日 本 国 における 新 たな 航 空 機 (MV-22)に 関 する 合 同 委 員 会 への 覚 書 ( 仮 訳 ) 参 照 : a. 日 本 国 とアメリカ 合 衆 国 との 間 の 相 互 協 力 及 び 安 全 保 障 条 約 第 六 条 に 基 づ く 施 設 及 び 区 域 並 びに 日 本 国 における 合 衆 国 軍 隊 の 地 位 に 関 する 協 定 ( 日 米 地 位 協 定 ) b. 日 本 国 における 新 たな 航 空 機 (MV-22)に 関 する 声 明 1.この 覚 書 ( 参 照 bを 含 む )は, MV-22の 飛 行 運 用 の 安 全 性 を 確 認 し, 日 本 国 への 新 たな 航 空 機 (MV-22)の 駐 留 及 び 運 用 を 取 り 扱 う 2. 参 照 bは, 航 空 機 の 概 要,その 安 全 性 についての 記 録,その 乗 組 員 及 び 整 備 要 員 の 訓 練, 米 軍 施 設 及 び 区 域 の 上 空 及 び 周 辺 における 飛 行 経 路 及 び 運 用, 並 びに 訓 練 区 域 及 びその 他 の 空 域 における 飛 行 運 用 を 含 む 3. 日 本 国 政 府 及 び 合 衆 国 政 府 は, 合 同 委 員 会 及 びその 様 々な 分 科 会 を 通 じて, 飛 行 の 安 全 性, 騒 音 規 制 及 び 低 空 飛 行 訓 練 を 含 む 相 互 の 関 心 事 項 に 関 する 緊 密 な 協 力 を 継 続 する 2012 年 9 月 19 日 に 合 同 委 員 会 により 承 認 された 伊 原 純 一 合 同 委 員 会 日 本 国 政 府 代 表 アンドリュー W オドンネル ジュニア 合 衆 国 海 兵 隊 少 将 合 同 委 員 会 合 衆 国 政 府 代 表
日 本 国 における 新 たな 航 空 機 (MV-22) ( 仮 訳 ) 1. 概 況 : 米 海 兵 隊 は,MV-22ティルトローター 機 により 航 空 機 部 隊 の 更 新 を 行 い, 普 天 間 飛 行 場 において, 同 機 1 機 につき1 機 のCH-46ヘリコプターを 退 役 させる これは, 世 界 的 にCH-46ヘリコプターをMV-22ティルトロー ター 機 に 換 装 するという 米 海 兵 隊 のプロセスの 一 部 である これは, 部 隊 レベ ルの 更 新 であって, 日 本 国 における 合 衆 国 のプレゼンスの 重 大 な 変 更 ではない また,この 更 新 によって, 沖 縄 における 隊 員 又 はその 家 族 の 人 数 に 大 きな 変 更 が 生 じるものではない 2. 航 空 機 の 概 要 : a.mv-22は,ヘリコプターの 垂 直 離 着 陸 能 力 と 固 定 翼 機 の 速 度 及 び 行 動 範 囲 とを 組 み 合 わせた 高 い 性 能 を 有 する 航 空 機 である MV-22は,196 4 年 に 導 入 されたCH-46と 比 較 して, 約 2 倍 の 飛 行 速 度 を 有 し, 約 3 倍 の 搭 載 量 の 輸 送 が 可 能 であり, 約 4 倍 の 戦 闘 行 動 半 径 を 有 する こうした 高 い 性 能 を 有 するMV-22の 沖 縄 への 配 備 は, 戦 略 的 重 要 性 を 有 し, 日 本 国 の 安 全 並 びに 地 域 における 国 際 の 平 和 及 び 安 全 の 維 持 に 一 層 寄 与 するものである b.mv-22は,その 高 い 性 能 と 多 機 能 性 により, 日 本 国 及 びこの 地 域 にお ける 人 道 的 援 助, 災 害 救 援 及 び 救 助 活 動 をより 効 果 的 に 遂 行 することもできる MV-22によって, 合 衆 国 政 府 が 地 元 コミュニティ 及 びこの 地 域 に 対 して 人 道 的 援 助 及 び 災 害 救 援 活 動 を 提 供 することができるようになることが 期 待 され る 訓 練 区 域 での 自 然 火 災 