グローバルな 環 境 の 整 備 のあり 方 に 関 する 意 見 わが 国 海 外 の 法 的 基 盤 の 整 備 等 に 向 けて 参 考 資 料 わが 国 の 締 結 状 況 (1) 保 護 を 主 な 目 的 とする 2 (2) 自 由 化 を 含 む 3 (3) 交 渉 中 の 4 日 系 企 業 海 外 現 地 法 人 数 社 会 保 障 租 税 条 約 締 結 状 況 5 の 構 成 要 素 (1) の 保 護 紛 争 処 理 等 6 (2) の 定 義 の 円 滑 化 7 (3) 自 由 化 / 外 資 参 入 規 制 の 規 律 8 (4)パフォーマンス 要 求 禁 止 項 目 の 比 較 9 わが 国 企 業 が 直 面 する 課 題 10-15 2 0 0 8 年 4 月 1 5 日 ( 社 ) 日 本 経 済 団 体 連 合 会
わが 国 の / 締 結 状 況 (1) 保 護 を 主 な 目 的 とする 9カ 国 と 締 結 締 約 国 による 恣 意 的 な 収 用 等 の 抑 止 損 害 の 補 償 などが 期 待 できる 含 まれる 規 定 後 の 内 国 民 最 恵 国 待 遇 収 用 の 際 の 補 償 送 金 の 自 由 家 対 国 家 の 仲 裁 ( 中 国 は 収 用 の 補 償 額 を 巡 る 紛 争 に 限 定 ) 署 名 年 月 発 効 年 月 エジプト 1977 年 1 月 1978 年 1 月 スリランカ 1982 年 3 月 1989 年 8 月 中 国 1988 年 8 月 1989 年 5 月 トルコ 1992 年 2 月 1993 年 3 月 香 港 1997 年 5 月 1997 年 6 月 パキスタン 1998 年 3 月 2002 年 5 月 バングラディシュ 1998 年 11 月 1999 年 8 月 ロシア 1998 年 11 月 2000 年 5 月 モンゴル 2001 年 2 月 2002 年 3 月 2
わが 国 の / 締 結 状 況 (2) 自 由 化 を 含 む 12カ 国 と 締 結 では 章 に おいて 自 由 化 等 を 規 定 含 まれる 規 定 自 由 化 ( 出 資 比 率 規 制 など 外 資 参 入 規 制 の 撤 廃 等 ) パフォーマンス 要 求 禁 止 等 活 動 の 円 滑 化 ( 法 令 の 公 表 パブ リックコメント 等 によ る 透 明 性 の 確 保 ) 署 名 年 月 発 効 年 月 シンガポール() 2002 年 1 月 2002 年 11 月 韓 国 ( :BIT) 2002 年 3 月 2003 年 1 月 ベトナム(BIT) 2003 年 11 月 2004 年 12 月 メキシコ() 2004 年 9 月 2005 年 4 月 マレーシア() 2005 年 12 月 2006 年 7 月 フィリピン() 2006 年 9 月 未 発 効 チリ() 2007 年 3 月 2007 年 9 月 タイ() 2007 年 4 月 2007 年 11 月 ブルネイ() 2007 年 6 月 未 発 効 カンボジア(BIT) 2007 年 6 月 未 発 効 イント ネシア() 2007 年 8 月 未 発 効 ラオス(BIT) 2008 年 1 月 未 発 効 3
わが 国 の / 締 結 状 況 (3) 交 渉 中 の 交 渉 開 始 年 月 備 考 サウジアラビア(BIT) 2006 年 10 月 2007 年 12 月 に 第 5 回 交 渉 会 合 日 中 韓 (BIT) 2007 年 3 月 2008 年 3 月 に 第 4 回 交 渉 会 合 ウズベキスタン(BIT) 2008 年 2 月 第 1 回 交 渉 終 了 豪 州 () 2007 年 4 月 2008 年 2 月 に 第 4 回 交 渉 会 合 スイス() 2007 年 5 月 2008 年 2 月 に 第 5 回 交 渉 会 合 インド() 2007 年 1 月 2008 年 1 月 に 第 5 回 交 渉 ベトナム() 2007 年 1 月 2007 年 10 月 に 第 5 回 交 渉 会 合 4
