第 1 項 第 11 号 又 は 第 7 項 の 場 合 において 会 社 が 銀 行 等 又 は 銀 行 の 営 む... 業 務 のために 従 属 業 務 を 営 んでいるかどうかの 基 準 は 当 該 従 属 業 務 を... 営 む 会 社 の 当 該 銀 行 等 又 は 当 該 銀 行 からの 当 該 従 属 業 務 に 係 る 収 入 の... 額 の 当 該 従 属 業 務 に 係 る 総 収 入 の 額 に 占 める 割 合 等 を 勘 案 して内 閣 総 理 大 臣 が 定 める ( 傍 点 部 が 改 正 法 での 修 正 箇 所 ) 銀 行 法 では 銀 行 業 務 をサポートする 業 務 を 従 属 業 務 と 定 義 しています 具 体 的 な 対 象 業 務 は 銀 行 法 施 行 規 則 ( 第 17 条 の3 第 1 項 )に 列 挙 されて いますが 決 済 関 連 のIT 業 務 も 従 属 業 務 に 当 たるとされています 監 督 指 針 では 銀 行 の 従 属 業 務 を 営 む 子 会 社 等 は その 総 収 入 のうち 当 該 銀 行 からの 割 合 を50% 以 上 4 とするよう 求 めています しかしながら IT 投 資 の 戦 略 的 な 実 施 に 際 し 複 数 の 金 融 グループ 間 の 連 携 協 同 が 強 く 求 められる 業 務 5 については 従 前 の 収 入 依 存 度 を 引 き 下 げることが 見 込 まれています 3 2016 年 4 月 28 日 の 国 会 答 弁 における 金 融 庁 総 務 企 画 局 長 による 発 言 4 従 属 業 務 を 営 む 会 社 が 親 銀 行 グループを 含 む 複 数 の 銀 行 グループから 業 務 を 受 託 する 場 合 は グループからの 合 計 が 総 収 入 の90% 以 上 となることとしている ( 金 融 グループを 巡 る 制 度 の 在 り 方 に 関 するワーキング グループ 報 告 ) 5 金 融 グループを 巡 る 制 度 の 在 り 方 に 関 するワーキング グループ 報 告 では 銀 行 のシステム 管 理 やATM 保 守 が 例 示 されている 4 FinTech をめぐる 金 融 規 制 の 動 向 : 銀 行 法 等 の 改 正 の 概 要 とその 対 策 について

2. 仮 想 通 貨 への 対 応 について 日 本 では 仮 想 通 貨 に 係 る 明 確 な 規 制 がない 状 態 でしたが 仮 想 通 貨 交 換 所 の 破 綻 による 顧 客 資 産 の 消 失 問 題 6 G7エルマウ サミットでの 首 脳 宣 言 7 およびFATF( 金 融 活 動 作 業 部 会 )のガイダンス 8 などを 踏 まえ 資 金 決 済 に 関 する 法 律 ( 以 下 資 金 決 済 法 )に 仮 想 通 貨 に 係 る 条 項 が 加 筆 され 利 用 者 保 護 のためのルールが 整 備 されました 併 せて 仮 想 通 貨 を 悪 用 したマネー ロンダリングやテロ 資 金 供 与 への 対 策 として 犯 罪 による 収 益 の 移 転 防 止 に 関 する 法 律 ( 以 下 犯 収 法 )が 改 正 されました (1) 登 録 制 となる 仮 想 通 貨 交 換 業 者 仮 想 通 貨 交 換 業 者 は 登 録 制 となり 金 融 庁 の 監 督 下 に 置 かれることとなり ます 施 行 後 仮 想 通 貨 交 換 業 者 は 金 融 庁 への 報 告 または 資 料 の 提 出 が 命 じられる 可 能 性 があるほか 立 入 検 査 が 求 められる 可 能 性 もあります なお 業 務 を 委 託 している 場 合 は その 委 託 先 も 立 入 検 査 の 対 象 となり 得 ます (2) 仮 想 通 貨 および 仮 想 通 貨 交 換 業 の 定 義 資 金 決 済 法 の 改 正 により 第 2 条 に 新 設 された 第 5 項 および 第 6 項 において 仮 想 通 貨 が 法 的 に 定 義 されました 仮 想 通 貨 の 要 件 1 2 物 品 の 購 入 借 受 や 役 務 提 供 を 受 ける 場 合 に 代 価 の 弁 済 として 不 特 定 の 者 に 対 して 使 用 することができ かつ 不 特 定 の 相 手 に 対 し 購 入 売 却 することができるもの 財 産 的 価 値 ( 電 子 的 方 法 により 記 録 されているもの)であり 電 子 情 報 処 理 組 織 を 用 いて 移 転 することができるもの 3 不 特 定 