原料ガスを高効率でダイヤモンドに変換する新合成技術



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同 時 発 表 : 筑 波 研 究 学 園 都 市 記 者 会 ( 資 料 配 布 ) 文 部 科 学 記 者 会 ( 資 料 配 布 ) 科 学 記 者 会 ( 資 料 配 布 ) 原 料 ガスを 高 効 率 でダイヤモンドに 変 換 する 新 合 成 技 術 -ダイヤモンドバルク 結 晶 の 炭 素 同 位 体 比 で 世 界 最 高 - 平 成 25 年 5 月 7 日 独 立 行 政 法 人 物 質 材 料 研 究 機 構 独 立 行 政 法 人 科 学 技 術 振 興 機 構 概 要 1. 独 立 行 政 法 人 物 質 材 料 研 究 機 構 ( 理 事 長 : 潮 田 資 勝 ) 光 電 子 材 料 ユニット(ユニット 長 : 大 橋 直 樹 )の 寺 地 徳 之 主 任 研 究 員 らの 研 究 グループは 化 学 気 相 合 成 (CVD) 1) でダイヤモンドを 生 成 する 際 の 原 料 利 用 率 を 大 幅 に 向 上 する 新 合 成 技 術 を 開 発 しました また この 新 技 術 を 質 量 数 の 炭 素 ( C) で 同 位 体 濃 縮 2) したダイヤモンド 結 晶 の 合 成 に 適 用 し 世 界 最 高 の C 同 位 体 比 を 持 つダイヤモンドバ ルク 単 結 晶 の 合 成 に 成 功 しました 2. 高 純 度 ダイヤモンドを CVD 法 で 合 成 する 場 合 一 般 にメタンガスが 原 料 に 用 いられます 通 常 は 供 給 されたメタンガスの 高 々1%がダイヤモンドに 変 換 され 99% 以 上 のメタンガスは 未 反 応 のまま 排 気 さ れます この 低 い 原 料 利 用 率 のため 原 料 ガスを 多 量 に 消 費 するバルク 結 晶 合 成 では コストの 面 から 高 価 な 原 料 ガスの 利 用 が 困 難 でした 新 開 発 の CVD 法 を 用 いたダイヤモンド 合 成 技 術 では 従 来 法 と 大 きく 異 なる 条 件 で 原 料 ガスを 供 給 することで メタンガス 原 料 の 原 料 利 用 率 を 大 幅 に 向 上 させました その 結 果 多 結 晶 ダイヤモンド 合 成 時 の 原 料 利 用 率 で 80%という 非 常 に 高 い 値 を 実 現 しました 3. 原 料 利 用 率 の 高 い CVD 合 成 技 術 を 得 たことで 非 常 に 高 価 な 同 位 体 濃 縮 メタンを 原 料 とするダイヤ モンド 合 成 が 可 能 となり C 同 位 体 比 で 世 界 最 高 値 の 99.998%( 13 C が 0.002%)という 値 をもつダイ ヤモンドバルク 単 結 晶 を 得 ることに 成 功 しました 高 圧 高 温 (HPHT) 法 3) によるダイヤモンド 合 成 に おいて 本 技 術 で 得 られた 多 結 晶 ダイヤモンド( C 同 位 体 比 が 99.998%)を 固 体 原 料 として 用 いるこ とで C 同 位 体 比 が 99.995%の 単 結 晶 ダイヤモンドが 得 られました HPHT 合 成 には 固 体 炭 素 原 料 が 必 要 です 一 般 に C 同 位 体 濃 縮 原 料 はメタンガス 等 原 料 ガスとして 供 給 されるため HPHT 合 成 用 の C 固 体 炭 素 原 料 を 得 るには メタン 原 料 利 用 率 を 高 めた 本 CVD 技 術 は 必 須 です 4. C 同 位 体 濃 縮 されたダイヤモンドは C 天 然 存 在 比 98.9%( 13 C が 1.1%)のダイヤモンドに 比 べて 熱 伝 導 度 が 高 く 高 性 能 ヒートシンクなどの 様 々な 応 用 が 期 待 されます また C 同 位 体 濃 縮 したダ イヤモンド 結 晶 内 では 電 子 スピンのコヒーレンス 時 間 4) が 長 くなる 事 が 知 られており ダイヤモンドを 用 いた 量 子 情 報 通 信 素 子 の 高 性 能 化 に 向 けた 開 発 の 加 速 が 期 待 されます 5. 