の 消 火 において,CH-46と 比 べて3 倍 の 水 量 を 輸 送 する 能 力 を 有 するMV-22による 水 の 輸 送 及 び 投 下 といった 機 能 は, 同 機 の 重 要 な 機 能 の 例 である さらに,MV-22は, 過 酷 な 遠 征 地 からの 援 助 や 救 助 活 動 といった 運 用 が 可 能 であり,また,2 万 ポンドの 貨 物 を260ノッ ト 以 上 の 最 大 巡 航 速 度 で 輸 送 することができる 例 えば,2010 年 のハイチ における 災 害 救 援 活 動 においては,MV-22の 速 度, 航 続 距 離 及 び 垂 直 離 着 陸 能 力 によって, 複 数 の 部 隊 及 び 救 援 物 資 を 遠 隔 地 に 輸 送 することが 可 能 とな った MV-22は,リビアにおいて 撃 墜 されたF-15Eから 操 縦 士 1 名 を 救 出 するために 地 中 海 遠 隔 の 場 所 にある 揚 陸 艦 から 安 全 に 飛 び 立 つことも 可 能 であった c. 災 害 救 援, 人 道 的 援 助 及 び 救 助 活 動 の 分 野 において 成 功 を 収 めたこれまで のMV-22の 運 用 成 績 や 実 績 に 鑑 みれば,MV-22は 日 本 国 及 び 地 域 全 体 1
において 重 要 な 役 割 を 果 たす 3. 航 空 機 の 安 全 性 についての 記 録 : 過 去 10 年 間 の 飛 行 実 績 から 収 集 したデ ータは,MV-22が, 一 貫 して 米 海 兵 隊 の 平 均 よりも 優 れた 安 全 性 について の 記 録 を 示 してきたことを 証 明 している a. 合 衆 国 政 府 は,MV-22の 飛 行 運 用 の 安 全 性 にコミットしている 合 衆 国 政 府 は,MV-22が, 同 機 に 適 用 される 海 軍 航 空 訓 練 運 用 手 続 標 準 (NA TOPS) 飛 行 マニュアルに 従 って 運 用 されること,また,それにより 飛 行 運 用 の 安 全 性 が 高 まること, 及 び 米 海 兵 隊 は 乗 組 員 を 徹 底 的 に 教 育 及 び 訓 練 する ことを 再 確 認 する 合 衆 国 政 府 においては, 事 故 原 因 の 特 定, 及 び 類 似 の 事 故 の 予 防 に 向 けた 適 切 な 措 置 をとるための 手 続 が 確 立 されている これらの 手 続 には,その 見 直 しの 必 要 性 の 有 無 を 判 断 するための, 運 用 や 訓 練 の 内 容 の 再 検 証 も 含 まれている 合 衆 国 政 府 は,モロッコにおけるMV-22の 事 故 及 びフ ロリダにおけるCV-22の 事 故 について,これらの 手 続 に 従 って 対 応 した また,これらの 事 故 を 受 け, 米 海 兵 隊 は,MV-22の 運 用 及 び 訓 練 に 適 切 な 見 直 しを 反 映 させるため,これらの 手 続 に 従 って 適 切 な 再 発 防 止 措 置 を 講 じた b. 合 衆 国 政 府 は, 日 本 国 政 府 に 対 し,2012 年 4 月 11 日 にモロッコにお いて 発 生 したMV-22の 事 故 及 び 同 年 6 月 13 日 にフロリダにおいて 発 生 し たCV-22の 事 故 に 関 する 調 査 報 告 書 を 提 供 した 合 衆 国 政 府 は, 日 本 国 政 府 に 対 し,これらの 調 査 が, 関 連 する 規 則 及 び 命 令 に 従 って 独 立 的 かつ 客 観 的 に 行 われたことを 保 証 する 日 本 国 政 府 は,これらの 調 査 報 告 書 を 主 体 的 に 検 証 し,MV-22の 安 全 性 を 確 認 した その 際, 日 本 国 政 府 は,MV-22に 関 する 情 報 への 過 去 に 類 を 見 ないアクセスが 与 えられ,また, 多 数 の 試 乗 飛 行 やブリーフィングが 提 供 された さらに, 日 本 国 政 府 及 び 合 衆 国 政 府 は, 様 々 なレベルの 政 策 担 当 者 や 運 用 担 当 者 との 間 で 広 範 な 協 議 を 行 った c. 