の 相 手 に 対 し 相 互 に 交 換 することができるもの 4 通 貨 建 資 産 ( 本 邦 通 貨 や 外 国 通 貨 をもって 表 示 され または 本 邦 通 貨 や 外 国 通 貨 をもって 債 務 の 履 行 払 戻 しなどが 行 われる 資 産 ) ではないもの 上 記 1および3により 転 々 流 通 性 が 求 められると 判 断 されることから 電 子 マネーやポイントなどが 対 象 ではないことや 上 記 4により 預 金 通 貨 など が 対 象 にならないことなど 仮 想 通 貨 の 範 囲 が 一 定 程 度 明 確 になりました また 同 条 第 7 項 で 規 制 対 象 となる 仮 想 通 貨 交 換 業 の 行 為 要 件 に ついても 定 義 されました 6 2014 年 3 月 ビットコイン 交 換 所 を 運 営 するMTGOX(マウントゴックス)で 顧 客 分 の75 万 ビット コインを 含 む85 万 ビットコイン( 当 時 の 時 価 で 約 115 億 円 )が 消 失 した 事 件 同 社 は 当 初 ハッキングに よるものと 主 張 していたが その 後 の 捜 査 により 内 部 不 正 である 可 能 性 が 疑 われている 7 我 々は 仮 想 通 貨 およびその 他 の 新 たな 支 払 手 段 の 適 切 な 規 制 を 含 め すべての 金 融 の 流 れの 透 明 性 拡 大 を 確 保 するために 更 なる 行 動 をとる (2015 年 6 月 8 日 ) 8 各 国 は 仮 想 通 貨 と 法 定 通 貨 を 交 換 する 交 換 所 に 対 し 登 録 免 許 制 を 課 すとともに 顧 客 の 本 人 確 認 義 務 等 のマネロン テロ 資 金 供 与 規 制 を 課 すべきである (2015 年 6 月 26 日 ) FinTech をめぐる 金 融 規 制 の 動 向 : 銀 行 法 等 の 改 正 の 概 要 とその 対 策 について 5

仮 想 通 貨 交 換 業 に 該 当 する 行 為 要 件 1 仮 想 通 貨 の 売 買 または 他 の 仮 想 通 貨 との 交 換 2 1の 行 為 の 媒 介 取 次 ぎまたは 代 理 3 1および2の 行 為 に 関 して 利 用 者 の 金 銭 または 仮 想 通 貨 の 管 理 上 記 1は いわゆる 仮 想 通 貨 販 売 所 や 仮 想 通 貨 取 引 所 などの 利 用 者 に 仮 想 通 貨 を 売 買 する 業 務 形 態 に 相 当 し 上 記 2は 仮 想 通 貨 の 売 り 注 文 と 買 い 注 文 をマッチングするサービスに 相 当 するものと 考 えられます (3) 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 行 為 規 制 仮 想 通 貨 交 換 業 者 には 次 のような 行 為 規 制 が 義 務 付 けられることに なります( 改 正 後 資 金 決 済 法 第 63 条 の8~ 第 68 条 の14) 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 行 為 規 制 1 情 報 の 安 全 管 理 措 置 情 報 漏 えい 滅 失 毀 損 (きそん)の 防 止 等 の 措 置 2 委 託 先 に 対 する 指 導 ( 第 三 者 に 業 務 を 委 託 した 場 合 ) 3 4 利 用 者 の 保 護 等 に 関 する 措 置 仮 想 通 貨 と 法 定 通 貨 との 誤 認 防 止 のための 説 明 手 数 料 など 契 約 内 容 に 係 る 情 報 提 供 利 用 者 の 財 産 の 管 理 利 用 者 分 と 自 己 分 の 金 銭 / 仮 想 通 貨 の 分 別 管 理 公 認 会 計 士 または 監 査 法 人 による 定 期 的 な 監 査 5 金 融 ADR 措 置 6 帳 簿 書 類 の 作 成 保 存 7 事 業 年 度 ごとの 報 告 書 の 作 成 内 閣 総 理 大 臣 への 提 出 仮 想 通 貨 交 換 業 者 に 関 する 報 告 書 利 用 者 の 金 銭 の 額 / 仮 想 通 貨 の 量 に 関 する 報 告 書 改 正 法 施 行 後 仮 想 通 貨 交 換 業 者 は 業 務 に 係 る 情 報 の 安 全 管 理 や 財 産 の( 自 己 分 と 利 用 者 分 の 明 確 な) 分 別 管 理 などが 求 められるほか 公 認 会 計 士 または 監 査 法 人 による 定 期 的 な 監 査 が 求 められることになります ただし これらの 詳 しい 規 制 内 容 については 今 後 内 閣 府 令 で 定 められる こととなっています 6 FinTech をめぐる 金 融 規 制 の 動 向 : 銀 行 法 等 の 改 正 の 概 要 とその 対 策 について