本 研 究 の 一 部 は 日 本 学 術 振 興 会 科 学 研 究 費 補 助 金 基 盤 研 究 及 び 科 学 技 術 振 興 機 構 の 国 際 科 学 技 術 共 同 研 究 推 進 事 業 ( 戦 略 的 国 際 共 同 研 究 プログラム) 日 独 共 同 研 究 の 一 環 として 行 われました 6. 本 研 究 成 果 は 日 本 時 間 平 成 25 年 4 月 15 日 に 科 学 雑 誌 Applied Physics Express のオンライン 速 報 版 で 公 開 されました 1

研 究 の 背 景 ダイヤモンドは シリコンの 約 5 倍 という 大 きなバンドギャップを 持 つ 次 世 代 半 導 体 です バン ドギャップが 大 きいために シリコンデバイスの 動 作 限 界 といわれる 200 以 上 でも 安 定 に 動 作 し ます また 耐 放 射 線 性 や 耐 化 学 薬 品 性 に 富 んでいるため 極 限 環 境 下 で 動 作 するデバイスに 適 用 で きます その 絶 縁 破 壊 電 界 はシリコンの 70 倍 もあるといわれており パワーデバイス 応 用 を 目 指 し た 基 礎 研 究 も 進 められています 半 導 体 に 不 可 欠 なドーピング 技 術 ですが 困 難 であった n 型 伝 導 に 関 しては 現 在 では 制 御 可 能 であり ダイヤモンド pn 接 合 5) も 実 証 されています 室 温 でのダイヤ モンドの 熱 伝 導 率 は 銅 の 5 倍 以 上 と 高 く ヒートシンク 材 料 としても 優 れています このように 優 れた 物 性 を 示 すダイヤモンド 結 晶 は 人 工 合 成 法 でのみ 得 られますが 合 成 条 件 最 適 化 による 結 晶 の 高 品 質 化 と 高 純 度 化 が 不 可 欠 です 更 に 実 用 化 のためには このようなダイヤモン ド 結 晶 を 安 定 に 且 つ 安 価 に 供 給 することが 求 められています 高 純 度 ダイヤモンド 結 晶 を 合 成 するためには 高 純 度 炭 素 源 を 原 料 に 用 いる 必 要 があります ダ イヤモンドを 化 学 気 相 合 成 法 (CVD)で 合 成 する 場 合 原 料 となる 高 純 度 メタンガスからダイヤモ ンドを 合 成 しますが 通 常 は 供 給 されたメタンガスの 高 々1%( 典 型 的 には 0.1%)がダイヤモンド に 変 換 され 99% 以 上 の 未 反 応 なメタンガスは 排 気 されます 原 料 ガスが 高 額 であればあるほど 原 料 を 有 効 にダイヤモンド 結 晶 へ 変 換 することが 材 料 コストを 削 減 するカギと 言 えます 例 えば ダイヤモンドを 構 成 する 炭 素 原 子 の 同 位 体 が 炭 素 ( C)のみとなるように 同 位 体 濃 縮 すること で 熱 伝 導 率 が 向 上 することが 知 られていますが その 原 料 は 炭 素 同 位 体 が 天 然 存 在 比 の 高 純 度 メ タンガスと 比 べて 価 格 が 100 倍 以 上 と 高 額 であるため 高 々1%の 原 料 利 用 率 ( 原 料 ガス-ダイヤモ ンド 変 換 率 )では 1 つの 結 晶 の 合 成 にかかる 材 料 ガスのコストが 高 額 となり 一 部 の 基 礎 研 究 でし か 実 施 することができませんでした 成 果 の 内 容 ダイヤモンド 結 晶 の 化 学 気 相 合 成 において 原 料 の 純 度 を 大 幅 に 落 とすことなく 原 料 ガスから ダイヤモンド 結 晶 への 原 料 利 用 率 を 大 幅 に 向 上 する 新 合 成 技 術 を 開 発 しました 新 合 成 技 術 を 用 い た 多 結 晶 ダイヤモンド 合 成 では 最 高 80%という 高 い 原 料 利 用 率 を 得 ることができました ダイヤモンド CVD の 模 式 図 を 図 1 に 示 します CVD では 反 応 