日 系 企 業 海 外 現 地 法 人 数 社 会 保 障 租 税 条 約 締 結 状 況 締 結 国 交 渉 中 通 商 航 海 条 約 等 締 結 国 予 備 : 予 備 交 渉 中 国 名 社 数 社 会 保 障 租 税 条 約 国 名 社 数 社 会 保 障 租 税 条 約 国 名 社 数 社 会 保 障 租 税 条 約 国 名 社 数 社 会 保 障 租 税 条 約 国 名 社 数 社 会 保 障 租 税 条 約 中 国 4757 ロシア 68 ペルー 15 ネパール 3 モンテネグロ 1 アメリカ 3367 スウェーデン 67 予 備 ナイジェリア 14 クウェート 3 交 渉 ホンジュラス 1 タイ 1575 ケイマン 諸 島 63 ミャンマー 12 オマーン 3 バルバドス 1 香 港 1129 スイス 62 予 備 ギリシア 12 モロッコ 3 ドミニカ 共 和 国 1 シンガポール 1029 ハンガリー 62 予 備 ルーマニア 11 チュニジア 3 アルジェリア 1 台 湾 917 アラフ 首 長 国 連 邦 54 交 渉 エジプト 10 タンザニア 3 セネガル 1 イギリス 784 オーストリア 50 リベリア 9 マダガスカル 3 コートジボワール 1 マレーシア 779 南 アフリカ 47 サイパン 9 モーリシャス 3 トーゴ 1 韓 国 705 チリ 43 マカオ 8 ハ フ アニューキ ニア 3 マリ 1 インドネシア 681 アイルランド 38 予 備 バングラディシュ 8 サモア 3 ブルキナファソ 1 ドイツ 632 ポルトガル 31 ウクライナ 8 フィジー 3 ニジェール 1 フィリピン 444 アルゼンチン 31 カンボジア 7 ヨルダン 2 カメルーン 1 オーストラリア 403 署 名 デンマーク 28 イスラエル 7 レバノン 2 アンゴラ 1 フランス 376 トルコ 28 スロベニア 6 リトアニア 2 エチオピア 1 オランダ 354 署 名 ベネズエラ 25 コスタリカ 5 クロアチア 2 ケニア 1 ベトナム 286 グアム 25 エクアドル 5 バハマ 2 モザンビーク 1 カナダ 269 バージン 諸 島 24 モンゴル 4 ジャマイカ 2 レユニオン 1 ブラジル 252 サウジアラビア 22 ラオス 4 トリニータ ート トハ コ 2 マラウイ 1 メキシコ 218 フィンランド 22 カザフスタン 4 交 渉 ボリビア 2 ザンビア 1 インド 216 パキスタン 19 署 名 バーレーン 4 ガーナ 2 スワジランド 1 イタリア 199 交 渉 スリランカ 19 グアテマラ 4 ジンバブエ 2 トンガ 1 スペイン 155 交 渉 ノルウェー 18 エルサルバドル 4 ソロモン 諸 島 2 ニューカレドニア 1 ベルギー 146 スロバキア 17 プエルトリコ 4 パラオ 2 米 領 サモア 1 パナマ 122 コロンビア 17 アンティール 4 グルジア 1 カタール 0 ニュージーランド 80 バミューダ 16 パラグアイ 4 セルビア 1 ウズベキスタン 0 ポーランド 76 イラン 15 バヌアツ 4 ブルガリア 1 ウルグアイ 0 チェコ 76 署 名 ルクセンブルク 15 予 備 ブルネイ 3 交 渉 エストニア 1 注 ) 現 地 法 人 : 日 本 企 業 の 出 資 比 率 合 計 10% 以 上 の 現 地 法 人 海 外 支 店 事 務 所 出 典 : 海 外 進 出 企 業 総 覧 2007( 東 洋 経 済 新 報 社 ) 5
の 構 成 要 素 (1) の 保 護 紛 争 処 理 等 保 護 を 主 目 的 とする 日 星 日 韓 日 越 日 墨 日 マレーシア 日 フィリ ピン 日 チリ 日 タイ 日 カンホ 日 フ ルネイ シ ア 日 イント ネシア 日 ラオス 後 の 内 国 民 待 遇 後 の 最 恵 国 待 遇 公 正 衡 平 待 遇 国 が 家 になした 約 束 の 遵 守 義 務 (アン ブレラ 条 項 ) 収 用 と 補 償 送 金 の 自 由 紛 争 処 理 ( 国 対 家 ) 合 同 委 員 会 ( 実 施 に 関 する 討 議 見 直 し 等 の 場 ) ビジネス 環 境 整 備 委 員 会 NT: 内 国 民 待 遇 (National Treatment) PR:パフォーマンス 要 求 プレ: 前 (NT PR を 除 外 ) ( 再 協 議 ) (PR プレを 除 外 ) (プレを 除 外 ) MFN: 最 恵 国 待 遇 (Most-Favored-Nation) 6