(4)マネーロンダリング テロ 資 金 供 与 への 対 策 アンチ マネーロンダリング テロ 資 金 供 与 への 対 策 として 犯 収 法 における 特 定 事 業 者 の 一 つとして 仮 想 通 貨 交 換 業 者 が 加 わることになりました ( 改 正 後 犯 収 法 [ 以 下 同 じ] 第 2 条 第 2 項 第 31 号 ) 犯 収 法 における 特 定 事 業 者 に 対 して 求 める 要 件 は 次 の 通 りです( 犯 収 法 第 4 条 第 6 条 第 7 条 第 8 条 第 10 条 ) 1 取 引 時 確 認 義 務 犯 収 法 上 の 特 定 事 業 者 に 求 められる 要 件 2 確 認 記 録 の 作 成 保 存 義 務 3 取 引 記 録 の 作 成 保 存 義 務 4 疑 わしい 取 引 の 当 局 への 届 出 義 務 5 取 引 時 確 認 等 を 的 確 に 行 うための 措 置 (5) 法 改 正 による 銀 行 への 影 響 銀 行 法 の 業 務 範 囲 規 制 もあるため 政 府 としては 銀 行 が 仮 想 通 貨 を 取 り 扱 うことはできないとするスタンスであると 言 われています 9 また 今 回 の 法 改 正 は 仮 想 通 貨 と 法 定 通 貨 との 交 換 業 者 に 対 する 登 録 制 と マネーロンダリング テロ 資 金 供 与 規 制 を 導 入 することが 焦 点 であり 仮 想 通 貨 を 用 いた 取 引 に 係 る 規 制 については 継 続 的 に 検 討 するスタンス であることも 政 府 は 明 確 にしています 10 従 って 銀 行 における 仮 想 通 貨 の 取 り 扱 いや 仮 想 通 貨 を 用 いた 取 引 に 係 る 規 制 などについて 引 き 続 き 検 討 されると 思 われます 9 政 府 は 銀 行 などは 仮 想 通 貨 を 扱 えない などと 答 えた ( 中 略 ) 銀 行 は 取 り 扱 うことができる 業 務 範 囲 が 銀 行 法 により 定 まっていて それ 以 外 の 業 務 を 行 うことができない 仮 想 通 貨 は 貨 幣 に なるわけではないので 今 後 も 引 き 続 き 銀 行 は 仮 想 通 貨 を 取 り 扱 いできない つまり 仮 想 通 貨 の 売 買 の 仲 介 や 仮 想 通 貨 と 本 来 の 通 貨 との 交 換 仮 想 通 貨 を 預 かる 口 座 の 開 設 などができない ( 日 経 電 子 版 2016 年 3 月 7 日 の 記 事 仮 想 通 貨 は 本 物 の 貨 幣 になるか より) 10 今 回 の 法 案 では ( 中 略 ) 早 急 に 仮 想 通 貨 と 法 定 通 貨 との 交 換 業 者 に 対 する 登 録 制 と マネロンと テロ 資 金 供 与 規 制 を 導 入 するということにしつつ ( 中 略 ) 仮 想 通 貨 を 用 いた 取 引 というものを 法 令 上 どのように 規 制 するのかということにつきましては これは 今 しばらく 時 間 をいただいて 今 後 とも 継 続 して 検 討 させていただきます (2016 年 4 月 28 日 の 国 会 答 弁 における 麻 生 金 融 担 当 大 臣 による 発 言 ) FinTech をめぐる 金 融 規 制 の 動 向 : 銀 行 法 等 の 改 正 の 概 要 とその 対 策 について 7

Ⅴ. 今 後 の 見 通 し 1. 改 正 法 施 行 までの 流 れ 改 正 法 は2017 年 4 月 の 施 行 が 見 込 まれています 例 年 の 法 改 正 スケジュールを 踏 まえると 次 のようなタイムテーブルで 動 くことが 想 定 されます 想 定 時 期 2016 年 秋 ~ 冬 2016-2017 年 冬 ~ 春 想 定 されるイベント 政 令 ( 銀 行 法 施 行 令 等 )の 改 正 案 公 表 内 閣 府 令 ( 銀 行 法 施 行 規 則 等 )の 改 正 案 公 表 両 改 正 案 のパブリックコメントの 募 集 政 令 内 閣 府 令 の 確 定 公 布 監 督 指 針 検 査 マニュアルの 改 正 案 公 表 両 改 正 案 のパブリックコメントの 募 集 監 督 指 針 検 査 マニュアルの 確 定 公 布 2017 年 4 月 頃 施 行 2. 