容 器 内 で 原 料 ガスとキャリヤガ スの 割 合 で 決 まる 原 料 ガス 濃 度 6) を 適 切 に 保 つ 必 要 があります 従 来 法 では 予 め 所 望 の 原 料 ガス 濃 度 となるようにキャリヤガスと 原 料 ガスを 調 合 した 混 合 ガスを 作 り これを 多 量 に 供 給 すること で 反 応 容 器 内 の 原 料 ガス 濃 度 を 制 御 していました 図 2 に ダイヤモンド CVD のガス 供 給 シーケ ンスを 示 します 従 来 法 では ダイヤモンド 結 晶 合 成 中 はキャリヤガスと 原 料 ガスの 流 量 は 一 定 に 保 たれ 反 応 容 器 に 外 部 リークがあっても 高 い 純 度 が 確 保 できるように 混 合 ガスの 総 流 量 は 比 較 的 高 い 値 に 設 定 されます CVD では 反 応 容 器 内 の 圧 力 を 一 定 に 保 つように 圧 力 調 整 する 必 要 があり 反 応 容 器 内 の 余 剰 ガスは 適 宜 真 空 ポンプで 排 気 されます 一 方 反 応 容 器 内 では 結 晶 を 合 成 さ せる 基 板 を 加 熱 することで 化 学 反 応 を 促 進 し この 際 に 原 料 ガスの 一 部 がダイヤモンドとして 結 晶 化 します 従 来 法 では 供 給 された 原 料 ガスの 0.1% 程 度 が 結 晶 化 に 寄 与 するだけで そのほかの 原 料 ガスはキャリヤガスとともに 余 剰 ガスとして 排 気 されるという 問 題 がありました これに 対 して 新 合 成 技 術 では ガスの 供 給 手 順 を 大 きく 変 えることで 供 給 された 原 料 ガスの 10% 以 上 を 結 晶 化 に 寄 与 させることに 成 功 しました ( 図 1 と 図 2 参 照 ) 最 初 は 従 来 法 と 同 じ 手 順 で 反 応 容 器 内 の 原 料 ガス 濃 度 と 反 応 容 器 内 圧 力 がダイヤモンド 合 成 に 適 切 な 値 になるように 原 料 ガ スとキャリヤガスを 供 給 し(ステップ 1) 次 いで 最 適 な 合 成 条 件 が 得 られると 直 ちに 供 給 する 混 2

合 ガスの 供 給 速 度 と 原 料 ガス 濃 度 を 変 えます(ステップ 2) 供 給 ガスの 原 料 ガス 濃 度 は 反 応 容 器 内 の 原 料 ガス 濃 度 よりも 高 い 値 にしますが これはキャリヤガスを 過 剰 に 供 給 しないことにより 未 反 応 な 原 料 ガスが 反 応 容 器 内 から 排 出 されるのを 抑 制 するためです また キャリヤガスは 反 応 容 器 内 で 再 利 用 されます 供 給 ガスの 原 料 ガス 濃 度 が 高 いほど 原 料 利 用 率 が 高 くなりました 図 1 と 図 2 には キャリヤ ガスを 全 く 供 給 しない 場 合 を 示 しましたが 極 微 量 のキャリヤガスを 同 時 に 供 給 しても 従 来 法 に 比 べると 効 果 があります 新 技 術 で 作 製 された 複 数 個 の 多 結 晶 ダイヤモンドの 原 料 利 用 率 は 全 て 70% 以 上 であり 最 高 値 は 80%と 非 常 に 高 い 値 が 得 られました この 時 のガス 供 給 速 度 及 び 排 出 ガス 速 度 は 従 来 法 に 比 べると 1000 分 の 1 以 下 と 非 常 に 小 さい 値 です 従 来 法 に 比 べると 反 応 容 器 内 の 原 料 ガス 濃 度 の 制 御 が 容 易 ではない 点 が 新 合 成 技 術 の 欠 点 で すが 反 応 容 器 内 の 原 料 ガス 濃 度 を 逐 次 モニターし 混 合 ガス 供 給 速 度 にフィードバックさせるこ とで 解 決 することができます また 外 部 リークによる 不 純 物 混 入 が 問 題 となる 可 能 性 がありま すが NIMS 独 自 の 超 高 真 空 仕 様 のダイヤモンド CVD 装 置 を 開 発 し この 問 題 を 解 決 しました 図 3 に この 手 法 で 