の 構 成 要 素 (2) の 定 義 の 円 滑 化 保 護 を 主 目 的 とする 日 星 日 韓 日 越 日 墨 日 マレーシア 日 フィリ ピン 日 チリ 日 タイ 日 カンホ 日 フ ルネイ シ ア 日 イント ネシア 日 ラオス の 定 義 限 定 列 挙 ( 短 期 貸 付 国 営 企 業 向 け 貸 付 等 を 除 く) 直 接 投 資 と 関 連 する 知 財 等 貿 易 金 融 ポート フォリオ は 国 内 法 の 要 件 を 満 た す 必 要 家 の 入 国 申 請 へ の 配 慮 透 明 性 ( 法 令 公 表 ) パブリックコメント 努 力 義 務 汚 職 防 止 努 力 義 務 7
の 構 成 要 素 (3) 自 由 化 / 外 資 参 入 規 制 の 規 律 保 護 を 主 目 的 とする 日 星 日 韓 日 越 日 墨 日 マレーシア 日 フィリ ピン 日 チリ 日 タイ 日 カンホ 日 フ ルネイ シ ア 日 イント ネシア 日 ラオス 許 可 段 階 の 内 国 民 待 遇 (ポート フォリオ を 除 く) ( 自 動 車 のみ) 許 可 段 階 の 最 恵 国 待 遇 パフォーマンス 要 求 の 禁 止 ( 最 大 11 項 目 )( 注 1) (9) (11) (10) (8) (TRIMs の 義 務 を 確 認 ) (11) (11) (TRIMs +1) (10) (TRIMs の 義 務 を 確 認 ) (9) (7) 留 保 の 方 式 (ネガティ ブリストの 採 用 )( 注 2) (ポジ) ( 注 3) TRIMs:WTO 貿 易 に 関 連 する 措 置 に 関 する (Agreement on Trade-Related Investment Measures) 注 1: パフォーマンス 要 求 とは 外 資 参 入 を 認 めるにあたり 特 定 の 義 務 の 履 行 を 要 求 すること ( ) 内 は 禁 止 される 要 求 項 目 数 ( 具 体 的 内 容 は 次 頁 参 照 ) 注 2: ネガティブリストとは 外 資 参 入 を 原 則 自 由 化 し 参 入 を 規 制 する 項 目 を 列 挙 する 方 式 8 注 3: ポジ(ポジティブリスト)とは 外 資 参 入 を 自 由 化 する 項 目 を 列 挙 する 方 式
の 構 成 要 素 (4) パフォーマンス 要 求 禁 止 項 目 の 比 較 保 護 を 主 目 的 とする 日 星 日 韓 日 越 日 墨 日 マレーシア 日 フィリ ピン 日 チリ 日 タイ 日 カンホ 日 フ ルネイ シ ア 日 イント ネシア 日 ラオス 規 定 数 ( 規 定 なし) (9) (11) (10) (8) (TRIMs (11) の 義 務 を 確 認 ) (8) (TRIMs (10) レベル) (TRIMs の 義 務 を 確 認 ) (9) (7) 輸 出 要 求 ( 注 ) 輸 出 制 限 原 材 料 調 達 要 求 ( 注 ) 物 品 サービスの 使 用 購 入 要 求 輸 出 入 均 衡 要 求 国 内 販 売 制 限 役 員 国 籍 要 求 自 国 民 雇 用 要 求 ( 注 ) ( 注 ) 技 術 移 転 要 求 ( 注 ) 事 業 本 部 要 求 研 究 開 発 要 求 独 占 的 供 給 要 求 注 : 留 保 表 において 制 約 あり TRIMs:WTO 貿 易 に 関 連 する 措 置 に 関 する (Agreement on Trade-Related Investment Measures) はTRIMsで 規 定 される 項 目 9
わが 国 企 業 が 直 面 する 課 題 2007 年 10 月 提 言 対 外 経 済 戦 略 の 構 築 と 推 進 を 求 める 補 論 より 外 資 規 制 ( 卸 小 売 物 流 ) 外 資 規 制 ( 金 融 ) 東 アジア 地 域 において 小 売 業 の 外 資 規 制 が 障 壁 となっている 特 にインドにおいては 単 独 資 本 による が 認 められない 中 国 では2001 年 のWTO 加 盟 以 降 石 油 卸 売 小 売 市 場 を 外 資 に 開 放 したが これら 事 業 の 経 営 要 件 を 定 めた 成 品 油 市 場 管 理 弁 法 により 外 資 の 活 動 や 参 入 が 実 質 的 に 制 約 されている 例 :(1) 卸 売 : 供 給 ルートの 確 保 義 務 輸 入 制 約 ( 実 質 的 に 中 国 国 内 企 業 に 依 存 せざるをえない (2) 小 売 : 外 資 比 率 規 制 が50% 未 満 東 アジア 地 域 において 物 流 事 業 の 外 資 規 