改 正 法 の 適 用 に 向 けた 準 備 改 正 法 では 下 記 のような 具 体 的 要 件 を 法 律 レベルで 明 記 しない 例 が 見 受 けら れます 銀 行 によるIT 企 業 等 の 子 会 社 化 が 認 められる 要 件 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 行 為 規 制 の 要 件 こうした 要 件 への 対 応 には 今 後 公 表 されることが 想 定 される 内 閣 府 令 や 監 督 指 針 の 改 正 案 を 参 考 に 検 討 することが 重 要 ですが 改 正 案 の 公 表 から 施 行 開 始 までの 期 間 が 限 られています 中 でも 仮 想 通 貨 交 換 業 者 は2017 年 4 月 より 行 為 規 制 の 適 用 開 始 が 想 定 され ますが 体 制 整 備 に 時 間 を 要 する 企 業 もあるかもしれません 早 期 に 現 状 把 握 を 行 い 計 画 的 に 対 応 していくことが 望 まれます また IT 企 業 へ 出 資 する 場 合 の 認 可 を 取 得 するには 改 正 された 内 閣 府 令 を 把 握 することに 加 え 個 別 案 件 ごとに 膨 大 な 資 料 作 成 を 行 った 上 金 融 庁 との 交 渉 が 求 められると 想 定 されます こうした 対 応 は 画 一 的 ではないため 認 可 申 請 の 実 務 に 精 通 した 人 材 を 確 保 するなど 計 画 的 な 体 制 を 整 備 しておくことが 肝 要 となります 3. 金 融 庁 におけるその 他 のFinTech 関 連 の 対 応 状 況 以 上 の 通 り FinTechの 推 進 に 向 けた 制 度 面 の 措 置 が 着 々と 進 められている 一 方 で 金 融 庁 は 実 務 面 についても 下 記 のような 会 議 体 を 設 置 し 引 き 続 き 討 議 を 重 ねています (1) フィンテック ベンチャーに 関 する 有 識 者 会 議 金 融 庁 では 欧 米 などに 比 べて 国 内 での 先 進 的 なFinTechベンチャー 企 業 やベンチャーキャピタルの 登 場 が 実 現 できていない といった 課 題 認 識 の 下 FinTechベンチャー 企 業 の 登 場 成 長 が 進 むための 環 境 (エコ システム)を 整 備 することを 目 的 とした 会 議 体 として フィンテック ベンチャーに 関 する 有 識 者 会 議 を 今 年 4 月 27 日 に 設 置 しました 本 稿 執 筆 時 点 (2016 年 6 月 末 )において 金 融 機 関 ベンチャー 企 業 大 学 教 授 などの 委 員 が 参 加 した 会 議 が2 回 開 催 されています 8 FinTech をめぐる 金 融 規 制 の 動 向 : 銀 行 法 等 の 改 正 の 概 要 とその 対 策 について

(2) 決 済 高 度 化 官 民 推 進 会 議 今 年 の6 月 2 日 に 公 表 された 日 本 再 興 計 画 2016 において フィンテック による 金 融 革 新 の 推 進 として 金 融 高 度 化 を 促 進 するための 施 策 が 明 記 されました この 施 策 は 決 済 業 務 等 の 高 度 化 に 関 するWG で 取 り 決 めた アクションプランの 実 現 が 鍵 になるため 決 済 系 に 係 る 金 融 機 関 や 大 手 IT ベンダーや 大 学 教 授 などを 委 員 とした 決 済 高 度 化 官 民 推 進 会 議 を6 月 3 日 に 設 置 し その 実 施 状 況 をフォローアップしています How we see it 2017 年 4 月 には 改 正 銀 行 法 等 の 改 正 が 施 行 される 見 込 みであり それまでに 政 令 内 閣 府 令 なども 改 正 されることが 想 定 されています 銀 行 法 の 改 正 により 銀 行 や 銀 行 持 株 会 社 は これまでよりIT 企 業 への 出 資 が 容 易 になりますが 基 準 議 決 権 数 を 超 える 議 決 権 を 取 得 保 有 する 場 合 は 当 局 の 認 可 が 求 められることに 留 意 が 必 要 です 資 金 決 済 法 の 改 正 により 仮 想 通 貨 交 換 業 者 が 登 録 制 となり 金 融 庁 の 監 督 下 に 置 かれることになります 行 為 規 制 も 要 