合 成 したダイヤモンド 結 晶 を 示 します 高 圧 高 温 (HPHT) 合 成 法 において も 新 合 成 技 術 で 得 られた C 同 位 体 比 99.998%の CVD ダイヤモンド 多 結 晶 を 固 体 原 料 に 用 いて C 同 位 体 比 が 99.995%の 高 純 度 単 結 晶 が 得 られました HPHT 合 成 には 固 体 炭 素 原 料 が 必 要 です 一 般 に C 同 位 体 濃 縮 原 料 はメタンガス 等 原 料 ガスとして 供 給 されるため HPHT 合 成 用 の C 固 体 炭 素 原 料 を 得 るには メタン 原 料 利 用 率 を 高 めた 本 CVD 技 術 は 必 須 です 天 然 結 晶 では C 同 位 体 比 が 98.9%であるのに 対 して ここに 示 した 結 晶 は 全 て C 同 位 体 比 が 99.995% 以 上 と 100 倍 以 上 も 純 度 が 高 い 事 が 分 かりました 更 に 新 合 成 技 術 では 材 料 ガスのコス トが 抑 えられるため 長 時 間 合 成 によるバルク 結 晶 の 合 成 が 可 能 です また 本 成 果 として 得 られ た 結 晶 は 高 い 同 位 体 純 度 だけでなく 窒 素 やホウ 素 といった 不 純 物 が 通 常 の 評 価 手 段 では 検 出 で きない 程 に 少 ない 超 高 純 度 結 晶 であることが 分 かりました ガス 流 量 調 整 器 キャリヤガス 混 合 ガス 反 応 容 器 原 料 ガス A. 従 来 法 ダイヤモンド 基 板 結 晶 化 排 出 ガス 圧 力 調 整 バルブ 真 空 ポンプ フィードバック 制 御 原 料 ガス ガス 濃 度 モニター キャリヤガス は 再 利 用 結 晶 化 B. 合 成 新 技 術 図 1 ダイヤモンド CVD の 模 式 図 A. 従 来 法 B. 新 合 成 技 術 キャリヤガスと 原 料 ガスを 結 晶 成 長 に 適 切 な 濃 度 に 混 合 して 反 応 容 器 内 に 導 入 し 化 学 反 応 によりダイヤ モンド 結 晶 を 合 成 します 従 来 法 と 新 合 成 技 術 にはガスの 供 給 方 法 に 違 いがあります 3

A. 従 来 法 ガス 流 量 : 高 い B. 合 成 新 技 術 ステップ1 (ガス 流 量 : 高 い) ステップ2 (ガス 流 量 : 低 い) ガス 流 量 キャリヤ ガス 原 料 ガス 図 2 キャリヤガスと 原 料 ガスのガス 供 給 シーケンス A. 従 来 法 : 一 定 速 度 一 定 濃 度 で 反 応 容 器 内 にガスを 供 給 します B. 新 合 成 技 術 : 従 来 法 と 同 じ 条 件 で 供 給 し(ステッ プ 1) 反 応 容 器 内 のガス 量 が 最 適 な 条 件 に 達 した 時 点 で 原 料 ガスを 主 体 とした 低 流 量 でのガス 供 給 に 切 り 替 えます(ステップ 2) ここでは 原 料 ガスのみを 供 給 した 例 を 示 し ています (a) CVD 多 結 晶 ダイヤモンド C 濃 縮 度 99.997% (b) HPHT 単 結 晶 ダイヤモンド C 濃 縮 度 99.995% 10 mm (c) CVD 単 結 晶 ダイヤモンド C 濃 縮 度 99.998% 1 mm 5 mm 図 3 新 合 成 技 術 で 得 られた 同 位 体 濃 縮 ダイヤモンド 結 晶 (a) CVD 多 結 晶 ダイヤモン ド: 直 径 30mm のモリブデン 円 板 の 全 面 に 厚 み 0.5mm で 合 成 しました (b) HPHT 単 結 晶 ダイヤモンド: 同 位 体 比 を 更 に 向 上 させる 試 みも 実 施 しています (c) CVD 単 結 晶 ダイヤモンド: 窒 素 を 含 有 する( 黄 色 ) 汎 用 の 単 結 晶 基 板 上 に 高 純 度 高 同 位 体 比 単 結 晶 を 合 成 し その 後 CVD 単 結 晶 と 基 板 を 分 離 しました 4