制 が 厳 しく 100%の 資 本 参 加 が 許 容 されない 場 合 には 現 地 と 合 弁 が 必 要 となる ASEANをはじめとするアジア 諸 国 の 生 保 損 害 保 険 市 場 は 外 資 規 制 が 厳 しい( 特 にインド タイ マレーシア フィリピン 中 国 等 インドは 26% タイは25% 中 国 は50%まで) インド タイなど 成 長 性 の 高 い 市 場 ほど 外 資 に 対 する 出 資 規 制 が 問 題 となっている 単 独 では 進 出 でき ず 提 携 相 手 を 探 す 必 要 がある 米 国 においては 保 険 事 業 の 規 制 が 州 別 となっている 銀 行 証 券 業 態 と 同 様 保 険 についても 連 邦 ベースの 監 督 制 度 を 導 入 し 州 による 監 督 とのいずれかを 選 択 できるようにすることを 希 望 する インドにおいて 外 資 の 証 券 業 に 最 低 資 本 金 規 制 が 存 在 ( 内 資 に 適 用 される1.2 百 万 米 ドルの 純 資 産 額 維 持 に 加 え 外 資 は 最 低 資 本 金 50 百 万 米 ドルが 必 要 ) ベトナムは 証 券 業 の 外 資 持 分 規 制 の 上 限 は49% 非 上 場 にも 制 限 があり 上 限 は30% タイは 外 資 が 過 半 数 の 証 券 会 社 では 引 き 受 け 業 務 とブローカレッジ 業 務 のみ 可 能 マレーシアは 証 券 業 の 外 資 持 分 規 制 の 上 限 は49% 中 国 における 対 内 規 制 について QFII 制 度 (Qualified Foreign Institutional Investors)により 外 国 人 家 には 中 国 当 局 から 個 別 の 認 可 が 必 要 となる 極 めて 限 定 的 な 認 定 であり 各 社 ごとに 可 能 額 も 決 められている 台 湾 では 海 外 家 のうち 法 人 はFINIs(Foreign Institutional Investors) 登 録 が 必 要 金 額 の 上 限 は 設 定 されていない 個 人 の 場 合 には 上 限 が5 百 万 米 ドルまでとされている 国 内 決 済 制 度 保 護 の 観 点 から T+1 決 済 ( 受 渡 )をフェイルすると3 年 間 取 引 禁 止 となる ベトナムでは 海 外 家 は 当 局 に 登 録 し IDを 取 得 する 必 要 がある IDの 取 得 には 現 地 のカストディアン 銀 行 を 指 定 する 必 要 がある 海 外 家 は 取 引 するローカル 証 券 会 社 を 一 社 に 限 定 される 東 アジアにおいて 証 券 業 を 営 む 上 での 阻 害 要 因 として 海 外 における に 対 する 規 制 があり 台 湾 韓 国 で 為 替 管 理 規 制 が 厳 格 である 例 え ば オフショアでの 為 替 取 引 も 禁 止 されており 通 貨 スワップや 他 のデリバティブ 取 引 でも 通 貨 が 関 連 する 取 引 には 規 制 がある 国 内 に 対 する 規 制 に 関 しては ローカル 通 貨 を 利 用 する 金 融 商 品 の 組 成 や 取 引 への 規 制 がある その 他 外 資 規 制 インドにおいては 既 にインド 企 業 との 間 に 合 弁 会 社 や 技 術 提 携 商 標 使 用 契 約 などを 持 つ 外 資 企 業 が 新 たな 合 弁 設 立 や 技 術 提 携 を 行 なう 場 合 に 外 国 促 進 委 員 会 の 事 前 許 可 と 既 存 のパートナー インド 企 業 から 同 意 書 の 取 得 が 義 務 付 けられる 既 存 合 弁 に 参 加 しているインド 企 業 が 新 たな 合 弁 相 手 となる 別 のインド 企 業 への 対 抗 上 同 意 書 を 出 し 渋 る 事 例 が 出 ており 対 インドで 事 業 を 計 画 する 上 での 実 質 的 障 害 になっている 10
