(ブック)大学院研究論集1号.indb



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シティズンシップ 教 育 の 開 発 研 究 1 シティズンシップ 教 育 の 開 発 研 究 小 学 校 社 会 科 における 政 治 学 習 の 実 践 分 析 を 通 して Development Study of Citizenship Education Through a practice analysis of political learning in elementary school social studies 坂 井 清 隆 Kiyotaka SAKAI 1. 研 究 の 目 的 (1) 背 景 2002 年 にイギリス(ここではイングランドを 指 す)では 中 等 教 育 段 階 (12 才 ~16 才 )において シティ ズンシップ:Citizenship という 教 科 が 必 修 化 された これは 1998 年 に 公 表 されたイギリスのシティズ ンシップ 諮 問 委 員 会 の 最 終 報 告 書 ( 通 称 クリック レポート )を 受 けて 公 教 育 において 実 施 されたもの である その 背 景 として 今 日 の 急 速 なグローバル 化 や 高 度 情 報 化 によって 社 会 的 政 治 的 課 題 がさらに 複 雑 化 していることが 指 摘 されている さらに 投 票 率 の 低 下 が 示 す 政 治 やコミュティへの 参 加 意 欲 の 低 下 無 関 心 は 民 主 主 義 そのもの 崩 壊 を 招 きかねないことが 危 惧 されている そのため クリック レ ポートでは 能 動 的 な 市 民 (active citizen) 育 成 のために 社 会 的 道 徳 的 責 任 (social and moral responsibility) コミュニティへの 関 わり 参 加 (community involvement) 政 治 的 リテラシー 素 養 (political literacy and quality) の3つの 柱 をもとに 市 民 社 会 を 資 格 型 個 人 能 力 評 価 型 社 会 としてとらえ 社 会 参 画 のスキルと 素 養 を 身 に 付 けるための 教 育 として シティズンシップ 教 育 の 導 入 を 提 唱 している 1) このようなイギリスのシティズンシップ 教 育 導 入 の 背 景 は 我 が 国 において 似 通 った 状 況 にある 日 本 では 教 育 界 に 先 駆 けて 経 済 産 業 省 (2006) が シティズンシップ 教 育 宣 言 を 発 表 している 2) 学 校 レベ ルでは 東 京 都 品 川 区 小 中 一 貫 校 における 市 民 科 やお 茶 の 水 女 子 大 学 附 属 小 学 校 の 学 習 分 野 市 民 が 先 駆 的 な 実 践 として 注 目 を 集 めている さらに 地 方 自 治 体 レベルにおいても 県 市 町 村 の 各 単 位 で 様 々なシティズンシップ 教 育 の 取 り 組 みを 行 っている 学 界 においては アメリカのサービス ラーニン グなどへの 関 心 の 高 まりによって 日 本 の 社 会 科 教 育 関 係 者 が 注 目 している 3) しかしながら イギリスにおいても 学 校 における 市 民 政 治 教 育 の 場 でこのような 問 題 を 扱 うことに は 教 えられる 内 容 が 偏 り 特 定 の 考 え 方 や 価 値 観 を 学 習 者 に 注 入 することにつながるという 指 摘 がなさ れている こうした 指 摘 に 対 してクリック レポートでは その 可 能 性 を 十 分 認 識 しつつも 民 主 主 義 に とって 議 論 や 論 争 は 重 要 な 要 素 であり 意 見 対 立 のある 問 題 を 市 民 性 教 育 から 排 除 すべきではないとの 立 場 をとっている そして このような 問 題 を 多 面 的 にとらえ 他 者 と 協 働 して 学 ぶことを 通 じて 様 々な 考 え 方 を 理 解 し 批 判 的 に 考 え 自 分 自 身 で 価 値 判 断 意 思 決 定 し 能 動 的 に 行 動 する 力 を 養 うことを 提 唱 している これまでの 日 本 の 社 会 科 教 育 では 社 会 や 政 治 などの 仕 組 みを 学 ぶことに 重 点 が 置 かれ 市 民 157 1

2 大 学 院 研 究 論 集 第 1 号 性 の 育 成 に 十 分 には 力 を 入 れてこなかったことを 鑑 みると 未 来 の 有 権 者 つまりこれからの 社 会 の 形 成 者 を 育 てていくためには クリック レポートに 示 されている 市 民 性 教 育 政 治 教 育 に 積 極 的 に 取 り 組 ん でいく 必 要 がある (2) 目 的 4) 近 年 日 本 におけるシティズンシップ 教 育 に 関 しては 全 国 規 模 の 研 究 会 等 が 立 ち 上 がり 多 くのシ ティズンシップ 教 育 関 連 の 著 作 物 が 刊 行 されるなど 我 が 国 の 現 状 に 合 った 理 論 研 究 や 実 践 研 究 が 進 んで いる 特 に 実 践 研 究 では 小 中 学 校 での 社 会 科 の 時 間 や 高 等 学 校 での 公 民 科 ( 特 に 現 代 社 会 政 治 経 済 )での 実 践 が 多 数 報 告 されている 5) しかしながら シティズンシップ 教 育 実 践 の 先 行 研 究 の 多 くは 中 学 校 高 等 学 校 での 授 業 の 教 授 書 および 単 元 の 試 案 レベルでの 概 要 を 示 したり 構 想 レベルのカリキュラ 6) ムが 紹 介 されたりしている 段 階 である また 小 学 校 でもいくつかの 実 践 が 紹 介 されてはいるが 十 分 な 単 元 開 発 がなされているとは 言 えず 学 習 者 の 具 体 的 な 姿 を 通 してシティズンシップ( 市 民 性 )がどの ように 育 成 されたか 明 確 に 示 した 研 究 は 見 当 たらない そこで 本 研 究 では これまでの 研 究 動 向 を 踏 まえ 小 学 校 6 年 生 での 単 元 開 発 ( 政 治 分 野 )を 行 い その 実 践 事 例 の 分 析 検 討 を 通 してシティズンシップの 育 ちを 具 体 的 な 子 どもの 姿 で 明 らかにすることを 目 的 とする なお 本 研 究 では 日 本 における 多 様 なシティズンシップ 教 育 へのアプローチを 踏 まえ シティズン シップを 社 会 的 責 任 を 自 覚 し 社 会 的 事 象 を 多 面 的 にとらえながら 地 域 社 会 に 積 極 的 に 関 わろうと する 資 質 と 定 義 し 政 治 学 習 において 単 元 開 発 した 事 例 に 対 して 実 践 分 析 を 試 みる 2. 