波 及 効 果 と 今 後 の 展 開 従 来 法 では 得 ることが 困 難 であった 種 類 のダイヤモンド 結 晶 を 新 合 成 技 術 を 用 いる 事 で 比 較 的 安 価 に 合 成 することが 可 能 となります 具 体 的 には 同 位 体 濃 縮 したダイヤモンド 結 晶 や 超 高 純 度 ダイヤモンドバルク 結 晶 です 本 研 究 では 世 界 最 高 の 同 位 体 比 であるダイヤモンド 結 晶 をバル ク 単 結 晶 として 得 ることにも 成 功 しています 高 純 度 ダイヤモンド 結 晶 は 超 高 耐 圧 パワーデバイスや 極 限 環 境 動 作 デバイス 応 用 が 期 待 されて います そのため 高 純 度 ダイヤモンドバルク 結 晶 を 如 何 に 安 価 に 合 成 できるかが 実 用 化 のカギに なります 加 えて 同 位 体 濃 縮 を 行 った 場 合 熱 伝 導 率 が 向 上 することが 知 られており 高 性 能 ヒー トシンクとしての 価 値 があります また 最 近 のホットトピックスになっているダイヤモンドを 用 い た 量 子 情 報 通 信 では C 炭 素 が 核 スピンをもたないことから C 同 位 体 濃 縮 したダイヤモンド 中 での 電 子 スピンのコヒーレンス 時 間 が 長 くなる 事 が 知 られており 同 位 体 濃 縮 ダイヤモンド 結 晶 が 重 要 視 されています 今 回 開 発 した 合 成 技 術 は これらの 分 野 で 役 立 つと 考 えられます 備 考 本 研 究 の 一 部 は 日 本 学 術 振 興 会 科 学 研 究 費 補 助 金 基 盤 研 究 ( 研 究 課 題 番 号 23360143) パワー デバイス 実 用 化 に 向 けたダイヤモンド 接 合 界 面 安 定 化 に 関 する 基 礎 研 究 および 科 学 技 術 振 興 機 構 国 際 科 学 技 術 共 同 研 究 推 進 事 業 ( 戦 略 的 国 際 共 同 研 究 プログラム) 日 独 共 同 研 究 ナノエレクトロニクス における 研 究 課 題 ダイヤモンドの 同 位 体 エンジニアリングによる 量 子 コ ンピューティング ( 研 究 代 表 者 : 筑 波 大 学 図 書 館 情 報 メディア 系 主 幹 研 究 員 磯 谷 順 一 )の 支 援 を 受 けて 行 われました 用 語 解 説 (1) 化 学 気 相 合 成 法 (CVD:Chemical Vapor Deposition) 薄 膜 材 料 を 製 造 する 合 成 法 のひとつで 反 応 容 器 内 に 薄 膜 の 構 成 元 素 を 含 む 原 料 ガスを 供 給 し 基 板 ウエファー 上 で 原 料 ガスを 分 解 化 学 反 応 させることで 基 板 上 に 薄 膜 を 堆 積 させる 方 法 です (2) 同 位 体 濃 縮 同 位 体 とは 原 子 核 の 構 成 要 素 である 中 性 子 の 数 が 異 なる 原 子 のことで 特 定 の 質 量 数 をもった 原 子 のみを 濃 縮 することが 同 位 体 濃 縮 です 同 位 体 同 士 を 比 較 すると その 化 学 的 性 質 はほぼ 同 一 で すが 質 量 数 の 違 いが 原 子 振 動 の 周 波 数 の 差 となって 現 れ 格 子 振 動 周 波 数 は 熱 的 機 械 的 性 質 に 変 化 をもたらします 地 球 上 の 炭 素 の 天 然 同 位 体 比 は 98.9%が 質 量 数 の 炭 素 ( C) 1.1%が 質 量 数 13の 炭 素 ( 13 C)となっています ダイヤモンドでは 質 量 数 の 小 さい Cを 濃 縮 させた 場 合 に 格 子 振 動 の 周 波 数 が 高 くなり 高 い 熱 伝 導 率 を 示 すようになります (3) 高 圧 高 温 合 成 法 (HPHT:High-Pressure and High-Temperature Synthetic Method) バルク 結 晶 を 合 成 する 手 法 の 一 つで 高 圧 下 で 原 料 を 溶 媒 に 溶 解 再 析 出 することにより 単 結 晶 が 合 成 できます 常 圧 下 ではダイヤモンドは 準 安 定 状 態 ですが 数 万 気 圧 以 上 の 高 圧 下 ( 例 えば 5 万 気 圧 1400 など)ではダイヤモンドが 熱 力 学 的 に 安 定 になります 高 圧 高 温 合 成 法 により 工 業 用 ダ イヤモンドの9 割 近 くが 生 産 されていますが 窒 素 ホウ 素 溶 媒 成 分 等 の 不 純 物 を 含 まない 高 純 度 5