その 他 外 資 規 制 等 わが 国 企 業 が 直 面 する 課 題 2007 年 10 月 提 言 対 外 経 済 戦 略 の 構 築 と 推 進 を 求 める 補 論 より 行 政 手 続 透 明 性 等 インドにおいては 外 国 企 業 の 優 先 株 取 得 に 関 する 規 制 がある 外 国 企 業 が 議 決 権 を 持 たない 優 先 株 に 出 資 取 得 する 場 合 に B/S 上 で 資 本 ではなく 負 債 に 計 上 し かつインドの 海 外 商 業 借 入 (ECB) 規 則 の 遵 守 を 求 めている ECBでは 外 国 企 業 が 貸 付 元 になる 場 合 の 資 格 要 件 を 厳 しく 制 限 しており 外 国 の 一 般 企 業 ( 非 金 融 )が 出 資 者 になることが 実 質 的 に 難 しくなる 可 能 性 がある 中 国 において 90 年 代 後 半 から 維 持 されて 来 た 加 工 貿 易 免 税 制 度 ( 再 輸 出 に 関 する 非 課 税 制 度 )を 撤 廃 する 動 きが 出 ている 現 地 進 出 を 進 めてきた 日 系 製 造 業 には 急 激 かつ 著 しい 経 営 環 境 の 悪 化 となり 得 る 中 国 においてQFII 免 許 ( 外 国 人 家 としての 認 可 )を 取 得 するにあたっては 当 局 に 何 度 も 足 を 運 びプレゼンを 繰 り 返 し 半 年 以 上 の 時 間 を 要 するなど 非 常 に 困 難 があった インドでは 海 外 家 は 当 局 による 個 別 の 認 可 が 必 要 となる 認 可 取 得 までの 手 続 きに 要 する 時 間 が 非 常 に 長 く 適 格 要 件 も 不 明 確 である 韓 国 では 外 国 人 による には 登 録 が 必 要 東 アジアにおいては 金 融 関 連 規 制 の 不 透 明 性 が 問 題 である 例 えば 認 可 業 務 として 細 かいライセンスが 多 く 設 けられ 限 定 列 挙 さ れる 法 令 整 備 は 各 国 とも 急 速 に 進 んでいるが ガイドライン 等 の 公 布 が 遅 れることが 多 い 税 制 等 二 重 課 税 の 回 避 移 転 価 格 税 制 問 題 解 決 に 向 けて 租 税 条 約 等 による 相 互 協 議 の 円 滑 化 国 際 的 な 紛 争 解 決 のためのルール 整 備 が 重 要 な 課 題 二 重 課 税 は 意 欲 や 輸 出 意 欲 の 減 退 につながる 日 インド 租 税 条 約 におけるソフトウェア 開 発 役 務 税 の 撤 廃 が 必 要 インドにおいては ソフトウェアのオフショア 開 発 を 委 託 する 際 日 イ ンド 租 税 条 約 に 基 づき 源 泉 徴 収 が 行 われる 2006 年 の 条 約 改 正 により 税 額 は20%から10%に 引 き 下 げられたが こうした 税 が 発 生 するのはインドのみである 米 国 企 業 の 場 合 は 米 インド 租 税 条 約 に 基 づき 課 税 は 行 われず 日 本 企 業 にとって 不 利 である 基 準 規 格 タイにおける 国 内 価 格 統 制 制 度 が 現 地 進 出 企 業 のコストを 圧 迫 している 足 元 の 原 資 材 高 騰 で 現 地 合 弁 企 業 の 輸 入 調 達 価 格 が 上 昇 し ているにもかかわらず 最 終 製 品 価 格 を 抑 え 込 む 統 制 制 度 の 為 に 実 質 的 に 合 弁 企 業 が 内 部 で 価 格 上 昇 分 を 吸 収 せざるをえない タイ 国 内 でエンジン 油 ( 潤 滑 油 )を 販 売 する 場 合 現 状 は 米 国 規 格 (API=American Petroleum Institute)に 合 致 することが 必 要 問 題 は 日 本 車 がタイでは 趨 勢 にもかかわらず 日 本 車 に 適 合 した 日 本 規 格 がタイでは 認 められていない タイにおいては 建 設 に 使 用 する 鋼 材 材 料 の 基 準 についても JIS 規 格 が 認 められることを 希 望 する 機 械 ( 圧 力 容 器 等 )の 設 計 基 準 溶 接 工 等 の 資 格 の 国 際 的 な 統 一 等 が 必 要 中 国 において 独 自 規 格 ( 第 三 世 代 携 帯 電 話 無 線 LAN 次 世 代 DVD 等 )を 定 める 動 きがある 規 格 形 成 プロセスの 透 明 化 仕 様 の 明 確 化 国 際 標 準 の 採 用 または 国 際 標 準 に 沿 った 国 内 規 格 化 が 必 要 である 欧 州 において 化 学 物 質 規 制 (REACH)が 施 行 されることになったが 不 明 確 な 点 も 多 く 懸 念 が 大 きい 11