研 究 の 方 法 一 般 的 に 近 年 の 教 育 研 究 特 に 授 業 研 究 では 単 元 の 展 開 状 況 を 精 緻 にとらえ 学 習 者 の 発 話 や 行 為 の 意 味 を 解 釈 し 再 構 成 することを 通 して 実 践 や 授 業 を 理 解 していく 質 的 な 研 究 が 行 われるようになってき た 7) そこで 本 研 究 では 社 会 科 政 治 学 習 において 他 者 との 言 語 的 相 互 作 用 が 顕 著 に 表 れる 話 し 合 い を 中 核 とした 単 元 授 業 展 開 を 行 うことから 質 的 研 究 を 研 究 方 法 として 採 用 する シティズンシップ 教 育 における 授 業 実 践 に 対 して 質 的 研 究 を 行 うことは 子 どもの 学 習 経 験 の 意 味 の 追 究 を 通 してシティズン シップ 育 成 の 有 り 様 ( 芽 生 え つまづき 可 能 性 など)を 可 視 化 していくことになる また 複 雑 な 学 習 集 団 の 協 働 プロセスを 明 らかにするという 意 味 において 教 室 における 学 習 者 間 の 互 恵 的 な 協 働 関 係 を 築 い ていくことにもつながる 本 研 究 においては 以 下 に 示 す 三 つの 質 的 なアプローチによって 子 どものシティズンシップ 育 成 の 有 り 様 を 可 視 化 し 検 討 を 加 えていく (1) 質 的 研 究 としての 単 元 の 様 相 - 解 釈 田 代 (2010)は 授 業 研 究 において 授 業 の 構 造 的 全 体 像 を 作 成 して 分 析 検 討 の 際 その 全 体 像 を 共 通 の 判 断 基 準 にして 授 業 の 特 徴 教 師 の 指 導 性 子 どもの 活 動 などを 解 釈 していく 授 業 実 践 の 様 相 - 解 8) 釈 研 究 の 方 法 論 を 提 唱 している これは 教 師 および 子 どもの 個 々の 発 言 を 可 能 なかぎり 詳 細 に 記 録 し 4 4 4 た 客 観 的 な 授 業 記 録 ととも に 授 業 を 形 態 として 示 した 発 言 表 によって 様 々な 観 点 からの 検 討 を 積 み 重 ねて 教 師 の 指 導 性 や 子 どもの 思 考 活 動 を 関 連 的 に 検 討 する 研 究 であり 開 かれた 解 釈 可 能 性 という 観 点 から 質 的 研 究 に 位 置 づけられる この 様 相 - 解 釈 的 研 究 は 単 元 の 展 開 プロセスの 研 究 におい ても 援 用 可 能 性 があるものと 考 える 4 4 4 そこで 単 元 の構 造 的 全 体 像 を 明 らかにするために 単 元 の 流 れ 子 どもの 言 動 教 師 の 働 きかけ 158 2

シティズンシップ 教 育 の 開 発 研 究 3 の 観 点 に 基 づいて 定 式 化 した 単 元 の 展 開 相 関 図 ( 以 下 相 関 図 と 表 記 )を 作 成 し この 図 をもとに 様 相 - 解 釈 を 行 う これは 上 述 した 田 代 の 方 法 論 や 上 田 の 全 体 のけしき 9) を 参 考 に 単 元 の 様 相 を 捉 える ために 開 発 している 相 関 図 は 教 師 の 事 前 計 画 と 実 際 の 単 元 展 開 状 況 を 子 どもの 発 言 や 行 動 活 動 の 事 実 をもとに 記 録 していく その 後 教 師 の 発 問 や 働 きかけ 子 どもの 反 応 や さらには 子 ども 相 互 の 発 言 などを 事 実 に 即 して 相 関 図 に 記 録 し その 関 係 性 を 矢 印 や 実 線 等 で 関 連 づけすることで 単 元 の 展 開 状 況 を 様 相 として 示 すことにする 留 意 点 としては その 授 業 展 開 や 教 師 と 子 どもの 応 答 関 係 を 考 察 する 上 で 単 元 が 生 成 発 展 するきっかけとなった 発 言 や 次 時 の 学 習 の 展 開 に 繋 がった 子 どもの 発 言 を 特 に 記 していく そして この 相 関 図 と 子 どもの 諸 資 料 ( 個 人 記 録 や 授 業 記 録 など)とつき 合 わせながら 子 どもの 学 びの 解 釈 を 行 っていく 単 元 の 展 開 状 況 を 様 相 - 解 釈 する 意 義 としては 事 実 としての 展 開 状 況 の 近 似 値 としての 様 相 を 示 すことで 再 現 化 可 視 化 し 子 どもの 学 びに 関 して 開 かれた 解 釈 の 可 能 性 を 確 保 で きることである 単 元 展 開 の 様 相 を 示 すツール 相 関 図 の 作 成 手 順 について 示 す 図 全 体 を 大 まかに 三 分 割 し 左 に 実 際 に 行 った 授 業 ( 実 線 による 四 角 囲 み: 大 まかな 授 業 の 内 容 を 示 す)を 時 系 列 に 太 い 実 線 でつなぎながら 図 に 位 置 していく 中 央 には 単 元 の 変 更 修 正 につながる 子 どもの 言 動 ( 点 線 による 四 角 囲 み:60 字 程 度 を 限 度 とし 授 業 中 の 発 言 やつぶやき)を 記 述 し 単 元 展 開 への 影 響 を 矢 印 で 示 す 右 には 教 師 が 予 定 していた 学 習 活 動 や 留 意 していた 事 を 二 重 線 で 囲 む このような 手 法 によれば 単 元 の 生 成 発 展 してい く 有 り 様 を 子 どものシティズンシップの 芽 生 えや 育 ちの 観 点 から 解 釈 することが 可 能 となる (2) 質 的 研 究 としての 授 業 分 析 授 業 分 析 は, 様 々な 方 法 で 観 察 記 録 された 言 語 非 言 語 (プロトコル)といった 授 業 の 事 実 を もとに 授 業 を 構 成 する 諸 要 因 の 関 係 を 捉 え 確 かな 授 業 を 創 る 基 盤 を 明 らかにする 授 業 研 究 の 方 法 論 であ る 10) 授 業 分 析 の 創 始 者 は 重 松 鷹 泰 であり 重 松 の 授 業 分 析 は 授 業 における 言 語 等 の 客 観 的 な 記 録 をもとに 教 師 の 指 導 と 個 々の 子 どもの 学 習 活 動 の 因 果 関 係 について 解 釈 を 加 え 詳 細 に 把 握 しようと するものである それによって 授 業 に 含 まれる 子 どもの 思 考 の 変 容 やこだわりの 追 求 などを 十 分 にくみ 取 り 授 業 の 特 徴 や 問 題 性 について 説 明 することを 可 能 にすることを 目 指 している このような 研 究 方 法 論 は 我 が 国 の 民 間 教 育 団 体 である 社 会 科 の 初 志 をつらぬく 会 において 用 いられている 本 会 においては 授 業 実 践 の 発 言 記 録 分 析 で 子 ども 一 人 ひとりの 人 間 的 成 長 を 把 握 し 深 層 的 な 子 ども 理 解 とそれを 生 かし た 授 業 学 級 づくりを 志 向 してきている 本 研 究 においては 単 元 の 中 核 的 な 授 業 として 位 置 づけている 子 どもの 司 会 による 会 議 形 式 の 授 業 ( 以 下 会 議 と 表 記 )の 授 業 分 析 を 行 い シティズンシップの 観 点 からその 芽 生 えや 育 ちを 解 釈 していく この 会 議 による 授 業 は シティズンシップ 形 成 の 観 点 から 教 師 の 直 接 的 なマネジメントによるもので はなく 教 師 に 代 わって 子 ども 自 身 が 会 議 の 進 行 及 び 収 斂 を 図 るものである つまり 子 ども 自 身 が い わば 小 さな 市 民 として 議 論 し 合 意 や 集 団 の 決 定 に 向 けて 他 者 の 意 見 も 取 り 込 みながら 価 値 判 断 意 思 決 定 を 行 う 場 として 意 図 したものである (3) 質 的 研 究 としてのパフォーマンス 評 価 松 下 (2007)はパフォーマンス 評 価 を ある 特 定 の 文 脈 のもとで 様 々な 知 識 や 技 能 などを 用 いて 行 わ れる 人 のふるまいや 作 品 を 直 接 的 に 評 価 する 方 法 としている 11) このようなパフォーマンス 評 価 は 子 どもたちの 学 びの 可 視 化 および 開 かれた 解 釈 可 能 性 の 確 保 という 観 点 から 質 的 研 究 といえる パフォーマンス 評 価 の 特 徴 としては 1 量 的 研 究 においては 客 観 性 が 重 視 されるのに 対 し 質 的 研 究 におい ては 評 価 者 の 主 観 も 排 除 されない ただし 評 価 が 恣 意 的 になるのを 防 ぐため 主 観 の 提 示 や 調 整 によっ 159 3