求 されるため 施 行 までに 規 制 に 耐 え 得 る 態 勢 整 備 を 行 うことが 望 まれます 新 日 本 有 限 責 任 監 査 法 人 金 融 アドバイザリー 部 シニアマネージャー 安 達 知 可 良 公 認 情 報 システム 監 査 人 (CISA) 公 認 情 報 セキュリティマネージャー(CISM) ITコーディネータ(ITC) 金 融 機 関 および 金 融 機 関 にサービス 提 供 するIT 企 業 に 対 する 金 融 検 査 マニュアルやFISC(( 公 財 ) 金 融 情 報 システムセンター)の 各 種 ガイドラインを ベンチマークとしたシステム 監 査 SOCR(Service Organization Control Reporting: 受 託 業 務 に 係 る 内 部 統 制 の 保 証 報 告 書 )などの 保 証 業 務 の 対 応 経 験 多 数 現 在 EY JapanのFinTech 推 進 室 のメンバーとして FinTechベンチャー 金 融 機 関 双 方 に 対 するサービス 展 開 を 支 援 している FinTech をめぐる 金 融 規 制 の 動 向 : 銀 行 法 等 の 改 正 の 概 要 とその 対 策 について 9

お 問 合 わせ 先 新 日 本 有 限 責 任 監 査 法 人 金 融 部 Tel: 03 3503 1088 E-mail: RAAT@shinnihon.or.jp 本 資 料 は 2016 年 6 月 30 日 現 在 の 情 報 に 基 づき 作 成 いたしました 最 新 の 状 況 につきましては 当 法 人 の 貴 社 担 当 者 または 上 記 窓 口 までお 気 軽 にお 問 い 合 わせください EY Assurance Tax Transactions Advisory EYについて EYは アシュアランス 税 務 トランザクションおよびアドバイザリーなどの 分 野 における 世 界 的 なリーダーです 私 たちの 深 い 洞 察 と 高 品 質 なサービスは 世 界 中 の 資 本 市 場 や 経 済 活 動 に 信 頼 をもたらします 私 たちはさまざまなステークホルダーの 期 待 に 応 えるチーム を 率 いるリーダーを 生 み 出 していきます そうすることで 構 成 員 クライアント そして 地 域 社 会 のために より 良 い 社 会 の 構 築 に 貢 献 し ます EYとは アーンスト アンド ヤング グローバル リミテッドのグローバルネットワークであり 単 体 もしくは 複 数 のメンバーファームを 指 し 各 メンバー ファームは 法 的 に 独 立 した 組 織 です アーンスト アンド ヤング グローバル リミテッドは 英 国 の 保 証 有 限 責 任 会 社 であり 顧 客 サービスは 提 供 してい ません 詳 しくは ey.com をご 覧 ください EY FSO( 日 本 エリア)について EYフィナンシャル サービス オフィス(FSO)は 競 争 激 化 と 規 制 強 化 の 流 れの 中 で 様 々な 要 望 に 応 えることが 求 められている 銀 行 業 証 券 業 保 険 業 アセットマネジメントなどの 金 融 サービス 業 に 特 化 するため それぞれの 業 務 に 精 通 した 職 業 的 専 門 家 をグローバルに 有 しています また 各 業 界 の 規 制 動 向 を 予 測 し 潜 在 的 な 課 題 に 対 する 見 解 を 提 示 するため 業 種 別 にグローバル ナレッジ センター を 設 け 規 制 動 向 の 収 集 や 業 界 分 析 を 行 っています EY FSO( 日 本 エリア)は グローバルネットワークと 連 携 して 金 融 サービス 業 に 精 通 した 職 業 的 専 門 家 が 一 貫 して 高 品 質 なサービスを 提 供 しています 2016 Ernst & Young ShinNihon LLC. All Rights Reserved. ED None 本 書 は 一 般 的 な 参 考 情 報 の 提 供 のみを 目 的 に 作 成 されており 会 計 税 務 およびその 他 の 専 門 的 なアドバイスを 行 うものではありません 新 日 本 有 限 責 任 監 査 法 人 および 他 のEYメンバーファームは 皆 様 が 本 書 を 利 用 したことにより 被 ったいかなる 損 害 についても 一 切 の 責 任 を 負 いません 具 体 的 なアドバイスが 必 要 な 場 合 は 個 別 に 専 門 家 に ご 相 談 ください