わが 国 企 業 が 直 面 する 課 題 2007 年 10 月 提 言 対 外 経 済 戦 略 の 構 築 と 推 進 を 求 める 補 論 より その 他 規 制 グローバルな 競 争 条 件 の 平 等 化 の 観 点 から 各 国 の 制 度 のイコールフッティング( 独 禁 法 等 競 争 政 策 M&A 制 度 環 境 法 制 等 )が 必 要 グローバルな 規 模 で 政 府 調 達 の 市 場 開 放 と 透 明 性 の 確 保 が 望 まれる 特 に 豪 州 は 政 府 調 達 に 加 盟 していない 政 府 調 達 市 場 としては 北 米 に 関 心 が 高 いが 米 国 は 加 盟 国 であるものの 州 によって 参 入 障 壁 がある 海 上 輸 送 にも 米 国 籍 の 船 舶 の 利 用 が 求 められる 米 国 国 家 安 全 保 障 計 画 (NISP)における 機 密 情 報 取 り 扱 い の 認 定 要 件 の 緩 和 が 必 要 である 米 国 では 機 密 情 報 を 扱 う 連 邦 政 府 の 機 関 ( 国 防 総 省 ほか23 省 庁 )において NISP(National Security Program)が 実 施 され 民 間 企 業 に 対 する 事 業 参 加 や 情 報 公 開 に 制 限 が 設 けられ ている NISP 対 象 事 業 に 民 間 企 業 が 参 加 するためには 機 密 情 報 取 り 扱 い の 認 定 が 必 要 であり 海 外 企 業 には ボードメンバー 全 員 が 米 国 市 民 であることが 要 求 される これを 日 本 企 業 が 満 たすことは 事 実 上 無 理 であり 国 籍 要 件 はボードメンバーの 一 部 でよいとするなど 要 件 の 緩 和 が 望 まれる 著 作 権 補 償 金 制 度 ( 欧 州 )の 廃 止 を 求 める ドイツにおいては 1965 年 より 機 器 や 記 憶 媒 体 の 製 造 者 から 補 償 金 を 徴 収 して 権 利 者 に 分 配 す る 制 度 が 実 施 され カセットレコーダー CD 記 憶 媒 体 ブランクのCDなどが 対 象 となった 2000 年 パソコン ハードディスクにも 補 償 金 を 賦 課 する 方 針 が 決 定 され 著 作 権 団 体 からの 一 方 的 な 通 知 により 1 台 あたり12ユーロが 課 されることとされた この 点 の 違 法 性 を 争 うべく 欧 州 内 で 訴 訟 を 開 始 したが 下 級 審 では 敗 訴 し 上 告 している 上 級 審 でも 敗 訴 すれば 2002 年 まで 遡 及 して 年 間 100 万 台 の 販 売 につき12ユーロとい う 巨 額 の 支 払 い 義 務 が 発 生 する この 問 題 は 欧 州 全 体 だけでなく 日 本 を 含 め 各 国 に 影 響 を 及 ぼしつつある 食 品 輸 入 における 安 定 供 給 安 全 性 の 確 保 の 両 立 が 課 題 となっている 2006 年 5 月 より 食 品 衛 生 法 に 基 づき 食 品 中 に 残 留 する 農 薬 飼 料 飼 料 添 加 物 動 物 用 医 薬 品 につき 一 定 の 残 留 値 を 超 える 食 品 を 販 売 流 通 することを 禁 止 するポジティブリスト 制 が 導 入 された しかし 毒 性 物 質 を 含 んだBSEや 中 国 から 品 質 安 全 性 に 問 題 のある 品 目 が 輸 入 されるなど 円 滑 な 輸 入 の 確 保 に 向 けて 課 題 は 多 い EUや 米 国 の 独 禁 法 において 一 定 の 域 外 の 企 業 同 士 の 合 併 等 についても 事 前 許 可 ないし 事 後 審 査 が 必 要 とされているが 域 外 適 用 を 明 記 した 中 国 の 独 禁 法 において その 運 用 を 踏 襲 する 懸 念 がある これに 対 処 するためには の 枠 組 において 通 商 の 問 題 に 限 らず 独 禁 法 といった 課 題 に 関 しても 政 策 調 整 を 図 る 必 要 がある 日 本 において 米 国 の 証 券 法 が 適 用 されている 日 本 において 日 本 企 業 同 士 が 株 式 交 換 を 行 う 場 合 米 国 市 場 に 上 場 されていなくても 一 人 でも 米 国 に 株 主 が 存 在 すれば 米 国 に 届 け 出 る 必 要 がある 株 主 が10% 未 満 の 場 合 簡 易 の 届 出 10% 以 上 は 事 前 の 登 録 が 必 要 となる 日 本 では 米 国 企 業 同 士 の 合 併 に 同 様 の 義 務 は 課 していない 12