4 大 学 院 研 究 論 集 第 1 号 て 間 主 観 性 を 担 保 することが 求 められる2 開 かれた 解 釈 の 可 能 性 の 観 点 からどの 評 価 者 においても 同 じ 判 定 ができる3 子 ども 自 身 が 自 己 評 価 を 行 うことが 可 能 であるし 自 己 のパフォーマンスについて 客 観 的 に 見 つめ 直 すことができることである 3. 研 究 の 対 象 (1) 研 究 の 対 象 本 学 級 6 年 生 34 名 の 子 どもは 社 会 科 の 学 習 において 学 習 問 題 を 設 定 し 自 分 なりの 予 想 をもったり 社 会 的 事 象 を 調 べたりすることには 意 欲 的 に 取 り 組 むことができる 政 治 的 問 題 についての 関 心 は 高 い が 表 層 面 に 留 まっており 多 面 的 に 事 象 をとらえるまでには 至 っていない 消 費 増 税 については 新 聞 や ニュース 報 道 等 で 知 っている 子 どもも 多 い しかし なぜ 増 税 するのか 増 税 した 分 の 使 い 道 は 何 なのか について 知 っている 子 どもは 少 なく 感 情 的 に 増 税 に 反 対 であるという 意 見 をもっている 子 どもが 半 数 に のぼる (2) 抽 出 児 について R 児 は とても 活 発 な 子 で 学 級 のリーダー 的 存 在 であった また 学 力 も 高 く ユーモアがあり 授 業 中 はよい 雰 囲 気 を 作 ることができる 子 であった 特 に 社 会 科 の 会 議 では 積 極 的 な 参 加 の 態 度 で 臨 んでいた そんな R 児 であったが 6 年 生 になって 家 庭 的 な 事 情 により 欠 席 が 増 えるようになる 授 業 中 の 発 言 は 変 わらず 活 発 であるが 友 達 の 意 見 をほとんど 受 け 入 れない 反 応 が 多 く 頑 な 態 度 が 見 られるようになっ た R 児 には この 単 元 を 通 して 他 者 と 意 見 を 交 わしながら 様 々な 声 に 耳 を 傾 け 社 会 形 成 に 自 ら 参 画 していく 態 度 を 身 につけて 中 学 へ 進 学 して 欲 しいと 願 うものである (3)データ 収 集 について データの 収 集 期 間 は 2014 年 1 月 21 日 ~2 月 17 日 である 特 に 抽 出 児 の 記 録 については 教 師 が 時 間 的 空 間 的 に 子 どもをとらえることを 目 的 とする カルテ 9) を 参 考 にした 個 人 記 録 を 継 続 的 に 作 成 し 質 的 なデータとして 蓄 積 し 単 元 の 展 開 に 活 用 していく 本 研 究 における 倫 理 上 の 配 慮 は 児 童 名 を アルファベットや 数 字 を 使 用 した 仮 名 として 個 人 を 特 定 できないようにしている 4. 事 例 の 概 要 今 回 の 事 例 は 国 民 生 活 の 安 定 と 向 上 を 図 るための 様 々な 政 治 の 働 き 中 でも 税 の 働 き を 取 り 上 げる 国 民 のくらしを 支 えている 施 設 やサービスは 国 民 の 所 得 税 や 住 民 税 法 人 税 消 費 税 など54 種 類 の 税 に よってその 運 営 が 成 り 立 っている そのため 税 は 必 要 不 可 欠 ものであり 我 々の 生 活 と 政 治 との 関 係 において 密 接 に 結 びついている しかし 年 金 問 題 をはじめとする 社 会 福 祉 制 度 の 見 直 しを 初 めとする 社 会 保 障 費 や 震 災 による 復 興 増 税 など 課 題 が 山 積 しており 我 々の 生 活 に 直 接 に 関 わってくる 重 要 な 問 題 である 中 でも 消 費 税 は 将 来 的 に10%にまで 段 階 的 に 引 き 上 げるかどうかについて 国 民 規 模 で 議 論 され ており 賛 否 が 大 きく 分 かれている そこで 子 どもが 唯 一 日 常 的 に 経 験 している 税 金 である 消 費 税 を 取 り 上 げ 政 治 の 働 きと 税 の 使 われ 方 について 理 解 を 深 めさせていく さらに 消 費 税 増 税 問 題 を 取 り 上 げ 様 々な 立 場 の 考 えを 知 り 増 税 問 題 を 多 面 的 な 視 野 でとらえることができる 場 を 設 定 する その 上 で 消 費 税 増 税 問 題 について 自 分 は 賛 成 か 反 対 かを 考 える 価 値 判 断 の 場 ( 社 会 科 会 議 )を 設 け 自 分 たちのくらしにおける 税 の 役 割 や 国 民 全 体 としての 税 の 使 い 道 加 えて 未 来 の 日 本 を 支 えていくための 増 税 の 必 要 性 について 思 考 を 促 していく 議 160 4

シティズンシップ 教 育 の 開 発 研 究 5 論 の 土 俵 としては 日 本 の 現 状 ( 問 題 の 確 認 )である 少 子 高 齢 化 財 政 悪 化 デフレ 社 会 保 障 費 の 増 大 ( 年 金 低 所 得 者 への 生 活 保 護 ) 不 景 気 震 災 からの 復 興 などをそれまでの 学 習 をもとに 明 確 にしておく 特 に 会 議 の 場 では 子 どもの 意 見 を 明 記 した 座 席 表 をもとに 子 ども 自 らに 司 会 進 行 をさせ 学 級 全 体 へ の 問 いかけ 相 手 の 意 見 を 受 け 止 める 聞 き 直 す 意 見 の 根 拠 を 問 う などの 表 現 交 流 活 動 を 間 接 的 に 促 していくことによって 発 言 の 機 会 を 十 分 に 確 保 していく 5. 考 察 (1) 単 元 の 様 相 - 解 釈 本 実 践 における 単 元 の 展 開 状 況 をもとに 相 関 図 を 作 成 し シティズンシップの 育 成 の 観 点 から 解 釈 を 行 った 本 単 元 の 実 践 で 特 徴 的 なことについて 以 下 の2 点 を 挙 げる なお 相 関 図 は 巻 末 資 料 -1 を 参 考 にされたい 1 点 目 は 単 元 展 開 の 生 成 プロセスが 明 らかになったことである 4 時 目 と6 時 目 7 時 目 に 変 更 が 見 られる 政 治 の 働 きの 一 つとして 子 どもの 生 活 に 関 係 性 が 深 い 消 費 税 を 取 り 上 げたことが 子 どもの 深 い 追 求 の 推 進 力 になっていることがわかる 前 半 の 流 れは 教 師 の 計 画 に 沿 いながらも 租 税 教 室 の 開 催 などは 事 前 の 教 師 の 計 画 にはなかったものである また 家 庭 での 消 費 税 のアンケートによって 保 護 者 の 消 費 税 に 対 する 心 情 や 考 え 方 を 知 ることにつながり 自 分 の 生 活 との 関 連 について 考 えるきっかけになっ ている さらに R 児 の 振 り 返 りや 授 業 中 に 発 した 問 い に 寄 り 添 いながら 単 元 が 生 成 発 展 している ことがわかる 教 師 の 働 きかけからは 単 元 前 半 は 特 に 発 問 と 資 料 提 示 が 多 い しかし 単 元 中 盤 では 特 に 子 どもの 要 望 を 受 け 止 めながら 租 税 教 室 