米 海 兵 隊 は, 更 なる 事 故 の 発 生 を 防 ぐため,NATOPSの 手 順 を 積 極 的 に 文 書 化 し,また, 適 切 であれば, 手 順 を 修 正 したり, 見 直 しを 行 うといった 努 力 を 行 ってきており,その 結 果,MV-22は 際 立 った 安 全 性 についての 記 録 を 有 するに 至 っている 4.MV-22の 乗 組 員 及 び 整 備 要 員 の 訓 練 : a. 日 本 国 に 着 任 する 全 てのMV-22の 乗 組 員 は, 熟 練 しており, 必 要 な 資 格 を 有 する 者 である 乗 組 員 は, 必 要 な 資 格 を 取 得 するために, 関 連 する 訓 練 基 準 を 満 たさなければならず,これには 航 空 機 の 緊 急 事 態 への 対 応 も 含 まれる 2
航 空 機 事 故 を 防 ぐため, 乗 組 員 の 訓 練 には, 世 界 で 起 こるあらゆる 航 空 機 事 故 の 事 例 から 得 られた 適 用 し 得 る 教 訓 も 含 まれる MV-22の 機 長 は, 同 乗 の 乗 組 員 の 運 用 を 含 む 航 空 機 の 安 全 性 に 常 に 責 任 を 有 することから, 機 長 及 び 指 揮 官 の 任 に 当 たるその 他 の 米 海 兵 隊 士 官 は, 乗 組 員 の 練 度 維 持, 乗 組 員 の 能 力 向 上, 及 び 軍 の 即 応 態 勢 の 強 化 を 目 的 として, 日 本 国 において 乗 組 員 の 訓 練 を 継 続 する b. 日 本 国 に 着 任 する 全 てのMV-22の 乗 組 員 は, 日 本 国 において 同 機 によ る 飛 行 を 行 う 前 に,まず 運 用 上 の 所 要 ( 飛 行 場 規 則 ) 及 びその 他 の 固 有 の 特 性 ( 例 えば, 地 形 や 気 候 等 )を 熟 知 する また,MV-22による 飛 行 を 行 う に 際 してはその 度 ごとに, 同 機 の 乗 組 員 に 対 し, 標 準 的 な 運 用 手 順, 乗 組 員 間 の 連 携 及 び 計 画 に 定 められた 運 用 区 域 を 確 認 するための 徹 底 したブリーフィン グが 行 われる c. 全 てのMV-22の 整 備 要 員 は, 適 用 される 職 業 技 能 上 の 特 殊 な 基 準 に 従 って 徹 底 して 訓 練 され,また,MV-22の 効 果 的 かつ 安 全 な 運 用 を 確 保 する ため, 最 新 の 整 備 に 関 する 情 報 や 整 備 方 法 をとり 入 れる 5. 米 軍 施 設 及 び 区 域 の 上 空 及 び 周 辺 における 飛 行 経 路 及 び 運 用 : a. 合 衆 国 政 府 は, 適 用 される 騒 音 規 制 措 置 に 関 する 合 同 委 員 会 合 意 を 引 き 続 き 遵 守 する 意 図 を 有 する b. 合 衆 国 政 府 は, 周 辺 のコミュニティに 及 ぼす 飛 行 運 用 による 影 響 が 最 小 限 になるよう, 米 軍 施 設 及 び 区 域 の 上 空 及 び 周 辺 における 飛 行 経 路 を 設 定 する この 目 的 のために,MV-22を 飛 行 運 用 する 際 の 進 入 及 び 出 発 経 路 は,でき る 限 り 学 校 や 病 院 を 含 む 人 口 密 集 地 域 上 空 を 避 けるよう 設 定 される MV-2 2は, 陸 上 あるいは 水 上 を 飛 行 するにも 安 全 であるが, 移 動 の 際 には, 可 能 な 限 り 水 上 を 飛 行 する c.22 時 から6 時 までの 間,MV-22の 飛 行 及 び 地 上 での 活 動 は, 運 用 上 必 要 と 考 えられるものに 制 限 される 夜 間 訓 