わが 国 企 業 が 直 面 する 課 題 2007 年 10 月 提 言 対 外 経 済 戦 略 の 構 築 と 推 進 を 求 める 補 論 より 知 的 権 有 効 期 限 切 れの 模 倣 品 に 関 しては 多 くの 先 進 国 で 実 施 されているように 不 正 競 争 防 止 法 に 基 づく 対 応 が 必 要 知 的 権 侵 害 物 品 に 関 しては 輸 入 時 だけでなく 輸 出 時 にも 一 定 の 対 応 が 必 要 である ブラジル パナマ 中 東 アフリカ 等 に 流 通 している 例 が 発 見 されている 中 国 においては 模 倣 品 が 通 関 において 発 見 されても 輸 出 先 等 の 情 報 については 中 国 当 局 から 開 示 されない また メキシコはOECD 諸 国 で 唯 一 税 関 が 国 内 法 に 基 づいて 知 的 権 侵 害 物 品 を 差 し 止 める 権 限 を 有 していない 模 倣 品 の 流 通 防 止 には 危 険 性 に 関 するPRの 促 進 も 重 要 である 例 えば 自 動 車 のボンネットの 模 倣 などは 事 故 の 際 に 人 命 にかかわる 問 題 となりうる 途 上 国 政 府 国 民 の 権 利 侵 害 の 違 法 性 等 の 認 識 の 向 上 に 向 けて 取 り 組 みが 必 要 である 例 えば インド ブラジル 等 において ロイヤリティ の 支 払 いが 円 滑 に 行 われないケースがある また ロイヤリティ 支 払 いには 工 業 相 中 央 銀 行 の 許 可 が 必 要 となっている 場 合 があり そうし た 制 度 がロイヤリティの 回 収 の 障 害 となっている 今 後 インターネットを 通 じた 模 倣 品 の 販 売 も 増 加 すると 思 われることから インターネットの 販 売 業 者 に 対 する 模 倣 品 販 売 の 摘 発 への 協 力 を 依 頼 することについても 検 討 が 必 要 となる 模 倣 品 は 日 本 以 外 で 販 売 されるケースが 圧 倒 的 であることから 海 外 政 府 との 取 締 り 等 の 連 携 強 化 や 模 倣 品 海 賊 版 に 関 する 条 約 の 締 結 推 進 など 世 界 的 枠 組 での 解 決 の 推 進 が 重 要 である 意 匠 に 関 しては スタイル 全 体 が 類 似 していれば 国 内 裁 判 所 に 提 訴 できるが 例 えば 自 動 車 のテールランプの 形 状 など 部 分 (パーツ)ごとの 意 匠 の 権 利 を 認 める 制 度 がない 部 分 意 匠 制 度 の 導 入 を 検 討 すべき 13
わが 国 企 業 が 直 面 する 課 題 2007 年 10 月 提 言 対 外 経 済 戦 略 の 構 築 と 推 進 を 求 める 補 論 より 人 の 移 動 グローバルな 規 模 で 迅 速 な 人 員 配 置 を 可 能 とするため 各 国 におけるビザ 取 得 の 迅 速 化 が 必 要 である 英 語 圏 以 外 の 国 においては 高 度 な 能 力 を 有 し 当 該 国 の 言 語 を 理 解 する 人 材 を 現 地 で 採 用 することが 必 要 となっている 高 度 な 人 材 を 確 保 するためには そうした 人 材 が 魅 力 を 感 じるグローバルなキャリア 形 成 を 可 能 とする 必 要 があり 日 本 と 他 国 との 間 の 二 国 間 だけでなく 第 三 国 間 の 人 の 移 動 を 円 滑 化 することの 重 要 性 が 増 している 外 国 の 銀 行 では IT 関 連 の 専 門 家 をインドで 採 用 し 24 時 間 以 内 にビザを 取 得 した 上 で 直 後 にシンガポールで 就 労 させるなど グローバルな 人 事 異 動 を 実 現 しているようである 資 源 エネ ルギー 価 格 の 高 止 まりを 背 景 に 一 部 の 資 源 産 出 国 に 資 源 の 囲 い 込 み いわゆる 資 源 ナショナリズムの 