の 依 頼 を 行 ったり 保 護 者 アンケートを 実 施 し たりしている 後 半 では 子 どもの 要 望 を 受 けて 会 議 の 場 の 設 定 やテーマ( 消 費 税 10ハ ーセント 増 税 すべきか) 決 定 を 行 っている 2 点 目 は R 児 の 変 容 が 明 らかになったことである 1 時 目 の R 児 は 教 科 書 の 京 都 府 の 事 例 を 導 入 に 扱 ったためか 税 金 の 使 われ 方 については あまり 関 心 がない 様 子 であった また 1 時 目 の 学 習 の 振 り 返 りに 税 金 は 親 が 払 っているので 自 分 にはあまり 関 係 がない と 記 述 している そこで 教 師 は R 児 が 住 む 福 岡 市 の 税 金 の 使 われ 方 を 事 例 に 学 習 を 進 めている 教 師 の 働 きかけをみても かなり 教 師 主 導 的 な 学 習 の 進 め 方 が 行 われている 3 時 目 の 福 岡 市 の 事 例 を 学 習 した 後 の 振 り 替 えりでは 自 分 たちが 大 人 になったときには 大 変 なことになる と 記 述 している この 大 変 なこととは 膨 大 な 借 金 が 自 分 たちの 生 活 にのしかかるのではないか という 素 朴 な 疑 問 としての 問 いの 姿 が 見 られる 3 時 目 ぐらいから R 児 の 変 容 が 見 られるようになった 1 時 目 の 国 民 はどのような 願 いをもっているのか という 発 問 が R 児 にとっては 現 実 生 活 と 乖 離 しており 願 い = 問 題 の 解 決 という 筋 道 にはなっていなかった つま り 問 題 意 識 が 希 薄 であったということである これが 自 分 が 住 む 場 所 と 将 来 という 観 点 が 自 分 の 問 題 へと 引 き 寄 せるきっかけになったと 考 えられる R 児 は 頑 なに 消 費 税 反 対 の 立 場 であった これは 家 庭 での 母 親 へのインタビューの 影 響 が 大 きい(2 月 5 日 家 庭 での 自 主 学 習 でノートに 記 述 )しかしながら 租 税 教 室 でのゲストティーチャーの 話 や 税 の 使 い 道 を 学 習 する 中 で 増 税 の 必 要 性 や 増 税 分 の 使 い 道 に 納 得 を 示 すことができるようになってきた 特 に 消 費 税 の 増 税 分 は 社 会 保 障 費 に 充 てられるということに 関 しては 納 得 を 示 している(2 月 4 日 ふり 返 りの 記 述 ) 会 議 の 前 までは 消 費 税 増 税 に 関 して 迷 っている 気 持 ちを 休 み 時 間 の 教 師 との 雑 談 の 中 で 吐 露 し ている このような R 児 自 身 の 揺 れ は 単 元 が 進 展 していく 大 きな 契 機 になっていることがうかがえ る それは 他 の 子 からも 問 い として 学 級 全 体 で 話 し 合 ってみたいという 意 欲 が 現 れていたからであ る R 児 は 最 終 的 には 友 達 の 意 見 を 聞 いて 決 めたいことを 話 していたが 会 議 では 最 初 から 消 費 税 161 5

6 大 学 院 研 究 論 集 第 1 号 増 税 すべし の 立 場 で 意 見 を 述 べている このように 政 治 家 として 国 民 の 納 得 をどのように 得 るのかと いう 総 理 大 臣 役 の 司 会 との 相 互 作 用 を 行 って 互 いの 考 えの 隔 たりを 感 じながらも 変 容 していったことが うかがえる (2) 授 業 分 析 授 業 分 析 は 2 月 14 日 単 元 の 中 核 的 な 会 議 の 授 業 に 対 して 行 った 分 節 分 け 第 1 分 節 1C ~3C あいさつと 本 時 学 習 のめあて 確 認 第 2 分 節 4M ~19KR 柱 1 10ハ ーセント 増 税 すべき 意 見 表 明 第 3 分 節 20 司 会 ~36YI 柱 2 10ハ ーセント 増 税 すべきではない 意 見 表 明 第 4 分 節 37 司 会 ~48C 消 費 税 増 税 すべき 意 見 の 補 強 ( 少 子 高 齢 社 会 震 災 復 興 税 の 公 平 性 の 観 点 から) 第 5 分 節 49 司 会 ~78C そもそも 消 費 税 は 公 平 なのかについて 第 6 分 節 79 司 会 ~107KN 消 費 税 は いつ 上 げるべきなのかについて 第 7 分 節 108 司 会 ~114C 政 治 家 として 国 民 の 支 持 を 得 ることについて 第 8 分 節 115HM ~165C 被 災 地 対 策 少 子 高 齢 化 対 策 社 会 保 障 対 策 について 第 9 分 節 166 司 会 ~171 司 会 総 理 大 臣 の 意 思 決 定 を 行 う 第 10 分 節 172 司 会 ~175 司 会 本 時 学 習 のふりかえり 本 稿 では 特 に R 児 の 発 言 に 関 わりながら 授 業 に 大 きな 動 きがあった 第 5 分 節 と 第 7 分 節 を 取 り 上 げる 第 5 分 節 では R 児 自 身 が 消 費 税 の 公 平 性 について 自 分 の 考 えを 述 べ 低 所 得 者 を 自 己 責 任 として 切 り 捨 ててしまう 議 論 に 対 して 異 議 申 し 立 てをしている また 第 7 分 節 は 総 理 役 の 子 どもとのやりとりの 中 で 国 民 の 支 持 を 受 けることの 意 味 について 考 えるきっかけを 作 っている いずれもシティズンシップ の 形 成 に 大 きく 関 わる 分 節 であると 考 えられる 1 第 5 分 節 第 7 分 節 について( 内 は 教 師 の 働 きかけや 意 識 ) 第 4 分 節 おいて 司 会 の 双 方 の 意 見 を 促 すという 意 図 とはずれて 増 税 すべきという 意 見 が 多 数 を 占 めている 特 に 49N は 第 2 分 節 で 出 た 意 見 にさらに 税 率 を 上 げた 場 合 の 国 家 の 収 入 データを 示 しな ら 発 言 している 47Y の 低 所 得 者 でも( 中 略 ) 日 本 国 民 が 全 員 払 う という 発 言 は 全 体 に 税 の 公 平 性 について 考 えを 促 進 させるきっかけになると 考 えたので 49 司 会 に 消 費 税 は 公 平 なのか について 全 体 に 問 いかけるように 促 している 第 5 分 節 では 教 師 の 働 きかけを 受 けた 司 会 が 税 の 公 平 性 について 意 見 を 求 めている 53R 児 は 50A 児 の 消 費 税 の 税 率 を 上 げることは 所 得 が 低 い 人 を 見 捨 てることになるという 発 言 に 対 して 国 として の 対 策 を 取 っていることを 切 り 返 している これに 対 して 69I 児 は 論 拠 としても 資 料 をもとに 消 費 税 の 逆 進 性 を 挙 げ 直 接 税 の 税 率 を 挙 げることが 低 所 得 者 の 生 活 が 苦 しくなることを 主 張 している 64T 児 73M 児 は 低 所 得 者 のための 一 部 税 の 免 除 についての 提 案 をしている 一 言 に 低 所 得 者 と 言 って 様 々 なケースがあるので そのことをきちんと 理 解 した 発 言 になっている 77K 児 は 今 増 税 しないと とい う 昨 今 の 日 本 の 経 済 財 政 状 況 を 踏 まえて 増 税 導 入 に 積 極 的 な 発 言 をしている ここで 教 師 は 日 本 政 府 がなぜ 10 月 に 消 費 税 増 税 に 踏 み 切 ろうとしているのかその 意 図 を 明 らかにさせたいと 考 え 司 会 に 増 税 時 期 について 全 体 に 尋 ねるように 促 している 第 7 分 節 は まず 総 理 大 臣 役 の 司 会 が108 選 挙 に 落 ちたらただの 人 になってしまうことを 学 級 全 体 に 問 いかけている その 問 いに 対 して 111R 児 は 鋭 く 強 い 口 調 で 選 挙 に 落 ちるとか 考 えていた ら 国 民 のことが 全 く 考 えられなくなっちゃうじゃないですか と 反 論 している 逆 に 総 理 役 の 司 会 は すぐさま112で 選 挙 で 落 ちるってことは 国 民 がその 人 じゃ 嫌 だって 言 ってその 人 に 入 れないってわけで 1626