単 結 晶 の 合 成 には 高 い 技 術 が 必 要 とされます 原 料 には 良 質 の 固 体 炭 素 源 が 必 須 であるため C 同 位 体 濃 縮 した 結 晶 を 得 る 場 合 などは メタンガスを 高 効 率 に 固 体 化 する 新 合 成 技 術 が 重 要 になりま す (4) コヒーレンス 時 間 単 一 の 電 子 スピンを 用 いる 量 子 ビットは,MS=-1/2とMS=+1/2に 対 応 する2つの 状 態 ( 0>と 1> の 状 態 )だけではなく,2つの 状 態 の 重 ね 合 わせ 状 態 (α 1>+β 0>)をとることができます この 重 ね 合 わせを 保 持 する 時 間 がコヒーレンス 時 間 です 高 純 度 ダイヤモンド 結 晶 格 子 中 の 電 子 スピン 量 子 ビットでは 13 C 核 スピンから 受 ける 磁 場 のゆらぎがコヒーレンス 時 間 を 短 くする 主 要 因 となりま す (5) n 型 ダイヤモンドとダイヤモンドpn 接 合 ダイヤモンド 合 成 中 に 適 切 な 合 成 条 件 でリンをドーピングすることでn 型 ダイヤモンドが 得 られ ます また このn 型 ダイヤモンドと ホウ 素 ドープp 型 ダイヤモンドと 接 合 させることで ダイオ ード 特 性 を 示 すpn 接 合 が 得 られます これらの 研 究 成 果 は 世 界 に 先 駆 けて 物 質 材 料 研 究 機 構 で 得 られました (6) 原 料 ガス 濃 度 全 ガス 量 に 対 する 原 料 ガスの 比 率 であり 基 板 温 度 とともにCVDの 重 要 なパラメータです ガス 流 量 調 整 器 で 各 種 ガス 流 量 を 適 宜 調 整 することで 供 給 する 混 合 ガスの 原 料 ガス 濃 度 を 変 えます 従 来 合 成 法 では この 供 給 ガスをダイヤモンド 結 晶 化 に 伴 う 原 料 ガス 消 費 量 よりも 遥 かに 多 量 に 反 応 容 器 へ 供 給 することで 反 応 容 器 内 の 原 料 ガス 濃 度 を 制 御 します 合 成 新 技 術 では 反 応 容 器 内 ガスと 供 給 ガスで 原 料 ガス 濃 度 に 差 がある 点 が 従 来 法 と 大 きく 異 なっています 本 件 に 関 するお 問 い 合 わせ 先 ( 研 究 内 容 に 関 すること) 独 立 行 政 法 人 物 質 材 料 研 究 機 構 光 電 子 材 料 ユニット 主 任 研 究 員 寺 地 徳 之 (てらじ とくゆき) E-mail: TERAJI.Tokuyuki@nims.go.jp TEL: 029-860-4776 (JST の 事 業 に 関 すること) 独 立 行 政 法 人 科 学 技 術 振 興 機 構 国 際 科 学 技 術 部 屠 耿 (と こう) 102-0076 東 京 都 千 代 田 区 五 番 町 7 K s 五 番 町 E-mail: jointge@jst.go.jp TEL: 03-5214-7375 FAX: 03-5214-7379 6

( 報 道 担 当 ) 独 立 行 政 法 人 物 質 材 料 研 究 機 構 企 画 部 門 広 報 室 305-0047 茨 城 県 つくば 市 千 現 1-2-1 TEL: 029-859-2026 FAX: 029-859-2017 独 立 行 政 法 人 科 学 技 術 振 興 機 構 広 報 課 102-8666 東 京 都 千 代 田 区 四 番 町 5 番 地 3 E-mail: jstkoho@jst.go.jp TEL: 03-5214-8404 FAX: 03-5214-8432 7