動 きが 顕 著 となっている ベネズエラやボリ ビア ロシアといった 国 では 上 流 権 益 の 国 有 化 あるいは 外 資 の 上 流 参 入 が 厳 格 化 され こうした 動 きの 中 上 流 事 業 に 外 資 参 入 を 認 めてい ない 石 油 は 埋 蔵 量 ベースで 世 界 の70% 程 度 である 資 源 の 安 定 供 給 確 保 には 資 源 国 とのや 首 脳 外 交 を 含 めた 官 民 一 体 となった 関 係 強 化 が 重 要 である 最 近 のわが 国 政 府 の 取 り 組 みに おいては 経 済 界 が 同 行 するミッションや 資 金 面 での 支 援 が 充 実 するなど 政 府 の 資 源 外 交 や 民 間 に 対 する 支 援 体 制 は 強 化 されており 今 後 とも 継 続 した 取 り 組 みを 期 待 する の 資 源 エネルギー 章 には 輸 出 税 の 制 限 を 盛 り 込 むべきである WTOにおいて 必 ずしも 違 法 とはいえないケースがあるので 中 国 など の 輸 出 税 による 資 源 の 囲 い 込 みについては 等 個 別 の で 対 応 する 必 要 がある また 加 盟 約 束 等 WTOルールに 違 反 する 場 合 に は 紛 争 解 決 手 続 きの 活 用 も 視 野 に 働 きかける 必 要 がある 14
わが 国 企 業 が 直 面 する 課 題 2007 年 10 月 提 言 対 外 経 済 戦 略 の 構 築 と 推 進 を 求 める 補 論 より 貿 易 ルール の 履 行 確 保 不 公 正 貿 易 措 置 の 是 正 欧 州 においてITA 対 象 品 目 として 関 税 がゼロとされるIT 製 品 に 対 して 課 税 する 動 きが 顕 著 である 96 年 のITA 憲 章 の 目 的 は パソコンに 接 続 す る 周 辺 機 器 の 関 税 をゼロとし IT 製 品 を 世 界 に 普 及 させることであった パソコンは 多 国 籍 にまたがる 部 品 で 構 成 され 世 界 各 国 から 部 品 を 融 通 しあう 生 産 システムが 採 用 されている ITAにより 多 くの 国 の 生 産 者 がウィンウィンの 関 係 を 構 築 することができ ユーザー 側 にとっても 接 続 コストが 逓 減 する しかし EUは モニターをパソコンに 接 続 し DVDの 信 号 を 送 ることが 可 能 となれば モニターはIT 製 品 でなくビデオモニ ターに 分 類 すべきと 主 張 するようになった ウインドウズビスタを 搭 載 するためには パソコンにDVD 信 号 を 受 信 する 機 能 等 を 付 加 することが メーカーに 求 められており この 点 が 深 刻 な 問 題 になっている また 将 来 的 には ワンセグによりTVが 受 信 できる 携 帯 電 話 がTVに 音 楽 が 再 生 できる 携 帯 電 話 がオーディオに 分 類 されるといった 事 態 が 生 じる 可 能 性 もある 将 来 的 に 中 国 からの 輸 出 が 急 増 することが 見 込 まれる 中 他 国 で 中 国 製 品 の 輸 入 急 増 被 害 に 対 する 貿 易 救 済 措 置 の 発 動 により 日 本 製 品 が 巻 き 添 えとなる 可 能 性 が 高 く アンチ ダンピング 等 のルールの 厳 格 な 運 用 の 確 保 WTOルール 交 渉 の 推 進 が 望 まれる 例 えば 米 国 のア ンチ ダンピング 制 度 においては 一 定 の 場 合 複 数 国 からの 輸 入 による 国 内 産 業 への 影 響 が 義 務 的 に 累 積 評 価 される そのため 中 国 から 米 国 への 輸 出 が 急 増 した 場 合 日 本 からの 輸 出 も 調 査 対 象 に 含 まれる 懸 念 がある また セーフガードについてはそもそも 対 象 国 を 特 定 した 発 動 がみとめられていないが 日 本 も 中 国 と 同 様 の 製 品 を 輸 出 している アンチ ダンピング 調 査 は 措 置 が 結 果 的 に 発 動 されなくても 調 査 への 対 応 に 割 かれる 人 員 コストは 膨 大 である 日 本 においてアンチ ダン ピング 措 置 が 発 動 しにくく 欧 米 では 発 動 しやすいというアンバランスがあることは 問 題 である 15