シティズンシップ 教 育 の 開 発 研 究 7 すから 国 民 は 納 得 してないってことになるんじゃないんでしょうか と 切 り 返 している このような 国 民 の 支 持 と 政 策 を 進 めることに 関 して R 児 と 司 会 の 白 熱 したやりとりが 見 られた 2 考 察 第 1 分 節 から 消 費 税 率 を 上 げることに 関 して 賛 成 にしても 反 対 にしても デフレ や 社 会 保 障 費 の 増 大 高 齢 化 社 会 など 我 が 国 を 取 り 巻 く 近 年 の 状 況 を 踏 まえた 発 言 が 多 く 出 されている どのよう な 主 張 に 対 しても 立 場 を 変 えれば 反 論 は 出 てくることから 子 ども 自 身 が 政 治 を 進 めることの 難 しさや 重 要 性 に 気 づきつつあることがわかる また 政 治 こそ 社 会 的 責 任 を 最 も 感 じる 場 である 事 を 踏 まえると それぞれが 大 臣 に 扮 した 子 どもの 発 言 は 国 民 全 体 を 考 えたもの またリアリティに 支 えられた 現 実 問 題 として 切 実 性 をもったものであることがわかる 子 どもの 発 言 からは 消 費 税 増 税 から 見 えてくる 様 々な 立 場 の 存 在 が 浮 き 彫 りになっている 例 えば 低 所 得 者 被 災 者 高 齢 者 子 ども など その 立 場 に よって 物 事 の 見 方 や 考 え 方 が 変 わってくることに 気 づいているようである つまり 社 会 的 事 象 ( 日 本 の 財 政 的 現 状 とその 対 策 )を 多 面 的 に 捉 えることによって 社 会 的 責 任 が 芽 生 え これからの 日 本 の 政 策 に 模 擬 的 にでも 自 ら 参 画 していこうとする 姿 勢 がうかがえる 第 5 分 節 と 第 7 分 節 に 特 徴 的 なことは それぞれの 前 の 分 節 で 教 師 の 司 会 への 促 しを 行 っていることで ある ここではゆさぶりをかける 意 味 において 間 接 的 な 指 導 を 行 っていることがうかがえる 第 5 分 節 で は 消 費 税 の 公 平 性 について 全 体 に 思 考 を 促 す 働 きかけである これを 受 けて R 児 は いわゆる 強 者 の 理 論 に 基 づきながら 自 分 の 考 えを 展 開 している これは 自 分 自 身 の 日 常 的 な 努 力 (53で3 回 も 4 4 4 4 使 っている)の 裏 返 してあることを 踏 まえ 昨 今 問 題 になっている 働 かない生 活 保 護 受 給 者 に 対 する 批 判 も 含 まれていることが 推 測 される (R 児 は2 月 1 日 の 自 主 学 習 で 生 活 保 護 問 題 について 調 べてきて いる )また 第 7 分 節 では 教 師 は 政 治 家 としての 国 民 の 理 解 を 得 ること 選 挙 との 関 係 について 考 える ことを 間 接 的 に 働 きかけている 108 司 会 の 選 挙 に 落 ちたらただの 人 になる という 発 言 に 対 して R 児 や MI 児 が 反 応 し 単 に 国 民 に 迎 合 することが 国 民 の 納 得 を 得 ることでないことを 発 言 している 逆 に 司 会 は 丁 寧 に 国 民 の 納 得 を 得 られないこと を 無 理 矢 理 押 し 通 すことは 政 治 家 としての 信 頼 を 損 ねる ことにつながることを 切 り 返 している この 司 会 の 発 言 は 政 治 家 として 生 き 残 る 感 情 として 重 要 なもの であった つまり 選 挙 で 選 ばれることは 国 民 の 支 持 を 得 ることになるので 国 民 を 第 一 に 考 えていること がわかる そのことが113H 児 の 国 民 の 納 得 と 将 来 の 子 どもへの 積 み 残 しを 比 較 した 発 言 につながってい ると 考 えられる 第 7 分 節 は 司 会 と R 児 のやりとりが 中 心 で 発 言 数 としては 多 くはなかったが 社 会 的 責 任 を 意 識 な がら 議 論 に 参 加 しているというシティズンシップの 観 点 からみて 授 業 が 大 きく 動 いた 局 面 である 自 分 たちが 政 治 家 としてこの 会 議 に 参 加 し 自 分 たちの 発 言 や 会 議 での 決 定 が 今 後 の 国 民 生 活 の 負 担 を 決 めてしまうこととともに 政 治 家 としての 自 分 たちの 進 退 が 関 わってくることに 気 づいたことが 解 釈 でき る さらに 国 民 の 理 解 を 得 ることの 難 しさや 民 意 に 迎 合 する 事 への 危 機 感 を 感 じるきっかけになった こともうかがえる (3)パフォーマンス 評 価 パフォーマンス 評 価 の 結 果 については 資 料 -3に また R 児 のパフォーマンスは 資 料 -4に 示 してい る 1 意 思 の 表 明 ( 社 会 的 責 任 ) 消 費 税 増 税 賛 成 派 の 具 体 的 な 理 由 は これからの 社 会 保 障 の 増 大 に 向 けた 対 策 である これからの 日 本 の 超 少 子 高 齢 化 社 会 を 迎 えるとするならば 仕 方 ない という 理 由 も 賛 成 の 半 数 を 超 えている 一 方 増 税 反 対 派 は 国 民 の 負 担 が 大 きいことが 理 由 の 大 半 に 上 がっている 賛 成 反 対 両 方 の 立 場 であれ A 判 定 の 子 どもは90パーセントを 超 えている これからの 子 どもたちは 自 分 の 意 思 を 具 体 的 な 理 由 を 複 数 挙 げ 163 7

8 大 学 院 研 究 論 集 第 1 号 て 表 明 している どちらの 立 場 に 立 っても 国 民 の 極 論 すれば 幸 せ を 消 費 税 の 在 り 方 を 通 してど のように 実 現 すべきかを 子 どもなりに 考 慮 していることがわかる 2 思 考 判 断 プロセス( 社 会 的 事 象 の 多 面 的 なとらえ) 賛 成 派 の 理 由 の 観 点 として 最 も 多 かったのが 少 子 高 齢 化 社 会 保 障 (9 名 )のセットである これ は 政 府 の 消 費 税 増 税 の 大 きな 理 由 の 一 つであり 6 時 目 で 学 習 した 通 り 公 的 なデータとしても 今 後 の 社 会 保 障 費 の 増 大 は 自 分 たちの 将 来 を 危 うくするという 危 機 感 がもたらしたものであると 考 えられる 一 方 反 対 派 の 理 由 の 観 点 としては 9 名 中 5 名 が 国 民 の 負 担 軽 減 を 上 げている 低 所 得 者 の 人 か らも 同 じように 税 を 取 るのは 公 平 ではい (11 児 ) 被 災 者 は 今 大 変 な 時 期 