練 飛 行 は, 在 日 米 軍 に 与 えられた 任 務 を 達 成 し, 又 は 飛 行 要 員 の 練 度 を 維 持 するために 必 要 な 最 小 限 に 制 限 され る 部 隊 司 令 官 は,できる 限 り 早 く 夜 間 の 飛 行 を 終 了 させるよう 最 大 限 の 努 力 を 払 う 合 衆 国 政 府 は,シミュレーターの 使 用 等 により,MV-22の 夜 間 飛 行 訓 練 が 普 天 間 飛 行 場 の 周 辺 コミュニティに 与 える 影 響 を 最 小 限 にする d.mv-22は, 安 全 な 飛 行 運 用 を 確 保 するために, 普 天 間 飛 行 場 における 3
離 発 着 の 際, 基 本 的 に, 既 存 の 固 定 翼 機 及 び 回 転 翼 機 の 場 周 経 路 並 びに 現 地 の 運 用 手 順 の 双 方 を 使 用 する e.mv-22は, 通 常,ほとんどの 時 間 を 固 定 翼 モードで 飛 行 する 運 用 上 必 要 な 場 合 を 除 き,MV-22は, 通 常, 米 軍 の 施 設 及 び 区 域 内 においてのみ 垂 直 離 着 陸 モードで 飛 行 し, 転 換 モードで 飛 行 する 時 間 をできる 限 り 限 定 する f.mv-22の 沖 縄 への 配 備 の 後, 既 存 の 計 画 の 一 部 として,また, 日 本 国 政 府 からの 支 援 も 得 て, 日 米 両 政 府 は, 日 本 国 内 の 沖 縄 以 外 の 場 所 で 飛 行 訓 練 を 行 う 可 能 性 を 検 討 する 意 向 である 6. 訓 練 区 域 及 びその 他 の 空 域 におけるMV-22の 飛 行 運 用 : a. 低 空 飛 行 を 含 む 飛 行 運 用 の 一 部 として,MV-22の 乗 組 員 は, 訓 練 区 域 や 訓 練 航 法 経 路 沿 いにおける 障 害 物 や 危 険 物 について, 定 期 的 に 報 告 を 行 う さらに, 情 報 伝 達 及 び 飛 行 計 画 チャートへの 記 載 のため, 乗 組 員 は, 訓 練 区 域 や 訓 練 航 法 経 路 における 変 化 についてスケジュール 策 定 担 当 部 局 に 継 続 的 に 報 告 する b. 飛 行 運 用 の 間, 最 大 限 の 安 全 性 を 確 保 するため,MV-22の 乗 組 員 は, 訓 練 航 法 経 路 を 定 期 的 に 見 直 し, 検 証 する したがって, 安 全 性 を 確 保 し, 住 民 に 与 える 影 響 を 最 小 限 にするため,これらの 経 路 の 位 置 は, 時 間 の 経 過 とと もに 修 正 され 得 るものである c. 合 衆 国 政 府 は, 公 共 の 安 全 に 妥 当 な 配 慮 を 払 ってMV-22の 飛 行 運 用 を 実 施 する d. 合 衆 国 政 府 は, 常 に, 週 末 及 び 日 本 国 の 祭 日 における 低 空 飛 行 訓 練 を, 米 軍 の 運 用 即 応 態 勢 上 の 必 要 性 から 不 可 欠 と 認 められるものに 限 定 する e.mv-22は, 時 折, 低 高 度 で 運 用 されることから, 同 機 の 乗 組 員 は, 日 本 国 において 低 空 飛 行 訓 練 を 行 う MV-22は, 訓 練 航 法 経 路 を 飛 行 する 間, 地 上 から500フィート 以 上 の 高 度 で 飛 行 する ただし,MV-22の 運 用 の 安 全 性 を 確 保 するために,その 高 度 を 下 回 る 飛 行 をせざるを 得 ないこともある 低 空 飛 行 訓 練 の 間, 原 子 力 エネルギー 施 設, 史 跡, 民 間 空 港, 人 口 密 集 地 域 及 び 公 共 の 安 全 に 係 る 他 の 建 造 物 ( 例 えば, 学 校, 病 院 等 )といった 場 所 の 上 空 を 避 けて 飛 行 することは, 合 衆 国 の 航 空 機 の 標 準 的 な 慣 行 である 4