で 増 税 したらこれまでの 生 活 にもどれない (34 児 ) まだ 不 景 気 が 続 いているのにこれから 増 税 したら 国 民 は 困 る (5 児 )など 国 民 なのかでも 弱 者 に 位 置 づけられる 立 場 の 人 たちに 配 慮 した 政 策 を 求 めるものや 景 気 回 復 と 国 民 生 活 のずれについても 考 えを 巡 らせていることがわかる 双 方 の 立 場 のデータのとらえ 方 の 違 いもある 賛 成 派 は 公 的 なデータから 自 分 の 意 見 を 記 述 している 逆 に 反 対 派 は 新 聞 社 のアンケート 調 査 や 自 身 のインタビュー 教 師 の 保 護 者 アンケートなどから 意 見 を 記 述 している これは 大 局 的 な 見 方 と 微 視 的 な 見 方 の 違 いであることがわかる 反 対 派 である6 児 は これから 社 会 保 障 がさらに 必 要 になることはわか るけど 今 8パーセントから10パーセントに 上 がるとさらに 景 気 が 悪 くなってものを 買 う 人 が 少 なくな る そうすれば 社 会 保 障 をさらに 大 変 になる また 31 児 は 確 かに 高 齢 社 会 になって 大 変 になるけど 今 生 活 が 苦 しくなる 人 が 増 えたらこれからももっと 大 変 になる と 記 述 している これからのことは 国 民 の 負 担 軽 減 とも 関 連 して 景 気 の 回 復 や 購 買 意 欲 といった 国 民 の 経 済 に 対 する 心 情 面 をとらえ ることによって 表 出 されており 事 情 を 多 面 的 にとらえようとしていることがうかがえる 3 人 との 関 わり( 社 会 参 画 ) ほぼ 全 員 の 子 どもが 会 議 での 友 達 の 発 言 について 言 及 している その 中 でも A 判 定 24 名 は 友 達 の 発 言 を 受 けて 自 分 の 考 えを 記 述 している また 相 手 の 発 言 に 納 得 し 受 け 止 めている 記 述 も 多 い この ように 会 議 への 参 加 状 況 はその 場 の 発 言 だけではなく このような 記 述 においてもうかがえる さらに ほんどの 子 どもが 会 議 に 参 加 して 楽 しかった 考 えさせられた 悩 んだ という 感 想 を 記 述 している これらは 消 費 税 増 税 という 政 策 に 対 して 会 議 を 開 き 自 分 の 意 見 を 述 べたり 他 者 の 発 言 を 聞 いたり するということを 肯 定 的 に 受 け 止 め R 児 のパフォーマンスにあるようにこれから 社 会 は 変 わっていく 可 能 性 があることを 期 待 するものである つまり 社 会 に 自 ら 参 画 していこうとする 意 識 が 高 まっているこ とがうかがえる 4 資 料 -4の R 児 のパフォーマンスの 考 察 R 児 は 会 議 から 一 貫 して 消 費 税 増 税 すべき ということを 述 べている その 理 由 の 一 番 目 として 増 税 分 が 社 会 保 障 に 使 われることを 上 げている この 根 拠 については 記 述 されていない I 児 の 被 災 者 の 立 場 に 立 った 場 合 の 消 費 税 増 税 の 不 公 平 さについては 確 かにそうです というように 一 定 の 理 解 を 示 しながら 政 府 としての 新 しい 政 策 を 期 待 するものであった というか ( 政 策 を) 作 らなければ 私 は 反 対 します とまで 記 述 している さらに 会 議 の 中 での S 児 の 発 言 に 対 してもパフォーマンスの 中 で 自 分 の 見 解 を 述 べている それは S 児 の 意 見 の 中 にある 農 業 従 事 者 に 対 する 国 の 対 策 としての 特 別 な 支 給 である このことから R 児 は 政 策 について 自 分 なりのこだわりをもっており 国 の 政 策 として 増 税 するならば 立 場 の 弱 い 人 々には 何 らかの 対 策 が 必 要 であることを 認 識 していることがうかがえる () 内 筆 者 R 児 は 消 費 税 を いつ 上 げるかについては 激 しい 討 論 があったことを 記 述 している 誰 が 言 っ たかわからない と 前 置 きして 現 在 の 景 気 の 回 復 傾 向 に 基 づいて 消 費 税 増 税 の 根 拠 としていること がわかる 最 後 に R 児 は 自 分 が 子 ども であり 政 治 家 でないことを 前 提 としつつも 政 府 や 国 民 の 動 き によって 変 わる ことを 記 述 している これは 今 ある 社 会 が 固 定 的 なものでなく 164 8

シティズンシップ 教 育 の 開 発 研 究 9 自 分 も 含 む 国 民 や 政 府 の 動 きや 働 きによって 新 たな 社 会 に 変 えていくことができることに 気 づいている ことがうかがえる 6.まとめ 研 究 のまとめとして シティズンシップ 教 育 の 観 点 (1 社 会 事 象 を 多 面 的 にとらえる2 社 会 的 責 任 3 社 会 に 対 して 積 極 的 にかかわる)から 本 実 践 の 意 義 について R 児 の 変 容 を 含 めて 述 べてみたい 1は 消 費 税 の 税 率 を 上 げる 必 要 性 や 挙 げた 場 合 の 負 担 について 様 々な 立 場 から 捉 えることができたこ とである 単 元 を 通 して 低 所 得 者 被 災 者 政 府 働 いている 人 子 ども 高 齢 者 などが 見 出 さ れ 税 率 が 上 がった 場 合 もしくは 現 状 のままでの 影 響 について 資 料 やデータにもとづきながら 捉 えること ができていた R 児 は 1 月 22 日 の 自 主 学 習 ノートに 税 金 は 親 が 出 しているので 私 は 関 係 ない と 記 述 していたが 23 日 2 時 目 には これから 自 分 たちが 大 人 になった 時 に 大 変 になる ことをふり 返 りに 記 述 し その 後 消 費 税 について 関 心 を 高 めていってる 社 会 保 障 費 つまり 社 会 的 な 弱 者 やいずれは 自 分 もな る 高 齢 者 の 立 場 を 多 面 的 にとらえながら 消 費 税 の 税 率 を 巡 る 議 論 に 参 画 している 2は 授 業 ( 特 に 会 議 )で 幅 広 い 視 野 から 政 府 の 大 臣 として 意 見 表 明 を 行 い 議 論 を 交 わしたことであ る 消 費 税 の 税 率 を 上 げることは 国 民 全 体 に 理 解 を 求 めること または 理 解 が 得 られない 場 合 は 別 の 方 法 考 えている それこそが 社 会 的 責 任 としての 姿 であることがわかる 会 議 では R 児 の 発 言 によって シティズンシップの 形 成 にかかわる2 度 の 動 き を 捉 えることができた R 児 は 他 者 との 相 互 作 用 に よって 粘 り 強 い 思 考 を 展 開 していた R 児 は 一 貫 して 政 府 の 大 臣 として 今 後 の 社 会 保 障 費 の 増 大 を 見 据 え て 社 会 的 な 責 任 を 意 識 していたことがうかがえる 3は 消 費 税 の 税 率 に 関 する 政 策 決 定 場 面 において 意 見 構 築 や 合 意 形 成 に 積 極 的 にかかわったことであ る 会 議 では 板 書 の 係 も 含 めてほぼ 全 員 の 子 どもが 発 言 している 授 業 分 析 でも 明 らかになったように 他 者 の 異 見 に 対 しても 丁 寧 に 自 分 の 言 葉 で 対 応 し 認 めるところは 素 直 に 認 めている つまり 積 極 的 なかか わりは 豊 かな 関 係 性 が 基 盤 にあってこそ 生 まれるものである R 児 は 7 時 目 に 迷 っているので 友 達 の 意 見 を 聞 いて 決 めたい と 発 言 している あれほど 頑 なであった R 児 であるが 会 議 の 中 でのぶつかり 合 いを 経 て 他 者 の 意 見 に 素 直 に 耳 を 傾 けている 姿 は 大 きな 変 容 と 言 えよう それはこの 単 元 で 悩 んだことを 契 機 に 学 級 集 団 と 新 たな 関 係 性 を 築 こうとしている R 児 の 姿 が 推 察 できる 今 後 は これまでのシティズンシップ 教 育 実 践 の 成 果 と 課 題 を 包 括 的 に 整 理 し シティズンシップ 教 育 実 践 を 支 える 授 業 理 論 や 条 件 等 をまとめていきたい 参 考 文 献 1)Bernard Rowland Crick (2011) シティズンシップ 教 育 論 : 政 治 哲 学 と 市 民 法 政 大 学 出 版 局 2) 経 済 産 業 省 (2006) シティズンシップ 教 育 宣 言 3) 唐 木 清 志 (2008) 子 どもの 社 会 参 加 と 社 会 科 教 育 日 本 型 サービス ラーニングの 構 想 東 洋 館 出 版 社 4) 日 本 シティズンシップ 教 育 フォーラム (2013) http://jcef.jp/ 5) 神 奈 川 県 立 総 合 教 育 センター (2009) シチズンシップ 教 育 推 進 のためのガイドブック 6) 藤 原 孝 章 (2006) アクティブシティズンシップを 育 てるグローバル 教 育 現 代 社 会 フォーラム NO2 pp.21-38 7) 秋 田 喜 代 美 藤 江 康 彦 (2012) 授 業 研 究 と 学 習 過 程 放 送 大 学 教 育 振 興 会 8) 田 代 裕 一 (2010) 授 業 実 践 の 様 相 - 解 釈 的 研 究 グループ 活 動 を 含 む 授 業 事 例 の 分 析 教 育 方 法 学 研 究 第 35 巻 9) 上 田 薫 (1977) どの 子 も 生 きよ : カルテと 座 席 表 から 全 体 のけしき まで 明 治 図 書 出 版 10) 重 松 鷹 泰 (1961) 授 業 分 析 の 方 法 明 治 図 書 11) 松 下 佳 代 (2007) パフォーマンス 評 価 子 どもの 思 考 と 表 現 を 評 価 する ( 日 本 標 準 ブックレット) 165 9

10 大 学 院 研 究 論 集 第 1 号 資 料 - 1 単 元 の 展 開 相 関 図 166 10

シティズンシップ 教 育 の 開 発 研 究 11 - 第 5 分 節 の 一 部 - 内 は 教 師 の 指 示 や 働 きかけ 49 司 会 :いま TY 大 臣 や MY 大 臣 や A 大 臣 が 言 っていた 消 費 税 はそもそも 公 平 なのかということにつ いて まず 考 えてみたいと 思 います 意 見 がある 人 はいませんか A 大 臣 消 費 税 が 公 平 かにつ いて 全 体 に 問 うように 指 示 50A 児 :えっと 所 得 が 低 いのは 自 己 責 任 とか 言 ってるんですけど まあ 自 己 責 任 もあるんですけど 所 得 が 低 いからって 見 捨 てたらいい 国 じゃないと 思 うんですよ 所 得 が 低 い 人 のことも 考 えて 全 部 がちゃんとしている 国 が 外 国 からいい 国 だと 思 われると 思 います 51C : 反 対 します 付 け 加 えます 53R 児 :はい A 大 臣 がさっき 言 った 所 得 が 低 い 人 を 見 捨 てるって 言 ってたんですけど 見 捨 てるって 言 うのは もうその 人 のことを 見 放 すってことなので 頭 に 入 れてないじゃないですか でも ちゃんと 国 も 低 所 得 者 の 人 たちに 生 活 保 護 とかで 対 処 は 一 応 してるんですよ だから 見 捨 て ているわけじゃなくて それで 低 所 得 者 って 人 は 例 えば そのー 高 所 得 者 もともと 家 族 が 低 所 得 者 で 自 分 も 高 所 得 者 例 えば( SoftBank の) 孫 さんみたいになることもあり 得 ると 思 うのですよ それは 自 分 の 努 力 の 積 みかさ 努 力 を 積 み 重 ねてきたわけだから そうなったわけ で 努 力 してない 人 が 国 に 色 々 文 句 言 える 立 場 におけないと 思 うのですよ だから ちゃんと 国 は 低 所 得 者 の 人 もちゃんと 頭 には 入 れているのですよ 生 活 保 護 とかいろんなことを 持 ちかけ ているけど それでも 文 句 を 言 うってことはちょっとおかしいと 思 うので 増 税 しても 増 税 し たらそれ 以 上 のお 金 はいくかもしれないじゃないですか 生 活 保 護 を 受 ける 人 が 増 えたとして も だから 生 活 保 護 とかのためにも 増 税 はするべきだと 思 います () 内 は 筆 者 54 司 会 :R 大 臣 説 明 は 短 めにお 願 いします 55R 児 :すいません( 笑 いが 起 こる) 57S 児 :はい えっと R 大 臣 に 反 対 で 農 業 の 人 は 努 力 をちゃんとしているのに 仕 方 ないっていう のですか 60RN 児 :はい 僕 は A 大 臣 に 付 け 加 えて 資 料 3を 見 てください こちらには 収 入 もし 消 費 税 が 上 がると 所 得 の 低 い 人 ほど 収 入 全 体 のうち 税 金 を 支 払 う 割 合 が 高 くなる 逆 進 性 という 問 題 が 起 きますというところで R さんが 生 活 保 護 って 言 ったのですけど もし 税 金 を 上 げても 生 活 保 護 を 払 う 前 に 国 債 とかが 多 いので そういうのを 考 えると 生 活 保 護 の 出 す 割 合 が 少 なくなる と 思 うのですよ 税 金 を 上 げるのは 借 金 を 返 すためということで 上 げるので 生 活 保 護 の 割 合 が 少 なくなると 思 うので そしたら 所 得 の 低 い 人 はどうなるかって 言 うと 結 局 収 入 全 体 のう ちの 税 金 を 支 払 う 割 合 が 高 くなるだけであって 結 局 所 得 の 低 い 人 は あの 税 金 によって 苦 しむ 羽 目 になると 思 うので 増 税 をしないべきだと 思 います 61C : 反 対 です! 63MN 児 :はい 今 RN 大 臣 が 言 ってくれた 同 じ 資 料 の3のところに 総 理 大 臣 の 写 真 の 左 の 斜 め 上 に 財 政 を 立 て 直 し 社 会 保 障 の 仕 組 みを 安 定 させるためには 財 源 の 確 保 を 64T 児 : 反 対 します 低 所 得 者 のことを 思 う 思 うなら 一 部 のものには 消 費 税 をかけないとか 一 部 消 費 税 をかけないものだったら えっと あの 低 所 得 者 のためにもなるかなーと 思 って 66YT 児 :はい 僕 は RN 大 臣 の 公 債 がどうとかいう 前 に 公 債 が 公 債 が すみません 間 違 えまし た ( 笑 いが 起 こる) 67 司 会 :KS 大 臣 の 意 見 はありますか 68KS 児 :はい えっと 反 対 で あ いや 僕 は 賛 成 で 国 の 借 金 が 今 かなり 多 いので それを 増 やさ ないためには 増 税 した 方 がいいと 思 います 70YT 児 :はい えっと 僕 は KS 大 臣 と 一 緒 で 今 増 税 しなければ えっと IK 大 臣 が 言 ったように どうせ 未 来 で 苦 しくなっていく どっかで 増 税 するだろうし けどその 時 にはこうさいがもっと 大 きくなっているので 今 のうちに 増 税 したほうがいいと 思 います 167 11

12 大 学 院 研 究 論 集 第 1 号 - 第 5 分 節 の 一 部 - 73M 児 : 資 料 5の 右 下 に 消 費 税 って 公 平 不 公 平 って 書 いてあるのですけど 下 から2 番 目 のところに 収 入 の 低 い 人 に 負 担 がのしかからないように 低 所 得 者 などは 税 率 を 回 復 することが 考 えられてい ますと 書 いてあって 所 得 が 低 い 人 のことでちゃんと 国 が 考 えているので 増 税 してもいいと 思 います 74 司 会 :KT 大 臣 R 児 に 付 け 加 えを 表 明 した KT を 指 名 するように 指 示 75KT 児 :はい えっと あ 待 って まず えっと 低 所 得 者 は 税 金 をたくさん 払 わないといけないっ て 言 ったけど R 大 臣 が 言 ったように その 見 捨 てたわけじゃないし 必 要 なものを 税 金 で 払 うっていうのは 要 するに 国 民 のみんなが 全 員 が 国 民 全 体 で 協 力 して 払 ったお 金 集 まった お 金 を であって 低 所 得 者 の 人 とかに あのー 使 ってもらうもので しかも 地 震 とかが 来 てもいいように 今 広 島 の 原 爆 ドームの 地 震 用 の 補 強 も 行 われているし あと お 金 があるとか も 10%に 増 税 する 場 合 今 8%に 上 がろうとしているときに みんなが いろんな 人 が 今 のう ちに 税 金 がたくさんかかるものを 買 っていこうとするから 8%から10%に 上 がるときもまた 色 々 税 金 がたくさんかかるものを 買 うから ちょっと 景 気 が 良 くなると 思 います 少 しだけ 76 司 会 :K 大 臣 77K 児 :はい 私 は 賛 成 派 で もし 今 増 税 しなかったら 少 子 高 齢 化 とかが 進 んで 社 会 保 障 とか す ごいお 金 がかかってくるので 日 本 は 今 でもすごい 国 をトップですごい 借 金 国 の 借 金 が 多 い ので 日 本 は 抱 えきれないくらいの 借 金 を 背 負 うことになると 思 うので この 増 税 するチャンス を 逃 したら 前 に IK 大 臣 が 言 っていたように 次 世 代 の 人 の 負 担 を 増 やすことになると 思 うの で このチャンスを 逃 さずに ちゃんとしっかり 増 税 したほうがいいと 思 います 78C : 反 対 です 反 対 です - 第 7 分 節 - 108 司 会 : 今 早 くしたほうがいいという 意 見 の 人 が 結 構 前 のほうで 言 ったのですけど 今 仮 に 上 げたと して 結 構 早 めに 上 げたとして もし 国 民 の 理 解 が 得 られなかったら 選 挙 とかに 落 ちたら 私 たちただの 人 になっちゃって 給 料 とかがなくなったら 私 たちも 普 通 に 資 格 とか 取 っている 人 も いないだろうから 次 の 仕 事 見 つけるのも 大 変 なんですけどどう 思 いますか MI 大 臣 どうぞ 勢 いよく 挙 手 した R 児 を 次 に 指 名 するように 指 示 109MI 児 :はい えっと 次 世 代 にずるずると 持 ち 込 むよりも 私 たちがちょっと 我 慢 して 次 を 考 えて 次 日 本 から 作 り 上 げられたらそれでいいんじゃないかなと 思 います 110 司 会 :R 大 臣 111R 児 :はい 総 理 はその 自 分 たちのことを 中 心 に 今 考 えて 発 言 したと 思 うんですけど 自 分 たちの 仕 事 がなくなるって 言 うのが 頭 に 入 っていると 私 たち 何 もできなくなると 思 うんですよ 選 挙 に 落 ちるとか 考 えていたら 国 民 のことが 全 く 考 えられなくなっちゃうじゃないですか 今 は この 会 議 は 国 民 のために 開 いているものだから その 自 分 たちだけのためにするものじゃない と 思 うんですけど 112 司 会 :ただ 選 挙 で 落 ちるってことは 国 民 がその 人 じゃ 嫌 だって 言 ってその 人 に 入 れないってわけで すから 国 民 は 納 得 してないってことになるんじゃないんでしょうか H 大 臣 113H 児 : 国 民 が 納 得 していないからって 消 費 税 を 上 げないんだったら 将 来 に 子 どもたちができた 時 の 負 担 が 重 くなると 思 うので 上 げたほうがいいと 思 います 114C : 反 対 です! 資 料 -2 授 業 記 録 第 5 分 節 の 一 部 と 第 7 分 節 168 12

シティズンシップ 教 育 の 開 発 研 究 13 パフォーマンス 課 題 2014 年 2 月 総 理 大 臣 を 中 心 に この 年 の10 月 から 消 費 税 率 をさらに10パーセントにすべきか 閣 議 決 定 をしてい ます 大 臣 であるあなたの 考 えを 書 きましょう ルーブリック 意 思 の 表 明 ( 社 会 的 責 任 ) 思 考 判 断 プロセス ( 多 面 的 なとらえ) 人 との 関 わり( 社 会 参 画 ) 既 習 内 容 を 活 用 したり 会 議 観 点 課 題 に 対 して 自 分 の 考 えを 明 で 出 た 様 々な 観 点 を 踏 まえた 学 習 の 中 での 人 との 関 わりに らかにする りして 自 分 の 考 えを 表 現 して ついて 表 現 している いる 大 臣 として 消 費 税 増 税 すべ 大 臣 として 消 費 税 増 税 すべ きか 会 議 で 出 た 観 点 をもと 会 議 での 立 場 の 違 う 他 者 の 意 到 達 目 標 きか 自 分 の 考 えを 具 体 的 に に 自 分 の 考 えを 表 現 すること 見 を 受 け 止 めることができる 表 現 している ができる 大 臣 として 消 費 税 増 税 すべ 大 臣 として 消 費 税 増 税 すべ 立 場 の 違 う 他 者 の 意 見 を 受 け きか 自 分 の 考 えを 複 数 の 具 きか 複 数 の 観 点 や 様 々な 立 場 A 止 め 新 たな 自 分 の 考 えを 付 加 体 的 な 理 由 に 基 づいて 表 現 し を 考 慮 して 自 分 の 考 えを 表 現 している ている している 大 臣 として 消 費 税 増 税 すべ 立 場 の 違 う 他 者 のことについ 会 議 で 出 た 観 点 に 基 づきなが B きか 自 分 の 考 えを 具 体 的 に て 記 述 し それに 対 して 自 分 ら 自 分 の 考 えを 表 現 している 表 現 している の 考 えを 記 述 している 立 場 の 違 う 他 者 について 記 述 C 具 体 的 な 理 由 がない 観 点 に 触 れた 記 述 がない がない 学 級 全 体 のパフォーマンス 評 価 自 由 記 述 2 月 17 日 ( 注 児 童 出 席 番 号 と 児 童 番 号 は 合 致 しない) 資 料 - 3 パフォーマンス 評 価 のサーベイサランスとルーブリック 169 13

Ưƚ R ji, Ư ƚr ji^ e ac - ȯ Â å NJ d ɆŽ ȏ ȱȯ P Âå ^dɇ Ž ņģ ǿDž dóǘ 14 '2. Ŵ ł ħɏ 0 ā á 2 śâ Ȣ Ż 4 ż Lx Ő ß / Ī Ȯ dȕ ǂ ăđ 1 Å Ç dī _d Ȇ Ê + ƌĵ ȗò Ʒ Ĺ 3 ĪIJ 大学院研究論集 第1号 /! - 4 R児のパフォーマンス 資料 ' 2 ( 170 14